説明

シート材の切断方法および装置

【課題】シート材を所定の閉ループ形状で切断する。
【解決手段】シート材の切断装置において、複数個の微細な穿孔部よりエアーを噴出または吸引自在なエアテーブルと、該エアーテーブル上に載置固定された所定の閉ループ状の凹溝部及び前記エアテーブルの各穿孔部位置と一致する各位置に穿孔部を有するテンプレートと、該テンプレート上に載置するシート材の上方位置に設けて前記テンプレートの凹溝部に沿ってシート材を切断する切断刃と、該切断刃をXYZ座標軸で移動および回転自在とする切断刃駆動手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の側部窓用の合わせガラスに用いる中間膜を該ガラス板の形状に合わせて切断する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のガラス板を重ね合わせて接着する合わせガラスのうち、最も良く知られ、広く使用されているものとして、中間膜としてPVB(ポリ・ビニル・ブチラール)製の樹脂シートを挿入して重ね合わせ接着したものが最も良く知られている。
【0003】
自動車の前部窓や後部窓に用いる合わせガラスを製造する場合、前部窓や後部窓の扇形形状に合うように、中間膜を扇形に引き伸ばしてから切断するため、切断後の中間膜は時間の経過とともに収縮してしまうため、少し大きめに切断して加熱接着後はみ出た部分を剃刀等で切り落とす必要があった。
【0004】
一方、自動車の側部窓ガラス等の比較的曲げアールの大きなガラスや、フラットな形状の合わせガラスを製造する場合には、扇形状に加工せずにフラットな中間膜のまま切断するので、切断後の収縮は少ない。このようなシート状のワークを所望の形状に切断する技術としては、定盤上に載置したシート状のワークを所望の外形形状に一致する線に沿ってカッター刃で順次切断する方法や、刃型で全周を同時に押圧して打抜く色々な方法が知られている。
【0005】
例えば、特開2000−119950号公報には、シート材(W)を広げた状態で支持可能な通気性を具備する支持テーブル(2)と、該支持テーブル(2)の上方でカット部(17)を下向きにして設けられた切断ヘッド(3)と、上記支持テーブル(2)の下方で吸引面(30)を上へ向けた状態で上記切断ヘッド(3)に対応して設けられた吸引ヘッド(4)と、上記切断ヘッド(3)及び吸引ヘッド(4)を支持テーブル(2)を挟んだ上下部で互いに同速・同方向へ同期的に平面移動させるヘッド移動手段(5)とを有し、前記切断ヘッド(3)によって支持テーブル(2)上のシート材(W)を直接に切断させることを特徴とするシート材の切断装置が開示されている(特許文献1)。
【0006】
また、特開平8−188433号公報には、ガラス板の数値制御切断装置1は、カッタヘッド2をX軸方向に直動させるX方向直動手段3を備えたブリッジフレーム4を両側5及び6でY方向に移動自在に支持し、ブリッジフレーム4の両側5及び6のそれぞれにボールねじナット7及び8を回転自在に取り付け、Y方向に伸びるボールねじ9及び10のそれぞれに各ボールねじナット7及び8を螺合させ、両ボールねじナット7及び8を同期して回転させてブリッジフレーム4をY方向に直動させるY方向直動手段11を設け、ブリッジフレーム4にX方向に伸びる他のボールねじ12を配し、X方向直動手段3にボールねじ12に螺合する他のボールねじナット13を回転自在に取り付け、X方向直動手段3によりボールねじナット13を回転させてカッタヘッド2をX方向に直動させるようにしてなるガラス板の数値制御切断装置が開示されている(特許文献2)。
【0007】
さらにまた、実開平6−16435号公報には、ロールコンベアの前後にガラス板を支持するエアテーブルを配設し、該ロールコンベアのロール間の下方にキャッチャータンクを設け、該タンクの上方に横架のレールに沿って横行自在かつウォタージェットを噴射するノズルと、前記ロールコンベアおよびエアテーブルの片側に隣接して前記ガラス板を前後動せしめる走行手段とを配設したガラス板の切断装置において、前記走行手段より前記ロールコンベアおよびエアテーブル上に突出する複数のアームと、該アームの先端に前記ガラス板を支持する吸着パッドとを設けたガラス板の切断装置が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−119950号公報
【特許文献2】特開平8−188433号公報
【特許文献3】実開平6−16435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1は、多孔構造、メッシュ構造等の金属板の下地板の上に、毛足の短い絨毯やゴム、スポンジ状のような弾性層材が設けた支持テーブル上にシート材を載置し、その上方に設けたカッターを支持テーブルに押し付けてシート材を完全に分離させるまで強く押し付けて切断させるため、カッターによるシート材の切断と同時に弾性層材や金属製の下地板もカッターによって摺接してしまうことになり、繰り返し切断によるカッター先端の磨耗や、弾性層材の表面の切りキズによる凹凸等により切断不良を招いたり、シート材によっては、切りキズからの弾性層材からのチリ、埃等のシート材への付着により品質に悪影響を及ぼす場合があるという問題があった。
【0010】
また、支持テーブルの上部で平面移動する切断ヘッドに同期させて支持テーブルの下部に設けた吸引ヘッドを平面移動させるため、シート材の一部分だけを固定しているだけであり、シート材全体が固定されているわけではないため、シート材が切断中にずれ、切断した寸法が所定の形状とならない恐れがあった。
【0011】
また、前記特許文献2に記載された発明は、テーブル上に載置した脆性のガラス板をX方向、Y方向に移動自在なカッターによって該ガラス板の上部表面に切断用の切筋線を与えるものであり、ガラスの表面が硬いために、カッターがガラス板に切筋線を与える時にテーブル面まで到達することは無く、キズを付けることはないが、ガラス板に代えて合わせガラス用の樹脂中間膜等の柔らかいシート材を切断する場合には、本発明を適用することはできない。
【0012】
さらに、前記特許文献3に記載された発明においては、エアテーブルによって浮上するガラス板を前進後退させ、ウォータージェットを噴射してガラス板を切断するものであるため、ガラス板のような水に強いシート材の切断に対しては問題ないが、合わせガラスの中間膜として使用されるポリビニルブチラール膜(PVB膜)のような水分によって品質が変化してしまうシート材には使用できないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はこのような問題点に鑑みて、合わせガラス用の樹脂中間膜等の柔らかいシート材を切断するにあたり、カッターの刃部をテーブルに当接させないでシート材を切断でき、切断不良を発生させることなく、シート材を所望の形状に切断することを目的とする。
【0014】
すなわち、本発明は、シート材の切断装置において、複数個の微細な穿孔部よりエアーを噴出または吸引自在なエアテーブルと、該エアーテーブル上に載置固定された所定の閉ループ状の凹溝部及び前記エアテーブルの各穿孔部位置と一致する各位置に穿孔部を有するテンプレートと、該テンプレート上に載置するシート材の上方位置に設けて前記テンプレートの凹溝部に沿ってシート材を切断する切断刃と、該切断刃をXYZ座標軸で移動および回転自在とする切断刃駆動手段とからなることを特徴とするシート材の切断装置である。
【0015】
あるいはまた、本発明は、前記テンプレートに、同一形状又は異なる形状の凹溝部を複数本並設または交差させて配設したことを特徴とする上述のシート材の切断装置である。
【0016】
あるいはまた、本発明は、前記シート材をエアーテーブルに搬出入させる搬出入手段を設けたことを特徴とする上述のシート材の切断装置である。
【0017】
あるいはまた、本発明は、前記テンプレートの凹溝部の幅を2〜7mm、深さを2mm以上としたことを特徴とする上述のシート材の切断装置である。
【0018】
あるいはまた、本発明は、上述のいずれかの装置を用いたシート材の切断方法において、エアテーブルの各穿孔部とテンプレートの各穿孔部とを一致するようにして、テンプレートをエアテーブル上に重ねて固定し、テンプレート上に載置したシート材をエアテーブルの吸引によって吸着して固定した状態で、シート材を切断中のカッター刃の先端部がテンプレートの凹溝部内に潜り込む状態でシート材をカッター刃で切断することを特徴とするシート材の切断方法である。
【0019】
あるいはまた、本発明は、前記凹溝部内を移動させるカッター刃の先端部が凹溝部の最上面より1mm以上、凹溝部内に潜り込むようにしてシート材を切断させることを特徴とする上述のシート材の切断方法である。
【0020】
あるいはまた、本発明は、前記テンプレート上にシート材を搬入、または搬出させる場合、シート材の端部を吸着パッド等で吸着し、エアテーブルの穿孔部よりエアを噴出させてシート材を浮上させながら搬送移動させることを特徴とする上述のシート材の切断方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シート材の切断形状に沿った閉ループ状の凹溝部を有するテンプレートをエアテーブル上に着脱自在に載置したので、合わせガラス用の樹脂中間膜等の柔らかいシート材をカッターによって切断する場合に、カッターの刃部分がシート材を突き抜けても凹溝部内に留まり、エアテーブルに当接することはない。
【0022】
これによって、カッターの刃部分をエアテーブルに当接させないで、シート材を切断できるので、カッター刃の磨耗が少なく、長寿命で磨耗による切断不良を大幅に減少させることができる。
【0023】
また、エアテーブル上に載置したテンプレートに設けた穿孔部によってシート材全体を吸着固定した状態で、シート材を凹溝部に沿ってカッターで切断するのでシート材の位置ズレによる切断寸法不良は発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1の切断装置の概略斜視図。
【図2】本発明の実施例1の切断装置のテンプレートの平面図。
【図3】本発明の実施例1の切断装置の部分断面図。
【図4】本発明の実施例2の切断装置のテンプレートの平面図。
【図5】本発明の実施例3の切断装置のテンプレートの平面図。
【図6】本発明の実施例4の切断装置のテンプレートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図3に示すように、本発明のシート材の切断装置1は、複数個の微細な穿孔部11、11・・よりエアーを噴出または吸引自在なエアテーブル10と、該エアーテーブル10上に載置固定され所定の閉ループ状の凹溝部22及び前記エアテーブル10の各穿孔部11の位置と一致する各位置に穿孔部21を有するテンプレート20と、該テンプレート20上に載置するシート材2の上方位置に設け、前記テンプレート20の凹溝部22に沿ってシート材2を切断する切断刃3をXYZ−θ軸で移動および回転自在な切断刃駆動手段30とからなる。
【0026】
前記エアテーブル10は、複数個の無数の微細な穿孔部11、11・・を上面に有した内部が空洞のチャンバー状となっており、シート材2のエアテーブル10上への搬出入時は該チャンバー内に圧縮エアを送り込んで該穿孔部11、11・・より圧縮エアーを噴出させて、シート材2を浮上させながら搬出入させる。
【0027】
一方、該チャンバー内の空気を図示しない真空ポンプ等で吸引して負圧にすると、エアテーブル10とシート材2間の空気は、該穿孔部11、11・・よりチャンバー内に吸引されて、シート材2はエアテーブル10の上面で吸着される。詳細には、エアテーブル10とシート材2間にはテンプレート20が介在しているので、エアテーブル10の穿孔部11、11・・とテンプレート20の穿孔部21、21・・を通じてシート材2は吸着される。
【0028】
また、前記テンプレート20は、樹脂製の板状であって、エアテーブル10と略同じ大きさ、または若干小さめとし、エアテーブル10に設けた各穿孔部11、11・・とテンプレート20に設けた各穿孔部21、21・・の位置をほぼ一致するように配設するが、各穿孔部21、21・・の位置ずれを考慮して、テンプレート20側の穿孔部21、21・・の各孔径を、エアテーブル10側の各穿孔部11、11・・の孔径より僅かに大きくして、エアテーブル10上に着脱自在に固定した。
【0029】
さらに、テンプレート20の上面に少なくとも一つ設けた閉ループ状の凹溝部22は、凹溝部22の中心線からなる閉ループ形状が、シート材2より切り抜き切断しようとする所望の形状と一致する形状とした。
【0030】
前記一般的な市販の切断刃3の厚みが0.4mm前後であり、切断対象のシート材2により0.1〜0.5mm程度の厚みにものも存在することを考慮して、前記テンプレート20の凹溝部22の幅は、2〜7mm、深さを2mm以上とするのが良く、切断刃3がシート材2を突き抜けてシート材2の下面より1mm以上入り込んだときに、切断刃3の先端が凹溝部22の底部と当接しない深さが必要である。
【0031】
図4に示すように、1枚のテンプレート20に同一形状の閉ループの凹溝部22を複数本並設することもできる。この場合、同一のシート材2から複数枚採りが可能となる。
【0032】
一方、図5に示すように、1枚のテンプレート20に大きな形状の凹溝部22内に小サイズの凹溝部22’を配設したり、図6に示すように、異なる形状の凹溝部22、22’を複数本交差させて配設することもできる。図5、図6の場合は、いずれか一つだけの凹溝部22、22’の形状を選択して使用することなる。
【0033】
前記シート材2のエアーテーブル10上への搬入、搬出については、図示しない搬出入手段を設ければ良い。搬出入手段としては、エアテーブル10の穿孔部11、11・・からエアを噴出させて、シート材2を僅かに浮上させた状態で図示しない吸着パッド等でシート材2の先端側両コーナー部を吸着保持しながら、引きずるように引っ張って移動させれば良い。
【0034】
前記切断刃駆動手段30は、X軸方向の直動システムによるX軸駆動手段31、Y軸方向の直動システムによるY軸駆動手段32、切断刃3を有する切断ヘッドをエアシリンダやモーター等によってZ軸方向で昇降させるZ軸駆動手段33、さらにXY軸からなる平面のカーブ部分で切断刃3の向きを常に切断刃3が接線方向となるように回転させるθ軸駆動手段を設けたが、これらからなる切断刃駆動手段30として、多関節ロボットを使用するようにしても良い。
【0035】
前記切断刃3としては、標準引切りカッターナイフで、片刃、両刃のいずれでも良い。切断刃3の厚みとしては、一般的な市販のカッター刃の厚みが0.4mm前後であり、0.1〜0.5mm程度の厚みのカッター刃を使用することもできる。
【0036】
前記のような切断装置1を用いてシート材2を切断する方法について説明する。
【0037】
エアテーブル10の上部側面に一定間隔に設けた複数の穿孔部11、11・・と、板状のテンプレート20に一定間隔に設けた複数の穿孔部21、21・・とをそれぞれ一致するように、テンプレート20をエアテーブル10上に重ねて固定し、テンプレート20上に載置したシート材2をエアテーブル10の吸引によって吸着して固定した状態で、シート材2を切断中の切断刃3の先端部がテンプレート20の凹溝部22内に潜り込む状態でシート材2を切断刃3で切断する。
【0038】
尚、切断刃3による切断スタート位置より切断停止位置までループ状に切断するが、切断刃の停止位置は切断スタート位置と同一位置ではなく、切断スタート位置より数ミリオーバーラップさせて切断させると、切断スタート位置での糸状の切断残りがなくなり、望ましい。
【0039】
エアテーブル10上に切断形状と一致する閉ループ状の凹溝部22を有するテンプレート20を載置するようにしたのは、シート材2を該形状に切断する切断刃3の刃部がエアテーブル10に当接しないようにして、刃部の磨耗を抑えるとともに、シート材2以外の切り屑を発生させないようにするためである。
【0040】
前記凹溝部22内を移動させる切断刃3の先端部が凹溝部22の最上面より1mm以上、凹溝部22内に潜り込むようにしてシート材2を切断させる。すなわち、シート材2の下面より突き出した切断刃3の先端が1mm以上となるようにするのが良い。
【0041】
これは、1mm未満とすると、切断刃3をシート材2に押し付けたとき、シート材2の撓み等により、切断不良が発生する場合があるため、シート材2を貫通した切断刃3の先端が凹溝部22内に1mm以上潜り込むようにした。
【0042】
前記テンプレート20上にシート材2を搬入、または搬出させる場合には、シート材2の先端部または先端コーナー部を小径または細長の図示しない吸着パッド等で吸着し、エアテーブル10の穿孔部11、11・・よりエアを噴出させてシート材2を浮上させながら搬送移動させれば良い。
【0043】
次に、本発明のシート材の切断方法および切断装置の作用について説明する。
【0044】
前記テンプレート20の上面側に閉ループ状の凹溝部22を設け、該凹溝部22の中心線の形状に切断する所望の閉ループ形状と一致するようにしたのは、切断刃3によってシート材2を切断する時に、切断刃3の刃部分がエアテーブル10の上面に当接しないようにして、エアテーブル10との当接による切断刃3の磨耗を発生させないようにするとともに、エアテーブル10の上面に切りキズを発生させないようにするためである。
【0045】
また、シート材2を切断する時に、エアテーブル10の吸引によって、シート材2を吸着し固定するようにしたのは、切断中にシート材2の位置変動を発生させないことにより切断形状不良を発生させないようにしたり、シート材2を吸着によりピーンと張った状態にすることによって、シート材2の凹溝部22で下方側に吸引されて撓まないようにできるため、撓み状態で切断刃3による切断時に発生する切り残しや切断ムラ等の切断不良を発生させること無く、スムーズに切断を行うことができる。
【0046】
1枚のテンプレート20に閉ループ状の凹溝部22を複数設けたことによって、製作するテンプレート20の数を減らすことができる。
【0047】
シート材は、合わせガラスの中間膜として使用するポリビニールブチラール膜(PVB膜)、樹脂フイルム等のシート材を対象とする。
【0048】
続いて本発明のシート材の切断装置1の使用例について記載する。
【0049】
[実施例1]
シート材2として、0.7〜1mm程度の厚みのポリビニールブチラール膜(PVB膜)を用意する。
【0050】
図1に示したように、金属製のエアテーブル10上にMCナイロン樹脂製のテンプレート20を載置し、テンプレート20の四隅コーナー近傍位置をボルト等で固定する。エアテーブル10およびテンプレ−ト20のそれぞれには、縦横両方向に、例えば20mmピッチ毎に、2mmΦの穿孔部11、21が設けられており、エアテーブル10の穿孔部11の位置とテンプレート20の穿孔部21の位置がそれぞれ一致するように配置されている。
【0051】
図2、図3に示したように、テンプレート20の上面には、自動車の側部窓ガラスの形状と一致する形状の閉ループ状の凹溝部22が連続したライン状で設けられており、該凹溝部22の幅を例えば2mm、深さは5mmとした。
【0052】
エアテーブル10上に固定されたテンプレート20上にシート材2を搬入し、皺の無いように載置する。搬入する時は中空チャンバー状のエアテーブル10内を正圧にしてシート材2を浮上させ、所定の位置となった時にエアテーブル10内を負圧に切り替えて、シート材2をテンプレート20に吸着させ固定する。
【0053】
該テンプレート20上に載置するシート材2の上方位置に設けた切断刃3を、搬送方向にX軸駆動手段31、幅方向にY軸駆動手段32、上下方向にZ軸駆動手段33で移動、かつXY軸平面上で円弧上にカーブする部分で切断刃の向きを回転自在とする円弧状駆動手段からなるXYZ−θ軸の切断刃駆動手段30によって移動させ、前記テンプレート20の凹溝部22の中心線に沿ってシート材2を切断する。
【0054】
切断刃駆動手段30の走行軌跡は、あらかじめティーチングによって凹溝部22の幅方向の中心線を走行するように記憶させ、凹溝部22の壁面には接触させないようにする。
【0055】
切断完了後、シート材2の周辺部の先端側コーナー部を図示しない吸着パッドで吸着するとともに、閉ループ状に切り抜かれた部分の先端部も図示しない吸着パッドで吸着保持した後、エアテーブル10内を正圧に切り替えてシート材2を浮上させ、シート材2の外側部分を上面から吸着している前記吸着パッドで吸着しながら図示しない排出ボックスまで搬出し、閉ループ曲線の内側部分を次工程へ搬出した。
【0056】
[実施例2]
図4に示すように、1枚のテンプレート20内に同一形状の閉ループ形状の凹溝部22、22’が複数枚並設されている以外は、実施例1と同じである。これによって、1枚のシート材2より複数枚の所定形状の閉ループ形状に切断されたシート材2を得ることができる。
【0057】
複数の凹溝部22、22’で得られた切断されたシート材2は、テンプレート内の複数の凹溝部22、22’の数だけ切断後、1枚ずつ搬出される。
【0058】
[実施例3]
図5に示すように、1枚のテンプレート20内に大きな形状の閉ループ形状の凹溝部22と、小さな形状の閉ループ形状の凹溝部22’とを有するものであり、同時に用いることは無く、該テンプレート20上に設けられた閉ループの凹溝部22、22’の所望のいずれか一つだけを使用することになる点以外は、実施例1と同じである。これによって、1枚のシート材より1枚の所定形状の閉ループ形状に切断されたシート材を得ることができる。
【0059】
[実施例4]
図6に示すように、1枚のテンプレート20内に異なった形状の複数の閉ループ形状の凹溝部22、22’が交差するように設けられているものであり、これらの複数の凹溝部22、22’を同時に用いることは無く、該テンプレート20上に設けられた閉ループの凹溝部22、22’の所望のいずれか一つだけを使用する点以外は、実施例1、3と同じである。これによって、1枚のシート材より1枚の所定形状の閉ループ形状に切断されたシート材を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 切断装置
2 シート材
3 切断刃
10 エアテーブル
11 穿孔部
20 テンプレート
21 穿孔部
22、22’ 凹溝部
30 切断刃駆動手段
31 X軸駆動手段
32 Y軸駆動手段
33 Z軸駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材の切断装置において、複数個の微細な穿孔部よりエアーを噴出または吸引自在なエアテーブルと、該エアーテーブル上に載置固定された所定の閉ループ状の凹溝部及び前記エアテーブルの各穿孔部位置と一致する各位置に穿孔部を有するテンプレートと、該テンプレート上に載置するシート材の上方位置に設けて前記テンプレートの凹溝部に沿ってシート材を切断する切断刃と、該切断刃をXYZ座標軸で移動および回転自在とする切断刃駆動手段とからなることを特徴とするシート材の切断装置。
【請求項2】
前記テンプレートに、同一形状又は異なる形状の凹溝部を複数本並設または交差させて配設したことを特徴とする請求項1記載のシート材の切断装置。
【請求項3】
前記シート材をエアーテーブルに搬出入させる搬出入手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のシート材の切断装置。
【請求項4】
前記テンプレートの凹溝部の幅を2〜7mm、深さを2mm以上としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート材の切断装置。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれかの装置を用いたシート材の切断方法において、エアテーブルの各穿孔部とテンプレートの各穿孔部とを一致するようにして、テンプレートをエアテーブル上に重ねて固定し、テンプレート上に載置したシート材をエアテーブルの吸引によって吸着して固定した状態で、シート材を切断中のカッター刃の先端部がテンプレートの凹溝部内に潜り込む状態でシート材をカッター刃で切断することを特徴とするシート材の切断方法。
【請求項6】
前記凹溝部内を移動させるカッター刃の先端部が凹溝部の最上面より1mm以上、凹溝部内に潜り込むようにしてシート材を切断させることを特徴とする請求項5記載のシート材の切断方法。
【請求項7】
前記テンプレート上にシート材を搬入、または搬出させる場合、シート材の端部を吸着パッド等で吸着し、エアテーブルの穿孔部よりエアを噴出させてシート材を浮上させながら搬送移動させることを特徴とする請求項5または6に記載のシート材の切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−284772(P2010−284772A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142015(P2009−142015)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】