説明

シートファイル処理装置および画像形成システム

【課題】シートファイルに用紙を効率よく収納することを可能にする。
【解決手段】シートファイルを所定の姿勢で保持するシートファイル保持部23と、シートファイルに収納する用紙をスタックする用紙スタック部(用紙スタック・挿入部25)と、シートファイルをシートファイル保持部23に搬送するシートファイル搬送部22と、用紙を用紙スタック部に搬送する用紙搬送部24と、スタック後の用紙の前進端が前記シートファイル保持部に保持されているシートファイルの二つの前記開放縁辺にそれぞれ跨るように前記シートファイルに対し面方向で傾いた方向に沿って前記用紙を相対的に移動させて前記二つの開放縁片間から前記シートファイル内に挿入する用紙挿入部(用紙スタック・挿入部25)とを備えることで、二つの開放縁辺を利用して用紙の挿入動作を容易かつ確実に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対向するシート片間に書類などの用紙を挟んで収納するシートファイルに前記用紙を収納するシートファイル処理装置および該シートファイル処理装置を備える画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリアファイルなどのシートファイルでは、対向するシート片の二縁片を開放し、他の縁片を連結した状態にして書類などの用紙の出し入れを可能にしており、書類の整理や資料の取り纏めなどに活用されている。
上記シートファイルは、通常は一枚のシートを折り曲げて対向するシート片の一縁片を接着することで工業的に製造されている。また、Z折り葉書などの製造では、収納用紙を挟むようにしてファイルを一体にして製造する工程が採用されている(例えば特許文献1参照)が、前記シートファイルに用紙を収納する場合、Z折り葉書のような製造工程の採用は困難である。該シートファイルに用紙を収納する場合、図6(a)に示すように、別工程で製造されたシートファイル40の開放縁辺41、41を開け、用紙束45を前記開放縁辺41、41に向けて移動させることで該用紙45をシートファイル40内に収納することが現実的な方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−335320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、用紙束を移動させて開放縁辺41、41間に挿入する場合、図6に示すように挿入位置がずれると、用紙束45の前進端がシートファイル40の連結縁辺42の外側に当たって挿入が困難になったり(図6(b))、用紙束45の端部がシートファイル40からはみ出して挿入されたりする(図6(c))。クリアファイル40から用紙束45がはみ出したまま搬送すると、はみ出した部分が搬送経路で他部材と引っかかったりしてジャムが生じたりするおそれがある。このため、クリアファイルに対する用紙の挿入位置の精度を高く保つ必要があり、装置コストが増大するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、用紙の挿入位置精度をそれほど高くしなくても用紙をクリアファイル内に容易に挿入することができるシートファイル処理装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシートファイル処理装置のうち、第1の本発明は、
対向するシート片の縁辺同士が、隣接する二つの縁辺においてそれぞれ開放され、他の縁辺で連結されたシートファイルを所定の姿勢で保持するシートファイル保持部と、
前記シートファイルに収納する用紙をスタックする用紙スタック部と、
前記シートファイルを前記シートファイル保持部に搬送するシートファイル搬送部と、
前記用紙を前記用紙スタック部に搬送する用紙搬送部と、
スタック後の用紙の前進端が前記シートファイル保持部に保持されているシートファイルの二つの前記開放縁辺にそれぞれ跨るように前記シートファイルに対し面方向で傾いた方向に沿って前記用紙を相対的に移動させて前記二つの開放縁片間から前記シートファイル内に挿入する用紙挿入部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第1の本発明によれば、シートファイルの二つの開放縁辺を通して用紙がシートファイル内に挿入されるので、一つの開放縁片を通して挿入する場合よりも広い領域を利用して挿入動作がなされ、挿入位置のずれに対する許容度が高くなる。これにより格別に高い精度による挿入動作は不要とされ、挿入動作が円滑になされる。また、用紙がシートファイルに対し斜めに挿入されることで、シートファイルからの用紙のはみ出しがあってもはみ出し側を後方にして搬送することでシートファイル搬送の支障になりにくい。また、シートファイルに挿入された用紙の傾きは容易に修正することができる。用紙の傾き修正は、用紙の挿入に伴って行われるものであってもよく、また、用紙挿入後、修正処理を行うものであってもよい。
なお、用紙はシートファイルへの挿入に際し、シートファイルに対し相対的に移動するので、用紙、シートファイルのいずれが移動するものであってもよく、また、両方が移動するものであってもよい。
【0008】
第2の本発明のシートファイル処理装置は、前記第1の本発明において、前記用紙の挿入に際し、開放された前記縁辺同士を開く開口手段を備えることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明によれば、シートファイルへの用紙の挿入時に開放縁片同士を開口手段で開くことで挿入作業を確実に行うことができる。
開口手段の構成は本発明としては特に限定されるものではなく、例えば、開放縁片間に開口具などを差し込んで両者を広げたり、開放縁片をそれぞれつかんで広げたりする機構によって構成することができる。また、開放縁片を外面側から吸着して開放縁片を外側に広げたり、開放縁片間に空気などのガスを吹き込んでガス圧で開放縁片間を広げたりする構成などを採用することができる。
【0010】
第3の本発明のシートファイル処理装置は、前記第1または第2の本発明において、前記シートファイル保持部は、シート面が水平になるように前記シートファイルを保持するものであり、前記用紙挿入部は、横にした前記用紙を相対的に横方向に移動させて前記開放縁辺間から挿入するものであることを特徴とする。
【0011】
第3の本発明によれば、シートファイルを水平にした姿勢で保持し、このシートファイルに対し、横(例えば水平)にした用紙を挿入することができる。
【0012】
第4の本発明のシートファイル処理装置は、前記第1または第2の本発明において、前記シートファイル保持部は、シート面が鉛直になって二つの前記開放縁辺が斜め上側に向くように鉛直方向に対し傾けて前記シートファイルを保持するものであり、前記用紙挿入部は、前記シートファイルの上側から縦にした前記用紙を相対的に下方向に移動させて前記開放縁辺間から挿入するものであることを特徴とする。
【0013】
第4の本発明によれば、シートファイルを鉛直にした姿勢で保持し、このシートファイルに対し、縦(例えば紙面を鉛直)にした用紙を相対的に下方向に移動させることでシートファイルへの挿入を容易に行うことができる。この際にシートファイルは、二つの開放された縁辺が斜め上側に向くように傾けられて保持されており、用紙挿入に際し、用紙の自重によってシートファイルの方向に沿って用紙の傾きを修正することも可能になる。
【0014】
第5の本発明のシートファイル処理装置は、前記第4の本発明において、前記用紙挿入部は、前記用紙の相対的な移動に際し、前記用紙の側端縁が鉛直方向に沿った状態で、または鉛直方向よりも前記シートファイル保持部で保持された前記シートファイルの傾き方向に傾いた状態で、前記用紙を移動させることを特徴とする。
【0015】
第5の本発明によれば、シート面が鉛直になるように配置したシートファイルに用紙を相対的に下方向に移動させる際に、自重による用紙の傾き修正がより確実になる。
なお、前記シートファイルと前記用紙の傾きの角度は、例えば30度以内にすることができる。該角度では、用紙のはみ出し量を少なくし、また用紙の傾き修正を容易にする。
【0016】
第6の本発明のシートファイル処理装置は、前記第1〜第5の本発明のいずれか1項において、前記用紙挿入部は、前記シートファイルの長尺方向と傾きを有しつつ前記用紙の長尺方向に沿って該用紙を移動させることを特徴とする。
【0017】
第6の本発明によれば、挿入時の用紙の相対的な移動量を大きくでき、シートファイルと用紙の長尺方向同士を沿わせた挿入を可能にする。
【0018】
第7の本発明のシートファイル処理装置は、前記第6の本発明において、前記用紙挿入部は、前記用紙の相対的な移動に際し、該用紙の前進に伴って該用紙の先端を前記シートファイルの連結縁辺内面に当てつつ移動させて前記連結縁辺に沿って用紙の一側端縁が沿うように用紙の姿勢変更を可能にしていることを特徴とする。
【0019】
第7の本発明によれば、シートファイルの連結縁辺に用紙の先端を沿わせるようにして用紙の相対的な移動を行うことで、用紙の姿勢修正を容易にする。
【0020】
第8の本発明のシートファイル処理装置は、前記第1〜第7の本発明のいずれか1項において、画像データに基づいて用紙に画像形成を行い、該用紙を排紙する画像形成装置に接続されており、前記用紙搬送部は、該画像形成装置から排紙される前記用紙を受けて搬送するものであることを特徴とする。
【0021】
第8の本発明によれば、画像形成装置で画像形成された用紙をインラインで受けてシートファイルへの前記用紙の収納を行うことができる。
【0022】
第9の本発明の画像形成システムは、画像データに基づいて前記用紙に画像形成を行い、該用紙を排紙する画像形成装置と、第8の本発明のシートファイル処理装置とを備えることを特徴とする。
【0023】
第9の本発明によれば、画像形成した用紙をインラインでシートファイルに収納することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明のシートファイル処理装置によれば、シートファイルの二つの開放縁辺を利用して用紙の挿入動作を行うことができ、正確な挿入動作を必要とすることなく容易にシートファイル内への用紙挿入を行うことができる。
また、本発明の画像形成システムによれば、画像形成装置において画像形成によって印刷が行われた用紙をインラインで効率よくシートファイル内に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態のシートファイル処理装置および画像形成システムを示す概略図である。
【図2】同じく、シートファイル保持部周辺での用紙挿入状態を示す正面図である。
【図3】本発明の他の実施形態のシートファイル処理装置を示す概略図である。
【図4】同じく、シートファイル保持部周辺での用紙挿入状態を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるシートファイル処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】シートファイルへの用紙の挿入状態を示す図であり(図a)、シートファイルへの用紙挿入位置がずれて、用紙挿入ができない状態を示す図(図b)、用紙がずれたまま挿入された状態を示す図(図c)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、画像形成装置10と、シートファイル処理装置20とが順次接続された画像形成システム1の概略を示すものであり、シートファイル処理装置20は、画像形成装置10に対する後処理装置として備えられている。
【0027】
画像形成装置10は、用紙Pを収納する給紙トレイ2と、該給紙トレイ2から用紙を給紙して搬送する給紙搬送部3と、該給紙搬送部3によって搬送される用紙に画像形成を行う画像形成部4と、画像形成された用紙の定着を行う定着部5と、操作者による操作入力および情報の表示がなされる操作表示部6と、画像形成装置1全体を制御する画像形成制御部7とを備えている。上記定着部5で定着された用紙は、後段のシートファイル処理装置20に排紙される。
【0028】
シートファイル処理装置20は、シートファイルFを収納するシートファイルトレイ21と、該シートファイルトレイ21からシートファイルを給送して搬送し、シートファイル保持部23に搬送するシートファイル搬送部22を備えている。また、シートファイル処理装置20は、前記画像形成装置10から排紙される用紙を搬送して用紙スタック・挿入部25に搬送する用紙搬送部24を備えている。用紙スタック・挿入部25は、本発明における用紙スタック部および用紙挿入部に相当する。
【0029】
さらに、シートファイル処理装置20は、シートファイル保持部23の近傍に、保持されているシートファイルの開放縁辺間を開口する送風ファン26が設置されており、該送風ファン26は、本発明の開口手段に相当する。
シートファイル保持部23で保持されて用紙が挿入されたシートファイルFは、シートファイル排出部27で装置外に排出されて排出トレイ28に積載されるように構成されている。また、シートファイル処理装置20には、該シートファイル処理装置20全体を制御するシート処理制御部29を備えており、該シート処理制御部29は、前記画像形成装置1における画像形成制御部7の制御指令を受ける。
【0030】
なお、この実施形態では、前記のようにシートファイル処理装置20が画像形成装置1の後処理装置として使用されているが、シートファイル処理装置が単独の装置として使用されるものであってもよい。この場合、シートファイル処理装置内に用紙を収納して給紙するようにしてもよく、シートファイル処理装置外に用紙を給紙する装置を接続するようにしてもよい。
【0031】
次に、上記画像形成システムの動作について説明する。
画像形成装置10では、画像形成制御部7の制御に基づいて、操作表示部6における実行指令などに基づいて、画像形成部4で画像データに基づいて画像形成が行われる。この際に、操作表示部6では、画像形成を伴うJOBでシートファイルとしてのクリアファイルに用紙を挿入するモードとするか、クリアファイルを用いないモードとするかを選択することができる。
画像形成に際しては、給紙トレイ2から給紙搬送部3によって用紙Pが給紙、搬送され、用紙への転写がなされ、定着部5で定着されて画像形成装置10からシートファイル処理装置20に排紙される。
【0032】
シートファイル処理装置20では、シートファイルを用いないモードの場合、用紙搬送部24によって用紙が搬送され、図示しない排紙トレイなどに該用紙が排紙される。
シートファイルを用いるモードの場合、シートファイル処理制御部29では、画像形成制御部7の制御指令を受け、シートファイルに印刷がされた用紙を挿入する処理を行う。
該処理では、画像形成装置10から排紙される用紙Pを用紙搬送部24で搬送し、用紙スタック・挿入部25のスタック機構によって所定枚数の用紙Pのスタックを行う。該枚数は予め設定されており、シートファイル処理制御部29によって用紙Pのスタックが制御される。
【0033】
一方、シートファイルトレイ21からシートファイルFを取り出してシートファイル搬送部22によって搬送する。なお、シートファイルトレイ21では、取り出し方向にシートファイルFの長尺方向が沿い、かつシートファイルFの短尺な連結片が前方端側に位置するように収納されている。これによりシートファイルFの後方端には開放縁辺が位置している。
シートファイル搬送部22で搬送されるシートファイルFは、搬送の結果、上下を逆にしてシートファイル保持部23で保持される。該保持においてシートファイルFは、図2に示すように、鉛直方向に対し、角度θで長尺方向が傾いた姿勢に保持される。これにより、隣接する二つの開放縁辺F1、F2がそれぞれ斜め上方に向いた状態になる。傾きの角度θは30度以下とする。
【0034】
また、シートファイル保持部23には、前記したように送風ファン26が配置されており、開放縁辺F1、F2に対し、送風する。該送風による風圧で開放縁辺F1、F2でそれぞれ縁辺同士が開いて用紙の挿入に備えられる。
用紙スタック・挿入部25では、所定枚数の用紙のスタックが完了すると、スタックされた用紙Pを下方に移動させて開放縁辺F1、F2を開いているシートファイルFに挿入する。この際に用紙Pの前進端は、開放縁辺F1、F2に跨る位置で長尺方向が鉛直方向に沿った状態で直下に移動しており、広い領域の開放部分を利用して挿入動作を行うことができ、シートファイルの連結辺外側に用紙の前進端が当たって挿入不可になるのを回避できる。これによってシートファイルFと用紙Pとは、傾き角度θを有して用紙Pが挿入される。前進する用紙Pは、シートファイルFの長尺な連結辺F3の内面に前進端が当たり、該連結辺F3の内面方向に沿いつつ方向を変えて下降し、自重によって用紙Pの長尺縁部がシートファイルFの長尺な連結辺に沿った位置に納まって挿入が終了する。用紙Pの姿勢がシートファイルFに沿った状態に変更されるように、用紙を移動させる用紙スタック・挿入部25の拘束力を後半では弱くするのが望ましい。
【0035】
用紙が挿入されたシートファイルFは、図1に示す搬送ローラ23a、23aによって厚さ方向に圧着して開口している開口縁辺F1、F2を閉じ、また、用紙とシートファイルとの位置ずれが生じないように、圧着した状態でシートファイル排出部27まで搬送するのが望ましい。シートファイル排出部27に搬送されたシートファイルは排出トレイ28に次々と排出されて載積される。
【0036】
なお、上記実施形態では、用紙の長尺縁部を鉛直方向に沿って移動させるものとしたが、用紙をシートファイルの傾き方向に傾けた状態でシートファイルに挿入することも可能であり、これにより、用紙がシートファイルの連結縁辺側に傾倒して連結縁辺に用紙の長尺縁部が沿いやすくなる。
また、上記実施形態では、用紙の長尺縁部が縦になるようにして移動させるものとしたが、用紙の短尺縁部を縦にして移動させるようにしてもよく、この場合、シートファイル保持部では、シートファイルの短尺な連結片が縦方向に沿うように保持して挿入動作を行う。
【0037】
また、上記実施形態では、シートファイルをシート面が鉛直になるように保持して用紙を下方に移動させて用紙の挿入を行ったが、シートファイルを水平にして、用紙を横方向から挿入するようにしてもよい。この実施形態のシートファイル処理装置を図3、4に基づいて説明する。
【0038】
該シートファイル処理装置30は、シートファイルFを載せ置くシートファイル積載部31と、該シートファイル積載部31から搬送されるシートファイルFをシートファイル保持部33に搬送するシートファイル搬送部32を備える。
また、シートファイル処理装置30は、図示しない画像形成装置から排紙される用紙Pを受けて用紙スタック部35に搬送する用紙搬送部34を備えており、用紙スタック部35の近傍には、スタックされた用紙をシートファイルFに挿入する用紙挿入部としての用紙送りローラ36が備えられている。
【0039】
さらに、シートファイル保持部33の近傍には、保持されているシートファイルFの開放縁辺間を開口する送風ファン37が設置されており、該送風ファン37は、本発明の開口手段に相当する。
シートファイル保持部33の排出側には、用紙が挿入された用紙を排出するシートファイル排出部38が備えられており、該シートファイル排出部38は図示しない排出トレイなどに接続されている。
また、シートファイル処理装置30には、該シートファイル処理装置30全体を制御するシート処理制御部39を備えている。
【0040】
上記シートファイル処理装置30の動作について説明する。
シートファイル処理装置30では、シートファイルを用いないモードの場合、画像形成装置などの外部から導入された用紙は用紙搬送部34によって搬送され、図示しない排紙トレイなどに排紙される。
シートファイルを用いるモードの場合、外部から導入される用紙を用紙搬送部34で搬送し、用紙スタック部35に所定枚数の用紙をスタックする。該枚数は予め設定されており、シートファイル処理制御部39によって制御される。
【0041】
一方、シートファイル積載部31からシートファイルFを取り出してシートファイル搬送部32によってシートファイル保持部33に搬送する。なお、シートファイル積載部31では、取り出し方向にシートファイルFの長尺方向が沿い、かつシートファイルFの短尺な連結片が前進端側に位置するように収納されている。これによりシートファイルFの後方端には開放縁辺が位置している。
シートファイル搬送部32で搬送されるシートファイルFは、搬送に際し略90度回転し、シートファイル保持部23で面方向が水平状態になるように保持される。該保持においてシートファイルFは、図4に示すように、用紙の挿入方向に対し、角度θ1で長尺方向が傾いた姿勢に保持される。傾きの角度θ1は望ましくは30度以下とする。
【0042】
また、シートファイル保持部33には、前記したように送風ファン37が配置されており、開放縁辺F1、F2に対し、送風する。該送風による風圧で開放縁辺F1、F2でそれぞれ縁辺同士が開いて用紙Pの挿入に備えられる。
用紙スタック部35で、所定枚数の用紙のスタックが完了すると、スタックされた用紙Pは、用紙送りローラ36によってシートファイル保持部33で保持されたシートファイルFに向けて水平方向に送られ、開放縁辺F1、F2を開いているシートファイルFに挿入される。この際に用紙Pの前進端は、開放縁辺F1、F2に跨る位置で横方向に移動しており、広い領域の開放部分を利用でき、シートファイルの連結辺F3の外側に用紙の前進端が当たることなく挿入を行うことができる。これによってシートファイルFと用紙Pとは、傾き角度θ1を有して用紙Pが挿入される。前進する用紙Pは、シートファイルFの長尺な連結辺F3の内面に前進端が当たり、該連結辺F3の内面方向に沿いつつ方向を変えて前進し、用紙Pの長尺縁部がシートファイルFの長尺な連結辺F3に沿った位置に納まるように挿入がなされる。
【0043】
用紙が挿入されたシートファイルFは、シートファイル排出部38を通して排出トレイなどに次々と排出される。
上記各実施形態では、用紙の挿入に際し用紙の姿勢が変わり、シートファイルの向きに用紙の向きが沿うものとして説明したが、用紙の挿入に際し用紙の姿勢が変わることなくシートファイルに挿入されるものであってもよい。この場合、用紙の後方端がシートファイルの側方からはみ出すことがあるが、搬送の際に、はみ出し部分が後方になるような向きにすることで他部材との引っかかりを回避することができる。また、搬送路の側方に修正板や修正ローラなどを修正部材を配置し、はみ出し部分がこれらの修正部材と接触することで用紙の向きが修正されるようにしてもよい。
【0044】
次に、上記シートファイル処理装置20における処理手順について図5のフローチャートに基づいて説明する。該処理手順は、シートファイル処理制御部29によって実行される。なお、シートファイル処理装置30における処理手順も同様に行われる。
シートファイルとしてクリアファイルの処理が開始すると、モードの確認がなされる(ステップS1)。モードの設定は、画像形成装置10において操作表示部6において選択入力することができる。該選択結果は、画像形成制御部7を通してシートファイル処理制御部29に通知されている。
なお、モードとしては、クリアファイルに対する用紙挿入なしの場合(通常モード)と、クリアファイルに対する用紙挿入ありの場合(挿入モード)とがある。
【0045】
モードが通常モードの場合(ステップS1、N)、通常モードで処理がなされ(ステップS2)、通常モード終了後はステップS1に戻る。モードが挿入モードの場合(ステップS1、Y)、該挿入モードの実行に移行する(ステップS3)。
次いで、シートファイルトレイ21におけるクリアファイルの有無が判定される(ステップS4)。クリアファイルの有無は、光学式の有無センサなどによって検知することができる。クリアファイルがないと判定される場合(ステップS4、N)、画像形成装置10の操作表示部6や、シートファイル処理装置20に表示部を備える場合、該表示部にクリアファイル無し表示を行い(ステップS5)、クリアファイルがセットされるまで同処理を繰り返す(ステップS4へ)。
【0046】
シートファイルトレイ21にクリアファイルがある場合(ステップS4、Y)、画像形成装置10での出力をスタートし、印刷がなされた用紙をシートファイル処理装置20に導入し、用紙搬送部24で搬送する(ステップS6)。該出力に伴って、シートファイルトレイ21にあるクリアファイルをシートファイル搬送部22によってシートファイル保持部23に送り込む(ステップS7)。シートファイル保持部23では、送り込まれたクリアファイルが所定の位置にあるか否かの判定がなされる(ステップS8)。クリアファイルが所定の位置にあるか否かは適宜のセンサで検知することができる。クリアファイルが所定の位置にあることが検知されるまで待機し(ステップS8、N)、クリアファイルが所定の位置にあると判定されると(ステップS8、Y)、クリアファイルの開放縁辺の開口動作を行う(ステップS9)。開口動作は、送風ファン26の風圧によって対向する開放縁辺同士を開くことによって行う。
【0047】
開口動作は継続しつつ、用紙スタック部(この実施形態では用紙スタック・挿入部25)に所定枚数の用紙がスタックされたか否かの判定がなされる(ステップS10)。該判定は、用紙スタック部に搬送される用紙をカウントし、設定値と比較することにより行うことができる。所定枚数の用紙がスタックされるまで待機し(ステップS10、N)、所定枚数の用紙がスタックされると(ステップS10、Y)、用紙スタック部の用紙束を用紙挿入部(実施形態では用紙スタック・挿入部25)によってクリアファイルに挿入する(ステップS11)。挿入動作が完了すると、送風ファンを停止して、クリアファイルの開口動作を停止して、開放縁辺を閉口させる(ステップS12)。
用紙を挿入したクリアファイルは、図示しない搬送ローラ23a、23aで圧着する(ステップS13)。該圧着によって上記閉口動作が完了する。搬送ローラ23a、23aで圧着したままクリアファイルを搬送し、シートファイル排出部27を通して排出トレイ28に排出し(ステップS14)、処理を終了する。
【0048】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成システム
7 画像形成制御部
10 画像形成装置
20 シートファイル処理装置
21 シートファイルトレイ
22 シートファイル搬送部
23 シートファイル保持部
24 用紙搬送部
25 用紙スタック・挿入部
26 送風ファン
29 シートファイル処理制御部
30 シートファイル処理装置
31 シートファイル積載部
32 シートファイル搬送部
33 シートファイル保持部
34 用紙搬送部
35 用紙スタック部
36 用紙挿入部
37 送風ファン
39 シートファイル処理制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向するシート片の縁辺同士が、隣接する二つの縁辺においてそれぞれ開放され、他の縁辺で連結されたシートファイルを所定の姿勢で保持するシートファイル保持部と、
前記シートファイルに収納する用紙をスタックする用紙スタック部と、
前記シートファイルを前記シートファイル保持部に搬送するシートファイル搬送部と、
前記用紙を前記用紙スタック部に搬送する用紙搬送部と、
スタック後の用紙の前進端が前記シートファイル保持部に保持されているシートファイルの二つの前記開放縁辺にそれぞれ跨るように前記シートファイルに対し面方向で傾いた方向に沿って前記用紙を相対的に移動させて前記二つの開放縁片間から前記シートファイル内に挿入する用紙挿入部と、を備えることを特徴とするシートファイル処理装置。
【請求項2】
前記用紙の挿入に際し、開放された前記縁辺同士を開く開口手段を備えることを特徴とする請求項1記載のシートファイル処理装置。
【請求項3】
前記シートファイル保持部は、シート面が水平になるように前記シートファイルを保持するものであり、前記用紙挿入部は、横にした前記用紙を相対的に横方向に移動させて前記開放縁辺間から挿入するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のシートファイル処理装置。
【請求項4】
前記シートファイル保持部は、シート面が鉛直になって二つの前記開放縁辺が斜め上側に向くように鉛直方向に対し傾けて前記シートファイルを保持するものであり、前記用紙挿入部は、前記シートファイルの上側から縦にした前記用紙を相対的に下方向に移動させて前記開放縁辺間から挿入するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のシートファイル処理装置。
【請求項5】
前記用紙挿入部は、前記用紙の相対的な移動に際し、前記用紙の側端縁が鉛直方向に沿った状態で、または鉛直方向よりも前記シートファイル保持部で保持された前記シートファイルの傾き方向に傾いた状態で、前記用紙を移動させることを特徴とする請求項4記載のシートファイル処理装置。
【請求項6】
前記用紙挿入部は、前記シートファイルの長尺方向と傾きを有しつつ前記用紙の長尺方向に沿って該用紙を移動させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシートファイル処理装置。
【請求項7】
前記用紙挿入部は、前記用紙の相対的な移動に際し、該用紙の前進に伴って該用紙の先端を前記シートファイルの連結縁辺内面に当てつつ移動させて前記連結縁辺に沿って用紙の一側端縁が沿うように用紙の姿勢変更を可能にしていることを特徴とする請求項6に記載のシートファイル処理装置。
【請求項8】
画像データに基づいて用紙に画像形成を行い、該用紙を排紙する画像形成装置に接続されており、前記用紙搬送部は、該画像形成装置から排紙される前記用紙を受けて搬送するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシートファイル処理装置。
【請求項9】
画像データに基づいて前記用紙に画像形成を行い、該用紙を排紙する画像形成装置と、請求項8記載のシートファイル処理装置とを備えることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−91889(P2012−91889A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238679(P2010−238679)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】