説明

シート類発行装置

【課題】挟持状態で切断することでシート類を確実に挟持する。
【解決手段】シート類発行装置1は、長尺の記録紙Paを一端側から繰り出し、搬送路に沿って発行口201へ向けて搬送する搬送部20と、搬送路上に配置され、搬送中の記録紙Paの先端部分に所定のデータをプリントするプリンタ30と、搬送路上であってプリンタ30の下流側に配置され、記録紙Paを全幅に亘って切断してシート類Psを形成するカッタ40と、搬送路上であってカッタ40の下流側に配置され、カット後のシート類Psを両面で挟持する挟持部50と、記録紙Paを挟持部50で挟持した状態で、カッタ40を駆動させる制御部60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場や有料道路の領収書、金融機関その他の整理券等として発行するシート類発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート類に所要の情報をプリントして領収書として発行(発券)する発行装置が知られている。発行装置は、記録紙を所定サイズに切断してシート類を作成するカッタ及びカッタの搬送方向下流に発行口を備え、発行口には、人が抜き取り容易にシート類の先端側の一部が露出された状態とされる。シート類は幅方向に全部が切断されず、一部が残った、いわゆる1点切り残し方式とされ、発行口から不用意に落下しないようにされている。この1点切り残し方式では、抜き取り方向が斜めとなったような場合、残った記録紙の先端が折れ曲がったりして紙詰まりを生じる可能性がある。
【0003】
また、近年、記録紙を幅方向全体に切断する方式のプリンタが知られている。特許文献1の図6には、長尺の記録紙7aの先端側を切断して記録紙片7bを形成し、この記録紙片7bの後端を挟持して、落下を防止するようにしたプリンタが記載されている。より詳細には、切断された記録紙片7bは押さえレバー31の上部側壁と可動刃24の下端側壁との間で挟持される。挟持力は、引張りコイルバネ32によって、押さえレバー31を可動刃24の側壁に押しつけるようにして得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−111881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、固定刃23と可動刃24とが接触する切断位置に対して、切断した記録紙片7bを挟持する押さえレバー31の上部側壁と可動刃24の下端側壁との当接位置との間には、所定の距離があるため、切断した記録紙片7bを確実に挟持し得る保証がない。また、可動刃24の動作の度に可動刃24の下端側壁が、引張りコイルバネ32で可動刃24の進入経路に露呈している押さえレバー31の上端と当接乃至は摺接するため、長期使用によって、可動刃24にガタが生じてカッタの精度、性能が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、挟持状態で切断することでシート類を確実に挟持するシート類発行装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、長尺の記録紙を一端側から繰り出し、搬送路に沿って発行口へ向けて搬送する搬送手段と、前記搬送路上に配置され、前記記録紙を全幅に亘って切断してシート類を形成するカッタと、前記搬送路上であって前記カッタの下流側に配置され、切断後の前記シート類を両面で挟持する挟持手段と、前記記録紙を前記挟持手段で挟持した状態で、前記カッタを駆動させる制御手段とを備えたシート類発行装置である。
【0008】
この発明によれば、記録紙は挟持手段によって挟持された状態で、カッタによって幅方向全域に亘って切断されるが、挟持手段によって挟持された状態で切断されることになるため、シート類を確実に挟持でき、誤って抜け落ちるようなことが抑制される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のシート類発行装置において、前記挟持手段は、互いに当接して逆回転する一対のローラであり、前記一対のローラの一方は、前記搬送手段の駆動力が伝達されていることを特徴とする。この構成によれば、挟持手段の一方が搬送手段の駆動力と連動しているので、搬送中でないときは、好適に挟持状態が維持され、搬送中では搬送動作が確保される。また、この構成によれば、挟持手段を構成するローラの一方が搬送手段と駆動伝達可能にされているため、切断後のシート類が抜き取られずに挟持手段に挟持されたまま、すなわち放置されている場合に、次のシート類の発行が指示されると、次シート類の作成時の搬送動作と連動して、放置されたシート類が発行口から搬出される。従って、放置シート類の処置に対する別途の機構を不要とした、低コストかつ簡易な構造となる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のシート類発行装置において、前記一対のローラは、前記搬送手段の駆動力が伝達される従動ローラと、空回り可能な空回りローラとからなり、両ローラの一方は当接する方向に付勢されていることを特徴とする。この構成によれば、両ローラが当接方向に付勢されているため搬送力及び挟持力が好適に実現され、また、一方が空回りローラであるためシート類の抜き取りが容易となる。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のシート類発行装置において、駆動源に連結された搬送ローラを含み、前記従動ローラと前記搬送ローラの各軸にはそれぞれプーリを有し、前記両プーリ間にベルトが張設され、前記ベルトは溝なしベルトであることを特徴とする。この構成によれば、従動ローラを回そうとすると、溝なしベルトとの間で多少のすべりを生じ得るので、シート類の抜き取りが容易となり、また逆にシート類を押し込む動作が行われたとしても、従動ローラのみの空回りで済み、それより内側に回転力が伝わることはない(上流側にある長尺の記録紙Paが位置ずれを生じることはない)。溝なしベルトとしては、同期(タイミング)ベルト等とは異なり、溝のない形状そのものでもよいが、例えば断面円形状を有するもの、帯状で内側面の粗さが小さいものなどが想定される。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項3又は4に記載のシート類発行装置において、前記従動ローラの表面抵抗は、前記空回りローラの表面抵抗より相対的に大きいことを特徴とする。この構成によれば、シート類の抜き取り時に空回りローラが相対的によく回転するので、従動ローラが必要以上に回動することが抑制できる。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項3〜5のいずれかに記載のシート類発行装置において、前記従動ローラの周速は、前記搬送手段の搬送速度より所定値だけ大きいことを特徴とする。この構成によれば、記録紙を搬送方向にテンションを掛けて搬送するので、搬送ローラと従動ローラの間に生じ得る記録紙のたわみを低減することができる。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のシート類発行装置において、前記搬送路上であって前記カッタの上流側に配置され、搬送中の記録紙の先端部分に所定のデータをプリントするプリンタ部を備えたことを特徴とする。この構成によれば、搬送中の記録紙に対して所定データがプリントされ、これによりプリントされたシート類がオンタイムで、かつ個別事案に対応したシート類が生成される。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載のシート類発行装置において、前記制御手段は、前記所定データのプリント動作の終了後に前記搬送動作を停止させて、前記カッタを駆動させることを特徴とする。この構成によれば、所定データがプリントされた記録紙は、停止した状態で切断されるため、正常に切断される。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載のシート類発行装置において、前記所定データは、個別データのプリントと、プリデータのプリントとからなり、前記プリンタ部は、前記個別データ、前記プリデータの順でプリントを行い、前記制御手段は、前記個別データのプリント位置と前記プリデータのプリント位置との境界が前記カッタの設置位置に一致するまで前記記録紙を搬送し、停止するように前記搬送手段を駆動させることを特徴とする。この構成によれば、カットする前に、個別データのプリントの他、次のシート類に対するプレデータのプリントも行うようにしたので、プリント動作に要する時間、すなわちシート類の発行に要する時間が短縮される。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載のシート類発行装置において、前記挟持手段から前記発行口までの適所に前記シート類を検出するセンサを設け、前記制御手段は、前記センサが前記シート類の無しを検出すると、前記搬送手段を駆動して前記記録紙を所定長だけ搬送することを特徴とする。この構成によれば、シート類が抜き取られた後、記録紙が所定長だけ搬送されるので、プレプリントの終了位置と個別プリントの開始位置との間に所要のスペース(空白部)が形成されて見栄えが向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、挟持状態で切断することでシート類を確実に挟持でき、誤って抜け落ちることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るシート類発行装置の全体斜視図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図2部分の側面断面図である。
【図4】制御系の一例を示すブロック図である。
【図5】プリント内容の一例を示す図である。
【図6】CPU61のシート発行処理プログラムによって実行されるシート発行処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係るシート類発行装置の全体斜視図であり、図2は、図1の部分拡大図であり、図3は、図2部分の側面断面図である。シート類発行装置1は、所定の装置本体を備え、外部適所には、シート発行を指示する操作部材、代表的には操作ボタン1A(図4参照)が配置されている。なお、操作ボタン1Aは、信号線を介してシート類発行装置1に接続される形態でもよい。
【0021】
シート類発行装置1は、ロール状に巻回された長尺の記録紙Paを支持する支持部10、支持部10から発行口201まで記録紙Pを搬送する搬送部20、搬送部20の適所に配置されたプリンタ30、プリンタ30の下流側に配置され、記録紙Paを幅方向に切断してシート類Psを作成するカッタ40、カッタ40と発行口201との間に配置され、シート類Psを挟持する挟持部50とを備えている。図1に示す記録紙Paの奥行き側には電源部や後述する制御部60を搭載する回路基板等を支持する支持板60Aが配設されている。
【0022】
また、図2に示すように、シート類発行装置1は、搬送部20の搬送面で上下に分ける上部と下部とから構成され、両部は、幅方向の一方側であって、搬送方向と平行な回動軸1a周りに開閉可能に軸支されている。この構造によって、ロール状の記録紙Paを自動装填するオートローディング方式に比して構成が簡易で、かつ、人手による記録紙Paの装填操作が容易となる。
【0023】
支持部10は、図1に示すように、両側壁が平行な容器状の収納部11を有する。収納部11内には、図では見えていないが、本実施形態では、下部に所定距離離間して互いに平行に配置された2本の支持棒を有し、この2本の支持棒上に載置するようにしてロール状の記録紙Paを支持している。なお、2本の支持棒は水平に比して微小角度、例えば1.5°傾斜して配置されている。この傾斜により、記録紙Paが幅方向の低い側を基準に位置決めされて繰り出される結果、幅方向への位置ずれが抑制される。
【0024】
プリンタ30の対向位置には搬送部20の一部であるプラテンローラ23が配置されている。プラテンローラ23は、図3に示すように、同期ベルトやギアなどの動力伝達機構22を介して搬送モータ21に接続されている。駆動モータ21としては、種々の形式のモータが採用可能であり、ここでは、駆動パルスによって回転駆動されるパルスモータが採用されている。
【0025】
プリンタ30は、種々のタイプのプリンタが採用可能であり、ここでは記録紙Paの幅に相当するサーマルヘッドを有するプリンタである。プラテンローラ23は、プリンタ30のヘッドに対向して配置され、記録紙Paは、回転中のプラテンローラ23とプリンタ30のヘッドとの間を搬送中に所定データがプリントされる。
【0026】
搬送部20は、上下のガイド部材24,24が所定の隙間を有して対向配設され、その間に搬送路が形成されている。発行口201の直ぐ上流には上下のガイド板25、25が対向して配設されている。
【0027】
プリンタ30の下流にはカッタ40が配置されている。カッタ40は搬送路の幅方向全域に亘る長さを有する固定刃41と、回転刃42とを備えている。記録紙Paは固定刃41と回転刃42との間を搬送される。回転刃42は、搬送方向に直交する方向の軸421と一体回転可能にされてなり、円形断面部422の一部に弦423が穿設された形状を有する。回転刃42の軸421にはカッタ駆動源としてのカッタモータ43が設けられている。回転刃42は、カッタモータ43によって、通常位置では弦423が水平になる位相位置に停止され、切断時には、図3で反時計周りに所定角度だけ回転して、弦423の一端と固定刃41とを接触位置で摺接させることで記録紙Paの切断を行う。そして、切断後は、回転刃42は元の位相位置に戻される。
【0028】
挟持部50は、互いに平行配置され、当接された送り出しローラ51とピンチローラ52とを備えると共に、ピンチローラ52を送り出しローラ51と当接する方向に付勢する付勢部53を備える。送り出しローラ51及びピンチローラ52は、図2に示すように、ガイド板25,25の適所に形成された切欠からローラ周面の一部が露出するようにして配置されている。送り出しローラ51及びピンチローラ52は、幅方向に小寸法、例えば幅方向全長略50mmに対して略12mmを有するコロ状で、幅方向に所要個数、本実施形態では幅方向中央に1個配置されている。記録紙Paは、送り出しローラ51とピンチローラ52との間を搬送される。付勢部53は、揺動軸531と、揺動軸531に略中央位置で軸支された略L字状の揺動部材532とを備え、揺動部材532の下端(図3参照)側に、ピンチローラ52が回転自在に軸支されている。揺動部材532の上端側には装置本体側との間にバネ533が介設されている。付勢部材としてのバネ533は、揺動部材532を介してピンチローラ52を送り出しローラ51側に所要力で付勢している。この付勢力によって、カッタ40で切断されたシート類Psが、送り出しローラ51とピンチローラ52との間に挟持され、抜け落ちを効果的に防止している。特に駐車場や高速道路のような屋外では、風雨などによっても、シート類Psが吹き飛ばされないようなニップ力が必要である。また、(シート類Psの受け取りを急ぐあまり)シート類Psの発行に先んじて受取者の手が発行口201を覆ったような場合、挟持部50から搬出されてきた切断前の記録紙Paは手に当接して挟持部50と発行口201との間で撓むことになるが、この撓みは挟持部50によってそれより上流側に影響を及ぼすことはないので、記録紙Paの搬送も、プリントも適正に行われる。
【0029】
送り出しローラ51の周面は表面抵抗が大きな(摩擦抵抗の高い)材料、例えばゴムで形成されており、一方、ピンチローラ52の周面は、相対的に表面抵抗が小さい(摩擦抵抗の低い)材料、例えば樹脂で形成されている。送り出しローラ51の表面抵抗をピンチローラ52より大きくすることで、互いに当接する送り出しローラ51とピンチローラ52との間に挟持されたシート類Psを発行口201から抜き取る際に、送り出しローラ51がプラテンローラ23によって回転しにくい一方、ピンチローラ52は空回り可能で、かつシート類Psと低摩擦接触することから両者間に所要の滑りが生じるため、シート類Psは所要の引張り力で抜き取られる。
【0030】
送り出しローラ51は駆動力伝達部材としてのベルト511を介してプラテンローラ23と連結されている。すなわち、ベルト511は送り出しローラ51の軸と一体のプーリ512とプラテンローラ23の軸と一体のプーリ231との間に張設されている。ベルト511は摩擦抵抗の低い材料乃至は断面円形の樹脂材で構成されている。これによって、シート類Psの抜き取り時に送り出しローラ51が多少回転したとしても、ベルト511が滑ることで、搬送モータ21に連結されたプラテンローラ23まで連れ回りすることが抑制される。従って、シート類Psの抜き取り操作によって、記録紙Paの搬送方向への位置ずれが生じることがなくなる。
【0031】
また、送り出しローラ51の直径はプラテンローラ23の直径に比して多少大きめに形成されている。例えばプラテンローラ23の直径が18mmの場合に、送り出しローラ51の直径が20mmである。送り出しローラの直径が大きいことで、送り出しローラの周速がプラテンローラ23による搬送速度より大きくなろうとするため、記録紙Paは常にテンションを受けて下流側に搬送されることになり、プラテンローラ23と送り出しローラ51の間に生じ得る記録紙Paのたわみを低減することができる。これにより、記録紙Paのたわみに起因する紙詰まり、切断異常(プリントされた印字部分の切断や斜め切断)を効果的に防止することができる。なお、前記搬送速度差は、送り出しローラ51とプラテンローラ23の直径の大小によらず、他の構成によって実現してもよい。
【0032】
ガイド板25は、静電気対策を考慮して金属材で構成され、下流側に向けて上下に幅広に形成されている。ガイド板25の下流側は発行口201とされている。また、ガイド板25の適所である、送り出しローラ51及びピンチローラ52の配置位置から搬送方向下流側の間の適所には、記録紙センサ70が配設されている。記録紙センサ70は、発光部及び受光部を備える反射型フォトインターラプタで構成され、ガイド板25の一方側に配置されている。ガイド板25の他方側の対向位置には、黒塗り等による光吸収部71が形成されている。従って、記録紙センサ70の発光部からの光が記録紙で反射して受光部で受光されるときは記録紙有りと判断され、発光部からの光が光吸収部71で吸収されて受光部に帰来しないときは、記録紙無しと判断される。これによって、ガイド板25での記録紙の有無が判断可能となる。カット前における記録紙Paの有無の判断は、紙詰まり検知用として機能し、カット後におけるシート類Psの有無の判断は、抜き取り検知用として機能する。なお、記録紙センサ70は、光学スイッチの他、マイクロスイッチ等の機械式スイッチでもよい。
【0033】
図4は、制御系の一例を示すブロック図である。制御部60は、CPU61を内蔵するマイクロコンピュータで構成され、シート発行処理プログラムを格納するROM62及び処理データを一時的に保存するRAM63を備える。
【0034】
CPU61は、ROM62上に保持されたシート発行処理プログラムを実行することによって、操作ボタン1Aの押下操作を受け付ける操作受付部611、搬送モータ21を駆動する搬送制御部612、プリンタ30の動作を制御するプリント制御部613、必要に応じて採用されるプリントデータの作成に必要なカレンダ機能部614、カッタモータ43の駆動を制御するカッタ制御部615、記録紙センサ70の検出結果から記録紙Paの紙詰まりを判断する紙詰まり判断部616、及び記録紙センサ70の検出結果からシート類Psの抜き取りの有無を判断する抜き取り判断部617として機能する。
【0035】
搬送制御部612は、長尺の記録紙Paの搬送を制御するものである。前述したように搬送モータ21がパルスモータの場合、駆動パルスによって回転量、すなわち搬送量が規定される。そこで、搬送モータ21に送出される駆動パルス数を管理することで搬送量の制御を行うようにしている。具体的には、長尺の記録紙Paは、先端が少なくともプラテンローラ23まで引き出された状態で装置内にセットされ、この状態で、搬送モータ21が駆動されてプラテンローラ23が回転を開始し、かつ所要のプリント動作が行われて、ガイド板25の発行口201まで搬送された後に、停止される。また、搬送制御部612は、カッタ30で切断された後、記録紙Paが所定長だけ搬送させられる。この所定長の搬送は、後述するように、プレプリントと個別データのプリントとの間に、図5に示すような所定のスペースを設けるためである。そこで、搬送制御部612は、回転開始から、所定位置での駆動停止までに要する駆動パルスの数を、予め所定パルス数として設定しておき、実際の搬送動作において、駆動パルスをカウントしながら所定パルス数との比較で、駆動制御するようにしている。なお、搬送中にプリント動作を行う期間は、個別にプリント量(具体的には搬送方向における行数)が異なることも考えられることから、所定のプリント動作が終了した時点の信号(プリント終了信号)を受けてから、駆動パルス数の比較をするようにしてもよい。
【0036】
プリント制御部613は、記録紙Paのプラテンローラ21を通過する部分に、所定のプリント情報を出力し、プリントを行うものである。
【0037】
図5は、プリント内容の一例を示す図である。この例では、駐車場の料金所で発行されるレシートを想定している。1枚のレシートはカッタ30で切断されたシート類Psに該当する。シート類は、ヘッダー部分となるプレプリント部分と、個別の内容である個別プリント部分とからなる。プレプリント部分は、例えば「領収書」、「××××駐車場」の文字からなり、個別プリント部分は、例えば車種、料金、入庫時刻、及び出庫時刻の各情報である。これらの情報は、予めROM62に格納されており、図外の車種判別装置からの判別結果とカレンダ機能部614とを利用して生成される。また、プレプリント部分と個別プリント部分との間には、前述したカット後の微小搬送動作に伴う所定のスペースが設けられている。なお、1回の、すなわち一連のプリント動作では、個別プリント部分がまずプリントされ、引き続いて次のレシート用のプレプリント部分がプリントされる。これによって、操作ボタン1Aが押下操作されてからレシートが発行されるまでの時間短縮を図っている。
【0038】
カッタ制御部615は、記録紙Paが所定位置まで搬送され、停止された状態で、カッタモータ43を駆動させるものである。
【0039】
紙詰まり判断部616は、記録紙Paの搬送が開始されて所定時間経過しても、記録紙Paの先端が記録紙センサ70で検出されない場合に、記録紙Paの先端が、送り出しローラ51とピンチローラ52との挟持部分に詰まっていると判断し、例えば紙詰まり信号を生成するものである。作業者によって、異常が解除されると、元の動作に復帰するように待機状態とされる。
【0040】
抜き取り判断部617は、カッタ30が駆動された後、シート類Psが記録紙センサ70で検知されなくなると、抜き取り操作が行われたと判断して、搬送制御部612に対して、前記所定のスペース分だけ記録紙Paを搬送させるための指示を出力する。一方、記録紙センサ70がシート類Ps有りの状態を継続して検知している場合には、シート類Psの抜き取り忘れと判断して、そのまま放置される。
【0041】
図6は、CPU61のシート発行処理プログラムによって実行されるシート発行処理の手順を説明するフローチャートである。先ず、出庫における操作ボタン1Aが押下操作されたか否かが判断され(ステップS1)、操作されていなければ、本フローを抜ける。一方、操作ボタン1Aが操作されたのであれば、搬送モータ21が駆動開始され(ステップS3)、かつプリント処理動作が行われる(ステップS5)。次いで、プリント処理が終了したか否かが、前記プリント終了信号の発生の有無で判断され、終了していなければ、ステップS5に戻り、終了したのであれば、ステップS9に進む。ステップS9では、駆動パルスのカウント動作が開始される。
【0042】
続いて、カウンタが所定パルス数をカウントしたか否かが判断され(ステップS11)、所定パルス数に達したのであれば、搬送モータ21の駆動が停止される(ステップS13)。ここで、記録紙センサ70がオンか否かが判断され(ステップS15)、オンでなければ、紙詰まり信号を生成し(ステップS17)、待機状態に入る。
【0043】
一方、記録紙センサ70がオンであれば、記録紙Paは正常に搬送されていると判断して、次にカッタ30が駆動される(ステップS19)。カッタ30の駆動後、記録紙センサ70がオフか否かが判断される(ステップS21)。記録紙センサ70がオンならシート類Psが抜き取り忘れとして次の操作ボタン1Aの押下操作を待つ(ステップS23)。すなわち、シート類Psの抜き取りに要する時間は人によって、また場合によって差があることから、次の操作ボタン1Aが押下操作されるまでは、検知を継続し、その間に、シート類Psが抜き取られると、搬送モータ21の駆動が開始される(ステップS25)。
【0044】
同時に、駆動パルスのカウント動作が開始され(ステップS27)、所定パルス数に達すると(ステップS27)、搬送モータ21が停止され(ステップS31)、所定のスペースの形成が確保される。この状態で、操作ボタン1Aへの次の操作を待つ。
【0045】
一方、ステップS23で、次操作ボタンが押下された場合、搬送モータ21の駆動開始を受けて(ステップS3)、送り出しローラ51が従動するため、抜き取られることなく残っていたシート類Psは発行口201から落下する。かかる落下シート類Psを回収するべく、発行口201の下側に、受け口を備える回収箱を配設しておけば、落下シート類Psを飛散等させることなく効果的に回収が可能となる。
【0046】
なお、本発明は、以下の態様が採用可能である。
【0047】
(1)本実施形態では、プリンタ30を設けたが、プリンタ30のない構造でもよい。例えば、長尺の記録紙Paとして、所定のデータが長手方向所定の寸法毎に予めプリントされている物や、あるいは所定データのプリントされたシールが長尺の用紙の長手方向に連続して貼付されて形成された物でもよい。
【0048】
(2)本実施形態では、記録紙センサ70を紙詰まり検知用と抜き取り検知用に兼用したが、別々に設けてもよい。
【0049】
(3)本実施形態では、搬送モータ21の動作を駆動パルス数の管理によって制御するようにしたが、これに限定されず、駆動時間をタイマで計時する等して制御してもよい。また、記録紙Paが、その都度搬送されるべき位置に対して記録紙センサを設け、記録紙センサの検出結果によって搬送モータ21の駆動を制御する態様としてもよい。これにより、搬送モータ2による記録紙Paの搬送量の制御が可能となる。
【0050】
(4)また、プリンタ30によるプリント動作と記録紙Paの搬送動作との関係は、本実施形態では、所定のプリント動作が終了してから所定の駆動パルス(所定の搬送量)として設定(いわば変動搬送方式)したが、これに限定されず、プリント量(行数)が個々に異なり得る態様であっても最大プリント量(最大プリント行数)が予め判れば、この最大行数を基準にして搬送量を予め設定するようにしてもよい(いわば一定量(最大)搬送方式)。この場合には、プリント動作終了を受けての搬送量制御ではなく、搬送開始から終了までの通常の搬送制御と同一となるので、プリント終了信号の生成やその確認処理等が不要となる。
【0051】
(5)操作ボタン1Aに代えて、非接触式のセンサ、例えば光センサ(代表的には赤外線センサ)を採用してもよいし、撮像装置でもよい。これによれば、人あるいは車を感知して自動で動作を開始する態様とすることができる。
【0052】
(6)本実施形態では、駐車場の料金所におけるレシートの発行装置で説明したが、本発明はこれに限定されず、高速道路におけるレシートの発行、金融機関その他での整理券等の発行にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 シート類発行装置
1A 操作ボタン
10 支持部
20 搬送部(搬送手段)
21 搬送モータ
22 動力伝達機構
23 プラテンローラ
25 ガイド板
201 発行口
30 プリンタ(プリンタ部)
40 カッタ
43 カッタモータ
50 挟持部(挟持手段)
51 送り出しローラ
52 ピンチローラ
53 付勢部
60 制御部(制御手段)
61 CPU(制御手段)
612 搬送制御部
613 プリント制御部
615 カッタ制御部
616 紙詰まり判断部
617 抜き取り判断部
62 ROM
70 記録紙センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の記録紙を一端側から繰り出し、搬送路に沿って発行口へ向けて搬送する搬送手段と、
前記搬送路上に配置され、前記記録紙を全幅に亘って切断してシート類を形成するカッタと、
前記搬送路上であって前記カッタの下流側に配置され、切断後の前記シート類を両面で挟持する挟持手段と、
前記記録紙を前記挟持手段で挟持した状態で、前記カッタを駆動させる制御手段とを備えたシート類発行装置。
【請求項2】
前記挟持手段は、互いに当接して逆回転する一対のローラであり、前記一対のローラの一方は、前記搬送手段の駆動力が伝達されていることを特徴とする請求項1に記載のシート類発行装置。
【請求項3】
前記一対のローラは、前記搬送手段の駆動力が伝達される従動ローラと、空回り可能な空回りローラとからなり、両ローラの一方は当接する方向に付勢されていることを特徴とする請求項2に記載のシート類発行装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、駆動源に連結された搬送ローラを含み、前記従動ローラと前記搬送ローラの各軸にはそれぞれプーリを有し、前記両プーリ間にベルトが張設され、前記ベルトは溝なしベルトであることを特徴とする請求項3に記載のシート類発行装置。
【請求項5】
前記従動ローラの表面抵抗は、前記空回りローラの表面抵抗より相対的に大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載のシート類発行装置。
【請求項6】
前記従動ローラの周速は、前記搬送手段の搬送速度より所定値だけ大きいことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のシート類発行装置。
【請求項7】
前記搬送路上であって前記カッタの上流側に配置され、搬送中の記録紙の先端部分に所定のデータをプリントするプリンタ部を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のシート類発行装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記所定データのプリント動作の終了後に前記搬送動作を停止させて、前記カッタを駆動させることを特徴とする請求項7に記載のシート類発行装置。
【請求項9】
前記所定データは、個別データのプリントと、プリデータのプリントとからなり、前記プリンタ部は、前記個別データ、前記プリデータの順でプリントを行い、前記制御手段は、前記個別データのプリント位置と前記プリデータのプリント位置との境界が前記カッタの設置位置に一致するまで前記記録紙を搬送し、停止するように前記搬送手段を駆動させることを特徴とする請求項8に記載のシート類発行装置。
【請求項10】
前記挟持手段から前記発行口までの適所に前記シート類を検出するセンサを設け、前記制御手段は、前記センサが前記シート類の無しを検出すると、前記搬送手段を駆動して前記記録紙を所定長だけ搬送することを特徴とする請求項9に記載のシート類発行装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−18255(P2011−18255A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163272(P2009−163272)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)