シール器具及び搬送システム
本開示は、第1チューブ(102)と、第2チューブ(108)と、第3チューブ(104)とを具備するカテーテルに関する。カテーテルはさらに、所定の長さを備えたスロット(812)を有するハウジング(810)を有するハンドル(800)と、スロット内部に配置された第1リニアアクチュエータ(802)と、フレームの近位端から遠位端へ延びる複数のワイヤから形成された拡張可能なフレームを含むシール器具(100)とを具備し、前記拡張可能なワイヤフレームは、シール部材内に少なくとも部分的にカプセル化されている。第1リニアアクチュエータ(802)は、シール器具、第1チューブ、又は第2チューブを独立して前進又は後退させるように形成されている。ハンドル(800)は、シール器具が展開された後にシール器具を解放するように形成された第2アクチュエータ(806)をさらに具備する。前記シール器具は、心臓及び血管の欠陥又は組織開口、例えば卵円孔開存(PFO)、又は心臓、血管系内のシャントなどを修復するのに適しており、具体的にはオクルーダ器具を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年6月22日付けで出願された米国仮出願USSN61/219,120号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、心臓及び血管の欠陥又は組織開口、例えば卵円孔開存(PFO)、又は心臓、血管系内のシャントなどを修復するためのシール器具に関し、具体的には、オクルーダ器具及び経カテーテルオクルーダ搬送システムを提供する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の考察
シール器具は、例えば中隔欠損及びPFOなど、数多くのタイプの組織開口の閉鎖のために利用することができる。
【0004】
組織開口は伝統的には、心臓切開手術によって矯正されてきた。心臓切開手術と関連する外傷及び合併症を回避するために、種々様々な経カテーテル閉鎖技術が実施されている。このような技術の場合、閉鎖器具がカテーテルを通して開口又は欠陥の部位に搬送される。器具は欠陥内に設置されて永久的に展開される。
【0005】
種々様々な経カテーテル搬送型器具が知られている。これらは、組織開口部位での組み立てを必要とする器具、或いは個別の器具要素の「スレッディング(threading)」又は「ボタン掛け(buttoning)」を必要とする器具を含む。他の器具は自己拡張型器具を含む。これらの自己拡張型器具は、視覚化が難しく、装着が煩わしく、組織開口部位における配置、及び再配置が難しい傾向がある。大抵の自己拡張型器具は心臓の生体構造には適合せず、組織侵食をもたらす。
【0006】
自己拡張型器具の一例は、オクルージョンバッグ、第3チューブ、ガイドカテーテル、超弾性ワイヤ、解放メカニズム、及び搬送シースを含む。超弾性ワイヤは解放メカニズムに取り付けられ、そしてワイヤ、解放メカニズム、オクルージョンバッグ、ガイドカテーテル、及び第3チューブは、開口に輸送するための搬送シース内に挿入される。搬送後、オクルージョンバッグが開口内に設置され、ワイヤがバッグ内に展開される。バッグ及びワイヤは必要な場合には再配置され、そしてワイヤを解放するために解放メカニズムが作動させられる。
【0007】
別の例では、自己拡張型器具は、形状セットされた管状の金属繊維器具、及び任意には器具の中空部分内に含まれるオクルーディングファイバを含む。金属繊維は、鐘形の医療器具を画定する。この鐘形の医療器具は、患者の身体の導管内で展開すべく、カテーテルを通過するように圧潰することができる。
【0008】
これら及びその他の自己拡張型器具は、経カテーテル搬送のために構成されてはいるが、使用前又は使用中に組み立てる必要がある。これらはまた、一旦展開されると再配置又は回収が難しく、心臓の生体構造に対する適合性が少ない。これらの理由から、経カテーテル技術において使用するための改良されたシール器具を提供することが望ましい。このようなシール器具は、心臓の生体構造に対する適合性が改良され、そして開口部位における展開、再配置、そして回収が容易に行われることが好ましい。
【0009】
経カテーテル自己拡張型シール器具は種々の手段によって搬送、展開されることができる。大抵の経カテーテル搬送器具は、器具を展開するための2つの基礎システム、すなわち、器具を解放するために外側カテーテルを引き戻すシステム、又はプッシュロッドでカテーテルから器具を押し出すシステム、のうちの一方を選択する。これらのシステムのそれぞれは、器具を展開するために用いられるメカニズムを作動させるためのハンドルを利用する。このようなシステムの一例は、カテーテルを通してシール器具を付勢する可撓性を有する付勢部材と、付勢部材を前進させるための遠隔設置された制御手段とを含んでいる。この例では、制御手段は、付勢部材に連結されたねじ山付き管状シャフトと、シャフトに取り付けられた手動回転可能なねじ山付きロータとを含んでいる。ロータのねじ山は、シャフトのねじ山と螺合するので、既知の角度だけロータが回転すると、シャフト及び付勢部材が既知の距離だけ前進する。
【0010】
引戻し用外側シャフト又は引戻し用外側カテーテルを用いたシステムの一例は、器具の展開及び配置中に搬送システム構成要素を任意の形態で選択的に保持することができるハンドルを含む。このようなシステムの外側カテーテルは、搬送システムハンドルに設けられたスライドレバー及び回転フィンガリングを作動させることにより、器具を解放すべく引き戻される。
【0011】
これら及びその他の器具搬送システムは、経カテーテル器具の展開のために構成されてはいるが、これら器具は、回転が難しくなるおそれのあるねじ山付きロータの使用を必要とし、或いは、拘束された器具の全長を露出させるべく外側カテーテルを引き戻すのに大きな力を必要とする。大抵の展開システムは、可逆的でないか、又は一旦展開処置が行われると逆転するのが極めて難しい。このような理由から、シール器具のための改善された搬送システムを提供することが望ましい。このような展開システムは、片手で簡単に操作できるハンドルを有し、そして最小限の力又は手の動きで複数の操作を行うことができることが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1実施態様は、拡張可能なフレームを有するシール器具であって、フレームは、フレームの近位端から遠位端へ延びる複数のワイヤから形成されており、これらワイヤは、シール部材が拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的に被覆(encapsulate)した状態で、近位側アイレット及び遠位側アイレットを形成する、シール器具を提供する。
【0013】
更なる実施態様は、シール器具を展開するためのハンドルであって、スロット及び所定の長さを備えたハウジングを有しており、スロット内部にはリニアアクチュエータが配置されており、リニアアクチュエータは、スロット長さに沿ってアクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる、ハンドルを提供する。
【0014】
さらなる実施態様は、所定の長さを備えたスロットを有するハウジングと、スロット内部に配置されたリニアアクチュエータとを含む装置であって、リニアアクチュエータは、スロット長さに沿ってアクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる、装置を提供する。この装置はまた、複数のワイヤから形成された拡張可能なフレームを含むシール器具を含み、ワイヤは、フレームの近位端から遠位端へ延びており、これらのワイヤは、拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的にカプセル化するシール部材と一緒に近位側及び遠位側のアイレットを形成する。
【0015】
本発明の付加的な特徴及び利点は、記載内容中に示されるか、又は本発明の実施によって突き止めることができる。これらの特徴及び本発明の他の利点は、記載された説明及び特許請求の範囲、並びに添付の図面において具体的に指摘された構造によって実現され達成される。
【0016】
前記全般的な説明、及び下記の詳細な説明は両方とも模範的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲で主張された本発明のさらなる説明を提供しようとするものであることは言うまでもない。
【0017】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を可能にするために含まれており、本明細書中に組み入れられ、本明細書の一部を構成し、本発明の実施態様を例示し、そして本明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、搬送システムの遠位端に取り付けられた、展開されたシール器具を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、シール器具の拡張されたフレームを示す図である。
【図2B】図2Bは、シール器具のアイレットを示す端面図である。
【図2C】図2Cは、シール器具のフレームを示す端面図である。
【図3A】図3Aは巻込み治具の構成要素を示す図である。
【図3B】図3Bは巻込み治具の構成要素を示す図である。
【図4A】図4Aは、巻込み治具を示す側面図である。
【図4B】図4Bは、巻込み治具を示す頂面図である。
【図5A】図5Aは、拡張されたカバーされたシール器具を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、拡張された部分的にカバーされたシール器具を示す側面図である。
【図6】図6は、シール器具の自己センタリング式の実施態様を示す側面図である。
【図7】図7は、展開されたシール器具を示す側面図である。
【図8】展開ハンドルを含む搬送システムと、取り付けられたシール器具とを示す斜視図である。
【図9A】図9Aは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図9B】図9Bは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図9C】図9Cは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図9D】図9Dは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図10】図10は、シール器具展開ハンドルを示す斜視図である。
【図11】図11は、シール器具展開ハンドルの組立体を示す斜視図である。
【図12A】図12Aは、第1リニアアクチュエータの実施態様を上から下に向かって見た状態で示す図である。
【図12B】図12Bは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す側面図である。
【図12C】図12Cは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す側面図である。
【図12D】図12Dは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す側面図である。
【図13A】図13Aは、ロック解放アクチュエータの実施態様を示す斜視図である。
【図13B】図13Bは、ロック解放アクチュエータの実施態様を作動位置で示す斜視図である。
【図14A】図14Aは、ばねの実施態様を示す斜視図である。
【図14B】図14Bは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す端面図である。
【図15】図15は、成形ばね構成要素を備えた第1リニアアクチュエータの実施態様を示す端面図である。
【図16】図16は、ばね構成要素を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施態様は、拡張可能なフレームを有するシール器具であって、フレームは、フレームの近位端から遠位端へ延びる複数のワイヤから形成されており、これらワイヤは、シール部材が拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的に被覆した状態で、近位側及び遠位側のアイレットを形成する、シール器具を提供する。
【0020】
図1は、シール器具100の1実施態様を示している。シール器具100については、後のセクションで詳細に論じることにする。シール器具100は第3チューブ104内部に収容されてよい。第3チューブ104は、シール器具100と、第1チューブ102と、第2チューブ108と、回収コード110と、ロックループ111とを含有している。第3チューブ104は、Pebax(登録商標)、又は好適な生体適合性及び機械特性を有する任意のその他の材料から製造されていてよい。放射線不透過性を含む材料の選択が任意に行われてもよい。第3チューブ104は、選ばれた用途に適した耐よじれ性及び強度を提供すべく、強化ブレイズ(reinforcing braid)を伴って又は伴わずに製造されうる。第3チューブ104は、放射線不透過性マーカーバンドを伴って又は伴わずに構成してもよい。第3チューブ104の構成及び材料は、トルク伝達能力(torqueability)、操縦性、及び血管外傷低減のような他の特性のために選ばれてもよい。当業者であれば、本発明を容易にすべく使用されうる種々様々な潜在的な材料があることは容易に理解しうる。第3チューブ104は任意のサイズを有していてよいが、しかし好ましくは10fr.であり、内径約0.048mm及び外径約0.33mmであってよい。第3チューブ104は、ガイドワイヤを伴って又は伴わずに使用されてよく、また急速交換ポート103を含んでいてよい。第1チューブ104の先端は、好ましくは、ガイドワイヤを伴って又は伴わずにアクセス部位から欠陥部位までシール器具100をナビゲーションして搬送するのを補助するように湾曲していることが好ましい。
【0021】
図1には第1チューブ102も示されている。前述のように、第3チューブ104内には、第1チューブ102が収容されてよい。第1チューブ102は、任意の外径を有していてよいが、しかし好ましくは、第3チューブ104の管腔(lumen)内に嵌入するようにサイズ設定される。第1チューブ102は、Pebax(登録商標)、又は好適な生体適合性及び機械特性を有する任意のその他の材料から製造されていてよい。第1チューブ102は好ましくは三重管腔カテーテルである。これら管腔は任意の幾何学的形状を有していてよいが、しかし好ましくは円形又は楕円形又はこれら両者の組み合わせである。第1チューブ102は、シール器具100を配置し、その展開を補助するのに使用されてよい。第1チューブ102を第2チューブ108と合わせて利用することにより、一旦シール器具100が欠陥部位に達すると、シール器具100を第3チューブ104の遠位先端から突出させることができる。第1チューブ102は、最終的な器具展開まで、搬送システムにシール器具100を保持する機能を有していてもよい。第1チューブ102は、最遠位端に開口109を有することにより、ロックループ111が器具の展開中に突出するのを可能にする。開口109、及び突出するロックループ111は、器具搬送システムへの装着を可能にする。ロックループ111は、そのプリセットされた形状を保つ前の伸長位置で示されている。第1チューブ102を表面処理又はコーティングすることにより、材料の生体適合性を向上させるか又は表面摩擦性を変更又は増強することができる。
【0022】
第1チューブ102は第2チューブ108を収容していてよい。第2チューブ108は楕円状の断面を有してほぼ管状に形成されており、そして第1チューブ102内に嵌入するのに適した外径を有することができる。好ましい外径範囲は約1.27x0.68mmであり、遠位端でフレア状に広がっている。第2チューブ108は、ポリマー又は金属を含む任意の好適な生体適合性材料から製作されてよい。好ましい材料はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。第2チューブ108は、シール器具100の搬送と、欠陥部位へのシール器具の展開とを補助するために使用することができる。第2チューブ108は、シール器具100のアイレットに通され、これにより搬送システムにシール器具100を保持し且つシール器具100を展開している間の安定性を提供する。シール器具のアイレットについては後でさらに論じる。
【0023】
回収コード110は、第1チューブ102のより小さな管腔のうちの2つを通り且つシール器具100の近位側アイレットを通ってループ状にされることにより、搬送システムへの装着を可能にし、そしてシール器具が一旦展開されると回収法を提供する。回収コード110は第1チューブ102の長さを通して延び、端部は、シール器具100を展開するために使用されるハンドルで終端する。回収コード110は、十分な強度及びサイズを有する任意の生体適合性材料から製造されてよい。好ましい材料はePTFE(延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン)である。
【0024】
図2Aに示されているように、シール器具100はワイヤフレーム200から形成されている。搬送のための状態にあるときには、ワイヤフレーム200は、第2チューブ108上であって第3チューブ104内で伸長位置にある。ワイヤフレーム200は、所定の用途に適した任意のサイズを有していてよいが、しかし完成状態の外径が15,20,25又は30mmとなるようにサイズ設定されることが好ましい。ワイヤフレーム200は連続したワイヤから形成されている。ワイヤフレーム200を構成するのには任意の数のワイヤを使用することができる。好ましいワイヤ数は5である。ワイヤフレーム200は、カテーテルをベースとした搬送又は胸腔鏡搬送のためにワイヤフレーム200が圧潰されるのを可能にし、且つ一旦欠陥部位に配置されると、自己拡張することにより「記憶」から導出される形態になるのを可能にする弾性特性を有するワイヤから製作することができる。弾性ワイヤは、ばねワイヤ、又は形状記憶NiTi(ニチノール)合金ワイヤ、又は超弾性NiTi合金ワイヤであってよい。弾性ワイヤは、コアに異なる金属を含有するドローン−フィルド(drawn-filled)型のNiTiから成っていてよい。好ましくは、ワイヤフレーム200は、放射線不透過性金属を中心に含有するドローン−フィルド型のNiTiワイヤから成っている。展開されると、ワイヤ構造は永久変形なしにその展開形態を回復する。
【0025】
ワイヤフレーム200及びその他の図示のワイヤフレームは、外径が0.12〜0.4mmである弾性ワイヤ材料から形成されている。好ましい実施態様の場合、ワイヤ外径サイズは約0.3mmとなる。ワイヤフレーム200は、形成されると、遠位側バンパ208と、遠位側アイレット204と、ロックループ206と、任意の中央アイレット203と、近位側アイレット202とを含む。図2Bは、ワイヤフレーム200のアイレット202,203及び204を形成している間の弾性ワイヤの位置を示している。
【0026】
図2Cは、ワイヤフレーム200が展開されたときに形成されるディスクを示している。ワイヤフレーム200を形成する弾性ワイヤは、展開中、花弁部212を形成する。ワイヤフレーム200の弾性ワイヤのプリセットされた形態は、フレームが展開中にねじれるのを可能にする。このねじれが花弁部212を形成する。展開された花弁部212はワイヤフレーム200の外径214を形成する。展開された花弁部212は、シール部材106でカバーされると、近位側ディスクと遠位側ディスクとを形成する。これについてはさらに論じる。花弁部212がオーバラップゾーン216を有するように最適に形成されることにより、シーリングの質が改善される。花弁部212の半径を最大化することにより、弾性ワイヤの曲げ鋭角を最小限に抑え、そして花弁部212の無支持区分を最小限にする。このことは、器具のシーリングの質を改善し、ワイヤにおける曲げ疲労を低減し、器具装着力を軽減するのを補助する。展開された花弁部212は、中央アイレット203の両側にディスクを形成する。展開された形態についてはさらに論じることにする。
【0027】
ワイヤフレーム200の製作は、自動ワイヤテンショニングを用いた機械巻込み(winding)を含む種々の手段によって、又は製作中にそれぞれのワイヤから懸吊される錘を用いた手による巻込みによって達成することができる。図3A〜Cには、キー付き中心ピン300とボタン304とが示されている。これらはワイヤフレーム200の製作を補助するために使用することができる。当業者には明らかなように、製造の補助又は工具として使用するのに適した多くの材料がある。中心ピン300を形成するのに使用するための好ましい材料は、コバルト高強度鋼である。ボタン304及び巻込み治具を形成するのに使用するための好ましい材料は、耐食工具鋼である。巻込み治具についてはさらに論じる。図3Aに詳細に示すように、キー付き中心ピン300は溝302を有していてよく、溝は、器具製作中に弾性ワイヤを固定するために使用することができる。キー付き中心ピン300は、ボタン304に設けられた開口306を通して弾性ワイヤをガイドするのに使用されうる。ボタン304の外観は図3B〜Cに示す。ボタン304は、巻込み治具内に確実に嵌入するように、好ましくは底部に凹部を有するように形成される。溝302内に保持されてボタン304内の開口306を通して挿入された弾性ワイヤは、バンパ208とロックループ206とを形成することができる。キー付き中心ピン300はまた、アイレット202,203及び204の形成の際にも使用される。器具の製作中、バンパ208の形成後に、弾性ワイヤがキー付き中心ピン300の周りに巻き付けられ、よって遠位側アイレットが形成されうる。他のアイレット203及び204も同様な態様で形成することができる。一旦キー付き中心ピン300がボタン304内に挿入されると、弾性ワイヤを巻込み治具の溝内に挿入することができる。
【0028】
シール器具100の製作及び加工中に弾性ワイヤを固定して形成するために、巻込み治具を使用することができる。当技術分野では広く知られているように、典型的な巻込み治具を製作することができる。このような巻込み治具を製作するために使用される材料は、前に述べた通りである。好ましい巻込み治具が図4A及び4Bに示されている。図4Aは巻込み治具400の側面図を示している。図4Bは、好ましい巻込み治具400の頂面図を示している。巻込み治具400はアパーチャ402を含有しており、このアパーチャ402は、器具製作中にキー付き中心ピン300及びボタン304を保持するように成形されサイズ設定されてよい。治具表面の溝404は、弾性ワイヤを固定して花弁部212として形成するために使用される。溝404は任意の直径を有していてよいが、しかし弾性ワイヤの外径に対応するようにサイズ設定されるのが好ましい。図5Aに示された一つの実施態様では、巻込み治具組立体は、中央アイレット203と、花弁部組立体と、近位側アイレット204とを形成するために使用することができる。成形されたワイヤは、巻込み治具組立体内で拘束され、加熱され、そして当技術分野において広く知られているように形状セットするように処理されることができる。
【0029】
図5Aは、ワイヤフレーム200とシール部材106との複合組立体であるシール器具100の実施態様を示している。シール部材106は、結合剤によってワイヤフレーム200に取り付けることができる。ワイヤフレーム200には結合剤、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)又は他の好適な接着剤が塗布されてよい。接着剤は、接触コーティング、粉体コーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、又は任意の他の適切な手段によって塗布することができる。好ましい実施態様の場合、FEP接着剤は、静電粉体コーティングによって塗布される。シール部材106は、種々様々な材料、例えばDACRON(登録商標)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ポリウレタン、発泡フィルム、シリコーン、ナイロン、シルク、超弾性材料の薄いシート、織布材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コラーゲン、心膜組織、又は任意の他の生体適合性材料から成っていてよい。一つの実施態様では、シール部材106は、薄い多孔質ePTFE(延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン)基体から形成することができる。シール部材106は、欠陥部位封鎖体及び成長中の細胞培地を提供することにより、シール器具100の欠陥部位閉鎖特性を高めるように構成されている。
【0030】
図5Aにはまた、近位側アイレット、遠位側アイレット、及び中央アイレット(202,203及び204)も示されており、これらアイレットはそれぞれシール部材106でカバーされ、そしてフィルムでラッピングされている。アイレット202,203及び204は、器具に対するシール部材の付着を促進するためにフィルムでラッピングされてよい。アイレット202,203及び204をラッピングするために使用されるフィルムは、任意の生体適合性を有する薄い材料であってよいが、しかし好ましくは、1つ又は2つ以上の無孔質FEP層でラミネートされた複数の薄い多孔質ePTFE層から成る材料である。
【0031】
図5Bはシール器具100の一つの実施態様を示しており、この実施態様では、シール器具100は、ワイヤフレーム200を部分的にカバーするシール部材508を含んでいる。部分的にカバーされた器具は、シール部材508で部分的又は全体的にカバーされた遠位側又は近位側のバルブ(bulb)を有していてよい。
【0032】
器具の別の実施態様は、自己センタリング式器具600である。図6に示されているように、自己センタリング式器具600は、ワイヤフレーム200と同様のワイヤフレーム602を含んでいる。自己センタリング式器具600は、ワイヤフレーム602とシール部材604との複合組立体である。ワイヤフレーム602は、ワイヤフレーム200と同じ技術及び材料で製作されてよいが、しかし中央アイレットを有してはいない。ワイヤフレーム602は、遠位側バンパ606と、カバーされた遠位側アイレット608と、カバーされた近位側アイレット610と、ロックループ612とを含む。ワイヤフレーム602の弾性ワイヤのプリセットされた形態は、展開されるとフレームがねじれて、展開中には器具600のセンタリング領域614を形成するのを可能にする。展開中、領域614は、欠陥部位内で自動的にセンタリングすることができ、領域614の両側及び欠陥部位に花弁部から成るディスクを形成する。
【0033】
図7はシール器具100を、完全に展開された状態で示している。展開中、第3チューブ104の拘束が器具100から取り除かれ、器具はそのプリセットされた形状に戻る。展開及びロック中、ロックループ111は、第1チューブ102の拘束から解放され、そしてそのプリセットされた形状に戻り、近位側アイレット202からカール状に延びている。このように、器具は展開状態においてロックされる。図7はまた、それぞれ近位側アイレット202、中央アイレット203、及び遠位側のアイレット204に対する近位側のディスク、要素702及び遠位側のディスク、要素704の位置を示している。
【0034】
図8は、第1チューブ102と、第3チューブ104と、シール器具100を展開するためのハンドルとを含む搬送システムに取り付けられたシール器具100を示す斜視図である。図8はさらに、第1リニアアクチュエータ802と、フラッシングポート804と、第2リニアアクチュエータ806と、ロック解放アクチュエータ808と、ハウジング810と、ハウジングに設けられた所定の長さを有するスロット812とを示している。第1リニアアクチュエータ802は、種々様々な形態を有していてよく、これに関してはさらに論じることにする。
【0035】
図9A〜Dは、搬送システム、及び取り付けられたシール器具100の種々の構成要素の、使用中の動きを記述するフローチャートである。使用前に搬送システム内にシール器具100を装着することが図9Aに記載されている。搬送システムの構成要素が図8,10及び11に示されている。シリンジ又はその他の好適な手段をフラッシングポート804に取り付け、システムを生理食塩水又はその他の任意の適当なフラッシング材料で満たすことにより、臨床医が搬送システムをフラッシングすることができる。次いで第1リニアアクチュエータ802が、ハウジング810のスロット812内でばね1100に抗して移動せしめられうる。ばね1100は、図示のように形成されていてよく、或いは板ばね、段付きばね、又は当技術分野において広く知られた任意の形として形成されてもよい。この動作は、図11に示されたマンドレル制御レバー1000をスライドロッド1102を中心として、ハウジング810の側方に回転させる。この動作は、第1リニアアクチュエータ802をサイジング挿入体1103の遠位側ノッチ1104から外れるように動かし、そして第2チューブ108が近位側又は遠位側に並進運動するのを防止する。サイジング挿入体1103は、好適な機械特性を有する任意の材料から形成されてよい。
【0036】
医療器具を搬送するために使用される典型的なハンドル、ハンドル構成要素、ツール又はカテーテルは、一般に知られている材料、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、改質ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、セルロースアセテートブチレート(CAB)を含む非晶質汎用熱可塑性材料;ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶性汎用プラスチック;ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、改質ポリフェニレンオキシド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、改質ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む非晶質エンジニアリング熱可塑性材料;ポリアミド(PA又はナイロン)、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET,熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT,熱可塑性ポリエステル)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)を含む半結晶性エンジニアリング熱可塑性材料;ポリイミド(PI,イミド化プラスチック)、ポリアミドイミド(PAI,イミド化プラスチック)、ポリベンゼンイミダゾール(PBI,イミド化プラスチック)を含む高性能熱可塑性材料;ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI),ポリエーテルスルホン(PES),ポリアリールスルホン(PAS)を含む非晶質高性能熱可塑性材料;ポリフェニレンスルフィド(PPS),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む半結晶性高性能熱可塑性材料;及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)を含む半結晶性高性能熱可塑性材料、フルオロポリマーを含むことができる。他の一般に知られている医療品等級材料は、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性コポリエール(PEBAX)、及び例えばステンレス鋼及びニッケル/チタン合金等の金属を含む。
【0037】
サイジング挿入体1103に設けられた遠位側ノッチ1104及び近位側ノッチ1106は、ハウジングスロット812内に第1リニアアクチュエータ802を位置決めするのを補助するのに使用されうる。2つのノッチ1104及び1106間の距離は、シール器具100が、搬送システムへの装着前に、第2チューブ108上に伸長させられたときのシール器具100の長さであってよい。サイジング挿入体1103は、種々の器具長さに対応するようにサイズ設定することができ、好ましくは約22.28cm長からであり、この場合遠位側ノッチ1104の近位端と近位側ノッチ1106の近位端との間隔は約6.25〜13.32cmからである。ノッチ1104及び1106は、任意の形状を有していてよいが、しかし好ましくは方形である。
【0038】
次いで、第1リニアアクチュエータ802が、ハウジング810の近位端に向かってスロット812内の中点まで動かされる。この動作は、第1チューブ102を近位側に動かし、シール器具100の近位端を近位に動かし、ひいてはシール器具100を伸長させる。第1リニアアクチュエータ802は任意の形状(レバー、ボール)であってよいが、しかし好ましくは臨床医の親指に対応するように成形されている。第1リニアアクチュエータ802は、好適な機械特性を有する任意の材料から製作されていてよいが、しかしサイジング挿入体1103の材料と同様の材料であることが好ましい。第1リニアアクチュエータ802の特徴は、回収コード110を固定するために第1リニアアクチュエータ802の上側部分に形成された凹状歯列である。この特徴は好ましいものであるがしかし任意である。歯列は、任意の蛇行路として形成することもでき、或いは、シール器具100の装着中、展開中、又は回収中に回収コード110に対する抵抗性を形成するのに望ましい任意の形状を有することもできる。回収コードロック803の底面には、対応する突出歯列(図示せず)が形成されてよい。これら歯列は噛み合って、回収コードを固く保持することができる。小さな直径のコードを固定するための当技術分野において広く知られた他の方法を用いることもでき、これに関しては下記セクションで詳細に論じる。
【0039】
次いで、器具が第3チューブ104内に装着されるまで、第1リニアアクチュエータ802がさらに近位側に動かされる。この動作中、ばね1100が第1リニアアクチュエータ802及びマンドレル制御レバー1000をスロット812の左側に押し、そしてサイジング挿入体1103の近位側ノッチ1106内に押し込む。第2チューブ108は、シール器具100及び第1チューブ102と一緒に近位側に自由に動く。第1リニアアクチュエータ802が近位側に動くのに伴って、第2チューブ108とシール器具100と第1チューブ102とは、第3チューブ104内にスライド又は並進運動する。第1リニアアクチュエータ802がその最近位位置に達した後、システムは再び上記のように生理食塩水でフラッシングすることができる。
【0040】
第1リニアアクチュエータ802の別の実施態様が図12A〜Cに示されている。図12Aは、別のリニアアクチュエータ1108を、回収コードロック位置にある状態で示す斜視図である。リニアアクチュエータ1108は、リニアアクチュエータ802と構造が類似しているが、しかし回収コードロッキングリング1110及び回収コード溝1112を特徴としている。図12Bは別の実施態様1114を示しており、この実施態様では、操作を容易にすべくリニアアクチュエータの側方を超えて延びているサムホイール1116を有するように構成されている。リニアアクチュエータサムホイール1116は、ねじ山付きポスト1118にねじ込まれ、このポストの周りには回収コードが巻かれる。実施態様1114も回収コード溝1120を含有しており、この回収コード溝を通して、回収コードは、ねじ山付きポスト1118の周りに固定される前にガイドされる。図12Cは更なる別の実施態様1122が示されており、この実施態様は、側方で嵌められたねじ山付きサムホイール1124を利用する。このサムホイールの周りには回収コードが巻かれ、そしてねじ山付きポスト1124を、アクチュエータ1122の側方に設けられたねじ山付きアパーチャ(図示せず)内に挿入するという動作によって、回収コードはアクチュエータ1122に固定される。回収コードは、ねじ山付きポスト1124の周りに手繰り込まれる前に、回収コード溝1126を通して挿入される。図12Dにはさらに別の実施態様1128が示されている。実施態様1128は、成形サムホイール1130を備えたリニアアクチュエータを示している。サムホイール1130は、リニアアクチュエータのエッジを僅かに超えて延びており、リニアアクチュエータの操作を容易にする。回収コードが、コード溝1132を通して挿入され、ねじ山付きポスト(図示せず)の周りに巻かれる。次いで、成形サムホイール1130がねじ山付きポストに固定され、回収コードを固定する。
【0041】
欠陥部位内にシール器具100を展開することが図9Bに記載されている。第1リニアアクチュエータ802をストッパに達するまで遠位側に動かす。この動作は第1チューブ102及び第2チューブ108を、第3チューブ104内部で遠位側に動かす。次いで、リニアアクチュエータ802がばね1100に抗してスロット812内で右側に動かされなければならない。リニアアクチュエータ802が右側に動かされたら、マンドレル制御レバー1000がスライダロッド1102上で回転する。この動作は、リニアアクチュエータ802を、サイジング挿入体1103の近位側ノッチ1106から解放する。この動作の後、リニアアクチュエータ802がさらに遠位側に並進運動せしめられる。このことは、第1チューブ102とシール器具100の近位側のアイレット202とを遠位側に動かす。またこのような動作によって、移動が防止されているシール器具100の遠位端にも影響が及ぼされる。第1チューブ102は第3チューブ104から器具をガイドすることにより、欠陥部位内に器具を展開する。リニアアクチュエータ802を遠位側へ、スロット812の端部に動かす結果、シール器具全体が展開される。当業者には明らかなように、上記ステップを、シール器具100の最適な配置を可能にするように、或る特定の時点で中断して逆転することもできる。
【0042】
図9Cに示されたフローチャート内には器具をロックすることが記載されている。回収コードロック803は第1リニアアクチュエータ802からスナップ結合が解除される。臨床医は、取り付けられたロック解放アクチュエータ808を握ることにより、第2リニアアクチュエータ806を把持し、これをハウジング810の中央に向かって押す。第2リニアアクチュエータ806は任意のサイズ又は形状を有していてよいが、しかしハウジング810の長手方向表面に設けられたスロット1002内部に嵌入するようにサイズ設定されることが好ましい。リニアアクチュエータ806にはスナップ結合によって、ロック解放アクチュエータ808が装着されている。ロック解放アクチュエータ808をリニアアクチュエータ806に留めるには任意の装着手段、例えば接着剤又は成形部分のような構造で十分である。第2リニアアクチュエータ806及びロック解放アクチュエータ808の両方に適した材料は、好適な機械特性を有する任意の材料であってよいが、しかし前述のハンドル構成要素と同様であることが好ましい。ロック解放アクチュエータ808は、使用者が器具を確実に把持するのを可能にするように構成されている。ロック解放アクチュエータ808の側方に設けられた突起によって把持を補助することができる。これら突起は、ロック解放アクチュエータ808と同様の材料から形成されてよく、或いは、摩擦係数が高い材料又はロック解放アクチュエータ808よりもコンプライアントな材料から形成されてもよい。これら突起は、器具の把持をさらに補助するために、上記材料と相俟って、グレーティング(grating)、粗面化、隆起デザイン、又は表面のスタライエーション(striation)によって形成することもできる。ロック解放アクチュエータ808の表面上のこれら特徴は、把持用突起を用いることなしに、把持を補助するために用いることもでき、また、第2リニアアクチュエータ806の側面に直接に取り付けることもできる。スロット1002は、シール器具のロック解放まで、第2リニアアクチュエータ806を最遠位位置に保持するためのストッパを有するように形成されていてよい。図10及び11に、波形区域の形の好ましいストッパが示されているが、しかしストッパは機械的ストッパの任意の形式であってよい。スロット1002は、任意の長さを有していてよいが、しかし近位側に並進運動するのに十分な長さ、つまり第2リニアアクチュエータ806の幅プラス約3.18cmを有していることが好ましい。スロット1002は、第2リニアアクチュエータ806に対応する任意の形状を有していてよい。
【0043】
第2リニアアクチュエータ806の別の実施態様が図13A及び13Bに示されている。ロック解放アクチュエータ808を把持して第2リニアアクチュエータ806を作動させる代わりに、回転可能なロック解放アクチュエータ1300を把持して回転させることにより、ロック解放に影響を与える。回転可能なロック解放アクチュエータ1300は窓1302を含有している。窓1302は、第1リニアアクチュエータ802の前進運動を防止する。回転させられると、ロック解放アクチュエータ1300は、図10に示されたロック解放アクチュエータ808と同じ動作を可能にする。
【0044】
臨床医は、第2リニアアクチュエータ806を把持したら、第2リニアアクチュエータ806を近位側に動かすことができる。この動作は結果として、第3チューブ104、マンドレル制御レバー1000、サイジング挿入体1103、及び第2チューブ108の近位側への運動をもたらす。第2チューブ108は、器具のアイレット間から近位側に移動する。この動作を達成する別の方法は、第2リニアアクチュエータ806の代わりにハンドルの遠位端にねじりメカニズムを提供することである。このねじりメカニズムは、第3チューブ104、マンドレル制御レバー1000、サイジング挿入体1103、及び第2チューブ108の、第2リニアアクチュエータ806と同じ運動を可能にするスロットを備える。
【0045】
一旦ロック解放を達成したら、回収コードロック803をねじることによって、これを第1リニアアクチュエータ802から取り外し、そして回収コード110が搬送システムから解放されるまで引っ張る。回収コード110は、回収コードロック803に一方の端部で取り付けられる。回収コード110は、好適な機械特性を有する任意の材料、例えばKevlar(登録商標)、可撓性金属ワイヤ、及びポリマーなどから製作することができる。回収コード110のための好ましい材料は、ePTFE繊維である。回収コードロック803は、種々様々な形状及びサイズで形成されてよい。可能な回収コードロックは、リニアアクチュエータ802に回収コードが通過するリニアアクチュエータスロットを提供するように構成されてよい。1つの形態において、回収コードは、リニアアクチュエータ802内に配置されたサムホイールの軸内のスロット又は孔にコードを通し、そしてサムホイールをねじることでこれを締め付けることにより固定される。別の形態はスライドロックを提供する。このスライドロックは、ロックとリニアアクチュエータ802との間に摩擦を用いて回収コードを束縛する。好ましい構成は、図11に示された回収コードロックに形成された歯列間に回収コードを固定することである。
【0046】
回収コードロック803を製作するのに適した材料は、ハウジング810及び他のハンドル構成要素を製作するために使用される材料と同様である。前述のように、回収コードロック803は好ましくは、回収コード110を把持する目的で、リニアアクチュエータ802内の刻み目に対応する歯列又は突起を有している。回収コードロック803は、回収コード110が固定されるのを可能にするように、種々の形状で製作することができる。好ましい形態は、回収コード110が手繰り通されて結ばれるのを可能にするように、回収コードロック803を通るアパーチャを含む。回収コードロック803をねじった後、回収コード110が搬送システムから取り外されるまでこれを引っ張る。
【0047】
図9Cに記載されたステップ4の前に、シール器具100は、図9Dに示されたフローチャートに記載されているように回収することができる。回収コードロック803は、第1リニアアクチュエータ802内にスナップ結合することができる。このことは、回収コード110を所定の場所にロックするのに役立つ。次いで臨床医は、第1リニアアクチュエータ802をスロット812の右縁部に動かす。第1リニアアクチュエータ802はスロット812内で右側に動き、ばね1100を押圧し、これに対して、マンドレル制御レバー1000はスライダロッド1102上で回転してハンドルの右側に動く。スライダロッド1102は好ましくは円形断面を有するが、しかし当業者に明らかなように種々様々な断面形状(例えば正方形又は三角形)を許容することができる。スライダロッド1102は、図14A及びBに示されているようなクラウンばね1400の形状を成して形成することもできる。ばねは、リニアアクチュエータの前後並進運動を可能にするように、リニアアクチュエータを通るスロット1402内に挿入することができる。ばね1100の別の実施態様は、図15によって示された第1リニアアクチュエータ802の一体部分1500として成形されたばねであってよい。ばね1100の別の実施態様は図16に示されている。この形態において、ばね1600はハウジング810に取り付けられており、そして主要位置において第1リニアアクチュエータ802を押す。上述のように、ばね又は成形部分として使用するのに適した材料が当業者には明らかである。第1リニアアクチュエータ802は、遠位側ノッチ1104から解放されており、第2チューブ108は移動を防止されている。第1リニアアクチュエータは、臨床医が第1チューブ102を近位側に動かすことにより、近位側に動かされる。この動作は、シール器具100の近位端を並進運動させ、器具100を近位側に伸長させ、そして器具が第3チューブ104内に引き込まれるのを可能にする。
【0048】
或いは、シール器具100は、次のように回収することもできる。回収コードロック802は、第1リニアアクチュエータ802内にスナップ結合することができる。回収ルアー814をねじ外し、ハンドル800から搬送カテーテル104を分離する。次いでハンドル800全体を把持し、そして搬送カテーテル104を所定の場所に保持しながらハンドルを引き抜くことにより、器具を回収することができる。この動作は、器具100が、搬送カテーテル104を通して強制的に引き抜かれるようにする。
【実施例】
【0049】
本発明の範囲を限定することなしに、下記実施例は、本発明の種々様々な実施態様がどのように形成及び/又は使用されることができるかを例示する。
【実施例1】
【0050】
下記構成要素及び組み立てプロセスを用いて、図1と同様のシール器具を製造した。
【0051】
下記特性を有する、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン材料を得た。
メタノール泡立ち点 6.89KPa(1psi)
質量/面積 2.2グラム/平方メートル
長手方向最大荷重 0.063kg/mm(1.6kg/インチ)
厚さ 0.0076mm(0.0003インチ)
長手方向最大引張り強度 634MPa(92000psi)
【0052】
下記試験方法及び設備を用いて、上述の特性を測定した。メタノール泡立ち点は、直径が25.4mm(1インチ)のフット、ランプ速度1.37KPa/秒(0.2psi/秒)、及びメタノールの液状媒体を有するカスタムメイドの機械を使用して測定した。材料の長さ及び幅は金属ルーラを使用して測定した。質量/面積は、914×127mm(36×5インチ)の試料で、はかり(Model GF-400 Top Loader Balance, ANG, San Jose CA.)を使用して測定した。長手方向最大荷重は10kgのロードセルを備えた材料試験機械(Model 5564, Instron, Grove City, PA)を使用して測定した。ゲージ長は25.4mm(1インチ)であり、クロスヘッド速度は25mm/分であった。試料幅は25.4mm(1インチ)であった。長手方向引張り試験測定値は材料の長さ方向において求めた。フット直径6.35mm(1/4インチ)の厚さゲージ(Mitutoyo Digital Indicator 547-400)を使用して厚さを測定した。長手方向マトリックス引張り強度(MTS)は次の等式を使用して計算し、密度は式:密度=質量/体積を用いて計算した。
【表1】
【0053】
下記特性を有する、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)材料薄層を有する延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを得た。
質量/面積 36.1グラム/平方メートル
最大荷重 長手方向0.496kg/mm(12.6kg/インチ)
最大荷重 横方向0.0118kg/mm(0.3kg/インチ)
厚さ 0.0305mm(0.0012インチ)
【0054】
下記試験方法及び設備を用いて、上述の特性を測定した。試料面積が914×25mm(36x1インチ)試料の精密分析はかり(Model GF-400 Top Loader Balance, ANG, San Jose CA.)を用いて材料を秤量した。材料の長さ及び幅は金属ルーラを使用して測定した。材料厚はフット直径6.35mm(1/4インチ)の厚さゲージ(Mitutoyo Digital Indicator 547-400)を使用して測定した。横方向最大荷重は10kgのロードセルを備えた材料試験機械(Model 5564, Instron, Grove City, PA)を使用して測定した。試料幅は25.4mm(1インチ)、ゲージ長は25.4mm(1インチ)、そしてクロスヘッド速度は25mm/分であった。長手方向最大荷重は200kgのロードセルを備えた材料試験機械(Model 5564, Instron, Grove City, PA)を使用して測定した。試料幅は25.4mm(1インチ)、ゲージ長は25.4mm(1インチ)、そしてクロスヘッド速度は25mm/分であった。長手方向引張り試験測定値は材料の長さ方向において求め、そして横方向引張り試験測定値は長さ方向に対して直交方向において求めた。
【0055】
直径約0.23mmの所定の長さの10%白金ドローン−フィルド型ニチノールワイヤ(Fort Wayne Metals, Fort Wayne, IN)を先ず入手することによって、遠位側アイレットを形成した。このワイヤを「第1ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤの自由端を二重にすることにより、オープンエンドループを形成し、このオープンエンドループをボタン内に挿入した。次いで、ボタンをキー付き中心ピン上に挿入した。ボタンは、キー付き中心ピンを収容するための、中心を通る開口を有するように、そして巻込み治具内に確実に位置するのを可能にする構成要件を有するように成形した。キー付き中心ピン(長軸約0.51mm及び短軸約0.25mm、並びに長さ約10.16mm)を次いで巻込み治具の中心に挿入した。キー付き中心ピンは高強度鋼(Super Cobalt HSS Tool Bit, MSC#56424278, Seco Fagersta)から製作した。鋼を製造業者の指示書に従って1時間にわたって1475°Fで調質した。巻込み治具及びボタンを耐食性工具鋼から自社で製作した。
【0056】
第2長さの同じタイプのドローン−フィルド型ニチノールワイヤを入手し、これを「第5ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤ、第5ワイヤ、及びさらなる3本のワイヤを、ワイヤ端部に錘を取り付けることにより緊張させた。次いで第1ワイヤ及び第5ワイヤを、第1ワイヤの自由端部の周りに1回転完全に巻き付けた。3本のさらなるワイヤを巻込み治具に導入し、5本すべてのワイヤを第1ワイヤの自由端部の周りに、約1.98mmの高さまで巻き付けた。
【0057】
次いで、5本のワイヤを分離して巻込み治具の周縁に設けられた半径方向溝内にこれらを固定することにより、遠位側ディスクを形成した。半径は15mmの寸法で形成した。それぞれのワイヤは遠位側ディスクの1つの花弁部を形成した。花弁部の曲率半径は、ワイヤ内の曲げ鋭角を最小限に抑えるために最大化した。
【0058】
ワイヤを1つにまとめ、そして第1ワイヤの自由端部及びキー付き中心ピンの周りにこれらを約1.98mmの高さまで巻き付けることにより、中央アイレットを形成した。次いでこれらワイヤを分離し、巻込み治具の周縁に設けられた半径方向溝内に固定して、半径15mmの近位側ディスクを形成した。
【0059】
再び5本のワイヤを1つにまとめ、そして第1ワイヤの自由端部及びキー付き中心ピンの周りにこれらを約1.98mmの高さまで巻き付けることにより、近位側アイレットを形成した。次いで5本のワイヤを分離し、そしてステンレス鋼板をワイヤの上側に設置し、プレートをねじでロックすることによって固定した。次いで、第1ワイヤの自由端を、直径約3.18mmのステンレス鋼ピンの周りに1回転だけ巻き付け、そして他の5本のワイヤと同様に固定した。
【0060】
シール器具を含む治具を次いで安定化固定具から取り外し、そして炉(Blue M SPX Electric Forced Air Convection Oven)内に入れ、そしてワイヤを当技術分野において広く知られているように熱的に形状セットした。器具及び治具を次いで水で急冷した。固定されたワイヤを固定板から解放し、器具を冷却して治具及びキー付き中心ピンから取り出した。次いで、器具を、偏平PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)片上に設置し、そして遠位側アイレットの外径まで手でトリミングした。ロックループを、完全な1回転をちょうど超える点まで手でトリミングし、そして近位側アイレット及び中央アイレットを通して引張った。
【0061】
器具をPEEKマンドレルから、楕円横断面を有するキー付きステンレス鋼プロセスマンドレル上に押し出した。このマンドレルは、近位側アイレットと中央アイレットとの間に45°時計回りねじりを有し、そして中央アイレットと遠位側アイレットとの間に第2の45°時計回りねじりを有するように、楕円横断面の偏平ステンレス鋼ワイヤ(Ft. Wayne Metals, Fort Wayne, IN)から製造した。
【0062】
次いで、プロセスマンドレル及び器具を、FEP粉体コーター(C-30, Electrostatic Technology, Inc., Bradford, CN)内に配置された安定化固定具に設置し、完全に塗布されるまで処理した。過剰なFEP粉体を器具から除去した。FEPはロックループ、プロセスマンドレル及びバンパからバキューミングした。プロセスマンドレル及び器具を安定化固定具から取り出し、炉内に入れ、そして当技術分野において広く知られているようにFEP塗膜を硬化させるようにベーキングした。
【0063】
中空コアフィルムマンドレル(35.99mm外径、76.2cm長のステンレス鋼)を入手した。スリット幅22.22mmの膨張延伸ポリテトラフルオロエチレン材料を入手し、スパイラルラッピング機械に装着した。機械は、任意の所望の角度、張力及び速度でPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)材料をラッピングするように自社で製作した。マンドレルをラッピング機械上に装着し、そして中空コアマンドレルの周面に3回ラッピングした。次いで材料をマンドレルの長さに対応して約8°の角度でマンドレルにラッピングした。ラッピング方向を逆転して、同じ角度で材料をオーバーラッピングした。継ぎ目をオフセットしながら、第3及び第4の層を同様にラッピングした。マンドレルをラッピング機械から取り出し、炉内に挿入し、そして45分間にわたって370℃でベーキングした。ラッピングされたマンドレルを炉から取り出し、そして室温まで冷やしておいた。結果として得られたPTFEチューブをマンドレルから取り出した。
【0064】
次いでPTFEチューブを約140mmに切断し、そして手で所望の長さ155mmまで延伸させた。次いでPTFEチューブをフレームを覆うように引張った。次いでPTFEチューブを中央アイレット上にクリンピングし、次いで遠位側及び近位側のアイレット上にクリンピングした。
【0065】
次いで、中央アイレットから始めてアイレットの周りに4回、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)薄層を含む延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンをラッピングした。ラッピングされたアイレットをはんだごてで所定の場所に留めた。次いでPTFEチューブを320℃で3分間にわたってヒートセットし、そして近位側及び遠位側のエアレットの最外点までトリミングした。器具をマンドレルから取り出した。
【実施例2】
【0066】
下記構成要素及び組み立てプロセスを用いて、図6と同様のシール器具を製造した。
【0067】
実施例1に記載されているのと同様の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン材料、及びFEP(フッ素化エチレンプロピレン)材料薄層を有する延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを得た。
【0068】
直径約0.23mmの所定の長さの10%白金ドローン−フィルド型ニチノールワイヤ(Fort Wayne Metals, Fort Wayne, IN)を先ず入手することによって、遠位側アイレットを形成した。このワイヤを「第1ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤの自由端を二重にすることにより、オープンエンドループを形成し、このオープンエンドループをボタン内に挿入した。次いで、ボタンをキー付き中心ピン上に挿入した。ボタンは、キー付き中心ピンを収容するための、中心を通る開口を有するように、そして巻込み治具内に確実に位置するのを可能にする構成要件を有するように成形した。キー付き中心ピン(長軸約5.79mm及び短軸約0.25mm、並びに長さ約10.16mm)を次いで巻込み治具の中心に挿入した。キー付き中心ピンは高強度鋼(Super Cobalt HSS Tool Bit, MSC#56424278, Seco Fagersta)から製作した。巻込み治具及びボタンを耐食性工具鋼から自社で製作した。
【0069】
第2長さの同じタイプのドローン−フィルド型ニチノールワイヤを入手し、これを「第5ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤ、第5ワイヤ、及びさらなる3本のワイヤを、ワイヤ端部に錘を取り付けることにより緊張させた。次いで第1ワイヤ及び第5ワイヤを、第1ワイヤの自由端部の周りに1回転完全に巻き付けた。3本のさらなるワイヤを巻込み治具に導入し、5本すべてのワイヤを第1ワイヤの自由端部の周りに、約1.98mmの高さまで巻き付けた。
【0070】
次いで、5本のワイヤを分離して巻込み治具の周縁に設けられた半径方向溝内にこれらを固定することにより、器具を形成した。半径は15mmの寸法で形成した。それぞれのワイヤは巻込み治具の周りに完全に1回転させた。
【0071】
再び5本のワイヤを1つにまとめ、そして第1ワイヤの自由端部及びキー付き中心ピンの周りにこれらを約1.981mmの高さまで巻き付けることにより、近位側アイレットを形成した。次いで5本のワイヤを分離し、そしてステンレス鋼板をワイヤの上側に設置し、プレートをねじでロックすることによって固定した。次いで、第1ワイヤの自由端を、直径約3.18mmのステンレス鋼ピンの周りに1回転だけ巻き付け、そして他の5本のワイヤと同様に固定した。
【0072】
シール器具を含む治具を次いで安定化固定具から取り外し、そして炉(Blue M SPX Electric Forced Air Convection Oven)内に入れ、そしてワイヤを当技術分野において広く知られているように熱的に形状セットした。器具及び治具を次いで水で急冷した。固定されたワイヤを固定板から解放し、器具を冷却して治具及びキー付き中心ピンから取り出した。ロックループを、完全な1回転をちょうど超える点まで手でトリミングし、そして近位側アイレット及び中央アイレットを通して引張った。
【0073】
器具をPEEKマンドレルから、楕円横断面を有するキー付きステンレス鋼トランスファーマンドレル上に押し出した。このマンドレルは、楕円横断面の偏平ステンレス鋼ワイヤ(Ft. Wayne Metals, Fort Wayne, IN)から製造した。次いで、器具をトランスファーマンドレルの一方の端部から部分的に取り出した。取り出された器具の端部をほぼ180°時計回りにねじり、そしてトランスファーマンドレルに再配置した。器具及びトランスファーマンドレルを炉(Blue M SPX Electric Forced Air Convection Oven)内に入れ、そしてワイヤを当業者に広く知られているように熱的に形状セットした。
【0074】
次いで、トランスファーマンドレル及び器具を、FEP粉体コーター(C-30, Electrostatic Technology, Inc., Bradford, CN)内に配置された安定化固定具に設置し、完全に塗布されるまで処理した。過剰なFEP粉体を除去した。FEPはロックループ、プロセスマンドレル及びバンパからバキューミングした。次いでトランスファーマンドレル及び器具を安定化固定具から取り出し、炉内に入れ、そして当技術分野において広く知られているようにFEP塗膜を硬化させるようにベーキングした。
【0075】
中空コアフィルムマンドレル(35.99mm外径、76.2cm長のステンレス鋼)を入手した。スリット幅22.24mmのePTFE材料を入手し、スパイラルラッピング機械に装着した。機械は、任意の所望の角度、張力及び速度でPTFEフィルムをラッピングするように自社で製作した。マンドレルをラッピング機械上に装着し、そして中空コアマンドレルの周面に3回ラッピングした。次いで材料をマンドレルの長さに対応して約8°の角度でマンドレルにラッピングした。ラッピング方向を逆転して、同じ角度で材料をオーバーラッピングした。継ぎ目をオフセットしながら、第3及び第4の層を同様にラッピングした。マンドレルをラッピング機械から取り出し、炉内に挿入し、そして45分間にわたって370℃でベーキングした。ラッピングされたマンドレルを炉から取り出し、そして室温まで冷やしておいた。結果として得られたePTFEチューブをマンドレルから取り出した。
【0076】
次いでePTFEチューブを約140mmに切断し、そして手で所望の長さ155mmまで延伸させた。次いでePTFEチューブをフレームを覆うように引張った。次いでePTFEチューブを中央アイレット上にクリンピングし、次いで遠位側及び近位側のアイレット上にクリンピングした。次いで、アイレットの周りに4回、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)薄層を含むePTFEをラッピングした。ラッピングされたアイレットをはんだごてで所定の場所に留めた。次いでePTFEチューブを320℃で3分間にわたってヒートセットし、そして近位側及び遠位側のエアレットの最外点までトリミングした。次いで器具をマンドレルから取り出した。
【実施例3】
【0077】
下記構成要素及び組み立てプロセスを用いて、図8と同様のシール器具を製造した。
【0078】
ハンドル組立体のための構成要素を、射出成形法を用いて製作した。Lustran(登録商標) 348を使用してContour Plastics (Baldwin, WI)によって部品を製作した。この材料は、医療器具において使用するのに適しており、引張り強度48.2MPa及び引張り係数2.62GPaが公表されている。この射出成形法及びLustran(登録商標)348を用いて9つの部品を製作した。部品は、第2リニアアクチュエータ、フラッシングガスケット保持器、第1リニアアクチュエータ、回収コードロック、マンドレル制御レバー、左ボディハウジング、サイジング挿入体、右ボディハウジング、及びロック解放アクチュエータを含んだ。
【0079】
ハンドルの組み立てに必要となる他の材料は、購入品であった。当業者に広く知られているレイアップ法で形成されるカテーテルチューブを、内径0.048mm及び外径0.33mmであり、また遠位先端の端部近くに白金イリジウムマーカーバンドが配置されるように注文したTeleflex medical, Jaffrey, NH)。カテーテルチューブの主ボディは、PTFEライナー及びステンレス鋼ブレイズ(65PPI)を有するPebax(登録商標)7233チューブであり、またカテーテルチューブの最遠位20.32mmは、6333 Pebax(登録商標)(内径0.027mm及び外径0.033mm)及び遠位端の湾曲(半径39.98mm)から成った。レーザーによって掲載されたガイドワイヤポートをマーカーバンドの近位側のカテーテルチューブ内に配置した。シリコーンから形成されたフラッシングガスケット又はU字カップ型ガスケット(22.99mm深さ、内径2.89mmから1.85mmへテーパ、内径6.71から7.75mmへテーパ)をApple Rubber of Lancaster, NYから調達した。外径3.18mmの雌ルアーコネクタを備えた約152mm(6インチ)の可撓性PVC(ポリ塩化ビニル)チューブを有するフラッシングポート(Merit Medical, South Jordan, UT)を自社在庫から支給した。シアノアクリレート瞬間接着剤を自社在庫から支給した。ステンレス鋼ハイポチューブをSmall Parts, Inc.から注文した(外径1.45mm、内径1.30mm、長さ30.48cm)から注文した。スライダロッド(PTFE被覆ステンレス鋼ハイポチューブ、外径3.18mm、内径1.65mm、長さ33.02cm)をApplied Plasticsから調達した。制御ばね(PTFE被覆ステンレス鋼板ばね、厚さ0.10mm、副フランジ長5.33mm、主フランジ長10.11mm、全長15.88mm)をIncodema, Ithaca, NYから注文した。
【0080】
構成要素の残りは、自社在庫から支給するか又は自社で製造した。20%の硫酸バリウムを含むPebax(登録商標)7233からすべての三重管腔チューブを製造した。両三重管腔チューブの外径O.D.は0.25mmであった。一方の三重管腔チューブは、2つの内径I.D.が0.035mmであり、また1つの内径が0.15mmである円形管腔であった。一方の三重管腔チューブは、2つの内径I.D.が0.036mmであり、また1つの内径が0.127×0.07mmである楕円形断面を有する1つの管腔であった。ステンレス鋼PTFE被覆(ポリテトラフルオロエチレン)プロセスマンドレルを自社で製造した。1つのプロセスマンドレルは円形(外径0.16mm)から楕円形(外径0.14×0.07mm)へ移行する断面形状を有した。PTFE被覆ステンレス鋼ワイヤを自社在庫から調達した(外径0.03mm)。標準的なルアー取り付け具を自社在庫から入手した。外径1.27×0.69mmの楕円形断面を有するPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)第2チューブ押し出し物を自社在庫から入手した。
【0081】
第1チューブを次のように形成した。円形管腔を有する一方の三重管腔押し出しチューブを入手した。別の三重管腔押し出しチューブを、1つの管腔が楕円断面を有する状態で入手した。円形(外径1.52mm)から楕円形(外径1.39×0.81mm)へ移行する断面形状を有するステンレス鋼プロセスマンドレルも入手した。両押し出しチューブをマンドレルに、マンドレルが両チューブより大きい管腔を通って挿入された状態で装着した。PTFEでカバーされた2本の小さなステンレス鋼ワイヤを両押し出しチューブのより小さな管腔を通して挿入した。マンドレル及びチューブをRF(高周波)ダイ(内径2.51mm、長さ4.45mm、D2工具鋼から製作)内に挿入した。2つのカテーテルの接合部を、RFダイの中心に配置した。RFダイ及びマンドレルを、RF溶接機(Hot Shot I, Ameritherm Inc., Scottsville, NY)のRFコイルの真ん中に配置し、当業者に広く知られているように溶接した。構成要素がリフローしたら、押し出しチューブの各端部に圧力を加えることにより、チューブの接合部を溶融した。次いでダイを圧縮空気で噴霧することによりダイを冷却し、そしてPebax(登録商標)を硬化させた。押し出しチューブ及びダイをRF機械から取り出し、そして押し出しチューブをダイから取り出した。プロセスマンドレル及びワイヤを押し出しチューブの管腔から取り出した。
【0082】
第2チューブに潤滑塗膜を施すことができる。シリコーン離型噴霧剤(Nix Stix X-9032A, Dwight products, Inc., Lyndhurst NJ)を第2チューブの遠位側約30cmに噴霧し、そしてヒュームフード下で周囲温度で乾燥させておくことができる。
【0083】
第3チューブサブアセンブリを次のように形成した。カテーテルチューブを、カテーテルチューブの近位端からほぼ6.35cmのところで真っ直ぐのカミソリで両断した。雄及び雌のインラインルアーコネクタ(Qosina, Edgewood, NY)を入手し、内径3.45mmまで穿孔した。UV(紫外線)硬化型接着剤(Locite 3041)を、カテーテルチューブの両断された端部に塗布し、穿孔されたルアー取り付け具を取り付けた。接着剤を製造業者の指示書に従って硬化させ、そしてルアー取り付け具同士をねじ結合した。
【0084】
第2リニアアクチュエータのサブアセンブリを次のように形成した。第2リニアアクチュエータ、フラッシングポート、フラッシングガスケット保持器、及びシリコーンフラッシングガスケットを入手した。フラッシングガスケットを第2リニアアクチュエータの背後に、フラッシングガスケットのU字形部分が遠位側に面した状態で挿入した。フラッシングガスケット保持器を、第2リニアアクチュエータの内側の上部に被せた。ガスケット保持器の周りにシアノアクリレート接着剤を塗布することにより、ガスケット保持器を所定の場所に保持した。フラッシングポートを、第2リニアアクチュエータのアパーチャ内に配置し、そしてUV硬化型接着剤を塗布して製造業者の指示書に従って硬化させた。
【0085】
第1チューブを入手し、そして端部から2.54cmバンドの円形カテーテル内径区分の外面にシアノアクリレートを塗布した。次いで、カテーテルが制御シャトルの背後と整合するようになるまで、カテーテルを制御シャトルの遠位端に挿入した。2つの小さな管腔が水平方向に、そして丸い管腔の上側部分に位置するように、カテーテルを配向する。回収コードロックを制御シャトル上にスナップ結合した。
【0086】
第2チューブサブアセンブリを次のように製造した。第2チューブ押出し物内に、直径0.033mmのニチノールワイヤの102mm(4インチ)片を挿入した。ワイヤ挿入体を含む第2チューブ押し出し物を、ハイポチューブ内に挿入した。ハイポチューブの遠位端を手で3回クリンピングした。
【0087】
第1チューブの遠位端をマンドレル制御レバーの上側に手繰り通し、そしてマンドレル制御レバーの遠位端に設けられた上側アパーチャに手繰り通した。第2チューブの遠位端を制御カテーテルの近位端内に手繰り込んだ。ハイポチューブの約102mm(約4インチ)が制御カテーテルの端部から突出するまで、第2チューブを第1チューブ内に押し込んだ。ハイポチューブの近位端に約12.7mm区分にわたって、シアノアクリレート接着剤を塗布した。マンドレル制御レバーの背後と整合するまで、マンドレル制御レバーの近位端の上側アパーチャ内に、この区分を挿入した。次いで、第1チューブの遠位端を、第2リニアアクチュエータの近位端内に手繰り込んだ。第2リニアアクチュエータを、制御カテーテル上の最も後ろ側の位置に動かした。
【0088】
次いで、サイジング挿入体を左ボディシェル内に嵌め込んだ。サイジング挿入体内の溝が左シェルの尾根部に被さるように、サイジング挿入体を配向した。カテーテルサブアセンブリを左ボディシェル内に入れることにより、マンドレル制御レバーがサイジング挿入体内に嵌入し、そして第2制御アクチュエータが左ボディシェルの遠位端のスロット内に嵌入するようにした。サイジング挿入体、マンドレル制御レバー、制御シャトル、及び第2リニアアクチュエータの開口を通してスライダロッドを挿入した。スライダロッドを、左ボディシェルの2つの支持体上に載置させた。制御ばねを右ボディシェル内に挿入することにより、これが対向する歯列内に嵌入するようにした。右ボディシェルを次いで左ボディシェル内に挿入し、そしてこれら2つを互いにスナップ結合した。左ボディシェルに設けられた利用可能なアパーチャ内に2つのねじ(#4-24 x 1/2インチ、ねじ山形成鍋頭)を挿入し、これらねじを締め付けた。ロック解放アクチュエータを、これが確実に取り付けられた状態を保つように一滴のシアノアクリレート接着剤とともに、第2リニアアクチュエータの右タブの所定の場所にスナップ結合した。
【0089】
第2リニアアクチュエータ、制御シャトル、及びマンドレル制御レバーをこれらの最前方位置に動かした。第2リニアアクチュエータを引き戻し、次いでその前方位置に戻した。第1チューブの遠位端を、第3チューブの先端から測定して1.27mmのところまで、カミソリの刃を用いて手によってトリミングした。サイジング挿入体を前方に向かって押した。制御カテーテルの最遠位端から測定して約0.76mmの長さまで、第2チューブを、カミソリの刃を用いて手によってトリミングした。約102mm(約4インチ)長のニチノールワイヤ片(0.30mm直径)を入手した。第2チューブの先端内に、細長いアプリケータチップを用いて、シアノアクリレート接着剤を塗布した。ニチノールワイヤをロッキング部材の先端内に挿入し、そして別のワイヤ片を使用して、第2チューブ内にニチノールワイヤを約2mmだけ挿入した。シアノアクリレート接着剤を硬化させておいた。
【0090】
第2リニアアクチュエータを引き戻し、そしてスロットを制御カテーテルから打ち抜いた。スロットの幅は、カテーテルの楕円形管腔の小軸とほぼ同じ幅であった。カミソリを用いてスロットを約19.05mmの最終長さに削いだ。次いで、第2リニアアクチュエータ及びサイジング挿入体を前方位置に動かした。
【0091】
ほぼ3.05m長さの回収コード(外径0.25mmのPTFE繊維)と、1.52m(外径0.15mm)のニチノールワイヤとを入手した。第1チューブの0.04mm管腔のうちの1つの管腔内にニチノールワイヤを挿入し、そしてこれがハンドル内に現れるまで押し通す。ピンセットを使用して、ワイヤを把持し、ハンドル内のスロットからこれを引き出す。ワイヤの約76.2mmを制御カテーテルの遠位端から突出させる。制御カテーテルの遠位端で同じ管腔内に自由端部を挿入することにより、ワイヤにループを形成した。次いで、回収コードの約76.2mmを、結果として得られるループに手繰り通した。回収コードがハンドル内に突入するまで、ニチノールワイヤを、カテーテルを通して引っ張った。
【0092】
シール器具を入手した。裁縫用に一般に使用されているタイプの針を回収コードと一緒に手繰り込み、そして針を、PTFEバッグと対向するロックループを通るように、そしてシール器具の近位側アイレットの管腔を通るように挿入した。次いでニチノールワイヤを、第1チューブの空いたままの0.04mm管腔に、ワイヤのループ端部が遠位側を指した状態で手繰り通した。針を回収コードから取り出し、コードをニチノールワイヤのループに手繰り通した。次いで、回収コードを前述のようにカテーテルを通して引っ張った。
【0093】
制御シャトルを約12.7mmだけ後退させた。次いで、第2チューブを、器具のアイレットに手繰り通した。ピンセットを使用して回収コードを把持し、そしてハンドルの外側に引き込んだ。小さな直径のニチノールワイヤの一部にループを形成した。制御シャトルの上側の遠位部分に設けられたアパーチャを通して、ループを挿入した。回収コードをこのループに手繰り通し、そして制御シャトルの遠位部分のアパーチャを通して引っ張った。回収コードロックを制御シャトルから取り出し、回収コードの一方の自由端部を、回収コードロックの開口を通して底部から挿入した。コードに4つの止め結び(overhand knots)を形成した。過剰のコードを手でトリミングし、そして回収コードロックを制御シャトルに戻した。
【0094】
残りの自由な回収コードを、すべての弛みがなくなるまで引っ張った。回収コードの残りの自由端部を、制御シャトルの上側の前面に設けられた開口内に挿入した。回収コードを、教えられるまで引張り、そして回収コードロックをスナップ状に閉鎖した。コードを手で約20.32cmまでトリミングした。
【0095】
シャープな先端を備えたはんだごてを入手し、これを約500°Fまで加熱することにより、第2チューブをフレア状に広げた。直径がほぼ1.39mmであるフレアが形成されるまで、こての先端を第2チューブ内に挿入した。器具のロックループを冷却した。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年6月22日付けで出願された米国仮出願USSN61/219,120号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、心臓及び血管の欠陥又は組織開口、例えば卵円孔開存(PFO)、又は心臓、血管系内のシャントなどを修復するためのシール器具に関し、具体的には、オクルーダ器具及び経カテーテルオクルーダ搬送システムを提供する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の考察
シール器具は、例えば中隔欠損及びPFOなど、数多くのタイプの組織開口の閉鎖のために利用することができる。
【0004】
組織開口は伝統的には、心臓切開手術によって矯正されてきた。心臓切開手術と関連する外傷及び合併症を回避するために、種々様々な経カテーテル閉鎖技術が実施されている。このような技術の場合、閉鎖器具がカテーテルを通して開口又は欠陥の部位に搬送される。器具は欠陥内に設置されて永久的に展開される。
【0005】
種々様々な経カテーテル搬送型器具が知られている。これらは、組織開口部位での組み立てを必要とする器具、或いは個別の器具要素の「スレッディング(threading)」又は「ボタン掛け(buttoning)」を必要とする器具を含む。他の器具は自己拡張型器具を含む。これらの自己拡張型器具は、視覚化が難しく、装着が煩わしく、組織開口部位における配置、及び再配置が難しい傾向がある。大抵の自己拡張型器具は心臓の生体構造には適合せず、組織侵食をもたらす。
【0006】
自己拡張型器具の一例は、オクルージョンバッグ、第3チューブ、ガイドカテーテル、超弾性ワイヤ、解放メカニズム、及び搬送シースを含む。超弾性ワイヤは解放メカニズムに取り付けられ、そしてワイヤ、解放メカニズム、オクルージョンバッグ、ガイドカテーテル、及び第3チューブは、開口に輸送するための搬送シース内に挿入される。搬送後、オクルージョンバッグが開口内に設置され、ワイヤがバッグ内に展開される。バッグ及びワイヤは必要な場合には再配置され、そしてワイヤを解放するために解放メカニズムが作動させられる。
【0007】
別の例では、自己拡張型器具は、形状セットされた管状の金属繊維器具、及び任意には器具の中空部分内に含まれるオクルーディングファイバを含む。金属繊維は、鐘形の医療器具を画定する。この鐘形の医療器具は、患者の身体の導管内で展開すべく、カテーテルを通過するように圧潰することができる。
【0008】
これら及びその他の自己拡張型器具は、経カテーテル搬送のために構成されてはいるが、使用前又は使用中に組み立てる必要がある。これらはまた、一旦展開されると再配置又は回収が難しく、心臓の生体構造に対する適合性が少ない。これらの理由から、経カテーテル技術において使用するための改良されたシール器具を提供することが望ましい。このようなシール器具は、心臓の生体構造に対する適合性が改良され、そして開口部位における展開、再配置、そして回収が容易に行われることが好ましい。
【0009】
経カテーテル自己拡張型シール器具は種々の手段によって搬送、展開されることができる。大抵の経カテーテル搬送器具は、器具を展開するための2つの基礎システム、すなわち、器具を解放するために外側カテーテルを引き戻すシステム、又はプッシュロッドでカテーテルから器具を押し出すシステム、のうちの一方を選択する。これらのシステムのそれぞれは、器具を展開するために用いられるメカニズムを作動させるためのハンドルを利用する。このようなシステムの一例は、カテーテルを通してシール器具を付勢する可撓性を有する付勢部材と、付勢部材を前進させるための遠隔設置された制御手段とを含んでいる。この例では、制御手段は、付勢部材に連結されたねじ山付き管状シャフトと、シャフトに取り付けられた手動回転可能なねじ山付きロータとを含んでいる。ロータのねじ山は、シャフトのねじ山と螺合するので、既知の角度だけロータが回転すると、シャフト及び付勢部材が既知の距離だけ前進する。
【0010】
引戻し用外側シャフト又は引戻し用外側カテーテルを用いたシステムの一例は、器具の展開及び配置中に搬送システム構成要素を任意の形態で選択的に保持することができるハンドルを含む。このようなシステムの外側カテーテルは、搬送システムハンドルに設けられたスライドレバー及び回転フィンガリングを作動させることにより、器具を解放すべく引き戻される。
【0011】
これら及びその他の器具搬送システムは、経カテーテル器具の展開のために構成されてはいるが、これら器具は、回転が難しくなるおそれのあるねじ山付きロータの使用を必要とし、或いは、拘束された器具の全長を露出させるべく外側カテーテルを引き戻すのに大きな力を必要とする。大抵の展開システムは、可逆的でないか、又は一旦展開処置が行われると逆転するのが極めて難しい。このような理由から、シール器具のための改善された搬送システムを提供することが望ましい。このような展開システムは、片手で簡単に操作できるハンドルを有し、そして最小限の力又は手の動きで複数の操作を行うことができることが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1実施態様は、拡張可能なフレームを有するシール器具であって、フレームは、フレームの近位端から遠位端へ延びる複数のワイヤから形成されており、これらワイヤは、シール部材が拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的に被覆(encapsulate)した状態で、近位側アイレット及び遠位側アイレットを形成する、シール器具を提供する。
【0013】
更なる実施態様は、シール器具を展開するためのハンドルであって、スロット及び所定の長さを備えたハウジングを有しており、スロット内部にはリニアアクチュエータが配置されており、リニアアクチュエータは、スロット長さに沿ってアクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる、ハンドルを提供する。
【0014】
さらなる実施態様は、所定の長さを備えたスロットを有するハウジングと、スロット内部に配置されたリニアアクチュエータとを含む装置であって、リニアアクチュエータは、スロット長さに沿ってアクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる、装置を提供する。この装置はまた、複数のワイヤから形成された拡張可能なフレームを含むシール器具を含み、ワイヤは、フレームの近位端から遠位端へ延びており、これらのワイヤは、拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的にカプセル化するシール部材と一緒に近位側及び遠位側のアイレットを形成する。
【0015】
本発明の付加的な特徴及び利点は、記載内容中に示されるか、又は本発明の実施によって突き止めることができる。これらの特徴及び本発明の他の利点は、記載された説明及び特許請求の範囲、並びに添付の図面において具体的に指摘された構造によって実現され達成される。
【0016】
前記全般的な説明、及び下記の詳細な説明は両方とも模範的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲で主張された本発明のさらなる説明を提供しようとするものであることは言うまでもない。
【0017】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を可能にするために含まれており、本明細書中に組み入れられ、本明細書の一部を構成し、本発明の実施態様を例示し、そして本明細書と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、搬送システムの遠位端に取り付けられた、展開されたシール器具を示す斜視図である。
【図2A】図2Aは、シール器具の拡張されたフレームを示す図である。
【図2B】図2Bは、シール器具のアイレットを示す端面図である。
【図2C】図2Cは、シール器具のフレームを示す端面図である。
【図3A】図3Aは巻込み治具の構成要素を示す図である。
【図3B】図3Bは巻込み治具の構成要素を示す図である。
【図4A】図4Aは、巻込み治具を示す側面図である。
【図4B】図4Bは、巻込み治具を示す頂面図である。
【図5A】図5Aは、拡張されたカバーされたシール器具を示す側面図である。
【図5B】図5Bは、拡張された部分的にカバーされたシール器具を示す側面図である。
【図6】図6は、シール器具の自己センタリング式の実施態様を示す側面図である。
【図7】図7は、展開されたシール器具を示す側面図である。
【図8】展開ハンドルを含む搬送システムと、取り付けられたシール器具とを示す斜視図である。
【図9A】図9Aは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図9B】図9Bは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図9C】図9Cは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図9D】図9Dは、搬送システムの動作を記すフローチャートである。
【図10】図10は、シール器具展開ハンドルを示す斜視図である。
【図11】図11は、シール器具展開ハンドルの組立体を示す斜視図である。
【図12A】図12Aは、第1リニアアクチュエータの実施態様を上から下に向かって見た状態で示す図である。
【図12B】図12Bは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す側面図である。
【図12C】図12Cは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す側面図である。
【図12D】図12Dは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す側面図である。
【図13A】図13Aは、ロック解放アクチュエータの実施態様を示す斜視図である。
【図13B】図13Bは、ロック解放アクチュエータの実施態様を作動位置で示す斜視図である。
【図14A】図14Aは、ばねの実施態様を示す斜視図である。
【図14B】図14Bは、第1リニアアクチュエータの実施態様を示す端面図である。
【図15】図15は、成形ばね構成要素を備えた第1リニアアクチュエータの実施態様を示す端面図である。
【図16】図16は、ばね構成要素を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施態様は、拡張可能なフレームを有するシール器具であって、フレームは、フレームの近位端から遠位端へ延びる複数のワイヤから形成されており、これらワイヤは、シール部材が拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的に被覆した状態で、近位側及び遠位側のアイレットを形成する、シール器具を提供する。
【0020】
図1は、シール器具100の1実施態様を示している。シール器具100については、後のセクションで詳細に論じることにする。シール器具100は第3チューブ104内部に収容されてよい。第3チューブ104は、シール器具100と、第1チューブ102と、第2チューブ108と、回収コード110と、ロックループ111とを含有している。第3チューブ104は、Pebax(登録商標)、又は好適な生体適合性及び機械特性を有する任意のその他の材料から製造されていてよい。放射線不透過性を含む材料の選択が任意に行われてもよい。第3チューブ104は、選ばれた用途に適した耐よじれ性及び強度を提供すべく、強化ブレイズ(reinforcing braid)を伴って又は伴わずに製造されうる。第3チューブ104は、放射線不透過性マーカーバンドを伴って又は伴わずに構成してもよい。第3チューブ104の構成及び材料は、トルク伝達能力(torqueability)、操縦性、及び血管外傷低減のような他の特性のために選ばれてもよい。当業者であれば、本発明を容易にすべく使用されうる種々様々な潜在的な材料があることは容易に理解しうる。第3チューブ104は任意のサイズを有していてよいが、しかし好ましくは10fr.であり、内径約0.048mm及び外径約0.33mmであってよい。第3チューブ104は、ガイドワイヤを伴って又は伴わずに使用されてよく、また急速交換ポート103を含んでいてよい。第1チューブ104の先端は、好ましくは、ガイドワイヤを伴って又は伴わずにアクセス部位から欠陥部位までシール器具100をナビゲーションして搬送するのを補助するように湾曲していることが好ましい。
【0021】
図1には第1チューブ102も示されている。前述のように、第3チューブ104内には、第1チューブ102が収容されてよい。第1チューブ102は、任意の外径を有していてよいが、しかし好ましくは、第3チューブ104の管腔(lumen)内に嵌入するようにサイズ設定される。第1チューブ102は、Pebax(登録商標)、又は好適な生体適合性及び機械特性を有する任意のその他の材料から製造されていてよい。第1チューブ102は好ましくは三重管腔カテーテルである。これら管腔は任意の幾何学的形状を有していてよいが、しかし好ましくは円形又は楕円形又はこれら両者の組み合わせである。第1チューブ102は、シール器具100を配置し、その展開を補助するのに使用されてよい。第1チューブ102を第2チューブ108と合わせて利用することにより、一旦シール器具100が欠陥部位に達すると、シール器具100を第3チューブ104の遠位先端から突出させることができる。第1チューブ102は、最終的な器具展開まで、搬送システムにシール器具100を保持する機能を有していてもよい。第1チューブ102は、最遠位端に開口109を有することにより、ロックループ111が器具の展開中に突出するのを可能にする。開口109、及び突出するロックループ111は、器具搬送システムへの装着を可能にする。ロックループ111は、そのプリセットされた形状を保つ前の伸長位置で示されている。第1チューブ102を表面処理又はコーティングすることにより、材料の生体適合性を向上させるか又は表面摩擦性を変更又は増強することができる。
【0022】
第1チューブ102は第2チューブ108を収容していてよい。第2チューブ108は楕円状の断面を有してほぼ管状に形成されており、そして第1チューブ102内に嵌入するのに適した外径を有することができる。好ましい外径範囲は約1.27x0.68mmであり、遠位端でフレア状に広がっている。第2チューブ108は、ポリマー又は金属を含む任意の好適な生体適合性材料から製作されてよい。好ましい材料はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。第2チューブ108は、シール器具100の搬送と、欠陥部位へのシール器具の展開とを補助するために使用することができる。第2チューブ108は、シール器具100のアイレットに通され、これにより搬送システムにシール器具100を保持し且つシール器具100を展開している間の安定性を提供する。シール器具のアイレットについては後でさらに論じる。
【0023】
回収コード110は、第1チューブ102のより小さな管腔のうちの2つを通り且つシール器具100の近位側アイレットを通ってループ状にされることにより、搬送システムへの装着を可能にし、そしてシール器具が一旦展開されると回収法を提供する。回収コード110は第1チューブ102の長さを通して延び、端部は、シール器具100を展開するために使用されるハンドルで終端する。回収コード110は、十分な強度及びサイズを有する任意の生体適合性材料から製造されてよい。好ましい材料はePTFE(延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン)である。
【0024】
図2Aに示されているように、シール器具100はワイヤフレーム200から形成されている。搬送のための状態にあるときには、ワイヤフレーム200は、第2チューブ108上であって第3チューブ104内で伸長位置にある。ワイヤフレーム200は、所定の用途に適した任意のサイズを有していてよいが、しかし完成状態の外径が15,20,25又は30mmとなるようにサイズ設定されることが好ましい。ワイヤフレーム200は連続したワイヤから形成されている。ワイヤフレーム200を構成するのには任意の数のワイヤを使用することができる。好ましいワイヤ数は5である。ワイヤフレーム200は、カテーテルをベースとした搬送又は胸腔鏡搬送のためにワイヤフレーム200が圧潰されるのを可能にし、且つ一旦欠陥部位に配置されると、自己拡張することにより「記憶」から導出される形態になるのを可能にする弾性特性を有するワイヤから製作することができる。弾性ワイヤは、ばねワイヤ、又は形状記憶NiTi(ニチノール)合金ワイヤ、又は超弾性NiTi合金ワイヤであってよい。弾性ワイヤは、コアに異なる金属を含有するドローン−フィルド(drawn-filled)型のNiTiから成っていてよい。好ましくは、ワイヤフレーム200は、放射線不透過性金属を中心に含有するドローン−フィルド型のNiTiワイヤから成っている。展開されると、ワイヤ構造は永久変形なしにその展開形態を回復する。
【0025】
ワイヤフレーム200及びその他の図示のワイヤフレームは、外径が0.12〜0.4mmである弾性ワイヤ材料から形成されている。好ましい実施態様の場合、ワイヤ外径サイズは約0.3mmとなる。ワイヤフレーム200は、形成されると、遠位側バンパ208と、遠位側アイレット204と、ロックループ206と、任意の中央アイレット203と、近位側アイレット202とを含む。図2Bは、ワイヤフレーム200のアイレット202,203及び204を形成している間の弾性ワイヤの位置を示している。
【0026】
図2Cは、ワイヤフレーム200が展開されたときに形成されるディスクを示している。ワイヤフレーム200を形成する弾性ワイヤは、展開中、花弁部212を形成する。ワイヤフレーム200の弾性ワイヤのプリセットされた形態は、フレームが展開中にねじれるのを可能にする。このねじれが花弁部212を形成する。展開された花弁部212はワイヤフレーム200の外径214を形成する。展開された花弁部212は、シール部材106でカバーされると、近位側ディスクと遠位側ディスクとを形成する。これについてはさらに論じる。花弁部212がオーバラップゾーン216を有するように最適に形成されることにより、シーリングの質が改善される。花弁部212の半径を最大化することにより、弾性ワイヤの曲げ鋭角を最小限に抑え、そして花弁部212の無支持区分を最小限にする。このことは、器具のシーリングの質を改善し、ワイヤにおける曲げ疲労を低減し、器具装着力を軽減するのを補助する。展開された花弁部212は、中央アイレット203の両側にディスクを形成する。展開された形態についてはさらに論じることにする。
【0027】
ワイヤフレーム200の製作は、自動ワイヤテンショニングを用いた機械巻込み(winding)を含む種々の手段によって、又は製作中にそれぞれのワイヤから懸吊される錘を用いた手による巻込みによって達成することができる。図3A〜Cには、キー付き中心ピン300とボタン304とが示されている。これらはワイヤフレーム200の製作を補助するために使用することができる。当業者には明らかなように、製造の補助又は工具として使用するのに適した多くの材料がある。中心ピン300を形成するのに使用するための好ましい材料は、コバルト高強度鋼である。ボタン304及び巻込み治具を形成するのに使用するための好ましい材料は、耐食工具鋼である。巻込み治具についてはさらに論じる。図3Aに詳細に示すように、キー付き中心ピン300は溝302を有していてよく、溝は、器具製作中に弾性ワイヤを固定するために使用することができる。キー付き中心ピン300は、ボタン304に設けられた開口306を通して弾性ワイヤをガイドするのに使用されうる。ボタン304の外観は図3B〜Cに示す。ボタン304は、巻込み治具内に確実に嵌入するように、好ましくは底部に凹部を有するように形成される。溝302内に保持されてボタン304内の開口306を通して挿入された弾性ワイヤは、バンパ208とロックループ206とを形成することができる。キー付き中心ピン300はまた、アイレット202,203及び204の形成の際にも使用される。器具の製作中、バンパ208の形成後に、弾性ワイヤがキー付き中心ピン300の周りに巻き付けられ、よって遠位側アイレットが形成されうる。他のアイレット203及び204も同様な態様で形成することができる。一旦キー付き中心ピン300がボタン304内に挿入されると、弾性ワイヤを巻込み治具の溝内に挿入することができる。
【0028】
シール器具100の製作及び加工中に弾性ワイヤを固定して形成するために、巻込み治具を使用することができる。当技術分野では広く知られているように、典型的な巻込み治具を製作することができる。このような巻込み治具を製作するために使用される材料は、前に述べた通りである。好ましい巻込み治具が図4A及び4Bに示されている。図4Aは巻込み治具400の側面図を示している。図4Bは、好ましい巻込み治具400の頂面図を示している。巻込み治具400はアパーチャ402を含有しており、このアパーチャ402は、器具製作中にキー付き中心ピン300及びボタン304を保持するように成形されサイズ設定されてよい。治具表面の溝404は、弾性ワイヤを固定して花弁部212として形成するために使用される。溝404は任意の直径を有していてよいが、しかし弾性ワイヤの外径に対応するようにサイズ設定されるのが好ましい。図5Aに示された一つの実施態様では、巻込み治具組立体は、中央アイレット203と、花弁部組立体と、近位側アイレット204とを形成するために使用することができる。成形されたワイヤは、巻込み治具組立体内で拘束され、加熱され、そして当技術分野において広く知られているように形状セットするように処理されることができる。
【0029】
図5Aは、ワイヤフレーム200とシール部材106との複合組立体であるシール器具100の実施態様を示している。シール部材106は、結合剤によってワイヤフレーム200に取り付けることができる。ワイヤフレーム200には結合剤、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)又は他の好適な接着剤が塗布されてよい。接着剤は、接触コーティング、粉体コーティング、浸漬コーティング、噴霧コーティング、又は任意の他の適切な手段によって塗布することができる。好ましい実施態様の場合、FEP接着剤は、静電粉体コーティングによって塗布される。シール部材106は、種々様々な材料、例えばDACRON(登録商標)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマー、ポリウレタン、発泡フィルム、シリコーン、ナイロン、シルク、超弾性材料の薄いシート、織布材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コラーゲン、心膜組織、又は任意の他の生体適合性材料から成っていてよい。一つの実施態様では、シール部材106は、薄い多孔質ePTFE(延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン)基体から形成することができる。シール部材106は、欠陥部位封鎖体及び成長中の細胞培地を提供することにより、シール器具100の欠陥部位閉鎖特性を高めるように構成されている。
【0030】
図5Aにはまた、近位側アイレット、遠位側アイレット、及び中央アイレット(202,203及び204)も示されており、これらアイレットはそれぞれシール部材106でカバーされ、そしてフィルムでラッピングされている。アイレット202,203及び204は、器具に対するシール部材の付着を促進するためにフィルムでラッピングされてよい。アイレット202,203及び204をラッピングするために使用されるフィルムは、任意の生体適合性を有する薄い材料であってよいが、しかし好ましくは、1つ又は2つ以上の無孔質FEP層でラミネートされた複数の薄い多孔質ePTFE層から成る材料である。
【0031】
図5Bはシール器具100の一つの実施態様を示しており、この実施態様では、シール器具100は、ワイヤフレーム200を部分的にカバーするシール部材508を含んでいる。部分的にカバーされた器具は、シール部材508で部分的又は全体的にカバーされた遠位側又は近位側のバルブ(bulb)を有していてよい。
【0032】
器具の別の実施態様は、自己センタリング式器具600である。図6に示されているように、自己センタリング式器具600は、ワイヤフレーム200と同様のワイヤフレーム602を含んでいる。自己センタリング式器具600は、ワイヤフレーム602とシール部材604との複合組立体である。ワイヤフレーム602は、ワイヤフレーム200と同じ技術及び材料で製作されてよいが、しかし中央アイレットを有してはいない。ワイヤフレーム602は、遠位側バンパ606と、カバーされた遠位側アイレット608と、カバーされた近位側アイレット610と、ロックループ612とを含む。ワイヤフレーム602の弾性ワイヤのプリセットされた形態は、展開されるとフレームがねじれて、展開中には器具600のセンタリング領域614を形成するのを可能にする。展開中、領域614は、欠陥部位内で自動的にセンタリングすることができ、領域614の両側及び欠陥部位に花弁部から成るディスクを形成する。
【0033】
図7はシール器具100を、完全に展開された状態で示している。展開中、第3チューブ104の拘束が器具100から取り除かれ、器具はそのプリセットされた形状に戻る。展開及びロック中、ロックループ111は、第1チューブ102の拘束から解放され、そしてそのプリセットされた形状に戻り、近位側アイレット202からカール状に延びている。このように、器具は展開状態においてロックされる。図7はまた、それぞれ近位側アイレット202、中央アイレット203、及び遠位側のアイレット204に対する近位側のディスク、要素702及び遠位側のディスク、要素704の位置を示している。
【0034】
図8は、第1チューブ102と、第3チューブ104と、シール器具100を展開するためのハンドルとを含む搬送システムに取り付けられたシール器具100を示す斜視図である。図8はさらに、第1リニアアクチュエータ802と、フラッシングポート804と、第2リニアアクチュエータ806と、ロック解放アクチュエータ808と、ハウジング810と、ハウジングに設けられた所定の長さを有するスロット812とを示している。第1リニアアクチュエータ802は、種々様々な形態を有していてよく、これに関してはさらに論じることにする。
【0035】
図9A〜Dは、搬送システム、及び取り付けられたシール器具100の種々の構成要素の、使用中の動きを記述するフローチャートである。使用前に搬送システム内にシール器具100を装着することが図9Aに記載されている。搬送システムの構成要素が図8,10及び11に示されている。シリンジ又はその他の好適な手段をフラッシングポート804に取り付け、システムを生理食塩水又はその他の任意の適当なフラッシング材料で満たすことにより、臨床医が搬送システムをフラッシングすることができる。次いで第1リニアアクチュエータ802が、ハウジング810のスロット812内でばね1100に抗して移動せしめられうる。ばね1100は、図示のように形成されていてよく、或いは板ばね、段付きばね、又は当技術分野において広く知られた任意の形として形成されてもよい。この動作は、図11に示されたマンドレル制御レバー1000をスライドロッド1102を中心として、ハウジング810の側方に回転させる。この動作は、第1リニアアクチュエータ802をサイジング挿入体1103の遠位側ノッチ1104から外れるように動かし、そして第2チューブ108が近位側又は遠位側に並進運動するのを防止する。サイジング挿入体1103は、好適な機械特性を有する任意の材料から形成されてよい。
【0036】
医療器具を搬送するために使用される典型的なハンドル、ハンドル構成要素、ツール又はカテーテルは、一般に知られている材料、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA又はアクリル)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、改質ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、セルロースアセテートブチレート(CAB)を含む非晶質汎用熱可塑性材料;ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE又はLLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)を含む半結晶性汎用プラスチック;ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、改質ポリフェニレンオキシド(Mod PPO)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、改質ポリフェニレンエーテル(Mod PPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む非晶質エンジニアリング熱可塑性材料;ポリアミド(PA又はナイロン)、ポリオキシメチレン(POM又はアセタール)、ポリエチレンテレフタレート(PET,熱可塑性ポリエステル)、ポリブチレンテレフタレート(PBT,熱可塑性ポリエステル)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)を含む半結晶性エンジニアリング熱可塑性材料;ポリイミド(PI,イミド化プラスチック)、ポリアミドイミド(PAI,イミド化プラスチック)、ポリベンゼンイミダゾール(PBI,イミド化プラスチック)を含む高性能熱可塑性材料;ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルイミド(PEI),ポリエーテルスルホン(PES),ポリアリールスルホン(PAS)を含む非晶質高性能熱可塑性材料;ポリフェニレンスルフィド(PPS),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含む半結晶性高性能熱可塑性材料;及びフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)を含む半結晶性高性能熱可塑性材料、フルオロポリマーを含むことができる。他の一般に知られている医療品等級材料は、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性コポリエール(PEBAX)、及び例えばステンレス鋼及びニッケル/チタン合金等の金属を含む。
【0037】
サイジング挿入体1103に設けられた遠位側ノッチ1104及び近位側ノッチ1106は、ハウジングスロット812内に第1リニアアクチュエータ802を位置決めするのを補助するのに使用されうる。2つのノッチ1104及び1106間の距離は、シール器具100が、搬送システムへの装着前に、第2チューブ108上に伸長させられたときのシール器具100の長さであってよい。サイジング挿入体1103は、種々の器具長さに対応するようにサイズ設定することができ、好ましくは約22.28cm長からであり、この場合遠位側ノッチ1104の近位端と近位側ノッチ1106の近位端との間隔は約6.25〜13.32cmからである。ノッチ1104及び1106は、任意の形状を有していてよいが、しかし好ましくは方形である。
【0038】
次いで、第1リニアアクチュエータ802が、ハウジング810の近位端に向かってスロット812内の中点まで動かされる。この動作は、第1チューブ102を近位側に動かし、シール器具100の近位端を近位に動かし、ひいてはシール器具100を伸長させる。第1リニアアクチュエータ802は任意の形状(レバー、ボール)であってよいが、しかし好ましくは臨床医の親指に対応するように成形されている。第1リニアアクチュエータ802は、好適な機械特性を有する任意の材料から製作されていてよいが、しかしサイジング挿入体1103の材料と同様の材料であることが好ましい。第1リニアアクチュエータ802の特徴は、回収コード110を固定するために第1リニアアクチュエータ802の上側部分に形成された凹状歯列である。この特徴は好ましいものであるがしかし任意である。歯列は、任意の蛇行路として形成することもでき、或いは、シール器具100の装着中、展開中、又は回収中に回収コード110に対する抵抗性を形成するのに望ましい任意の形状を有することもできる。回収コードロック803の底面には、対応する突出歯列(図示せず)が形成されてよい。これら歯列は噛み合って、回収コードを固く保持することができる。小さな直径のコードを固定するための当技術分野において広く知られた他の方法を用いることもでき、これに関しては下記セクションで詳細に論じる。
【0039】
次いで、器具が第3チューブ104内に装着されるまで、第1リニアアクチュエータ802がさらに近位側に動かされる。この動作中、ばね1100が第1リニアアクチュエータ802及びマンドレル制御レバー1000をスロット812の左側に押し、そしてサイジング挿入体1103の近位側ノッチ1106内に押し込む。第2チューブ108は、シール器具100及び第1チューブ102と一緒に近位側に自由に動く。第1リニアアクチュエータ802が近位側に動くのに伴って、第2チューブ108とシール器具100と第1チューブ102とは、第3チューブ104内にスライド又は並進運動する。第1リニアアクチュエータ802がその最近位位置に達した後、システムは再び上記のように生理食塩水でフラッシングすることができる。
【0040】
第1リニアアクチュエータ802の別の実施態様が図12A〜Cに示されている。図12Aは、別のリニアアクチュエータ1108を、回収コードロック位置にある状態で示す斜視図である。リニアアクチュエータ1108は、リニアアクチュエータ802と構造が類似しているが、しかし回収コードロッキングリング1110及び回収コード溝1112を特徴としている。図12Bは別の実施態様1114を示しており、この実施態様では、操作を容易にすべくリニアアクチュエータの側方を超えて延びているサムホイール1116を有するように構成されている。リニアアクチュエータサムホイール1116は、ねじ山付きポスト1118にねじ込まれ、このポストの周りには回収コードが巻かれる。実施態様1114も回収コード溝1120を含有しており、この回収コード溝を通して、回収コードは、ねじ山付きポスト1118の周りに固定される前にガイドされる。図12Cは更なる別の実施態様1122が示されており、この実施態様は、側方で嵌められたねじ山付きサムホイール1124を利用する。このサムホイールの周りには回収コードが巻かれ、そしてねじ山付きポスト1124を、アクチュエータ1122の側方に設けられたねじ山付きアパーチャ(図示せず)内に挿入するという動作によって、回収コードはアクチュエータ1122に固定される。回収コードは、ねじ山付きポスト1124の周りに手繰り込まれる前に、回収コード溝1126を通して挿入される。図12Dにはさらに別の実施態様1128が示されている。実施態様1128は、成形サムホイール1130を備えたリニアアクチュエータを示している。サムホイール1130は、リニアアクチュエータのエッジを僅かに超えて延びており、リニアアクチュエータの操作を容易にする。回収コードが、コード溝1132を通して挿入され、ねじ山付きポスト(図示せず)の周りに巻かれる。次いで、成形サムホイール1130がねじ山付きポストに固定され、回収コードを固定する。
【0041】
欠陥部位内にシール器具100を展開することが図9Bに記載されている。第1リニアアクチュエータ802をストッパに達するまで遠位側に動かす。この動作は第1チューブ102及び第2チューブ108を、第3チューブ104内部で遠位側に動かす。次いで、リニアアクチュエータ802がばね1100に抗してスロット812内で右側に動かされなければならない。リニアアクチュエータ802が右側に動かされたら、マンドレル制御レバー1000がスライダロッド1102上で回転する。この動作は、リニアアクチュエータ802を、サイジング挿入体1103の近位側ノッチ1106から解放する。この動作の後、リニアアクチュエータ802がさらに遠位側に並進運動せしめられる。このことは、第1チューブ102とシール器具100の近位側のアイレット202とを遠位側に動かす。またこのような動作によって、移動が防止されているシール器具100の遠位端にも影響が及ぼされる。第1チューブ102は第3チューブ104から器具をガイドすることにより、欠陥部位内に器具を展開する。リニアアクチュエータ802を遠位側へ、スロット812の端部に動かす結果、シール器具全体が展開される。当業者には明らかなように、上記ステップを、シール器具100の最適な配置を可能にするように、或る特定の時点で中断して逆転することもできる。
【0042】
図9Cに示されたフローチャート内には器具をロックすることが記載されている。回収コードロック803は第1リニアアクチュエータ802からスナップ結合が解除される。臨床医は、取り付けられたロック解放アクチュエータ808を握ることにより、第2リニアアクチュエータ806を把持し、これをハウジング810の中央に向かって押す。第2リニアアクチュエータ806は任意のサイズ又は形状を有していてよいが、しかしハウジング810の長手方向表面に設けられたスロット1002内部に嵌入するようにサイズ設定されることが好ましい。リニアアクチュエータ806にはスナップ結合によって、ロック解放アクチュエータ808が装着されている。ロック解放アクチュエータ808をリニアアクチュエータ806に留めるには任意の装着手段、例えば接着剤又は成形部分のような構造で十分である。第2リニアアクチュエータ806及びロック解放アクチュエータ808の両方に適した材料は、好適な機械特性を有する任意の材料であってよいが、しかし前述のハンドル構成要素と同様であることが好ましい。ロック解放アクチュエータ808は、使用者が器具を確実に把持するのを可能にするように構成されている。ロック解放アクチュエータ808の側方に設けられた突起によって把持を補助することができる。これら突起は、ロック解放アクチュエータ808と同様の材料から形成されてよく、或いは、摩擦係数が高い材料又はロック解放アクチュエータ808よりもコンプライアントな材料から形成されてもよい。これら突起は、器具の把持をさらに補助するために、上記材料と相俟って、グレーティング(grating)、粗面化、隆起デザイン、又は表面のスタライエーション(striation)によって形成することもできる。ロック解放アクチュエータ808の表面上のこれら特徴は、把持用突起を用いることなしに、把持を補助するために用いることもでき、また、第2リニアアクチュエータ806の側面に直接に取り付けることもできる。スロット1002は、シール器具のロック解放まで、第2リニアアクチュエータ806を最遠位位置に保持するためのストッパを有するように形成されていてよい。図10及び11に、波形区域の形の好ましいストッパが示されているが、しかしストッパは機械的ストッパの任意の形式であってよい。スロット1002は、任意の長さを有していてよいが、しかし近位側に並進運動するのに十分な長さ、つまり第2リニアアクチュエータ806の幅プラス約3.18cmを有していることが好ましい。スロット1002は、第2リニアアクチュエータ806に対応する任意の形状を有していてよい。
【0043】
第2リニアアクチュエータ806の別の実施態様が図13A及び13Bに示されている。ロック解放アクチュエータ808を把持して第2リニアアクチュエータ806を作動させる代わりに、回転可能なロック解放アクチュエータ1300を把持して回転させることにより、ロック解放に影響を与える。回転可能なロック解放アクチュエータ1300は窓1302を含有している。窓1302は、第1リニアアクチュエータ802の前進運動を防止する。回転させられると、ロック解放アクチュエータ1300は、図10に示されたロック解放アクチュエータ808と同じ動作を可能にする。
【0044】
臨床医は、第2リニアアクチュエータ806を把持したら、第2リニアアクチュエータ806を近位側に動かすことができる。この動作は結果として、第3チューブ104、マンドレル制御レバー1000、サイジング挿入体1103、及び第2チューブ108の近位側への運動をもたらす。第2チューブ108は、器具のアイレット間から近位側に移動する。この動作を達成する別の方法は、第2リニアアクチュエータ806の代わりにハンドルの遠位端にねじりメカニズムを提供することである。このねじりメカニズムは、第3チューブ104、マンドレル制御レバー1000、サイジング挿入体1103、及び第2チューブ108の、第2リニアアクチュエータ806と同じ運動を可能にするスロットを備える。
【0045】
一旦ロック解放を達成したら、回収コードロック803をねじることによって、これを第1リニアアクチュエータ802から取り外し、そして回収コード110が搬送システムから解放されるまで引っ張る。回収コード110は、回収コードロック803に一方の端部で取り付けられる。回収コード110は、好適な機械特性を有する任意の材料、例えばKevlar(登録商標)、可撓性金属ワイヤ、及びポリマーなどから製作することができる。回収コード110のための好ましい材料は、ePTFE繊維である。回収コードロック803は、種々様々な形状及びサイズで形成されてよい。可能な回収コードロックは、リニアアクチュエータ802に回収コードが通過するリニアアクチュエータスロットを提供するように構成されてよい。1つの形態において、回収コードは、リニアアクチュエータ802内に配置されたサムホイールの軸内のスロット又は孔にコードを通し、そしてサムホイールをねじることでこれを締め付けることにより固定される。別の形態はスライドロックを提供する。このスライドロックは、ロックとリニアアクチュエータ802との間に摩擦を用いて回収コードを束縛する。好ましい構成は、図11に示された回収コードロックに形成された歯列間に回収コードを固定することである。
【0046】
回収コードロック803を製作するのに適した材料は、ハウジング810及び他のハンドル構成要素を製作するために使用される材料と同様である。前述のように、回収コードロック803は好ましくは、回収コード110を把持する目的で、リニアアクチュエータ802内の刻み目に対応する歯列又は突起を有している。回収コードロック803は、回収コード110が固定されるのを可能にするように、種々の形状で製作することができる。好ましい形態は、回収コード110が手繰り通されて結ばれるのを可能にするように、回収コードロック803を通るアパーチャを含む。回収コードロック803をねじった後、回収コード110が搬送システムから取り外されるまでこれを引っ張る。
【0047】
図9Cに記載されたステップ4の前に、シール器具100は、図9Dに示されたフローチャートに記載されているように回収することができる。回収コードロック803は、第1リニアアクチュエータ802内にスナップ結合することができる。このことは、回収コード110を所定の場所にロックするのに役立つ。次いで臨床医は、第1リニアアクチュエータ802をスロット812の右縁部に動かす。第1リニアアクチュエータ802はスロット812内で右側に動き、ばね1100を押圧し、これに対して、マンドレル制御レバー1000はスライダロッド1102上で回転してハンドルの右側に動く。スライダロッド1102は好ましくは円形断面を有するが、しかし当業者に明らかなように種々様々な断面形状(例えば正方形又は三角形)を許容することができる。スライダロッド1102は、図14A及びBに示されているようなクラウンばね1400の形状を成して形成することもできる。ばねは、リニアアクチュエータの前後並進運動を可能にするように、リニアアクチュエータを通るスロット1402内に挿入することができる。ばね1100の別の実施態様は、図15によって示された第1リニアアクチュエータ802の一体部分1500として成形されたばねであってよい。ばね1100の別の実施態様は図16に示されている。この形態において、ばね1600はハウジング810に取り付けられており、そして主要位置において第1リニアアクチュエータ802を押す。上述のように、ばね又は成形部分として使用するのに適した材料が当業者には明らかである。第1リニアアクチュエータ802は、遠位側ノッチ1104から解放されており、第2チューブ108は移動を防止されている。第1リニアアクチュエータは、臨床医が第1チューブ102を近位側に動かすことにより、近位側に動かされる。この動作は、シール器具100の近位端を並進運動させ、器具100を近位側に伸長させ、そして器具が第3チューブ104内に引き込まれるのを可能にする。
【0048】
或いは、シール器具100は、次のように回収することもできる。回収コードロック802は、第1リニアアクチュエータ802内にスナップ結合することができる。回収ルアー814をねじ外し、ハンドル800から搬送カテーテル104を分離する。次いでハンドル800全体を把持し、そして搬送カテーテル104を所定の場所に保持しながらハンドルを引き抜くことにより、器具を回収することができる。この動作は、器具100が、搬送カテーテル104を通して強制的に引き抜かれるようにする。
【実施例】
【0049】
本発明の範囲を限定することなしに、下記実施例は、本発明の種々様々な実施態様がどのように形成及び/又は使用されることができるかを例示する。
【実施例1】
【0050】
下記構成要素及び組み立てプロセスを用いて、図1と同様のシール器具を製造した。
【0051】
下記特性を有する、延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン材料を得た。
メタノール泡立ち点 6.89KPa(1psi)
質量/面積 2.2グラム/平方メートル
長手方向最大荷重 0.063kg/mm(1.6kg/インチ)
厚さ 0.0076mm(0.0003インチ)
長手方向最大引張り強度 634MPa(92000psi)
【0052】
下記試験方法及び設備を用いて、上述の特性を測定した。メタノール泡立ち点は、直径が25.4mm(1インチ)のフット、ランプ速度1.37KPa/秒(0.2psi/秒)、及びメタノールの液状媒体を有するカスタムメイドの機械を使用して測定した。材料の長さ及び幅は金属ルーラを使用して測定した。質量/面積は、914×127mm(36×5インチ)の試料で、はかり(Model GF-400 Top Loader Balance, ANG, San Jose CA.)を使用して測定した。長手方向最大荷重は10kgのロードセルを備えた材料試験機械(Model 5564, Instron, Grove City, PA)を使用して測定した。ゲージ長は25.4mm(1インチ)であり、クロスヘッド速度は25mm/分であった。試料幅は25.4mm(1インチ)であった。長手方向引張り試験測定値は材料の長さ方向において求めた。フット直径6.35mm(1/4インチ)の厚さゲージ(Mitutoyo Digital Indicator 547-400)を使用して厚さを測定した。長手方向マトリックス引張り強度(MTS)は次の等式を使用して計算し、密度は式:密度=質量/体積を用いて計算した。
【表1】
【0053】
下記特性を有する、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)材料薄層を有する延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを得た。
質量/面積 36.1グラム/平方メートル
最大荷重 長手方向0.496kg/mm(12.6kg/インチ)
最大荷重 横方向0.0118kg/mm(0.3kg/インチ)
厚さ 0.0305mm(0.0012インチ)
【0054】
下記試験方法及び設備を用いて、上述の特性を測定した。試料面積が914×25mm(36x1インチ)試料の精密分析はかり(Model GF-400 Top Loader Balance, ANG, San Jose CA.)を用いて材料を秤量した。材料の長さ及び幅は金属ルーラを使用して測定した。材料厚はフット直径6.35mm(1/4インチ)の厚さゲージ(Mitutoyo Digital Indicator 547-400)を使用して測定した。横方向最大荷重は10kgのロードセルを備えた材料試験機械(Model 5564, Instron, Grove City, PA)を使用して測定した。試料幅は25.4mm(1インチ)、ゲージ長は25.4mm(1インチ)、そしてクロスヘッド速度は25mm/分であった。長手方向最大荷重は200kgのロードセルを備えた材料試験機械(Model 5564, Instron, Grove City, PA)を使用して測定した。試料幅は25.4mm(1インチ)、ゲージ長は25.4mm(1インチ)、そしてクロスヘッド速度は25mm/分であった。長手方向引張り試験測定値は材料の長さ方向において求め、そして横方向引張り試験測定値は長さ方向に対して直交方向において求めた。
【0055】
直径約0.23mmの所定の長さの10%白金ドローン−フィルド型ニチノールワイヤ(Fort Wayne Metals, Fort Wayne, IN)を先ず入手することによって、遠位側アイレットを形成した。このワイヤを「第1ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤの自由端を二重にすることにより、オープンエンドループを形成し、このオープンエンドループをボタン内に挿入した。次いで、ボタンをキー付き中心ピン上に挿入した。ボタンは、キー付き中心ピンを収容するための、中心を通る開口を有するように、そして巻込み治具内に確実に位置するのを可能にする構成要件を有するように成形した。キー付き中心ピン(長軸約0.51mm及び短軸約0.25mm、並びに長さ約10.16mm)を次いで巻込み治具の中心に挿入した。キー付き中心ピンは高強度鋼(Super Cobalt HSS Tool Bit, MSC#56424278, Seco Fagersta)から製作した。鋼を製造業者の指示書に従って1時間にわたって1475°Fで調質した。巻込み治具及びボタンを耐食性工具鋼から自社で製作した。
【0056】
第2長さの同じタイプのドローン−フィルド型ニチノールワイヤを入手し、これを「第5ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤ、第5ワイヤ、及びさらなる3本のワイヤを、ワイヤ端部に錘を取り付けることにより緊張させた。次いで第1ワイヤ及び第5ワイヤを、第1ワイヤの自由端部の周りに1回転完全に巻き付けた。3本のさらなるワイヤを巻込み治具に導入し、5本すべてのワイヤを第1ワイヤの自由端部の周りに、約1.98mmの高さまで巻き付けた。
【0057】
次いで、5本のワイヤを分離して巻込み治具の周縁に設けられた半径方向溝内にこれらを固定することにより、遠位側ディスクを形成した。半径は15mmの寸法で形成した。それぞれのワイヤは遠位側ディスクの1つの花弁部を形成した。花弁部の曲率半径は、ワイヤ内の曲げ鋭角を最小限に抑えるために最大化した。
【0058】
ワイヤを1つにまとめ、そして第1ワイヤの自由端部及びキー付き中心ピンの周りにこれらを約1.98mmの高さまで巻き付けることにより、中央アイレットを形成した。次いでこれらワイヤを分離し、巻込み治具の周縁に設けられた半径方向溝内に固定して、半径15mmの近位側ディスクを形成した。
【0059】
再び5本のワイヤを1つにまとめ、そして第1ワイヤの自由端部及びキー付き中心ピンの周りにこれらを約1.98mmの高さまで巻き付けることにより、近位側アイレットを形成した。次いで5本のワイヤを分離し、そしてステンレス鋼板をワイヤの上側に設置し、プレートをねじでロックすることによって固定した。次いで、第1ワイヤの自由端を、直径約3.18mmのステンレス鋼ピンの周りに1回転だけ巻き付け、そして他の5本のワイヤと同様に固定した。
【0060】
シール器具を含む治具を次いで安定化固定具から取り外し、そして炉(Blue M SPX Electric Forced Air Convection Oven)内に入れ、そしてワイヤを当技術分野において広く知られているように熱的に形状セットした。器具及び治具を次いで水で急冷した。固定されたワイヤを固定板から解放し、器具を冷却して治具及びキー付き中心ピンから取り出した。次いで、器具を、偏平PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)片上に設置し、そして遠位側アイレットの外径まで手でトリミングした。ロックループを、完全な1回転をちょうど超える点まで手でトリミングし、そして近位側アイレット及び中央アイレットを通して引張った。
【0061】
器具をPEEKマンドレルから、楕円横断面を有するキー付きステンレス鋼プロセスマンドレル上に押し出した。このマンドレルは、近位側アイレットと中央アイレットとの間に45°時計回りねじりを有し、そして中央アイレットと遠位側アイレットとの間に第2の45°時計回りねじりを有するように、楕円横断面の偏平ステンレス鋼ワイヤ(Ft. Wayne Metals, Fort Wayne, IN)から製造した。
【0062】
次いで、プロセスマンドレル及び器具を、FEP粉体コーター(C-30, Electrostatic Technology, Inc., Bradford, CN)内に配置された安定化固定具に設置し、完全に塗布されるまで処理した。過剰なFEP粉体を器具から除去した。FEPはロックループ、プロセスマンドレル及びバンパからバキューミングした。プロセスマンドレル及び器具を安定化固定具から取り出し、炉内に入れ、そして当技術分野において広く知られているようにFEP塗膜を硬化させるようにベーキングした。
【0063】
中空コアフィルムマンドレル(35.99mm外径、76.2cm長のステンレス鋼)を入手した。スリット幅22.22mmの膨張延伸ポリテトラフルオロエチレン材料を入手し、スパイラルラッピング機械に装着した。機械は、任意の所望の角度、張力及び速度でPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)材料をラッピングするように自社で製作した。マンドレルをラッピング機械上に装着し、そして中空コアマンドレルの周面に3回ラッピングした。次いで材料をマンドレルの長さに対応して約8°の角度でマンドレルにラッピングした。ラッピング方向を逆転して、同じ角度で材料をオーバーラッピングした。継ぎ目をオフセットしながら、第3及び第4の層を同様にラッピングした。マンドレルをラッピング機械から取り出し、炉内に挿入し、そして45分間にわたって370℃でベーキングした。ラッピングされたマンドレルを炉から取り出し、そして室温まで冷やしておいた。結果として得られたPTFEチューブをマンドレルから取り出した。
【0064】
次いでPTFEチューブを約140mmに切断し、そして手で所望の長さ155mmまで延伸させた。次いでPTFEチューブをフレームを覆うように引張った。次いでPTFEチューブを中央アイレット上にクリンピングし、次いで遠位側及び近位側のアイレット上にクリンピングした。
【0065】
次いで、中央アイレットから始めてアイレットの周りに4回、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)薄層を含む延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンをラッピングした。ラッピングされたアイレットをはんだごてで所定の場所に留めた。次いでPTFEチューブを320℃で3分間にわたってヒートセットし、そして近位側及び遠位側のエアレットの最外点までトリミングした。器具をマンドレルから取り出した。
【実施例2】
【0066】
下記構成要素及び組み立てプロセスを用いて、図6と同様のシール器具を製造した。
【0067】
実施例1に記載されているのと同様の延伸膨張ポリテトラフルオロエチレン材料、及びFEP(フッ素化エチレンプロピレン)材料薄層を有する延伸膨張ポリテトラフルオロエチレンを得た。
【0068】
直径約0.23mmの所定の長さの10%白金ドローン−フィルド型ニチノールワイヤ(Fort Wayne Metals, Fort Wayne, IN)を先ず入手することによって、遠位側アイレットを形成した。このワイヤを「第1ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤの自由端を二重にすることにより、オープンエンドループを形成し、このオープンエンドループをボタン内に挿入した。次いで、ボタンをキー付き中心ピン上に挿入した。ボタンは、キー付き中心ピンを収容するための、中心を通る開口を有するように、そして巻込み治具内に確実に位置するのを可能にする構成要件を有するように成形した。キー付き中心ピン(長軸約5.79mm及び短軸約0.25mm、並びに長さ約10.16mm)を次いで巻込み治具の中心に挿入した。キー付き中心ピンは高強度鋼(Super Cobalt HSS Tool Bit, MSC#56424278, Seco Fagersta)から製作した。巻込み治具及びボタンを耐食性工具鋼から自社で製作した。
【0069】
第2長さの同じタイプのドローン−フィルド型ニチノールワイヤを入手し、これを「第5ワイヤ」とラベル付けした。第1ワイヤ、第5ワイヤ、及びさらなる3本のワイヤを、ワイヤ端部に錘を取り付けることにより緊張させた。次いで第1ワイヤ及び第5ワイヤを、第1ワイヤの自由端部の周りに1回転完全に巻き付けた。3本のさらなるワイヤを巻込み治具に導入し、5本すべてのワイヤを第1ワイヤの自由端部の周りに、約1.98mmの高さまで巻き付けた。
【0070】
次いで、5本のワイヤを分離して巻込み治具の周縁に設けられた半径方向溝内にこれらを固定することにより、器具を形成した。半径は15mmの寸法で形成した。それぞれのワイヤは巻込み治具の周りに完全に1回転させた。
【0071】
再び5本のワイヤを1つにまとめ、そして第1ワイヤの自由端部及びキー付き中心ピンの周りにこれらを約1.981mmの高さまで巻き付けることにより、近位側アイレットを形成した。次いで5本のワイヤを分離し、そしてステンレス鋼板をワイヤの上側に設置し、プレートをねじでロックすることによって固定した。次いで、第1ワイヤの自由端を、直径約3.18mmのステンレス鋼ピンの周りに1回転だけ巻き付け、そして他の5本のワイヤと同様に固定した。
【0072】
シール器具を含む治具を次いで安定化固定具から取り外し、そして炉(Blue M SPX Electric Forced Air Convection Oven)内に入れ、そしてワイヤを当技術分野において広く知られているように熱的に形状セットした。器具及び治具を次いで水で急冷した。固定されたワイヤを固定板から解放し、器具を冷却して治具及びキー付き中心ピンから取り出した。ロックループを、完全な1回転をちょうど超える点まで手でトリミングし、そして近位側アイレット及び中央アイレットを通して引張った。
【0073】
器具をPEEKマンドレルから、楕円横断面を有するキー付きステンレス鋼トランスファーマンドレル上に押し出した。このマンドレルは、楕円横断面の偏平ステンレス鋼ワイヤ(Ft. Wayne Metals, Fort Wayne, IN)から製造した。次いで、器具をトランスファーマンドレルの一方の端部から部分的に取り出した。取り出された器具の端部をほぼ180°時計回りにねじり、そしてトランスファーマンドレルに再配置した。器具及びトランスファーマンドレルを炉(Blue M SPX Electric Forced Air Convection Oven)内に入れ、そしてワイヤを当業者に広く知られているように熱的に形状セットした。
【0074】
次いで、トランスファーマンドレル及び器具を、FEP粉体コーター(C-30, Electrostatic Technology, Inc., Bradford, CN)内に配置された安定化固定具に設置し、完全に塗布されるまで処理した。過剰なFEP粉体を除去した。FEPはロックループ、プロセスマンドレル及びバンパからバキューミングした。次いでトランスファーマンドレル及び器具を安定化固定具から取り出し、炉内に入れ、そして当技術分野において広く知られているようにFEP塗膜を硬化させるようにベーキングした。
【0075】
中空コアフィルムマンドレル(35.99mm外径、76.2cm長のステンレス鋼)を入手した。スリット幅22.24mmのePTFE材料を入手し、スパイラルラッピング機械に装着した。機械は、任意の所望の角度、張力及び速度でPTFEフィルムをラッピングするように自社で製作した。マンドレルをラッピング機械上に装着し、そして中空コアマンドレルの周面に3回ラッピングした。次いで材料をマンドレルの長さに対応して約8°の角度でマンドレルにラッピングした。ラッピング方向を逆転して、同じ角度で材料をオーバーラッピングした。継ぎ目をオフセットしながら、第3及び第4の層を同様にラッピングした。マンドレルをラッピング機械から取り出し、炉内に挿入し、そして45分間にわたって370℃でベーキングした。ラッピングされたマンドレルを炉から取り出し、そして室温まで冷やしておいた。結果として得られたePTFEチューブをマンドレルから取り出した。
【0076】
次いでePTFEチューブを約140mmに切断し、そして手で所望の長さ155mmまで延伸させた。次いでePTFEチューブをフレームを覆うように引張った。次いでePTFEチューブを中央アイレット上にクリンピングし、次いで遠位側及び近位側のアイレット上にクリンピングした。次いで、アイレットの周りに4回、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)薄層を含むePTFEをラッピングした。ラッピングされたアイレットをはんだごてで所定の場所に留めた。次いでePTFEチューブを320℃で3分間にわたってヒートセットし、そして近位側及び遠位側のエアレットの最外点までトリミングした。次いで器具をマンドレルから取り出した。
【実施例3】
【0077】
下記構成要素及び組み立てプロセスを用いて、図8と同様のシール器具を製造した。
【0078】
ハンドル組立体のための構成要素を、射出成形法を用いて製作した。Lustran(登録商標) 348を使用してContour Plastics (Baldwin, WI)によって部品を製作した。この材料は、医療器具において使用するのに適しており、引張り強度48.2MPa及び引張り係数2.62GPaが公表されている。この射出成形法及びLustran(登録商標)348を用いて9つの部品を製作した。部品は、第2リニアアクチュエータ、フラッシングガスケット保持器、第1リニアアクチュエータ、回収コードロック、マンドレル制御レバー、左ボディハウジング、サイジング挿入体、右ボディハウジング、及びロック解放アクチュエータを含んだ。
【0079】
ハンドルの組み立てに必要となる他の材料は、購入品であった。当業者に広く知られているレイアップ法で形成されるカテーテルチューブを、内径0.048mm及び外径0.33mmであり、また遠位先端の端部近くに白金イリジウムマーカーバンドが配置されるように注文したTeleflex medical, Jaffrey, NH)。カテーテルチューブの主ボディは、PTFEライナー及びステンレス鋼ブレイズ(65PPI)を有するPebax(登録商標)7233チューブであり、またカテーテルチューブの最遠位20.32mmは、6333 Pebax(登録商標)(内径0.027mm及び外径0.033mm)及び遠位端の湾曲(半径39.98mm)から成った。レーザーによって掲載されたガイドワイヤポートをマーカーバンドの近位側のカテーテルチューブ内に配置した。シリコーンから形成されたフラッシングガスケット又はU字カップ型ガスケット(22.99mm深さ、内径2.89mmから1.85mmへテーパ、内径6.71から7.75mmへテーパ)をApple Rubber of Lancaster, NYから調達した。外径3.18mmの雌ルアーコネクタを備えた約152mm(6インチ)の可撓性PVC(ポリ塩化ビニル)チューブを有するフラッシングポート(Merit Medical, South Jordan, UT)を自社在庫から支給した。シアノアクリレート瞬間接着剤を自社在庫から支給した。ステンレス鋼ハイポチューブをSmall Parts, Inc.から注文した(外径1.45mm、内径1.30mm、長さ30.48cm)から注文した。スライダロッド(PTFE被覆ステンレス鋼ハイポチューブ、外径3.18mm、内径1.65mm、長さ33.02cm)をApplied Plasticsから調達した。制御ばね(PTFE被覆ステンレス鋼板ばね、厚さ0.10mm、副フランジ長5.33mm、主フランジ長10.11mm、全長15.88mm)をIncodema, Ithaca, NYから注文した。
【0080】
構成要素の残りは、自社在庫から支給するか又は自社で製造した。20%の硫酸バリウムを含むPebax(登録商標)7233からすべての三重管腔チューブを製造した。両三重管腔チューブの外径O.D.は0.25mmであった。一方の三重管腔チューブは、2つの内径I.D.が0.035mmであり、また1つの内径が0.15mmである円形管腔であった。一方の三重管腔チューブは、2つの内径I.D.が0.036mmであり、また1つの内径が0.127×0.07mmである楕円形断面を有する1つの管腔であった。ステンレス鋼PTFE被覆(ポリテトラフルオロエチレン)プロセスマンドレルを自社で製造した。1つのプロセスマンドレルは円形(外径0.16mm)から楕円形(外径0.14×0.07mm)へ移行する断面形状を有した。PTFE被覆ステンレス鋼ワイヤを自社在庫から調達した(外径0.03mm)。標準的なルアー取り付け具を自社在庫から入手した。外径1.27×0.69mmの楕円形断面を有するPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)第2チューブ押し出し物を自社在庫から入手した。
【0081】
第1チューブを次のように形成した。円形管腔を有する一方の三重管腔押し出しチューブを入手した。別の三重管腔押し出しチューブを、1つの管腔が楕円断面を有する状態で入手した。円形(外径1.52mm)から楕円形(外径1.39×0.81mm)へ移行する断面形状を有するステンレス鋼プロセスマンドレルも入手した。両押し出しチューブをマンドレルに、マンドレルが両チューブより大きい管腔を通って挿入された状態で装着した。PTFEでカバーされた2本の小さなステンレス鋼ワイヤを両押し出しチューブのより小さな管腔を通して挿入した。マンドレル及びチューブをRF(高周波)ダイ(内径2.51mm、長さ4.45mm、D2工具鋼から製作)内に挿入した。2つのカテーテルの接合部を、RFダイの中心に配置した。RFダイ及びマンドレルを、RF溶接機(Hot Shot I, Ameritherm Inc., Scottsville, NY)のRFコイルの真ん中に配置し、当業者に広く知られているように溶接した。構成要素がリフローしたら、押し出しチューブの各端部に圧力を加えることにより、チューブの接合部を溶融した。次いでダイを圧縮空気で噴霧することによりダイを冷却し、そしてPebax(登録商標)を硬化させた。押し出しチューブ及びダイをRF機械から取り出し、そして押し出しチューブをダイから取り出した。プロセスマンドレル及びワイヤを押し出しチューブの管腔から取り出した。
【0082】
第2チューブに潤滑塗膜を施すことができる。シリコーン離型噴霧剤(Nix Stix X-9032A, Dwight products, Inc., Lyndhurst NJ)を第2チューブの遠位側約30cmに噴霧し、そしてヒュームフード下で周囲温度で乾燥させておくことができる。
【0083】
第3チューブサブアセンブリを次のように形成した。カテーテルチューブを、カテーテルチューブの近位端からほぼ6.35cmのところで真っ直ぐのカミソリで両断した。雄及び雌のインラインルアーコネクタ(Qosina, Edgewood, NY)を入手し、内径3.45mmまで穿孔した。UV(紫外線)硬化型接着剤(Locite 3041)を、カテーテルチューブの両断された端部に塗布し、穿孔されたルアー取り付け具を取り付けた。接着剤を製造業者の指示書に従って硬化させ、そしてルアー取り付け具同士をねじ結合した。
【0084】
第2リニアアクチュエータのサブアセンブリを次のように形成した。第2リニアアクチュエータ、フラッシングポート、フラッシングガスケット保持器、及びシリコーンフラッシングガスケットを入手した。フラッシングガスケットを第2リニアアクチュエータの背後に、フラッシングガスケットのU字形部分が遠位側に面した状態で挿入した。フラッシングガスケット保持器を、第2リニアアクチュエータの内側の上部に被せた。ガスケット保持器の周りにシアノアクリレート接着剤を塗布することにより、ガスケット保持器を所定の場所に保持した。フラッシングポートを、第2リニアアクチュエータのアパーチャ内に配置し、そしてUV硬化型接着剤を塗布して製造業者の指示書に従って硬化させた。
【0085】
第1チューブを入手し、そして端部から2.54cmバンドの円形カテーテル内径区分の外面にシアノアクリレートを塗布した。次いで、カテーテルが制御シャトルの背後と整合するようになるまで、カテーテルを制御シャトルの遠位端に挿入した。2つの小さな管腔が水平方向に、そして丸い管腔の上側部分に位置するように、カテーテルを配向する。回収コードロックを制御シャトル上にスナップ結合した。
【0086】
第2チューブサブアセンブリを次のように製造した。第2チューブ押出し物内に、直径0.033mmのニチノールワイヤの102mm(4インチ)片を挿入した。ワイヤ挿入体を含む第2チューブ押し出し物を、ハイポチューブ内に挿入した。ハイポチューブの遠位端を手で3回クリンピングした。
【0087】
第1チューブの遠位端をマンドレル制御レバーの上側に手繰り通し、そしてマンドレル制御レバーの遠位端に設けられた上側アパーチャに手繰り通した。第2チューブの遠位端を制御カテーテルの近位端内に手繰り込んだ。ハイポチューブの約102mm(約4インチ)が制御カテーテルの端部から突出するまで、第2チューブを第1チューブ内に押し込んだ。ハイポチューブの近位端に約12.7mm区分にわたって、シアノアクリレート接着剤を塗布した。マンドレル制御レバーの背後と整合するまで、マンドレル制御レバーの近位端の上側アパーチャ内に、この区分を挿入した。次いで、第1チューブの遠位端を、第2リニアアクチュエータの近位端内に手繰り込んだ。第2リニアアクチュエータを、制御カテーテル上の最も後ろ側の位置に動かした。
【0088】
次いで、サイジング挿入体を左ボディシェル内に嵌め込んだ。サイジング挿入体内の溝が左シェルの尾根部に被さるように、サイジング挿入体を配向した。カテーテルサブアセンブリを左ボディシェル内に入れることにより、マンドレル制御レバーがサイジング挿入体内に嵌入し、そして第2制御アクチュエータが左ボディシェルの遠位端のスロット内に嵌入するようにした。サイジング挿入体、マンドレル制御レバー、制御シャトル、及び第2リニアアクチュエータの開口を通してスライダロッドを挿入した。スライダロッドを、左ボディシェルの2つの支持体上に載置させた。制御ばねを右ボディシェル内に挿入することにより、これが対向する歯列内に嵌入するようにした。右ボディシェルを次いで左ボディシェル内に挿入し、そしてこれら2つを互いにスナップ結合した。左ボディシェルに設けられた利用可能なアパーチャ内に2つのねじ(#4-24 x 1/2インチ、ねじ山形成鍋頭)を挿入し、これらねじを締め付けた。ロック解放アクチュエータを、これが確実に取り付けられた状態を保つように一滴のシアノアクリレート接着剤とともに、第2リニアアクチュエータの右タブの所定の場所にスナップ結合した。
【0089】
第2リニアアクチュエータ、制御シャトル、及びマンドレル制御レバーをこれらの最前方位置に動かした。第2リニアアクチュエータを引き戻し、次いでその前方位置に戻した。第1チューブの遠位端を、第3チューブの先端から測定して1.27mmのところまで、カミソリの刃を用いて手によってトリミングした。サイジング挿入体を前方に向かって押した。制御カテーテルの最遠位端から測定して約0.76mmの長さまで、第2チューブを、カミソリの刃を用いて手によってトリミングした。約102mm(約4インチ)長のニチノールワイヤ片(0.30mm直径)を入手した。第2チューブの先端内に、細長いアプリケータチップを用いて、シアノアクリレート接着剤を塗布した。ニチノールワイヤをロッキング部材の先端内に挿入し、そして別のワイヤ片を使用して、第2チューブ内にニチノールワイヤを約2mmだけ挿入した。シアノアクリレート接着剤を硬化させておいた。
【0090】
第2リニアアクチュエータを引き戻し、そしてスロットを制御カテーテルから打ち抜いた。スロットの幅は、カテーテルの楕円形管腔の小軸とほぼ同じ幅であった。カミソリを用いてスロットを約19.05mmの最終長さに削いだ。次いで、第2リニアアクチュエータ及びサイジング挿入体を前方位置に動かした。
【0091】
ほぼ3.05m長さの回収コード(外径0.25mmのPTFE繊維)と、1.52m(外径0.15mm)のニチノールワイヤとを入手した。第1チューブの0.04mm管腔のうちの1つの管腔内にニチノールワイヤを挿入し、そしてこれがハンドル内に現れるまで押し通す。ピンセットを使用して、ワイヤを把持し、ハンドル内のスロットからこれを引き出す。ワイヤの約76.2mmを制御カテーテルの遠位端から突出させる。制御カテーテルの遠位端で同じ管腔内に自由端部を挿入することにより、ワイヤにループを形成した。次いで、回収コードの約76.2mmを、結果として得られるループに手繰り通した。回収コードがハンドル内に突入するまで、ニチノールワイヤを、カテーテルを通して引っ張った。
【0092】
シール器具を入手した。裁縫用に一般に使用されているタイプの針を回収コードと一緒に手繰り込み、そして針を、PTFEバッグと対向するロックループを通るように、そしてシール器具の近位側アイレットの管腔を通るように挿入した。次いでニチノールワイヤを、第1チューブの空いたままの0.04mm管腔に、ワイヤのループ端部が遠位側を指した状態で手繰り通した。針を回収コードから取り出し、コードをニチノールワイヤのループに手繰り通した。次いで、回収コードを前述のようにカテーテルを通して引っ張った。
【0093】
制御シャトルを約12.7mmだけ後退させた。次いで、第2チューブを、器具のアイレットに手繰り通した。ピンセットを使用して回収コードを把持し、そしてハンドルの外側に引き込んだ。小さな直径のニチノールワイヤの一部にループを形成した。制御シャトルの上側の遠位部分に設けられたアパーチャを通して、ループを挿入した。回収コードをこのループに手繰り通し、そして制御シャトルの遠位部分のアパーチャを通して引っ張った。回収コードロックを制御シャトルから取り出し、回収コードの一方の自由端部を、回収コードロックの開口を通して底部から挿入した。コードに4つの止め結び(overhand knots)を形成した。過剰のコードを手でトリミングし、そして回収コードロックを制御シャトルに戻した。
【0094】
残りの自由な回収コードを、すべての弛みがなくなるまで引っ張った。回収コードの残りの自由端部を、制御シャトルの上側の前面に設けられた開口内に挿入した。回収コードを、教えられるまで引張り、そして回収コードロックをスナップ状に閉鎖した。コードを手で約20.32cmまでトリミングした。
【0095】
シャープな先端を備えたはんだごてを入手し、これを約500°Fまで加熱することにより、第2チューブをフレア状に広げた。直径がほぼ1.39mmであるフレアが形成されるまで、こての先端を第2チューブ内に挿入した。器具のロックループを冷却した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール器具を展開するためのハンドルであって、
所定の長さを備えたスロットを有するハウジングと、
該スロット内部に配置された第1リニアアクチュエータとを具備し、
前記第1リニアアクチュエータは、前記スロット長さに沿って当該第1リニアアクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる、ハンドル。
【請求項2】
前記少なくとも3つの別個の構成要素は、シール器具と、第1チューブと、第2チューブとを含む、請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記第1チューブと第2チューブとが、該ハンドルの遠位端においてアパーチャを通って該ハンドル内に延びている、請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記第2リニアアクチュエータをさらに具備する、請求項1に記載のハンドル。
【請求項5】
前記第2アクチュエータは、少なくとも2つの構成要素を作動させることができる、請求項4に記載のハンドル。
【請求項6】
前記少なくとも2つの構成要素は、第3チューブと該第1チューブとを含む、請求項5に記載のハンドル。
【請求項7】
カテーテルであって、
所定の長さを備えたスロットを有するハウジングを有するハンドルと、
前記スロット内部に配置された第1リニアアクチュエータであって、前記スロットの長さに沿って当該アクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる第1リニアアクチュエータと、
複数のワイヤから形成された拡張可能なフレームを具備するシール器具であって、該ワイヤが前記フレームの近位端から遠位端へ延びているシール器具と、
前記拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的にカプセル化する該シール部材とを具備するカテーテル。
【請求項8】
前記少なくとも3つの別個の構成要素は、前記シール器具と、第1チューブと、第2チューブとを含む、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記ハンドルは第2アクチュエータをさらに具備する、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記シール器具が展開されると、前記第2アクチュエータは、前記シール器具を解放することができる、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項1】
シール器具を展開するためのハンドルであって、
所定の長さを備えたスロットを有するハウジングと、
該スロット内部に配置された第1リニアアクチュエータとを具備し、
前記第1リニアアクチュエータは、前記スロット長さに沿って当該第1リニアアクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる、ハンドル。
【請求項2】
前記少なくとも3つの別個の構成要素は、シール器具と、第1チューブと、第2チューブとを含む、請求項1に記載のハンドル。
【請求項3】
前記第1チューブと第2チューブとが、該ハンドルの遠位端においてアパーチャを通って該ハンドル内に延びている、請求項2に記載のハンドル。
【請求項4】
前記第2リニアアクチュエータをさらに具備する、請求項1に記載のハンドル。
【請求項5】
前記第2アクチュエータは、少なくとも2つの構成要素を作動させることができる、請求項4に記載のハンドル。
【請求項6】
前記少なくとも2つの構成要素は、第3チューブと該第1チューブとを含む、請求項5に記載のハンドル。
【請求項7】
カテーテルであって、
所定の長さを備えたスロットを有するハウジングを有するハンドルと、
前記スロット内部に配置された第1リニアアクチュエータであって、前記スロットの長さに沿って当該アクチュエータを前進及び後退させることによって、少なくとも3つの別個の構成要素を独立して前進及び後退させることができる第1リニアアクチュエータと、
複数のワイヤから形成された拡張可能なフレームを具備するシール器具であって、該ワイヤが前記フレームの近位端から遠位端へ延びているシール器具と、
前記拡張可能なワイヤフレームを少なくとも部分的にカプセル化する該シール部材とを具備するカテーテル。
【請求項8】
前記少なくとも3つの別個の構成要素は、前記シール器具と、第1チューブと、第2チューブとを含む、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記ハンドルは第2アクチュエータをさらに具備する、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記シール器具が展開されると、前記第2アクチュエータは、前記シール器具を解放することができる、請求項9に記載のカテーテル。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2012−530587(P2012−530587A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517630(P2012−517630)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/039358
【国際公開番号】WO2010/151510
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/039358
【国際公開番号】WO2010/151510
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]