説明

シートパレット

【課題】シートパレットのシート両面の摩擦係数及びシート厚を適切に設定しつつ、引張強度を向上させる。
【解決手段】シートパレット1は、積載面S1側から、滑り防止層2と、第1の二軸延伸フィルム層3と、第1の接着層4と、基材層5と、第2の接着層6と、第2の二軸延伸フィルム層7と、がこの順に積層され、基材層5は、一軸延伸テープまたは一軸延伸ヤーンが経緯に組み合わされた織布を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートパレットに関し、特にシートパレットの層構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流輸送の際に積載物を積載するパレットとして、木製のパレットやプラスチック製のパレットが多く用いられてきた。しかし、近年の物流量の拡大化に伴い、積載効率や輸送効率を向上させて物流の効率化を図るため、シートパレットが使用されるようになってきた。シートパレットは、積載物が積載されるシート部と、このシート部の辺から一体に延びたタブ部とを有する。シートパレットに積載された積載物をフォークリフトで扱うには、プッシュプルアタッチメントを備えたフォークリフトが用いられ、フォークリフトのプラテン上への積載物の積み下ろしは、タブ部をプッシュプルアタッチメントで把持し、プッシュプルアタッチメントをプラテン上で進退動作させることで行う。
【0003】
シートパレットは、それ自身の占有容積が非常に小さいことから、積載物を積載した状態での保管スペースを節約できるばかりでなく、予備のシートパレットの保管や、使用済みのシートパレットの回収において、従来のパレットと比較して、保管スペースや輸送の容易性で大きなメリットが得られる。また、シートパレットは、それ自身が軽量であるため、空のシートパレットは一人の作業者で容易に運んだり操作したりすることができ、工場内での作業の効率化にも貢献する。
【0004】
従来のシートパレットは、熱可塑性樹脂の押出成形などによって形成されたシートをベースとしている。そして、その片面または両面に、耐摩耗性を向上させたり、あるいは積載された積載物を滑りにくくしたりすることなどを目的として、適宜の材料からなる層を積層したものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0005】
しかしながら、従来のシートパレットは、シート状に成形された熱可塑性樹脂をベースとしているので、シートパレットの上述した利点を生かそうと軽量化を進めていくと、繰り返し使用に耐え得る機械的強度が低下してしまう。そこで特許文献3には、軽量で、かつ繰り返し使用に耐え得る十分な機械的強度を有するシートパレットが提案されている。このシートパレットは、1方向に延伸した2枚の一軸延伸割繊維フィルムをその延伸方向が互いに直交するように組み合わせた基材層を有している。このような基材層を用いることによって、軽量でありながら高い引張強度を有するシートパレットを提供することができる。
【特許文献1】特開平7−257576号公報
【特許文献2】特開2000−289995号公報
【特許文献3】特開2005−231738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の記載のシートパレットは、段落[0059]に記載されているように、従来のシートパレットに比べると大きな縦方向引張強度と横方向引張強度を有しているが、取り扱える積載物の範囲を拡大するため、引張強度の一層の向上が望まれている。引張強度を向上させるためには、強度を主に負担する基材層の厚さを増やせばよい。しかし、シートパレットは、積載面(積載物が搭載される面をいう。)や裏面(フォークリフトのプラテン上に接触する面をいう。)の摩擦係数を調整するための表面層や、層同士を接着する接着層など、多数の層の積層体であり、かつ、シートパレットのハンドリング上、シート厚には適正な範囲があるため、基材層の厚みを増やすには限界がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、シート両面の摩擦係数及びシート厚を適切に設定可能であるとともに、引張強度が高く、取り扱える積載物の範囲のさらなる拡大を可能とするシートパレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様によれば、シートパレットは、積載面側から、滑り防止層と、第1の二軸延伸フィルム層と、第1の接着層と、基材層と、第2の接着層と、第2の二軸延伸フィルム層と、がこの順に積層され、基材層は、一軸延伸テープまたは一軸延伸ヤーンが経緯に組み合わされた織布を有している。
【0009】
このような構成によれば、シートパレットに要求される引張強度は主として基材層で、シートパレットの積載面及びその裏面に要求される摩擦係数は、各々滑り防止層と第2の二軸延伸フィルム層によって調整することができる。また、基材層を構成する一軸延伸テープまたは一軸延伸ヤーンが経緯に組み合わされた織布は、従来の基材層と比べ、大きな引張強度を有している。このため、シートパレットの引張強度を増加させることが容易である。
【発明の効果】
【0010】
このようにして、本発明によれば、シート両面の摩擦係数及びシート厚を適切に設定可能であるとともに、引張強度が高く、取り扱える積載物の範囲のさらなる拡大を可能とするシートパレットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態によるシートパレットの斜視図である。図1に示すように、シートパレット1は、好ましくは正方形の板状のシート部1aと、このシート部1aの1辺から一体に延びたタブ部1bとを有する。シート部1aは、その上面に積載物が積載される部分である。タブ部1bは、積載物が積載されたシートパレット1をフォークリフトで取り扱う際に、フォークリフトに装着されたプッシュプルアタッチメントによって把持される部分である。図1ではシート部1aの一つの辺のみからタブ部1bが延びている例を示しているが、シート部1aの互いに対向する2辺、隣り合う2辺、あるいは3辺など、複数の辺からそれぞれタブ部1bを延出させることもできる。
【0013】
本発明のシートパレットは以下のように使用することができる。まず、図2(a)に示すように、ターンテーブル(図示せず)等の上にシートパレット1を載置し、上方からシートパレット1上に複数の段ボール等からなる積載物21を降ろす。このとき、シートパレット1は積載物21よりも平面寸法の大きいものを使用する。次に、運送中の荷崩れ防止や他の積載物を傷つけることを防止するため、図2(b)に示すように、シートパレット1のタブ部1bの部分を除いた余剰部1cを積載物21の底辺に沿って上方に折り曲げ、図2(c)に示すように、折り曲げた余剰部1cをストレッチフィルム22で固定する。ターンテーブルにあらかじめ積載物21が嵌合するような凹部を設けておけば、積載物21を凹部に落とし込むだけで余剰部1cの折り返しが可能となる。余剰部1cの出張り長さ(折り返し幅)Wは特に限定されないため、一つのサイズのシートパレットを広範なサイズの積載物に適用することができる。タブ部を含めたシートパレットの全周をフィルムで巻き込んでもよい。この場合はフォークリフトで取り扱う際に、タブ部の部分だけを解放する。
【0014】
積載物が積載されたシートパレット1の取り扱い時には、まず、フォークリフトに装着されたプッシュプルアタッチメントによってタブ部1bを把持し、この状態でプッシュプルアタッチメントをフォークリフトのプラテンの根元側に引き寄せる。これによりタブ部1bが引っ張られ、シートパレット1がプラテン上に滑りながら移動する。そして、積載物が積載されたシートパレット1をプラテン上に載せたままフォークリフトを所望の場所まで移動させ、プッシュプルアタッチメントを押し戻す。これにより、シートパレット1はプラテン上から降ろされる。
【0015】
このように、シートパレット1を用いた積載物役作業時に非常に大きな引張力がタブ部1bに加わる。しかも、この引張力は、シートパレット1が使用されるたびに繰り返し加わる。また、積載物の搭載される積載面の積載物との間の摩擦力(摩擦係数)は、積載物が不用意に動いたり、荷崩れを起こしたりすることがないように、なるべく大きいことが望ましい一方、プラテンに面する裏面は、シートパレットのスムーズな動きを実現するため、摩擦力(摩擦係数)がなるべく小さいことが望ましい。さらに、シートパレットのハンドリング上、強度だけでなく適正な範囲の剛性を備えていることが望ましい。これらの要求を満たすため、本実施形態のシートパレット1は、以下に説明する構造を採用している。
【0016】
図3は、図1に示すシートパレットの模式的断面図である。シートパレット1のシート部1aは、積載面S1側から、滑り防止層2と、第1の二軸延伸フィルム層3と、第1の接着層4と、基材層5と、第2の接着層6と、第2の二軸延伸フィルム層7と、がこの順に積層されて形成されている。図1に示したタブ部1bもシート部1aと同じ積層構造を有している。
【0017】
滑り防止層2は、シートパレット1の積載物が積載される積載面S1を構成し、第2の二軸延伸フィルム層7は、使用時にフォークリフトのプラテン上に接触する裏面S2を構成している。
【0018】
滑り防止層2は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)、アイオノマー樹脂からなる群より選ばれ、もしくはこれらの混合物からなる。滑り防止層2の厚みは10μm〜40μmが望ましい。
【0019】
アイオノマー樹脂は、EMAAやEAAなどのカルボキシル基(-COOH)を、亜鉛やナトリウムなどの金属イオンで部分的に架橋した樹脂である。アイオノマー樹脂は、EMAA、EAAと似た性質を有し、一般には包装資材のヒートシール層として利用されている。
【0020】
積載面S1側に滑り防止層2を設けることで、適正な静摩擦係数を得ることができる。運搬中に積載物の移動ないし荷崩れを防ぐためには、静摩擦係数は0.4以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。後述するように、例えばC6Aフルートの段ボールを用いた場合、本実施形態のシートパレットは0.5以上の摩擦係数を得ることができる。
【0021】
第1及び第2の二軸延伸フィルム層3,7は、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムまたは二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから形成されている。第1及び第2の二軸延伸フィルム層3,7は、シートパレット1に必要な剛性を与える。シートパレット(特に、タブ部1b)は、使用時に容易に変形するとフォークリフトのグリッパで把持しにくくなり、使い勝手が悪化するため、ある程度の耐変形性や変形した後の復元力(反発性)を有していることが望ましい。この耐変形性はいわば「腰の強さ」といえる。シートパレット1の耐変形性は基材層5によってもある程度確保されるが、基材層5を第1及び第2の二軸延伸フィルム層3,7で挟むことによって十分なものとなる。第2の二軸延伸フィルム層7は前述のように裏面S2を構成するため、摩擦力の小さい滑らかな表面であることが求められる。OPP、PET等の材料は0.3程度の小さな摩擦係数を得ることができ、好適な材料である。ただし、必要に応じ、クラフト紙など、摩擦係数の小さい層を第2の二軸延伸フィルム層7の下面に追設してもよい。第1及び第2の二軸延伸フィルム層3,7の厚みは20〜60μmが望ましい。
【0022】
基材層5は、一軸延伸テープまたは一軸延伸ヤーンが経緯に組み合わされた織布を有している。材料としてはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などが挙げられる。図4は基材層5の概念的斜視図で、一軸延伸テープ28,29を用いた例を示している。一軸延伸テープ28,29は原反フィルムを1.1〜15倍、好ましくは3〜10倍に一軸延伸した後、延伸方向に沿って2mm〜7mmの幅で裁断して形成される。原反フィルムの裁断は延伸前であってもよい。このように延伸され引張強度の増加した一軸延伸テープ28,29、または一軸延伸ヤーンを縦横に組み合わせて織成することによって、縦方向(シートパレットの引っ張り方向)及び横方向での引張強度を大幅に増加することができ、一層の繰り返し使用に耐えることが可能となる。
【0023】
第1及び第2の接着層4,6は各々、基材層5と第1の二軸延伸フィルム層3、基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7を接合する接着層である。従って、第1及び第2の接着層4,6の材料は基材層5及び第1及び第2の二軸延伸フィルム層3,7に応じて適宜定めることができる。具体例は後述の実施例を参照されたい。
【0024】
シートパレットのシート厚は、0.25〜0.4mmが好適である。0.25mm未満では十分なシートパレットの剛性を確保できないため、フォークリフトのグリッパで把持しにくく、作業性が悪い。0.4mmを超えると剛性が高くなり過ぎ、シートパレットに積載物を積載後にストレッチフィルムで荷崩れ防止を行う際、シートパレットのダブ部または余剰部を同時に巻き込むことが難しくなる。また、厚みがあり過ぎるとコストアップになり経済的に好ましくないだけでなく、シートパレットが重くなってハンドリング性が悪化する。
【0025】
シートパレットの伸率は、10〜40%が好ましく、15〜30%がより好ましい。伸率が10%未満では、急激な引張荷重がかかったときに破断し易く、40%を超えるとシートパレットが伸び易く使用が困難となる。
【0026】
シートパレット1は、押出しラミネーション法や熱圧着法など、シート材の積層に一般に用いられる積層方法を適宜選択して作成することができる。
【0027】
図5に、押出しラミネーション法によるシートパレット1の製造方法の一例を示す。第1の二軸延伸フィルム層3、基材層5、及び第2の二軸延伸フィルム層7が、ロール状に巻かれている。まず、基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7とが、第1の加圧ローラ対13の間に互いに別の方向から供給される。基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7との合流部の上方には、第1の押出機11が設置されており、このTダイ11aから、基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7との接合のための、熱可塑性樹脂からなるバインダー(第2の接着層6)が、基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7との間に供給される。供給されたバインダーは、第1の加圧ローラ対13の間で基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7とに挟まれ、バインダーの一部が基材層5に染み込み、これによって基材層5と第2の二軸延伸フィルム層7とが積層される。
【0028】
得られた積層体1xはさらに、第2の加圧ローラ対14に送られる。第2の加圧ローラ対14では、第1の二軸延伸フィルム層3が、積層体1xの基材層5に対向させて供給される。積層体1xと第1の二軸延伸フィルム層3との合流部の上方には、第2の押出機12が設置されており、このTダイ12aから、積層体1xと第1の二軸延伸フィルム層3との接合のための、熱可塑性樹脂からなるバインダー(第1の接着層4)が、積層体1xと第1の二軸延伸フィルム層3との間に供給される。供給されたバインダーは、第2の加圧ローラ対14の間で、積層体1xと第1の二軸延伸フィルム層3とに挟まれ、バインダーの一部が強化網状層2に染み込み、これによって積層体1xと第1の二軸延伸フィルム層3とが積層され、積層体1yが得られる。
【0029】
さらに、積層体1yの第1の二軸延伸フィルム層3の表面にコロナ処理を施し、図示は省略するが、同様に押出しラミネーション法を用いて、第1の二軸延伸フィルム層3の表面に滑り防止層2を形成する。
【0030】
以上によって、シートパレット1の素材となる積層体が得られる。得られた積層体を所望の形状に加工することによって、図1に示したようなシートパレット1が得られる。なお、上記の説明では、第2の二軸延伸フィルム層7を先に積層しているが、第1の二軸延伸フィルム層3を先に積層してもよい。
【0031】
(実施例1)基材層として、萩原工業(株)のポリプロピレン製クロス(10本×10本/平方インチ)、1045dTex)を用いた。二軸延伸フィルムには、東洋紡績(株)製の厚み50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。接着層には、基材層および二軸延伸フィルム層がともにポリプロピレン製であるため、ポリプロピレン製のラミネート樹脂を用いた。通常の押出しラミネーション法によって、接着層の厚みを15μmとして、二軸延伸フィルム/接着層/基材層/接着層/二軸延伸フィルムの積層体を作製した。なお、本明細書においては、A/B/C・・の表記は積載面から裏面に向けて、A,B,C・・の順に積層されていることを示す。次いで、最表面の二軸延伸フィルムにコロナ処理を施し、日本ポリエチレン(株)製の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いて、押出しラミネ−ション法によって厚み15μmの滑り防止層を形成し、本発明のシートパレットを作製した。作成したシートパレットの層構成は、滑り防止層/二軸延伸フィルム/接着層/基材層/接着層/二軸延伸フィルムである。
【0032】
(比較例1)基材層を含まない以外、実施例1と同じ層構成のシートパレットを作製した。中間の接着層は一層だけであり、厚みは15μmとした。作成したシートパレットの層構成は二軸延伸フィルム/接着層/二軸延伸フィルム/滑り防止層である。
【0033】
(比較例2)滑り防止層を含まない以外、実施例1と同じ層構成のシートパレットを作製した。作成したシートパレットの層構成は二軸延伸フィルム/接着層/基材層/接着層/二軸延伸フィルムである。
【0034】
以上のように作製した実施例1、比較例1,2について、それぞれ厚み、積載面及び裏面の静摩擦係数、縦方向(シートパレットの引張方向)の引張強度と伸率、及び横方向の引張強度と伸率を測定した。静摩擦係数は、JIS P8147の傾斜法に準拠して測定した。錘にはC6Aフルートの段ボールを貼り付け、シートパレットの積載面に段ボールが接触するように錘を載せ、傾斜させて錘が動き出すときの角度より摩擦係数を算出した。伸率は、チャック間距離(引張方向における荷重印加位置の間隔)50mm、引張速度500mm/分の条件で測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
実施例1と比較例1とを比べると、基材層を備えた実施例1では縦方向及び横方向の引張強度が大きく向上していることが分かる。実施例1では、伸率も適正な範囲である15〜30%の範囲内となっている。
【0037】
実施例1と比較例2とを比べると、縦方向及び横方向の引張強度と伸率にはほとんど差はない。しかし、実施例1では滑り防止層を追設しているため、積載面の静摩擦係数が大きく向上していることが分かる。このため、実施例1のシートパレットは、積載面と裏面の摩擦係数の差が大きく、搬送中の積載物の移動や荷崩れを防止しつつ、シートパレットのスムーズな移動を可能にする。
【0038】
さらに、特許文献3に記載した基材層を備え、それ以外は実施例1と同様の構成のシートパレットについても同様の試験を行った。縦方向及び横方向の伸率は各々、30%と16%であり、良好な範囲であったが、縦方向及び横方向の引張強度は各々、170N/cmと104N/cmであり、この試験からも、実施例1では引張強度が大きく向上していることが確認できた。
【0039】
上述の実施例では基材層としてポリプロピレン製クロスを用いたが、ポリプロピレン製クロスに代えてポリエチレン製クロスを用いることもできる。この場合、二軸延伸フィルムもPETで形成すれば、接着層もポリエチレン系接着層を用いることができる。層構成の一例は、滑り防止層(EVA、厚み15μm)/二軸延伸フィルム(PET、厚み50〜60μm)/接着層(PE、厚み15μm)/基材層(PE、10×10、1045dTex)/接着層(PE、厚み15μm)/二軸延伸フィルム(PET、厚み50〜60μm)である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態によるシートパレットの斜視図である。
【図2】本発明のシートパレットの使用方法を示す概念図である。
【図3】図1に示すシートパレットの模式的断面図である。
【図4】図1に示すシートパレットの基材層の概念的斜視図である。
【図5】押出しラミネーション法によるシートパレットの製造方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 シートパレット
1a シート部
1b タブ部
1c 余剰部
2 滑り防止層
3 第1の二軸延伸フィルム層
4 第1の接着層
5 基材層
6 第2の接着層
7 第2の二軸延伸フィルム層
21 積載物
S1 積載面
S2 裏面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載面側から、滑り防止層と、第1の二軸延伸フィルム層と、第1の接着層と、基材層と、第2の接着層と、第2の二軸延伸フィルム層と、がこの順に積層され、
前記基材層は、一軸延伸テープまたは一軸延伸ヤーンが経緯に組み合わされた織布を含んでいる、シートパレット。
【請求項2】
前記滑り防止層は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂からなる群より選ばれ、もしくはこれらの混合物からなる、請求項1に記載のシートパレット。
【請求項3】
前記基材層はポリエチレンまたはポリプロピレンからなる、請求項1または2に記載のシートパレット。
【請求項4】
シート厚が0.25mm以上、0.4mm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のシートパレット。
【請求項5】
伸び率が10%以上、40%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載のシートパレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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