説明

シーツロール機に用いるスプリングパッド

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシーツロール機に用いるスプリングパッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図6及び図7に示す従来のスプリングパッド1aは、帯板2aと、コイルスプリング3aとからなる。帯板2aには、コイルスプリング3aが巻回した状態で一連に取付けられており、帯板上に立ち上がっているスプリング部31aが等間隔を置いて連結部32aで連続されている。そしてスプリングパッド1aは、シーツ、テーブルクロスなど幅の広い平物状の洗濯物をプレスして仕上げるために使用するシーツロール機のロールの外周面に巻かれ、ロール外周面全面を覆っている。ロールに対するスプリングパッド1aの巻き付け方は、スプリングパッドの巻き初めの一端部をロールの片側に固定してから、人手により又は機械的にスプリングパッドにテンションを与えながら螺旋状に巻き締めて行き、スプリングパッドの巻き終りの他端部を両端にフックの付いたテンションスプリングの一方に引掛けて、もう一方はロールのもう一方の片側に止めるものである。なお、巻き終えたスプリングパッド1aの表面はフェルトカバー(ロールカバー)で被覆される。また、洗濯物の仕上げ作業は、蒸気又は熱媒体オイル(以下「熱源」という。)を供給して加熱したベッド(チェストともいう。)とロールとの間で洗濯物をロールまたはベッドの押圧によりプレスしながら乾燥、仕上げ(しわのばし)を行い、洗濯物に含まれている残留水分が加熱されたベッドに押圧されて水蒸気となって排出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スプリングパッド1a上に位置しているフェルトカバーは、ロールの円周に接する加熱ベッドに加圧接触して回転する摩擦により、ロールの両側から内方(フェルトカバーの幅方向)に向かって引き寄せられ、このためにフェルトカバーの下方のスプリングパッドの巻き終り端部側も同じ方向に引寄せられ、このためにロールの表面に位置しているスプリングパッドにおいては、その長さ方向に移動することになり、特にテンションスプリングに止められているスプリングパッドの巻き終り端部が中心方向に移動し、この結果この巻き終り端部側のロールの片側がスプリングパッドがない状態となり、この片側に対応する洗濯物の一部が十分仕上げされない問題があった。また図7に示すようにコイルスプリング3aの外周部は帯板の側辺より突出しているが、経時的にスプリングパッドが巻き締まりして長手方向に移動しコイルスプリング3a同士が図8のようにより多く中心方向に移動し、そのため巻き終り端部にスプリングがない状態になるという問題があった。
【0004】この発明の目的は、フェルトカバーにテンションがかかつても、長さ方向や幅方向に位置ずれしないスプリングパッドを提供することにある。この発明の他の目的は、ロールに対してきつく巻き付けることができて、位置ずれしないスプリングパッドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明に係るスプリングパッドの特徴は、ロールに巻回する帯板と、この帯板に取付けられているコイルスプリングとからなり、上記帯板側辺部には突部と切欠きとがそれぞれ形成されているところにある。切欠きは、帯板上にスプリング部が間隔を置いて連続して配設されているコイルスプリングを帯板に位置保持している。スプリングパッドの幅方向のずれの防止をより一層確実なものにするために、突部を上記切欠きに位置しているコイルスプリングの外周部まで突出しているかそれよりさらに外方に突出する構成とすることが望ましい。コイルスプリングが帯板に一体的に取付けられるようにるために、切欠きの内底部をコイルスプリングに沿う円弧状に形成することがよい。
【0006】この発明に係るスプリングパッドの他の特徴は、上記突部に巻付け機用の掛止め凹部を形成してあることにある。
【0007】
【作用】コイルスプリングに対して帯板の長手方向の押圧力が加わっても、コイルスプリングは切欠きによってその位置が保持されているので、スプリングパッドの長さ方向の移動が阻止され、また隣接するスプリングパッドの突部が当接することにより、スプリングパッドは、その幅方向の移動が阻止される。突部に形成されている巻付け機用の掛止め凹部は、スプリングパッドにテンションを与える巻付け機の例えばギアに掛け止められ、巻付け機にブレーキ機構を付けることによりスプリングパッドに確実にテンションが及ぶ。
【0008】
【実施例】図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1及び図2において、スプリングパッド1は、帯板2と、この帯板に巻いてあるコイルスプリング3とからなる。
【0009】コイルスプリング3は、帯板2上にスプリング部31が所定高さ立ち上がっており、各スプリング部が連結部32で連続されて、一連となって帯板に取付けられている。
【0010】ところで、帯板2は、ステンレス製又は亜鉛メッキ鉄板等の板体を使用しており、ロール4(図5R>5)の外周面に巻いて、全周面を被覆するものである。そして帯板2には、図1〜図3に示すように両側辺に、その長手方向に沿って等間隔にかつ幅方向には対向して突部21、…を突設し、長さ方向に対向する突部間は切欠き22、…となっており、突部21の基部の一側が切欠きとほぼ直角に交わる角部24となっており、他側が鋭角に交わって連なっている。
【0011】各切欠き22は、帯板2上のコイルスプリング3を位置保持するためのものであって、連結部32がそれぞれの切欠きに掛け回され、角部24の存在により掛け止められている。このためにスプリング部31に対して第1図左右方向から押圧力が作用しても、切欠き22の縁部221が連結部32に対してストッパの機能をしてコイルスプリング3のずれがが阻止される。切欠き22の内底部222をスプリング部31の外周に沿う円弧状に形成して、コイルスプリング3の移動阻止を確実なものにしている。また突部21は、スプリング部31の外周部と等しい位置まで又はさらに外方に伸びる(図示の例では等しい位置に設定する)構成として、隣接するスプリングパッド1の突部21と切欠き22に位置するコイルスプリング3の外周部とがほぼ同一平面上に(図2ではコイルスプリングの外周部が幾分下方に位置している。)位置していることが望ましい。
【0012】図1、図2及び図4に示すように、突部21には、その先端部から切込んだ巻付け機用の掛止め凹部211を形成してある。掛止め凹部211は、帯板2にテンションを与えて巻付ける巻付け機のギアの形状に対応するためにV字状に形成されている。
【0013】また帯板2の中間部であって、幅方向に対向する切欠き22の間には、円形の通気孔23を打抜いてある。通気孔23は、帯板2をロール4(図5)に固定するための固定手段としても利用可能である。
【0014】図5に示すようにコイルスプリング3のスプリング部31上をフェルトカバー5で覆っている。また熱源により加熱したベッド6の加圧面61は、その曲率半径とロール4の外周の半径とを一致させてある。ロール4が矢印方向に回転して洗濯物7を加圧面に引き込んで、加熱されたベッド6でプレスをし、洗濯物は反対側に送り出される。
【0015】洗濯物に残っている水分は、加熱されたベッド6において水蒸気となって、フェルトカバー5を通過し、スプリングパッド1の帯板2の通気孔23を経て、さらにロール4の通気孔を経て、ロールの中心部から排出される。
【0016】ロール4にスプリングパッド1を巻くには、帯板2の巻き初め端部をロールの片側に固定して、巻き付け機により突部21の掛止め凹部211を利用してテンションを機械的に与えながら巻き付けて行く。
【0017】
【発明の効果】この発明によれば、コイルスプリングに対して帯板の長手方向の押圧力が加わっても、コイルスプリングは切欠きによってその位置が保持されているので、コイルスプリングは、その長さ方向の移動が阻止され、しかも隣接するスプリングパッドの突部が当接することにより、その幅方向の移動が阻止されるので、スプリングパッドの位置ずれを確実に防止できる。
【0018】突部は、切欠きに位置しているコイルスプリングの外周部まで突出しているかそれよりさらに外方に突出するようにすることにより、スプリングパッドの幅方向のずれをより一層防止できる。切欠きをその内底部がコイルスプリングに沿う円弧状に形成することにより、コイルスプリングと帯板とが一体となった状態で取付けられ、コイルスプリングの位置ずれ防止を効果的なものとすることができる。
【0019】また突部に形成されている巻付け機用の掛止め凹部は、スプリングパッドにテンションを与える巻付け機の例えばギアに掛け止められ、巻付け機又は亜鉛メッキ鉄板等によりスプリングパッドに確実にテンションが及ぶので、スプリングパッドはロールにきつく巻き付けられ、位置ずれが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプリングパッドの一部を示す一部省略平面図である。
【図2】本発明のスプリングパッドの一部の裏面図である。
【図3】図1A−A線断面図であって、コイルスプリングを省略している図である。
【図4】図1B−B線断面図であって、コイルスプリングを省略している図である。
【図5】本発明のシーツロール機を示す一部断面側面図である。
【図6】従来例のスプリングパッドの一部の平面図である。
【図7】従来例のスプリングパッドの一部の裏面図である。
【図8】従来例のスプリングがはまり込んだ状態を示す図である。
【符号の説明】
1 スプリングパッド
2 帯板
21 突部
211 掛止め凹部
22 切欠き
222 内底部
24 角部
3 コイルスプリング
31 スプリング部
32 連結部
ロール
ロールカバー(フェルトカバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シーツロール機のロールの外周面に巻かれ、表面はロールカバーで被覆されるスプリングパッドであって、帯板と、この帯板に巻いてあるコイルスプリングとからなり、上記帯板の側辺部には、その長手方向に沿って突部と切欠きが交互に形成してあり、上記切欠きは、上記帯板上に間隔を置いて連続して配設されている上記コイルスプリングを位置保持するものであることを特徴とするシーツロール機に用いるスプリングパッド。
【請求項2】 請求項1において、上記突部は、上記切欠きに位置している上記コイルスプリングの外周部まで突出しているかそれよりさらに外方に突出していることを特徴とするシーツロール機に用いるスプリングパッド。
【請求項3】 請求項1において、上記切欠きは、その内底部がコイルスプリングに沿う円弧状に形成されていることを特徴とするシーツロール機に用いるスプリングパッド。
【請求項4】 請求項1において、上記突部に巻付け機用の掛止め凹部を形成してあることを特徴とするシーツロール機に用いるスプリングパッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【特許番号】特許第3174385号(P3174385)
【登録日】平成13年3月30日(2001.3.30)
【発行日】平成13年6月11日(2001.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−105262
【出願日】平成4年4月1日(1992.4.1)
【公開番号】特開平5−277300
【公開日】平成5年10月26日(1993.10.26)
【審査請求日】平成11年3月19日(1999.3.19)
【出願人】(591007697)三愛工業株式会社 (7)
【参考文献】
【文献】特開 平3−68400(JP,A)
【文献】実開 昭59−27800(JP,U)
【文献】実開 昭53−111094(JP,U)