説明

シール機構

【課題】秤量センサまたは秤機構へ大きな負荷を与えずに高いシール性を有するシール機構の提供。
【解決手段】
本発明は、移動している昇降部材に接続された接続部材が環状間隙をシールするかまたは開放する秤用のシール機構であって、開放された環状間隙に対して、接続部材および昇降部材が秤の秤量センサへの付勢荷重を形成するシール機構に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による秤用のシール機構に関する。
【背景技術】
【0002】
現時点の最新技術(欧州特許第1146 322 B1号)より、秤用のシールが知られている。これらは、通常は洗浄を目的として秤筺体の一時的なシールのために用いられる。ここでは、例えば可膨張式のシールが秤筺体から突出する荷重受けと該筺体自体の間で起動され、その結果、洗浄剤の浸透を防止するために、荷重受けと筺体との間の(環状の)間隙が閉じられる。非起動状態では、シールは荷重受けを解除し、その結果、該荷重受けは、当該受けへと導かれた重りによる力を筺体内に配置される秤量センサへと、力の分路を伴うことなく転送することができ、および、該荷重受けは例えば歪みゲージを有し、または、電磁力補償の原理にしたがって運転する。被供給媒体(圧縮空気等)でシールを装填することは構造的に複雑かつ高価である。
【0003】
国際特許公開第2007/050145号より、秤用のシールが公知であり、このシールでは秤筺体に相対して移動させることが可能なシール部材を、荷重受けの上端に配置されたフランジに抗するバネ荷重のもとで移動させることができる。このフランジとの接触によって、荷重受けと筺体の間の環状間隙が周囲からシールされている。シールを開放するために、移動部材は、バネ力に抗する圧力によって下げられ、荷重受けが移動部材の秤量機能を支持するために解除される。
【0004】
不利なことに、このシールのために、荷重受けには、秤量センサへと直接導入される(一部状況のもとでは相当大きな)バネ力が負荷される。対応する機構もそれに応じて負荷されるので、秤量センサまたは秤の個々の構成要素または部位の過負荷を起こしうる。好ましくないクリープ効果が結果として生じうる。また、センサへと導かれたこの力の電磁補償は望ましくないこともあるし、および、一部の状況では高い補償電流を必要とすることもある。
【0005】
とりわけ、シール効果はシール面同志の接触圧に依存しており、その結果、高いシール効果は、秤量センサまたは秤機構への高い負荷を必然的に伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1146 322 B1号公報
【特許文献2】国際特許公開第2007/050145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、前述の欠点が取り除かれた秤筺体の確実なシールのためのシール機構を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載のシール機構によって達成される。
【0009】
本発明は、秤量センサを特別に良好に保護するシール効果は、昇降部材の助けを受けて生成可能であるという知識に基づいている。昇降部材は、一動作位置において、筺体と相互に作用してシールを形成する一方で、該昇降部材は非シール休止位置にある荷重受けにのみ接続されている。このことによって、シール効果を達成するための接触力が、昇降部材と筺体の構成要素との間に存在しうるが、この接触力が秤量センサまたは当該機構に同時に作用することを伴わないという利点を作り出す。
【0010】
シール対象となるとともに、典型的には荷重受けを囲繞する環状間隙は、有利には可撓性構造を持つ接続部材によって閉じられる。この接続部材は、一端が恒久的に(しかし任意かつ着脱可能に)荷重受け、または、この受けに着座する荷重部材に接続されている。一変形例によると、接続部材の第二の端部は同様に恒久的に(しかし任意かつ着脱可能に)、および、実際には、直接的または間接的な摩擦接続で昇降部材に接続することができる。
【0011】
昇降部材が上向きに、例えば、荷重受けの上端において下方へとまたは下方から垂直方向に、板状の荷重部材の方向に移動すると、次いで、接続部材の二つの端部は互いに向かって移動させられ、および、接続部材と筺体の間に環状間隙が形成される。好ましくはこの場合には、昇降部材は荷重部材にのみ接続されており、予負荷として秤量センサに作用する。この状態では、秤はいつでも動作可能な状態である。
【0012】
対照的に、昇降部材が反対向きに下方に移動する場合には、次いで可撓性接続部材は垂直方向下向きに伸長し、最終的には、昇降部材の断面が、筺体上またはこの筺体に接続された構成要素上に構成されたシール面と相互に作用する。したがって環状間隙は閉じられ、および秤の内部は周辺からシールされる。
【0013】
異なる変形例は、接続部材は、その第二の端部(有利には下端)では昇降部材と恒久的に接続されていないことを提供する。その代わりに動作位置へ向かう経路上では、昇降部材もまた、接続部材のこの第二の端部と最初に接触し、当該接続部材とともに移動するかまたは引き倒すことができる。昇降部材の動きの反対方向には、すなわち、動作位置から休止位置へ向かう経路上において、昇降部材と接続部材の間の接触が再び分離される一方で、昇降部材は適切な手段によって休止位置へと押圧される。こうして、接続手段の下端において、動作位置へと向かう経路上において昇降部材によって接触されるかまたは荷重をかけられる、例えば、横向きに突出するフランジ状エプロンが、形成され、およびこれは、実際のところ有利には、周辺部全体にわたって形成されうる。このような構造は有利には、シールシステムの組立および保守を簡便化する。
【0014】
本発明によると、昇降部材が筺体上のシール面に作用する接触力は、概ね任意に選択することができる。シール面とシール面の間で作用するこの力は、秤量センサには作用しないで保たれたままである。昇降部材の閉鎖(動作)位置では、このセンサが、昇降部材のシール面との接触のために、荷重部材または荷重受けから、または、昇降部材の弛緩位置から離れて伸長する際には、このセンサには接続部材へと内向きに向かう引張力のみが負荷される。この付勢力は非常に低く選択することができる。対照的に、昇降部材自体は筺体上の動作位置に休止しており、および、ひいては秤量センサを負荷していない。
【0015】
(典型的には、荷重受けは垂直方向上向きに秤筺体から延出し、および、その自由端側には、被秤量物を支持するための荷重部材がある。上記の記載はこの変形例に合わせて行われてきた。それにもかかわらず、荷重受けは、反対方向に下向きにも、または、筺体から横方向にさえも突出しうる。これに応じて本発明の構造的な構成は、ある一つの特別な変形例に適合されているが、および、それに限定されるものではない。)
【0016】
本発明の核となる一概念は、昇降部材を少なくとも休止位置において、荷重部材または荷重受けに接続することである。最新技術とは対照的に、荷重受けに相対して移動可能なシール機構の構成要素を代表する昇降部材は、それにもかかわらず、測定に関しては、通常の秤量動作中の付勢荷重としてもみなされる。しかしながら本発明によると、シーリングを達成するのに必要なシール力は、前に記載した不利な方法でセンサを負荷しすぎることなく、昇降部材の秤量センサとの接続とは独立して、概ね任意に選択することができる。
【0017】
(シールが開放される、秤がいつでも使用可能な状態にある)休止位置において昇降部材を解除する適切な起動機構は、(シールが閉じられ、秤がいつでも使用可能な状態にない)動作位置においてシールを形成することを目的として、適切な負荷力でシール効果を達成するため昇降部材を移動させることができる。
【0018】
すでに述べたように、筺体側のシール面は筺体上に直接、または、有利には筺体に剛性的に接続された構成要素上に形成されうる。この思想を継続すると、このような構成要素はラビリンスシールの一部となりうる。例えば、荷重受けを囲繞し、および、秤筺体上の筺体開口の回りに配置される環状部材は、ラビリンスシールの一部となりうる。この環状部材上の上向きの垂直端面もまた、昇降部材をその動作位置へ向けてシール力で負荷するシール面にもなりうる。適切な密封手段(Oリング等)が、上向きの環状部材の端面内に、または、昇降部材の反対側のシール面の部位内にも配置されうる。あるシール面が他方のシール面の上に直接搭載されているものもまた考えられる。
【0019】
例えば、昇降部材を部分的に囲繞する接続部材の場合は、この接続部材はまた(昇降部材の代わりに)シール面を形成しうる。この接続部材は次いで、例えば、蛇腹がその下側端で、昇降部材の上にある上側フランジを囲繞した場合、または、下側フランジと結合した場合にもあてはまる。次いで動作位置において、蛇腹の下端の下方を向く側は、筐体が固定されたシール面の上に存在する。筺体が固定されたシール面と相互に作用するシール面を側面に有する能動部材を備えた昇降部材および/または接続部材の恒久的または脱着可能な連結もまた考えられうる。
【0020】
本発明の有利な一実施形態は、接続部材がシール膜の形態で構成されていることを提供する。このことは、同じように機能的に動作する蛇腹ないし部材を含むと理解されるべきである。本発明によると、この部材は、第一の端部が恒久的に荷重部材上または荷重受け上に接して、配置されるべきである。シール膜の第一の端部に対向する第二の端部はここでは、第一の端部に相対して柔軟に移動可能であるべきである。本発明によると、昇降部材の休止位置から動作位置への、およびその逆の移動を、少なくとも部分的に追従するために、当該第二端は、昇降部材と連結されているかまたは連結されることが可能である。これら移動によって、シール膜は拡張ないし扇形に展開されるか、または、圧縮ないしともに押圧される。このように、シールされるべき環状間隙は、覆われるかまたは開放されうる。この構造によると、当該移動は、間隙を覆うかまたは開放するために、昇降部材、シール膜、またはその両方を、シールされるべき間隙全体にわたって誘導する。シール膜は、覆われた環状間隙をその高さ全体にわたってとりわけ伸長されたかまたは扇形に展開された状態で確実にシールする限り、非常に軽い構造を持ちうる。
【0021】
不正確な測定結果を防止するために、昇降部材は休止位置において、荷重部材または荷重受けに付勢荷重として、力の分路を伴わずに取り付けられる。このように、(可撓性接続部材とまさに同じように)昇降部材もまた秤量動作中に秤量され、荷重受けまたは荷重部材の上から、幾分自由に「吊り下がる」。
【0022】
例えば蛇腹として構成された接続部材は、さらに、その動作位置において、筺体側のシール面と、昇降部材の関連付けられたシール面との間の起こりうる斜め位置の補償を許容する。このような斜め位置は、その可撓性を理由に簡単に補償することが可能であり、その結果、昇降部材はその動作位置において筺体側のシール面の実際の空間位置に適合することができる。可撓性の接続部材の第二の(下側)端部は、少なくとも動作位置において、昇降部材に接続され、および同様に、斜め位置に適合させることができる。
【0023】
本発明の有利な一改良は、昇降部材が、当該昇降部材を休止位置へと移動させる付勢力によって負荷されることを提供する。このことは、昇降部材が、シールが開放される、秤がいつでも動作可能な位置に、常に到達しようと試みることを意味する。本発明によるとこの付勢力は、荷重受けないしこの受けに接続された部品の上で支持されたバネ部材ないし同じ作用を備えた他の部材を引くか押すことによって、負荷することができる。例えば、荷重受けの周囲に配置されるとともに昇降部材を下方からバネ力で負荷するぜんまいバネが考えられうる。ここでは昇降部材は、荷重受けの端部上に配置された荷重部材へと向かう方向に上向きに押し進められる。接続部材がその第二の端部上で昇降部材に恒久的に接続されている場合は、次いで、接続部材がともに押圧され、および、昇降部材または接続部材の上向きの移動が環状間隙を開放する。
【0024】
好ましくは、バネ部材はまた、秤量センサへの付勢荷重も形成する、すなわち、通常の秤量動作においては、測定に関して付勢荷重が考慮に入れられる。昇降部材の付勢された位置によって、昇降部材の休止位置が定義される。以下に記載する起動機構の助けによって、昇降部材はその休止位置から動作位置へと移動させられる。
【0025】
分離したバネ部材の代わりに、または、それに加えて、付勢力は接続部材自体によっても生成されうる。例えばこの接続部材は、引張バネの性質を備え、第二の(下側)端部が昇降部材に恒久的に接続されている蛇腹として構成されうる。この場合には、蛇腹はその圧縮位置または押圧位置に常に到達しようとし、当該蛇腹の自由(下側)端部の上に配置された昇降部材は同様に持ち上げられ、その結果、環状間隙が開放される。好適には接続部材へと内向きに向かうバネ力が選択され、その結果、バネ力は昇降部材を休止位置で保つためにはまさに十分である。昇降部材がバネ力に抗して動作位置へと移動する場合は、次いで、接続部材に生成される低い張力が秤量センサまたは当該センサの機構に作用する。
【0026】
本発明の有利な一実施形態によると、昇降部材は、筺体の内部または外部に配置された起動機構によって、起動力を充填可能なことが提供される。起動力は好適には動作位置の方向に作用する。起動機構はここでは、昇降部材が動作位置に到達した後に、筺体側のシール面へと押圧するために、およびこのように、所望のシール効果を達成するために、昇降部材が規定の接触力を生成するよう構成することが可能である。本発明によると、この接触力は秤量センサを負荷しない。起動機構の簡便な一実施形態は、この昇降部材を移動させるために、軸周りに回転する際に昇降部材と相互に作用するカム板またはカムを備える。代替的な実施形態は、空気圧式、電気機械式、圧電式、または、同じ機能を備えるとともに当業者には一般的な他の機構とまさに同様の、純粋に手動式の起動を備える。調整ねじまたはスピンドル状機構を備えた駆動部もまた考えられうる。昇降部材がその休止位置において、力の分路を伴わずに荷重受けに連結されることを保証するために、起動機構は、休止位置において昇降部材と接触しないよう構成される。
【0027】
本発明の他の有利な実施形態は、荷重受けが昇降部材を移動させるためのガイドとして用いられることを提供する。このように、昇降部材が規定の公差範囲内でシールのために要求される動作位置を厳密に推測することが保証される。昇降部材は、代替的または追加的に、その移動を誘導するために筺体に固定されたガイドとも相互に作用しうる。このように、このガイド機構は昇降部材がその休止位置を離れた後に初めてその効果を生み出すべきであり、したがって、秤は一時的に動作されるべきでないことを考慮されるべきである。この場合には、筺体側ガイドと昇降部材の間に生み出される力の分路は重要でない。
【0028】
補完的に構成された、筺体が固定されたシール面との確実な嵌合固定とも相互に作用する昇降部材の輪郭の付いたシール面もまた考えられうる。このように、おそらくは改善されたシール効果に加えて、筺体に相対して昇降部材を心出しまたは誘導することもまた達成されうる。
【0029】
上記では、シールは主として、通常は間隙状の開口を秤筺体の一時的に内部に閉じることを目的として、およびひいては、洗浄媒体または他の物質の浸透を防止するために提供された。他の実施形態は、例えば、ガス警報装置が始動されるとすぐに自動的に起動される爆発防止装置としてのシールを構成することを提供する。したがって、規定の最小限のシール効果を達成するためにシールを提供することができる。
【0030】
さらに一変形例では、シール機構は過負荷防止として、および同時にまたは代替的に輸送保護として構成されるか用いられ、その結果、シールは、一時的に(例えば洗浄目的のために)のみならず、より長い期間(時間、日)にも用いられるようになる。
【0031】
追加的かつ有利な実施形態は、従属請求項から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるシール機構を備えた秤の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下において、本発明の実施形態を、図面を参照して例示される実施例に関してより詳細に説明する。
秤量センサ3が筺体2内に配置されている。この実施形態によるとセンサ3は、静止部14および静止部に相対して垂直に移動可能な移動部13を備え、該移動部13は荷重受け4と連結されている。棒状の荷重受け4は筺体2を介して垂直方向上向きに延出し、および、筺体2の外側にある荷重部材5によって負荷されている。荷重部材5によって印加される重りは、秤量センサによって、垂直方向下向きに荷重受け4の移動部13を負荷する。図示されない有利な電磁力補償機構は、通常の秤量動作中のこの力を、重量を決定するために用いられる調整可能な反作用力で補償する。
【0034】
荷重受け4は昇降部材6によって囲繞されている。昇降部材6は略管状形状を有し、およびその両端のそれぞれにフランジ状延出部を有する。本発明によると、昇降部材6は2つの位置間を移動可能である。動作位置Aにおいて上側フランジは、Oリングとして構成されるとともに密封構成要素9の上側端面8に抗して押圧される密封手段としてのシール部材15と接触する。対照的に休止位置Rでは、昇降部材6はその上側フランジとシール部材15の間の環状間隙12を開放する。
【0035】
(より良好な理解のために、昇降部材6の両方の位置がともに図1に図示される。)図1に示される荷重受け4の左側の断面は、下げられた動作位置Aにある昇降部材6を示す。荷重受け4の右側の断面は、その上げられた休止位置Rにある昇降部材6を示す。
【0036】
昇降部材6は、接続部材7によって荷重部材5に接続されている。接続部材7は蛇腹として構成されており、垂直方向に拡張または圧縮することができる。接続部材7の上端が荷重部材5に接続されている一方で、接続部材7の反対側の下端は、昇降部材6の休止位置Rから動作位置Aへと、およびその逆の垂直移動に追従する。
【0037】
動作位置Aにおいて接続部材7は、昇降部材6の上側フランジがシール部材15と相互に作用するまで扇形に展開されるか、または下向きに拡張される。この場合には秤の内部は、外側からの媒体(例、粉塵、洗浄剤、気体等)の浸透に抗して確実に保護される。その理由は、接続部材7はその扇形に展開された位置において、昇降部材6とともに環状間隙12を覆うからである。
【0038】
昇降部材6がシールされる初期の間隙12を閉じる一方で、可撓性の接続部材7は、剛性的に構成された昇降部材6が下方へ移動することを理由に、そのフランジの上方に見出された間隙12’を覆うかまたはシールする。
【0039】
対照的に、休止位置Rにおいて、昇降部材6はその上側フランジが停止部16に影響を及ぼす(必ずしも必要でない)まで、持ち上げられる。ここでは接続部材7は圧縮されており、および、環状間隙12を開放する。この状態では、秤は使用可能な状態にあるが、秤の内部は、媒体の開口した環状間隙からの所望でない浸透からシールされない。
【0040】
図1からわかるように、昇降部材6はその休止位置Rにおいて力の分路を伴わずに、荷重部材5または荷重受け4と連結されている。昇降部材6は次いで、同じく秤量される付勢荷重として秤量センサの移動部13の上で休止する。移動部13の上に同様に配置されたバネ部材10は、昇降部材6の下側フランジを下方から負荷し、これによって、昇降部材6は、この位置から能動的に押し込まれない限り、その休止位置Rを停止部16の下端の位置とみなす。昇降部材6はここでは同様に、バネ部材10、停止部16、および接続部材7等の付勢荷重を形成する。同時に昇降部材6は、休止位置Rに到達する際に秤筺体の静的な構成要素に接続しないように構成され、その結果、力の分路が回避される。
【0041】
秤筺体2の内部に配置された起動機構11は、バネ部材10のバネ力に抗して、休止位置Rから動作位置Aへと昇降部材6を引くのに用いられる。この目的のために、起動機構11はカムを用いる。カムは、その偏心軸回りの回転の場合、昇降部材6の下側フランジの上側と接触するまで移動する。カムのさらなる旋回に対しては、下側フランジおよびひいては昇降部材6全体が垂直方向に押し出される。このように、昇降部材6は上側停止部16から離れ、および、接続部材7の移動に伴い最終的に動作位置に到達するまで接続部材7を拡張する。
【0042】
動作位置Aにおいて、昇降部材6はその側面上で、ラビリンスシール9の上側端面8と相互に作用するシール部材15を押圧する。このシール部材15を介して秤筺体へと伝達される力(重りの力または接触力)はすべて、次いで、有利には秤量センサ3の荷重受け4から切り離される。
【0043】
起動機構11は有利には、昇降部材6が、秤の内部のシールを保証するために、規定のシール力でシール部材15またはシール面8を押圧するよう設計される。動作位置Aにおいて荷重受け4と連結された昇降部材6には、垂直方向の高いシール力を提供することができるものの、このようにして、バネ部材10の圧縮および接続部材7の伸長から生み出される力のみが秤量センサ3(および、付勢荷重に恒久的に含まれる構成要素)へと伝達される。その理由は、昇降部材自体が筺体または構成要素9上の動作位置Aで休止するからである。
【符号の説明】
【0044】
2 秤筺体
3 秤量センサ
5 荷重部材
6 昇降部材
7 接続部材
8 上側端面(シール面)
9 ラビリンスシール(密封構成要素)
10 バネ部材
11 起動機構
12 環状間隙
13 移動部
14 静止部
15 シール部材
16 停止部
A 動作位置
R 休止位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体(2)中に、筺体開口を介して外向きに突出する有利には棒状の荷重受け(4)によって測定されるべき重りの力を負荷することが可能な秤量センサ(3)がある秤用のシール機構(1)において、
前記荷重受け(4)が、その自由端上に、被秤量物を支持するための有利には板状の荷重部材(5)を、
a)前記荷重受け(4)に相対して移動可能であるとともに、昇降部材(6)が前記筺体開口のシールを形成する動作位置(A)と前記筺体開口がシールされない休止位置(R)との間で移動可能な昇降部材(6)によって
運搬し、
b)前記昇降部材(6)が、前記休止位置(R)における付勢荷重として、前記荷重部材(5)または前記荷重受け(4)に接続されている
ことを特徴とするシール機構。
【請求項2】
前記昇降部材(6)は、筺体間隙(12)をこのように閉じるために、前記動作位置(A)において接続部材(7)を負荷することを特徴とする、請求項1に記載のシール機構。
【請求項3】
前記昇降部材(6)が、可撓性の接続部材(7)によって、前記荷重部材(5)または前記荷重受け(4)に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシール機構。
【請求項4】
前記昇降部材(6)もしくは前記接続部材(7)の表面、または、前記昇降部材(6)もしくは前記接続部材(7)と連結された能動部材が、前記動作位置(A)において、間接的にまたは直接的にシール面(8)と相互に作用し、該シール面(8)が、前記筺体(2)上に、または、有利には剛性的に前記筺体(2)に接続された構成要素(9)上に、構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項5】
前記接続部材(7)が、第一の端部が前記荷重部材(5)または前記荷重受け(4)上に、および、反対側の第二の膜端部上で前記昇降部材(6)へと接続されているか、または、前記昇降部材(6)の少なくとも前記動作位置の方向(A)への移動に、前記第二の端部によって追従するために、前記昇降部材(6)によって負荷されることが可能な、シール膜の形態で構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項6】
前記昇降部材(6)が、前記昇降部材(6)を前記休止位置(R)へとまたは前記動作位置(A)へと押し付ける付勢力によって負荷されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項7】
前記付勢力が、前記荷重受け(4)またはこの受けに接続された部品の上に支持されるバネ部材(10)によって負荷されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項8】
前記付勢力が、可撓性の構造を持つ接続部材(7)によって生成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項9】
前記昇降部材(7)には、前記筺体(2)の内部または外部に配置された起動機構(11)によって、前記昇降部材(6)を前記動作位置(A)へと押し込む起動力が負荷可能なことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項10】
前記昇降部材(6)が前記休止位置(R)から前記動作位置(A)へと移動させられる際に、前記接続部材(7)および/または前記昇降部材(6)が、前記筺体(2)または前記筺体(2)に接続された構成要素(9)と、前記荷重部材(5)または前記荷重受け(4)との間の環状間隙(12、12’)を閉じることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項11】
前記荷重受け(4)が、前記昇降部材(6)の移動のためのガイドとして用いられることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1に記載のシール機構。
【請求項12】
前記昇降部材(6)が、その休止位置(R)を離れた後に自己の移動を誘導するために、前記筺体上に固定されたガイドと相互に作用することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1に記載のシール機構。

【図1】
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【公開番号】特開2010−223961(P2010−223961A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63733(P2010−63733)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(506186673)ヴィポテック ヴィーゲ−ウント ポジティオニエルシステーメ ゲーエムベーハー (21)
【氏名又は名称原語表記】WIPOTEC WIEGE−UND POSITIONIER−SYSTEME GMBH
【住所又は居所原語表記】ADAM−HOFFMANN STRASSE 26, 67657 KAISERSLAUTERN,GERMANY