シンチレータパネル及びその製造方法
【課題】防湿膜を蒸着した後に防湿膜が剥れにくいシンチレータパネルを提供する。
【解決手段】シンチレータパネル10cは、放射線を可視光に変換する蛍光体層4と、表面に有機材料からなる反射膜3を有すると共に蛍光体層4を支持し、かつ、反射膜3の有機材料から派生するオリゴマーを除去した基板1と、蛍光体層4及び蛍光体層4の周囲の基板1を被覆する有機防湿膜5と、を備える。
【解決手段】シンチレータパネル10cは、放射線を可視光に変換する蛍光体層4と、表面に有機材料からなる反射膜3を有すると共に蛍光体層4を支持し、かつ、反射膜3の有機材料から派生するオリゴマーを除去した基板1と、蛍光体層4及び蛍光体層4の周囲の基板1を被覆する有機防湿膜5と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線を可視光に変換するシンチレータパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療、工業用のX線撮影ではX線感光フィルムが用いられてきたが、昨今、利便性や撮影結果の保存性の面から、コンピューテッド・ラジオロジー装置(以下、「CR」と記す)や平面検出器(以下、「FPD」と記す)のような放射線画像検出器が普及してきている。
【0003】
このような放射線画像検出器では、一般に、表面に有機材料からなる反射膜を設けた基板上に蛍光体層を形成したシンチレータパネルを用い、上記蛍光体層によって入射X線を可視光に変換する方式が主流である。
【0004】
蛍光体層としていくつかの種類の材料が用いられているが、医療用のFPDや、歯科用のCMOSセンサーや、医療用・動物診断用であるCCD−DR装置には、タリウム賦活ヨウ化セシウム(以下、「CsI/Tl」と記す)が多く使用されている。CsI/Tl蛍光体層は、真空蒸着法を用いて、成膜に適した温度に加熱された基板上に容易に成膜される。
【0005】
このような蛍光体層の代表的な材料であるCsIは吸湿性材料であり、空気中の水蒸気(湿気)を吸収して潮解し、蛍光体層の特性、特に解像度が劣化しやすいことから、シンチレータパネルでは、蛍光体層の表面に水分不透過性の防湿膜を形成することにより、蛍光体層を湿気から保護している。
【0006】
蛍光体層を湿気から保護するための防湿膜としては、CVD法(気相成長法)により蒸着されるポリパラキシリレン膜等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−38870号公報(第7頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようなシンチレータパネルでは、蒸着した防湿膜が剥れ易いという課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、防湿膜を蒸着した後に防湿膜が剥れにくいシンチレータパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本シンチレータパネルは、放射線を可視光に変換する蛍光体層と、少なくとも表面に有機材料を有して前記蛍光体層を支持し、かつ、当該有機材料から派生するオリゴマーを除去した基板と、前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板を被覆する有機防湿膜と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上述の目的を達成するため、本シンチレータパネルの製造方法は、少なくとも表面に有機材料を有する基板上に蛍光体層を蒸着する工程と、前記基板表面において、前記蛍光体層が蒸着されていない部分に派生したオリゴマー層を選択的に除去する工程と、前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板表面に有機防湿膜を被覆する工程と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】基板加熱後のアルミ板表面のFT−IRスペクトル。
【図2】FT−IRスペクトルであり、上は、一般的に知られているポリエチレンテレフタレートのFT−IRスペクトル、下は、オリゴマー層が付着したアルミ板とオリゴマー層が付着していないアルミ板とのFT−IR差スペクトル。
【図3】オリゴマー層が形成されたアルミ板を不織布で拭いた後のアルミ板のFT−IRスペクトル。
【図4】有機防湿膜を蒸着する前のシンチレータパネルの断面図。
【図5】オリゴマー層を選択的に除去したシンチレータパネルの断面図。
【図6】有機防湿膜を形成したシンチレータパネルの断面図。
【図7】有機防湿膜を形成したシンチレータパネルの外観写真。
【図8】有機防湿膜を形成する際にシンチレータパネルを支持する支持台の斜視図。
【図9】第1の実施の形態において、オリゴマー層を除去したシンチレータパネルを支持台により支持した状態を示す概略図。
【図10】第1の実施の形態において、シンチレータパネルを支持台により支持した状態で有機防湿膜を形成した状態を示す概略図。
【図11】シンチレータパネルに有機防湿膜を蒸着する蒸着装置の構成図。
【図12】蒸着装置のチャンバーの断面の概略図。
【図13】第2の実施の形態において、オリゴマー層を除去したシンチレータパネルを支持台により支持した状態を示す概略図。
【図14】第2の実施の形態において、シンチレータパネルを支持台により支持した状態で有機防湿膜を形成した状態を示す概略図。
【図15】第2の実施の形態において、有機防湿膜を形成したシンチレータパネルの断面図。
【図16】他の実施の形態の支持台の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、防湿膜を蒸着した後に防湿膜が剥れ易くなる原因について鋭意検討を重ねた結果、蛍光体層を真空蒸着する際の基板加熱によって、基板表面における有機材料の低分子成分(以下、「オリゴマー」と称する)が表面に析出し、オリゴマー層を形成してしまうことにより、防湿膜蒸着時に基板と防湿膜が密着せず、防湿膜蒸着後に防湿膜が剥れてしまうことを突き止めた。
【0014】
具体的には、本発明者らは、二酸化チタンを分散させたポリエチレンテレフタレート製の反射膜を有するCFRP基板の蛍光体非形成面にアルミ板を接触させて加熱し、CFRP基板の上に蛍光体層を真空蒸着により蒸着した後、アルミ板のCFRP基板接触面表面を分析した。
【0015】
図1は、基板加熱後のアルミ板表面のFT−IRスペクトルである。
【0016】
図2は、FT−IRスペクトルであり、上は、一般的に知られているポリエチレンテレフタレートのFT−IRスペクトル、下は、オリゴマー層が付着したアルミ板とオリゴマー層が付着していないアルミ板とのFT−IR差スペクトルである。
【0017】
図1及び図2より、アルミ板表面に、ポリエチレンテレフタレートのオリゴマー層が形成されたことが分かる。
【0018】
なお、オリゴマー層は白いので、単純に基板を加熱しただけではオリゴマー層を観察することはできない。このため、便宜的にアルミ板を入れて目視でも観察できるようにしている。また、基板とアルミ板は接触しているので、基板表面にオリゴマー層が形成されていることは明白である。
【0019】
さらに、本発明者らは、オリゴマー層が付着したアルミ板の表面を、エタノールを浸透した不織布で拭くことでオリゴマー層を除去できることを見出した。
【0020】
図3は、オリゴマー層が形成されたアルミ板を、エタノールを浸透した不織布で拭いた後のアルミ板のFT−IRスペクトルである。
【0021】
これより、エタノールを浸透した不織布でアルミ板を拭く事で、オリゴマー層を除去できることが分かる。
【0022】
以下、上記の知見に基づいてなされた本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図4は、有機防湿膜5を蒸着する前のシンチレータパネル10aの断面図を示すものである。
【0024】
このシンチレータパネル10aは、円板状または矩形平板状の基板1を有し、この基板1の片側面に、蛍光体層4が形成されている。
【0025】
基板1においては、基材2における蛍光体層4が形成される面上、及びその面とは反対側の蛍光体層非形成面9上に、反射膜3が設けられている。
【0026】
蛍光体層4側に形成された反射膜3は、蛍光体層4にX線が入射して発光した可視光のうち、基板1側に進行した可視光を反射させる役割を果たし、蛍光体層非形成面9上に形成された反射膜3は、基板1の反りを防止する役割を果たす。また、両面の反射膜3は共に、防湿機能も果たしている。
【0027】
反射膜3は、例えば、二酸化チタンを分散したポリエチレンテレフタレートで形成される。
【0028】
また、蛍光体層4は、TlをドープしたCsIを真空蒸着して形成される。
【0029】
なお、基板1の蛍光体層4が形成された面の周辺部には、蛍光体層4が形成されていない余白スペース7が存在している。
【0030】
さらに、余白スペース7、基板側面8、及び蛍光体層非形成面9には、蛍光体層4を基板1に真空蒸着する際に、オリゴマー層6が付着している。
【0031】
オリゴマー層6が付着したシンチレータパネル10aに対して有機防湿膜5を蒸着する前に、オリゴマー層6を拭き取りにより選択的に除去する。この際、溶剤としてエタノールを浸透させた不織布を用いて拭き取ることが望ましい。また、不織布は、1箇所拭き取るごとに交換することが好ましい。
【0032】
オリゴマー層6の除去については、先ず、基板1の蛍光体層4が形成されていない余白スペース7のオリゴマー層6を拭き取る。この際、誤って蛍光体層4を拭いてしまうと蛍光体層4に欠点が生じるため、基板1の端部から蛍光体層4の被覆部までの半分程度を拭き取ることが望ましい。
【0033】
次に、基板側面8のオリゴマー層6を拭き取った後、基板1の蛍光体層非形成面9のオリゴマー層6を拭き取る。オリゴマー層6の拭き取りは、拭き残しを防ぐために1箇所に付き2回以上行うことが望ましい。
【0034】
このようにしてオリゴマー層6を選択的に除去したシンチレータパネル10bの断面図を図5に示す。
【0035】
さらに、オリゴマー層6を拭き取ったシンチレータパネル10bの表面全体に、有機防湿膜5を被覆する。
【0036】
図6は、有機防湿膜5を形成したシンチレータパネル10cの断面図を示すものである。
【0037】
有機防湿膜5には、ポリパラキシリレン膜等が用いられており、CVD法(気相成長法)により蒸着される。
【0038】
また、図7に、上記の方法で作製したシンチレータパネル10cの外観写真を示す。
【0039】
これより、オリゴマー層6を選択的に除去したことが外観からも確認できる。
【0040】
図6に示すシンチレータパネル10cでは、被写体を透過したX線を蛍光体層非形成面9側からシンチレータパネル10cに入射させ、蛍光体層4で可視光に変換し、シンチレータパネル10c外の図示しないCCDカメラ等で直接撮影して電気信号に変換する。
【0041】
以下、シンチレータパネル10bの表面全体に、有機防湿膜5を被覆する際に用いる装置について説明する。
【0042】
(支持台)
図8は、有機防湿膜5を形成する際にシンチレータパネル10bを支持する支持台21の斜視図を示すものである。
【0043】
支持台21は、有機防湿膜5を形成する際に蛍光体層4を下向きとしたシンチレータパネル10bを支持する。この支持台21は、枠状の台部22を備え、この台部22の上面の複数箇所、例えば3個所に柱部23が突設されているとともに、これら柱部23の上面から先端が鋭く尖った円錐形状の支持針24が突設されている。
【0044】
また、支持台21は、図9に示すように、蛍光体層4が下向きの基板1の周辺部の余白スペース7部分を複数の支持針24によって支持する。
【0045】
(蒸着装置)
図11は、シンチレータパネル10bに有機防湿膜5をCVD法により蒸着する蒸着装置31の構成図を示すものである。
【0046】
この蒸着装置31は、有機防湿膜5の原料であるジパラキシリレンを昇華させる昇華炉32、昇華したジパラキシリレンをラジカル化する分解炉33、ラジカル化された状態のジポリパラキシリレンをシンチレータパネル10bに蒸着させるチャンバー34、余分なラジカル化された状態のジパラキシリレンをトラップするチラー35、および真空ポンプを有する排気系36を備えて構成されている。
【0047】
また、図12に、蒸着装置31のチャンバー34の断面の概略図を示す。
【0048】
チャンバー34は、ラジカル化されたジパラキシリレンを導入する導入口37、および余分なポリパラキシリレンを排出する排出口38を有するとともに、蒸着処理を行うシンチレータパネル10bを支持した支持台21を配置するターンテーブル39を有する。
【0049】
(製造方法)
次に、上述した装置を用いて、オリゴマー層6を除去したシンチレータパネル10bに有機防湿膜5を形成する製造方法を説明する。
【0050】
先ず、図9に示すように、オリゴマー層6を拭き取りにより除去したシンチレータパネル10bを蛍光体層4を下向きとして、基板1の周辺部の余白スペース7を支持台21の複数の支持針24により支持させる。
【0051】
次に、シンチレータパネル10bを支持した支持台21を図12に示すチャンバー34内のターンテーブル39にセットし、チャンバー34内の圧力を0.5Pa以下になるように設定する。
【0052】
チャンバー34内の圧力が0.5Pa以下になったら、図11に示す分解炉33を650℃まで加熱する。分解炉33の温度が650℃に達したら、分解炉33の温度を650℃に保ったまま、昇華炉32を120℃から150℃まで段階的に加熱し、ジパラキシリレンを昇華させる。
【0053】
昇華したジパラキシリレンは分解炉33でラジカル化され、図12に示す導入口37から導入される。この際、ターンテーブル39は、シンチレータパネル10bに有機防湿膜5が均一に蒸着されるように、例えば4rpmの速度で回転させる。
【0054】
なお、ジパラキシリレンの昇華に伴いチャンバー34内の圧力が上昇し、ジパラキシリレンがすべて昇華し、蒸着が終了すると、再び圧力が下がる。
【0055】
この結果、図10に示すように、ポリパラキシリレン膜からなる有機防湿膜5がチャンバー34内の基板1および蛍光体層4の全面に例えば、15μmの厚さに形成される。
【0056】
また、図11、12に示すチャンバー34内の余分なジパラキシリレンは、排出口38から排出されチラー35にてトラップされる。
【0057】
有機防湿膜5の蒸着終了後、シンチレータパネル10cおよび支持台21をチャンバー34内から取り出し、さらにシンチレータパネル10cを支持台21から取り外す。
【0058】
このような方法によれば、オリゴマー層6を除去後にCVD法により有機防湿膜5を蒸着するため、オリゴマー層6を除去しない場合に比べて、基板1と有機防湿膜5が密着して有機防湿膜5の剥れ発生を低減でき、高品質のシンチレータパネル10cを提供できる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、図13乃至図15を用いて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0060】
先ず、基板1における蛍光体層4形成面と反対側の面に基板1と同一の外形寸法でSUS製のカバー41を配置した以外は、図5に示すシンチレータパネル10bと同様に形成したシンチレータパネル11aを用意し、図13に示すように、シンチレータパネル11aの蛍光体層4を下向きとして基板1の周辺部の余白スペース7を支持台21の複数の支持針24により支持する。
【0061】
この状態で、第1の実施の形態と同様に、CVD法により有機防湿膜5を蒸着する。
【0062】
これより、図14に示すように、基板1、蛍光体層4及びカバー41の表面に有機防湿膜5が蒸着されたシンチレータパネル11bが形成される。
【0063】
さらに有機防湿膜5の蒸着後に、シンチレータパネル11bからカバー41を外すことにより、図15に示すシンチレータパネル11cが得られる。
【0064】
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態においては、シンチレータパネル10c、11cの製造時に、基板1を図8に示す3本の支持針24を備える支持台21によって支持しているが、4本以上の支持針24を備える支持台により支持しても構わない。例えば、図16に示すように、8本の支持針24を備える試料支持台25により支持してもよい。
【0065】
このように支持針24の数が多くなれば、基板1の支持を安定させ、有機防湿膜5の蒸着を安定させることができる。
【0066】
また、上記の実施の形態においては、反射膜3を形成する有機材料としてポリエチレンテレフタレートを用いたが、他の有機材料、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂を用いることもできる。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、オリゴマー層6の拭き取り時の溶剤として、エタノールを用いたが、これに限定せず、アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール、中性洗剤、純水等を用いても良い。
【0068】
また、上記の実施の形態においては、オリゴマー層6の拭き取り時に不織布を用いたが、これに限定せず、布、スポンジ等を用いても構わない。
【0069】
また、上記の実施の形態においては、オリゴマー層6を拭取りによって選択的に除去しているが、これに限定せず、粘着テープに転写したり、研磨したりする等の方法で除去することもできる。
【0070】
また、上記の実施の形態における基材2は、CFRP製、アモルファスカーボン製、アルミ製、ガラス製、樹脂製、これらを組み合わせた基材等も含まれる。
【0071】
また、上記の実施の形態における基板1は、反射膜3を有する基板1を用いているが、反射膜3を持たない有機材料の基板を用いても良い。
【0072】
また、上記の実施の形態においては、蛍光体層4は、CsI(Tl)が用いられているが、これに限定せず、CsI(Na)、NaI(Tl)、KI(Tl)、LiI(Eu)等を用いても良い。
【0073】
また、上記の実施の形態における有機防湿膜5には、ポリパラキシリレンの他に、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等を用いることができる。
【0074】
また、上記実施の形態においては、CVD法により有機防湿膜5を蒸着する際、シンチレータパネルの蛍光体層4を下向きに支持したが、上向きおよび横向きに支持してもよい。
【0075】
さらに、上記実施の形態においては、1つの支持台21で1つの基板1を支持したが、複数に分割された支持台21で1つの基板1を支持しても、1つの支持台21で複数の基板1を支持してもよい。
【0076】
また、上記実施の形態においては、基板1の蛍光体層4側の面(余白スペース7)を支持針24によって支持したが、基板1の蛍光体層4側の面に隣り合う基板側面8を支持針24によって挟み込んで支持するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0077】
1:基板
2:基材
3:反射膜
4:蛍光体層
5:有機防湿膜
6:オリゴマー層
7:余白スペース
8:基板側面
9:蛍光体層非形成面
10a,10b,10c:シンチレータパネル
11a,11b,11c:シンチレータパネル
21:支持台
22:台部
23:柱部
24:支持針
25:試料支持台
31:蒸着装置
32:昇華炉
33:分解炉
34:チャンバー
35:チラー
36:排気系
37:導入口
38:排出口
39:ターンテーブル
41:カバー
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線を可視光に変換するシンチレータパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療、工業用のX線撮影ではX線感光フィルムが用いられてきたが、昨今、利便性や撮影結果の保存性の面から、コンピューテッド・ラジオロジー装置(以下、「CR」と記す)や平面検出器(以下、「FPD」と記す)のような放射線画像検出器が普及してきている。
【0003】
このような放射線画像検出器では、一般に、表面に有機材料からなる反射膜を設けた基板上に蛍光体層を形成したシンチレータパネルを用い、上記蛍光体層によって入射X線を可視光に変換する方式が主流である。
【0004】
蛍光体層としていくつかの種類の材料が用いられているが、医療用のFPDや、歯科用のCMOSセンサーや、医療用・動物診断用であるCCD−DR装置には、タリウム賦活ヨウ化セシウム(以下、「CsI/Tl」と記す)が多く使用されている。CsI/Tl蛍光体層は、真空蒸着法を用いて、成膜に適した温度に加熱された基板上に容易に成膜される。
【0005】
このような蛍光体層の代表的な材料であるCsIは吸湿性材料であり、空気中の水蒸気(湿気)を吸収して潮解し、蛍光体層の特性、特に解像度が劣化しやすいことから、シンチレータパネルでは、蛍光体層の表面に水分不透過性の防湿膜を形成することにより、蛍光体層を湿気から保護している。
【0006】
蛍光体層を湿気から保護するための防湿膜としては、CVD法(気相成長法)により蒸着されるポリパラキシリレン膜等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−38870号公報(第7頁、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようなシンチレータパネルでは、蒸着した防湿膜が剥れ易いという課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、防湿膜を蒸着した後に防湿膜が剥れにくいシンチレータパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本シンチレータパネルは、放射線を可視光に変換する蛍光体層と、少なくとも表面に有機材料を有して前記蛍光体層を支持し、かつ、当該有機材料から派生するオリゴマーを除去した基板と、前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板を被覆する有機防湿膜と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上述の目的を達成するため、本シンチレータパネルの製造方法は、少なくとも表面に有機材料を有する基板上に蛍光体層を蒸着する工程と、前記基板表面において、前記蛍光体層が蒸着されていない部分に派生したオリゴマー層を選択的に除去する工程と、前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板表面に有機防湿膜を被覆する工程と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】基板加熱後のアルミ板表面のFT−IRスペクトル。
【図2】FT−IRスペクトルであり、上は、一般的に知られているポリエチレンテレフタレートのFT−IRスペクトル、下は、オリゴマー層が付着したアルミ板とオリゴマー層が付着していないアルミ板とのFT−IR差スペクトル。
【図3】オリゴマー層が形成されたアルミ板を不織布で拭いた後のアルミ板のFT−IRスペクトル。
【図4】有機防湿膜を蒸着する前のシンチレータパネルの断面図。
【図5】オリゴマー層を選択的に除去したシンチレータパネルの断面図。
【図6】有機防湿膜を形成したシンチレータパネルの断面図。
【図7】有機防湿膜を形成したシンチレータパネルの外観写真。
【図8】有機防湿膜を形成する際にシンチレータパネルを支持する支持台の斜視図。
【図9】第1の実施の形態において、オリゴマー層を除去したシンチレータパネルを支持台により支持した状態を示す概略図。
【図10】第1の実施の形態において、シンチレータパネルを支持台により支持した状態で有機防湿膜を形成した状態を示す概略図。
【図11】シンチレータパネルに有機防湿膜を蒸着する蒸着装置の構成図。
【図12】蒸着装置のチャンバーの断面の概略図。
【図13】第2の実施の形態において、オリゴマー層を除去したシンチレータパネルを支持台により支持した状態を示す概略図。
【図14】第2の実施の形態において、シンチレータパネルを支持台により支持した状態で有機防湿膜を形成した状態を示す概略図。
【図15】第2の実施の形態において、有機防湿膜を形成したシンチレータパネルの断面図。
【図16】他の実施の形態の支持台の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、防湿膜を蒸着した後に防湿膜が剥れ易くなる原因について鋭意検討を重ねた結果、蛍光体層を真空蒸着する際の基板加熱によって、基板表面における有機材料の低分子成分(以下、「オリゴマー」と称する)が表面に析出し、オリゴマー層を形成してしまうことにより、防湿膜蒸着時に基板と防湿膜が密着せず、防湿膜蒸着後に防湿膜が剥れてしまうことを突き止めた。
【0014】
具体的には、本発明者らは、二酸化チタンを分散させたポリエチレンテレフタレート製の反射膜を有するCFRP基板の蛍光体非形成面にアルミ板を接触させて加熱し、CFRP基板の上に蛍光体層を真空蒸着により蒸着した後、アルミ板のCFRP基板接触面表面を分析した。
【0015】
図1は、基板加熱後のアルミ板表面のFT−IRスペクトルである。
【0016】
図2は、FT−IRスペクトルであり、上は、一般的に知られているポリエチレンテレフタレートのFT−IRスペクトル、下は、オリゴマー層が付着したアルミ板とオリゴマー層が付着していないアルミ板とのFT−IR差スペクトルである。
【0017】
図1及び図2より、アルミ板表面に、ポリエチレンテレフタレートのオリゴマー層が形成されたことが分かる。
【0018】
なお、オリゴマー層は白いので、単純に基板を加熱しただけではオリゴマー層を観察することはできない。このため、便宜的にアルミ板を入れて目視でも観察できるようにしている。また、基板とアルミ板は接触しているので、基板表面にオリゴマー層が形成されていることは明白である。
【0019】
さらに、本発明者らは、オリゴマー層が付着したアルミ板の表面を、エタノールを浸透した不織布で拭くことでオリゴマー層を除去できることを見出した。
【0020】
図3は、オリゴマー層が形成されたアルミ板を、エタノールを浸透した不織布で拭いた後のアルミ板のFT−IRスペクトルである。
【0021】
これより、エタノールを浸透した不織布でアルミ板を拭く事で、オリゴマー層を除去できることが分かる。
【0022】
以下、上記の知見に基づいてなされた本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図4は、有機防湿膜5を蒸着する前のシンチレータパネル10aの断面図を示すものである。
【0024】
このシンチレータパネル10aは、円板状または矩形平板状の基板1を有し、この基板1の片側面に、蛍光体層4が形成されている。
【0025】
基板1においては、基材2における蛍光体層4が形成される面上、及びその面とは反対側の蛍光体層非形成面9上に、反射膜3が設けられている。
【0026】
蛍光体層4側に形成された反射膜3は、蛍光体層4にX線が入射して発光した可視光のうち、基板1側に進行した可視光を反射させる役割を果たし、蛍光体層非形成面9上に形成された反射膜3は、基板1の反りを防止する役割を果たす。また、両面の反射膜3は共に、防湿機能も果たしている。
【0027】
反射膜3は、例えば、二酸化チタンを分散したポリエチレンテレフタレートで形成される。
【0028】
また、蛍光体層4は、TlをドープしたCsIを真空蒸着して形成される。
【0029】
なお、基板1の蛍光体層4が形成された面の周辺部には、蛍光体層4が形成されていない余白スペース7が存在している。
【0030】
さらに、余白スペース7、基板側面8、及び蛍光体層非形成面9には、蛍光体層4を基板1に真空蒸着する際に、オリゴマー層6が付着している。
【0031】
オリゴマー層6が付着したシンチレータパネル10aに対して有機防湿膜5を蒸着する前に、オリゴマー層6を拭き取りにより選択的に除去する。この際、溶剤としてエタノールを浸透させた不織布を用いて拭き取ることが望ましい。また、不織布は、1箇所拭き取るごとに交換することが好ましい。
【0032】
オリゴマー層6の除去については、先ず、基板1の蛍光体層4が形成されていない余白スペース7のオリゴマー層6を拭き取る。この際、誤って蛍光体層4を拭いてしまうと蛍光体層4に欠点が生じるため、基板1の端部から蛍光体層4の被覆部までの半分程度を拭き取ることが望ましい。
【0033】
次に、基板側面8のオリゴマー層6を拭き取った後、基板1の蛍光体層非形成面9のオリゴマー層6を拭き取る。オリゴマー層6の拭き取りは、拭き残しを防ぐために1箇所に付き2回以上行うことが望ましい。
【0034】
このようにしてオリゴマー層6を選択的に除去したシンチレータパネル10bの断面図を図5に示す。
【0035】
さらに、オリゴマー層6を拭き取ったシンチレータパネル10bの表面全体に、有機防湿膜5を被覆する。
【0036】
図6は、有機防湿膜5を形成したシンチレータパネル10cの断面図を示すものである。
【0037】
有機防湿膜5には、ポリパラキシリレン膜等が用いられており、CVD法(気相成長法)により蒸着される。
【0038】
また、図7に、上記の方法で作製したシンチレータパネル10cの外観写真を示す。
【0039】
これより、オリゴマー層6を選択的に除去したことが外観からも確認できる。
【0040】
図6に示すシンチレータパネル10cでは、被写体を透過したX線を蛍光体層非形成面9側からシンチレータパネル10cに入射させ、蛍光体層4で可視光に変換し、シンチレータパネル10c外の図示しないCCDカメラ等で直接撮影して電気信号に変換する。
【0041】
以下、シンチレータパネル10bの表面全体に、有機防湿膜5を被覆する際に用いる装置について説明する。
【0042】
(支持台)
図8は、有機防湿膜5を形成する際にシンチレータパネル10bを支持する支持台21の斜視図を示すものである。
【0043】
支持台21は、有機防湿膜5を形成する際に蛍光体層4を下向きとしたシンチレータパネル10bを支持する。この支持台21は、枠状の台部22を備え、この台部22の上面の複数箇所、例えば3個所に柱部23が突設されているとともに、これら柱部23の上面から先端が鋭く尖った円錐形状の支持針24が突設されている。
【0044】
また、支持台21は、図9に示すように、蛍光体層4が下向きの基板1の周辺部の余白スペース7部分を複数の支持針24によって支持する。
【0045】
(蒸着装置)
図11は、シンチレータパネル10bに有機防湿膜5をCVD法により蒸着する蒸着装置31の構成図を示すものである。
【0046】
この蒸着装置31は、有機防湿膜5の原料であるジパラキシリレンを昇華させる昇華炉32、昇華したジパラキシリレンをラジカル化する分解炉33、ラジカル化された状態のジポリパラキシリレンをシンチレータパネル10bに蒸着させるチャンバー34、余分なラジカル化された状態のジパラキシリレンをトラップするチラー35、および真空ポンプを有する排気系36を備えて構成されている。
【0047】
また、図12に、蒸着装置31のチャンバー34の断面の概略図を示す。
【0048】
チャンバー34は、ラジカル化されたジパラキシリレンを導入する導入口37、および余分なポリパラキシリレンを排出する排出口38を有するとともに、蒸着処理を行うシンチレータパネル10bを支持した支持台21を配置するターンテーブル39を有する。
【0049】
(製造方法)
次に、上述した装置を用いて、オリゴマー層6を除去したシンチレータパネル10bに有機防湿膜5を形成する製造方法を説明する。
【0050】
先ず、図9に示すように、オリゴマー層6を拭き取りにより除去したシンチレータパネル10bを蛍光体層4を下向きとして、基板1の周辺部の余白スペース7を支持台21の複数の支持針24により支持させる。
【0051】
次に、シンチレータパネル10bを支持した支持台21を図12に示すチャンバー34内のターンテーブル39にセットし、チャンバー34内の圧力を0.5Pa以下になるように設定する。
【0052】
チャンバー34内の圧力が0.5Pa以下になったら、図11に示す分解炉33を650℃まで加熱する。分解炉33の温度が650℃に達したら、分解炉33の温度を650℃に保ったまま、昇華炉32を120℃から150℃まで段階的に加熱し、ジパラキシリレンを昇華させる。
【0053】
昇華したジパラキシリレンは分解炉33でラジカル化され、図12に示す導入口37から導入される。この際、ターンテーブル39は、シンチレータパネル10bに有機防湿膜5が均一に蒸着されるように、例えば4rpmの速度で回転させる。
【0054】
なお、ジパラキシリレンの昇華に伴いチャンバー34内の圧力が上昇し、ジパラキシリレンがすべて昇華し、蒸着が終了すると、再び圧力が下がる。
【0055】
この結果、図10に示すように、ポリパラキシリレン膜からなる有機防湿膜5がチャンバー34内の基板1および蛍光体層4の全面に例えば、15μmの厚さに形成される。
【0056】
また、図11、12に示すチャンバー34内の余分なジパラキシリレンは、排出口38から排出されチラー35にてトラップされる。
【0057】
有機防湿膜5の蒸着終了後、シンチレータパネル10cおよび支持台21をチャンバー34内から取り出し、さらにシンチレータパネル10cを支持台21から取り外す。
【0058】
このような方法によれば、オリゴマー層6を除去後にCVD法により有機防湿膜5を蒸着するため、オリゴマー層6を除去しない場合に比べて、基板1と有機防湿膜5が密着して有機防湿膜5の剥れ発生を低減でき、高品質のシンチレータパネル10cを提供できる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、図13乃至図15を用いて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0060】
先ず、基板1における蛍光体層4形成面と反対側の面に基板1と同一の外形寸法でSUS製のカバー41を配置した以外は、図5に示すシンチレータパネル10bと同様に形成したシンチレータパネル11aを用意し、図13に示すように、シンチレータパネル11aの蛍光体層4を下向きとして基板1の周辺部の余白スペース7を支持台21の複数の支持針24により支持する。
【0061】
この状態で、第1の実施の形態と同様に、CVD法により有機防湿膜5を蒸着する。
【0062】
これより、図14に示すように、基板1、蛍光体層4及びカバー41の表面に有機防湿膜5が蒸着されたシンチレータパネル11bが形成される。
【0063】
さらに有機防湿膜5の蒸着後に、シンチレータパネル11bからカバー41を外すことにより、図15に示すシンチレータパネル11cが得られる。
【0064】
[その他の実施の形態]
上記の実施の形態においては、シンチレータパネル10c、11cの製造時に、基板1を図8に示す3本の支持針24を備える支持台21によって支持しているが、4本以上の支持針24を備える支持台により支持しても構わない。例えば、図16に示すように、8本の支持針24を備える試料支持台25により支持してもよい。
【0065】
このように支持針24の数が多くなれば、基板1の支持を安定させ、有機防湿膜5の蒸着を安定させることができる。
【0066】
また、上記の実施の形態においては、反射膜3を形成する有機材料としてポリエチレンテレフタレートを用いたが、他の有機材料、例えば、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂を用いることもできる。
【0067】
また、上記の実施の形態においては、オリゴマー層6の拭き取り時の溶剤として、エタノールを用いたが、これに限定せず、アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール、中性洗剤、純水等を用いても良い。
【0068】
また、上記の実施の形態においては、オリゴマー層6の拭き取り時に不織布を用いたが、これに限定せず、布、スポンジ等を用いても構わない。
【0069】
また、上記の実施の形態においては、オリゴマー層6を拭取りによって選択的に除去しているが、これに限定せず、粘着テープに転写したり、研磨したりする等の方法で除去することもできる。
【0070】
また、上記の実施の形態における基材2は、CFRP製、アモルファスカーボン製、アルミ製、ガラス製、樹脂製、これらを組み合わせた基材等も含まれる。
【0071】
また、上記の実施の形態における基板1は、反射膜3を有する基板1を用いているが、反射膜3を持たない有機材料の基板を用いても良い。
【0072】
また、上記の実施の形態においては、蛍光体層4は、CsI(Tl)が用いられているが、これに限定せず、CsI(Na)、NaI(Tl)、KI(Tl)、LiI(Eu)等を用いても良い。
【0073】
また、上記の実施の形態における有機防湿膜5には、ポリパラキシリレンの他に、ポリモノクロロパラキシリレン、ポリフルオロパラキシリレン、ポリジメチルパラキシリレン、ポリジエチルパラキシリレン等を用いることができる。
【0074】
また、上記実施の形態においては、CVD法により有機防湿膜5を蒸着する際、シンチレータパネルの蛍光体層4を下向きに支持したが、上向きおよび横向きに支持してもよい。
【0075】
さらに、上記実施の形態においては、1つの支持台21で1つの基板1を支持したが、複数に分割された支持台21で1つの基板1を支持しても、1つの支持台21で複数の基板1を支持してもよい。
【0076】
また、上記実施の形態においては、基板1の蛍光体層4側の面(余白スペース7)を支持針24によって支持したが、基板1の蛍光体層4側の面に隣り合う基板側面8を支持針24によって挟み込んで支持するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0077】
1:基板
2:基材
3:反射膜
4:蛍光体層
5:有機防湿膜
6:オリゴマー層
7:余白スペース
8:基板側面
9:蛍光体層非形成面
10a,10b,10c:シンチレータパネル
11a,11b,11c:シンチレータパネル
21:支持台
22:台部
23:柱部
24:支持針
25:試料支持台
31:蒸着装置
32:昇華炉
33:分解炉
34:チャンバー
35:チラー
36:排気系
37:導入口
38:排出口
39:ターンテーブル
41:カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を可視光に変換する蛍光体層と、
少なくとも表面に有機材料を有して前記蛍光体層を支持し、かつ、当該有機材料から派生するオリゴマーを除去した基板と、
前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板を被覆する有機防湿膜と、
を備えることを特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記基板表面において、前記オリゴマーを除去した部分が前記蛍光体層を形成した領域以外の表面部分で連続的につながっていることを特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記基板表面の有機材料が可視光領域の光学的反射膜であることを特徴とする請求項1又は2記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記有機材料は、金属酸化物を分散させたポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
少なくとも表面に有機材料を有する基板上に蛍光体層を蒸着する工程と、
前記基板表面において、前記蛍光体層が蒸着されていない部分に派生したオリゴマー層を選択的に除去する工程と、
前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板表面に有機防湿膜を被覆する工程と、
を備えることを特徴とするシンチレータパネルの製造方法。
【請求項1】
放射線を可視光に変換する蛍光体層と、
少なくとも表面に有機材料を有して前記蛍光体層を支持し、かつ、当該有機材料から派生するオリゴマーを除去した基板と、
前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板を被覆する有機防湿膜と、
を備えることを特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記基板表面において、前記オリゴマーを除去した部分が前記蛍光体層を形成した領域以外の表面部分で連続的につながっていることを特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記基板表面の有機材料が可視光領域の光学的反射膜であることを特徴とする請求項1又は2記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記有機材料は、金属酸化物を分散させたポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
少なくとも表面に有機材料を有する基板上に蛍光体層を蒸着する工程と、
前記基板表面において、前記蛍光体層が蒸着されていない部分に派生したオリゴマー層を選択的に除去する工程と、
前記蛍光体層及び前記蛍光体層の周囲の前記基板表面に有機防湿膜を被覆する工程と、
を備えることを特徴とするシンチレータパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【公開番号】特開2012−141188(P2012−141188A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293004(P2010−293004)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(503382542)東芝電子管デバイス株式会社 (369)
【Fターム(参考)】
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