説明

シート供給装置

【課題】 積み重ねられたシート状物1を一枚ずつ供給する際に、シート状物1が反っている場合でも、確実な供給を可能にする。
【解決手段】 シート状物1の供給方向に往復動する支持体8と、該支持体8に中間部を回動自在に支持されてシート状物1の供給方向に延びるシーソー体10とを設ける。そして、該シーソー体10の両端部に、シート状物1に接触し、支持体8の往復動による供給方向への移動時にはシート状物1と摩擦係合し、供給方向と反対側への移動時にはシート状物1と摩擦係合しないように、一方向のみに回転可能な一対のローラ13,14を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積み重ねられたシート状物を一枚ずつ外部へ供給するシート供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シート供給装置としては、積み重ねられたシート状物を一枚ずつ外部へ供給できるように、一対のローラをそれぞれ一方向のみに回転可能として、シート状物に接触させ、これらのローラの供給方向への移動時には、ローラが回転することなく、シート状物を摩擦により押して連行することでシート状物を送り出し、供給方向と反対側への移動時には、ローラが回転して、シート状物を摩擦により押すことなく、ローラのみが戻るようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ローラは、シートを確実に供給するために、多数設けるのが望ましいが、シート状物が反っている場合に、多数のローラのうち、1個しか接触せず、その効果を十分に発揮させることができなかった。本発明は、このような点に鑑み、シート状物が反っている場合の供給の確実性を高めることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシート供給装置は、積み重ねられたシート状物を一枚ずつ外部へ供給するため、シート状物の供給方向に往復動する支持体と、該支持体に中間部を回動自在に支持されてシート状物の供給方向に延びるシーソー体と、該シーソー体の両端部にそれぞれ取付けられて、シート状物に接触し、前記支持体の往復動による供給方向への移動時にはシート状物を摩擦力にて押し、供給方向と反対側への移動時にはシート状物を摩擦力にて押さない一対の接触部材と、を含んで構成される。
【0005】ここで、前記接触部材は、一方向のみに回転可能なローラであるとよい。
【0006】
【発明の効果】本発明によれば、シート状物が反っている場合、シーソー体が適宜回動して、シート状物の反りに追従し、反りの有無にかかわらず、シーソー体両端の接触部材がシート状物に常に接触して、確実に供給できる。接触部材として、一方向に回転し、反対方向には回転しないローラを用いることで、必要な機能を簡単に実現できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。本実施形態でのシート供給装置は、段ボール等のシート状物1を多数積み重ねて貯蔵し、最下側のシート状物1から順に一枚ずつ組立工程等に供給するものである。
【0008】貯蔵部の前側(供給方向側)には、ゲート板2が配置され、ゲート板2の下端より下側に間隙を保って案内ローラ3が配置されている。ゲート板2と案内ローラ3との間隙は、最下側の一枚のシート状物1のみが通過可能となっている。更に、ゲート板2と案内ローラ3との間隙の供給方向前方には、上下一対の繰り出しローラ4,5が配置されている。
【0009】貯蔵部の下側には、供給方向に往復動可能なテーブル6が設けられ、このテーブル6はシリンダ7により往復動される。テーブル6上には支持体8が立設され、この支持体8先端のピン9にシーソー体10の中間部が回動自在に支持されている。そして、シーソー体10の両端部に、一方向ベアリング11,12を介して、接触部材としてのローラ13,14を一方向(図で時計方向)のみに回転自在に支持してある。これらのローラ11,12はシート状物1を下側から支持している。また、ローラ13,14はシート状物1との摩擦係数が大となるように、少なくとも表面をゴム製としてある。
【0010】また、テーブル6上には、ブラケット15を介して爪部材16が固定され、またその後方にブラケット17を介して案内ローラ18が配置されている。この爪部材16は、テーブル6の供給方向への移動時に、最下側のシート状物1の後端を引っ掛けて移動させることができ、このとき、案内ローラ18は次に供給するシート状物1の下に入り、供給後の後退時に爪部材16がシート状物1に引っ掛かるのを防止できる。
【0011】次に供給動作について説明する。シート状物1を供給する際は、シリンダ7の出力ロッドを引込めて、テーブル6を供給方向に前進させる。これにより、一対のローラ13,14が前進し、これらのローラ13,14は反時計方向には回転できないので、シート状物1と摩擦係合した状態でシート状物1を連行する。
【0012】これにより、シート状物1の先端がゲート板2と案内ローラ3との間の間隙に進入せしめられ、更に上下一対の繰り出しローラ4,5間に送り込まれて、これら繰り出しローラ4,5により繰り出される。また、ローラ13,14による供給時、爪部材16がシート状物1の後端に当接して、送りを補助する。このとき、案内ローラ18は次に供給するシート状物1の下側に入り込んでいる。
【0013】供給を終えて、テーブル6が戻る際は、一対のローラ13,14は、時計方向に回転可能であるので、その方向に回転しつつ、すなわちシート状物1と摩擦係合することなく、スムーズに戻ることができる。また、案内ローラ18によりシート状物1を持ち上げているので、爪部材16が引っ掛かることもない。
【0014】一方、図2に示すように、シート状物1が反っている場合を考えると、このときは、シーソー体10がピン9回りに適宜回動して、シート状物1の反りに追従することができる。よって、反りの有無にかかわらず、両方のローラ13,14がシート状物1に常に接触して、円滑に供給できる。尚、本発明に係るシート供給装置の供給対象とするシート状物としては、段ボールの他、厚紙、厚手のフィルム、シートなどが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す概略側面図
【図2】 シート状物が反っている場合の動作を示す概略側面図
【符号の説明】
1 シート状物
2 ゲート板
3 案内ローラ
4,5 繰り出しローラ
6 テーブル
7 シリンダ
8 支持体
9 ピン
10 シーソー体
11,12 一方向ベアリング
13,14 ローラ(接触部材)
15 ブラケット
16 爪部材
17 ブラケット
18 案内ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】積み重ねられたシート状物を一枚ずつ外部へ供給するシート供給装置であって、シート状物の供給方向に往復動する支持体と、該支持体に中間部を回動自在に支持されてシート状物の供給方向に延びるシーソー体と、該シーソー体の両端部にそれぞれ取付けられて、シート状物に接触し、前記支持体の往復動による供給方向への移動時にはシート状物へ摩擦力を与え、供給方向と反対側への移動時にはシート状物へ摩擦力を与えない一対の接触部材と、を含んで構成されるシート供給装置。
【請求項2】前記接触部材は、一方向のみに回転可能なローラである請求項1記載のシート供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平11−334908
【公開日】平成11年(1999)12月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−147519
【出願日】平成10年(1998)5月28日
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)