説明

ショーケース

【課題】商品が多い場所と少ない場所で照明の明るさを変えることで省エネを実現でき、適切な照度を保ちながら商品アピールになる。
【解決手段】商品を展示するショーケース、展示商品を照明する照明手段としての蛍光灯19、22、及び前記蛍光灯19、22の制御を行う照明制御手段としての制御装置24を有するショーケースにおいて、照度センサ20を設け、前記照度センサ20により得られる信号に基づき、前記制御装置24がショーケースの蛍光灯19、22を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品取出用の開口面を有する陳列室内に架設した棚上に商品を陳列するショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のオープンショーケースで多段式オープンショーケース1は、下記特許文献1や特許文献2にも示されるが、図3に示すように断面略コ字状の断熱壁2と、この断熱壁2の両側に取り付けられた側板3とからなり、断熱壁2の内側には間隔を存して仕切板4を取り付け、この仕切板4と断熱壁2間をダクト6としている。
【0003】
【特許文献1】実開昭59−105985号公報
【0004】
図3の例は前記ダクト6を更に仕切板10で仕切り、冷却装置の冷却器17を縦設した冷気ダクト6aと保護気流ダクト6bとに区画し、断熱壁2の前面開口9の上縁にはハニカム盤11a,11bを設けて吹出口12a,12bを形成しており、この吹出口12aは冷気ダクト6aに連通し、吹出口12bは保護気流ダクト6bに連通し、開口9の下縁には吸込口13を形成する。
【0005】
仕切板4の下端前方には底板7を断熱壁2の底壁との間にダクト用の間隔を存して取り付けており、これら仕切板4及び底板7の内側を貯蔵室8としている。
【0006】
一方、底板7下方には断熱壁2の底壁上にファンケース14が設置されており、このファンケース14には送風機16を取り付けた。
【0007】
更に、断熱壁2の底壁の下方は機械室23となり、ここに冷却装置を構成する凝縮器や圧縮機、凝縮器用送風機等を設置している。
【0008】
このようにして送風機16を運転して冷却器17と熱交換した冷気は冷気ダクト6a内を上昇し、吹出口12aより吸込口13に向かって吐出され,開口9を閉塞する冷気エアーカーテンを形成する。
【0009】
また、送風機16から保護気流ダクト6bに送り込まれた空気は、吹出口12bより吸込口13に向かって吐出され、冷気エアーカーテンの保護気流である保護気流エアーカーテンを形成する。
【0010】
そして、吸込口13から吸い込まれた冷気および保護気流は再び送風機16によって加速され、冷気エアーカーテンの一部が貯蔵室8内に循環されて、貯蔵室8は冷却される。
【0011】
貯蔵室8内には上下に商品陳列用の複数段の棚18・・を架設し、各棚18の下面前部には展示商品を照明する照明手段として蛍光灯19を取り付けている。蛍光灯19は棚18の下方に設けられる棚上や底板上照射光が向けられることになる。
【0012】
一方、断熱壁2の開口9の上方で、吹出口12bの前側にも蛍光灯22を設け、これにより、下方の各棚上の商品5をより明るく照明していた。
【0013】
前記蛍光灯22は断熱壁2に取り付けられる反射板21の内側に取り付けられる。詳細の図示は省略するが、この反射板21は例えば白色に塗装された鋼板製のもので、蛍光灯19の上方を略囲繞するようにも設けられ、複数箇所を屈曲されることにより、蛍光灯19から発せられた光のうち上方に向かう光を下方に向けて反射させる。これにより、下方の各棚上の商品をより明るく照明できるようにしていた。
【0014】
また、これ以外にも、照明装置としてLED素子を複数備えたLED照明装置を棚板の下面前部に取り付け、これにより、当該照明装置が設けられる下側の棚装置上を照明するショーケースが開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記棚に設けられる照明装置では、棚の下方に設けられる棚上や底板上照射光が向けられることになるが、商品5が多い場所と少ない場所で明るさは均一であった。
【0016】
このように当該棚上の商品5が多い場所と少ない場所でケースの明るさが均一であるのは無駄である。
【0017】
また、前記棚に設けられる照明装置では商品5が多い場所では棚奥まで照明が届かないためとくにLED照明装置では棚奥が暗くなり棚前面と棚奥との明るさか不均一であった。
【0018】
このように棚の照度が不均一であると照度の大きさにかかわらず暗いイメージをもたれてしまい、明るく見せるために高出力の照明装置が必要となり消費電力が嵩む。
【0019】
さらに、当該棚に設けられる反射板21を用いても、当該照明装置が設けられる棚の下方に設けられる棚上や底板上にしか照射光を向けることができないので、上前方から照射された光は、棚上の前部に陳列される商品によって遮られることとなり、棚の奥部に陳列される商品は、殆ど照明されないこともあるので、陳列室内全体を明るく照明することが要求され、前記商品5が少ない場所でも同じように照明するのではそのための消費電力も無駄が嵩む。
【0020】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、商品が多い場所と少ない場所で照明の明るさを棚前面と棚奥との照度を均一にすることにより、照明の商品アピールになるショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、商品を展示するショーケース、展示商品を照明する照明手段、及び前記照明手段の制御を行う照明制御手段を有するショーケースシステムにおいて、照度センサを設け、前記照度センサにより得られる信号に基づき、前記照明制御手段がショーケースの照明手段を制御することを要旨とするものである。
【0022】
請求項1記載の本発明によれば、照度センサを設け、これで各棚の照度を測定して、照度データを電気信号にし、その電気信号を照明制御手段に送り、照明手段を制御するので、商品の多い、少ない状態に応じた適切な照明が可能である。
【0023】
請求項2記載の本発明は、ショーケースは多段式オープンショーケースで、照度センサは、棚の前側または棚の奥側に設けることを要旨とするものである。
【0024】
請求項2記載の本発明によれば、照度センサは、棚の奥側に設けることで、棚上の商品の多い少ないということを商品が照明を遮る程度によって的確に把握できる。
【0025】
また、照度センサを、棚の前側にも設けることで棚前面と奥側の照度差をも的確に把握することができる。
【0026】
請求項3記載の本発明は、照度センサは、ショーケース本体の断熱壁の内側でダクトを形成する仕切板に設けることを要旨とするものである。
【0027】
請求項3記載の本発明によれば、照度センサは、棚の奥側に設ける場合にショーケース本体の断熱壁の内側でダクトを形成する仕切板に設けることで、棚の最深部を位置づけ、さらに適切な高さを設定することが容易となる。
【0028】
請求項4記載の本発明は、照度センサは、ショーケースの棚前面にあるプライスプレート付近に設けることを要旨とするものである。
【0029】
請求項4記載の本発明によれば、照度センサは、プライスプレート付近に設けることでショーケースの棚の最前面に位置づけられ、棚前面の照度を的確に把握することができる。
【0030】
請求項5記載の本発明は、照明制御手段は、照明手段を調光する制御を行うことを要旨とするものである。
【0031】
請求項5記載の本発明によれば、照明制御手段は、照明手段を調光する制御を行うことで、商品の多い、少ない状態に応じて照明手段の光量を任意の量に設定することが可能であり、より適切な制御ができる。
【発明の効果】
【0032】
以上述べたように、本発明のショーケースの照明制御システムは、商品が多い場所と少ない場所で照明の明るさを変えることで省エネを実現でき、さらに、棚前面と棚奥の明るさを合わせることによって、適切な照度で商品全体に明るいイメージを持たせ商品アピールになるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のショーケースの照明制御システムでの多段式オープンショーケースの縦断側面図、図2は本発明のショーケースの照明制御システムのブロック図で、多段式オープンショーケースの全体については前記従来例として図3について説明したものと同じである。
【0034】
多段式オープンショーケース1は、断面略コ字状の断熱壁2と、この断熱壁2の両側に取り付けられた側板3とからなり、断熱壁2の内側には間隔を存して仕切板4を取り付け、この仕切板4と断熱壁2間をダクト6とする。
【0035】
前記ダクト6を更に仕切板10で仕切り、冷却装置の冷却器17を縦設した冷気ダクト6aと保護気流ダクト6bとに区画し、断熱壁2の前面開口9の上縁にはハニカム盤11a,11bを設けて吹出口12a,12bを形成しており、この吹出口12aは冷気ダクト6aに連通し、吹出口12bは保護気流ダクト6bに連通し、開口9の下縁には吸込口13を形成する。
【0036】
仕切板4の下端前方には底板7を断熱壁2の底壁との間にダクト用の間隔を存して取り付けており、これら仕切板4及び底板7の内側を貯蔵室8としている。
【0037】
一方、底板7下方には断熱壁2の底壁上にファンケース14が設置されており、このファンケース14には送風機16を取り付けた。
【0038】
更に、断熱壁2の底壁の下方は機械室23となり、ここに冷却装置を構成する凝縮器や圧縮機、凝縮器用送風機等を設置している。
【0039】
貯蔵室8内には上下に商品陳列用の複数段の棚18・・を架設し、各棚18の下面前部には展示商品を照明する照明手段として蛍光灯19を取り付けている。また、断熱壁2の開口9の上方で、吹出口12bの前側にも蛍光灯22を設けた。
【0040】
前記蛍光灯22は断熱壁2に取り付けられる反射板21の内側に取り付けられる。この反射板21は蛍光灯19の上方を略囲繞するようにも設けられる。
【0041】
このようにして送風機16を運転して冷却器17と熱交換した冷気は冷気ダクト6a内を上昇し、吹出口12aより吸込口13に向かって吐出され、開口9を閉塞する冷気エアーカーテンを形成する。
【0042】
また、送風機16から保護気流ダクト6bに送り込まれた空気は、吹出口12bより吸込口13に向かって吐出され、冷気エアーカーテンの保護気流である保護気流エアーカーテンを形成する。
【0043】
そして、吸込口13から吸い込まれた冷気および保護気流は再び送風機16によって加速され、冷気エアーカーテンの一部が貯蔵室8内に循環されて、貯蔵室8は冷却される。
【0044】
本発明はこのような多段式オープンショーケース1の貯蔵室8内の商品陳列用の複数段の棚18の前面と奥側に照度センサ20を設けた。
【0045】
この照度センサ20は、ショーケース本体の断熱壁2の内側でダクト6を形成する仕切板4の貯蔵室8側面及び棚18前面のプライスプレートに取り付けるものとする。
【0046】
なお、照度センサ20としては、光に照らされた面の単位面積当りの光束を測定する計器として、光のエネルギーによって固体中の電子が励起される現象、すなわち光電効果、光起電力効果、光伝導などを利用し、光のエネルギーを電気信号に変換して測定するものである。
【0047】
図2に示すように、照度センサ20の計測出力を照明制御手段としての制御装置24に導入し、該制御装置24で照明手段である蛍光灯19もしくは蛍光灯22の制御を行う。この制御はオン・オフ制御でもよいが、照明手段である蛍光灯19もしくは蛍光灯22の調光する制御である。
【0048】
なお、照明手段として、蛍光灯19もしくは蛍光灯22に代えて、LED素子を複数備えたLED照明装置を使用することも可能である。
【0049】
このようにして、照度センサ20により各棚18の照度を測定して、照度データを電気信号にし、その電気信号を制御装置24に送り、蛍光灯19もしくは蛍光灯22の照度を制御する。
【0050】
例えば、棚18に多くの商品5があり、棚上18の前部に陳列される商品によって照明が遮られて棚前面と比べ棚奥の照度が低い場合には、当該棚上18の上に位置する蛍光灯19の照明能力を高いものとし、一方、棚18に商品5が少なく、棚前面と棚奥側の照度差が小さい場合には、蛍光灯19の照明能力を落とす。
【0051】
このように、商品在庫によって適切な照度制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のショーケースの照明制御システムでの1実施形態を示す多段式オープンショーケースの縦断側面図である。
【図2】発明のショーケースの照明制御システムでの1実施形態を示ブロック図である。
【図3】従来例を示す多段式オープンショーケースの縦断側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 オープンショーケース 2 断熱壁
3 側板 4 仕切板
5 商品 6、6a、6b ダクト
7 底板 8 貯蔵室
9 開口 10 仕切板
11a、11b ハニカム盤 12a、12b 吹出口
13 吸込口 14 ファンケース
15 整流板 16 送風機
17 冷却器 18 棚
19 蛍光灯 20 照度センサ
21 反射板 22 蛍光灯
23 機械室
24 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を展示するショーケース、展示商品を照明する照明手段、及び前記照明手段の制御を行う照明制御手段を有するショーケースにおいて、
照度センサを設け、前記照度センサにより得られる信号に基づき、前記照明制御手段がショーケースの照明手段を制御することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
ショーケースは多段式オープンショーケースで、照度センサは、棚の前側または奥側に設けることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
照度センサは、ショーケース本体の断熱壁の内側でダクトを形成する仕切板に設けることを特徴とする請求項2記載のショーケース。
【請求項4】
照度センサは、ショーケース棚前面に装着されるプライスプレート付近に設けることを特徴とする請求項2記載のショーケース。
【請求項5】
照明制御手段は、照明手段を調光する制御を行う請求項1ないし請求項4のいずれか記載のショーケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate