説明

シーム溶接用電極及びシーム溶接方法

【課題】本発明は、溶接対象ワークに対して低電流の通電且つ低加圧の挟持で済み、更には溶接速度を上げるシーム溶接を実現することを目的とする。
【解決手段】シーム溶接に用いられる上側電極(2)において、上側電極の外周面には、上側電極の進行方向に対して蛇行して連続する凸部(22)が形成されている。これにより、上側電極と薄板(4)との接触面積が小さく、溶接箇所が小さな範囲となるため、上側電極は薄板及び厚板(5)に対して低電流の通電で済み、且つ、薄板に対する加圧力も低くて済み、更には溶接速度を上げることもできる。一方で、凸部が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の有効凸部幅がある程度大きな幅となるので、所定以上の溶接強度を保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーム溶接用電極及びシーム溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シーム溶接方法が知られている。シーム溶接方法は、複数枚の金属板の接合技術に関するもので、シーム溶接用電極から金属板に通電すると共に金属板を加圧し、金属板を溶融させて接合する。
【0003】
特許文献1には、溶接対象ワークに対して両側から2つのローラ電極を当接させ、一方のローラ電極を他方のローラ電極に向けて加圧してシーム溶接を行うもので、一方のローラ電極を、当該一方のローラ電極の接線方向が溶接曲線の接線方向に沿うように回転させる技術が開示されている。
この特許文献1の技術によると、一方のローラ電極を回転させない場合に比して、大きな力を要することなく、2つのローラ電極を回転させることができ、手作業で行う場合の作業者の負担軽減、溶接対象ワークの変形防止を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−167896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、燃料タンク等にシーム溶接を施す場合には、ローラ電極の走行中に接合部に歪みが生じ難い場所であるので、通常のシーム溶接を行うことが可能である。しかし、車両のボディー等にシーム溶接を実施しようとすると、ローラ電極の走行中に接合部に歪みが生じ易いので、接合強度を確保するためにローラ電極の幅を広くして幅広の接合幅を持たせるシーム溶接を行う必要があった。このため、従来の幅広の接合幅を持たせるシーム溶接には、溶接対象ワークに対する大電流の通電及び高加圧の挟持が必要であった。これは、電力消費の増大及び設備の大型化につながり、経済的でない。また、溶接強度を上げるためにできるだけゆっくりと溶接して行く必要があり溶接速度が遅くなるものであった。
【0006】
本発明は、溶接対象ワークに対して低電流の通電且つ低加圧の挟持で済み、更には溶接速度を上げることが可能なシーム溶接を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明であるシーム溶接用電極は、シーム溶接に用いられる電極(例えば、上側電極2,2a)において、当該電極の外周面には、前記電極の進行方向に対して蛇行して連続する凸部(例えば、凸部22,2a2)が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によると、シーム溶接に用いられる電極は、外周面の凸部が溶接対象ワークに接触することになる。この凸部の電極の進行方向に対して直交する幅(実行凸部幅)は、電極の外周面の幅に比して小さくなる。これにより、電極と溶接対象ワークとの接触面積が小さく、溶接箇所が小さな範囲となるため、電極は単位面積あたり所定の電流を供給するために溶接対象ワークに対して低電流の通電で済み、且つ、単位面積あたり所定の加圧力を付与するために溶接対象ワークに対する加圧力も低くて済み、更には溶接速度を上げることもできる。よって、電力消費を増大する必要がなく、設備を大型化する必要がなく、経済的となる。
一方で、凸部は、電極の進行方向に対して蛇行して連続している。このため、凸部の電極の進行方向に対して直交する幅(実行凸部幅)は小さいが、凸部が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の振り幅(有効凸部幅)は大きくなる。これにより、凸部を設け電極の溶接対象ワークに対する接触面積を単に小さくしたものとは異なり、凸部が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の振り幅(有効凸部幅)がある程度大きな幅となるので、所定以上の溶接強度を保つことができる。
【0009】
前記凸部は、前記電極と溶接対象ワーク(例えば、薄板4、厚板5)との接触面積を一定に保つ形状であることが好ましい。
【0010】
本発明によると、凸部の形状により、電極と溶接対象ワークとの接触面積が一定に保たれるので、通電状態や加圧力が一定でよく、通電状態や加圧力の調整が不要となり、シーム溶接の制御が容易となる。
【0011】
前記凸部の蛇行は、周期的に変化することが好ましい。
【0012】
本発明によると、凸部の蛇行が周期的に変化するので、凸部が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の振り幅が一定幅になる。これによって、所定以上に維持される安定した溶接強度を保つことができる。
【0013】
第2の本発明であるシーム溶接方法は、シーム溶接方法において、電極(例えば、上側電極2,2a)の外周面に前記電極の進行方向に対して蛇行して連続する凸部(例えば、凸部22,2a2)が形成されたシーム溶接用電極を用いてシーム溶接する際に、前記凸部と溶接対象ワーク(例えば、薄板4、厚板5)との接触面積の変化に対し、前記電極の前記溶接対象ワークに対する加圧力が接触位置にかかわらず一定となるように制御することを特徴とする。
【0014】
本発明によると、シーム溶接に用いられる電極は、外周面の凸部が溶接対象ワークに接触することになる。この凸部の電極の進行方向に対して直交する幅(実行凸部幅)は、電極の外周面の幅に比して小さくなる。これにより、電極と溶接対象ワークとの接触面積が小さく、溶接箇所が小さな範囲となるため、電極は単位面積あたり所定の電流を供給するために溶接対象ワークに対して低電流の通電で済み、且つ、単位面積あたり所定の加圧力を付与するために溶接対象ワークに対する加圧力も低くて済み、更には溶接速度を上げることもできる。よって、電力消費を増大する必要がなく、設備を大型化する必要がなく、経済的となる。
一方で、凸部は、電極の進行方向に対して蛇行して連続している。このため、凸部の電極の進行方向に対して直交する幅(実行凸部幅)は小さいが、凸部が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の振り幅(有効凸部幅)は大きくなる。これにより、凸部を設け電極の溶接対象ワークに対する接触面積を単に小さくしたものとは異なり、凸部が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の振り幅(有効凸部幅)がある程度大きな幅となるので、所定以上の溶接強度を保つことができる。
また、凸部と溶接対象ワークとの接触面積が変化すると、電極の溶接対象ワークに対する加圧力に変動を及ぼしてしまう。そうすると、溶接が不安定になるため、溶接速度を遅くするといった対応が必要となる。これに対し本発明によると、凸部と溶接対象ワークとの接触面積が変化しても、電極の溶接対象ワークに対する加圧力が接触位置にかかわらず一定となるので、安定した溶接が行えることから、溶接速度を上げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接対象ワークに対して低電流の通電且つ低加圧で済み、更には溶接速度を上げるシーム溶接を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係るシーム溶接装置を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る他の例のシーム溶接装置を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る他の例のシーム溶接装置を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る凸部の幅及び周期的変化と溶接強度との対応関係を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係るシーム溶接装置を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る上側電極の回転位置とその回転位置から求まる凸部の接触面積との関係を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る凸部の接触面積と凸部のワークに対する加圧力を一定にする上側電極がもたらす押圧力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
以下に、図1〜図4を参照して実施形態1を説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るシーム溶接装置を示す図である。図2は、本発明の実施形態1に係る他の例のシーム溶接装置を示す図である。図3は、本発明の実施形態1に係る他の例のシーム溶接装置を示す図である。図4は、本発明の実施形態1に係る凸部の幅及び周期的変化と溶接強度との対応関係を模式的に示す図である。
図1に示すシーム溶接装置1は、上側電極2と下側電極3との間で溶接対象ワークである2枚の薄板4及び厚板5を挟み込み、電源6に接続された上側電極2と下側電極3との間で薄板4及び厚板5に通電すると共に、上側電極2がもたらす押圧力等で薄板4及び厚板5を加圧し、通電及び加圧された薄板4及び厚板5を溶融させて溶接するものである。溶接対象ワークである2枚の薄板4及び厚板5としては、例えば、鋼材、アルミニウム合金材等の金属材が用いられる。なお、上側電極2側に薄板4を配置するのは、接合位置が上側電極2側に近いほど、溶接強度が向上するためである。
【0018】
上側電極2は、中心に回転軸21が設けられ進行方向に回転可能な円柱状のローラ電極となっている。上側電極2であるローラ電極の外周面には、この上側電極2であるローラ電極の進行方向に対して蛇行して連続する凸部22が形成されている。これにより、上側電極2は、凸部22によって薄板4に接触し、凸部22から薄板4に通電すると共に加圧力を付与する。
【0019】
凸部22は、上側電極2であるローラ電極と薄板4との接触面積を一定に保つ形状である。つまり、凸部22の上側電極2の進行方向に直交する幅(以下、実行凸部幅という)が一定である。このため、上側電極2は、薄板4に対し、どの回転位置であっても接触面積が一定となり、凸部22から薄板4への通電状態や加圧力が一定で済むようにしている。これにより本実施の形態では、通電状態や加圧力の調整が不要となり、シーム溶接の制御が容易となる。また、上側電極2の外周面の加工が容易となる。
また、凸部22の蛇行は、同一周波数的に周期的に変化する。このため、凸部22が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡の振り幅(以下、有効凸部幅という)が一定幅になる。これによって、単に一直線に溶接を行うのに比して溶接部位を増大させることができ、所定以上に維持された安定した溶接強度を保つことができる。
【0020】
本実施形態によると、シーム溶接に用いられる上側電極2としてのローラ電極は、外周面の凸部22が溶接対象ワークである薄板4に接触することになる。この凸部22の実行凸部幅は、上側電極2の外周面の幅に比して小さい。これにより、上側電極2と溶接対象ワークである薄板4との接触面積が小さく、溶接箇所が小さな範囲となるため、上側電極2は単位面積あたり所定の電流を供給するために薄板4及び厚板5に対して低電流の通電で済み、且つ、単位面積あたり所定の加圧力を付与するために薄板4に対する加圧力も低くて済み、更には溶接速度を上げることもできる。よって、電力消費を増大する必要がなく、設備を大型化する必要がなく、経済的となる。
一方で、凸部22は、上側電極2の進行方向に対して蛇行して連続している。このため、凸部22の実行凸部幅は小さいが、凸部22が蛇行して形成される溶接箇所の軌跡である有効凸部幅は大きくなる。これにより、凸部を設け電極の溶接対象ワークに対する接触面積を単に小さくしたものとは異なり、有効凸部幅がある程度大きな幅となるので、所定以上の溶接強度を保つことができる。
【0021】
図4は、凸部22の幅及び周期的変化と溶接強度との対応関係を模式的に示す図である。図4に示すように、凸部22の実行凸部幅が小さければ、凸部の周期的変化を細かく高周波にでき、有効凸部幅である溶接箇所の軌跡が実質的に太幅の溶接領域に相当するので、溶接強度を高くできる。一方、凸部22の実行凸部幅が大きくなると、凸部22の周期的変化が大きく低周波になることから、有効凸部幅である溶接箇所の軌跡が実質的に凸部22の実行凸部幅に限定されてしまうので、溶接強度が低下する。このため、凸部22の実行凸部幅は、有効凸部幅の2分の1以下であることが好ましく、凸部22の周期的変化の波長は、有効凸部幅の4倍以下であることが好ましい。凸部22の実行凸部幅が、有効凸部幅の2分の1よりも大きくなると、蛇行する凸部22を設けたことによる低電流の通電、低加圧、溶接速度高速化の効果が低減されてしまう。一方、凸部22の周期的変化の波長が、有効凸部幅の4倍よりも長いと、有効凸部幅が減少して溶接強度が低下してしまう。
【0022】
一方、下側電極3は、裏当ての固定電極である。このため、本実施の形態のシーム溶接としては、下側電極3上に2枚の薄板4及び厚板5を治具により固定し、上側電極2を薄板4側に数十〜数百kgfの荷重で加圧し、上側電極2と下側電極3との間で薄板4及び厚板5を挟み込み、通電及び加圧により薄板4と厚板5とを溶接し、上側電極2であるローラ電極を回転させて行き、連続して溶接を行っていく。
【0023】
また、図2に示すシーム溶接装置1aのように、下側電極3aとして、中心に回転軸3a1が設けられ進行方向に回転可能な円柱状のローラ電極であってもよい。この図2の例では、下側電極3aであるローラ電極には、凸部が設けられていない。この場合であっても、溶接対象ワークは、上側電極2側に薄板4が配置され、下側電極3a側に厚板5が配置される。この場合のシーム溶接としては、上側電極2と下側電極3aとの間で2枚の薄板4及び厚板5を挟み込み、通電及び加圧により薄板4と厚板5とを溶接し、上側電極2及び下側電極3aである2つのローラ電極を回転させて行き、挟持する上側電極2と下側電極3aとの回転力で薄板4及び厚板5を送り出して行き、連続して溶接を行っていく。
また、図3に示すシーム溶接装置1bのように、下側電極3bとして、中心に回転軸3b1が設けられ進行方向に回転可能な円柱状のローラ電極であり、通電接触面に凸部3b2が設けられたものあってもよい。この図3の例では、下側電極3bであるローラ電極には、上側電極2と同様な凸部3b2が設けられ、上側電極2と下側電極3bとは、同期がとられそれぞれの対向する凸部22,3b2同士で溶接対象ワークを挟むようにしている。この場合には、溶接対象ワークは、上側電極2と下側電極3bのどちら側に薄板4と厚板5とのどちらが配置されてもよい。この場合のシーム溶接としては、図2に示すシーム溶接装置1aと同様な方法が採用できる。
【0024】
なお、上記実施形態では、凸部22は、薄板4との接触面積を一定に保つ形状であったが、これに限られない。凸部22は、薄板4との接触面積が変化する形状であってもよい。また、凸部22の蛇行は、周期的に変化するものであったが、これに限られない。凸部22の蛇行は、非周期的に変化するものでもよい。また、上記実施形態では、凸部22が設けられる上側電極2をローラ電極として説明したが、上側電極2はローラ電極に限られず、他のシーム溶接用電極であってもよい。
【0025】
(実施形態2)
以下に、図5〜図7を参照して実施形態2を説明する。なお、本実施形態では、上記実施形態で説明した事項については説明を省略する。図5は、本発明の実施形態2に係るシーム溶接装置を示す図である。図6は、本発明の実施形態2に係る上側電極の回転位置とその回転位置から求まる凸部の接触面積との関係を示す図である。図7は、本発明の実施形態2に係る凸部の接触面積と凸部のワークに対する加圧力を一定にする上側電極がもたらす押圧力との関係を示す図である。
【0026】
図5に示すシーム溶接装置1cの上側電極2aの外周面に設けられる凸部2a2は、上側電極2aであるローラ電極と薄板4との接触面積が変化する形状である。つまり、凸部2a2の上側電極2aの進行方向に対して直交する幅(実行凸部幅)の太さが変化する。このため、凸部2a2と溶接対象ワークである薄板4との接触面積が変化するので、上側電極2aの薄板4に対する加圧力に変動が生じる。よって、溶接が不安定になり、溶接速度を遅くするといった対応が必要となる可能性があった。
このため、本実施形態では、凸部2a2と薄板4との接触面積の変化に対し、上側電極2aの薄板4に対する加圧力が接触位置にかかわらず一定となるように制御するようにした。
【0027】
具体的には、上側電極2aの回転位置を検出する回転位置検出センサ7を設ける。回転位置検出センサ7は、上側電極2aであるローラ電極の回転軸2a1等に設けられた、磁気エンコーダや磁気センサ等の回転位置検出センサを例示することができる。
また、回転位置検出センサ7によって検出された上側電極2aの回転位置に対応して、シーム溶接中の凸部2a2の薄板4に対する接触面積を導出するマップを備える制御部8を設ける。制御部8に備えられたマップは、図6に示すように、上側電極2aの回転位置と凸部2a2の薄板4に対する接触面積との関係を予め求めたものである。
また、制御部8は、図6に示すマップから導出される凸部2a2の薄板4に対する接触面積に応じて、上側電極2aの薄板4に対する加圧力が上側電極2aの凸部2a2の接触位置にかかわらず一定となるように制御する。この制御は、図7に示すように、凸部2a2の薄板4に対する接触面積から、凸部2a2の薄板4への加圧力が一定となる上側電極2aがもたらす押圧力を変換して求めて行われる。図7に示す関係も、制御部8が予めマップ等として備える。
上側電極2aには、制御部8の制御に応じて上側電極2aがもたらす押圧力を調整する不図示の調整機構が設けられる。
以上の構成を具備することにより、回転位置検出センサ7によって検出された上側電極2aの回転位置に対応して、図6に示すマップによってシーム溶接中の凸部2a2の薄板4に対する接触面積を導出する。そして、導出された凸部2a2の薄板4に対する接触面積に応じて、図7に示すように、凸部2a2の薄板4への加圧力が一定となる上側電極2aがもたらす押圧力を変換して求め、調整機構で制御部8の求めた押圧力に調整して上側電極2aで押圧を行う。
【0028】
本実施形態によると、凸部2a2と溶接対象ワークである薄板4との接触面積が変化しても、凸部2a2の薄板4に対する加圧力が凸部2a2の接触位置にかかわらず一定となるので、安定したシーム溶接が行えることから、溶接速度を上げることができる。
また、本実施形態にあっても、上記の実施形態と同様に、凸部2a2の実行凸部幅は、上側電極2aの外周面の幅に比して小さくなるので、上側電極2aは単位面積あたり所定の電流を供給するために薄板4及び厚板5に対して低電流の通電で済み、且つ、単位面積あたり所定の加圧力を付与するために薄板4に対する加圧力も低くて済み、更には溶接速度を上げることもできる。よって、電力消費を増大する必要がなく、設備を大型化する必要がなく、経済的となる。一方で、凸部2a2は、上側電極2aの進行方向に対して蛇行して連続しているため、凸部2a2が蛇行して形成される有効凸部幅がある程度大きな幅となるので、所定以上の溶接強度を保つことができる。
【0029】
なお、上記実施形態は、凸部2a2と溶接対象ワークである薄板4との接触面積の変化に対し、凸部2a2の薄板4に対する加圧力が接触位置にかかわらず一定となるように制御する一例を挙げたに過ぎない。よって、他の手法を用いて、同様な制御を行うものでもよい。
また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1,1a,1b,1c…シーム溶接装置
2,2a…上側電極(電極)
3,3a,3b…下側電極
3b1…凸部
4…薄板(溶接対象ワーク)
5…厚板(溶接対象ワーク)
6…電源
7…回転位置検出センサ
8…制御部
21,2a1…回転軸
22,2a2…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーム溶接に用いられる電極において、
当該電極の外周面には、前記電極の進行方向に対して蛇行して連続する凸部が形成されていることを特徴とするシーム溶接用電極。
【請求項2】
前記凸部は、前記電極と溶接対象ワークとの接触面積を一定に保つ形状であることを特徴とする請求項1に記載のシーム溶接用電極。
【請求項3】
前記凸部の蛇行は、周期的に変化することを特徴とする請求項1又は2に記載のシーム溶接用電極。
【請求項4】
シーム溶接方法において、
電極の外周面に前記電極の進行方向に対して蛇行して連続する凸部が形成されたシーム溶接用電極を用いてシーム溶接する際に、前記凸部と溶接対象ワークとの接触面積の変化に対し、前記電極の前記溶接対象ワークに対する加圧力が接触位置にかかわらず一定となるように制御することを特徴とするシーム溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−35023(P2013−35023A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173003(P2011−173003)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)