説明

シートパレット

【解決手段】載置部1aと該載置部に境界部1cを介して連接されているとともに、上方に傾斜したタブ1bとを有するシートパレット1において、前記タブ及び該タブに境界部を介して連接されている前記載置部を構成する帯状領域1a1を、高弾性・高防滑性樹脂で成形し、また、前記帯状領域に連接された前記載置部を構成する帯状領域を、高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層1a2’と低摩擦樹脂で成形された裏面層1a2”からなるハイブリッド領域1a2とし、更に、前記載置部の残余部分1a3を、低摩擦樹脂で成形したものである。
【効果】屈曲される境界部が損傷するようなことを防止することができるとともに、グリッパーによるシートパレットのタブの挟持が解除された際には、タブが、その弾性復元力により、迅速に、且つ、確実に、載置部に対して、上方に傾斜した元の位置に復帰することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、荷物が載置されるシート状のシートパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シートパレットを介して、多段に段積みされている荷物を、プッシュプル装置付きのフォークリフトを使用して、段ばらししたり、或いは、プッシュプル装置付きのフォークリフトを使用して、荷物が載置されたシートパレットを、段積みすることが行われている。
【0003】
例えば、シートパレットを介して、多段に段積みされている荷物を、プッシュプル装置付きのフォークリフトを使用して、段ばらしする場合には、一番上に位置する、荷物が載置されているシートパレットのタブを、プッシュプル装置付きのフォークリフトのフェースプレートの下端部に配設されたグリッパーで挟持するとともに、グリッパーで挟持されたシートパレットのタブを上方に持ち上げて、シートパレットのグリッパー側の裏面と下に位置する荷物の上面との間に、楔状の間隙を形成し、この間隙に、プラテンの先端部を挿入する。その後、フェースプレートを後退させて、プラテンに、荷物が載置されているシートパレットを移載するようして、多段に段積みされている荷物を、プッシュプル装置付きのフォークリフトを使用して、段ばらしすることが行われている。
【0004】
上述したような作業を行うために、シートパレットの上面には、載置された荷物が簡単には、シートパレットの上面に対して、滑って移動しないように、適度な防滑性が要求されるとともに、シートパレットの裏面には、プラテンが挿入し易いように、適度な滑り性が要求されることになる。
【0005】
上述した要求を満足させるために、上面層を、防滑性の樹脂で成形し、また、裏面層を、滑り性を有する樹脂で成形した、全体が2層構造のシートパレットが、一例として、特許文献1に開示されている。
【0006】
【特許文献1】実開昭57−143126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような、シートパレットの上面層としては、防滑性を有するとともに、柔軟性のある熱可塑性エラストマーが使用され、また、裏面層を構成する樹脂として、適度な滑り性を有するポリエチレンやポリプロピレン等が用いられているが、熱可塑性エラストマーは、高価であるために、シートパレットの上面層の全面に、熱可塑性エラストマーが使用されている特許文献1に開示されているシートパレットは、高価なものとなるという問題があった。
【0008】
次に、図7〜図9を用いて、発明が解決しようとする他の課題について説明する。
【0009】
100は、シートパレットであり、シートパレット100は、荷物Caが載置される略水平な載置部100aと、載置部100aに対して、上方に所定の角度θ1で傾斜しているタブ100bとを有している。Fは、プッシュプル装置付きフォークリフトであり、プッシュプル装置付きフォークリフトFには、フェースプレートf1の下端水平部f1aと上下動可能な可動部材f2とからなるグリッパーF’が配設されている。なお、フェースプレートf1は、昇降自在に構成されている。
【0010】
上述したような段ばらし作業の際には、先ず最初に、図7に示されているように、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cが、グリッパーF’を構成するフェースプレートf1の下端水平部f1aの荷物Ca側の先端垂直面f1a’と、同じく、グリッパーF’を構成する可動部材f2の下端水平部f2aの荷物Ca側の先端垂直面f2a’とにより形成される仮想垂直面と略一致するように、シートパレット100のタブ100bを、フェースプレートf1の下端水平部f1aと可動部材f2の下端水平部f2aとの間に配置する。また、フェースプレートf1の下端水平部f1aの上面とシートパレット100の載置部100aの裏面とが、略同一平面を形成するように、プッシュプル装置付きフォークリフトFを配置する。
【0011】
次いで、可動部材f2を下動させて、図8に示されているように、シートパレット100のタブ100bを、フェースプレートf1の下端水平部f1aと可動部材f2の下端水平部f2aとにより挟持する。このフェースプレートf1の下端水平部f1aと可動部材f2の下端水平部f2aとによるシートパレット100のタブ100bの挟持作業の過程において、載置部100aに対して、上方に所定の角度θ1で傾斜していたタブ100bが、載置部100aとタブ100bとの境界部100cを中心に、下方に屈曲されて、タブ100bが、載置部100aと同様に略水平状態となる。このように、フェースプレートf1の下端水平部f1aと可動部材f2の下端水平部f2aとによるシートパレット100のタブ100bの挟持作業の際に、載置部100aとタブ100bとの境界部100cは、屈曲されることになる。
【0012】
次いで、グリッパーF’により、シートパレット100のタブ100bが挟持されている状態で、フェースプレートf1を上昇させると、シートパレット100の載置部100aに載置されている荷物Caの下面c1とフェースプレートf1側に位置する側面c2とにより形成される下端角部(以下、フェースプレート側下端角部という。)c3を中心として、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cと、下端角部c3との間に位置する載置部100aの帯状領域100a’が、上方に回動することになり、従って、下端角部c3に当接しているとともに下端角部c3に沿って位置している載置部100aの線状部分100a”が、屈曲されることになる。
【0013】
また、上述したように、グリッパーF’により、シートパレット100のタブ100bが挟持されている状態で、フェースプレートf1を上昇させると、載置部100aとタブ100bとの境界部100cを中心に、境界部100cと荷物Caの下端角部c3との間に位置する載置部100aの帯状領域100a’が、水平状態のタブ100bに対して、下方に傾斜した状態に屈曲されることになる。従って、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cが屈曲されることになる。
【0014】
上述したように、グリッパーF’により、シートパレット100のタブ100bが挟持されている状態で、フェースプレートf1を上昇させて、シートパレット100のグリッパーF’側の裏面と下に位置する荷物Cbの上面との間に、楔状の間隙を形成し、この間隙に、図示されていないプラテンの先端部を挿入するとともに、フェースプレートf1を後退させて、プラテンに、荷物Caが載置されているシートパレット100を移載するようして、プッシュプル装置付きフォークリフトFを使用して、段ばらしする。
【0015】
上述した一連の段ばらし作業において、グリッパーF’によるシートパレット100のタブ100bの挟持作業の際に、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cを中心に、タブ100bが、載置部100aに対して上方に傾斜している状態から、略水平状態となるまで回動されることにより、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cが屈曲されることになる。また、上述したように、グリッパーF’により、シートパレット100のタブ100bが挟持されている状態で、フェースプレートf1を上昇させると、境界部100cと荷物Caの下端角部c3との間に位置する載置部100aの帯状領域100a’が、図8に示されている水平状態のタブ100bに対して、境界部100cを中心に、下方に回動し、従って、境界部100cが、再度、屈曲されることになる。
【0016】
上述したように、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cは、グリッパーF’によるシートパレット100のタブ100bの挟持作業の際と、グリッパーF’によりタブ100bが挟持されている状態でのフェースプレートf1の上昇作業の際の2度において、屈曲されることになる。
【0017】
また、上述したように、グリッパーF’により、シートパレット100のタブ100bが挟持されている状態で、フェースプレートf1を上昇させると、シートパレット100の載置部100aに載置されている荷物Caの下面c1とフェースプレートf1側に位置する側面c2とにより形成される下端角部c3を中心として、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cと、下端角部c3との間に位置する載置部100aの帯状領域100a’が、上方に回動することになり、従って、下端角部c3に当接しているとともに下端角部c3に沿って位置している載置部100aの線状部分100a”が、屈曲されることになる。
【0018】
段ばらし作業の終了後、可動部材f2を上動させて、グリッパーF’によるシートパレット100のタブ100bの挟持を解除するとともに、プッシュプル装置付きフォークリフトFを後退させることにより、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cと、荷物Caの下端角部c3との間に位置していた載置部100aの帯状領域100a’が、屈曲部となった線状部分100a”を中心に、載置部100aの全体が水平状態になるように、下方に回動するとともに、タブ100bが、境界部100cを中心に、上方に回動し、シートパレット100が、図7に示されているように、シートパレット100自体の弾性復元力により、元の状態に復帰することになる。
【0019】
上述したように、段ばらし作業により、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cの屈曲、及び、載置部100aの帯状領域100a’と、荷物Caの下面c1に位置する、帯状領域100a’以外の載置部100aとの境界部に位置する線状部分100a”の屈曲が、頻繁に行われるために、滑り性を有するが、柔軟性の乏しいポリエチレンやポリプロピレン等からなる裏面層に、折り曲がり癖がついて、グリッパーによるタブの把持の解除が行われても、タブが、その弾性力により、載置部に対して、上方に傾斜した状態に復帰しないという問題があった。このように、タブが、載置部に対して、上方に傾斜した状態に復帰しないと、タブのフォークリフトのフェースプレートの下端部に配設されたグリッパーによる挟持が困難になる。
【0020】
また、上述したように、シートパレット100の載置部100aとタブ100bとの境界部100cの屈曲、及び、載置部100aの帯状領域100a’と、荷物Caの下面c1に位置する、帯状領域100a’以外の載置部100aとの境界部に位置する線状部分100a”の屈曲が、頻繁に行われるために、境界部100cや載置部100aが、損傷するという問題があった。
【0021】
本発明の目的は、上述した従来の発明が有する課題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
載置部と該載置部に境界部を介して連接されているとともに、上方に傾斜したタブとを有するシートパレットにおいて、第1には、前記タブ及び該タブに境界部を介して連接されている前記載置部を構成する帯状領域を、高弾性・高防滑性樹脂で成形し、また、前記帯状領域に連接された前記載置部を構成する帯状領域を、高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層と低摩擦樹脂で成形された裏面層からなるハイブリッド領域とし、更に、前記載置部の残余部分を、低摩擦樹脂で成形したものであり、第2には、荷物が、前記ハイブリッド領域を構成する高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層及び前記タブに前記境界部を介して連接されている高弾性・高防滑性樹脂で成形された前記帯状領域の一部に載置されるように構成したものであり、第3には、前記ハイブリッド領域が形成されている前記載置部の他の辺部に.ハイブリッド領域を形成したものである。
【発明の効果】
【0023】
前記タブ及び該タブに境界部を介して連接されている前記載置部を構成する帯状領域を、高弾性・高防滑性樹脂で成形し、また、前記帯状領域に連接された前記載置部を構成する帯状領域を、高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層と低摩擦樹脂で成形された裏面層からなるハイブリッド領域とし、更に、前記載置部の残余部分を、低摩擦樹脂で成形したので、屈曲される境界部が損傷するようなことを防止することができるとともに、グリッパーによるシートパレットのタブの挟持が解除された際には、タブが、その弾性復元力により、迅速に、且つ、確実に、載置部に対して、上方に傾斜した元の位置に復帰することができる。
【0024】
荷物が、前記ハイブリッド領域を構成する高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層及び前記タブに前記境界部を介して連接されている高弾性・高防滑性樹脂で成形された前記帯状領域の一部に載置されるように構成したので、荷物の下端角部付近に位置する載置部が、損傷するようなことを防止することができるとともに、載置部に載置された荷物が、滑って、載置部上を水平移動したり、或いは、載置部から外れるようなことを、防止することができる。
【0025】
前記ハイブリッド領域が形成されている前記載置部の他の辺部に.ハイブリッド領域を形成したので、載置部に載置された荷物が、滑って、載置部上を水平移動したり、或いは、載置部から外れるようなことを、確実に防止することができる。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明の実施例ついて説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、何ら、本発明の実施例に限定されるものではない。
【0027】
図1〜図3において、1は、平面形状が、略方形状に形成されたシートパレットであり、シートパレット1は、荷物が載置される略水平な載置部1aと、載置部1aの一辺に形成された、プッシュプル装置付きのフォークリフトのフェースプレートの下端部に配設されたグリッパーにより挟持される帯状のタブ1bとを有している。また、グリッパーにより挟持されるタブ1bは、荷物が載置される略水平な載置部1aに対して、境界部1cを経て、上述したと同様に、上方に所定の角度θ1(載置部1aの上面とタブ1bの上面とのなす角度)傾斜するように形成されている。
【0028】
本実施例においては、タブ1bを、熱可塑性のオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーや低密度ポリエチレンやエチレン酢酸ビニルポリマー等の高弾性で、且つ、防滑性の優れた樹脂(以下、高弾性・高防滑性樹脂という。)で成形するとともに、境界部1cを越えて、且つ、境界部1cに沿って延在する載置部1aの帯状領域を、載置部1aの全幅(タブ1bの長手方向に沿った幅)W1に亘たって、タブ1bと同じ高弾性・高防滑性樹脂で成形された高弾性・高防滑性帯状領域1a1に形成したものである。換言すれば、タブ1b及びタブ1bに隣接した載置部1aの帯状領域1a1を、境界部1cを含め、高弾性・高防滑性樹脂で成形したものである。
【0029】
また、載置部1aには、境界部1cに沿った載置部1aに形成された高弾性・高防滑性帯状領域1a1に隣接して、タブ1b及び高弾性・高防滑性帯状領域1a1と同じ高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層1a2’と、ポリエチレンやポリプロピレンや塩化ビニル樹脂等の上述した高弾性・高防滑性樹脂に比べて、滑り性の高い、換言すれば、タブ1bや高弾性・高防滑性帯状領域1a1より摩擦抵抗の小さな樹脂(以下、低摩擦樹脂という。)で成形された裏面層1a2”とからなるハイブリッド領域1a2が形成されている。
【0030】
上述した高弾性・高防滑性帯状領域1a1及びハイブリッド領域1a2に隣接された載置部1aの残余領域1a3は、上述したハイブリッド領域1a2の裏面層1a2”を構成する低摩擦樹脂で成形されている。このように、載置部1aは、高弾性・高防滑性帯状領域1a1、高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層1a2’と低摩擦樹脂で成形された裏面層1a2”とからなるハイブリッド領域1a2及び低摩擦樹脂で成形された残余領域1a3により構成されている。
【0031】
上述したように、シートパレット1のタブ1b及びタブ1bに隣接された載置部1aを構成する帯状領域1a1が、境界部1cを含め、高弾性・高防滑性樹脂で成形されているので、シートパレット1の載置部1aとタブ1bとの境界部1cが、上述したように、グリッパーF’によるシートパレット1のタブ1bの挟持作業の際と、グリッパーF’によりタブ1bが挟持されている状態でのフェースプレートf1の上昇作業の際の2度に亘たって、屈曲されても、境界部1cが損傷するようなことがない。
【0032】
また、シートパレット1のタブ1b及びタブ1bに隣接した載置部1aを構成する帯状領域1a1が、境界部1cを含め、高弾性・高防滑性樹脂で成形されているので、グリッパーF’によるシートパレット1のタブ1bの挟持が解除された際には、タブ1bが、その弾性復元力により、迅速に、且つ、確実に、載置部1aに対して、上方に傾斜した元の位置に復帰することができ、従って、従来のように、タブ100bが、水平状態のままに維持されて、タブ100bが、フェースプレートf1の下部に配設されたグリッパーF’により挟持されないというような問題を解決することができる。
【0033】
図3に示されているように、荷物Cのフェースプレートf1側に位置する側面c2が、載置部1aを構成するハイブリッド領域1a2を越えて、タブ1bに隣接した、載置部1aを構成する高弾性・高防滑性帯状領域1a1内に位置するように、荷物Cが、シートパレット1の載置部1aに載置されるように構成されている。
【0034】
荷物Cは、低摩擦樹脂で成形された残余領域1a3、ハイブリッド領域1a2を構成する高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層1a2’及び高弾性・高防滑性帯状領域1a1の一部に載置されるように構成されており、少なくとも、荷物Cが、ハイブリッド領域1a2を構成する高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層1a2’及び高弾性・高防滑性帯状領域1a1に載置されるように構成されているので、載置部1aに載置された荷物Cが、滑って、載置部1a上を水平移動したり、或いは、載置部1aから外れるようなことを防止することができる。
【0035】
また、グリッパーF’により、シートパレット1のタブ1bが挟持されている状態で、フェースプレートf1を上昇させると、シートパレット1の載置部1aに載置されている荷物Cの下面c1とフェースプレートf1側に位置する側面c2とにより形成される下端角部c3を中心として、シートパレット1の載置部1aとタブ1bとの境界部1cと、荷物Cの下端角部c3との間に位置する高弾性・高防滑性帯状領域1a1を構成する帯状領域部1a1’が、図9に示されている帯状領域100a’と同様に、上方に回動することになり、従って、下端角部c3に当接している高弾性・高防滑性帯状領域1a1の線状部分が、屈曲されることになるが、本実施例においては、屈曲される高弾性・高防滑性帯状領域1a1が、高弾性で、且つ、防滑性の優れた樹脂で成形されているので、荷物Cの下端角部c3付近に位置する載置部1aが、損傷するようなことを防止することができる。
【0036】
更また、載置部1aとタブ1bとの間に位置する境界部1cを介して隣接された高弾性・高防滑性帯状領域1a1の帯状幅(タブ1bの長手方向に対して、垂直方向の幅)W2が、シートパレット1のタブ1bを、プッシュプル装置付きフォークリフトFに配設されたグリッパーF’で挟持し、グリッパーF’で挟持されたシートパレット1のタブ1bを上方に持ち上げた際に、シートパレット1の載置部1aに形成された高弾性・高防滑性帯状領域1a1が、下に位置するシートパレット1aに載置された荷物C、或いは、下に位置する通常の合成樹脂製パレットの上面に当接しないような幅に形成されることが好ましい。このように構成することにより、プッシュプル装置付きフォークリフトFのプラテンのシートパレット1の載置部1aの下面への挿入を、大きな抵抗なく、円滑に、且つ、下に位置するシートパレット1aに載置された荷物Cに損傷を与えることなく行うことができる。
【0037】
図4及び図5に示されている実施例は、上述した高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層1a2’と低摩擦樹脂で成形された裏面層1a2”とからなるハイブリッド領域1a2を、上述した境界部1c側に形成されたハイブリッド領域1a2と相対する載置部1aの辺部1a4に沿って及び上述した境界部1c側に形成されたハイブリッド領域1a2に垂直な相対する載置部1aの辺部1a5に沿って形成したものである。なお、図4及び図5には、辺部1a4に沿って形成されたハイブリッド領域には、符号1a2(2a4)が付されており、また、辺部1a5に沿って形成されたハイブリッド領域には、符号1a2(2a5)が付されている。
【0038】
上述したように、載置部1aの辺部1a4に沿って、ハイブリッド領域1a2(2a4)を形成するとともに、載置部1aの辺部1a5に沿って、ハイブリッド領域1a2(2a5)を形成することにより、載置部1aに載置された荷物Cが、滑って、載置部1a上を水平移動したり、或いは、載置部1aから外れるようなことを、確実に防止することができる。
【0039】
図6に示されている実施例は、シートパレット1の裏面側に、タブ1bの中央部で、且つ、タブ1bと略直交する高防滑性樹脂からなる裏面帯状体1a6を形成したものである。高防滑性樹脂としては、合成ゴムや、熱可塑性のオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーや低密度ポリエチレンやエチレン酢酸ビニルポリマー等の防滑性に優れた樹脂を使用することができる。裏面帯状体1a6は、シートパレット1の表面まで達するように形成することも、また、シートパレット1の表面まで達しないように形成することこともできる。
【0040】
上述したように、シートパレット1の裏面側に高防滑性樹脂からなる裏面帯状体1a6を形成することにより、荷物Cが載置されたシートパレット1が、通常の合成樹脂製パレットに載置された際に、合成樹脂製パレットに対して、シートパレット1が、水平方向に滑って、荷物Cが載置されたシートパレット1が、合成樹脂製パレットから落下するようなことを防止することができる。
【0041】
また、裏面帯状体1a6を、シートパレット1の表面まで達するように形成した場合には、載置部1aに載置された荷物Cが、滑って、載置部1a上を水平移動したり、或いは、載置部1aから外れるようなことを、更に確実に防止することができる。
【0042】
所定の間隙を置いて配置された一対の副プラテンからなるプラテンが配設されたプッシュプル装置付きフォークリフトが公知であるが、このようなプッシュプル装置付きフォークリフトに、図6に示されているシートパレット1を使用した場合には、一対の副プラテンの間隙に、高防滑性樹脂からなる裏面帯状体1a6が位置するように構成することにより、副プラテンが、裏面帯状体1a6に接触するようなことがなく、従って、副プラテンを、荷物が載置されたシートパレット1とパレットとの当接面に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明のシートパレットの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示されているシートパレットの部分垂直断面図である。
【図3】図3は、本発明のシートパレットとフェースプレートの部分垂直断面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施例のシートパレットの斜視図である。
【図5】図5は、図4に示されているシートパレットの部分垂直断面図である。
【図6】図6は、本発明の更に別の実施例のシートパレットの斜視図である。
【図7】図7は、従来のシートパレットとフェースプレートの部分垂直断面図である。
【図8】図8は、図7に示されているフェースプレートに配設されたグリッパーによりタブが挟持された状態の図7と同様の部分垂直断面図である。
【図9】図9は、図7に示されているフェースプレートが上昇された状態の図7と同様の部分垂直断面図である。
【符号の説明】
【0044】
C・・・・・・・・荷物
F・・・・・・・・プッシュプル装置付きのフォークリフト
F’・・・・・・・グリッパー
f1・・・・・・・フェースプレート
f2・・・・・・・可動部材
1・・・・・・・・シートパレット
1a・・・・・・・載置部
1b・・・・・・・タブ
1c・・・・・・・境界部
1a1・・・・・・高弾性・高防滑性帯状領域
1a2・・・・・・ハイブリッド領域
1a3・・・・・・残余領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部と該載置部に境界部を介して連接されているとともに、上方に傾斜したタブとを有するシートパレットにおいて、前記タブ及び該タブに境界部を介して連接されている前記載置部を構成する帯状領域が、高弾性・高防滑性樹脂で成形されており、また、前記帯状領域に連接された前記載置部を構成する帯状領域が、高弾性・高防滑性樹脂で成形された上面層と低摩擦樹脂で成形された裏面層からなるハイブリッド領域として形成されており、更に、前記載置部の残余部分が、低摩擦樹脂で成形されていることを特徴とするシートパレット。
【請求項2】
荷物が、前記ハイブリッド領域を構成する高弾性・高防滑性樹脂で成形され
た上面層及び前記タブに前記境界部を介して連接されている高弾性・高防滑性樹脂で成形された前記帯状領域の一部に載置されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシートパレット。
【請求項3】
前記ハイブリッド領域が形成されている前記載置部の他の辺部に.ハイブリッド領域が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシートパレット。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−111397(P2010−111397A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282868(P2008−282868)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】