説明

シリアルロボットのための低ストローク作動

【課題】遠位関節をより小さいストロークで作動させ、より小さいアクチュエータおよび外装設計の使用を可能にするシリアルロボットを提供すること。
【解決手段】シリアルロボットが、基部と、第1および第2の体節と、基部を第1の体節に繋げる近位関節と、遠位関節とを含む。体節を繋げる遠位関節は、近位関節に対して直列に配列されて遠位にある。ロボットは、第1および第2のアクチュエータを含む。第1の腱が、第1のアクチュエータから近位関節まで延び、第1のアクチュエータによって選択的に可動である。第2の腱が、第2のアクチュエータから遠位関節まで延び、第2のアクチュエータによって選択的に可動である。ロボットは、入力された力が第1および/または第2のアクチュエータによって近位関節および/または遠位関節に加えられると、遠位関節の回転を支援する、少なくとも1つの歯車要素を有する伝達装置を含む。また、上記のロボットを有するロボット手が開示され、胴、腕、および上記の手を有するロボットシステムも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援の研究または開発に関する記載
[0001]本発明は、NASA宇宙活動協定番号SAA−AT−07−003に基づく連邦支援を受けてなされた。本明細書で説明される本発明は、特許料を支払うことなく、合衆国政府の(すなわち、非商業的)目的のために、合衆国政府によってまたは合衆国政府のために製造され、使用されてよい。
【0002】
[0002]本開示は、腱駆動の指または他のシリアルロボット(serial robot)の運動制御およびパッケージング(packaging)設計に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ロボットは、作業工具または他の対象物を操作するために使用されうる電子−機械装置である。ロボットは、一連のリンクまたは体節を含んでよい。その結果、そのようなロボットは、通常、シリアルロボットと呼ばれる。シリアルロボットの種々の体節は、1つまたは複数のアクチュエータ駆動の関節によって相互接続されてよい。各ロボット関節は、独立した制御変数、すなわち自由度を表す。手先効果器は、作業工具を把持し動かすなど、所与のワークタスク(work task)を実施するために使用される特定の体節である。
【0004】
[0004]シリアルロボットの遠位関節を作動させるためのシステムが、本明細書で提供される。特に、シリアルロボット、例えば多関節のロボット指において、典型的な腱駆動の関節構成を使用するときに、比較的大きなストロークおよび範囲外のエラーが生じる可能性がある。そのようなシリアルロボットは、少なくとも1つの近位関節、例えばロボット手の指の基関節、および遠位関節を含んでよい。シリアル関節は、剛性のリンクまたは体節によって互いに相互接続される。任意選択で、1つまたは複数の内側関節が、シリアルロボットの一部として使用されてよく、各内側関節は、近位関節と遠位関節との間に配置される。内側関節が使用されるときは、当技術分野で十分に理解されるように、近位関節に接続される内側関節が、近位関節に対して「遠位」となる。簡潔にするために、本明細書で提示される例は、近位関節および遠位関節、すなわち、1つの体節によって接続される2つの関節のみ、に対して描かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]あるロボットシステムにおけるロボット関節の作動は、モータ駆動の腱によって直接的かつ直線的に達成される。上記のように、特に、シリアルロボットにおける遠位関節を、近位関節付近に配置される関節アクチュエータを使用して作動させるときに、比較的大きなストロークが生じる可能性がある。このことが、同様に、利用可能な関節アクチュエータの範囲を制約する可能性がある。遠位関節を駆動するための本手法は、より小さなアクチュエータおよび/またはよりコンパクトな外装設計の使用を可能にすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]特に、基部、第1および第2の体節、ならびに近位関節および遠位関節を含むシリアルロボットが、本明細書で開示される。また、シリアルロボットは、遠位関節の所望の運動を支援するように構成された伝達装置を含む。近位関節は、基部を第1の体節に連結する。遠位関節は、第1の体節と第2の体節とを連結する。シリアルロボットが、任意選択で、ロボット手の人間型の指として具現されるとき、基部が、ロボット手の掌を形成し、第1の体節が近位指骨を、第2の体節が内側指骨をそれぞれ形成する。中間指骨を終端させる関節が、近位関節に対して「遠位」であるとみなされ、したがって本明細書で説明される特定の遠位関節を形成する。付加的な関節が、同様の方式で制御されてよいことが、当業者には理解されよう。
【0007】
[0007]遠位関節が、近位関節に対して直列に配列される。シリアルロボットは、第1および第2のアクチュエータ、例えば、ボール/ねじまたは他の関節モータを含む。第1の腱は、第1のアクチュエータから近位関節まで延び、第1のアクチュエータによって可動である。第2の腱は、第2のアクチュエータから遠位関節まで延び、第2のアクチュエータによって可動である。
【0008】
[0008]伝達装置は、1つまたは複数の歯車要素を含む。特定の実施形態では、伝達装置は、遊星歯車機構を含むが、伝達装置は、代替として、単一歯車要素を含んでよい。単一歯車要素が使用されるときは、歯車要素は、オフセットされた中心を有するプーリ歯車であってよい。歯車要素のうちの少なくとも1つは、基部/掌の上に設置されてよい。実施形態に関わらず、ここに開示される伝達装置は、第1および/または第2のアクチュエータによって入力された力が加えられるときは常に、遠位関節の回転を支援する。
【0009】
[0009]また、ロボット手が開示される。手は、掌と、掌に動作可能に接続される少なくとも1つのロボット指とを含む。各指は、第1および第2の指骨と、掌を第1の指骨に繋ぐ近位関節と、近位関節に対して直列に配列されて遠位にある遠位関節とを有するシリアルロボットを形成する。遠位関節は、第1の指骨を第2の指骨に繋げる。
【0010】
[0010]手は、第1および第2の関節モータを含む。第1の腱が、第1の関節モータから第1の関節まで延びる。第1の腱は、第1の関節モータによって選択的に可動である。第2の腱は、第2のアクチュエータから遠位関節まで延びる。同様に、第2の腱は、第2の関節モータによって選択的に可動である。伝達装置が、少なくとも部分的に掌の中に設置されてよい。伝達装置は、入力された力が、第1および第2の関節モータの個々の関節モータによって、近位関節および遠位関節のうちの少なくとも一方に加えられると、遠位関節の回転を支援するように構成された、少なくとも1つの歯車要素を有する。
【0011】
[0011]加えて、胴と、胴に接続され、胴に対して可動な腕と、腕に接続されたロボット手とを含む、ロボットシステムが開示される。手は、複数の、例えば例示的一実施形態において5本のロボット指を含み、それぞれが、手の掌に接続されてそこから延びる。各指は、少なくとも1つの歯車要素を有する伝達装置を有するシリアルロボットを形成する。上述のように、歯車要素は、入力された力が、第1および第2の関節モータの個々の関節モータによって近位関節および遠位関節のうちの少なくとも一方に加えられると、遠位関節の回転を支援するように構成される。
【0012】
[0012]本発明の上記の特徴および利点、ならびに他の特徴および利点は、本発明を遂行するための最良のモードである以下の詳細な説明を、添付の図面と関連づけて読めば、容易に理解されよう。
【0013】
また、本発明は、ロボット手において、掌と、前記掌に動作可能に接続された少なくとも1つのロボット指とを備え、前記少なくとも1つの指が、第1の指骨と、前記掌を前記第1の指骨に繋げる近位関節と、第2の指骨と、前記近位関節に対して直列に配列されて遠位にあり、前記第1の指骨を前記第2の指骨に繋げる、遠位関節と、第1および第2の関節モータと、前記第1の関節モータから前記第1の関節まで延び、前記第1の関節モータによって選択的に可動である、第1の腱と、第2のアクチュエータから前記遠位関節まで延び、前記第2の関節モータによって選択的に可動である、第2の腱と、前記掌の中に少なくとも部分的に設置され、前記第1および第2の関節モータの各々によって入力された力が前記近位関節および遠位関節のうちの少なくとも一方に加えられるときに、前記遠位関節の回転を支援するように構成された少なくとも1つの歯車要素を有する伝達装置とを有するシリアルロボットを形成することを特徴とする。
【0014】
この場合において、前記手は、複数の前記指を含んでもよい。前記複数の前記指は、対置可能なおや指を含んでもよい。前記伝達装置は、前記遠位関節と前記近位関節との間に接続された駆動ベルトを含んでもよい。前記少なくとも1つの歯車要素は、単一歯車要素であってもよい。前記単一歯車要素は、前記近位関節に対してオフセットされた中心を有するプーリ歯車であってもよい。前記プーリ歯車の前記オフセットされた中心は、前記第1の指骨と第2の指骨との間の角度における変化に応答して可変であってもよい。前記プーリ歯車が、剛性のリンクを介して前記第2の指骨に支持された移動可能なピンを含有する隙間を画定してもよい。前記伝達装置は、前記少なくとも1つの歯車要素として複数の歯車要素を有する遊星歯車機構を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】[0013]例示的な腱駆動の人間型の指の形をしたシリアルロボットを使用するシステムを示す斜視図である。
【図2】[0014]腱を使用するシリアルロボットの関節を回転させるのに適切な例示的アクチュエータを示す斜視図である。
【図3】[0015]種々の実施形態が本明細書で説明される伝達装置によって、選択的に可動な遠位関節を有するシリアルロボットを示す概略図である。
【図4】[0016]遠位関節の所望の回転運動を集合的にもたらす複数の歯車要素を有する例示的伝達装置を示す概略図である。
【図5】[0017]シリアルロボットにおける遠位関節を移動させるための単一歯車要素を有する、伝達装置の別の実施形態を示す概略図である。
【図6】[0018]オフセットされた中心を有するプーリ歯車を有する例示的伝達装置を示す概略図である。
【図7】[0019]第1の位置において示される、調節可能なオフセットされた中心を有するプーリ歯車を有する例示的伝達装置を示す概略図である。
【図8】[0020]第2の位置において示される、図7のプーリ歯車を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0021]いくつかの図面を通して、同じ符号が、同じまたは類似の構成要素に言及する図面を参照すると、図1は、多数の自由度(DOF)、例えば、示される特定の実施形態において42を超えるDOF、を有する1つまたは複数のワークタスクを実施するように構成される、概略的な例示的ロボットシステム10を示す。示される非限定的な例では、システム10は、胴14に対して動く、頭12、胴14、腰15、および腕16を有する精巧な人間型ロボットであってよい。腕16は、ロボット手18を有する前腕(lower arm)組立体24を含んでよく、手18のそれぞれは、手が接続される腕16に対して動く。
【0017】
[0022]ロボット手18は、1つまたは複数のロボット指19および対置可能なおや指21を含んでよい。特に指19は、本明細書で、直列に配列される関節と体節とを有するロボット機構であるシリアルロボットと呼ばれるものの一例である。したがって、おや指21のそれぞれが、付加的なシリアルロボットを形成する。簡潔にするために、おや指21は、以下の種々の例においては指であるものとみなされるべきである。他のシリアルロボットは、図1に示される人間型ロボットの構成要素であるかまたは単にそのようなロボットの一部分であるものとみなされてよく、シリアルロボットは、本明細書で説明されるように制御されるということは、当業者には容易に理解されよう。
【0018】
[0023]図1の例示的ロボットシステム10は、特定の用途に従って、脚、接地部、または別の可動もしくは固定の基部など、タスクに適切な固定具または基部(図示せず)を含んでよい。図示のように胴14に接続されるか、または胴14に対して離れて設置される、再充電可能なバッテリパックなどの電源13が、種々の関節の運動のために種々の関節に十分な電気エネルギーを供給するために使用されてよい。
【0019】
[0024]図2を参照すると、関節アクチュエータ組立体26が、指19の関節において終端する腱40に力を加えることによって、指19または他のシリアルロボットを動かすために使用されてよい。関節は、歯車、ヒンジ等として具現されてよい。人間型の指の実施形態では、そのような関節が、指19の種々の指関節のうちの1つの上に設置されてよい。
【0020】
[0025]特定の実施形態では、関節アクチュエータ組立体26は、アクチュエータ34、例えばボールねじモータなどの適切な関節モータと、アクチュエータ34から腱40まで力を伝達するための歯車駆動36と、アクチュエータ筐体38と、腱40と、腱終端器42とを含んでよい。腱40は、アクチュエータ筐体38から、制御されている指19の長さに沿って下方に延びてよい。アクチュエータ34、歯車駆動36、およびアクチュエータ筐体38は、すべて、図1に示される特定の人間型ロボットシステム10と共に使用されるときに前腕組立体24の中に、またはシステム10の別の適切な場所の中に外装されてよい。
【0021】
[0026]腱40は、管路ライナ44および管路46によって保護されてよく、例えば、高い引っ張り強度を有し、伸びおよびクリープに対して十分に抵抗力のある、編組材料であってよい。管路46は、アクチュエータ筐体38から張力センサ48まで延びてよい。アクチュエータ26が腱40を動かすのにつれて、腱40は、張力センサ48に対して滑動し、張力センサ48は、手支持部(図示せず)に強固に装着されてよい。腱40は、腱終端器42によって、指19内の所望の場所で終端する。したがって、腱40の運動が、腱終端器42の相対運動を引き起こし、そのことが、指19の特定の体節を指関節または関節に対して回転させることによって、指19を動かすことができる。以下の図面のすべてにおいて、各歯車または各関節におけるストロークは、式ωdtで表示され、ここでXは関連する歯車要素/関節の符号、例えば近位関節に対する51、を表す。
【0022】
[0027]図3を参照すると、例示的シリアルロボット119が示される。シリアルロボット119は、近位関節51、遠位関節52、基部118、第1の体節57、および第2の体節56を有する。シリアルロボット119が、図1に示されるようなロボット指19であるとき、基部118は、同じ図に示される手18の掌から形成されてよく、一方、第1の体節57および第2の体節56は、その指19の異なる指骨を形成する。任意選択で、シリアルロボット119は、例えば、人間型の指として構成されるときは、別の遠位関節53および第3の体節55を含んでよい。ロボット119が、図1に示される種類のおや指21であるときなど、第2の体節56が、最終の体節である一実施形態では、シリアルロボット119の先端の場所が、矢印54で表示される。第3の体節55が使用されるとき、例えば、ロボット119が、図1に示されるように指19として構成されるときは、先端の場所が、矢印154で表示される。
【0023】
[0028]近位関節51は、基部118を第1の体節57に接続する。遠位関節52は、第1の体節57を第2の体節56に接続する。付加的な遠位関節53が使用される場合は、以下に説明される方式と同様の方式で、遠位関節52に対して従属的に、または独立に作動されてよい。したがって、本明細書で使用されるように、用語「遠位の」は、基部の関節51に対する、所与の関節の相対的な場所に言及する。
【0024】
[0029]遠位関節52などの可動関節を特定の駆動トルク(矢印T52)で駆動するために、または任意選択の遠位関節53を駆動トルク(矢印T53)で駆動するために、従来の腱駆動手法は、腱40(図2参照)を、通常は、駆動トルク(矢印T51)が加えられる近位関節51である共通関節を超えて通過させ、したがって、最適な量のストロークより大きなストロークをもたらす可能性がある。このことは、一つには、基部の関節51と遠位関節52との間で変化する角度、すなわち、
【0025】
【数1】

【0026】
を補償するために、1つまたは複数の腱40の長さを変える必要性に起因して発生し、ここで、ωは特定の関節の周囲に対する角速度であり、rはその関節の半径であり、
【0027】
【数2】

【0028】
は、接続される2つの体節の間の関節の角度における変化速度である。好ましくない過剰ストロークは、図4乃至図8を参照して以下に説明される伝達装置の実施形態を使用する種々の可動関節から分離されうる。
【0029】
[0030]図4を参照すると、そのようなストロークを低減するために、伝達装置60が、近位関節51および遠位関節52に連動して使用されてよい。図4の例示的実施形態では、伝達装置60は、第1の歯車要素58、第2の歯車要素151、第3の歯車要素152および第4の歯車要素252を含んでよく、これらの歯車要素のうちのいくつかが、所望の出力回転をもたらすために、複数の係合する歯車を有するエピサイクリック(epicyclical)歯車機構すなわち遊星歯車機構を任意選択で形成する。歯車要素58、151、152および252のうちの少なくとも1つが、基部118上の、近位関節51の近くに設置されてよい。
【0030】
[0031]近位関節51の所望の回転が、アクチュエータ34によって腱40を介して、独立にもたらされる。第2の歯車要素151の所望の回転をもたらすために、伝達装置60の第1の歯車要素58が、近位関節51と第2の歯車要素151との間に配置されてよく、回転は、近位関節51の回転に比例しかつ近位関節51の回転と同一方向である。
【0031】
[0032]駆動ベルトなどの駆動要素70が、遠位関節52を第3の歯車要素152に接続するために使用されてよい。第3の歯車要素152は、線72で表示されるように近位関節51と同軸であってよく、線72は、第1の歯車要素152と近位関節51とが共通中心の駆動部材を共有することを何ら表示することなく、同軸配置を図式的に表す。同様に、第4の歯車要素252が、線74で表示されるように、第2の歯車要素151と同軸であってよい。近位関節51と第3の歯車要素152とが、互いに対して独立に回転する。
【0032】
[0033]第4の歯車要素252が、第3の歯車要素152に結合され、それにより、第4の歯車要素252の回転は、第3の歯車要素152の回転に比例するが、逆の回転方向である。可能な一実施形態では、第4の歯車要素252および第2の歯車要素151は、遊星歯車機構の太陽歯車と輪歯車/環とであってよく、1つまたは複数の周辺遊星歯車すなわちピニオンを保持する遊星キャリアが、遠位関節52の所望の回転をもたらすように作動される。あるいは、第2の歯車要素151および第4の歯車要素252は、それぞれ、当技術分野でよく理解されるように、互いに対向するかさ歯車として構成されてよい。
【0033】
[0034]このようにして、別のアクチュエータ134によってかつ別の腱140を通してもたらされる、遠位関節52の所望のストロークが、
【0034】
【数3】

【0035】
として表されてよく、ここで、vは遠位関節52における腱取り付け点の線速度であり、r51=r52=r151=r152=r252であるものと仮定する。したがって、入力された力がアクチュエータ134によって遠位関節52に加えられるときは常に、遠位関節52に回転をもたらすのを支援するために、伝達装置60は、近位関節51を遠位関節52に連結する。
【0036】
[0035]図5を参照すると、別の実施形態では、伝達装置160は、遊星歯車機構または複数の係合するかさ歯車ではなく、単一歯車要素352を使用することができる。ここでは、近位関節51は、アクチュエータおよび腱(図示せず)によって駆動される。遠位関節52を駆動するために、別のアクチュエータ234が、図示のように歯車要素352の中心に接続される。歯車要素352の中心は、例えば歯車要素352を軌道または滑動部(図示せず)内で移動させることによって、両矢印80で表示される方向に移動することを許容されうる。
【0037】
[0036]別の腱240、または代わりにベルトもしくは他の駆動機構が、遠位関節52によって支持され、また近位関節51によって支持される。腱240は、歯車要素352の周りに巻き付く。したがって、歯車要素352は、近位関節51と遠位関節52との間に配置される。
【0038】
[0037]したがって、例えば、近位関節51の中心が基部118に固定され、遠位関節52の中心が第1の体節57に固定される。別の腱340にアクチュエータ234によって加えられる、張力の増加または減少に応答して、歯車要素352は、基部118に対して、必要なだけ移動することを許容される。
【0039】
[0038]図6を参照すると、別の例示的実施形態では、伝達装置260が、プーリ歯車59を含んでよい。プーリ歯車59は、基部の関節51および遠位関節52の直径に対して縮小された直径を有してよく、かつ/または近位関節51の中心に対してオフセットされた中心を有してよい。プーリ歯車59は、図示のように、近位関節51の上に、または近位関節51の近くに設置されてよい。別の腱540が、遠位関節52に接続されてよく、別のアクチュエータ434によって駆動されてよい。近位関節51が、腱640およびアクチュエータ534によって駆動される。
【0040】
[0039]非常に小さい直径を有するプーリ歯車59は、潜在的に、腱540に増加された疲労をもたらす可能性があるので、図示のように、近位関節51に対してオフセットされたプーリ歯車59の中心は、依然として遠位関節52の所望の回転をもたらしながら、より大きなプーリ歯車59を使用することを可能にできる。
【0041】
[0040]図7および図8に示されるように、任意選択の伝達装置360によって、プーリ歯車59が、任意選択で、隙間端90および91を有する隙間84を画定することができる。移動可能なピン組立体86が、隙間84の中に配置されてよい。ピン組立体86は、剛性のリンク82を介して、第1の体節57の上の支持点92に支持される。プーリ歯車59のオフセットされた中心は、隙間84およびピン組立体86によって調節可能であってよい。
【0042】
[0041]すなわち、図3に示されるようなシリアルロボット119が、図7に示されるように広がるかまたは延びるとき、プーリ歯車59の中心が、隙間84の右の方に、隙間端91において示される位置に移動する。シリアルロボット119が再び閉まるとき、プーリ歯車59の中心は、隙間84の左の方に戻って、図8における隙間端90において示される位置に移動する。また、図7および図8に示される連結/隙間の設計は、ケーブル駆動システムまたは歯車機構など、他の機構によって達成されうる。また、図3乃至図5を参照して上で説明された、特定の設計の実施形態が、基部の要素に対してより遠位にある関節、例えば図3に示される関節53、まで拡大可能である。
【0043】
[0042]本発明を遂行するための最良のモードが、詳細に説明されたが、本発明が関連する技術分野に精通する当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲内で本発明を実施するための種々の代替の設計および実施形態を理解するであろう。
【符号の説明】
【0044】
10 ロボットシステム
12 頭
13 電源
14 胴
15 腰
16 腕
18 ロボット手
19 ロボット指
21 おや指
24 前腕組立体
26 関節アクチュエータ組立体
34 アクチュエータ
36 歯車駆動
38 アクチュエータ筐体
40 腱
42 腱終端器
44 管路ライナ
46 管路
48 張力センサ
51 近位関節
52 遠位関節
53 遠位関節
54 矢印
55 第3の体節
56 第2の体節
57 第1の体節
58 第1の歯車要素
59 プーリ歯車
60 伝達装置
70 駆動要素
72 線
74 線
80 二重矢印
82 リンク
84 隙間
86 ピン組立体
90 隙間端
91 隙間端
92 支持点
118 基部
119 シリアルロボット
134 アクチュエータ
140 腱
151 第2の歯車要素
152 第3の歯車要素
154 矢印
160 伝達装置
234 アクチュエータ
240 腱
252 第4の歯車要素
260 伝達装置
340 腱
352 歯車要素
360 伝達装置
434 アクチュエータ
534 アクチュエータ
540 腱
640 腱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
第1の体節と、
前記基部を前記第1の体節に繋げる近位関節と、
第2の体節と、
前記近位関節に対して直列に配列されて遠位にあり、前記第1の体節を前記第2の体節に繋げる遠位関節と、
第1および第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータから前記第1の関節まで延び、前記第1のアクチュエータによって選択的に可動な第1の腱と、
前記第2のアクチュエータから前記遠位関節まで延び、前記第2のアクチュエータによって選択的に可動な第2の腱と、
前記第1および第2のアクチュエータの各々によって、入力された力が前記近位関節および前記遠位関節のうちの少なくとも一方に加えられると、前記遠位関節の回転を支援するように構成された、少なくとも1つの歯車要素を有する伝達装置とを備えた、シリアルロボット。
【請求項2】
前記伝達装置は、前記少なくとも1つの歯車要素として複数の歯車要素を有する遊星歯車機構を含む、請求項1に記載のシリアルロボット。
【請求項3】
前記伝達装置は、前記遠位関節と前記近位関節との間に接続された駆動ベルトを含み、前記少なくとも1つの歯車要素が単一歯車要素である、請求項1に記載のシリアルロボット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの歯車要素は、前記基部の上に配置されかつ前記基部に対して可動な単一歯車要素である、請求項1に記載のシリアルロボット。
【請求項5】
前記単一歯車要素は、前記近位関節に対してオフセットされた中心を有するプーリ歯車である、請求項4に記載のシリアルロボット。
【請求項6】
前記プーリ歯車の前記オフセットされた中心は、前記第1の体節と前記第2の体節との間の角度における変化に応答して可変である、請求項5に記載のシリアルロボット。
【請求項7】
前記プーリ歯車は、剛性のリンクを介して前記第2の体節に支持される移動可能なピンを含有する隙間を画定する、請求項6に記載のシリアルロボット。
【請求項8】
胴と、
前記胴に接続され、前記胴に対して可動な腕と、
前記腕に接続され、前記腕に対して可動なロボット手とを備え、前記手は、前記手の掌にそれぞれ接続され、前記手の掌から延びる複数のロボット指を含み、前記指の各々は、
第1の指骨と、
前記掌を前記第1の指骨に繋げる近位関節と、
第2の指骨と、
前記近位関節に対して直列に配列されて遠位にあり、かつ前記第1の指骨を前記第2の指骨に繋げる遠位関節と、
第1および第2の関節モータと、
前記第1の関節モータから前記第1の関節まで延び、前記第1の関節モータによって選択的に可動な第1の腱と、
第2のアクチュエータから前記遠位関節まで延び、前記第2の関節モータによって選択的に可動な第2の腱と、
前記掌の中に少なくとも部分的に設置され、前記第1および第2の関節モータの各々によって入力された力が前記近位関節および遠位関節のうちの少なくとも一方に加えられると、前記遠位関節の回転を支援するように構成された少なくとも1つの歯車要素を有する、伝達装置と
を有するシリアルロボットを形成する、ロボットシステム。
【請求項9】
前記伝達装置は、前記少なくとも1つの歯車要素として複数の歯車要素を有する遊星歯車機構である、請求項8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの歯車要素は、オフセットされた中心を有する単一歯車要素である、請求項8に記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−43279(P2013−43279A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−169537(P2012−169537)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(511095986)ジーエム・グローバル・テクノロジー・オペレーションズ・エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】