説明

シート材料上に金属化画像を生成するための方法、及び前記方法を実施するための装置

シート材料上に金属化画像を生成する本発明の方法は、複数の金属の塩を含んだ溶剤を前記材料に含浸させる工程、及び予め定まった材料の複数の点を複数のレーザパルスに曝す工程を含んでいる。レーザスポット内での前記溶剤と前記複数のパルスの相互作用は光化学反応を始め、必要な数の電子と結合することにより金属イオンが金属の基本状態に還元され、前記材料表面上のレーザスポットの領域に、前記シート材料の填料に固く固着する金属フィルムが沈積する。充分なパワーがある場合には、前記シート材料の表面に凹部が形成され、前記金属フィルムが前記凹部の底に沈積される。シート材料上に金属化画像を生成する前記方法を実施するための本発明の装置は、前記シート材料を複数の金属の塩を含んだ溶剤に含浸させる手段、及び金属を前記シート材料に固着させるためのレーザパルス発生器を備えた手段、前記パルスの強度を制御するためのユニット、及び前記シート材料の予め定まった複数の点上に複数のパルスを焦点合わせするためのユニットを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート材料上に金属化画像を生成することができるプリンティング手段に関する。特に、本発明は、シート材料上に前記材料を偽造から保護することができる原画像を形成するための手段に関する。
【背景技術】
【0002】
予め形成され、ある温度に上昇された型を用いて、金属箔シートを通して前記シート材料に作用することで画像を生成することを含む、シート材料上に金属化画像を生成する方法は知られている。(参考:ロシア特許発明1831436号明細書、B41F19/06、B42C13/00)
【0003】
圧力と温度に曝され、型の複数の突出部が箔の複数の領域とシート材料との係合を提供する。型の複数の突起に対応する孔を伴う消費された箔を除去すると、金属化画像がシート材料上に残る。
【0004】
プリンティング技術において特に普及しているこの方法は、シート材料上に印刷された特別の生成物を保護するためには容認できない。そして、まず第一に、最小限の材料コストで、当業者は前記方法を再現することができる。
【0005】
さらに、この方法によって複数の具体化された画像を適用するために、各画像のために実行不可能な固有の型が必要となる。
【0006】
前記方法に従って実現されたプリンティング装置は、テーブル上へのプレスを含み、シート材料、箔、及び加熱されるべき型が連続して置かれる。シート材料を保持して圧縮されると、型は除かれる。型の突起に対応した複数の孔を伴った消費された箔シートは抜き取られ、金属化画像がシート材料のそれぞれの領域を覆っているシート材料は取り去られる。
【0007】
この先行技術の装置は、それぞれが20μmから80μmのサイズを有し、シート材料本体の内部へ深く入り込んだ多数の金属化印を含む画像を生成することはできない。というのは、この要求に従う型の製造が実質上不可能であるからである。しかし、まさに金属化画像のこの実施例は、シート材料上にプリントされた特別な生成物を保護することができる。さらに、この機器は、型を変更することなく、先の金属化画像と各々の次の金属化画像との差異を可能にすることができない。
【特許文献1】ロシア特許発明1831436号明細書
【発明の開示】
【0008】
本発明の基本的な目的は、シート材料上の原画像の生成が可能であるような、シート材料上に金属化画像を生成する方法及び前記方法を実施するための装置を提供することであり、前記画像は他の方法によっては再生成することができず、偽造から安全に保護され、複数の特別な型を予め製造することなく具体化された画像を生成することができる。
【0009】
前記目的は、シート材料上に金属化画像を生成する方法において、前記方法は前記シート材料上に金属を適用する工程、及び予め定まった複数の点において前記金属を前記複数の点でのそれらの固着を提供する手段に曝す工程を備え、本発明によると、金属の塩を含む溶剤が前記シート材料上に適用され、前記シート材料が前記溶剤で含浸され、前記溶剤からの前記金属の抽出が前記シート材料の表面の前記予め定まった複数の点において起こり、画像が前記金属化された複数の点の組み合わせによって形成される。
【0010】
金属化画像を生成するためのそのような方法を用いることで、型を製造する必要がなく、如何なる画像の生成も可能である。
【0011】
前記溶剤からの前記金属の抽出が、前記シート材料の表面の前記予め定まった複数の点上へ焦点合わせされる電磁的放射パルスによって起こるならば都合がよい。
【0012】
金属化画像を生成するためのそのような方法によると、焦点合わせされた電磁的放射のスポットの大きさに依存するサイズを有する金属化された複数の点からなる画像を、前記放射のパルスの持続時間に等しい速度で生成することが可能になる。
【0013】
複数の電磁的放射のパルスが、前記溶剤中で複数の金属のイオンを金属に還元し、前記金属を前記シート材料の前記予め定まった複数の点に沈積するならば都合がよい。
【0014】
金属化画像を生成するためのそのような方法によると、光化学反応が、シート材料を含浸している溶剤中の前記シート材料の前記予め定まった各点での電磁的放射パルスの作用下で起こる。この反応の結果として、金属イオンが必要とされる数の電子と結合することでその初期状態に還元され、前記金属が前記複数の点の各点にフィルムとして沈積する。
【0015】
複数の電磁的放射パルスの持続時間とエネルギーは、前記放射が前記シート材料を焼き通すことができないような値に制限されるならば都合がよい。
【0016】
金属化画像を生成するためのそのような方法によると、シート材料の損傷がなくなる。
シート材料中の複数の凹部が複数の電磁的放射パルス下で形成され、溶剤中からの金属が前記複数の凹部の底に沈積し、画像が前記シート材料の本体内部に深く入った複数の金属化された点の組み合わせから形成されるならば都合がよい。
【0017】
金属化画像を生成するためのそのような方法によると、その厚み内で前記シート材料の表面からの如何なる距離の点にも、偽造防止に対する画像の確実な保護を提供することができる金属化された複数の点を形成することができる。
【0018】
複数の金属の塩が存在する溶剤を準備し、同時に溶剤中のすべての金属が溶剤中から前記シート材料の予め定まった複数の点の各々に沈積され、金属合金又は濃厚液で処理された金属のいずれかが前記複数の点に形成されるならば都合がよい。
【0019】
金属化画像を生成するためのそのような方法によると、金属化画像の保護的特性のさらなる改良が起こなわれる。
【0020】
複数のレーザ放射パルスが電磁的放射パルスとして用いられることが都合がよい。
【0021】
金属化画像を生成するためのそのような方法によると、放射波長の大きさから始め、放射パルス持続時間の無視できる程の短時間で、どんなサイズの画像の点をも生成することが可能である。
【0022】
提起された目的は、シート材料上に金属化画像を適用するための装置において、前記装置は、前記シート材料上に金属を適用するために前記シート材料の前面の配置された手段、及び予め定まった複数の点において前記金属を前記シート材料に固着するための手段を備えており、本発明によると、前記金属を前記シート材料上に適用するための手段が、前記金属の塩を含んだ溶剤を備えた容器として、及び前記溶剤を前記シート材料に含浸させるための定着器として作製されており、前記金属を前記シート材料に固着する手段が、複数のレーザパルスの発生器として、及び前記複数のパルスを前記シート材料の表面の予め定まった複数の点上に焦点合わせし、前記複数の点において前記金属を前記溶剤から抽出するためのユニットとして作製されていること、によっても達成される。
【0023】
金属化画像を適用するための装置のそのような設計によると、金属化された点の如何なる組み合わせにおいても金属化された複数の点からなる原画像を生成することができ、この生成は高い保護性能を持った具体化された画像の生成が可能となる。
【0024】
本発明に限定されない特別な実施例の記述によって、本発明はさらに説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の金属化画像を生成する方法は以下のようにして実施される。
【0026】
金属塩を含む溶剤Bがシート材料Aに適用される(図1)。前記シート材料Aにこの溶剤Bを含浸させる工程C、及びレーザ放射Dの焦点を合わせた複数のパルスを注ぐ工程を有する。レーザ放射Dの焦点を合わせたパルスが、溶剤Bが含浸された前記シート材料A上に作用すると、プラズマを形成するためのレーザ放射と溶剤との相互作用が、レーザスポット内で前記材料の予め定まった複数の点で起こる。この相互作用の結果として、光化学反応が起こり、必要な数の電子と結合することによって金属イオンがその基本状態に還元され、金属フィルムEが前記レーザスポットの領域に沈積され、前記フィルムは前記シート材料の填料に固く固着する原因となる。放射パルスの継続時間及び強度、及び前記シート材料Aの所定の層上への放射パルスの焦点合わせに依存して、放射と溶剤の含浸された材料との相互作用の結果は、以下のようになる。
放射D1のパワーが小さい時、金属フィルムEは材料表面の近くに沈積される。
放射D2のパワーが大きい時、シート材料表面に凹部が形成され、金属フィルムEは前記凹部の底に沈積される。
放射D3のパワーがさらに大きい時、シート材料表面における凹部のサイズが成長する。
シート材料の厚みの中に位置する点に放射D4が焦点合わせされた時、金属フィルムはシート材料の填料内に沈積するであろう。
【0027】
溶剤中に銅の塩が存在すると、銅のフィルムが凹部の底に沈積する。シート材料の平滑な表面側から照明Kがあり、凹部のサイズが充分であると、凹部に入る側からの観察者は、銅フィルムの複数の明るい黄色の輝く点を見るであろう。金属化画像を構成する前記複数の点の組み合わせは、偽造防止のシート材料上にプリントされた特別な複数の生成物の確実な保護を提供する。放射D4によってシート材料本体内に沈積した金属フィルムは、光に対向して観察すると黒点のように見える。金属化画像を構成する前記複数の点の組み合わせは、偽造防止の材料上にプリントされた特別な複数の生成物の保護をも提供する。
【0028】
金属化画像を生成する開示された方法は、シート材料をいくつかの金属の塩を含んだ溶剤に含浸する場合に異ならないだろう。この場合、複数の金属化された点の再生のみならずそれらの構成もまた必要であるので、偽造防止の材料上にプリントされた特別な複数の生成物の保護は、より有効であろう。
【0029】
シート材料上に金属化画像を適用するための本発明の装置は、金属塩を有する溶剤をシート材料2上に適用するための手段1、及び前記金属を前記シート材料2に固着するための手段3を含んでいる。
【0030】
金属塩を有する溶剤をシート材料2上に適用するための手段1は、溶剤を入れた容器4と前記溶剤を前記シート材料2に含浸させるための定着器5を含んでおり、前記定着器は、前記容器から前記シート材料2上に前記溶剤を転移するための一連の駆動ローラ6(図1には示されていない)を含んでいる。
【0031】
前記金属を前記シート材料に固着するための手段3は、レーザ放射の複数のパルスを発生する発生器7、レーザ放射の複数のパルスのパワーを制御するためのユニット8、及び前記シート材料2表面の予め定まった複数の点上に前記複数のパルスを焦点合わせするためのユニット9を含んでいる。
【0032】
駆動コンベア10(図1には示されていない)が、シート材料を処理をするための技術的位置を越えて前記シート材料2を移動する。
【0033】
暖かい空気で前記材料の表面を乾燥するための機器11が、前記シート材料を溶剤で含浸する位置とレーザによって前記含浸された材料を処理する位置との間に配置されている。本発明の金属化画像をシート材料上に適用するための装置は、以下のように作動する。コンベア10上でシート材料2が移動すると、最初に金属の塩を含んだ溶剤が容器4からシート材料上に適用される。それから、さらに移動中に前記シート材料2は機器11により少し乾燥され、発生器7の複数のレーザ放射パルスに曝される。複数のレーザ放射パルスを焦点合わせするためのユニット9は、前記シート材料2が移動するとき、材料表面で予め定まった複数の点に対する前記複数のパルスの連続的な作動を提供し、ユニット8は前記複数のパルスの各々に対するパワーの変化を制御する。
【0034】
シート材料の表面上で各々の予め定まった点においてレーザ放射パルスが溶剤と相互作用を行うと、レーザ放射により前記材料内に形成された凹部の底に金属フィルムの沈積が起こる。シート材料内の各凹部の底に金属フィルムを沈積するためには、溶剤を10nsの持続時間のレーザ放射パルスに曝すことで充分である。このようにして生成された金属化された点の組み合わせが金属化画像を構成する。
【0035】
本発明のシート材料上に金属化画像を生成するための方法、及び前記方法を実施するための装置は、前記シート材料上に、前記偽造防止材料上にプリントされた特別な複数の生成物を確実に保護する画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のシート材料上に金属化画像を生成する方法を示す図である。
【図2】金属化画像を適用するための装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料上に金属化画像を生成するための方法であって、
前記方法は、前記シート材料上に金属を適用する工程、及び予め定まった複数の点において前記金属を前記複数の点でのそれらの固着を提供する手段に曝す工程を備え、
前記方法は、金属の塩を含む溶剤を前記シート材料上に適用する工程、及び前記シート材料を前記溶剤に含浸する工程、前記シート材料の表面の前記予め定まった複数の点において前記溶剤からの前記金属の抽出を引き起こす工程、及び前記金属化された複数の点の組み合わせから画像を形成する工程、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記シート材料の表面の前記予め定まった複数の点上に焦点合わせされた複数の電磁気的放射パルスによって前記溶剤から前記金属を抽出することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記複数の電磁気的放射パルスは、前記溶剤中で、複数の金属イオンを前記金属に還元し、前記シート材料の前記予め定まった複数の点に前記金属を沈積することを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記複数の電磁気的放射パルスの持続時間とエネルギーを、前記放射が前記シート材料を焼き通すことができない値に制限することを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電磁気的放射パルスの作用下で前記シート材料に複数の凹部を形成する工程、前記複数の凹部の底に前記溶剤から前記金属を沈積させる工程、及び前記シート材料の本体内部に深く入った複数の金属化された点の組み合わせから画像を形成する工程、を特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
いくつかの金属の塩が存在する溶剤を準備する工程、前記溶剤中に存在する全ての金属を前記シート材料の前記予め定まった複数の点の各々に前記溶剤から同時に沈積させる工程、及び前記複数の点で金属の合金又は濃厚液で処理された金属のいずれかを形成する工程、を特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記複数の電磁気的放射パルスとして複数のレーザ放射パルスを使用する工程を特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
シート材料上に金属化画像を適用するための装置であって、
前記装置は、前記シート材料上に金属を適用するために前記シート材料の前面の配置された手段、及び予め定まった複数の点において前記金属を前記シート材料に固着するための手段を備え、
前記装置は、前記金属を前記シート材料上に適用するための手段が、前記金属の塩を含んだ溶剤を備えた容器として、及び前記溶剤を前記シート材料に含浸させるための定着器として作製されており、前記金属を前記シート材料に固着する手段が、複数のレーザパルスの発生器として、及び前記複数のパルスを前記シート材料の表面の予め定まった複数の点上に焦点合わせし、前記複数の点において前記金属を前記溶剤から抽出するためのユニットとして作製されていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−519548(P2007−519548A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552070(P2006−552070)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/RU2004/000264
【国際公開番号】WO2005/072987
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506264177)
【出願人】(506264166)