説明

シート材付きサポータ及びシート材付きサポータの製造方法

【課題】 表示が見易くて伸び縮みせず、密着性が高くて容易に剥がれないシート材付きサポータ及びシート材付きサポータの製造方法を提供する。
【解決手段】 関節等を保護するための合成繊維の織物2からなるサポータにおいて、表示部材3を保護するポリ塩化ビニル樹脂シート材(又はポリウレタン樹脂シート材若しくはアクリル樹脂シート材)1と該樹脂シート材1に印刷された表示部材3と該樹脂シート材1と合成繊維の織物2とを表示部材3を挟んで接着するための熱可塑性接着剤からなる接着剤層4とを備え、上記接着剤層4の融点は、ポリ塩化ビニル樹脂シート材(又はポリウレタン樹脂シート材若しくはアクリル樹脂シート材)1の融点および合成繊維の織物2の融点よりも低い温度として構成されており、上記接着剤層4を加熱・加圧することで一体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節等を保護するためのサポータに関するもので、特に腕や足を保護するためにシート材を接着させたシート材付きサポータ及びシート材付きサポータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツをする場合や怪我をした場合、関節や腱等を保護したり、包帯の位置ずれを防止するため等にサポータを使用する。サポータは、通常、厚手の合成繊維の織物からなり、関節等の曲げたり伸ばしたりする部位を保護するためには、伸縮性が求められており、サポータの材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの繊維に、ゴム質の繊維を織り込んだり、パイル加工を施したり、多層構造としたりする。このサポータには、近年、広告のためにスポーツ用品メーカの標章や図案等の表示がなされたり、識別のために氏名等の表示がなされたり、デザインアクセントとして絵柄等の表示がなされている場合が多くなっている。
【0003】
従来、例えば、衣類の布等に使用される表示部材と表示方法としては、常温で形態を保持できる熱接着剤をフィルム状に成形し、この熱接着剤フィルムの表面に絵や文字や記号等の所定の印刷を施して印刷層を形成し、この印刷層の周囲を所定の大きさに切断して印刷熱接着剤フィルム片を形成し、この印刷熱接着剤フィルム片の裏面を商品等の被表示部材の表面に当接して印刷層を表面側に位置させ、次いで前記印刷層の側から加熱体を当接押圧し、前記印刷熱接着剤フィルム片を軟化あるいは溶融させ、前記接着剤層を介して印刷層を被表示部材の表面に付着させる表示部材への表示方法(特許文献1)や、離型シートとなる支持フィルム層と、該支持フィルム層上に積層されたポリウレタン樹脂表皮層と、該ポリウレタン樹脂表皮層上に積層されたホットメルト型接着剤層とを備えてなり、上記接着剤層により衣類の基布に熱接着される表示用マーキングフィルムにおいて、上記ポリウレタン樹脂表皮層は、アクリル系添加剤及びシリコーン系添加剤の両方が添加されたポリウレタン樹脂からなり、上記アクリル系添加剤は、ポリウレタン樹脂が100重量部に対して5〜40重量部添加され、上記シリコーン系添加剤は、ポリウレタン樹脂が100重量部に対して5〜60重量部添加されていることを特徴とする表示用マーキングフィルム(特許文献2)が開示されている。
【特許文献1】特許第3104154号公報
【特許文献2】特許第3682103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1記載の印刷が施された熱接着剤フィルムを上記サポータに接着させた場合には、サポータを形成する合成繊維の織物は織り目が粗いことから、加熱により熱接着剤フィルムが溶けてサポータの繊維の間に溶け込むことで印刷が施された熱接着剤フィルム自体が変形し易く、文字、図案、絵柄等が変形してしまうので、本来の外観を呈さず見難くなる。特許文献2記載のシリコーン系添加剤が添加されているフィルムについても、フィルムが容易に伸び縮みするので図案等が変形し易い。特に企業の標章や図案等を広告として使用するときには、認識し難くなると、その広告機能を阻害してしまう難点がある。また、例えば特許文献1記載のフィルム状の熱接着剤に印刷を施して表示部材としてサポータに固着させた場合には、印刷面が露出するため、例えばバレーボール等の運動により該印刷面が床などに接触すると表示部材が容易に剥がれてしまい、その表示機能が長く保てず、特許文献2記載のシリコーン系添加剤が添加されているフィルムでは、滑りの悪さから(摩擦係数が大きいことから)、バレーボール等の運動により、膝や肘が床と接触すると、フィルムと床との摩擦により、膝や肘を痛めてしまう危険がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、サポータの表面に樹脂シート材を接着させても、摩擦係数が小さくて滑り易く、しかも、表示が見易くて伸び縮みせず、密着性が高くて容易に剥がれず、そして、表示部材をにじませるようなことなく仕上がり具合の良いシート材付きサポータ及びシート材付きサポータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート材付きサポータとシート材付きサポータの製造方法は、関節等を保護するための合成繊維の織物からなるサポータに、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して加熱・加圧により一体的に接着させ、上記各樹脂シート材は、透明又は半透明の材質であり、この各樹脂シート材と前記接着剤層との間に、文字、図案、絵柄等の表示が施された表示部材を介在させていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上記各樹脂シート材をサポータに接着させることで、例えば、バレーボール等の運動により、膝や肘が床と接触しても、摩擦係数が小さくて滑り易く、膝や肘を痛めてしまう事態を抑制することができる。また、シート材の表面の手触り(足触り)も良好である。したがって、クッション材として、膝又は肘の部分に着用されるサポータの内側に接着させても良い。クッション材としては、上記ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、アクリル樹脂シート材等が挙げられ、これらが取り付けられていることで、例えばバレーボール等の運動の際に、上記サポータを付けた状態で膝頭や肘が床に擦れたとしても、クッション材としてのポリ塩化ビニル樹脂シート材等が更に肘や膝を保護することとなる。
【0008】
そして、上記接着剤層の融点は、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材の融点および合成繊維の織物の融点よりも低い温度として構成されており、上記接着剤層を上記各樹脂シート材の融点および合成繊維の織物の融点よりも低い温度で加熱・加圧することで一体とするため、上記接着剤層の加熱によりポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材および合成繊維の織物が溶けることがなく、仕上がりの良いシート材付きサポータとなる。
【0009】
ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材は、熱可塑性樹脂であり、熱可塑性エラストマーとも呼ばれ、曲り易いが伸びたり縮んだりし難い材質であるため、このポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材により文字、図案、絵柄等の表示が施された表示部材を保護することにより、関節等の曲りに応じてサポータが曲る際にはサポータの曲る機能を損なわせないために上記各樹脂シート材も追従して曲るが、皮膚の伸び縮みに応じてサポータが伸びたり縮んだりする際には上記各樹脂シート材は伸びたり縮んだりし難いために、表示部材の文字等の表示が伸び縮みせずに見易いものとなる。ここで、上記各樹脂シート材の面積をサポータの面積に対して十分小さくしておけば、サポータが伸び縮みする機能への影響はほとんどない。
【0010】
本発明のシート材付きサポータは、腕や足にその装着方向を長くして着用されるものであって、その装着方向の長手方向に前記樹脂シート材が接着されることが好ましい。つまり、前記樹脂シート材はサポータの伸びを抑制する場所に接着されることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、足や腕に装着すると、足や腕の腱の部分を有効に押圧する部分的な補強部材となるが、上記樹脂シート材は伸びたり縮んだりし難いために、表示部材の表示には影響がなく、動いても表示がはっきりと認識できる。
【0012】
本発明のシート材付きサポータは、腕や足にその装着方向を長くして着用されるものであって、腕や足の短手方向には伸び易く、腕や足の長手方向には伸び難く、その装着方向の短手方向に前記樹脂シート材が均等な大きさで複数に分割されて接着されることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、シート材付きサポータの装着方向の短手方向に前記樹脂シート材が均等な大きさで複数に分割されて接着されることで、シート材付きサポータが伸び易い装着方向の短手方向の伸びを妨げることなく前記樹脂シート材を接着することができる。また、シート材付きサポータが装着方向の短手方向に伸びると、前記樹脂シート材に描かれた文字や図柄等の間隔が広くなることから、文字や図柄の視覚効果をねらった配置をすることができる。ここで、前記樹脂シート材が均等な大きさで複数に分割されて接着されるとは、多角形(正方形)や楕円形(円形)のように線対称の形状に分割された樹脂シート材が一定間隔で配置され接着されることを意味しており、分割された1つの樹脂シート材の短手方向の長さと長手方向の長さは等しいか、近似している構成が好ましい。また、複数に分割された樹脂シート材は、予め台紙に付いた状態でサポータに接着することで、所望の場所に一度に接着することができる。
【0014】
本発明としては、前記樹脂シート材は、透明又は半透明の材質であり、この樹脂シート材と前記接着剤層との間に、文字、図案、絵柄等の表示が施された表示部材を介在させている構成であることを特徴とする。ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材に印刷された表示部材が外部からはっきりと見えるようにするためである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、サポータに、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して加熱・加圧により一体的に接着させることにより、上記樹脂シート材が有する摩擦係数が小さい滑り易さにより、膝や肘が床と接触しても、膝や肘を痛めてしまう事態を抑制することができる。接着剤層の融点は、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材の融点および合成繊維の織物の融点よりも低い温度として構成して、加熱・加圧により一体化することにより、文字等の表示を施した表示部材を介在させても、文字等の表示が滲ましたり、サポータ生地等を溶かすことなく、仕上がりの良いシート材付きサポータを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を引用しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明を適用したシート材付きサポータZ1の正面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面模式図である。本実施の形態は、関節等を保護するための合成繊維の織物2からなる膝用サポータZ1において、表示部材3を保護するポリ塩化ビニル樹脂シート材(又は、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材)1と該シート材1に印刷された表示部材3と該シート材1と合成繊維の織物2とを表示部材3を挟んで接着するための熱可塑性接着剤からなる接着剤層4とを備える。膝用サポータZ1は、足にその装着方向を長くして着用されるものであって、足の短手方向には伸び易く、腕や足の長手方向には伸び難く、その装着方向の短手方向に樹脂シート材1が均等な大きさで複数に分割されて接着される(図1では5つの正方形状に分割されている)。複数の表示部材3は、接着剤層4による樹脂シート材1と織物2との接着強度を維持するために、それぞれ、分割された樹脂シート材1の内側に印刷されている。表示部材3は、不滅インクや熱硬化前の液体状の樹脂や、溶剤揮発前の液体状の樹脂を樹脂シート材1に印刷したものであり、適宜、着色したり、ラメや蛍光塗料を混ぜたりする。
【0017】
合成繊維の織物2の材質としては、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンなどの素材が単数または複数の組み合わせで用いられる。また、上記合成繊維と絹、羊毛等の天然繊維とを組み合わせることもできる。樹脂シート材1は、ポリ塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー)で出来ている。ポリ塩化ビニル樹脂(又は、ポリウレタン樹脂、又は、アクリル樹脂)は、引張強度が高いため引っ張ってもほとんど伸びないが、シート状に加工することで、曲り易くなる。また、ポリ塩化ビニル樹脂(又は、ポリウレタン樹脂、又は、アクリル樹脂)は、成形条件や添加剤等により硬度を広い範囲で調整可能である。例えば、ポリ塩化ビニルにフタレート(可塑剤)を混ぜて柔らかくしたものは軟質ポリ塩化ビニル樹脂と呼ばれるが、このように軟質のものから硬質のものに硬度を広い範囲で調整可能である。なお、可塑剤を添加する際には、可塑剤が接着剤層4や合成繊維の織物2に移行しないか事前確認する。ここで、上記樹脂シート材(ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材)に代えて、シリコーン樹脂等の常温でゴム性質を示す樹脂を使用すると、摩擦係数が大きく、しかも透明度が低いことから介在させる表示部材3の文字等の表示をはっきりと認識し難くなる等の欠点がある。この点、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材はその透明度が高く、表示部材3の文字等の表示をはっきりと認識させるとともに、摩擦係数が小さく、肌触りもよい。
【0018】
熱可塑性接着剤からなる接着剤層4は、ホットメルト接着剤をシート状に成形したものである。ホットメルト接着剤は、溶剤成分(溶媒)を含まないことから、表示部材3を溶かすことがなく、シート状に成形されていることから、作業性がよい。ホットメルト接着剤のベースポリマーは、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリウレタン等がある。接着剤層4の融点は、樹脂シート材1と表示部材3の融点および合成繊維の織物2の融点よりも低い温度として構成されている。すなわち、接着剤層4の融点は80〜110℃であり、樹脂シート材1の融点は140〜160℃であり、表示部材3の融点は素材により異なるが140〜400℃であり、合成繊維の織物2の融点は素材や素材の割合により異なるが120〜300℃である。したがって、上記接着剤層4の融点は樹脂シート材1の融点よりも低く、かつ、上記接着剤層4の融点は表示部材3の融点よりも低く、かつ、上記接着剤層4の融点は合成繊維の織物2の融点よりも低い。
【0019】
例えば、表示部材3は、表示の内側を表示部材3aとして、表示の外側を表示部材3bとして構成され、その融点が接着剤層4の融点よりも高い表示部材3aと、その融点が接着剤層4の融点よりも低い表示部材3bとしてもよい。例えば表示部材3aを熱硬化性シリコーン樹脂とすれば、その融点は300℃以上となり、表示部材3bを熱硬化性ポリウレタン樹脂とすれば、その融点は60〜80℃となり、接着剤層4の融点は80〜110℃である。したがって、上記接着剤層4の融点は表示の内側を形成する表示部材3aよりも低く、かつ、上記接着剤層4の融点は表示の外側を形成する表示部材3bよりも高いことから、表示部材3の内側を溶かさずに、表示部材3の外側のみを溶かして接着剤層4との密着力を高めるとともに、表示(図柄)の周辺にグラデーションを付けることで、図柄の美観を高めることができる。
【0020】
図2は、本発明を適用したシート材付きサポータZ1の製造方法を模式的に示す模式図である。本発明を適用したシート材付きサポータZ1の製造方法は、図2(a)に示すように、接着前の樹脂シート材1は、印刷された表示部材3とシート状に成形されたホットメルト接着剤からなる接着剤層4の付いている側には、剥離紙5が貼り付けられており、接着剤層4が付いていない側には、剥離紙5よりも密着性の良い剥離紙6が付いている。剥離紙5と6は、コーティング紙である。図2(b)に示すように、まず剥離紙5を剥がして、接着剤層4を露出させ、接着剤層4が露出した面を合成繊維の織物2の被接着面に当て、加熱・加圧手段K1,K2にて剥離紙6の上から樹脂シート材1と合成繊維の織物2の被接着面の反対側の面を加圧しながら加熱する。加熱・加圧手段K1,K2は、ヒーターが内蔵された加圧プレスである。そして、接着剤層4を樹脂シート材1と表示部材3の融点および合成繊維の織物2の融点よりも低い温度である90℃〜110℃で加熱することで一体とする。加熱時間は、数十秒から数分程度である。ここで、剥離紙6は、コーティング紙であり、耐熱温度は120℃以上である。加熱後、加熱・加圧装置K1,K2を外して、自然冷却または強制冷却により接着剤層4を常温(室温)に戻して固化させる(図2(c))。そして、剥離紙6を樹脂シート材1から剥離することで、シート材付きサポータZ1が形成される(図2(d))。
【0021】
図3は、本発明を適用したシート材付きサポータZ2の正面図である。本実施の形態は肘用サポータであり、樹脂シート材1の接着位置は曲げ伸ばしに影響の少ないサポータ上部であり、樹脂シート材1の面積は、サポータZ1の面積の1/20以下となっている。表示部材3には蛍光塗料が含まれており、夜間、花柄模様が浮き出て見える。樹脂シート材1の周辺部はギザギザ形状となっているが、形状はデザインに応じて任意に加工できる。樹脂シート材1と合成繊維の織物2との接着を行う接着剤層4の接着力を所定のレベルに維持するため、表示部材3は、樹脂シート材1の外周よりも内側に印刷されており、かつ、表示部材3の面積は樹脂シート材1の面積の1/2以下となっている。
【0022】
図4は、本発明を適用したシート材付きサポータZ3の側面図である。図4(a)は、シート材付きサポータZ3の左側面図であり、図4(b)は、シート材付きサポータZ3の右側面図である。本実施の形態は、膝用サポータであり、樹脂シート材1はサポータの伸びを抑制するため、サポータの両側側面中央のラインに沿って接着され、表示機能に加えて膝の補強材としての機能も有する。
【0023】
図6は、本発明を適用したシート材付きサポータZ5を腕に装着した状態の側面図である。図6(a)は、シート材付きサポータZ5を腕に装着した状態の左側面図であり、図6(b)は、シート材付きサポータZ5を腕に装着した状態の右側面図である。本実施の形態は、腕用サポータであり、腕や足にその装着方向を長くして着用されるが、肘の部分にはかからないで使用される。肘の部分にかかると、屈曲が大きいので表示部材3の文字等の印刷が折れ曲がる可能性が高い。その装着方向の長手方向にポリ塩化ビニル樹脂シート材(又はポリウレタン樹脂シート材若しくはアクリル樹脂シート材)が左右ほぼ対称の位置に接着されている。このように左右ほぼ対称の位置に接着させると、肘より上側では上腕二頭筋を左右から押さえ、肘より下側ではいわゆる腱を左右から押さえるが、この左右の樹脂シート材1は伸びたり縮んだりし難いために、表示部材の表示には影響がなく、動いても表示がはっきりと認識できる。
【0024】
(第2の実施形態)
図5(a)は、本発明を適用したシート材付きサポータZ4の正面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A線断面模式図である。本実施の形態は、バレーボール競技の膝用サポータである。サポータ2の内側中央には、クッション材5が取り付けられている。樹脂シート材1はクッション材5が取り付けられているサポータの面の反対側の面に接着されている。樹脂シート材1の大きさはクッション材5の大きさよりも小さく、膝頭の大きさよりも大きい。クッション材5は衝撃吸収パッドであり、発泡性ウレタン素材からなるが、本実施の形態のクッション材5の表面には、上記ポリウレタン樹脂シート材がその肌触りの良さから使用されている。また、クッション材5は、取り外しができて位置ずれし難いように、サポータ2の内側に縫い付けられた袋状の布に収納されていてもよい(図示せず)。バレーボール競技の際には、企業広告である表示部3がはっきりと見え、試合等の際に、上記サポータZ4を付けた状態で膝頭が床に擦れたとしても樹脂シート材1がサポータを保護するため、樹脂シート材1の接着されていないサポータに比べ、サポータが傷み難く丈夫なものとなる。また、樹脂シート材1と合成繊維の織物2とクッション材5の3層構造とすることで、衝撃から人体を保護する性能が従来のサポータに比べて高くなるため、バレーボール等の激しい運動を行うスポーツの間接等の保護に好適である。
【0025】
(実施例1)
レーヨンとポリエステルの複合繊維の織物2からなる膝用サポータにおいて、ポリ塩化ビニル樹脂シート材1に不滅表示インクを印刷して表示部材3として、ウレタン樹脂接着剤からなる接着剤層4を表示部材3と織物2に介在させ、熱圧着により一体的に接着させて、シート材付きサポータZ1を得た。ポリ塩化ビニル樹脂シート材1は、樹脂の中でも極めて強度が高いため、バレーボール等の激しい運動においても、表示が剥がれ難いシート材付きサポータZ1となった。
【0026】
(実施例2)
レーヨンとウレタンの複合繊維の織物2からなる膝用サポータにおいて、ポリウレタン樹脂シート材1にウレタン系顔料からなる表示インクを印刷して表示部材3として、ウレタン樹脂接着剤からなる接着剤層4を表示部材3と織物2に介在させ、熱圧着により一体的に接着させて、シート材付きサポータZ1を得た。ポリウレタン樹脂シート材1は、樹脂の中でも極めて曲り易くて伸び難いため、膝に付けると自然な動きができて、表示が変形し難いシート材付きサポータZ1となった。
【0027】
(実施例3)
アクリル繊維の織物2からなる膝用サポータにおいて、アクリル樹脂シート材1にアクリル系顔料からなる表示インクを印刷して表示部材3として、アクリル樹脂接着剤からなる接着剤層4を表示部材3とアクリル繊維の織物2に介在させ、熱圧着により一体的に接着させて、シート材付きサポータZ1を得た。全ての構成部材をアクリル系材料とすることにより、見映えがよくて極めて密着力の高い単一素材のシート材付きサポータZ1となった。
【0028】
以上、本実施の形態では、上記接着剤層4は、ホットメルト接着剤をシート状に成形したものであるとしたが、ホットメルトアプリケータにより該接着剤を樹脂シート材1の表示部3の付いている面に塗布して接着剤層4としてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1(a)は、本発明を適用した第1の実施形態のシート材付きサポータの正面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面模式図である。
【図2】上記第1の実施の形態のシート材付きサポータの製造方法を模式的に示す模式図である。
【図3】上記第1の実施の形態のシート材付きサポータを示す正面図である。
【図4】上記第1の実施の形態のシート材付きサポータを示す左右の側面図である。
【図5】図5(a)は、本発明を適用した第2の実施形態のシート材付きサポータの正面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A線断面模式図である。
【図6】上記第1の実施の形態のシート材付きサポータを示す左右の側面図である。
【符号の説明】
【0030】
Z1,Z2,Z3,Z4,Z5 シート材付きサポータ、
1 ポリ塩化ビニル樹脂シート材等の樹脂シート材、
2 合成繊維の織物、
3 表示部材、
4 接着剤層、
5 クッション材
K1,K2 加熱・加圧手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節等を保護するための合成繊維の織物からなるサポータに、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して加熱・加圧により一体的に接着させ、
上記各樹脂シート材は、透明又は半透明の材質であり、この各樹脂シート材と前記接着剤層との間に、文字、図案、絵柄等の表示が施された表示部材を介在させていることを特徴とするシート材付きサポータ。
【請求項2】
シート材付きサポータは、膝又は肘の部分に着用されるサポータであって、前記樹脂シート材が貼着される表面側とは反対側の面にクッション材が接着されていることを特徴とする請求項1記載のシート材付きサポータ。
【請求項3】
シート材付きサポータは、腕や足にその装着方向を長くして着用されるものであって、その装着方向の長手方向に前記樹脂シート材が接着されることを特徴とする請求項1記載のシート材付きサポータ。
【請求項4】
シート材付きサポータは、腕や足にその装着方向を長くして着用されるものであって、腕や足の短手方向には伸び易く、腕や足の長手方向には伸び難く、その装着方向の短手方向に前記樹脂シート材が均等な大きさで複数に分割されて接着されることを特徴とする請求項1記載のシート材付きサポータ。
【請求項5】
関節等を保護するための合成繊維の織物からなるサポータに、ポリ塩化ビニル樹脂シート材、ポリウレタン樹脂シート材、又は、アクリル樹脂シート材を熱可塑性接着剤からなる接着剤層を介して加熱・加圧により一体的に接着させるもので、
上記接着剤層の融点は、上記各樹脂シート材の融点および合成繊維の織物の融点よりも低い温度として構成され、
上記各樹脂シート材は、透明又は半透明の材質であり、この各樹脂シート材と上記接着剤層との間に、文字、図案、絵柄等の表示が施された表示部材を介在させて、加熱・加圧により一体化することを特徴とするシート材付きサポータの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−41146(P2009−41146A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−208687(P2007−208687)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(507271422)ディーエムチエーン協同組合 (5)
【Fターム(参考)】