説明

シート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置

【課題】使用者が装置内に詰まったシートを引き抜く際に、シートの先端を規制するシャッターがシートの引き抜きを妨害しないシート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ジャム処理時に、原稿シート101が引き抜かれると分離ローラ54が逆転する。ローラギア58、アイドルギア61、シャッターギア、シャッター軸85が回転する。ワンウェイクラッチ80に逆転方向へのトルクが働く。被ストッパ部82はホルダ51の当接部53を押し上げる。ホルダ51は回転軸33を中心に上方に回転する。シャッター部81は原稿シート101の上面から離間する。故に原稿シート101の引き抜きを妨害しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナなどの原稿読取装置は、複数枚のシートを1枚ずつ繰り出して、読取位置に自動的に供給するADF(Auto Document Feeder)と称されるシート搬送装置を備えている。特許文献1が開示する給紙装置は、シートの装置内部への侵入を規制するためのシャッターを備える。シャッターは、ローラの駆動軸に、ワンウェイクラッチを介して連結している。駆動軸が停止状態のときには、シャッターにワンウェイクラッチを介して駆動系の負荷が伝達される。従って、駆動軸が停止状態のときには、シャッターによりシートの侵入が規制される。駆動軸が回転すると、シャッターは回転自在となる。従って、駆動軸が回転すると、シャッターは、原稿の先端により押し上げられる。シャッターが押し上げられることにより、シートは侵入可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−29639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている給紙装置では、シートが装置内に詰まり、使用者がそのシートを引き抜こうとすると、ローラは逆回転する。すると、シャッターがシートの引き抜きを妨害してしまい、シートを引き抜き辛いという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、使用者が装置内に詰まったシートを引き抜く際に、シートの先端を規制するシャッターがシートの引き抜きを妨害しないシート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るシート搬送装置は、搬送路に沿ってシートを搬送するシート搬送装置であって、ローラ軸回りに回転可能に設けられ、前記ローラ軸回りに正転することで前記シートを搬送するローラと、前記ローラ軸回りに回転可能に前記ローラ軸に設けられたホルダと、を備え、前記ホルダに、前記ローラ軸に設けられ、前記ローラを駆動するためのローラ駆動ギアを有するローラギア機構と、前記シートの搬送方向において前記ローラ軸の上流側に設けられたシャッター軸に回転可能に設けられ、前記ローラへの前記シートの侵入を規制するためのシャッターと、前記シャッター軸に設けられ、前記ローラギア機構と前記シャッターとを連結するためのシャッターギア機構と、前記ローラギア機構、及び前記シャッターギア機構のいずれかに設けられ、前記ローラが正転する場合に、前記ローラギア機構と前記シャッターとの連結を解除するワンウェイクラッチと、前記ローラギア機構、及び前記シャッターギア機構のいずれかに設けられ、前記ローラの逆転を許容するためのトルクリミッタと、が設けられ、前記ホルダは、前記ローラが逆転する場合に、前記ローラ軸回りに逆転することを特徴とする。
【0007】
第1態様に係るシート搬送装置では、ローラはローラ軸周りに正転する。ワンウェイクラッチは、ローラギア機構とシャッターとの連結を解除する。シャッターはフリーの状態になるので、ローラへのシートの侵入を許容する。シートは、ローラにより搬送路に沿って搬送される。ローラが駆動しない場合、シャッターは動かないので、シートはローラに侵入できない。シートが搬送路内で詰まり、使用者がシートの搬送方向とは逆方向に詰まったシートを引き抜く場合、シートに接触するローラは逆転する。ホルダは、ローラ軸回りに逆転する。ホルダの逆転により、ホルダに設けたシャッターがシートから離間する。それ故、シャッターがシートの引き抜きを妨害しないので、シートを容易に引き抜くことができる。トルクリミッタは、ローラの逆転を許容する。よって、使用者は搬送路内に詰まったシートを容易に引き抜くことができる。
【0008】
また、第1態様において、前記ローラが逆転する場合に、前記シャッターの回転を規制するシャッター規制部を備えるようにしてもよい。詰まったシートが引き抜かれる際に、ローラが逆転すると、シャッター規制部はシャッターの回転を規制する。シャッターの回転が規制されるので、シャッター軸、シャッターギア機構、ローラギア機構、及びローラの回転が規制される。その状態でさらにシートが引き抜かれるので、ローラは逆転し続け、シャッター規制部が逆転する。この逆転によりホルダを回転させることができるので、シャッターをシートから確実に離間させることができる。
【0009】
また、第1態様において、前記ホルダの回転を規制するホルダ規制部を備えるようにしてもよい。ホルダ規制部がホルダの回転を規制することにより、ホルダを所定の位置で停止させる。それ故、ローラに逆転方向へ強いトルクを発生させることができる。トルクリミッタは、ローラとローラギア機構との連結を解除することにより、ローラの逆転を許容できる。よって、使用者は搬送路内に詰まったシートを容易に引き抜くことができる。
【0010】
また、第1態様において、前記ローラギア機構は、前記ローラ軸に設けられたローラギアを備え、前記シャッターギア機構は、前記シャッター軸に設けられたシャッターギアを備え、前記トルクリミッタは、前記ローラギアに設けられ、前記シャッターギアは、前記ローラギアより、歯数が多くなるようにしてもよい。それ故、シャッターの回転速度よりも、ローラの回転速度の方が速くすることが出来る。従って、搬送路内に詰まったシートを引き抜く際に、トルクリミッタのトルクを下げることができる。故に、搬送路内に詰まったシートを軽い力で引き抜くことができる。
【0011】
また、第1態様において、前記ローラよりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記ローラに向けて前記シートを給送する給送ローラを備えてもよい。それ故、ローラは給送ローラによって給送されたシートを搬送できる。
【0012】
また、第1態様において、前記給送ローラの周速よりも前記シャッターの周速の方が大きくなるようにしてもよい。それ故、シャッターを速やかにローラへのシートの侵入を許容する位置に移動させることができる。
【0013】
また、第1態様において、前記シャッターを前記搬送路に向けて付勢する弾性部材を備えるようにしてもよい。この付勢により、複数枚のシートの搬送が完了した後、シャッターは、次に搬送される複数枚のシートのローラへの侵入を規制するための規制位置に戻すことが出来る。
【0014】
また、第1態様において、前記ローラは、前記シートを分離して搬送する分離ローラであってもよい。それ故、本態様は、シートを分離して搬送できる。
【0015】
本発明の第2態様に係る画像読取装置は、請求項1から8の何れかに記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送される前記シートの画像を読み取る読取部と、
を備えている。
【0016】
本発明の第3態様に係る画像形成装置は、請求項9に記載の画像読取装置と、前記読取部によって読み取られた画像に基づいて記録媒体に画像形成を行う画像形成部と、を備えている。
【0017】
第2態様に係る画像読取装置、及び第3態様に係る画像形成装置において、ローラはローラ軸周りに正転する。ワンウェイクラッチは、ローラギア機構とシャッターとの連結を解除する。シャッターはフリーの状態になるので、ローラへのシートの侵入を許容する。シートは、ローラにより搬送路に沿って搬送される。ローラが駆動しない場合、シャッターは動かないので、シートはローラに侵入できない。シートが搬送路内で詰まり、使用者がシートの搬送方向とは逆方向に詰まったシートを引き抜く場合、シートに接触するローラは逆転する。ホルダは、ローラ軸回りに逆転する。ホルダの逆転により、ホルダに設けたシャッターがシートから離間する。それ故、シャッターがシートの引き抜きを妨害しないので、シートを容易に引き抜くことができる。トルクリミッタは、ローラの逆転を許容する。よって、使用者は搬送路内に詰まったシートを容易に引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係る複合機1の斜視図である。
【図2】ADF10の上部カバー32が開放された状態の上記複合機1の斜視図である。
【図3】上記複合機1の給紙ユニット50周辺の斜視図である。
【図4】上記給紙ユニット50の一部の上面を説明するための説明図である。
【図5】モータ停止時の上記給紙ユニット50の動作を説明するための説明図である。
【図6】モータ駆動時、および給紙時の上記給紙ユニット50の動作を説明するための説明図である。
【図7】ジャム処理時において原稿シート101が引き抜かれる際の上記給紙ユニット50の動作を説明するための説明図である。
【図8】上記複合機1の分離ローラ54が逆転しながら原稿シート101が引き抜かれる際の上記給紙ユニット50の状態を説明するための説明図である。
【図9】上記複合機1のホルダ51が上死点まで押し上げられた上記給紙ユニット50の状態を説明するための説明図である。
【図10】上記給紙ユニット50の変形例である給紙ユニット501周辺を上方から見た図である。
【図11】上記給紙ユニット50の変形例である給紙ユニット502周辺を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態であるADF10、画像読取装置20、及び複合機1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明する為に用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0020】
なお、以下説明において、図1の右斜め下方、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方を、複合機1の前方、後方、右方、左方とする。図2の右斜め下方、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方を、ADF10の前方、後方、右方、左方とする。図3の右斜め上方、左斜め下方、右斜め下方、左斜め上方を、給紙ユニット50の前方、後方、右方、左方とする。図3において、図3中A方向に示す後方から前方へ向けて原稿シートが搬送される方向を搬送方向とする。図3〜図9において、図3〜図9中B方向に示す左方から右方へ向けて原稿シート101が搬送される方向を搬送方向とする。図3〜図9において、搬送方向の後方を上流側、搬送方向の前方を下流側とする。図5において、反時計回りへの回転を正転、時計回りへの回転を逆転とする。
【0021】
先ず、複合機1の構成について説明する。図1に示す複合機1は、電話機能と、プリンタ機能と、スキャナ機能と、コピー機能と、ファクシミリ機能とを備えた多機能周辺装置である。複合機1は、本体部2の内部にプリンタ部4を備えている。複合機1は、本体部2の上部に原稿シートの画像を読み取る為の画像読取装置20を備えている。画像読取装置20の前面側には、操作パネル40が設けられている。複合機1は、操作パネル40により動作状況の表示、及び使用者による入力操作を可能とする。
【0022】
次に、画像読取装置20について説明する。図1に示すように、画像読取装置20は、ADF10を備えている。ADF10は、画像読取装置20に対して開閉自在に設けられている。ADF10が開かれることにより、画像読取装置20の上面が露出される。画像読取装置20の上面には、図示しないコンタクトガラスが設けられている。使用者はADF10を用いることなく画像の読み取りを実行する場合、ADF10を開き、コンタクトガラス上の所定の位置に原稿シートを載置する。その後、使用者はADF10を閉じ、操作パネル40を操作する。コンタクトガラスの下方には図示しないイメージセンサが設けられている。イメージセンサは、コンタクトガラス上に載置された原稿シートの画像を図示しないスライド軸に沿って移動しながら読み取る。イメージセンサが読み取った画像は、図示しないメモリに記憶される。
【0023】
プリンタ部4は、周知の露光装置、現像装置、及び定着装置などの画像形成部を備える。プリンタ部4は、給紙トレイ34に載置され、プリンタ部4の内部に搬送される記録媒体に現像剤像を転写して画像を形成する。本体部2は用紙排出部16を備えている。用紙排出部16は、本体部2の上部における排紙トレイ14の下方に設けられている。用紙排出部16はプリンタ部4にて画像形成が終了した用紙を受け取る。
【0024】
次に、ADF10について説明する。図1に示すように、ADF10は、画像読取装置20の上面を覆うように設けられている。ADF10は、原稿シートが載置される原稿トレイ12と、原稿シートが排出される排紙トレイ14とを備えている。原稿トレイ12及び排紙トレイ14は、上下方向に二段に配置されている。原稿トレイ12は、排紙トレイ14の上方に配置されている。原稿トレイ12は、複数枚の原稿シートを積層可能である。原稿トレイ12上には、一対の原稿ガイド17、18が各々設けられている。原稿ガイド17、18は、原稿シートの幅方向に移動可能である。原稿ガイド17、18は、原稿トレイ12上に載置された原稿シートの幅方向の位置を規制する。
【0025】
ADF10は、原稿トレイ12から引き出した原稿シートを図示しないU字状のU字搬送路に沿って搬送し、排紙トレイ14に排出する。ADF10は、U字搬送路の途中に、図示しない画像読取部を備える。従って、ADF10は、U字搬送路に搬送される原稿シートの画像を読み取ることが出来る。
【0026】
図2に示すように、ADF10は、支持フレーム30、31と、上部カバー32とを備えている。支持フレーム30は、原稿トレイ12の右側に立設され、搬送方向に沿って延出されている。支持フレーム31は、原稿トレイ12の左側に立設され、搬送方向に沿って延出されている。上部カバー32は、支持フレーム30、31の各後端部の間に渡設された図示しないカバー軸に軸支されている。それ故、上部カバー32は、図1に示す閉塞姿勢と図2に示す開放姿勢との間で姿勢変化が可能である。
【0027】
図2に示すように、上部カバー32を開くと、ADF10の内部構造が露出する。支持フレーム30、31の間には、回転軸33が回転可能に軸支されている。回転軸33の右端部には、図3に示すように、駆動ギア55が設けられている。駆動ギア55は、図示しないモータの駆動により、回転軸33を回転させる。回転軸33の中央には、給紙ユニット50が回転可能に設けられている。給紙ユニット50は、図5に示すように、原稿トレイ12に積層された原稿シート束100から原稿シート101を取り出し、1枚ずつ分離してU字搬送路へ搬送する。
【0028】
図3に示すように、給紙ユニット50の左右両側には、一対のシート押さえ121、122が回転軸33に各々設けられている。シート押さえ121、122は、原稿シート101を原稿トレイ12の上面に押さえる。図2に示すように、給紙ユニット50の搬送方向の下流側には、搬送ローラ41が設けられている。搬送ローラ41は、軸**周りに回転し、U字搬送路に沿って原稿シート101を搬送する。搬送ローラ41の搬送方向の下流側には、主ローラ42が設けられている。上部カバー32の裏面にはピンチローラ43が設けられている。ピンチローラ43は、主ローラ42に対向している。主ローラ42は、ピンチローラ43との協働により、U字搬送路の折り返し部分に沿って原稿シート101を折り返し、排紙トレイ14へ搬送する。
【0029】
次に、給紙ユニット50について説明する。図3〜図5に示すように、給紙ユニット50は、樹脂製のホルダ51を備えている。ホルダ51は、図2に示す支持フレーム30、31に支持された回転軸33に回転可能に取り付けられている。ホルダ51は、延出部56を備える。延出部56は、図5、及び図6に示すように、ホルダ51の回転軸33付近から搬送方向の下流側に向けて延出している。図5に示すように、分離ローラ54と、トルクリミッタ57と、ローラギア58と、アイドルギア61と、図3に示すシャッターギア84と、ワンウェイクラッチ80と、バネ部材70と、ピックアップローラ92とがホルダ51に設けられている。なお、分離ローラ54等がホルダ51に設けられているとの表現は必ずしもホルダ51の右側面51Aと図3において非図示の左側面との間の領域に設けられるということを示す訳ではない。即ち、例えば、図3、及び図4に示すトルクリミッタ57のようにホルダ51の右側面51Aと図3において非図示の左側面との間の領域から外れた領域に設けられていてもよい。
【0030】
ギア軸60と、シャッター軸85と、搬送軸90とが回転軸33よりも搬送方向の上流側に設けられている。ギア軸60は、回転軸33とシャッター軸85の間に位置する。搬送軸90は、シャッター軸85の下方に位置する。ギア軸60、シャッター軸85、及び搬送軸90は、ホルダ51の左右方向に延出している。ギア軸60、シャッター軸85、及び搬送軸90は、給紙ユニット50に回転可能に軸支されている。
【0031】
ホルダ51は、右側面51Aの上部に、当接部52、53を備えている。当接部52は、右側面51Aにおける搬送方向の下流側に設けられている。当接部53は、右側面51Aの搬送方向の上流側に設けられている。当接部52、53は、右側面51Aから右側方に突出する板部材である。
【0032】
分離ローラ54は、回転軸33に取り付けられている。分離ローラ54は、回転軸33周りに回転する。回転軸33は図示しないモータの駆動により正転する。即ち、回転軸33は、図5に示す反時計回りに回転する。分離ローラ54は、回転軸33の回転に伴って正転方向に回転する。原稿トレイ12の上面には、分離パッド12Aが設けられている。分離パッド12Aは、分離ローラ54に対向する位置に設けられている。分離パッド12A、及び分離ローラ54は、ゴムなどからなる。分離パッド12Aは、分離ローラ54のローラ面に圧接されると、図6に示す原稿シート101との間に摩擦力を生じる。両者間に複数の原稿シート101が挿入された場合、分離ローラ54のニップ点において、最も下側に位置する原稿シート101のみが他の原稿シートから分離されてU字搬送路へ搬送される。
【0033】
トルクリミッタ57は、ホルダ51の右側面51Aの右側方において回転軸33に取り付けられている。トルクリミッタ57は、回転軸33と共に、回転軸33の軸周りに回転する。トルクリミッタ57には、ローラギア58が取り付けられている。ローラギア58は、トルクリミッタ57、回転軸33と同軸上に位置する。トルクリミッタ57は、回転軸33とローラギア58の間に所定以上のトルクが作用したときに、このトルクを遮断する。本実施形態では、分離ローラ54が逆転し、分離ローラ54に所定以上のトルクが作用したときに、このトルクを遮断する。
【0034】
シャッターギア84は、ホルダ51の右側面51Aの右側方においてシャッター軸85に取り付けられている。シャッターギア84は、シャッター軸85の軸周りに回転する。アイドルギア61は、ホルダ51の右側面51Aの右側方においてギア軸60に取り付けられている。アイドルギア61は、ローラギア58とシャッターギア84との間に設けられ、ホルダ51の右側面51Aの右側方においてギア軸60に回転可能に取り付けられている。アイドルギア59は、ローラギア58とシャッターギア84との両方に噛合している。
【0035】
ワンウェイクラッチ80は、ホルダ51の右側面51Aから右側方に突出するシャッター軸85の部分において、シャッターギア84よりも右側方に取り付けられている。
【0036】
シャッター部81、及び被ストッパ部82は、ワンウェイクラッチ80の右側方に取り付けられている。シャッター部81は、板状に形成され、ワンウェイクラッチ80側から原稿トレイ12側に向けて延出している。被ストッパ部82は、ワンウェイクラッチ80側から搬送方向の上流側に向けて延出している。シャッター部81と、被ストッパ部82とは、シャッター軸85の軸方向から見た場合に、略直角の位置関係である。
【0037】
シャッター部81は、原稿シートのU字搬送路への進入を遮断する遮断位置と、U字搬送路から離間する位置に退避する退避位置との間を回転する。原稿トレイ12には、貫通孔12Bが設けられている。貫通孔12Bは、シャッター部81の遮断位置に対応する。遮断位置に回転したシャッター部81は、分離ローラ54へ搬送される前の原稿シート束100の先端、即ち原稿シート束100の搬送方向の下流側の一端部の位置を規制する。
【0038】
被ストッパ部82は、所定角度以上逆転したとき、即ち図5に示す時計回りに回転したときに、ホルダ51の右側面51Aに設けられた当接部53に当接する。被ストッパ部82が当接部53に当接することにより、遮断位置に移動されたシャッター部81の回転が規制される。
【0039】
バネ部材70は、図5などに示すように、ギア軸60に巻きつけられた弾性部材である。バネ部材70は、ギア軸60に回転可能に設けられている。図5に示すように、バネ部材70は一端部71と他端部72を有する。一端部71と他端部72は、ギア軸60の軸方向から見た場合に互いに鈍角に開いている。一端部71は、シャッター部81のアイドルギア61側の外面に当接している。他端部72は、ホルダ51の右側面51Aに設けられた当接部52に当接している。バネ部材70は、シャッター部81を遮断位置に向けて付勢する。この付勢により、原稿トレイ12に積載された原稿シート束100の搬送が完了した後、シャッターは、次に原稿トレイ12に積載され、搬送される原稿シート束100の分離ローラ54への侵入を規制するための規制位置に戻される。従って、次に搬送される原稿シート束100の押し込みを規制できる。原稿シート束100が押し込まれると重送、及び空送等の搬送異常が発生しやすい。しかし、本実施形態に係る複合機1によれば、次に搬送される原稿シート束100の押し込みを規制できるため、重送、及び空送等の搬送異常の発生を抑制出来る。
【0040】
ピックアップローラ92は、ホルダ51に設けた搬送軸90に回転可能に取り付けられている。ピックアップローラ92は、図示外の駆動伝達機構を介して回転軸33に連動する。それ故、回転軸33が回転すると、分離ローラ54に連動して、ピックアップローラ92も同一方向に回転する。ピックアップローラ92は、原稿トレイ12に積層された原稿シート束100の最上面の原稿シート101を取り出して分離ローラ54へ搬送する。
【0041】
次に、上記構造からなる給紙ユニット50の給紙動作について説明する。本実施例では、(A)シート侵入規制時、(B)シート搬送時、(C)ジャム処理時の3つの場面に分けて説明する。なお、図5〜図9を用いて説明する際に、各ローラ、及び各軸の回転方向について、反時計回りの回転を正転、時計回りの回転を逆転として説明する。
【0042】
(A)シート侵入規制時
原稿シート101の分離ローラ54側への侵入が規制される場合、モータは停止されている。図5に示すように、モータが停止しているとき、回転軸33は回転しない。回転軸33が回転しないので、分離ローラ54、ピックアップローラ92も回転しない。原稿トレイ12に積層された原稿シート束100から原稿シート101は取り出されない。回転軸33が回転しないので、ローラギア58、アイドルギア61、図3に示すシャッターギア84は回転しない。また、ワンウェイクラッチ80の右側方に取り付けられたシャッター部81も図5における反時計回りに回転することができない。ワンウェイクラッチ80のシャッター部81は、バネ部材70の付勢により、遮断位置に移動されている。モータが停止しているときは、シャッター部81は遮断位置から動かない。原稿トレイ12に積載された原稿シート束100の先端位置がシャッター部81によって規制される。従って、原稿シート束100内の原稿シート101の侵入が規制されるため、原稿シート101は分離ローラ54へ搬送されない。
【0043】
(B)シート搬送時
原稿シート101が搬送される場合、モータが駆動される。モータが駆動されると、図3に示す駆動ギア55が回転する。回転軸33は正転する。分離ローラ54は回転軸33と共に正転する。回転軸33に取り付けられたトルクリミッタ57が正転する。トルクリミッタ57に取り付けられたローラギア58が正転する。さらに、ローラギア58に噛合するアイドルギア61が逆転し、アイドルギア61に噛合するシャッターギア84が正転する。シャッターギア84と共に、シャッター軸85が正転する。ワンウェイクラッチ80は、ローラギア58等のこれらローラギア機構とシャッター部81との連結を解除する。即ち、ワンウェイクラッチ80は、モータからの駆動力をシャッター部81に伝達しない。
【0044】
一方、ピックアップローラ92は、分離ローラ54に連動して正転する。原稿トレイ12に積載された原稿シート束100から最上面の原稿シート101がピックアップローラ92によって取り出される。ピックアップローラ92によって原稿シート101が分離ローラ54側へ押し出される。バネ部材70の弾性は、分離ローラ54、及びピックアップローラ92が正転するときに、原稿シート101がシャッター部81を押し込むことが可能な程度にあらかじめ設定されている。従って、シャッター部81は、原稿シート101によって、バネ部材70の付勢に抗して分離ローラ54側に押し込まれる。原稿シート101が分離ローラ54へ搬送される。分離ローラ54は分離パッド12Aに圧接された状態で正転する。分離ローラ54と分離パッド12Aとの間に原稿シート101が挿入される。分離ローラ54のニップ点において、分離ローラ54と接している原稿シート101のみが他の原稿シートから分離されてU字搬送路へ搬送される。原稿シート101は、U字搬送路に沿って搬送される途中で、イメージセンサによって画像が読み取られ、排紙トレイ14に排出される。
【0045】
なお、本実施形態では、ピックアップローラ92の周速よりもシャッター部81の周速の方が大きくなるように調整されている。つまり、ピックアップローラ92が原稿シート101を取り出す際に、ワンウェイクラッチ80は、シャッターギア84、アイドルギア61を介したローラギア58との連結を速やかに解除できる。ピックアップローラ92によって押し出された原稿シート101がシャッター部81を押し込む。よって、原稿シート101は、分離ローラ54によって良好に搬送される。なお、ピックアップローラ92の周速は、ギア列、及びピックアップローラ92の回転径などの設計値で決まる。シャッター部81の周速に関しても同様である。従って、これらの設計値を調整することで、ピックアップローラ92の周速よりもシャッター部81の周速の方が大きくなるように調整することが可能である。
【0046】
(C)ジャム処理時
モータが駆動し、給紙ユニット50が原稿シート101を給紙している際中に、何らかの理由で、U字搬送路内に原稿シート101が詰まる、即ちジャムが発生することがある。この場合、使用者は、モータを停止させ、U字搬送路内から詰まった原稿シート101を取り除く必要がある。この処理は、ジャム処理と呼ばれる。本実施形態のジャム処理は、使用者が原稿トレイ12側から詰まった原稿シート101を引き抜く方法である。
【0047】
ADF10の動作が停止され、モータが停止される。図7示すように、詰まった原稿シート101は、分離ローラ54と分離パッド12Aとの間に挟まれた状態である。使用者は、原稿トレイ12から原稿シート束100を取り除いた状態で、原稿シート101を原稿トレイ12側から搬送方向の上流側に向けて引き抜く。このとき図4に示す駆動ギア55の左側に設けられたトルクリミッタ65が作動し、図示しないモータと分離ローラ54等との連結が解除される。従って、原稿シート101を容易に引き抜くことができる。このようなモータと分離ローラ54等との連結解除は、必ずしも、トルクリミッタ65によって行われる必要はない。即ち、例えば、ジャムが検知された後、モータが逆転され、モータから駆動ギア55までの間に設けられた遊星ギアが退避することにより、モータと分離ローラ54等との連結解除がなされてもよい。またトルクリミッタ65は、ローラギア58と駆動ギア55との間であればどこでもよい。なお、トルクリミッタ65の制限値は、トルクリミッタ57の制限値より小さい。原稿シート101が搬送方向の上流側に向けて引き抜かれるので、その原稿シート101に接触する分離ローラ54が逆転する。分離ローラ54の逆転に伴って、回転軸33も逆転する。回転軸33に取り付けられたトルクリミッタ57が逆転する。トルクリミッタ57に取り付けられたローラギア58が逆転する。さらに、ローラギア58に噛合するアイドルギア61が正転し、アイドルギア61に噛合するシャッターギア84が逆転する。シャッターギア84と共に、シャッター軸85が逆転する。
【0048】
ワンウェイクラッチ80は、ローラギア58等のローラギア機構とシャッター部81とを連結する。即ち、ワンウェイクラッチ80はローラ逆転による駆動力をシャッター部81に伝達する。従って、シャッター部81は逆転方向に回転する。シャッター部81の先端部は原稿シート101の上面に接触する。原稿シート101によるシャッター部81への反発力により、ホルダ51は上方に押し上げられる。被ストッパ部82がホルダ51の当接部53に当接するので、シャッター部81の逆転方向への回転が規制される。シャッター部81の回転が規制されると、シャッターギア84、アイドルギア61、ローラギア58、回転軸33の回転が規制される。
【0049】
この状態でも、原稿シート101はさらに引き抜かれるため、分離ローラ54は逆転しようとする。しかしながら、被ストッパ部82は、ホルダ51の当接部53に既に当接しているので、逆転方向へのトルクを用いて、ホルダ51の当接部53を押し上げようとする。すると、ホルダ51は上方に押し出されて回転軸33を中心に上方に回転し始める。このとき、シャッター部81の先端部は原稿シート101の上面から離間するので、原稿シート101の上面を擦って傷つけることがない。ホルダ51が回転軸33を中心にさらに上方に回転すると、上部カバー32の裏面に突設されたホルダ規制部32Aの先端部に、ホルダ51の上面が当接する。ホルダ51はこの位置を上死点として止まる。
【0050】
さらに、原稿シート101が引っ張られても、ホルダ51はこれ以上、上方に回転することができない。この時点で分離ローラ54に逆転方向の強いトルクが発生する。分離ローラ54に発生したトルクは、トルクリミッタ57に作用する。ここで、トルクリミッタ57に所定以上のトルクが作用すると、トルクリミッタ57は分離ローラ54とローラギア58との連結を解除する。即ち、分離ローラ54、及び回転軸33が空回りするようになる。それ故、ホルダ51が上死点で止まった状態で、分離ローラ54が原稿シート101の引き抜きと共に、連れ回りして逆転し続ける。このように、シャッター部81を原稿シート101から離間させながら、分離ローラ54の逆転を許容し続けることができるので、原稿シート101を傷つけることなくジャム処理を簡単に行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、シャッターギア84の歯数は、ローラギア58の歯数より多くなるように調整されている。それ故、シャッター部81の回転速度に比較して、分離ローラ54の回転速度の方が速くなる。これにより、詰まった原稿シート101を引き抜く際に、トルクリミッタ57のトルクを下げることができる。故に、詰まった原稿シート101を軽い力で引き抜くことができる。
【0052】
また、トルクリミッタ57においてトルク伝達を遮断する所定トルクの大きさは、ジャム処理時の原稿シート101の引き抜き作業において、ホルダ51が上方に回転してシャッター部81が原稿シート101から離間した際に、トルク伝達が遮断されるように調整するのが好ましい。
【0053】
なお、本発明のローラギア機構は、図5に示す分離ローラ54を駆動する際に関連して動く部品で構成されるものである。本実施形態では、駆動ギア55、及びローラギア58がローラギア機構に含まれる。上記実施形態ではこれら2枚であるが、これ以外に、分離ローラ54を駆動する際に関連して動くギアがある場合は、それらのギアもローラギア機構に含まれる。例えば、図示しないモータと駆動ギア55との間に別のギアがある場合は、そのギアもローラギア機構に含まれる。
【0054】
さらに本発明のシャッターギア機構は、上記のローラギア機構とワンウェイクラッチ80の一部であるシャッター部81との間を、トルクの伝達が可能な状態に連結する為のギアで構成されるものである。本実施形態では、アイドルギア61、及びシャッターギア84がシャッターギア機構に含まれる。例えば、ローラギア機構とシャッター部81との間に、アイドルギア61、及びシャッターギア84に加え、さらに別のギアを設けている場合は、それらのギアもシャッターギア機構に含まれる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の複合機1は、画像読取装置20を備えている。画像読取装置20は、イメージセンサによって画像が読み取られる位置に原稿シート101を給紙し、排紙トレイ14に排出するADF10を備えている。ADF10は、給紙ユニット50を備えている。給紙ユニット50は、ホルダ51を備えている。ホルダ51は、回転軸33に回転可能に設けられている。ホルダ51は、分離ローラ54と、トルクリミッタ57と、ローラギア58と、アイドルギア61と、シャッターギア84と、ワンウェイクラッチ80と、バネ部材70と、ピックアップローラ92とを、備えている。
【0056】
モータが停止して回転軸33が回転しないときは、分離ローラ54、ピックアップローラ92、ローラギア58、アイドルギア61、シャッターギア84は回転しない。ワンウェイクラッチ80のシャッター部81は、遮断位置において動かない。原稿トレイ12に積載された原稿シート束100、又は原稿シート101の先端位置がシャッター部81によって規制される。
【0057】
モータが駆動して回転軸33が正転すると、分離ローラ54、ローラギア58が正転する。ローラギア58に噛合するアイドルギア61が逆転し、アイドルギア61に噛合するシャッターギア84が正転する。シャッターギア84と共に、シャッター軸85が正転する。ワンウェイクラッチ80はモータの駆動力をシャッター部81に伝達しない。ピックアップローラ92によって原稿シート101が分離ローラ54側へ押し出される。シャッター部81は、原稿シート101によって、分離ローラ54側に押し込まれて開く。原稿シート101は分離ローラ54によって一枚ずつ分離して搬送される。
【0058】
ジャム処理時において、使用者は、詰まった原稿シート101を原稿トレイ12側から引き抜く。原稿シート101が引き抜かれるので、分離ローラ54が逆転する。分離ローラ54の逆転に伴って、回転軸33、ローラギア58、アイドルギア61、シャッターギア84、シャッター軸85が回転する。ワンウェイクラッチ80には逆転方向へのトルクが作用し、そのトルクをシャッター部81に伝達する。シャッター部81は逆転方向に回転する。被ストッパ部82がホルダ51の当接部53に当接して、シャッター部81の回転が規制される。原稿シート101がさらに引き抜かれると、被ストッパ部82がホルダ51の当接部53を押し上げるので、ホルダ51は回転軸33を中心に上方に回転し始める。シャッター部81は原稿シート101の上面から離間するので、原稿シート101の引き抜きを妨害せず、原稿シート101の上面を傷つけることもない。
【0059】
ホルダ51が回転軸33を中心にさらに上方に回転し、上部カバー32の裏面に突設されたホルダ規制部32Aに当接する。ホルダ51はこれ以上、上方に回転できないので、分離ローラ54に強いトルクが発生し、トルクリミッタ57に作用する。トルクリミッタ57に所定以上のトルクが作用すると、トルクリミッタ57は分離ローラ54とローラギア58との連結を解除する。それ故、ホルダ51が上死点で止まった状態で、分離ローラ54のみが原稿シート101の引き抜きと共に逆転する。このように、給紙ユニット50は、シャッター部81を原稿シート101から離間させながら、分離ローラ54の逆転を許容し続けることができる。故に本実施形態は、原稿シート101を傷つけることなくジャム処理を簡単に行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、上記形態では、紙媒体である原稿シートを一例として説明したが、例えば、樹脂フィルムでもよく、シート状のものであれば材質については限定しない。
【0061】
また上記実施形態において、給紙ユニット50は、図3〜図5に示すようにホルダ51と、分離ローラ54と、トルクリミッタ57と、ローラギア58と、アイドルギア61と、シャッターギア84と、ワンウェイクラッチ80とを備えている。そして、これら各部品の配置は、上記実施形態以外に各種の変更が可能である。
【0062】
例えば、図3〜図5に示すように、給紙ユニット50のトルクリミッタ57は、ローラギア58側に、ワンウェイクラッチ80はシャッターギア84側に設けられている。これに対し、トルクリミッタ57はシャッターギア84側に設けられてもよく、ワンウェイクラッチ80はローラギア58側に設けられてもよい。
【0063】
そこで、給紙ユニット50の各部品の配置を置き換えた2つの変形例について説明する。以下説明する給紙ユニット501,502は、上記実施形態の給紙ユニット50の変形例である。給紙ユニット501,502を構成する部品の中には、給紙ユニット50を構成する部品と位置と機能が共通するものがある。よって以下説明では、上記実施形態と位置と機能が共通する部品については、上記実施形態と同符号を付して説明する。
【0064】
先ず、第1変形例について、図10を参照して説明する。第1変形例である給紙ユニット501は、上記実施形態と同様に、ホルダ51と、分離ローラ54と、トルクリミッタ571と、ローラギア58と、アイドルギア61と、シャッターギア84と、ワンウェイクラッチ801とトルクリミッタ65とを備えている。ホルダ51と、分離ローラ54と、ローラギア58と、アイドルギア61と、トルクリミッタ65とは、上記実施形態と同じ配置である。ローラギア58は、回転軸33に取り付けられている。ワンウェイクラッチ801は、アイドルギア61の右面に取り付けられている。ワンウェイクラッチ801には、シャッターギア841が取り付けられている。図示しないシャッターギア841の軸には、トルクリミッタ571が取り付けられている。トルクリミッタ571には、シャッター810が取り付けられている。なお、シャッター810は、トルクリミッタ571と一体に形成してもよい。
【0065】
この構造では、ワンウェイクラッチ801は、アイドルギア61を介してローラギア58側に設けられている。他方、トルクリミッタ571は、シャッターギア841側に設けられている。このような配置構造を有する給紙ユニット501でも、上記実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0066】
次に、第2変形例について、図11を参照して説明する。第2変形例である給紙ユニット502も、上記実施形態と同様に、ホルダ51と、分離ローラ54と、トルクリミッタ572と、ローラギア58と、アイドルギア61と、シャッターギア84と、ワンウェイクラッチ802と、トルクリミッタ65とを備えている。ホルダ51と、分離ローラ54と、ローラギア58と、アイドルギア61と、シャッターギア84と、トルクリミッタ65とは、上記実施形態と同じ配置である。ワンウェイクラッチ802は、回転軸33に取り付けられている。トルクリミッタ572は、ワンウェイクラッチ802の左側に取り付けられている。トルクリミッタ572には、ローラギア58が上記実施形態と同様に取り付けられている。
【0067】
この構造では、トルクリミッタ572のみならず、ワンウェイクラッチ802もローラギア58側に設けられている。このような配置構造を有する給紙ユニット502でも、上記実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0068】
なお、上述した通り、トルクリミッタ、及びワンウェイクラッチの配置は種々変更可能であるが、トルクリミッタは、シャッターギアよりも上流側に配置した方が好ましい。これによりトルクリミッタのトルクを軽くすることができる。故に、原稿シートを引き抜き易くすることができる。
【0069】
また本実施形態では、分離ローラ54を本発明のローラの一例として説明したが、これ以外のローラを本発明のローラに適用してもよい。
【0070】
また本実施形態では、シャッター部81の位置については、特に限定していないが、例えば、原稿シート101の搬送方向に直交する方向の中央に位置させてもよい。この場合、原稿シート101の先端部の位置をバランスよく規制することができる。
【0071】
また本実施形態では、シャッターの形状を有するワンウェイクラッチ80について説明したが、シャッターとワンウェイクラッチとが別体であってもよい。
【0072】
また本実施形態では、ワンウェイクラッチ80はシャッター軸85に設けられているが、シャッター軸85とは別の軸に設けてもよい。
【0073】
また本実施形態では、ホルダ51の回転を規制する為に、ホルダ規制部32Aを上部カバー32の裏面に設けているが、必ずしも必須の構成要素ではない。さらに、バネ部材70についても必須の構成要素ではない。
【0074】
また本実施形態では、バネ部材70を本発明の弾性部材として説明しているが、弾性を有する材質であって、一方向に付勢できるものであれば何でもよい。例えば、板バネでもよい。
【0075】
また本実施形態では、給紙ユニット50は原稿シート101の上方に配置され、自重によって原稿シート101の上面に接するものであるが、これとは反対に、原稿シートに対して下方から押し当てるようにした給紙ユニットであってもよい。
【0076】
また、図2、及び図9に示す上記実施形態のホルダ規制部32Aは、例えば、搬送ローラ41の軸41Aで構成してもよい。この場合、ホルダ51の延出部56などが搬送ローラ41の軸41Aに当接すればよい。
【0077】
また本実施形態では、ワンウェイクラッチ80の一部である被ストッパ部82が、ホルダ51の当接部53を押し上げるように動作するが、例えば、シャッター軸85に設けられた別の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 複合機
10 ADF
20 画像読取装置
32A ホルダ規制部
33 回転軸
50 給紙ユニット
51 ホルダ
52,53 当接部
54 分離ローラ
57 トルクリミッタ
58 ローラギア
59 アイドルギア
60 ギア軸
61 アイドルギア
70 バネ部材
80 ワンウェイクラッチ
81 シャッター部
82 被ストッパ部
84 シャッターギア
85 シャッター軸
90 搬送軸
92 ピックアップローラ
100 原稿シート束
101 原稿シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿ってシートを搬送するシート搬送装置であって、
ローラ軸回りに回転可能に設けられ、前記ローラ軸回りに正転することで前記シートを搬送するローラと、
前記ローラ軸回りに回転可能に前記ローラ軸に設けられたホルダと、を備え、
前記ホルダに、
前記ローラ軸に設けられ、前記ローラを駆動するためのローラ駆動ギアを有するローラギア機構と、
前記シートの搬送方向において前記ローラ軸の上流側に設けられたシャッター軸に回転可能に設けられ、前記ローラへの前記シートの侵入を規制するためのシャッターと、
前記シャッター軸に設けられ、前記ローラギア機構と前記シャッターとを連結するためのシャッターギア機構と、
前記ローラギア機構、及び前記シャッターギア機構のいずれかに設けられ、前記ローラが正転する場合に、前記ローラギア機構と前記シャッターとの連結を解除するワンウェイクラッチと、
前記ローラギア機構、及び前記シャッターギア機構のいずれかに設けられ、前記ローラの逆転を許容するためのトルクリミッタと、
が設けられ、
前記ホルダは、前記ローラが逆転する場合に、前記ローラ軸回りに逆転することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記ローラが逆転する場合に、前記シャッターの回転を規制するシャッター規制部を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記ホルダの回転を規制するホルダ規制部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ローラギア機構は、前記ローラ軸に設けられたローラギアを備え、
前記シャッターギア機構は、前記シャッター軸に設けられたシャッターギアを備え、
前記トルクリミッタは、前記ローラギアに設けられ、
前記シャッターギアは、前記ローラギアより、歯数が多いことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記ローラよりも前記搬送方向の上流側に設けられ、前記ローラに向けて前記シートを給送する給送ローラを備えたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記給送ローラの周速よりも前記シャッターの周速の方が大きいことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記シャッターを前記搬送路に向けて付勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記ローラは、前記シートを分離して搬送する分離ローラであることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のシート搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送される前記シートの画像を読み取る読取部と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像読取装置と、
前記読取部によって読み取られた画像に基づいて記録媒体に画像形成を行う画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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