説明

ショーケース

【課題】ショーケース本体における引戸の下端部が摺接される下側支持部の清掃を行い易くして、下側支持部を衛生的に保つことができるとともに、規制手段の磨耗を防止できるショーケースを提供すること。
【解決手段】前方側に向けて開口する開口部7を有するショーケース本体2と、水平方向にスライド移動されることで開口部7を開閉可能な引戸3a,3bと、を備えるショーケース1であって、引戸3a,3bの上端部は、開口部7の上端縁に設けられる上側レール17に支持されるとともに、引戸3a,3bの下端部は、開口部7の下端縁に設けられて略平坦面に形成される下側支持部16aに支持されており、引戸3a,3bの前方移動を規制する規制手段17cが上側レール17に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方側に向けて開口する開口部を有するショーケース本体と、水平方向にスライド移動されることで前記開口部を開閉可能な引戸と、を備えるショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のショーケースは、引き戸部材(引戸)の上端部を、ケース本体の開口部の上端縁に形成された上側レールに支持させるとともに、引き戸部材の下端部を、ケース本体の下部を構成する箱部の上縁に形成された溝部(下側支持部,規制手段)に支持させるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ショーケース本体の側面板の上端部に、引き戸(引戸)の一端(下端部)を支持する側面視で略L字状をなして前方端縁が上方に屈曲されたレール(下側支持部)が設けられ、かつショーケース本体の上部に、引き戸の上端部を支持するレール部材(上側レール)が設けられ、引き戸をレール部材に沿ってスライド移動させるとともに、引き戸の一端がレールの前方端縁(規制手段)に当接されることで、引き戸の前方移動を規制しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−45086号公報(第6頁、第3図)
【特許文献2】特開平10−89838号公報(第3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のショーケースにあっては、ケース本体(ショーケース本体)の下部を構成する箱部の上縁に、引き戸部材(引戸)を水平方向にスライド移動させるための溝部(下側支持部,規制手段)が形成されているため、この溝部内にゴミ等が溜まりやすいばかりか、溝部が凹凸形状に形成されているため、溝部の清掃がし難いという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載のショーケースにあっては、略L字状をなすレール(下側支持部)が、引き戸(引戸)の一端(下端部)を支持する平面部位を有しているため、レールの清掃が比較的行い易くなっているが、引き戸の前方移動を規制するためにレールの前方端縁が上方に屈曲されているため、このレールの前方端縁(規制手段)が清掃の邪魔である。さらに、レールと引き戸の一端との接触面積は、レールの平面部位と前方端縁とを合わせた面積となっており、その摺接面積が大きく、かつ引き戸の前方移動を規制するレールの前方端縁は、引き戸の開閉時に引き戸の一端と擦り合わされるため、レールにゴミ等が溜まっていると磨耗が激しく、長年の使用により摺接音が生じてしまうばかりか、引き戸をスムーズに開閉させられなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ショーケース本体における引戸の下端部が摺接される下側支持部の清掃を行い易くして、下側支持部を衛生的に保つことができるとともに、規制手段の磨耗を防止できるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明のショーケースは、
前方側に向けて開口する開口部を有するショーケース本体と、水平方向にスライド移動されることで前記開口部を開閉可能な引戸と、を備えるショーケースであって、
前記引戸の上端部は、前記開口部の上端縁に設けられる上側レールに支持されるとともに、前記引戸の下端部は、前記開口部の下端縁に設けられて略平坦面に形成される下側支持部に支持されており、前記引戸の前方移動を規制する規制手段が前記上側レールに設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、引戸の下端部が摺接される下側支持部が略平坦面となっているため、この下側支持部の清掃が行い易くなっており、下側支持部を衛生的に保つことができるとともに、引戸の前方移動動を規制する規制手段が、ショーケース本体の開口部の上端縁の上側レールに設けられるため、ゴミ等が規制手段に付着し難くなり、ゴミの付着による規制手段の磨耗を防止でき、かつゴミが付着し易い部位である下側支持部には、規制手段を設けずに済むようになるばかりか、引戸の下端部と下側支持部との接触面積を低減させることができ、長年の使用しても引戸をスムーズに開閉させることができる。
【0009】
本発明のショーケースは、
前記下側支持部は、物品を載置できる載置面となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、下側支持部に買い物客の手荷物や、ショーケース本体内に収納されている販売物等の物品を載置できるようになり、ショーケースの使い勝手を向上させることができる。
【0010】
本発明のショーケースは、
前記上側レールには、前記ショーケース本体の前方側に向けて下方に傾斜する傾斜面が形成されており、前記引戸の上端部が前記傾斜面に支持されるとともに、前記引戸の下端部が前記下側支持部に対して略垂直に当接支持されることを特徴としている。
この特徴によれば、引戸の自重によって傾斜面に引戸の上端部を確実に当接させることができ、引戸のがたつきを防止することができるとともに、引戸の自重をかけながら引戸の下端部を下側支持部に当接支持させることができ、引戸の開閉を安定的に行うことができる。
【0011】
本発明のショーケースは、
前記規制手段は、前記引戸の上端部に設けられる係合部と、該係合部と凹凸係合される前記上側レールに設けられる被係合部と、から構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、係合部と被係合部との凹凸係合という簡素な構成で規制手段を設けることができ、かつ引戸の上側レールに対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0012】
本発明のショーケースは、
前記係合部と前記被係合部とは、互いに遊嵌される寸法に形成され、前記係合部と前記被係合部との間に隙間部が形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、係合部と被係合部との間に形成される隙間部の寸法分だけ、引戸の下端部を下側支持部から離して持ち上げられるようになり、引戸をスライド移動させずに下側支持部を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例におけるショーケースを示す斜視図である。
【図2】ショーケースを示す縦断側面図である。
【図3】(a)は、引戸の上端部を示す部分平面図であり、(b)は、引戸の下端部を示す部分正面図である
【図4】(a)は、引戸の上端部と上側レールとを示す拡大縦断側面図であり、(b)は、引戸の下端部と平坦面とを示す拡大縦断側面図である。
【図5】引戸のローラと平坦面とを離間させた状態を示す拡大縦断側面図である。
【図6】引戸の上端部を上側レールから取り外す状態を示す拡大縦断側面図である。
【図7】引戸の上端部を上側レールから取り外す状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るショーケースを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0015】
実施例に係るショーケースにつき、図1から図5を参照して説明する。以下、図2、図4及び図5の紙面左側をショーケースの正面側(前方側)として説明する。図1の符号1は、本発明の適用されたショーケースである。
【0016】
このショーケース1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗において、冷凍食品や生鮮食品等の販売物を店内に陳列するために使用されている。以下、ショーケース1がスーパーマーケット等の店舗において買い物客と対向する側をショーケース1の正面側として説明する。なお、図2、図4及び図5においては、ショーケース1の紙面左側に買い物客が居るものとして紙面左側を正面側として説明する。図1に示すように、ショーケース1は、販売物を内部に陳列し、対向する正面側に向けて開口するショーケース本体2と、ショーケース本体2を開閉可能な複数枚の引戸3a,3b(各2枚)と、から構成されている。
【0017】
図2に示すように、ショーケース本体2は、対向する正面側に向けて開口した一対の内箱4と、これら内箱4と同じく対向する正面側に開口し、両内箱4を囲繞するように設けられた外箱5と、から構成されている。このため、ショーケース本体2の両正面側には、内箱4の開口及び外箱5の開口によって、ショーケース本体2の内部である冷蔵室6と連通する開口部7が形成されている。以下、本実施例におけるショーケース本体2は、両開口部7側共に同一構成につき、図示左側についてのみ説明する。
【0018】
外箱5は、発泡ウレタン樹脂材等からなる断熱部材と、この断熱部材の表裏面を覆うスチール金属等の表面板と、から構成されている。また、外箱5と内箱4との間には通風路8が形成され、この外箱5と内箱4によってショーケース本体2が構成されている。さらに、通風路8内には、冷却装置9と送風機10とを備えている。正面側を開口した内箱4により囲まれた冷蔵室6には、販売物を陳列する陳列棚11が設置され、下部に設けられた底板12にも販売物(図示略)を陳列可能になっており、販売物を多数載置可能な構成となっている。
【0019】
開口部7の下端縁近傍である冷蔵室6内の正面側には、通風路8に空気を取り込む吸込口13が形成されており、冷蔵室6内の背面側上端部には、冷却装置9によって冷却された冷気の冷気吹出口14が形成されている。この冷気吹出口14から、送風機10の稼動によって冷却装置9で冷却された冷気が吸込口13に向かって吹き出されて、開口部7を冷気によって閉塞するエアカーテン15が形成されている。
【0020】
このエアカーテン15の一部が冷蔵室6内に供給されることで、冷蔵室6内は一定の低温を保つことができ、冷蔵室6内の陳列棚11や底板12に載置される販売物(図示略)を冷蔵・冷凍した状態で陳列できるようになっている。
【0021】
図1及び図2に示すように、開口部7の下端縁をなす外箱5の正面側の下部には、ショーケース本体2の左右幅方向の略全長に亘ってショーケース本体2の正面側に向けて突出する突出部16が形成されている。この突出部16の上端部は、本発明における下側支持部として、床面に対して平行な平坦面16aに形成されている。また、開口部7の上端縁をなす外箱5の上部の正面側端部には、後述する引戸3a,3bの上端部を支持する上側レール17が、ショーケース本体2の左右幅方向の略全長に亘って設けられている。
【0022】
図4(a)に示すように、この上側レール17には、ショーケース本体2の正面側に向けて下方に傾斜を成す傾斜面17aが形成されている。上側レール17における傾斜面17aの下方には、さらにショーケース本体2の正面側に向けて下方に傾斜を成す傾斜面17bが形成されている。これら傾斜面17a,17bには、傾斜面17a,17bに対して垂直を成して、後述する係合部とともに本発明における規制手段を構成する被係合部としての突片17cが、ショーケース本体2の左右幅方向の略全長に亘って突設されている。
【0023】
次に、引戸3a,3bについて説明する。図2に示すように、引戸3a,3bの上端部は、ショーケース本体2の正面側に向けて下方に傾斜を成すように形成されている。引戸3a,3bの下端部は、平坦面16aに対して略垂直を成すように形成されている。また、引戸3a,3bの上端部と下端部との間は、ショーケース本体2の正面側に向けて膨出するように湾曲して形成されている。なお、一方の引戸3aは、他方の引戸3bよりも上端部から下端部までの長さが僅かに長寸に形成されている。
【0024】
図3(a)及び図4(a)に示すように、引戸3a,3bの上端部には、引戸3a,3bの左右幅方向の略全長に亘ってフレーム部材18aが取り付けられている。これらフレーム部材18aの上端部には、フレーム部材18aの左右幅方向に沿って複数(本実施例では2個)の係合部材19が取り付けられている。
【0025】
これら係合部材19には、係合部材19の左右幅方向の全長に亘って、前述した被係合部とともに規制手段を構成する本発明における係合部としての溝部19aが凹設されている。これら溝部19aの前後幅寸法は、突片17cの前後幅寸法よりも長寸に形成されており、溝部19a内に突片を挿通配置可能となっている。
【0026】
一方、図3(b)及び図4(b)に示すように、引戸3a,3bの下端部には、引戸3a,3bの左右幅方向の略全長に亘ってフレーム部材18bが取り付けられている。これらフレーム部材18aの下端部には、フレーム部材18bの左右幅方向に沿って複数(本実施例では2輪)のローラ20(戸車)が、ショーケース本体2の前後幅方向を向く図示しない枢軸によって回動可能に枢支されている。
【0027】
このように構成された引戸3a,3bのショーケース本体2への取り付けは、上端部から下端部の長さが引戸3aよりも僅かに短い引戸3bから行う。具体的には、図4(a)及び図4(b)に示すように、引戸3bにフレーム部材18aを介して取り付けられた係合部材19に形成された溝部19a内に、上側レール17の傾斜面17bから突設されている突片17cを挿入する。このとき、係合部材19の背面19bの一部が傾斜面17bに対して当接する。
【0028】
そして、突片17cは、引戸3bが引戸3b自体の荷重によって傾斜面17bに沿って僅かに正面側に滑落することで、溝部19a内の上面と当接し、突片17cと溝部19a内の下面との間に隙間部21が形成される。つまり、突片17cは、溝部19aに対して遊嵌される。また、引戸3bが傾斜面17bに沿って僅かに滑落することにより突片17cが溝部19a内の上面と当接することで、引戸3bの正面側への移動が溝部19a内の上面に当接している突片17cによって規制される。
【0029】
同時に、引戸3bにフレーム部材18bを介して枢支されたローラ20の下端部を平坦面16aに対して略垂直に当接させ、引戸3bのショーケース本体2への取り付けがなされる。これら突片17cの溝部19a内の上面との当接及びローラ20の平坦面16aとの当接によって、引戸3bの荷重は、上側レール17と平坦面16aとで支持される。
【0030】
なお、引戸3aのショーケース本体2への取り付けも引戸3bと同様に、引戸3aにフレーム部材18aを介して取り付けられた係合部材19に形成された溝部19a内に、上側レール17の傾斜面17aから突設されている突片17cを挿入し、背面19bの一部を傾斜面17aに対して当接させる。そして、引戸3aが引戸3a自体の荷重によって傾斜面17aに沿って僅かに正面側に滑落することで、突片17cと溝部19a内の下面との間に隙間部21を形成し、ローラ20の下端部を平坦面16aに対して略垂直に当接させることで、引戸3a,3bのショーケース本体2への取り付けを完了する。
【0031】
引戸3a,3bをショーケース本体2に取り付けることで、引戸3a,3bは、各突片17cに上端部側を支持された状態で平坦面16a上をローラ20によってショーケース本体2の左右幅方向にスライド移動可能となる。
【0032】
図1に示すように、引戸3a,3bのショーケース本体2への取り付けが完了した後は、引戸3b,3bをショーケース本体2の左右幅方向の略中央部にスライド移動させるとともに、引戸3a,3aをショーケース本体2の左右幅方向の右端部及び左端部にスライド移動させることで、開口部7を閉塞する。
【0033】
このように引戸3a,3bによって閉塞された開口部7は、引戸3a,3bの少なくとも1枚をショーケース本体2の左右幅方向にスライド移動させることで部分的に開口することができる。買い物客は、この開口部7の開放された箇所から冷蔵室6内に手を挿し込み、冷蔵室6内に陳列されている販売物を手に取ることが可能である。
【0034】
また、買い物客は、手荷物が多い場合や冷蔵室6内から販売物を大量に取り出す場合、平坦面16a上に手荷物や販売物等の物品を一時的に載置することが可能となっている。つまり、平坦面16aは、本発明における載置面として機能しており、買い物客がショーケース1を利用する際の使い勝手を向上させている。
【0035】
平坦面16aの清掃を行う場合には、引戸3a,3bをショーケース本体2の左右幅方向にスライド移動させた後、平坦面16a上に付着している埃や汚れ等を、掃除機等を用いることで除去する。さらに、図5に示すように、平坦面16a上にて引戸3a,3bが重なっている箇所においては、引戸3a,3bを上方に向けて持ち上げる。
【0036】
このとき、前述したように、突片17cと溝部19a内の下面との間に隙間部21が形成されているため、隙間部21の前後幅寸法分、ローラ20と平坦面16aとの間が離間されて隙間22が形成される。このローラ20と平坦面16aとの間の隙間22に掃除機等を挿入したり、雑巾等を挿入したりすることにより平坦面16aの清掃が可能となっている。
【0037】
引戸3a,3bの取り外し方について説明する。図4(a)に示すように、上側レール17には、上方側の引戸3aの係合部材19が通過可能な切欠部22が形成されている。図7に示すように、この切欠部22は、上側レール17の所定の2箇所に形成されている。そして、引戸3aを取り外す際には、先ず、上方側の引戸3aの各係合部材19が上側レール17の切欠部22に対応する位置まで引戸3aを移動させる。次に、図6に示すように、引戸3aを手前側に持ち上げると、係合部材19が突片17cから外れるようになり、この係合部材19が切欠部22を通過することで、引戸3aが上側レール17から取り外せるようになっている。さらに、上方側の引戸3aを取り外した状態であれば、下方側の引戸3bは、上側レール17から容易に取り外せるようになっている。
【0038】
以上、本実施例におけるショーケース1にあっては、引戸3a,3bの上端部は、開口部7の上端縁に設けられる上側レール17に支持されるとともに、引戸3a,3bの下端部は、開口部7の下端縁に設けられて略平坦面に形成される平坦面16aに支持されており、引戸3a,3bの前方移動を規制する規制手段が上側レール17に設けられることで、引戸3a,3bの下端部が摺接される下側支持部が略平坦面となっているため、この平坦面16aの清掃が行い易くなっており、平坦面16aを衛生的に保つことができるとともに、引戸3a,3bの前方移動動を規制する規制手段が、ショーケース本体2の開口部7の上端縁の上側レール17に設けられるため、ゴミ等が規制手段に付着し難くなり、ゴミの付着による規制手段の磨耗を防止でき、かつゴミが付着し易い部位である平坦面16aには、規制手段を設けずに済むようになるばかりか、引戸3a,3bの下端部と平坦面16aとの接触面積を低減させることができ、長年の使用しても引戸3a,3bをスムーズに開閉させることができる。
【0039】
また、平坦面16aは、物品を載置できる載置面となっていることで、平坦面16aに買い物客の手荷物や、ショーケース本体2内に収納されている販売物等の物品を載置できるようになり、ショーケース1の使い勝手を向上させることができる。
【0040】
また、上側レール17には、ショーケース本体2の前方側に向けて下方に傾斜する傾斜面17a,17bが形成されており、引戸3a,3bの上端部が傾斜面17a,17bに支持されるとともに、引戸3a,3bの下端部が平坦面16aに対して略垂直に当接支持されることで、引戸3a,3bの自重によって傾斜面17a,17bに引戸3a,3bの上端部を確実に当接させることができ、引戸3a,3bのがたつきを防止することができるとともに、引戸3a,3bの自重をかけながら引戸3a,3bの下端部を平坦面16aに当接支持させることができ、引戸3a,3bの開閉を安定的に行うことができる。
【0041】
また、規制手段は、引戸3a,3bの上端部に設けられる溝部19aと、溝部19aと凹凸係合される上側レール17に設けられる突片17cと、から構成されることで、溝部19aと突片17cとの凹凸係合という簡素な構成で規制手段を設けることができ、かつ引戸3a,3bの上側レール17に対する着脱作業を容易に行うことができる。
【0042】
また、溝部19aと突片17cとは、互いに遊嵌される寸法に形成され、溝部19aと突片17cとの間に隙間部21が形成されることで、溝部19aと突片17cとの間に形成される隙間部21の寸法分だけ、引戸3a,3bの下端部を平坦面16aから離して持ち上げられるようになり、引戸3a,3bをスライド移動させずに平坦面16aを清掃することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0044】
例えば、前記実施例では、ショーケース1を、対向する正面側の双方に向けて開口する開口部7が形成されたショーケース本体2と、各開口部7を閉塞する複数枚の引戸3a,3bとから構成したが、ショーケース本体は、一方の正面側のみに開口部が形成されているものであってもよい。
【0045】
また、前記実施例では、ショーケース1を、スーパーマーケット等の店舗において冷凍食品や生鮮食品等の販売物を店内に陳列するために使用したが、例えば、バイキング形式の飲食店にてアイスクリーム等の冷蔵・冷凍食品を収納し、飲食客が引戸3a,3bを開放することで自由に取皿等に冷蔵・冷凍食品を盛り付けることができるようにしてもよい。この場合には、飲食客が取皿等に冷蔵・冷凍食品を盛り付ける際に冷蔵・冷凍食品の取り零しがあっても、前述したように引戸3a,3bを僅かに持ち上げることでローラ20と平坦面16aとの間に隙間22を形成し、容易に平坦面16aの清掃が可能である。
【0046】
また、前記実施例では、規制手段としての被係合部が突片17cで形成されるとともに、係合部が溝部19aとして形成されているが、上側レール17に溝部を形成して被係合部とするとともに、係合部材19に突片を形成して係合部としてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 ショーケース
2 ショーケース本体
3a,3b 引戸
7 開口部
16a 平坦面(下側支持部,載置面)
17 上側レール
17a,17b 傾斜面
17c 突片(規制手段,被係合部)
19 係合部材
19a 溝部(規制手段,係合部)
19b 背面
21 隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方側に向けて開口する開口部を有するショーケース本体と、水平方向にスライド移動されることで前記開口部を開閉可能な引戸と、を備えるショーケースであって、
前記引戸の上端部は、前記開口部の上端縁に設けられる上側レールに支持されるとともに、前記引戸の下端部は、前記開口部の下端縁に設けられて略平坦面に形成される下側支持部に支持されており、前記引戸の前方移動を規制する規制手段が前記上側レールに設けられることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記下側支持部は、物品を載置できる載置面となっていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記上側レールには、前記ショーケース本体の前方側に向けて下方に傾斜する傾斜面が形成されており、前記引戸の上端部が前記傾斜面に支持されるとともに、前記引戸の下端部が前記下側支持部に対して略垂直に当接支持されることを特徴とする請求項1または2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記規制手段は、前記引戸の上端部に設けられる係合部と、該係合部と凹凸係合される前記上側レールに設けられる被係合部と、から構成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のショーケース。
【請求項5】
前記係合部と前記被係合部とは、互いに遊嵌される寸法に形成され、前記係合部と前記被係合部との間に隙間部が形成されることを特徴とする請求項4に記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−196313(P2012−196313A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62312(P2011−62312)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】