説明

シート積層体及びシート包装体

【課題】 携帯性を有するとともに、引き出し易さ、共連れを抑制することができるシートの積層体を提供する。
【解決手段】 シート11の一辺11aと略平行で一辺11a側の第1の折れ線12でシート11を折り返し第1の折片13を形成し、さらに、第1の折片13を按分するように遊離端側を折り返して第1の重畳体14を形成し、他辺11b側の第2の折れ線15でシート11を折り返して第2の折片16を形成し、第2の折片16をシート11に重畳して第2の重畳体17を形成し、第1及び第2の重畳体14、17を形成することで、シート11が一重となる中間領域18を形成し、このシート11を、辺11cと略平行な第3の折れ線19で、上部折り体20と下部折り体21とに按分するように折り畳み、折り畳まれたシート11Aは、次に積層されるシート11Bの上部折り体20の第2の重畳体17を、シート11Aの中間領域18に重ね合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ等のシートの折り畳まれた状態で、このシートを連続して取り出せるように積層したシート積層体及びこのシート積層体が収容されたシート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルコール、保湿剤、界面活性剤等を含む薬液を紙、織布又は不織布の繊維素材に含浸させたウェットティッシュは、気密性や液密性を有する包装体に収容される。ウェットティッシュは、皮膚の汚れ拭き取り、化粧落とし、幼児のお尻拭き、トイレの清掃等、様々な用途に用いられている。この種の包装体は、包装体の一箇所に開閉蓋を有する取出口が設けられ、この取出口から内部に収容されたウェットティッシュを取出すことができる。また、このウェットティッシュは、様々な形に折り畳まれ、複数枚が積層され、一のウェットティッシュを引き出すと、その下に積層されたウェットティッシュの一部も誘出され、連続して取り出せるように積層した、いわゆるポップアップ式の積層体を形成している。
【0003】
ところで、ウェットティッシュにおけるポップアップ式の積層体は、次に積層されたウェットティッシュの誘出された部分が外気と触れ、乾いてしまいその効用が失われてしまうので、誘出量をできるだけ短くすることが要請されている。
【0004】
また、ポップアップ式の積層体は、各ウェットティッシュが薬液等により湿潤状態にあることから、ウェットティッシュ同士が密着する傾向にある。このとき、一のウェットティッシュを包装体の取出口から取り出そうとすると、次に積層されたウェットティッシュの全部まで取り出されてしまう、いわゆる共連れが発生していた。
【0005】
さらに、これらのウェットティッシュは、手軽に皮膚の汚れ等を拭き取ることができるという利便性から携帯用に適しており、よりスリム化により携帯性の向上も要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2951187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、いわゆるポップアップ式としてシートの最適な誘出量とし、共連れを抑制することができ、更なる携帯性を有するシート積層体、及びこのシート積層体を収容したシート包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシート積層体は、複数枚の略矩形をなすシートが連続して取り出せるように積層されたシート積層体において、上記シートの一辺と略平行で該一辺側の第1の折れ線で該シートを折り返し第1の折片を形成し、さらに、該第1の折片を按分するように遊離端側を折り返して第1の重畳体を形成し、上記シートの一辺と略平行で該一辺と相対向する他辺側の第2の折れ線で該シートを折り返して第2の折片を形成し、該第2の折片を該シートに重畳して第2の重畳体を形成し、上記第1及び第2の重畳体を形成することで、上記シートが一重となる中間領域を形成し、上記第1及び第2の重畳体が形成されたシートを、上記一辺と直交する辺と略平行な第3の折れ線で、上部折り体と下部折り体とに按分するように折り畳み、一の上記折り畳まれたシートは、次に積層される他の上記折り畳まれたシートの上記上部折り体の上記第2の重畳体を、該一のシートの上記第1の重畳体と該他のシートの上記第1の重畳体とが反対側に位置するように、上記中間領域に重ね合わせる。
【0009】
また、本発明に係るシート包装体は、複数枚の略矩形をなすシートが連続して取り出せるように積層されたシート積層体と、該シート積層体が収容され、取出口を有する包装体とを備えるシート包装体において、上記シート積層体は、上記シートの一辺と略平行で該一辺側の第1の折れ線で該シートを折り返し第1の折片を形成し、さらに、該第1の折片を按分するように遊離端側を折り返して第1の重畳体を形成し、上記シートの一辺と略平行で該一辺と相対向する他辺側の第2の折れ線で該シートを折り返して第2の折片を形成し、該第2の折片を該シートに重畳して第2の重畳体を形成し、上記第1及び第2の重畳体を形成することで、上記シートが一重となる中間領域を形成し、上記第1及び第2の重畳体が形成されたシートを、上記一辺と直交する辺と略平行な第3の折れ線で、上部折り体と下部折り体とに按分するように折り畳み、一の上記折り畳まれたシートは、次に積層される他の上記折り畳まれたシートの上記上部折り体の上記第2の重畳体を、該一のシートの上記第1の重畳体と該他のシートの上記第1の重畳体とが反対側に位置するように、上記中間領域に重ね合わせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積層体を収容したウェットティッシュ包装体では、一のシートが積層体の全幅よりも短い幅となるように折り畳まれ、積層体のいずれか一方の幅方向端部側に偏って設けられ、次に積層されるシートが積層体の他方の幅方向端部側に偏って設けられる。すなわち、積層体は、第1及び第2の重畳体が形成された一のシートに、次に積層される他のシートの上部折り体の第2の重畳体を、一のシートの第1の重畳体と他のシートの第1の重畳体とが反対側に位置するように、中間領域に重ね合わせて形成されることから、上述の重畳される面積を少なくすると同時に、取出口から誘出されるシートの大きさを最適なものとすることができる。
【0011】
また、この積層体は、一のシートと、この一のシートの次に積層されたシートとが重畳される面積を少なくすることができるので、いわゆる共連れを抑制することができ、使い勝手がよくなる。
【0012】
また、積層体は、従来と同面積のシートを用いた場合には、積層体自体の幅を小さくすることができるので、よりスリム化を実現でき、携帯性に優れた積層体を形成することができる。
【0013】
また、積層体は、各表面が平らな略直方体形状となることから、携帯性に加え、安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のウェットティッシュ包装体の斜視図である。
【図2】シートの多重折り構造を説明するための図であり、(A)は、シートを多重折りする前の斜視図であり、(B)は、シートを多重折りした後の斜視図である。
【図3】本発明の積層体の積層構造を説明するための斜視図である。
【図4】(A)は、一のシートと次に積層されるシートの重ね合わせ位置を示すシートの平面図であり、(B)は、包装体及び積層体の縦断面模式図であり、(C)は、包装体及び積層体の平面図である。
【図5】積層体の変形例を示す図であり、(A)は、シートを多重折りした後の斜視図であり、(B)は、包装体及び積層体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.ウェットティッシュ包装体
以下、本発明に係るシート積層体の最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本発明に係るウェットティッシュ包装体1は、袋状の包装体2と、包装体2の内部に収容されるシート11の積層体10とから構成されている。
【0016】
シート11の積層体10が収容される包装体2は、柔軟で気密性及び/又は液密性を有するシート、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂の単材又は複合材で形成されている。この包装体2は、図1に示すように、フィルムの長辺の一端部及び短辺の両端部がシールされた、その上面2aが略矩形の平坦となるいわゆるピロータイプの包装体であり、その内部には、シート11の積層体10が封入されている。
【0017】
なお、包装体2は、上述に限らず、上述の合成樹脂とアルミホイル、紙等とを貼りあわせた複合材からなるものであってもよい。また、包装体2は、上述のようないわゆるピロータイプに限らず、ある程度柔軟で気密性及び/又は液密性を有する材料からなり、その内部にウェットティッシュ等を収容できる包装体であれば、どのようなものであってもよい。
【0018】
包装体2には、上面2aの略中央に、内部に収容される積層体10を構成する一のシート11を取り出すための取出口3が形成されている。また、包装体2には、この取出口3を開放状態及び閉塞状態とする蓋材4が粘着されて取り付けられている。
【0019】
包装体2に形成される取出口3は、包装体2の上面2aの略中央部に、包装体2の長手方向に平行で両端が円弧をなすように形成されている。
【0020】
なお、取出口3は、蓋材4によって取出口3全体が被覆され、シート11を取出すことができれば、図1に示すような形状に限らず、楕円形や矩形であってもよい。また、取出口3は、予め取出口3を形成したものに蓋材4を被覆するものに限らず、包装体2の所定の位置に取出口3を形成するための薄肉部又は切り込みを設け、蓋材4を被覆した際、蓋材4の包装体2と対向する面に塗布された接着剤によって、蓋材4と一体に包装体2の取出口3を形成する領域のシートが切り取られるようにしてもよい。
【0021】
このような取出口3を閉塞する蓋材4は、取出口3を閉塞するような大きさを有しており、包装体2に対向する面に、包装体2に繰り返し剥離、貼着ができる接着層が形成され、包装体2の上面2aに接着されている。
【0022】
蓋材4は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートの複合材、又はこれら合成樹脂シートとアルミホイル、紙等とを貼り合わせた複合シートからなる柔軟で気密性及び/又は液密性を有するシートにより形成されている。
【0023】
2.積層体
包装体2の内部に収容される積層体10は、複数の多重折りされたシート11を、包装体2の取出口3から連続取出しが行えるように積層されたものである。
【0024】
積層体10を構成するシート11は、乳児や幼児のおむつの交換時におけるお尻拭き、皮膚の汚れ拭き取り、化粧落とし、トイレの清掃等の用途に適したものであり、図2(A)に示すように、短辺11a、11b、及び長辺11c、11dとによって形成される略矩形の布帛からなり、例えば、天然繊維又は合成繊維が織布、不織布、編布に形成された布帛を用いる。この中でも汎用性やコスト等から不織布からなる布帛が最も好ましく用いられる。具体的に、天然繊維としては、例えば綿、絹、麻、ウール、パルプなどが挙げられ、合成繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ナイロン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、レーヨン等が挙げられる。また、これら天然繊維と合成繊維とを混合させた布帛を用いることができる。本発明においては、合成繊維からなる不織布、特に、合成繊維に高圧ウォータージェット流(繊維を交絡させるための水)を施し、繊維を交絡させて、乾燥状態では使用に耐え得る十分な強度を有するとともに、液体による湿潤状態ではウェブ形状を保持し、極めて容易且つ速やかな吸水性を有するスパンレース不織布が最も好ましく用いられる。
【0025】
ここで、積層体10を構成するシート11の多重折り構造について説明をする。
【0026】
積層体10を構成する一のシート11は、図2(A)及び図2(B)に示すように、シート11の短辺11a側を折り返し第1の折片13を形成し、さらに、第1の折片13を按分するように遊離端側を折り返して第1の重畳体14が形成される。このとき、シート11を折り返すことで第1の折片13が形成される折れ線を第1の折れ線12と称する。この第1の折れ線12は、短辺11aと略平行となる。そして、シート11は、短辺11b側を折り返し第2の折片16を形成し、第2の折片16をシート11に重畳して第2の重畳体17が形成される。このとき、シート11を折り返すことで第2の折片16が形成される折れ線を第2の折れ線15と称する。この第2の折れ線15は、短辺11bと略平行となる。さらに、シート11は、第1及び第2の重畳体14、17が形成されることで、シート11が一重となる中間領域18が形成される。そして、第1及び第2の重畳体14、17が形成されたシート11は、短辺11aと直交する方向で、上部折り体20と下部折り体21とに按分するように折り畳まれる。上部折り体20と下部折り体21とが形成される折れ線を第3の折れ線19と称する。この第3の折れ線19は、短辺11aと直交する長辺11cと略平行となる。このように多重折りされるシート11は、図3に示すように、複数のシート11が折り重ねられ、積層体10を形成している。具体的には、一のシート11は、次に積層されるシート11の上部折り体20の第2の重畳体17を、当該一のシート11の第1の重畳体14と次に積層されるシート11の第1の重畳体14とが反対側に位置するように、中間領域18に重ね合わせる。
【0027】
なお、説明上、本発明においては、図1に示すx軸方向、つまりシート11の短辺11a、11bと平行する方向をシート11の幅方向、図1に示すy軸方向、つまりシート11の短辺11a、11bと直交する方向をシート11の長さ方向、図1に示すz軸方向、つまり各シート11が折り重ねられ形成される積層体10の積層される方向を各シート11が積層される積層方向と称する。
【0028】
シート11の第1の折片13は、シート11の長辺11c、11dと、短辺11a、幅方向(x軸方向)に略平行な第1の折れ線12とによって囲まれる部分である。第1の折片13は、シート11の短辺11a側を第1の折れ線12で折り返して形成される。そして、シート11は、第1の折片13を按分するように遊離端側が折り返される。この第1の折片13を按分してシート11上に重畳させた部分が、第1の重畳体14となる。すなわち、第1の重畳体14は、シート11を第1の折れ線12で折り返すことで第1の折片13を形成し、その第1の折片13の短辺11a側の遊離端片22を第4の折れ線23で折り返すことで重畳される。第4の折れ線23は、短辺11aと略平行で、第1の折片13を半分に区画する位置に設けられる。このとき、第1の折片13は、第1の折れ線12において、シート11が第3の折れ線19により折り畳まれた際の谷側となる折り方向に折り返される。そして、遊離端片22は、第4の折れ線23において、第1の折片13の折り方向とは逆方向に折り返して形成される。
【0029】
このように、シート11は、短辺11a側を折り返す、具体的には、シート11を第1及び第4の折れ線12、23の位置で折り返すことで、第1の重畳体14が形成される。
【0030】
シート11の第2の折片16は、シート11の長辺11c、11dと、短辺11b、幅方向(x軸方向)に略平行な第2の折れ線15とによって囲まれる部分である。第2の折片16は、シート11の短辺11b側を第2の折れ線15で折り返して形成される。この第2の折れ線15で折り返して形成される第2の折片16をシート11に重畳させた部分が、第2の重畳体17となる。このとき、第2の折片16は、第2の折れ線15において、シート11が第3の折れ線19により折り畳まれた際の谷側となる折り方向に折り返される。
【0031】
このように、シート11は、短辺11b側を折り返す、具体的には、シート11を第2の折れ線15の位置で折り返すことで、第2の重畳体17が形成される。
【0032】
第1の折れ線12は、短辺11a、11bと略平行で、シート11の一方の短辺11aから、長さ方向(y軸方向)全長の略1/3の位置に設けられている。第2の折れ線15は、短辺11a、11bと略平行で、シート11の他方の短辺11bから、長さ方向(y軸方向)全長の略1/6の位置に設けられている。そして、第4の折れ線23は、短辺11a、11bと略平行で、第1の折片13を按分する位置、すなわち、長さ方向(y軸方向)全長の略1/6の位置に設けられている。このように、第1及び第2の折れ線12、15は、第1及び第2の重畳体14、17が重畳されない、互いに離間した位置に設けられている。すなわち、シート11は、第1及び第2の重畳体14、17が形成されない中間領域18を有し、この中間領域18のy軸方向長さがシート11の長さ方向(y軸方向)全長の略1/6となる。この中間領域18では、第1及び第2の重畳体14、17が形成されないことから、シート11が一重となっている。
【0033】
シート11は、図2(B)に示すように、第1の折れ線12で短辺11a側端部をシート11上側(図2(A)の矢印a方向)に折り返し、さらに第4の折れ線23位置で遊離端片22をシート11下側(図2(A)の矢印b方向)に折り返すことで第1の重畳体14を形成する。そして、シート11は、第2の折れ線15位置で短辺11b側をシート11上側(図2(A)の矢印c方向)に折り返すことで第2の重畳体17を形成する。
【0034】
また、シート11は、図2(B)に示すように、第1及び第2の重畳体14、17が形成された状態から、短辺11a、11bの中点を通る第3の折れ線19位置で折り返され(図2(A)の矢印d方向)、上部折り体20と下部折り体21とが形成される。
【0035】
このように多重折り構造を有するシート11は、複数枚折り畳まれ、積層されることにより積層体10が形成される。すなわち、積層体10は、偶数番目に積層されるシート11と奇数番目に積層されるシート11とが、互いに交差掛けされる。具体的には、積層体10は、図3及び図4(A)に示すように、第1及び第2の重畳体14、17が折り返された一のシート11Aの下部折り体21の中間領域18に、次に積層される第1及び第2の重畳体14、17が折り返された他のシート11Bの上部折り体20の第2の重畳体17が重ね合わされ、それぞれのシート11A、11Bの第3の折れ線19で折り返すことで、積層構造を形成する。このとき、シート11Aとシート11Bとは、互いの第1の重畳体14、14が反対側に位置するようにシート同士を重ね合わせる。積層体10は、この積層と折り返しを繰り返すことで形成される。
【0036】
なお、説明上、シート11のうち、一のシートを11Aとし、そのシート11Aの次に積層されたシートを、他のシート11Bと称する。
【0037】
このようにして形成される積層体10は、上述の包装体2内に収容され、取出口3から最上部のシート11から順に取り出されることとなる。このシート11は、薬液等が含浸され、皮膚の汚れ拭き取り、化粧落とし、幼児のお尻拭き、トイレの清掃等、様々な用途に用いられる。このとき、積層体10は、シート11Aに、シート11Bの上部折り体20の第2の重畳体17を、シート11Aの第1の重畳体14とシート11Bの第1の重畳体14とが反対側に位置するように重ね合わせて形成するので、図4(A)に示すように、シート11Aの第1の重畳体14が、他のシート11Bの第1の重畳体14と重なることはない。そして、積層体10は、全体が略直方体形状となり、各表面が平らな状態となることから、安定性に優れている。また、この積層体10が内包されるウェットティッシュ包装体1は、全体として凹凸のないものとなり、複数個を積み上げた際にも安定したものとなる。
【0038】
また、シート11AとシートBとは、重畳される面積が、図4(A)に示すように、シート11全体の面積の略1/6となり、一のシート11Aを引き出した際に、次に積層されたシート11Bを引き出すことが抑制、すなわち共連れを抑制することができる。さらに、最上部にあるシート11は、包装体2の幅方向(y軸方向)のいずれかの端部側に偏っていることから、包装体2の上面2aの略中央に設けられる取出口3から誘出される当該シート11の大きさを最適なものとすることができる。具体的には、この誘出されるシート11の大きさは、図4(C)の領域Xであり、シート11の面積の略1/8である。そして、誘出されるシート11は、連続取出しを行う際には、最上部のシート11の端部11e(図4(B)参照)を摘むことができるとともに、取出口3を閉塞する際には、当該誘出されたシート11の端部11eを容易に包装体2内に戻すことができる大きさである。
【0039】
さらに、シート11は、中間領域18では一重なのに対し、第1の重畳体14では三重に重ね合わされている。そして、シート11は、平面視略三角形の上述の領域X部分が誘出されるので、包装体2の取出口3から引き出したときには、第1の重畳体14が、長辺11d側から順に引き出されることとなり、広がった状態になりやすい。すなわち、ウェットティッシュ包装体1では、シート11を取出口3から引き出した際には、シート11自体が第1の重畳体14が重畳されていない広がった状態で引き出され、すぐに使用に供される使い勝手がよい状態となる。
【0040】
以上のように構成されたシート11の積層体10は、一のシート11Aが積層体10の全幅よりも短い幅となるように折り畳まれ、積層体10のいずれか一方の幅方向端部側に偏って設けられ、次に積層されるシート11Bが積層体10の他方の幅方向端部側に偏って設けられる(図4(A)参照)ことから、包装体2の上面2aの略中央に設けられる取出口3から誘出される当該シート11の大きさを最適なものとすることができる。
【0041】
また、積層体10では、一のシート11Aと、この一のシート11Aの次に積層されたシート11Bとが重畳される面積を少なくする(図4(A)参照)ことができるので、いわゆる共連れを抑制することができ、使い勝手がよくなる。
【0042】
さらに、積層体10は、従来と同面積のシートを用いた場合には、積層体自体の幅を小さくすることができるので、よりスリム化を実現でき、携帯性に優れた積層体を形成することができる。
【0043】
なお、シート11は、上述のような大きさの第1及び第2の重畳体14、17であることに限らない。すなわち、シート11は、第1及び第2の重畳体14、17のそれぞれが形成される際には、いずれも重畳されない中間領域18を残して折り返されて形成される。そして、一のシート11Aの中間領域18には、次に積層されるシート11Bの第2の重畳体17が重畳される。したがって、シート11の第2の重畳体17と中間領域18とは、略同一の大きさであれば、いかなる大きさであってもよい。
【0044】
また、シート11は、第1及び第2の折片13、16、遊離端片22の折り返される方向が上述の折り返し方向に限るものではない。以下に、変形例として説明をする。
【0045】
3.変形例
変形例として示す積層体30は、図5(A)及び図5(B)に示すように、シート31が多数積層されて形成されている。積層体30は、シート31の第2の重畳体32となる第2の折片33の折り返し方向が、シート11の第2の重畳体17と異なるのみで、その他の構成については、積層体10と変わらない。具体的には、積層体30を構成するシート31は、当該シート31を第2の折れ線15で折り返し第2の折片33を形成し、この第2の折片33をシート31に折り返し重畳することで、第2の重畳体32が形成される。このとき、第2の折片33の折り返し方向が、シート11の第2の折片16の折り返し方向と逆になる。すなわち、シート31では、第2の折片33が上部折り体20と下部折り体21とが第3の折れ線19により折り畳まれた際の、山側となるように折り返される。
【0046】
以上のような構成を有する積層体30は、積層体10と同様に、この積層体30を収容したウェットティッシュ包装体では、一のシート31が積層体30の全幅よりも短い幅となるように折り畳まれ、積層体30のいずれか一方の幅方向端部側に偏って設けられ、次に積層されるシートが積層体の他方の幅方向端部側に偏って設けられることから、取出口から誘出されるシートの大きさを最適なものとすることができる。
【0047】
また、積層体30は、一のシート31と、この一のシート31の次に積層されたシートとが重畳される面積を少なくすることができるので、いわゆる共連れを抑制することができ、使い勝手がよくなる。
【0048】
また、積層体30は、従来と同面積のシートを用いた場合には、積層体自体の幅を小さくすることができるので、よりスリム化を実現でき、携帯性に優れた積層体を形成することができる。
【0049】
また、積層体30も、各表面が平らな略直方体形状となることから、携帯性に加え、安定性に優れている。
【0050】
さらに、積層体30では、シート31の第2の折片33が、外側に臨まされることとなり、包装体2の取出口3から最上部のシート31を摘み易くなる。このとき、シート31の短辺11bは、積層体30の常に中心線近傍に位置することとなる。したがって、この短辺11bは、常に、包装体2の取出口3から臨まされることとなり、第2の折片33を摘み易く、引き出しやすくなる。
【0051】
さらに、シート31は、中間領域18では一重なのに対し、第1の重畳体14では三重に重ね合わされている。そして、シート31は、積層体10と同様に、平面視略三角形の上述の領域X部分(図4(C)参照)が誘出されるので、包装体2の取出口3から引き出したときには、第1の重畳体14が、長辺11d側から順に引き出されることとなり、広がった状態になりやすい。すなわち、シート31を取出口3から引き出した際には、シート31自体の第1の重畳体14が重畳されていない広がった状態として引き出され、使い勝手がよい。
【0052】
なお、積層体30は、シート31の第2の折片33の折り返し方向のみを、シート11の第2の折片16の折り返し方向と異ならせたものであるが、これに限らず、第1の折片13、遊離端片22の折り返し方向を異ならせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 ウェットティッシュ包装体、2 包装体、2a 上面、3 取出口、4 蓋材、10、30 積層体、11、31 シート、11a、11b 短辺、11c、11d 長辺、12 第1の折れ線、13 第1の折片、14 第1の重畳体、15 第2の折れ線、16、33 第2の折片、17、32 第2の重畳体、18 中間領域、19 第3の折れ線、20 上部折り体、21 下部折り体、22 遊離端片、23 第4の折れ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の略矩形をなすシートが連続して取り出せるように積層されたシート積層体において、
上記シートの一辺と略平行で該一辺側の第1の折れ線で該シートを折り返し第1の折片を形成し、さらに、該第1の折片を按分するように遊離端側を折り返して第1の重畳体を形成し、
上記シートの一辺と略平行で該一辺と相対向する他辺側の第2の折れ線で該シートを折り返して第2の折片を形成し、該第2の折片を該シートに重畳して第2の重畳体を形成し、
上記第1及び第2の重畳体を形成することで、上記シートが一重となる中間領域を形成し、
上記第1及び第2の重畳体が形成されたシートを、上記一辺と直交する辺と略平行な第3の折れ線で、上部折り体と下部折り体とに按分するように折り畳み、
一の上記折り畳まれたシートは、次に積層される他の上記折り畳まれたシートの上記上部折り体の上記第2の重畳体を、該一のシートの上記第1の重畳体と該他のシートの上記第1の重畳体とが反対側に位置するように、上記中間領域に重ね合わせるシート積層体。
【請求項2】
上記第2の折片は、上記中間領域と略同一面積である請求項1記載のシート積層体。
【請求項3】
上記第2の折片は、上記第2の折れ線において、上記シートが上記第3の折れ線により折り畳まれた際の山側となる折り方向に折り返される請求項1又は2記載のシート積層体。
【請求項4】
複数枚の略矩形をなすシートが連続して取り出せるように積層されたシート積層体と、該シート積層体が収容され、取出口を有する包装体とを備えるシート包装体において、
上記シート積層体は、
上記シートの一辺と略平行で該一辺側の第1の折れ線で該シートを折り返し第1の折片を形成し、さらに、該第1の折片を按分するように遊離端側を折り返して第1の重畳体を形成し、
上記シートの一辺と略平行で該一辺と相対向する他辺側の第2の折れ線で該シートを折り返して第2の折片を形成し、該第2の折片を該シートに重畳して第2の重畳体を形成し、
上記第1及び第2の重畳体を形成することで、上記シートが一重となる中間領域を形成し、
上記第1及び第2の重畳体が形成されたシートを、上記一辺と直交する辺と略平行な第3の折れ線で、上部折り体と下部折り体とに按分するように折り畳み、
一の上記折り畳まれたシートは、次に積層される他の上記折り畳まれたシートの上記上部折り体の上記第2の重畳体を、該一のシートの上記第1の重畳体と該他のシートの上記第1の重畳体とが反対側に位置するように、上記中間領域に重ね合わせるシート包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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