説明

シート搬送装置

【課題】シート搬送装置において、搬送されるシートの速度を適正に減速可能とする。
【解決手段】折帖Sを高速で搬送可能な高速搬送コンベア61と、高速搬送コンベア61により搬送される折帖Sを受け取って高速搬送コンベア61より低速で搬送可能な低速搬送コンベア62と、高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sの先端部を押える第1押え部材63と、第1押え部材63より折帖Sの搬送方向の上流側に位置して高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sの後端部を押える第2押え部材64と、第1押え部材63による折帖Sの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段65とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送経路を上流側から下流側へ向けて順次搬送されるシートの速度を高速から低速へ減速可能なシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフセット輪転印刷機では、給紙装置から供給される連続紙(ウェブ)を印刷紙として用い、印刷装置により印刷を行い、その後、折機にて、ウェブをフォーマにより縦折りしてから裁断することで折帖とする。そして、連続して搬送されるこの折帖の搬送速度を高速から低速へ減速することで、折帖の一部が重なった状態とし、排紙装置により排紙する。
【0003】
このようなシート搬送装置としては、下記特許文献1、2に記載されたものがある。特許文献1に記載されたシート出し装置は、第1搬送コンベヤーの上部コンベヤーと下部コンベヤーとでシートを挟んで搬送し、このシートを第1搬送コンベヤーから第2搬送コンベヤーに移送するとき、押下げ部材により乗り移るシートの後端部を押し下げると共に、紙押え部材により乗り移った後続のシートの先端部を上方から押さえるようにしたものである。
【0004】
また、特許文献2に記載された輪転印刷機用シータの減速装置は、フレームに揺動アームを介して減速ロールを設け、この減速ロールによりカット紙を減速可能に構成し、カット紙に対する減速ロールの転接圧力を調整可能な調整機構をフレーム側と揺動アームとの間に設けたスプリング伸縮機構により構成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3786263号公報
【特許文献2】特許第2769999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷機では、印刷媒体により搬送されるシートの種類(大きさ、厚さ、剛性、枚数など)、つまり、重量が異なる。即ち、折帖が1枚の紙であれば、その重量が軽く、一方、折帖が所定枚数だけ重ねられた紙であれば、その重量が重い。上述した特許文献1では、シートが第1搬送コンベヤーから第2搬送コンベヤーに移送するとき、押下げ部材及び紙押え部材によりシートの先端部と後端部を抑えることで、減速させている。この場合、シートの重量が重くなると、押下げ部材または紙押え部材によるシートの押え力が不足し、適正な速度に減速することが困難となる。
【0007】
一方、特許文献2では、カット紙に対する減速ロールの転接圧力をスプリング伸縮機構により調整可能としている。具体的には、ノッチ付き回転ノブを回転操作することにより、スプリングの押圧力を調整することで、カット紙に対する減速ロールの転接圧力を調整している。しかし、シートの重量が微小に変わるときに、減速ロールの転接圧力を高精度に調整することは困難であり、調整作業が困難なものとなってしまう。そして、減速ロールの転接圧力の精度が低下すると、カット紙を適正に減速することができず、カット紙を損傷させてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、搬送されるシートの速度を適正に減速可能とするシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明のシート搬送装置は、シートを高速で搬送可能な高速搬送コンベアと、該高速搬送コンベアにより搬送されるシートを受け取って前記高速搬送コンベアより低速で搬送可能な低速搬送コンベアと、前記高速搬送コンベアから前記低速搬送コンベアに移送されたシートの先端部を押える第1押え部材と、該第1押え部材よりシートの搬送方向の上流側に位置して前記高速搬送コンベアから前記低速搬送コンベアに移送されたシートの後端部を押える第2押え部材と、前記第1押え部材または前記第2押え部材によるシートの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のシート搬送装置では、前記高速搬送コンベアは、シートを上下から挟持して搬送可能な上高速搬送コンベア及び下高速搬送コンベアを有し、前記下高速搬送コンベアは、前記上高速搬送コンベアにおける上流部に対向して配置され、前記低速搬送コンベアは、前記上高速搬送コンベアにおける下流部に対向して配置され、前記第1押え部材と前記第2押え部材は、前記上高速搬送コンベアにおける下流部に対応し、且つ、前記低速搬送コンベアの上流部に対向して配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明のシート搬送装置では、前記押えタイミング調整手段は、前記第1押え部材と前記第2押え部材の相対位置を調整可能な位置調整手段を有することを特徴としている。
【0012】
本発明のシート搬送装置では、前記位置調整手段は、前記第1押え部材の位置をシートの搬送方向に沿って調整可能であることを特徴としている。
【0013】
本発明のシート搬送装置では、前記第1押え部材は、回転自在であると共に、自重によりシートの上面を押えるブレーキローラを有することを特徴としている。
【0014】
本発明のシート搬送装置では、前記低速搬送コンベアは、シートの搬送方向に沿って移動可能であると共にシートの幅方向に所定間隔で配設される複数の低速ベルトを有し、前記ブレーキローラは、前記複数の低速ベルトの上方に対向して複数設けられ、前記位置調整手段は、前記複数のブレーキローラを移動するローラ移動手段を有することを特徴としている。
【0015】
本発明のシート搬送装置では、前記ローラ移動手段は、シートの幅方向に配設されて前記複数のブレーキローラを支持する支持軸を有し、該支持軸を回動またはスライドすることで前記複数のブレーキローラを一体的に移動可能であることを特徴としている。
【0016】
本発明のシート搬送装置では、前記ローラ移動手段は、前記支持軸の幅方向各端部を独立して回動またはスライド可能であることを特徴としている。
【0017】
本発明のシート搬送装置では、前記ローラ移動手段は、軸方向の各端部が左右のフレームに回動自在に支持される前記支持軸と、基端部が前記支持軸に固結される支持アームと、基端部が前記支持アームの先端部に回動自在に連結される支持レバーと、該支持レバーの先端部に回転自在に連結される前記ブレーキローラとを有することを特徴としている。
【0018】
本発明のシート搬送装置では、前記支持軸は、少なくとも一方の端部が前記フレームを貫通し、該フレームの外側にて、前記支持軸の端部に調整ハンドルが装着されると共に、前記支持軸を前記フレームに対して回動不能とするロック手段が設けられることを特徴としている。
【0019】
本発明のシート搬送装置では、前記調整ハンドルによる前記支持軸の回動量を計測する調整用目盛が設けられることを特徴としている。
【0020】
本発明のシート搬送装置では、前記ローラ移動手段は、シートの幅方向に配設されて前記複数のブレーキローラを支持する支持軸を有し、該支持軸に対して前記複数のブレーキローラを独立して移動可能であることを特徴としている。
【0021】
本発明のシート搬送装置では、前記第2押え部材は、前記高速搬送コンベアより遅い周速で駆動回転可能であると共に、外周面の周方向における所定の領域に設けられたブラシによりシートの上面を押えるブラシローラを有することを特徴としている。
【0022】
本発明のシート搬送装置では、前記押えタイミング調整手段は、前記ブラシローラにおける前記ブラシの位相を調整可能なブラシ位相調整手段を有することを特徴としている。
【0023】
本発明のシート搬送装置では、前記押えタイミング調整手段は、前記第1押え部材または前記第2押え部材によりシートの押えタイミングを自動調整可能な駆動制御手段を有し、該駆動制御手段は、予め設定されたシートデータ及びまたは印刷データに基づいて前記各押え部材による押えタイミングを自動調整することを特徴としている。
【0024】
本発明のシート搬送装置では、前記押えタイミング調整手段は、前記第1押え部材または前記第2押え部材によりシートの押えタイミングを自動調整可能な駆動制御手段と、前記第1押え部材及び前記第2押え部材を通過した後に前記低速搬送コンベアにより搬送されるシートのずれを検出するずれ検出手段とを設け、前記駆動制御手段は、前記ずれ検出手段の検出結果に基づいて前記各押え部材による押えタイミングを自動調整することを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明のシート搬送装置によれば、高速搬送コンベアと、低速搬送コンベアと、低速搬送コンベアに移送されたシートの先端部を押える第1押え部材と、低速搬送コンベアに移送されたシートの後端部を押える第2押え部材と、第1押え部材または第2押え部材によるシートの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段とを設けている。従って、搬送されるシートの紙質、厚さ、枚数など、シートの搬送状態に応じて第1押え部材または第2押え部材によるシートの押えタイミングを調整することで、搬送されるシートの速度を適正に減速することができる。
【0026】
本発明のシート搬送装置によれば、高速搬送コンベアとしてシートを上下から挟持して搬送可能な上下の高速搬送コンベアを設け、下高速搬送コンベアを上高速搬送コンベアの上流部に対向し、低速搬送コンベアを上高速搬送コンベアの下流部に対向し、第1押え部材と第2押え部材を上高速搬送コンベアの下流部に対応し、且つ、低速搬送コンベアの上流部に対向するので、高速搬送コンベアから低速搬送コンベアに移送されたシートを、第1押え部材と第2押え部材によりこの低速搬送コンベア上にて適正に減速することができる。
【0027】
本発明のシート搬送装置によれば、押えタイミング調整手段として、第1押え部材と第2押え部材の相対位置を調整可能な位置調整手段を設けるので、第1押え部材と第2押え部材の相対位置を変更すると、シートの先端部またはシートの後端部を押えるタイミングが変更されることとなり、シートの搬送状態が変わっても常時適正速度に減速することができる。
【0028】
本発明のシート搬送装置によれば、位置調整手段が第1押え部材の位置をシートの搬送方向に沿って調整可能であるので、第1押え部材を第2押え部材に対して接近または離間されることで、シートの前端部を押えるタイミングが調整されることとなり、シートの搬送状態に応じてシートを適正速度に減速することができる。
【0029】
本発明のシート搬送装置によれば、第1押え部材として、回転自在であると共に自重によりシートの上面を押えるブレーキローラを設けるので、ブレーキローラに対してシートの上面が接触することで、ブレーキローラの自重によりシートが減速することとなり、このとき、ブレーキローラが回転するため、シートの損傷を防止することができる。
【0030】
本発明のシート搬送装置によれば、低速搬送コンベアとして複数の低速ベルトを設け、この複数の低速ベルトの上方に対向して複数のブレーキローラを設け、位置調整手段として、複数のブレーキローラを移動するローラ移動手段を設けるので、ローラ移動手段は、ブレーキローラを低速ベルトの移動方向に沿って調整することとなり、ローラ移動手段の構成を簡素化することができる。
【0031】
本発明のシート搬送装置によれば、シートの幅方向に配設されて複数のブレーキローラを支持する支持軸を設け、ローラ移動手段は、支持軸を回動またはスライドすることで複数のブレーキローラを一体的に移動可能としたので、複数のブレーキローラを一体的に移動することで、各ブレーキローラによるシートの押えタイミングを同時に調整することができ、調整作業の作業性を向上することができる。
【0032】
本発明のシート搬送装置によれば、ローラ移動手段は、支持軸の幅方向各端部を独立して回動またはスライド可能であるので、シートにおける幅方向の状態に応じて支持軸を介してブレーキローラの調整量を相違させることで、シートの搬送状態に応じてシートを適正速度に減速することができる。
【0033】
本発明のシート搬送装置によれば、ローラ移動手段として、左右のフレームに回動自在に支持される支持軸と、支持軸に固結される支持アームと、支持アームの先端部に回動自在に連結される支持レバーと、支持レバーの先端部に回転自在に連結されるブレーキローラとを設けるので、支持軸を回動するだけで、ブレーキローラの位置を調整することができ、調整作業の作業性を向上することができる。
【0034】
本発明のシート搬送装置によれば、支持軸の端部がフレームを貫通し、フレームの外側にて、支持軸の端部に調整ハンドルを装着すると共に、支持軸をフレームに対して回動不能とするロック手段を設けるので、シートの搬送中であっても、調整ハンドルによりブレーキローラの位置を調整することができ、調整作業の作業性を向上することができる。
【0035】
本発明のシート搬送装置によれば、調整ハンドルによる支持軸の回動量を計測する調整用目盛を設けるので、ブレーキローラの位置を高精度に調整することができる。
【0036】
本発明のシート搬送装置によれば、シートの幅方向に配設されて複数のブレーキローラを支持する支持軸を設け、ローラ移動手段は、支持軸に対して複数のブレーキローラを独立して移動可能とするので、支持軸の軸方向に複数種類のシートが搬送されるとき、各シートに対して対応するブレーキローラを独立して移動することで、複数のシートの搬送状態に対して各ブレーキローラの位置を高精度に調整することができる。
【0037】
本発明のシート搬送装置によれば、第2押え部材として、高速搬送コンベアより遅い周速で駆動回転可能であると共に、外周面の周方向における所定の領域に設けられたブラシによりシートの上面を押えるブラシローラを設けるので、ブラシローラのブラシにより搬送されるシートの後端部を適正なタイミングで押さえることができる。
【0038】
本発明のシート搬送装置によれば、押えタイミング調整手段として、ブラシローラにおけるブラシの位相を調整可能なブラシ位相調整手段を設けるので、ブラシの位相を調整することで、搬送されるシートの後端部を最適なタイミングで押さえ、シートを適正速度に減速することができる。
【0039】
本発明のシート搬送装置によれば、押えタイミング調整手段としての駆動制御手段は、予め設定されたシートデータや印刷データに基づいて各押え部材による押えタイミングを自動調整するので、シートデータや印刷データが変わっても、搬送されるシートを常時適正なタイミングで押えることができる。
【0040】
本発明のシート搬送装置によれば、第1押え部材及び第2押え部材を通過した後に低速搬送コンベアにより搬送されるシートのずれを検出するずれ検出手段を設け、駆動制御手段は、ずれ検出手段の検出結果に基づいて各押え部材による押えタイミングを自動調整するので、減速後のシートの搬送状態に基づいて押え部材による適正な押えタイミングが自動的に設定されることで、搬送精度を向上することができると共に、調整作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るシート搬送装置を表す概略図である。
【図2】図2は、本実施例のシート搬送装置におけるブレーキローラの配置を表す平面図である。
【図3】図3は、実施例1のシート搬送装置におけるブレーキローラの調整ハンドルを表す概略図である。
【図4】図4は、実施例1のシート搬送装置におけるブレーキローラを表す概略図である。
【図5】図5は、実施例1のシート搬送装置におけるブラシローラの配置を表す平面図である。
【図6】図6は、実施例1のシート搬送装置が適用されたオフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。
【図7】図7は、実施例1のシート搬送装置が適用された折機を表す概略図である。
【図8】図8は、本発明の実施例2に係るシート搬送装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るシート搬送装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0043】
図1は、本発明の実施例1に係るシート搬送装置を表す概略図、図2は、本実施例のシート搬送装置におけるブレーキローラの配置を表す平面図、図3は、実施例1のシート搬送装置におけるブレーキローラの調整ハンドルを表す概略図、図4は、実施例1のシート搬送装置におけるブレーキローラを表す概略図、図5は、実施例1のシート搬送装置におけるブラシローラの配置を表す平面図、図6は、実施例1のシート搬送装置が適用されたオフセット輪転印刷機を表す概略構成図、図7は、実施例1のシート搬送装置が適用された折機を表す概略図である。
【0044】
実施例1の印刷機は、商業用オフセット輪転印刷機であって、図6に示すように、給紙装置11と、インフィード装置12と、印刷装置13と、乾燥装置14と、冷却装置15と、ウェブパス装置16と、折り装置17と、排紙装置18とから構成されている。
【0045】
給紙装置11は、2つの巻取体(ウェブロール)が装着されるリールスタンドを有しており、一方の巻取体から引き出されて走行しているウェブWを、他方の巻取体のウェブWに接続することで、連続的にウェブWを供給可能となっている。インフィード装置12は、給紙装置11のウェブWを印刷装置13側に供給するものである。印刷装置13は、4つのインキ色である藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)、墨(Black)ごとの4個の印刷ユニット21,22,23,24がウェブ走行方向に沿って並設されて構成されている。乾燥装置14は、印刷装置13により印刷が施されたウェブW上のインキを乾燥させるためのものであり、冷却装置15は、乾燥装置14での乾燥後の過剰な熱を蓄えるウェブWを適当な温度まで冷却するものである。ウェブパス装置16は、乾燥されて冷却されたウェブWを搬送するものであり、折り装置17は、ウェブWを縦折りした後に裁断し、所定の大きさに折り畳まれた折帖Sを形成するものであり、排紙装置18は、折り畳まれた折帖Sを機外へ搬出するものである。
【0046】
従って、給紙装置11により巻取体からロール状のウェブWが引き出され、インフィード装置12により印刷装置13に供給され、この印刷装置13にて、各印刷ユニット21,22,23,24により多色印刷が施される。そして、印刷されたウェブWは、乾燥装置14でインキが乾燥され、冷却装置15で冷却され、ウェブパス装置16を経て搬送された折り装置17により折帖Sが作成され、排紙装置18により搬出される。
【0047】
ここで、折り装置17及び排紙装置18について詳細に説明する。この折り装置17及び排紙装置18において、図7に示すように、フォーマ(三角板)31は、搬送されるウェブWを搬送方向に沿って縦折りするものであり、このフォーマ31の下方には、経路変更ローラ32が配設され、この経路変更ローラ32に対して2つのウェブ搬送経路K1,K2が分岐するように設定されている。即ち、一方のウェブ搬送経路K1には、羽根車による排紙を行う羽根車側排紙部33が配設され、他方のウェブ搬送経路K2には、ストリーム排紙を行うストリーム側排紙部34が配設されている。
【0048】
従って、フォーマ31により縦折りされたウェブWは、経路変更ローラ32を介してウェブ搬送経路K1へ搬送され、羽根車側排紙部33へ導入可能に構成されると共に、経路変更ローラ32を介してウェブ搬送経路K2へ搬送され、ストリーム側排紙部34へ導入可能に構成されている。この場合、折り装置17は、必要に応じて、排紙装置18における羽根車側排紙部33とストリーム側排紙部34とを選択的に使用することが可能となっている。
【0049】
ウェブ搬送経路K1に配設された羽根車側排紙部33において、経路変更ローラ32の下流側には、一対のニッピングローラ35が設けられている。そして、一対のニッピングローラ35の下流側には、くわえ胴36と折胴37がウェブ搬送経路K1を挟んで対向して配設されている。この場合、くわえ胴36は、ウェブ搬送経路K1を挟んで、図7にて左側に配設され、折胴37は、ウェブ搬送経路K1を挟んで図7にて右側に配設されている。そして、くわえ胴36と折胴37は、同径に設定されている。
【0050】
折胴37には、その周面に図示しない鋸刃が設けられており、この鋸刃により縦折りされたウェブWを所定の長さで断裁することができる。また、折胴37には、その周面に図示しない針装置が設けられており、この針装置は、折胴37の回転に連動して作動し、所定の位置で針を外方に突出することで、断裁されたウェブW(折帖S)の搬送方向における先端部を保持する一方、所定の位置で針を戻すことで、ウェブW(折帖S)の先端部の保持を解除することができる。更に、折胴37には、その周面に図示しない差し刃が設けられており、所定の位置で差し刃を外方に突き出すことで、断裁されたウェブW(折帖S)をその搬送方向における中央部で横折りすることができる。
【0051】
一方、くわえ胴36には、その周面に図示しない鋸刃受が設けられており、鋸刃受により折胴37の鋸刃を受けることができる。また、くわえ胴36には、その周面に図示しないくわえ装置が設けられており、このくわえ装置は、くわえ胴36の回転に連動して作動し、折胴37の周面から突出する差し刃により突き出されたウェブW(折帖S)の中央部を咥えて横折りすることができる。
【0052】
そして、くわえ胴36及び折胴37は、図示しない駆動装置により同期して互いに逆方向に回転可能に構成されており、鋸刃と鋸刃受と、差し刃とくわえ装置とがそれぞれ対向するように、回転位相が設定されている。
【0053】
従って、ウェブWは、フォーマ31により縦折りが施された後、経路変更ローラ32を介して一対のニッピングローラ35によりニップされて搬送され、くわえ胴36と折胴37との間に供給される。そして、くわえ胴36と折胴37が同期して回転するとき、所定の位置で、折胴37の針装置が針を外方に突出させることで、断裁されたウェブWの先端部を突き刺して保持し、折胴37がウェブWを周面へ巻き付けていく。続いて、ウェブWが折胴37の周面へ所定量巻き付けられると、針装置が作動して針を戻すことで、ウェブWの先端部の保持を解除すると共に、差し刃が折胴37の周面から外方に突出することで、このウェブWを折胴37の周面から突出させる。すると、折胴37の周面から突出したウェブWは、くわえ胴36のくわえ装置にくわえられ、ウェブWは、搬送方向の中央部で横折りされる。その後、ウェブWは、くわえ装置でくわえられた部分が先導部分となってくわえ胴36の周面へ巻き付けていき、所定の位置で、折胴37の鋸刃によりウェブWが横裁断されることで、折帖Sが形成される。
【0054】
また、くわえ胴36及び折胴37の下流側には、搬送コンベア38が設けられており、この搬送コンベア38は、くわえ胴36及び折胴37により形成された折帖Sを、ウェブ搬送経路K1の下流側へ向けて搬送する。この搬送コンベア38の上方には、チョッパ折装置39が配設されており、このチョッパ折装置39は、図示しない駆動装置により昇降可能な折ブレードを有し、この折ブレードは、下降することで、搬送コンベア38上を搬送される折帖Sを、搬送方向に沿って折り畳むことが可能となっている。
【0055】
搬送コンベア38の下流側には、ウェブ搬送経路K1に沿って順次搬送されてくる折帖Sを受け取り可能な羽根車40が設けられており、この羽根車40は、回転することで、受け取った折帖Sを下方に設けられた移送コンベア41へ所定ピッチで移載することができる。
【0056】
ウェブ搬送経路K2に配設されたストリーム側排紙部34において、経路変更ローラ32の下流側には、ウェブパスローラ42,43、一対のニッピングローラ44、ウェブパスローラ45、一対のニッピングローラ46が配設されている。この場合、経路変更ローラ32から分岐したウェブ搬送経路K2は、鉛直方向の上方から下方へ向かうように構成された後、水平方向に方向転換されている。
【0057】
そして、ウェブ搬送経路K2を水平方向に方向転換するウェブパスローラ45の下流側には、上述した一対のニッピングローラ46に加え、この一対のニッピングローラ46の下流側に断裁装置47が設けられると共に、この断裁装置47の下流側に折帖搬送装置48が配設されている。本実施例では、折帖Sが本発明のシートであり、折帖搬送装置48が本発明のシート搬送装置として機能する。そして、折帖搬送装置48の下流側は、羽根車側排紙部33の構成で説明した移送コンベア41に接続されている。そのため、移送コンベア41は、羽根車40から移載された折帖Sと、折帖搬送装置48から移載された折帖Sとを搬送可能に構成されている。
【0058】
ここで、断裁装置47及び折帖搬送装置48について、詳細に説明する。
【0059】
断裁装置47は、図1に示すように、2つの鋸刃51を有する鋸胴52と、2つの鋸刃受53を有する受胴54とを有している。この場合、鋸胴52及び受胴54は、搬送されるウェブW(ウェブ搬送経路K2)を挟んで上下に対向して配設されており、上方側に鋸胴52が配設され、下方側に受胴53が配設されている。
【0060】
鋸胴52は、図示しない駆動装置により駆動回転可能となっており、外周部に設けられた2つの鋸刃51は、鋸胴52の周方向に均等間隔、つまり、180度対向した位置に設けられている。各鋸刃51は、その先端部が鋸胴52の外周面から外方に突出した状態で、鋸胴52の軸方向に沿って設けられている。
【0061】
受胴54は、図示しない駆動装置により駆動回転可能となっており、外周部に設けられた2つの鋸刃受53は、受胴54の周方向に均等間隔、つまり、180度対向した位置に設けられている。各鋸刃受53は、ゴム等の弾性材により構成されており、その先端部が受胴54外周面から僅かに外方に突出した状態で、受胴54の軸方向に沿って設けられている。
【0062】
そして、鋸胴52と受胴54は、同径であって、互いに逆方向に同期回転可能な構成となっており、各鋸刃51と各鋸刃受53が互いに対向するように、その回転位相が設定されている。そのため、鋸胴52及び受胴54は、一定周期でウェブWを所定長さに断裁することができる。
【0063】
従って、鋸刃51と鋸刃受53とが合致した状態にて、鋸胴52及び受胴54を同期回転し、鋸胴52と受胴54との間にウェブWが供給されると、鋸刃51と鋸刃受53とが対向する位置にきたとき、ウェブWは、幅方向に沿って断裁され、所定長さの折帖Sを形成することができる。
【0064】
また、折帖搬送装置48は、折帖Sを高速で搬送可能な高速搬送コンベア61と、この高速搬送コンベア61により搬送される折帖Sを受け取って高速搬送コンベア61より低速で搬送可能な低速搬送コンベア62と、高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sの先端部を押える第1押え部材63と、第1押え部材63より折帖Sの搬送方向の上流側に位置して高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sの後端部を押える第2押え部材64とを有すると共に、第1押え部材63による折帖Sの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段65とを有している。
【0065】
そして、高速搬送コンベア61は、折帖Sを上下から挟持して搬送可能な上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67を有し、この下高速搬送コンベア67は、上高速搬送コンベア66における上流部に対向して配置され、低速搬送コンベア62は、上高速搬送コンベア66における下流部に対向して配置され、第1押え部材63と第2押え部材64は、上高速搬送コンベア66における下流部に対応し、且つ、低速搬送コンベア62の上流部に対向して配置されている。
【0066】
即ち、断裁装置47より折帖Sの搬送方向の下流側にて、ウェブ搬送経路K2を挟んで受胴54側には、下高速搬送コンベア67が配設され、この下高速搬送コンベア67の下流側には、低速搬送コンベア62が配設されている。一方、ウェブ搬送経路K2を挟んで鋸胴52側には、下高速搬送コンベア67及び低速搬送コンベア62の上方に対向して上高速搬送コンベア66が配設されている。
【0067】
この場合、上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67は、ウェブ搬送経路K2に対接するように配設される一方、上高速搬送コンベア66と低速搬送コンベア62は、ウェブ搬送経路K2に所定距離だけ離間して配設されている。つまり、低速搬送コンベア62の高さは、下高速搬送コンベア67の高さより所定高さだけ低く設定されている。そして、上高速搬送コンベア66の下流部には、低速搬送コンベア62に対向して第1押え部材63と第2押え部材64が配設されている。即ち、折帖Sは、上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67により挟持された状態で高速搬送され、下高速搬送コンベア67から低速搬送コンベア62に移送されるとき、第1押え部材63と第2押え部材64により減速された後、低速搬送コンベア62により低速搬送されることとなる。
【0068】
上高速搬送コンベア66は、図1及び図2、図5に示すように、複数(本実施例では、5個)のプーリ68aと、複数のプーリ68aに掛け渡された複数(本実施例では、10本)の無端ベルト69a,69bにより構成され、側面視が上方に凸となる三角形状をなしている。本実施例では、ウェブ搬送経路K2の幅方向に2種類の折帖Sa,Sbを搬送可能であり、複数の無端ベルト69a,69bは、折帖Sa,Sbを搬送する領域で、それぞれ各プーリ68aの軸方向、つまり、折帖Sa,Sbの幅方向に等間隔で設けられている。
【0069】
下高速搬送コンベア67は、複数の(本実施例では、6個)のプーリ70aと、複数のプーリ70aに掛け渡された複数(本実施例では、12本)の無端ベルト71a,71bで構成され、側面視が下方に凸となる逆三角形状をなしている。本実施例では、ウェブ搬送経路K2の幅方向に2種類の折帖Sa,Sbを搬送可能であり、複数の無端ベルト71a,71bは、折帖Sa,Sbを搬送する領域で、それぞれ各プーリ70aの軸方向、つまり、折帖Sa,Sbの幅方向に等間隔で設けられている。この場合、上高速搬送コンベア66の各無端ベルト69a,69bと、下高速搬送コンベア67の各無端ベルト71a,71bとは、幅方向にずれた位置、つまり、無端ベルト69a,69bと無端ベルト71a,71bは、幅方向に交互に配設されている。そして、上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67は、図示しない駆動装置により同速で駆動可能となっている。
【0070】
低速搬送コンベア62は、複数(本実施例では、6個)のプーリ72aと、複数のプーリ72aに掛け渡された複数(本実施例では、12本)の無端ベルト(低速ベルト)73a,73bで構成され、側面視が下方に凸となる逆三角形状をなしている。本実施例では、ウェブ搬送経路K2の幅方向に2種類の折帖Sa,Sbを搬送可能であり、複数の無端ベルト73a,73bは、折帖Sa,Sbを搬送する領域で、それぞれ各プーリ72aの軸方向、つまり、折帖Sa,Sbの幅方向に等間隔で設けられている。この場合、下高速搬送コンベア67の各無端ベルト71a,71bと、低速搬送コンベア62の無端ベルト73a,73bとは、幅方向に同位置、つまり、無端ベルト71a,71bと無端ベルト73a,73bは、一直線上に配設されている。また、上高速搬送コンベア66の各無端ベルト69a,69bと、低速搬送コンベア62の無端ベルト73a,73bとは、幅方向にずれた位置、つまり、無端ベルト69a,69bと無端ベルト73a,73bは、幅方向に交互に配設されている。そして、低速搬送コンベア62は、高速搬送コンベア61(上高速搬送コンベア66、下高速搬送コンベア67)に比べて、その搬送速度が低速となるように、図示しない駆動装置により駆動可能となっている。
【0071】
第1押え部材63は、上述したように、押えタイミング調整手段65により折帖Sの押えタイミングを調整可能となっている。押えタイミング調整手段65は、第1押え部材63と第2押え部材64との相対位置を調整可能な位置調整手段であり、第1押え部材63の位置を折帖Sの搬送方向に沿って調整可能である。
【0072】
即ち、図1乃至図4に示すように、上高速搬送コンベア66の下流部にて、低速搬送コンベア62の上方に位置して支持軸81が設けられている。この支持軸81は、折帖S(折帖Sa,Sb)の幅方向に沿って配設され、軸方向の各端部が左右の印刷機フレーム82a,82bに回動自在に支持されている。この支持軸81に、押えタイミング調整手段65を介して第1押え部材63が支持されている。
【0073】
支持軸81には、軸方向における所定の位置に複数(本実施例では、8個)の支持アーム83の基端部が嵌合し、締結ボルト84により一体回転可能に固結されている。この支持アーム83の先端部には、支持レバー85の基端部が連結軸86により回動自在に連結されている。そして、この支持レバー85の先端部には、ブレーキローラ87が連結軸88により回転自在に連結されている。本実施例では、ウェブ搬送経路K2の幅方向に2種類の折帖Sa,Sbを搬送可能であることから、ブレーキローラ87が複数(本実施例では、8個)設けられ、この複数のブレーキローラ87a,87bは、折帖Sa,Sbを搬送する領域で、それぞれ支持軸81の軸方向、つまり、折帖Sa,Sbの幅方向に等間隔で設けられている。この場合、ブレーキローラ87a,87bは、低速搬送コンベア62における各無端ベルト73a,73bの上方に対向して配設されている。
【0074】
このブレーキローラ87(87a,87b)は、支持レバー85が支持軸81の支持アーム83に回動自在に連結されることから、その自重により低速搬送コンベア62の無端ベルト73a,73bの上面を押圧している。そのため、折帖Sが低速搬送コンベア62の無端ベルト73a,73b上を搬送されると、この折帖Sの先端部がブレーキローラ87(87a,87b)と無端ベルト73a,73bとの押圧部に接触し、入り込むことで、この折帖Sの上面を押え、減速させることが可能となっている。
【0075】
また、支持軸81は、一方の端部が印刷機フレーム82aを貫通し、この印刷機フレーム82aの外側(図2にて、左側)にて、支持軸81の端部に調整ブロック89が固結され、この調整ブロック89に調整ハンドル90が装着されている。また、この調整ブロック89は、支持軸81の中心からずれると共に、この支持軸81の中心を支点とする円弧状をなす長穴91が形成され、この長穴91には、ロックレバー(ロック手段)92の軸部が嵌入し、印刷機フレーム82aに螺合している。
【0076】
従って、作業者は、調整ハンドル90により支持軸81を回動することができると共に、所定の回動位置で、ロックレバー92を締めこむと、このロックレバー92と印刷機フレーム82aとの間で調整ブロック89を挟持することで、支持軸81を印刷機フレーム82aに対して回動不能にロックすることができる。
【0077】
そして、図4に示すように、第1押え部材63が、同図に実線で表す位置にある状態から、調整ハンドル90により、支持軸81を反時計回り方向に回動すると、この支持軸81と共に支持アーム83が同方向に回動する。すると、ブレーキローラ87が低速搬送コンベア62上に接触していることから、支持アーム83が支持レバー85を介してこのブレーキローラ87を右方に押圧する。そのため、ブレーキローラ87は、低速搬送コンベア62上を転動して右方、つまり、折帖Sの搬送方向の上流側へ第2押え部材64に接近する方向へ移動し、第1押え部材63を、同図に二点鎖線で表す位置に変更することができる。
【0078】
なお、印刷機フレーム82aには、調整ハンドル90による支持軸81の回動量、つまり、ブレーキローラ87の移動量を計測する調整用目盛93が設けられている。
【0079】
この場合、押えタイミング調整手段65は、位置調整手段であり、複数のブレーキローラ87(87a,87b)を移動するローラ移動手段を有している。このローラ移動手段は、支持軸81、支持アーム83、支持レバー85、調整ハンドル90等により構成され、支持軸81を回動することで複数のブレーキローラ87(87a,87b)を一体的に移動可能となっている。
【0080】
第2押え部材64において、図1及び図5に示すように、上高速搬送コンベア66における折帖Sの搬送方向の中間位置にて、低速搬送コンベア62の上流部の上方に位置して支持軸101が設けられている。この支持軸101は、折帖S(折帖Sa,Sb)の幅方向に沿って配設され、軸方向の各端部が左右の印刷機フレーム82a,82bに回動自在に支持されている。この支持軸101に、第2押え部材64が支持されている。
【0081】
支持軸101には、第2押え部材64として、軸方向における所定の位置に複数(本実施例では、12個)のブラシローラ102が一体回転可能に固結されている。本実施例では、ウェブ搬送経路K2の幅方向に2種類の折帖Sa,Sbを搬送可能であることから、ブラシローラ102が複数設けられ、この複数のブラシローラ102a,102bは、折帖Sa,Sbを搬送する領域で、それぞれ支持軸81の軸方向、つまり、折帖Sa,Sbの幅方向に所定間隔で設けられている。この場合、ブラシローラ102a,102bは、その一部が低速搬送コンベア62における各無端ベルト73a,73bの上方に対向して配設されている。
【0082】
このブラシローラ102(102a,102b)は、周方向に均等間隔、つまり、180度対向した位置に2つの押付ブラシ103が装着されており、各押付ブラシ103を低速搬送コンベア62の各無端ベルト73a,73bに押付可能となっている。そして、ブラシローラ102(102a,102b)は、各押付ブラシ103の先端部が無端ベルト73a,73bより下方に突出する長さに設定されていることから、低速搬送コンベア62の各無端ベルト73a,73bにおける長手方向の所定領域にて、折帖Sを押付可能となっている。
【0083】
また、支持軸101は、一方の端部が印刷機フレーム82bを貫通し、この印刷機フレーム82bの外側(図5にて、右側)にて、支持軸101の端部に被駆動ギア(ウォームホイール)104が固結され、この被駆動ギア104に、図示しない駆動装置の駆動ギア(ウォームギア)105が噛み合っている。
【0084】
従って、駆動装置により駆動ギア103及び被駆動ギア104を介して支持軸101を、図1にて時計回り方向に回転すると、この支持軸101と共にブラシローラ102が同方向に回転する。このとき、折帖Sが低速搬送コンベア62の無端ベルト73a,73b上を搬送されると、回転するブラシローラ102(102a,102b)の押付ブラシ103が、折帖Sの上面を押え、この折帖Sを減速させることが可能となっている。
【0085】
この場合、第2押え部材64としてのブラシローラ102(102a,102b)は、高速搬送コンベア61より遅い周速で、且つ、低速搬送コンベア62より速い周速で駆動回転可能となっている。
【0086】
そして、本実施例では、第2押え部材64は、押えタイミング調整手段111により折帖Sの押えタイミングを調整可能となっている。押えタイミング調整手段111は、ブラシローラ102におけるブラシの位相を調整可能なブラシ位相調整手段を有している。即ち、ブラシローラ102は、半円形状をなす一対のローラ本体102a,102bが支持軸101を挟持するように嵌合し、2つの固定ボルト102cにより支持軸101に固定されて構成されている。そのため、固定ボルト102cを弛緩した状態で、支持軸101に対してブラシローラ102(ローラ本体102a,102b)を回動することで、支持軸101に対する押付ブラシ103の位相を変更することができる。
【0087】
ここで、実施例1のストリーム側排紙部34における断裁装置47及び折帖搬送装置48の動作について説明する。
【0088】
実施例1のストリーム側排紙部34において、図1に示すように、ウェブWがウェブ搬送経路K2に沿って搬送され、断裁装置47に至ると、このウェブWは、同期回転する鋸胴52と受胴54との間に供給される。すると、このウェブWは、鋸胴52と受胴54との間で、鋸刃51と鋸刃受53とが対向する位置にきたとき、幅方向に沿って断裁され、所定長さの折帖Sが形成される。
【0089】
断裁装置47により所定長さの折帖Sが形成されると、この折帖Sは、折帖搬送装置48における高速搬送コンベア61、つまり、上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67との間に供給される。上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67は同速で作動していることから、折帖Sは、上高速搬送コンベア66と下高速搬送コンベア67により挟持されながら、低速搬送コンベア62側に向けて搬送される。
【0090】
折帖Sは、高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62へ受け渡されるとき、この受け渡し時において、先端部が第1押え部材63のブレーキローラ87と低速搬送コンベア62との接触部に接触することで、ブレーキローラ87により上面部が押えられる。同時に、折帖Sは、後端部が第2押え部材64のブラシローラ102の押付ブラシ103により上面部が押えられる。
【0091】
即ち、折帖Sが高速搬送コンベア61により高速搬送されて低速搬送コンベア62へ受け渡され、後端部がこの高速搬送コンベア61の挟持から解除されると、折帖Sは、先端部がブレーキローラ87により押えられると同時に、後端部がブラシローラ102の押付ブラシ103により押えられことで、低速搬送コンベア62上へ落とし込まれ、その結果、所定の搬送速度に減速される。
【0092】
折帖Sは、高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62へ受け渡されるとき、搬送速度が減速されることから、先端部が先行する折帖Sの後端部の上側に重なり、所謂、うろこ状となる。低速搬送コンベア62は、高速搬送コンベア61から順次受け渡される折帖Sを重ね合わせながら、その下流側へ向けて搬送する。
【0093】
ところで、実施例1の商業用オフセット輪転印刷機では、印刷媒体に応じて、使用するウェブWの種類、例えば、大きさ、厚さ、剛性、枚数などが異なり、形成された折帖Sの重量が相違する。上述した折帖搬送装置48にて、折帖Sを減速して重ね合わせるとき、重量の重い折帖Sは、重量の軽い折帖Sに比べて減速しにくく、適正位置に重ね合わせることが困難となる。そのため、本実施例では、折帖Sの重量に応じて、第1押え部材63の位置を調整することで、折帖Sに対して適正なブレーキ力が作用するようにしている。
【0094】
即ち、折帖Sの重量が重くなったときには、押えタイミング調整手段(位置調整手段)65により、第1押え部材63の位置を折帖Sの搬送方向における上流側に移動し、第2押え部材64との相対距離(位置)が短くなるように調整する。具体的には、図1乃至図4に示すように、作業者は、ロックレバー92を弛緩して調整ブロック89を回動可能とした後、調整ハンドル90を、図3にて反時計回り方向に所定角度だけ回動する。すると、調整ハンドル90と一体の支持軸81が同方向、つまり、図4にて反時計回り方向に所定角度だけ回動する。このとき、支持軸81と共に支持アーム83が同方向に回動し、支持レバー85を介してブレーキローラ87を図4にて所定量だけ右方に移動することで、第1押え部材63の位置が変更される。その後、ロックレバー92により調整ブロック89、つまり、支持軸81を回動不能にロックする。
【0095】
第1押え部材63の位置が搬送方向の上流側に変更されると、折帖Sが高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62へ受け渡されるとき、先端部は、調整前より早期に第1押え部材63のブレーキローラ87により押えられる。そのため、ブレーキローラ87による折帖Sの押え力(自重)が同じであったとしても、ブレーキローラ87が早期に折帖Sを押えることで、この折帖Sの搬送速度を低下させるためのブレーキ力が増加する。つまり、折帖Sが重くなったときには、走行する折帖Sの慣性力が大きくなるため、ブレーキ力を大きくする必要がある。そして、ブレーキローラ87により折帖Sの先端部が押えられてから、後端部がブラシローラ102の押付ブラシ103により押えられることで、折帖Sは、適正に所定の搬送速度に減速されることとなる。
【0096】
一方、折帖Sの重量が軽くなったときには、押えタイミング調整手段(位置調整手段)65により、第1押え部材63の位置を折帖Sの搬送方向における下流側に移動し、第2押え部材64との相対距離(位置)が長くなるように調整する。この場合、前述とは逆に、作業者は、調整ハンドル90を、図3にて時計回り方向に所定角度だけ回動し、支持軸81を同方向に回動し、支持レバー85を介してブレーキローラ87を図4にて所定量だけ左方に移動することで、第1押え部材63の位置が変更される。
【0097】
第1押え部材63の位置が搬送方向の下流側に変更されると、折帖Sが高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62へ受け渡されるとき、先端部は、調整前より遅く第1押え部材63のブレーキローラ87により押えられる。そのため、ブレーキローラ87による折帖Sの押え力(自重)が同じであったとしても、ブレーキローラ87が遅く折帖Sを押えることで、この折帖Sの搬送速度を低下させるためのブレーキ力が減少する。つまり、折帖Sが軽くなったときには、走行する折帖Sの慣性力が小さくなるため、ブレーキ力を低下させる必要がある。そして、ブレーキローラ87により折帖Sの先端部が押えられてから、後端部がブラシローラ102の押付ブラシ103により押えられることで、折帖Sは、適正に所定の搬送速度に減速されることとなる。
【0098】
このように実施例1のシート搬送装置にあっては、折帖Sを高速で搬送可能な高速搬送コンベア61と、高速搬送コンベア61により搬送される折帖Sを受け取って高速搬送コンベア61より低速で搬送可能な低速搬送コンベア62と、高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sの先端部を押える第1押え部材63と、第1押え部材63より折帖Sの搬送方向の上流側に位置して高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sの後端部を押える第2押え部材64と、第1押え部材63による折帖Sの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段65とを設けている。
【0099】
従って、搬送される折帖Sの紙質、厚さ、枚数など、折帖Sの搬送状態に応じて第1押え部材63による折帖Sの押えタイミングを調整することで、搬送される折帖Sの速度を適正に減速することができる。
【0100】
また、実施例1のシート搬送装置では、高速搬送コンベア61として折帖Sを上下から挟持して搬送可能な上下の高速搬送コンベア66,67を設け、下高速搬送コンベア67を上高速搬送コンベア66の上流部に対向し、低速搬送コンベア62を上高速搬送コンベア66の下流部に対向し、第1押え部材63と第2押え部材64を上高速搬送コンベア66の下流部に対応し、且つ、低速搬送コンベア62の上流部に対向している。従って、高速搬送コンベア61から低速搬送コンベア62に移送された折帖Sを、第1押え部材63と第2押え部材64によりこの低速搬送コンベア62上にて適正に減速することができる。
【0101】
また、実施例1のシート搬送装置では、押えタイミング調整手段65により、第1押え部材63と第2押え部材64の相対位置を調整可能(位置調整手段)としている。従って、第1押え部材63と第2押え部材64の相対位置を変更すると、折帖Sの先端部または折帖Sの後端部を押えるタイミングが変更されることとなり、折帖Sの搬送状態が変わっても常時適正速度に減速することができる。
【0102】
また、実施例1のシート搬送装置では、第1押え部材63の位置を折帖Sの搬送方向に沿って調整可能としている。従って、第1押え部材63を第2押え部材64に対して接近または離間することで、折帖Sの前端部を押えるタイミングが調整されることとなり、折帖Sの搬送状態に応じて折帖Sを適正速度に減速することができる。
【0103】
また、実施例1のシート搬送装置では、第1押え部材63として、回転自在であると共に自重により折帖Sの上面を押えるブレーキローラ87を設けている。従って、ブレーキローラ87に対して折帖Sの上面が接触することで、ブレーキローラ87の自重により折帖Sが減速することとなり、このとき、ブレーキローラ87が回転するため、折帖Sの損傷を防止することができる。
【0104】
また、実施例1のシート搬送装置では、低速搬送コンベア62として複数の無端ベルト73a,73bを設け、この複数の無端ベルト73a,73bの上方に対向して複数のブレーキローラ87a,87bを設け、複数のブレーキローラ87a,87bを移動可能(ローラ移動手段)としている。従って、ブレーキローラ87a,87bを無端ベルト73a,73bの移動方向に沿って調整することとなり、装置の構成を簡素化することができる。
【0105】
また、実施例1のシート搬送装置では、折帖Sの幅方向に配設されて複数のブレーキローラ87a,87bを支持する支持軸81を設け、支持軸81を回動することで複数のブレーキローラ87a,87bを一体的に移動可能としている。従って、複数のブレーキローラ87a,87bを一体的に移動することで、各ブレーキローラ87a,87bによる折帖Sの押えタイミングを同時に調整することができ、調整作業の作業性を向上することができる。
【0106】
また、実施例1のシート搬送装置では、支持軸81の左右の印刷機フレーム82a,82bに回動自在に支持し、この支持軸81に支持アーム83を固結し、支持アーム83の先端部に支持レバー85を回動自在に連結し、支持レバー85の先端部にブレーキローラ87を回転自在に連結している。従って、支持軸81を回動するだけで、ブレーキローラ87の位置を調整することができ、調整作業の作業性を向上することができる。
【0107】
また、実施例1のシート搬送装置では、支持軸81の端部を印刷機フレーム82aを貫通し、この印刷機フレーム82aの外側にて、支持軸81の端部に調整ハンドル90を装着すると共に、支持軸81を印刷機フレーム82aに対して回動不能とするロックレバー92を設けている。従って、折帖Sの搬送中であっても、調整ハンドルに90によりブレーキローラ87の位置を調整することができ、調整作業の作業性を向上することができる。
【0108】
また、実施例1のシート搬送装置では、調整ハンドルに90よる支持軸81の回動量を計測する調整用目盛93を設けている。従って、ブレーキローラ87の位置を高精度に調整することができる。
【0109】
また、実施例1のシート搬送装置では、第2押え部材64として、高速搬送コンベア61より遅い周速で駆動回転可能であると共に、外周面の周方向における所定の領域に設けられた押付ブラシ103により折帖Sの上面を押えるブラシローラ102を設けている。従って、ブラシローラ102の押付ブラシ103により搬送される折帖Sの後端部を適正なタイミングで押さえることができる。
【0110】
また、実施例1のシート搬送装置では、ブラシローラ102における押付ブラシ103の位相を調整可能(ブラシ位相調整手段)としている。従って、ブラシ103の位相を調整することで、搬送される折帖Sの後端部を最適なタイミングで押さえ、折帖Sを適正速度に減速することができる。
【実施例2】
【0111】
図8は、本発明の実施例2に係るシート搬送装置を表す概略図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0112】
実施例2のストリーム側排紙部34では、断裁装置47と折帖搬送装置48を有している点は、上述した実施例1と同様であるが、この実施例2では、第1押え部材63による折帖Sの押えタイミング、つまり、第2押え部材64との相対位置を自動調整可能となっている。
【0113】
実施例2において、図8に示すように、支持軸81は、折帖Sの幅方向に沿って配設され、軸方向の各端部が左右の印刷機フレーム82a,82bに回動自在に支持されており、この支持軸81に、押えタイミング調整手段111を介して第1押え部材63が支持されている。
【0114】
支持軸81には、支持アーム83、支持レバー85を介してブレーキローラ87が装着されており、この構成は実施例1と同様である。また、支持軸81は、一方の端部が印刷機フレーム82aを貫通し、この印刷機フレーム82aの外側に装着された駆動モータを有する駆動装置112の出力軸が駆動連結されている。そして、駆動装置112には、駆動制御装置113が接続され、この駆動制御装置113には、操作パネル114が接続されている。
【0115】
従って、作業者が操作パネル114により調整指示値を入力すると、駆動制御装置113は、駆動装置112(駆動モータ)を駆動制御し、支持軸81を回動する。すると、この支持軸81と共に支持アーム83が同方向に回動し、支持レバー85を介してブレーキローラ87を折帖Sの搬送方向に沿って移動し、第1押え部材63の位置に変更することができる。
【0116】
また、実施例2では、操作パネル114を用いて、予めウェブデータや印刷データを入力しておくことで、第1押え部材63の位置調整を自動的に行うことができる。ここで、ウェブデータとは、ウェブWの幅(ウェブサイズ)、ウェブWの走行速度、ウェブWの厚さ、折帖Sの枚数などであり、印刷データとは、画線率などである。
【0117】
従って、駆動制御装置113は、ウェブデータ及び印刷データなどに基づいて、折帖Sの重量を算出し、その重量に応じた第1押え部材63の最適位置を推定し、押えタイミング調整手段111(駆動装置112)を自動的に作動(プリセット制御)させることができる。
【0118】
また、実施例2では、第1押え部材63及び第2押え部材64を通過した後に低速搬送コンベア62により搬送される折帖Sのずれを検出するずれ検出手段として、低速搬送コンベア62の上方にカメラ115が設けられている。このカメラ115が撮影した画像は駆動制御装置113に送信され、駆動制御装置113は、カメラ115が撮影した画像に基づいて押えタイミング調整手段111(駆動装置112)により第1押え部材63の位置、第2押え部材64の位相を調整している。この場合、駆動制御装置113は、カメラ115が撮影した画像に基づいて各折帖Sが適正位置に重なり合っているかどうかを判定する。そして、折帖Sが適正位置にないときには、駆動制御装置113は押えタイミング調整手段111をフィードバック制御する。
【0119】
なお、ずれ検出手段としてカメラ115を適用したが、この構成に限らず、例えば、位置センサ(レーザセンサなど)や接触式センサなどであってもよい。
【0120】
このような実施例2のシート搬送装置にあっては、低速搬送コンベア62の上方に対向して折帖Sの先端部を押える第1押え部材63と、折帖Sの後端部を押える第2押え部材64を設けると共に、第1押え部材63による折帖Sの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段111を設け、駆動制御装置113により第1押え部材63による折帖Sの押えタイミングを自動調整可能としている。
【0121】
従って、搬送される折帖Sの速度を適正に減速することができると共に、調整作業の作業性を向上することができる。
【0122】
また、実施例2のシート搬送装置では、押えタイミング調整手段111として、駆動制御装置113を設け、予め設定されたウェブデータや印刷データに基づいて第1押え部材63による押えタイミングを自動調整している。従って、ウェブデータや印刷データが変わっても、搬送される折帖Sを常時適正なタイミングで押さえることができる。
【0123】
また、実施例2のシート搬送装置では、第1押え部材63及び第2押え部材64を通過した後に低速搬送コンベア62により搬送される折帖Sのずれを検出するカメラ115を設け、駆動制御装置113は、カメラ115の撮影結果に基づいて各押え部材63,64による押えタイミングを自動調整している。従って、減速後の折帖Sの搬送状態に基づいて各押え部材63,64による適正な押えタイミングが自動的に設定されることで、搬送精度を向上することができると共に、調整作業の作業性を向上することができる。
【0124】
なお、上述した各実施例では、押えタイミング調整手段65,111により支持軸81を回動することで、複数のブレーキローラ87a,87bの位置を一体に移動して調整可能としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、支持軸の各軸端部をフレームに対して折帖の搬送方向に沿って移動可能と支持し、この支持軸をスライドすることで、複数のブレーキローラの位置を一体に移動して調整可能としてもよい。
【0125】
この場合、支持軸の幅方向各端部を独立して回動またはスライド可能とすることで、折帖(シート)における幅方向の状態に応じて支持軸を介してブレーキローラの調整量を相違させることで、折帖の搬送状態、つまり、幅方向の一端部が厚いときであっても、折帖を適正速度に減速することができる。
【0126】
また、各折帖Sa,Sbごとに、支持軸に対して各ブレーキローラを独立して移動可能に装着したり、支持軸に対して各ブレーキローラを独立して単独で移動可能に装着してもよい。この場合、支持軸の軸方向に複数種類のシートが搬送されるとき、各シートに対して対応するブレーキローラを独立して移動することで、複数のシートの搬送状態に対して各ブレーキローラの位置を高精度に調整することができる。
【0127】
また、上述した各実施例では、本発明のシートを、1枚のウェブWを縦折りしてから断裁して形成した折帖Sとして説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、ウェブWを複数枚重ねたものを使用してもよく、縦折りしてから横折りしたものを断裁して使用してもよく、更には、ウェブWを折らずに単に断裁したものを使用してもよい。
【0128】
また、上述した各実施例では、本発明のシート搬送装置を商業用オフセット輪転印刷機の排紙装置に適用して説明したが、この印刷機、排紙装置に限定されるものではない。例えば、新聞印刷機や枚葉印刷機であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明に係るシート搬送装置は、押え部材によるシートの押えタイミングを調整可能とすることで、搬送されるシートの速度を適正に減速可能とするものであり、いずれの種類の印刷機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
11 給紙装置
12 インフィード装置
13 印刷装置
14 乾燥装置
15 冷却装置
16 ウェブパス装置
17 折り装置
18 排紙装置
33 羽根車側排紙部
34 ストリーム側排紙部
47 断裁装置
48 折帖搬送装置(シート搬送装置)
61 高速搬送コンベア
62 低速搬送コンベア
63 第1押え部材
64 第2押え部材
65,111 押えタイミング調整手段
66 上高速搬送コンベア
67 下高速搬送コンベア
81 支持軸
82a,82b 印刷機フレーム
83 支持アーム
85 支持レバー
87,87a,87b ブレーキローラ
90 調整ハンドル
92 ロックレバー(ロック手段)
112 駆動装置
113 駆動制御装置
114 操作パネル
115 カメラ(ずれ検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを高速で搬送可能な高速搬送コンベアと、
該高速搬送コンベアにより搬送されるシートを受け取って前記高速搬送コンベアより低速で搬送可能な低速搬送コンベアと、
前記高速搬送コンベアから前記低速搬送コンベアに移送されたシートの先端部を押える第1押え部材と、
該第1押え部材よりシートの搬送方向の上流側に位置して前記高速搬送コンベアから前記低速搬送コンベアに移送されたシートの後端部を押える第2押え部材と、
前記第1押え部材または前記第2押え部材によるシートの押えタイミングを調整可能な押えタイミング調整手段と、
を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記高速搬送コンベアは、シートを上下から挟持して搬送可能な上高速搬送コンベア及び下高速搬送コンベアを有し、前記下高速搬送コンベアは、前記上高速搬送コンベアにおける上流部に対向して配置され、前記低速搬送コンベアは、前記上高速搬送コンベアにおける下流部に対向して配置され、前記第1押え部材と前記第2押え部材は、前記上高速搬送コンベアにおける下流部に対応し、且つ、前記低速搬送コンベアの上流部に対向して配置されることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記押えタイミング調整手段は、前記第1押え部材と前記第2押え部材の相対位置を調整可能な位置調整手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記位置調整手段は、前記第1押え部材の位置をシートの搬送方向に沿って調整可能であることを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1押え部材は、回転自在であると共に、自重によりシートの上面を押えるブレーキローラを有することを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記低速搬送コンベアは、シートの搬送方向に沿って移動可能であると共にシートの幅方向に所定間隔で配設される複数の低速ベルトを有し、前記ブレーキローラは、前記複数の低速ベルトの上方に対向して複数設けられ、前記位置調整手段は、前記複数のブレーキローラを移動するローラ移動手段を有することを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記ローラ移動手段は、シートの幅方向に配設されて前記複数のブレーキローラを支持する支持軸を有し、該支持軸を回動またはスライドすることで前記複数のブレーキローラを一体的に移動可能であることを特徴とする請求項6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記ローラ移動手段は、前記支持軸の幅方向各端部を独立して回動またはスライド可能であることを特徴とする請求項7に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記ローラ移動手段は、軸方向の各端部が左右のフレームに回動自在に支持される前記支持軸と、基端部が前記支持軸に固結される支持アームと、基端部が前記支持アームの先端部に回動自在に連結される支持レバーと、該支持レバーの先端部に回転自在に連結される前記ブレーキローラとを有することを特徴とする請求項7または8に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記支持軸は、少なくとも一方の端部が前記フレームを貫通し、該フレームの外側にて、前記支持軸の端部に調整ハンドルが装着されると共に、前記支持軸を前記フレームに対して回動不能とするロック手段が設けられることを特徴とする請求項9に記載のシート搬送装置。
【請求項11】
前記調整ハンドルによる前記支持軸の回動量を計測する調整用目盛が設けられることを特徴とする請求項10に記載のシート搬送装置。
【請求項12】
前記ローラ移動手段は、シートの幅方向に配設されて前記複数のブレーキローラを支持する支持軸を有し、該支持軸に対して前記複数のブレーキローラを独立して移動可能であることを特徴とする請求項6に記載のシート搬送装置。
【請求項13】
前記第2押え部材は、前記高速搬送コンベアより遅い周速で駆動回転可能であると共に、外周面の周方向における所定の領域に設けられたブラシによりシートの上面を押えるブラシローラを有することを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項14】
前記押えタイミング調整手段は、前記ブラシローラにおける前記ブラシの位相を調整可能なブラシ位相調整手段を有することを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項15】
前記押えタイミング調整手段は、前記第1押え部材または前記第2押え部材によりシートの押えタイミングを自動調整可能な駆動制御手段を有し、該駆動制御手段は、予め設定されたシートデータ及びまたは印刷データに基づいて前記各押え部材による押えタイミングを自動調整することを特徴とする請求項1から14のいずれか一つに記載のシート搬送装置。
【請求項16】
前記押えタイミング調整手段は、前記第1押え部材または前記第2押え部材によりシートの押えタイミングを自動調整可能な駆動制御手段と、前記第1押え部材及び前記第2押え部材を通過した後に前記低速搬送コンベアにより搬送されるシートのずれを検出するずれ検出手段とを設け、前記駆動制御手段は、前記ずれ検出手段の検出結果に基づいて前記各押え部材による押えタイミングを自動調整することを特徴とする請求項1から15のいずれか一つに記載のシート搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−46453(P2011−46453A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194136(P2009−194136)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】