説明

シート開き保持具

【課題】シート一枚で作れる構造で、紙シートで作成されてもその機能を十分に保つことができ、コンパクトに畳めて使用時には折れにくく、宣伝効果も得られるシート開き保持具を提供する。
【解決手段】
開閉シートを開いた状態で保持する1枚のシートで作られたシート開き保持具であって、天板と、前記天板の前縁部及び/又は後縁部に折目を介して連接された前側板及び/又は後側板とからなる本体と、前記天板の中央に向かって横方向に対向した切込みが少なくとも2つ形成されたシート押さえ部とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式のカード・シート・書類などあるいはポップアップ機能を設けたカード・シート・冊子などを開いた状態で保持し、折り畳み式のカードやシート類または書類などを展示できるようにするシート開き保持具に関する。
【背景技術】
【先行技術文献】
【0002】
折り畳み式のカードやシート類または書類などを開いた状態で保持する保持具は、書籍を開いた状態で保持する保持具などとして古くから開示されていて、シートや板状などを構造体に利用した保持具に限定しても数多く開示されている。(例えば特許文献1・特許文献2・特許文献3・特許文献4・特許文献5・特許文献6などである。)
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4474383号公報
【特許文献2】米国特許第4767094号公報
【特許文献3】実登第3012102号公報
【特許文献4】実登第3024111号公報
【特許文献5】特許第4474651号公報
【特許文献6】特許第4137991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のブックホルダは、細長い板で作成されている。両端には本などのページを押さえることができるようにクリップが形成され、略中心部分は横に回動できるような構造となっていて、使用しないときには折りたたんで二つを重ねてすっぽり収まるようになっている。
特許文献2のブックホルダは、細長い板で作成されている。両端には本などのページを押さえることができるようくの字状に内側に曲げてある。中心部分は、スライドできる機構となっていて、本の大きさの変化に対応できるようになっている。
特許文献3の読書用ページ押え具の基本構造は、合成樹脂製帯状板体の両側に断面U字形に折曲げたクリップを形成し、略中心部に折畳み可能な蝶番を設けている。
しかしながら、特許文献1・特許文献2・特許文献3の物では、部品が複数あり、組み立て作業も入り制作コストが高くなってしまう。さらに、かさばってしまい、携帯・在庫管理・搬送などの点で不都合である。
【0005】
特許文献4の書籍の頁ホルダーは、支持プレートの両端に頁ホルダー爪を切りこんで設けている。特許文献4に開示されている書籍の頁ホルダーの構造では、シートが薄い場合や紙などで作成した場合には、支持プレートが変形または折れてしまい、しっかりページを押さえられなくなってしまう。
【0006】
特許文献5のしおり型書見器は、2枚の合成樹脂シートに、頁押さえ用の舌状切欠をそれぞれ1個ずつ形成し、一方のシート本体には舌の先側に帯が形成され、他方のシート本体には舌の先側に前記帯を保持する切欠を設けてスライド構造を成している。さらに特許文献5における他の実施例では、一枚の合成樹脂シートに頁押さえを少なくとも2箇所の舌状の切欠で向かい合う状態に設けている一体型のしおり型書見器が開示されている。
特許文献5に開示されているしおり型書見器で、シート2枚を繋げたタイプの物は、組み立てでコストが高くなってしまい、この構造では紙などで作るとすぐに折れてしまい、押さえる力が弱くなってしまう。
【0007】
特許文献6の多用途ポップアップ式見開き体では、クリップ式又はバインダー式の保持装具を用いて、見開き頁を保持し、立体式カード展示体としても使えるようにしている。
ところが、特許文献6に開示されている多用途ポップアップ式見開き体において、見開き頁を保持するために利用される保持具装具はクリップ式又はバインダー式で、その保持具装具の素材は金属あるいはプラスチックなどでないとその機能を持たせることが難しい。
【0008】
本発明は、前述の課題に着目してなされたものであって、低コスト構造・紙シート製でも機能を十分に保つことができ、封筒などに入れて送付でき、さらにポップアップ機能を設けた折り畳み式カード・シート・冊子などを開いた状態で保持して展示できるとともに、宣伝広告にも利用できるシート開き保持具を提供することにある。
このようなシート開き保持具を作るにはどうしたらよいか、色々試行錯誤した。まずは一枚の紙シートだけで作成することとし、シート開き保持具となる一枚の紙シートの両端近くに舌状クリップの押さえ片を対向して設けた。ポップアップ機能を設けた折り畳み式カードやシートや冊子などは、開いても手を離せば閉じた状態にすぐに戻ろうとする性質がある。そのために、紙シート1枚で作成した試作品のシート開き保持具は曲がったり折れたりする問題が発生した。そこで、シート開き保持具の前後両端近くを同方向に山折りに折り曲げてみた。すると、シート開き保持具のシートの剛性が飛躍的に高くなり、開閉シートをしっかり保持できるようになった。さらに、この時の試作品は、開いた状態の開閉シートのサイズに合わせるために、開閉シートのほぼ2倍の長さとなってしまい、封筒などで送るのには不便である。そこで、シート開き保持具の試作品のほぼ中心で二つ折りにした。
こうすることで、目的とするシート開き保持具が実現できると考えた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のシート開き保持具は、閉シートを開いた状態に保持する一枚のシートで形成されたシート開き保持具であって、天板と、前記天板の前縁部及び/又は後縁部に折目を介して連接された前側板及び/又は後側板とからなる本体と、前記天板の中央に向かって横方向に対向した切込みが少なくとも2つ形成されたシート押さえ部とからなっている。
請求項2記載のシート開き保持具は、請求項1に記載のシート開き保持具に、前記折目が断線されることでできる断線折目端同士を結んだポップアップ部切り目線を前記天板側に張り出して形成されているポップアップ部を一つ以上設けている。
請求項3記載のシート開き保持具は、請求項1あるいは請求項2に記載のシート開き保持具に、前記本体の縦方向に一つ以上の折目を設けている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のシート開き保持具は、一枚のシートを型抜きしてできるので、製造コストが低く、また携帯・在庫管理・搬送などの点でも低コストであり便利である。更に、天板と、前記天板の前縁部及び/又は後縁部に折目を介して連接された前側板及び/又は後側板が設けられていて、これら前側板及び/又は後側板を天板に対して略直角に同方向に折り曲げることで天板の強度あるいは剛性が高くなる。そして更に、前側板及び/又は後側板には会社のロゴや商品などが印刷でき広告面として利用できる。前記天板の横方向にシート押さえ部が切込みで対向して形成されている。これらのシート押さえ部が開閉シートの左右両端を押さえるので、開閉シートを開いた状態に保つことができる。また、天板と、前記天板の前縁部及び/又は後縁部に折目を介して連接された前側板及び/又は後側板とからなる本体と縦方向に一つ以上の折目を設けているので、本体を折り曲げることで本体が更にコンパクトになり郵送などに大変便利である。
【0011】
請求項2記載のシート開き保持具は、請求項1記載のシート開き保持具の効果のほかに、前記折目が断線されることでできる断線折目端同士を結んだポップアップ部切り目線を前記天板側に張り出して形成されているポップアップ部を一つ以上設けているので、ポップアップ機能があり、展示などで宣伝効果が強調される。
【0012】
請求項3記載のシート開き保持具は、請求項1あるいは請求項2に記載のシート開き保持具の効果のほかに、前記本体の縦方向に一つ以上の折目を設けているのでコンパクトに畳み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1のシート開き保持具の展開平面図である。
【図2】実施例1のシート開き保持具の縦折目を折った時の斜視図である。
【図3】実施例1の物を使用する状態に折り曲げたシート開き保持具の斜視図である。
【図4】実施例1のシート開き保持具に保持される開閉シートの平面図である。
【図5】実施例1のシート開き保持具に保持される開閉シートを折目で折った時の斜視図である。
【図6】実施例1のシート開き保持具を開閉シートに取り付けた使用状態を示す斜視図である。
【図7】実施例2のシート開き保持具の展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
図1・図2・図3・図4・図5・図6に基づいて実施例1を説明する。
実施例1は、一枚の紙シートを抜き加工したシート開き保持具(A)の例であって、開閉シート(B)を開いた状態で保持する例である。
図1は、実施例1のもののシート開き保持具(A)の展開平面図であって、全体が略長方形で、略長方形の天板(1)と、天板(1)の前縁部に折目(21)を介して前側板(2)を連接成形され、天板(1)の後縁部に折目(31)を介して後側板(3)が連接形成された本体(a)と、天板(1)の横方向に略舌片形状のシート押さえ部切れ目線(41)により2つのシート押さえ部(4、4)が対向して形成され、縦方向の折目(a1)が本体(a)の略中央に設けられている。また天板(1)の前縁部の折目(21)は、折目(21)を折ることでポップアップできるように、折目(21)が断線されていて、断線することで形成されるその2つの断線折目端(21e、21e)同士を結んだポップアップ部切り目線(51)で形成されるポップアップ部(5)を前記天板(1)に一つ設けている。
シート押さえ部(4、4)は開閉シート(B)を押さえるという機能が損なわれなければ色々な形状が可能である。また、この実施例1では、縦方向の折目(a1)を略中央に一つだけ設けている。しかし、シート押さえ部(4、4)の間であれば、縦方向の折目(a1)は複数個設けてもよい。例えば、縦方向の折目(a1)を2個設ければ、三つ折りにでき更にコンパクトに畳むことができるようになる。ポップアップ部(5)は複数設けてもよい。
【0015】
図2は、実施例1のシート開き保持具(A)の縦方向の折目(a1)を折り曲げた状態を示す斜視図である。
図3は、実施例1のものを使用する時に折り曲げたシート開き保持具(A)の斜視図である。折目(21)と折目(31)で天板(1)に対して略直角かつ同方向に前側板(2)と後側板(3)とを折り曲げてある。2つの断線折目端(21e、21e)で折目(21)が断線されていて、2つの断線折目端(21e、21e)同士を結んだポップアップ部切り目線(51)で形成されるポップアップ部(5)が天板(1)に対して略直角となり立ち上がっている。
図4は、実施例1のシート開き保持具(A)で保持される開閉シート(B)の平面図である。実施例1における開閉シート(B)を開いたときの横長さは、シート開き保持具(A)に対向して設けられているシート押さえ部(4、4)の間隔とほぼ同じとなっている。開閉シート(B)のほぼ中央には縦方向の折目(b1)が設けられている。
図5は、縦方向の折目(b1)で折り曲げた状態を示す開閉シート(B)の斜視図である。
図6は、シート開き保持具(A)に開閉シート(B)を取り付けた状態を示した斜視図である。
【実施例2】
【0016】
実施例2を図7に基づいて説明する。実施例2は、実施例1のシート開き保持具(A)に設けたシート押さえ部(4)を3個設けていて、その形状は穴となっている。そのために、差し込み片あるいは凸片が左右端に設けられた開閉シートに対応できるとともに、寸法の違う2つの開閉シートに対応できる。
【0017】
次に使い方を説明する。図2に示すようにシート開き保持具(A)は通常は折り曲げてあるので、折り曲げてある状態から図1に示すように使うときに広げる。そして次に、図3に示すように、前側板(2)と後側板(3)とは折目(21)と折目(31)で天板(1)に対して略直角でかつ同方向に折り曲げる。折目(21)が断線折目端(21e、21e)で断線されているので、前側板(2)を曲げることでポップアップ部(5)が立ち上がる。次に、図6に示しているように、この天板(1)に設けられているシート押さえ部(4、4)に開閉シート(B)の左右端をそれぞれ差し込む。
こうすることで、開閉シートを開いた状態で展示できるようになる。さらに、ポップアップ部(5)や前側板(2)には会社ロゴや写真など色々と印刷ができるので、宣伝広告としても利用できる。
【0018】
なお、本発明は前述した実施形態に限るものではない。実施例では紙シートを使用しているが紙シート以外の材料シートであってもよい。また形状・寸法は矩形に限らず、機能が発揮できる条件で、いろいろ変更が可能である。
実施例ではポップアップ部は略矩形であるが、形状は色々可能であり、また個数も複数個設けてもよい。
【符号の説明】
【0019】
A シート開き保持具
a 本体
a1 折目
1 天板
2 前側板
21 折目
21e断線折目端
3 後側板
31 折目
4 シート押さえ部
41 シート押さえ部切れ目線
5 ポップアップ部
51 ポップアップ部切れ目線
B 開閉シート
b1 折目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉シートを開いた状態に保持する一枚のシートで形成されたシート開き保持具であって、
天板と、前記天板の前縁部及び/又は後縁部に折目を介して連接された前側板及び/又は後側板とからなる本体と、
前記天板の中央に向かって横方向に対向したシート押さえ部切れ目線で少なくとも2つ形成されたシート押さえ部と、
からなることを特長とするシート開き保持具。
【請求項2】
前記折目が断線されることでできる断線折目端同士を結んだポップアップ部切り目線を前記天板側に張り出して形成されているポップアップ部を一つ以上設けたことを特長とする請求項1に記載のシート開き保持具。
【請求項3】
前記本体の縦方向に一つ以上の折目を設けたことを特長とする請求項1あるいは請求項2に記載のシート開き保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−232565(P2012−232565A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114133(P2011−114133)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(398030045)有限会社アリエルトレーディング (2)