説明

シリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルム

【課題】 低コストで、適度な表面粗度ならびに剥離性を与えることのできるシリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 一方の表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.3〜1.5μmであるポリエステルフィルムの当該表面上に、末端あるいは側鎖にフッ素含有基を有し、融点が30℃以上の化合物を主成分として含有する、厚み0.05〜0.5μmの塗布層を有することを特徴とするシリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が艶消し粗面状のシリコーンゴムシートを製造する際、好適に用いることのできるポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、コストパフォーマンス等に優れるため、各種用途において工程フィルム、表面保護フィルムとして使用されている。その用途の一例として、各種電子機器のメンブレン用スイッチシート、緩衝材シート等に用いられるシリコーンゴムシート製造時に使用される工程フィルムあるいは保護カバーフィルムがある。
【0003】
シリコーンゴムシートは通常柔らかく、そのため使用時に滑りが極めて悪く、また汚損もしやすい。そのため、用途に応じて表面を艶消し状に加工し、取扱性を良くしたり、保護フィルムをつけたりして販売し、顧客での使用時、機器組み込み時に保護フィルムを剥がして使用するという方法を取る場合が多い。
【0004】
艶消し状のシリコーンゴムシートを最も効率的に得る手段として、粗面化ポリエステルフィルムを工程フィルムとして使用し、その上に未架橋シリコーンゴムを押出しキャストあるいは塗布したり、未架橋シリコーンゴムシート表面に粗面化ポリエステルフィルムを積層ラミしたりして、そのまま、後工程で硬化・架橋させ、その粗面形状をシリコーンゴムシート表面に転写・形成する方法が挙げられる。ラミフィルムを後工程の硬化・架橋処理後も残せば、ポリエステルフィルムは、そのまま保護カバーフィルムとして使用できる。
【0005】
この工程フィルムとして、ポリエステルフィルム基材以外にも、ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂フィルム、アクリル系フィルム等の利用が提案されているが、強度、耐熱性、コストの点でポリエステルフィルムの利用が望ましい。
【0006】
粗面化ポリエステルフィルムを製造する手段としては、無機あるいは有機粒子を数%添加したポリエステル樹脂原料を使用してフィルムを製膜する方法(練り込みマット)、ポリエステルフィルム表面に粒子を添加した塗料を塗布・乾燥し、粗面化表面を形成する方法(コーティングマット)、微細無機砂を表面に吹き付け表面を荒らす方法(サンドマット)、あるいは、ポリエステルフィルム表面を薬液で浸食し、化学的に浸食する方法等がある。
【0007】
このような手段にて、粗面化ポリエステルフィルムを得ることができるが、この粗面化ポリエステルフィルムを工程フィルムとして利用した場合、硬化・架橋後のシリコーンゴムシート表面から、粗面化ポリエステルフィルムを剥がす時に、剥離性が十分でなく、特にシリコーンゴムシートが薄い場合には、種々の剥離作業トラブルが発生しやすい。そのため、シリコーンゴムシート用途に対して、適度な剥離性を有する粗面化ポリエステルフィルムが望まれている。
【0008】
【特許文献1】特開平10−53659号公報
【特許文献2】特開2001−71407号公報
【特許文献3】特開2004−122621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記実情に鑑み、なされたものであって、その解決課題は、低コストで、適度な表面粗度ならびに剥離性を与えることのできるシリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記実情に鑑み、検討を重ねた結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、一方の表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.3〜1.5μmであるポリエステルフィルムの当該表面上に、末端あるいは側鎖にフッ素含有基を有し、融点が30℃以上の化合物を主成分として含有する、厚み0.05〜0.5μmの塗布層を有することを特徴とするシリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルムに存する。
【0012】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
シリコーンゴムについては、各メーカーから、シリコーンゴムコンパウンド(加硫剤を添加し加熱することにより硬化・架橋)、二液型液状シリコーンゴム(硬化触媒成分と共に加熱することで付加重合し硬化・架橋)、二液型RTVゴム(硬化触媒成分により縮合あるいは付加重合し硬化・架橋)、一液型RTVゴム(水分あるいは加熱により脱酢酸、脱オキシム、脱アルコールあるいは脱アセトンし硬化・架橋)等の形態で販売されており、シリコーン成形の加工設備形態に応じて、押し出し加工、射出成型、あるいは塗布加工して成型品・シートに製品化される。シリコーンゴムは未架橋状態においては、成形・流動性を有するが、架橋後は形状保持性を有するゴム体となる。無機添加剤の添加、ブレンド等で、その性状・特性を用途に応じて変性することは可能であるが、いずれもシリコーンゴムとしての基本特性を有する。また近年は、短時間で効率的に未架橋状態のシリコーンゴムを架橋させる手段として、特にシート状のものにあっては、電子線照射・放射線照射による架橋も一般的である。
【0013】
本発明において用いるポリエステルとは、例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)が例示される。また、ポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、通常30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。
【0014】
本発明で用いるポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであっても、また溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合したものであってもよい。
【0015】
本発明においては、単層構造のフィルムであっても、異種のポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、各ポリエステル層の何れかに、本発明の要旨を損なわない範囲であれば、帯電防止剤等を配合してもよい。
【0016】
フィルム表面の粗度を調整するためには、ポリエステルに対し、不活性な無機または有機の微粒子などを添加するが、配合する粒子としては、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、硫酸バリウム、フッ化リチウム、タルク、架橋高分子微粉体等を挙げることができる。これらの粒子は、単独あるいは2成分以上を同時に使用してもよい。
【0017】
ここで添加される粒子については、粗面化を得る場合は、その平均粒子径(遠心沈降法により測定した値)は、通常0.5〜15μm、好ましくは1.0〜10μmの範囲の粒子が選ばれる。
【0018】
単層フィルムについては(多層フィルムについては、対象とする表面層において)、粗面化のために添加する粒子の含有量については、通常は0.3〜15重量%の範囲であるが、有効な表面粗度を得るには、1〜10重量%の範囲であることが好ましい。粒子の含有量が少ない場合には、十分な表面粗さが得られず、また、粒子の含有量が15重量%を超える場合には、粗面化ポリエステルフィルムの安定的な製造が困難となる。
【0019】
なお、粗面化ポリエステルフィルムに関しては、コスト的あるいは品質的に、上記のように、ポリエステルフィルム層に粒子を添加する練り込みマットフィルムが望ましいが、ポリエステルフィルムの表面をサンドブラスト加工して得られるサンドマットフィルム、あるいは、粒子を添加した樹脂塗料をポリエステルフィルムに塗布して得られるコーティングマットフィルムであってもよい。
【0020】
本発明のフィルム基材であるポリエステルフィルムの一方の表面の算術平均表面粗さ(Ra)は、0.3〜1.5μmの範囲であることが必要である。Raが0.3μm未満の場合は、目的とする粗面化転写効果が弱く、シリコーンゴムシートの滑り性、取扱性の改善が十分でない。一方、Ra値が1.5μmを超える場合は、粗面化ポリエステルフィルムを安定的に得るのが困難となる。
【0021】
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法の例として、練り込みマットフィルムおよびコーティングマットフィルムの例を示すが、使用するポリエステル、あるいは、添加粒子により製造条件は異なり、本発明は必ずしもこれに限定されない。また、粗面化のための平均粒径0.5μm以上の粒子の添加は、ポリエステル重合工程からポリエステルフィルム製造工程までの任意の段階で実施できる。
【0022】
常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールのエステル交換により、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行し、徐々に圧力を減じ、温度を上昇させながら反応を進め、最終的には真空下、280℃の温度で重合反応を進めポリエステル原料を得る。
【0023】
このポリエステル原料を、押出機を用いて口金から溶融シートとして押出し、冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この未延伸シートをロールまたはテンター方式の延伸機により一段目の延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜6倍、好ましくは3.5〜5倍である。引き続き、130℃〜250℃の範囲の温度で30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。
【0024】
本発明の基材としてのポリエステルフィルムの厚さは、その用途により、種々の厚みが選択しうるが、本発明においては、その厚みは25〜125μmの範囲が適当である。
【0025】
本発明において、基材のポリエステルフィルムにシリコーンゴムシートに対する適度な剥離性を付与するためには、末端あるいは側鎖にフッ素含有基を有し、融点が30℃以上の化合物を主成分として含有する層を0.05〜0.5μmの厚みの範囲で有する必要がある。塗布層は、インラインコート方式またはオフラインコート方式にて塗布形成することができる。
【0026】
インラインコートとは、フィルムの製膜工程内で塗料を塗布する方法であり、オフラインコートとは、製膜にて得られたポリエステルフィルムをコーターにかけ、塗料を塗布・乾燥する方法である。
【0027】
塗料の塗布方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法などの任意の塗布方法を適宜、単独または組み合わせて適用するとよい。
【0028】
末端あるいは側鎖にフッ素含有基を有し、乾燥後の融点が30℃以上となる化合物として、各種のワックス状あるいは固形状フッ素系化合物、あるいは、それを主成分として各種バインダーに含ませたもの、アクリル骨格を有するフッ素系グラフトマー等がある。
【0029】
塗布層の厚みが0.05μm未満では、粗面化ポリエステルフィルム上に塗布した場合に、剥離性の付与効果が弱く、他方、0.5μmを超える場合は、表面粗度転写にムラが発生したり、またフッ素系化合物は高価なため、コストの上昇を招いたりしてしまう。
【0030】
なお、ポリエステルフィルムのRa値と、塗布厚みとの関係において、塗布厚みがRa値(μm)より大きい場合は、表面粗度転写阻害が問題となることがある。
【0031】
本発明においては、特に有効に使用しうる、末端あるいは側鎖にフッ素含有基を有し、乾燥後の融点が30℃以上の組成物フッ素系化合物としては、α−ペルフルオロノネニルオキシ−ω−ペルフルオロノネリルポリエチレンオキシド:C17O(CHCHO)17(nは平均45)、α−ペルフルオロノネニルオキシ−ω−メチルポリエチレンオキシド:C17O(CHCHO)CH(nは2〜20)に代表される、両末端にC17O−基を有するもの、あるいは、C11O−基を有するもの、あるいはこれらを片末端に有するものなどがあり、例えば、(株)ネオスから販売されているフタージェントの各銘柄、FTX−233F,FTX245F,FTX−220S,FTX230S,FTX−245M,FTX−290Mなどを使用することができる。
【0032】
また、アクリル骨格を有するフッ素系グラフトマーとしては、例えば、東亞合成(株)製のアロンGF−300を使用することができる。
【0033】
通常、これらの塗布剤に関しては、トルエン、MEK、メタノール等の溶剤(水性タイプにおいては水)で適宜希釈して使用することができる。これらを他の樹脂バインダーに混ぜ、あるいは一体固化させてもその効果を得ることができる。
【0034】
ポリエステルフィルムの表面凹凸により、塗布成分の転移は、抑止されるが、乾燥後の融点が30℃未満の場合は、塗布成分の転移によるフィルムのベトツキ等が発生し、好ましくない。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、適度な表面粗度ならびに剥離性を与えることのできるシリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルムを提供するができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明における各種特性の評価方法は以下のとおりである。
【0037】
(1)算術平均粗さ(Ra)
フィルムの表面を、また、表面に塗布層を設けたものにおいては、塗膜を、溶剤(例えば、トルエン)を含ませたコットン(例えば、旭化成製)または脱脂綿等で剥がして露出した表面を、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE3500を使用して、JIS B0601に基づき以下の条件で測定し、算出する。
<測定条件>
測定長2.5mm、送り速度0.1mm/秒、カットオフ値0.08mm
【0038】
(2)シリコーンゴムシート剥離性
信越化学工業(株)製 2液型液状シリコーンゴム:KE1990のA液およびB液を1:1の重量比で混合し、試料フィルム上に塗布厚みを500μmとして塗布し、150℃で10分間の乾燥・硬化・架橋処理後、この積層体を、23℃の室内に1日放置し、50mm幅にカットして、シリコーンゴムシートからポリエステルフィルムを剥がす。下記の判断基準で剥離性を評価する。
〇:積層体は、容易に剥がすことができる(剥離速度300mm/分で測定した、180度剥離力が、300mN/cm未満であり、剥がしたシリコーンシート表面は、均一な艶消し面となっている)
×:積層体を剥がすのが重く、跡が残ったり、汚損したりする(剥離力は300mN/cmを超える)
【0039】
(3)シリコーンゴムシート取り扱い性
粗面化ポリエステルで粗面を形成したシリコーンゴムシートを5cm角に切り、平坦なガラス面に粗面化面が下面になるように置き、シリコーンシートを指で押さえて滑らせて、シートが容易にガラス面を滑るかどうか判定する。
〇:滑りが良く、容易に取り扱うことができ、実使用上問題がない
×:シートがガラス面に粘着し、滑りが悪いため取扱い性が悪く、実使用上問題となる
【0040】
実施例1:
ポリエチレンテレフタレート(平均粒径3μmのシリカ粒子を3重量%添加)のペレットを180℃で熱風乾燥結晶化後、押出機に供給し、280〜300℃の温度でTダイからシート状に溶融押出しし、静電密着法を併用し、鏡面冷却ドラム上にキャスト・急冷し、厚さ約613μmの未延伸フィルムとした。引き続いて、このフィルムを85℃で長手(縦)方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。引き続き横延伸ゾーンにて110〜150℃で横方向に3.5倍延伸し、230℃で熱処理・固定を行い、厚さ50μm、Raが0.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(1)を得た。このフィルムにコーターにて、下記の剥離性塗料を塗布し、130℃の乾燥炉内を通過時間20秒間で通し、乾燥後塗布量0.1g/mのポリエステルフィルム(1A)を得た。このポリエステルフィルム(1A)について、シリコーンゴムシートへの適用性を評価した結果を下記表1に示す。
[剥離性塗料]
17O(CHCHO)17(nは平均45)(融点約40℃):1重量部
MEK/トルエン=1/1希釈溶剤:50重量部
【0041】
実施例2:
実施例1において、シリカ粒子の添加量を減らし、Raを0.03μmとした、厚み50μmのポリエステルフィルム(2−1)に、下記の粗面化塗料を塗布し、160℃の乾燥炉内を通過時間30秒間で通し、乾燥後塗布量3g/mのポリエステルフィルム(2−2)を得た。このフィルムの粗面化面に実施例1で使用した剥離性塗料を、乾燥後塗布量が0.2g/mとなるように塗布し、Raが0.7μmのポリエステルフィルム(2A)を得た。このポリエステルフィルム(2A)について、シリコーンゴムシートへの適用性を評価した結果を表1に示す。
[粗面化塗料]
和信化学工業(株)製 プラスコート:SR−4000:100重量部
硬化剤 #30 ドライア:9重量部
平均粒径約3μmの無定形シリカ粒子:10重量部
トルエン/MEK/メタノール=3/3/1 希釈溶剤:100重量部
【0042】
比較例1:
実施例2で得られたポリエステルフィルム(2−2)に、実施例2の剥離性塗料を乾燥後塗布量0.03g/mとなるように塗布して、ポリエステルフィルム(2B)を得、シリコーンゴムシートへの適用性を評価した。
【0043】
比較例2:
実施例1で得られたポリエステルフィルム(1)について、シリコーンゴムシートへの適用性を評価した。
【0044】
比較例3:
実施例2における、粗面化塗料を塗布しないポリエステルフィルム(2−1)について、シリコーンゴムシートへの適用性を評価した。
【0045】
比較例4:
【0046】
実施例2で得られたポリエステルフィルム(2−2)について、シリコーンゴムシートへの適用性を評価した。
【0047】
【表1】

【0048】
得られたポリエステルフィルムの評価結果は、表1に示すとおりであり、実施例1〜2の粗面化ポリエステルフィルムについては、満足する結果を得られた。一方、比較例1〜4においては、満足し得る結果は得られなかった。本実施例においては、シリコーンゴムシートに対する効果確認は、液状シリコーンゴムより作成したシートを用いて行ったが、他の熱加硫型シリコーンゴムシート、あるいは電子線照射で架橋させたシリコーンゴムシートに対しても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のフィルムは、例えば、シリコーンゴムシート製造用として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の表面の算術平均表面粗さ(Ra)が0.3〜1.5μmであるポリエステルフィルムの当該表面上に、末端あるいは側鎖にフッ素含有基を有し、融点が30℃以上の化合物を主成分として含有する、厚み0.05〜0.5μmの塗布層を有することを特徴とするシリコーンゴムシート製造用ポリエステルフィルム。