説明

ジェット換気用カテーテル

本発明は、患者を換気するためのカテーテル(1)であって、前記カテーテルは空気及び/又は酸素を前記患者の気道へ送達すること及び前記患者の前記気道から除去することを交互に行う換気チャネル(2)を有し、前記カテーテルは最大6ミリメートル、好ましくは約1.5から4.5ミリメートル、の最大外径を有し、前記換気チャネルは開放端(3)と呼気排出補助のため供給システム(19)に接続する接続端(4)とを有する。本発明によると、前記カテーテルは、前記開放端付近の前記換気チャネルの外の前記圧力を測定する手段又は部品が任意に設けられている。前記カテーテルは好ましくは、前記圧力測定チャネル(5)を有し、前記圧力測定チャネルは前記換気チャネルの前記開放端付近に開放測定端(6)及び圧力表示装置を接続する測定接続部品(7)を有する。特に有利なのは、膨張体(カフ)(9)を有するカテーテルであって、前記膨張体は流体により大きさを増加又は減少させることができる供給チャネル(8)に流体的に接続される。本発明に係るジェット換気用カテーテルは、古典的ジェット換気及び従来の調節換気の架け橋となる新規の換気の原則を可能にして、気道の新規及び改良された介入の可能性を広げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の換気、及び患者の気道の領域の診察及び治療に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開公報WO2008/113752A1はガスフロー逆転部品を開示して、例えば、緊急事態で、比較的細いカテーテルで人が換気されることが可能となる。従って、酸素を肺の中へ導入できて、ガスを再び肺から十分な分量で吸引することができる。カテーテルの小さな直径に係わらず、双方向への高い流量により、比較的細いカテーテルを介して換気する場合に酸素の供給と二酸化炭素の除去とを維持することができる。
【0003】
Anaesthesia、2004、59、73−79頁に記載の「人間の患者のシミュレータに対する4つの異なる緊急気道確保装置セット(emergency airway access equipment sets)の比較」という記事から経気管換気用の様々な装置が周知であり、特に図4に示されている簡単に使用できるジェット換気用の装置が周知である。
【0004】
本発明の主な目標はジェット換気の使用範囲を拡大して、ジェット換気をより安全にして、最適な装置及び方法を作成することである。古典的なジェット換気では、酸素及び大気の混合が高圧で高流量でカテーテルを介して気道内へ吹き込まれて使用されるか、又は過度のガスが気道を介して漏れ出てもよい。これと反対に、本発明の概念は、この漏れ出ることが可能でない場合又は可能であるが困難な場合にも使用できる、呼気排出補助付きのジェット換気として記載してもよい。
【0005】
驚くことに、一部または完全に妨害された気道の場合のような緊急ケアのために考えられたこれまでの換気方法は他の使用にも適切である。従来、気道下部及び肺の領域に実施される手術では、比較的大きい直径のカテーテルが換気目的及び器具の挿入に使用されていたが、これはカテーテルの横で治療を施すこと又は更なるカテーテル及び器具を導入する可能性を制限してしまう。
【0006】
更なる、そして多くの場合軽視される課題は、高濃度の酸素が気道にある場合で、例えば、レーザー、又は高温を生じる他の器具が使用されている場合、燃焼の可能性があることである。これは周辺の細胞にかかわるが、カテーテル及び器具自体にもかかわる。
【0007】
別のよく軽視される課題は、古典的なジェット換気では、肺の中で適当なガス交換が行われるために比較的高圧で高流量が必要とされて、その後ガスが肺からほぼ開放された気道を再び通り出る。呼気排出補助付きのジェット換気は、より低い、従ってより安全な圧力で適用されることになる。しかし、その場合、比較的開放されている気道を介してかなり高い(バイパス)バックフローが生じ得る。
【0008】
ジェット換気の重要な側面は、その使用中における患者の安全性である。従来のジェット換気システムでは、もし気道がほぼ又は完全に妨害されている場合、肺の中で圧力が高まりすぎてしまう。その結果、これまで使用する分野は限られていた。
【0009】
従って、本発明の目的は、特に、診察又は手術の間、呼気排出補助付きのジェット換気によって患者の安全及び効果的な換気を許可して、気道上部の断面部位の相当な部分を必要な介入のために解放しておく装置及び方法を使用可能にすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の目的は、ここに記載される発明の実施例に係る装置及び関連する方法により達成される。
【0011】
一実施例では、本発明は、呼気排出補助付きで患者を換気するカテーテルであり、好ましくはガスフロー逆転部品などのガス供給システムに接続されるように構成されているカテーテルを含む。一実施例によると、前記カテーテルは、酸素又は酸素を含有するガスを前記患者の気道へ送達すること及び前記患者の前記気道から呼吸ガスを除去することを交互に行う換気チャネルが中に規定されている細長い部材を備えている。前記換気チャネルは開放端及び供給システム又はガスフロー逆転部品に接続するための接続端を規定して、接続端は好ましくは国際公開公報WO2008/113752A1に記載されているようにガスフロー逆転部品に接続される。任意に、カテーテルは、前記換気チャネルの外に配置されて、前記換気チャネルの前記開放端付近又は前記気道の更に奥の前記圧力を測定する圧力センサーを含む。このようなカテーテルを使用することで、前記カテーテルの前記換気チャネルのみを介して十分に患者を換気する(吸入及び呼気排出)ことが可能である。
【0012】
供給システムは、好ましくは少なくとも酸素又は酸素含有ガスを患者の気道にカテーテルを介して送達して及び気道から呼吸ガスを取り除く機能を含む。好ましくは、ガスフロー逆転部品が供給システム又は供給システムの一部として使用される。
【0013】
一実施例では、前記細長い部材は、約6ミリメートルの最大外径を有する。別の実施例では、前記細長い部材は、約1.5から4.5ミリメートルの外径を有する。更に別の実施例では、前記細長い部材の前記外面の少なくとも一部、及び好ましくは患者の気道内に挿入される深さまでの前記細長い部材の前記外面は、不燃性(noncombustible)、難燃性(nonflammable)、及び/又はレーザーに耐性のある(laser-resistant)材料からなる。また更に別の実施例では、前記細長い部材の記外面の少なくとも一部には、不燃性、難燃性、及び/又はレーザーに耐性のある材料が塗布されている。
【0014】
一実施例では、前記圧力測定手段は、前記カテーテルの前記細長い部材内に組み込まれた信号線を有する少なくとも一つの電子圧力センサーを含む。別の実施例では、前記細長い部材はその中に圧力測定チャネルを更に規定して、前記圧力測定チャネルは前記換気チャネルの前記開放端付近の開放測定端及び第二接続端を規定している。本実施例によると、前記圧力センサーは測定接続部品及び圧力表示装置を有し、前記圧力測定チャネル内の前記圧力を測定するために前記測定接続部品は前記第二接続端及び前記圧力表示装置に操作可能に接続される。別の実施例では、前記圧力測定手段は、液体を含む内腔を有し、前記内腔は開放測定遠心端(distal end)及び閉じられた近位端を規定して、近位端は液体及び閉じたところの間に圧縮可能なガスを含む。内腔は、使用中に医療専門家に読みやすいスケールを有する。
【0015】
別の実施例では、前記細長い部材は、少なくとも前記細長い部材の前記開放端の前記領域では、針状の形状を有し、前記針状の形状は、特に患者の前記気管に入り込み経気管換気を行なうように構成されている。
【0016】
別の実施例では、カテーテルは前記細長い部材の外に前記細長い部材の前記開放端の前記領域に配置される少なくとも一つの膨張体(expansion body)を更に有し、流体を送達すること及び除去することをそれぞれ行うことによって少なくとも一つの前記膨張体の大きさを増加及び減少させるように構成されている。一実施例では、カテーテルは、前記細長い部材の中又はその上に規定されている供給チャネルを有し、前記供給チャネルは前記膨張体に流体的に接続されている(fluidically connected)。更に別の実施例では、前記膨張体は、少なくとも一つ補強構造(stabilizing structure)を有し、前記補強構造は、減少した大きさの状態の前記膨張体に最小体積(minimum volume)を提供して、少なくとも10ミリバールの外部の過剰圧力(overpressure)又は過少圧力(underpressure)に対して前記膨張体の少なくとも前記最小体積を維持する。
【0017】
一実施例では、本発明は患者を換気する方法を含み、前記方法は、供給システムを設けて、前記患者の気道へ酸素又は酸素含有ガスを送達すること及び前記気道から呼気排出ガス(expiratory gas)を取り除くことを交互に行うための換気チャネルを中に規定している細長い部材を含むカテーテルを設けて、前記換気チャネルは、開放端及び前記供給システムに接続する接続端を規定して、前記カテーテルは、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定する前記換気チャネルの外に配置されている圧力センサーを更に任意で含む。前記方法は、前記カテーテルを外から前記気管内に挿入することを含む。呼気排出補助付きのジェット換気は、前記カテーテルを通して実施される。一実施例では、前記実施ステップは、供給システム、及び/又は、前記カテーテルに操作可能に接続されている酸素、酸素含有ガス、及び/又は呼吸ガスを送達して除去するプロセッサに制御された弁を有するガスフロー逆転部品を使用して実施される。前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力が測定されて、圧力測定値に基づいて酸素及び/又は空気を送達及び除去する間隔を決定する。
【0018】
別の実施例では、前記カテーテルは膨張体を更に含み、本発明の方法は、前記膨張体の大きさを間欠的に変更する前記ステップを更に含み、大きさの間欠的な変更のタイミングは前記実施ステップにおいて空気及び/又は酸素の送達及び除去と同期される。一実施例では、前記膨張体の大きさを間欠的に変更する前記ステップは、前記膨張体の大きさを増加させて減少させることを含む。別の実施例では、前記膨張体の大きさを間欠的に増加させる及び減少させるステップは、前記膨張体に不燃性ガス(noncombustible gas)又は不燃性液体を送達すること及び除去することをそれぞれ含む。更に別の実施例では、前記不燃性ガスは窒素又は希ガスを含む。そして、更に別の実施例では、不燃性液体は、水又は食塩水を含む。
【0019】
一実施例では、前記挿入ステップは、治療又は診断される前記気道の部位よりも前記膨張体が深く配置されるように前記患者の前記気道の奥に前記カテーテルを挿入することを含み、前記カテーテルを前記気道の前記周辺組織に対して封止するように適切な位置に保持するまでに前記膨張体は少なくとも間欠的に膨張されて、前記実施ステップは、治療される前記部位の治療の間及び/又は後に実施される。
【0020】
一実施例では、前記測定ステップは、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を、前記開放端付近の前記細長い部材内に配置された電子圧力センサーを用いて測定することを含む。別の実施例では、前記細長い部材はその中に圧力測定チャネルを更に規定して、前記圧力測定チャネルは前記換気チャネルの前記開放端付近に開放測定端及び第二接続端を規定して、前記圧力センサーは測定接続部品及び圧力表示装置を含み、前記測定接続部品は前記第二接続端及び前記圧力表示装置に操作可能に接続されており、前記測定ステップでは、前記圧力表示装置を用いて前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定することを含む。
【0021】
更に別の実施例では、本発明は、ある対象の呼吸障害を改善する方法を有し、前記方法は、供給システムを設けて、前記患者の気道へ空気及び/又は酸素を送達して及び前記気道から空気及び/又は酸素を除去することを交互に行うための換気チャネルを中に規定している細長い部材を含むカテーテルを設けて、前記換気チャネルは、開放端及び前記供給システムに接続するための接続端を規定して、前記カテーテルを外から前記気管内へ挿入して、前記対象が正常換気されるように、前記カテーテルを通して呼気排出補助付きのジェット換気を実施する。一実施例では、前記カテーテルは更に膨張体を含み、本発明の方法は、前記膨張体の大きさを間欠的に変更する前記ステップを更に含み、大きさの前記間欠的変更の前記タイミングは、前記実施ステップにおいて空気及び/又は酸素を送達すること及び除去することを交互に行うことと同期している。一実施例では、前記膨張体の大きさを間欠的に変更する前記ステップは、前記膨張体の大きさを増加させる及び減少させることを含む。別の実施例では、前記カテーテルは、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定するための前記換気チャネルの外に配置されている圧力センサーを更に含み、前記方法は、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定して、前記圧力測定値に基づいて酸素及び/又は空気を送達すること及び除去することの間隔を決定することを更に含む。別の実施例では、前記換気チャネルは3ミリメートルの最大内径を有している。別の実施例では、前記カテーテルを通る前記吸気及び前記吸引のガスの流量は、毎分約8から20リットルである。更に別の実施例では、前記カテーテルを通る前記吸気及び前記吸引のガスの流量は、毎分約15リットルである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、特に診察及び手術で使用される、換気用の本発明の一実施例に係るカテーテルを示している。
【図2】図2は、線II−IIに沿った図1に係るカテーテルの断面を示している。
【図3】図3は、線III―IIIに沿った図1に係るカテーテルの断面を示している。
【図4】図4は、呼気排出補助付きのジェット換気用に正面を針として設計されている本発明の別の実施例に係るカテーテルを示している。
【図5】図5は、周辺装置と本発明の一実施例に係るカテーテルの配置の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明は本発明の概要から始まり、そして図1から図5に示している本発明の実施例の説明で終わる。
【0024】
ジェット換気の実質的に全ての使用にとって、気道へ導入される換気カテーテルが、その開放されている端(open end)の部分に、圧力測定用の本発明に係る手段(means)又は部品を有すると有利である。このためには、追加のチャネル又は測定コンジットが必要となるが、これは安全性の確保及び吸入及び呼気排出のガスフローのより正確な供与(dosing)及び制御の可能性にオフセットされる。このことは、例えば、国際公開公報WO2008/113752A1に記載された、供給システム又はガスフロー逆転部品と特に関連して、ジェット換気の安全な使用の可能性を広げる。供給システムの別の実施例は、本発明のカテーテルの換気チャネルと二つの内腔(lumen)との簡単な結合を含む。この二つの内腔の一つは酸素又は酸素含有ガスを換気チャネルへ送達して、もう一つの内腔は患者から流れ出る呼吸ガスを換気チャネルを通して取り除く。
【0025】
測定の原理自体は重要では無いとはいえ、それでも測定の原理及び測定の位置の選択は、カテーテルの開放端付近の実際の大気が測定されるように行われるべきであり、ジェット換気用のチャネル内部の圧力が測定されるべきではない。この様な状況下で、本発明に係るジェット換気は、もし頭部−頸部位の気道がほぼ又は完全に遮断されている恐れがある場合には、例えば、経気管換気用にも(即ち、気管内へと皮膚に刺されたカニューレ又は針(ここでは総称して「カニューレ」と呼ぶ)を介して、又はこのように配置されたカテーテルを介して)使用できる。
【0026】
圧力測定用の手段又は部品が追加のチャネルを含む場合には、このチャネルはカニューレ又はカテーテルの導入の間、例えば内部取外し可能なワイヤ(inner removable wire)により、簡単に開放させておくことができる。このようなワイヤは、カニューレ又はカテーテルが送られる時に、座屈を阻止することもできる。
【0027】
特に緊急ケア用で圧力測定の手段又は部品を有する経気管カニューレ又は経気管カテーテルに加えて、例えば国際公開公報WO2008/113752A1に記載されている供給システム又はガスフロー逆転部品の影響と、本発明に係るジェット換気カテーテルとの組み合わせは、下記の通り、古典的なジェット換気及び従来の調節換気(controlled ventilation)の架け橋として見なすことができる新規な換気方法を規定して、気道内の新規及び改良された介入の可能性を広げる。
【0028】
ここで詳細に記載及び図示されている例示的実施例では、特別なジェット換気カテーテルは可撓性を有し、長さが少なくとも200ミリメートル、好ましくは250から600ミリメートル、更に好ましくは少なくとも300ミリメートルであり、典型的には最大6ミリメートル、好ましくは1.5から4.5ミリメートル、更に好ましくは1.5から3ミリメートルの外径を有する。カテーテルは換気内腔を有し、その内径は最大約4.5ミリメートル、好ましくは最大2.5ミリメートル、更に好ましくは2.2から2.4ミリメートルまでであり、その両端部には一つ以上の開口を有し、任意に、先端に配置された膨張体、ここでは膨張式カフ(inflatable cuff)、に導かれる供給チャネルと、圧力測定チャネルとを有し、カテーテルは好ましくは不燃性/難燃性材料から成るか又はそのような材料が塗布されている。いくつかの適用例では医療分野で使用されるレーザーによるレーザー放射(laser radiation)に対する耐性が重要であり、それはそのような装置が周辺で使用された場合にカテーテルが損傷されないことを保証するためである。
【0029】
管状の、可撓性のジェット換気用カテーテルは口又は鼻から気管内へ、又は適切な長さである場合には、患者の左又は右の肺の気管支システム(bronchical system)まで押し通される。胸廓の一側性の手術で頻繁に使用される従来の気管支ブロッカー(bronchial blockers)に比べて、ジェット換気カテーテルは「ブロックされている肺(blocked lung)」を換気するために使用でき、また同時に手術する側の「ブロックされていない肺(unblocked lung)」は最適に虚脱(collapse)することができる(このような介入では望ましい)。
【0030】
このようなジェット換気カテーテルは、作業チャネル(working channel)を有する可撓性ファイバーオプティックスを用いてもとても簡単に配置することができる。このために、ジェット換気用カテーテルの先端はファイバーオプティクスの先端にフィラメント又はワイヤという手段によって固定されて、それはカテーテルを介して導かれて(例えば、圧力測定内腔を介して)先端に固定されて、そしてファイバーオプティクスの作業チャネルを通って前端から後へ通され(threaded back)、ファイバーオプティクスで所望の位置へ動かされる。そしてファイバーオプティクスは後へ引っ張られる。フィラメント又はワイヤは取り除かれるか、又はそのまま残されてもよい。後者の選択肢では、ファイバーオプティクスの支援により、ジェット換気カテーテルがいつでも位置を変えることを可能にする。
【0031】
小さな外径では、気道はジェット換気カテーテルにより最小限にしか遮断されないことが保証されて、それにより奥の気道でも、診断及び治療の介入のために十分な空間が残されるようになる。
【0032】
4.0ミリメートル以下の換気内腔は、結果としてかなり遅延した受動的呼気排出(passive exhalation)を生じる。従って、成人はこのような管を用いて従来の手段により十分に換気することができない。例えば、直径が4.5ミリメートル又は3ミリメートルでも、又は長さが75ミリメートルを超える換気内腔の比較的高いフロー耐性(flow resistance)のため、ジェット換気カテーテルの横から空気が肺から漏れ出ることが可能な場合(古典的なジェット換気の場合のように)でない限り、特別なジェット換気用カテーテルは吸引による呼気排出の能動的支援(active support)を(例えば、ガスフロー逆転部品という手段により)必要とする。膨張式カフにより、特別なジェット換気カテーテルは気管又は気管支を封止して(seal off)、それにより膨張体の下流及び上流の気道を分離することができる。
【0033】
特に有利なのは円筒形カフであり、それは(膨張されると)ジェット換気用カテーテルの先端を気管又は気管支の中央の位置に保持して、気道内の処置のときに抜ける(dislocation)リスクを低減させる。
【0034】
カフ材料のひだにより、「ブロックされていない」(つまり吸引により空になっている)カフでさえ換気内腔の開口(又は複数の開口)が気管の壁へ吸引されることがないことを保証する。ところが、カフが完全に空の場合でも、気管又は気管支の内腔内のジェット換気用カテーテルの先端を保持するクラスプ(例えば、カフ内にある)を使用することも考えられる。
【0035】
カフは、手術/介入の間に連続的に膨張され得るか、各換気サイクルにおいて間欠的に膨張され得る。
【0036】
もしカフが20から30ミリバールの圧力で連続的に「ブロックされる」場合、これは気管内チューブ(endotracheal tubes)でも慣例であるが(従来の調節換気では十分なガス交換のためには20から30ミリバールの圧力を作ることが必要である)、カフより上方の気道はカフより下方の気道から(即ち、肺の周辺部へ向かい)完全に分離されている。
【0037】
そしてカフより上方の気道は外へ開放され、逆にカフの下方の気道は外からは閉ざされる。従って、古典的なジェット換気から(概して開放されている気道では)、正常換気(normoventilation)−吸引補助付き呼気排出(suction-assisted exhalation)の調節換気−が、ブロックされた気道にも作られる。
【0038】
カフがブロックされた状態で、電気メスを使用したレーザー外科的介入及び古典的ジェット換気において、増加した酸素濃度で必然的に起こる、火傷又は炎の酸素に依存したリスクを増加させずに、患者には純粋な酸素を与えられることができる。
【0039】
或いは、吸引中のカフの間欠的膨張及び呼気排出中のカフを空にする/折りたたむ(collapsing)ことにより、即ち、肺内の圧力を測定する必要なく、肺の中の正圧又は負圧が高くなりすぎることを回避することはとても簡単である。
【0040】
或いは、カフが膨張されて自動的にそして換気と同期して吸引により再び空にされるのが、別のチャネルを介してではなく、代わりにカフがカテーテルの換気内腔と連絡する開口を介して行うことも有利である。カフの材料に弾性がある場合には、膨張したカフはカフ材料の再生力(restoring forces)の下、更に速く折りたたまれる。
【0041】
従って、吸入中、ヴェンチュリ効果を抑制することが可能であり、ヴェンチュリ効果とはジェット換気の特徴であり、それにより空気は気道上部から肺の中へ運ばれて(entrained)、吸入酸素濃度が低減されて、呼気排出(exhalation)毎に外気との圧力補償(pressure compensation)を保証することができる。
【0042】
更には、カフの不完全な膨張(「漏れる」(leaking)カフ)又は非常に低い圧力(例えば、5ミリバール)の膨張で、肺の中の過剰圧力(overpressure)又は過少圧力(underpressure)があるときに、カフがゆるみ(untight)、カフが過剰圧力又は過少圧力の弁として機能することを保証することができる。
【0043】
カフと、少なくとも吸入の間に起こる換気された肺の封止により、電気メスを用いるレーザー外科的介入では、カフの上での介入により解放された有毒煙霧、ウィルスの粒子、又は細胞断片(cell fragment)が換気された肺の中へ通ることはできない。更に、手術をしている外科医が作業をしなければならない周囲空気には、肺から流れ出て、そのようなガス又は粒子を運ぶガスは更に充填されない。
【0044】
カフによって、特に電気メスを使用するレーザー外科的介入の間、必要であれば古典的ジェット換気から呼気排出補助付きのジェット換気へ切り替えることは非常に簡単であり、その後実際の介入後に再度古典的換気に戻り、そして患者を覚醒させることも可能である。
【0045】
吸引によりカフを完全に空にした後、ジェット換気カテーテルは覚醒している患者の気管内に問題なく最初は残ることができる。そして、ジェット換気カテーテルを介して非常に効果的にそして危険性も無く酸素を導入することが可能であり、緊急事態の患者は更に(支援的(supportive))換気を受けることができる。
【0046】
ジェット換気カテーテルは新たな挿管法又は再挿管法(reintubation)にも使用できる。このため、ジェット換気カテーテルは最適な方法で単純に長くして、従来のチューブ用の誘導装置(guide)となれる。或いは、可撓性ワイヤはジェット換気カテーテルの内腔を介して深い気道へ挿入されて、ジェット換気カテーテルは取り除かれて、そして最適な可撓性ロッド(チューブチェンジャー(tube changer))が可撓性ワイヤに結合されて気管内に配置されて、その後従来チューブはこの可撓性のロッドの上を気管内へ進められる。
【0047】
原則としては換気の間の短い中休み中に換気内腔を介して肺内の圧力を測定することは可能であるが、しかし圧力を連続的に監視することを可能にする追加の圧力測定チャネルを提供することが望ましい。試験では、硬膜上カテーテル(epidural catheter)の内腔はこのために既に十分であると立証されている。そのような小さな内腔を有するチャネル内の空気管(air column)は吸入及び呼気排出の間に圧力のわずかに遅れて弱い(attenuated)測定しか可能としないが、しかし平均圧力(非常に重要なパラメータとして)の概要の非常に簡単で精密な監視を可能とする。原則的に、液体管(liquid column)を介して精密な測定を実施することも勿論可能であり、それは圧力測定チャネルを無菌の液体で充填してそれを例えば変換器システム(transducer system)に接続することでできる。小型の電子圧力センサーを使用することも考えられ、空間の要件及び制作技術の側面から有利かもしれない。しかし、空気又は液体管は技術的欠陥に影響されにくいようで、その中を洗うこと(flushing)によりその機能性は簡単に保証されて確認される。
【0048】
換気された肺の圧力測定は換気装置を制御する可能性を提供し、それは例えば国際公開公報WO2008/113752A1に記載のガスフロー逆転部品により患者へ向かう又は戻るガスフローが、その強さ及び長さに応じて、換気状況毎に、正確に適応され得る。特に気道の領域における電気メスを用いたレーザー外科的介入の増加に鑑みて、ジェット換気カテーテルはできるだけ不燃性/難燃性材料で形成されるべきである。これは特に純粋な酸素を用いた換気の場合には必須であり、それは患者の気道内で別の方法でも生命を脅かすような火傷は生じ得るからである。
【0049】
本発明に係る略管状のカテーテル1は図1に示されている。このカテーテル1は、最大外径Dが6ミリメートルであり、好ましくは4.5ミリメートルよりも少ない。カテーテル1は必ずしも円形な断面を有する必要はなく、代わりに楕円形の断面を有しても良い。カテーテル1の内側に延長している内腔ともいう換気チャネル2があり、これは酸素又は酸素含有ガスを送達して呼吸ガスを除去する。この換気チャネル2も、円形の断面である必要はなく、チャネルは最大内径が4.5ミリメートルまで、好ましくは3ミリメートルまでであり、呼吸ガスが換気チャネル2を介して双方向に流れる必要があるような、呼気排出補助付きのジェット換気の可能性を提供する。従って、カテーテルの構造は、換気チャネルの断面部分が、圧力及び低圧力の場合と曲がった場合とでは、ほぼ変わらないように維持されることを保証するように最適でなければならない。換気チャネル2は開放端3を有し、それを介して呼吸ガスを患者の気道へ及び気道から流れ出ることができる。換気チャネル2の他端は接続端4として設計され、それには供給システム19(図5に示す)を接続することが可能であり、又は、特に、酸素又は酸素含有ガスを送達して呼吸ガスを除去するために、供給システム19の代わりに又は一部としてガスフロー逆転部品を接続することが可能である。またカテーテル1を介して延長している圧力測定チャネル5は、換気チャネル2の開放端3付近で測定端6を有し、他端に測定接続部品(measurement connector piece)7を有している。測定端6は、換気チャネル2の開放端3に対してわずかにオフセットして配置されてもよい。測定端6が、換気チャネル2を介して呼吸気(respiratory air)の吸気の間に組織、分泌物等により閉ざされないように設計及び配置されていることが全体として重要である。カテーテル1の外面は、不燃性材料で覆われる又は塗布される予定であるが、それはカテーテル全体がそのような材料から形成されることが可能でないかぎりである。これにより、特に酸素を多く含む環境では、燃焼の恐れを低減する。換気チャネル2の開放端3からわずかな距離にて、膨張体9、特にカフの形状のものが、外面の周りに配置されている。供給チャネル8はこの膨張体9へ通じ、その供給チャネル8を介して膨張体9へ流体を送達し
てそして液体を除去することが可能となる。供給チャネル8の他端は供給接続部品10が末端をなして(terminate)おり、供給接続部品10はそのような膨張体9を操作するとして本質的に知られている慣例の装置に接続され得る。特に、膨張体9、供給チャネル8、及び関連の操作部品(operating element)は、不燃性及び難燃性の流体又はガス、特に窒素、希ガス、水、又は食塩水で充填できる。膨張体9には、かなりの流体が供給チャネル8により供給されて、挿入された箇所の周辺の壁にぴったりと支えられて、それによりカテーテル1を適切な位置に保持して、膨張体9の下方及び上方の気道を互いからほぼ封止する。膨張体9はその内側に補強構造24(stabilizing structure)(図3に示す)を有しても良く、それは流体によって膨張していなくても、膨張体の特定の形状又は力を維持する。膨張体に組み込まれることができる補強構造の目的は、膨張体がガス又は液体で膨張されていない場合に、膨張体の形状を少なくとも部分的に膨張させておくことである。
【0050】
大きさの比(size ratio)を例示するため、図2は線II−IIに沿った図1の断面を示しており、それからはカテーテルの外径Dに対する、内径dを有する換気チャネル2と、圧力測定チャネル5と、供給チャネル8との配置が解る。この例示的実施例では、各チャネルは互いからは離れて一つのチューブ内に形成されている。しかし、三つの別のチューブを共通のスリーブ内に配置又は供給チャネル及び圧量測定チャネルを別のコンジットとして換気チャネル内に配置することも可能である。
【0051】
図3は線III−IIIに沿った図1の断面を示しており、つまりそれは膨張体9を通る面であり、内径dを有する換気チャネル2及び圧力測定チャネル5を視覚化している。供給チャネル8は膨張体が開始するところまでしか通じていため、このチャネルはこの断面では見えなくなっているか、又は見えたとしても機能していない。
【0052】
図4は、呼気排出補助付きのジェット換気の本発明に係るカニューレを示している。このカニューレ11はカニューレの形状であり、それは外から患者の気管内へ突き刺さるためである。好ましい実施例ではカニューレを含み、カニューレの内側又は外側には気管内へ突き刺さるように設計されたトロカールを含む。カニューレの内側に位置されたトロカールの実施例では、トロカールは挿入後に取り除くことができて、そしてカニューレは供給システム又はガスフロー逆転部品に接続される。カニューレ11は、開放端13及び接続端14により酸素を送達して呼吸ガスを取り除く第一換気カニューレチャネル(内腔)12を有する。更に、カニューレ11は圧力測定チャネル15を有し、圧力測定チャネル15は第一カニューレチャネル12に沿って延長して、カニューレ先端付近で測定開口16を有し、他端で測定接続部品17を有する。第一カニューレチャネル12の接続端14及び測定接続部品17は、図1に記載のカテーテルと同様に接続及び使用できる。記載しているように、呼気排出補助付きのジェット換気により酸素が肺の中に注入されるだけではなく、呼吸気も送達と交互に吸引される。頭部と頸の部位で完全に妨害されている気管でも、経気管換気において効果的なジェット換気の使用を可能にする。妨害されている気道にもかかわらず過剰な圧力が肺に高まらないことを保証するために、カニューレ内の独立した測定チャネルが特に有利である。繰り返しになるが、カニューレ11の圧力測定チャネル15の測定開口16は、圧力測定チャネル15の遮断に対する高い安全性を有し、気管内の圧力の間欠的又は可能な限り連続的な測定が可能なように、配置及び設計されるべきである。別の好ましい実施例では、測定チャネル15は気管内に突き刺さる時にカニューレから離れており、カニューレの取り外し後のみに測定接続部品7を介して換気チャネル12の内部を通して挿入される。繰り返しになるが、カニューレ11の圧力測定チャネル15の測定開口16は、圧力測定チャネル15の遮断に対する高い安全性を有し、間欠的又は可能な限り気管内の圧力の連続的な測定が可能なように、配置されて設計されるべきである。
【0053】
図5は、本発明に係るカテーテル1と様々な周辺装置とを示している。まず、換気チャネルの接続端4を介して換気チャネル2内にガイドワイヤ18を挿入することができて、それによってカテーテル1に位置決めの時により剛性を加えて開放端3を患者の気道の所望の位置に移動することができる。このガイドワイヤ18は、詰まりがある場合に換気チャネル2から分泌物又は組織を押し出すようにも使用できる。ガイドワイヤ18が取り除かれた後、接続端4は供給システム19及び/又はガスフロー逆転部品に接続され得る。最も簡単な場合、このガスフー逆行部品は国際公開公報WO2008/113752に記載されている原則によって動作できる。しかし、自動ガスフロー逆転部品又は自動供給システム19を使用することが可能で有り、それらは制御プロセッサ21により制御されている弁25により酸素又は酸素含有ガス及び呼吸ガスが交互に換気チャネルを介して送達されて換気チャネルから取り除かれることを保証する。
【0054】
その上、圧力表示装置20が提供されて、それにはカテーテル1の測定接続部品7が接続され得る。代わりに、図5では、特にシステムの更なる自動化のために、圧力測定チャネル5の代わりに、電子圧力センサー22がカテーテル1内に信号線23と統合されることも可能であることを概略的にも示している。この場合、電子圧力センサー22のセンサー信号は制御プロセッサ21に送られて、ガスフロー逆転部品又は供給システム19内の弁25を制御する。
【0055】
本発明は呼気排出補助付きのジェット換気中に患者の安全性を強化して、小さな断面のコンジットを介したこの換気方法の新しい分野での使用を広げる。
【0056】
本発明に係るカテーテル及び/又はカニューレは、自分では不十分な呼吸機能の患者を換気するために有利に使用できる。特に、本発明に係るカテーテル及び/又はカニューレは部分的又は完全に妨害されている、ほとんど完全に又は完全に妨害されている気道の患者を換気するために使用できる。本発明に係るカテーテル及び/又は針では、このような患者を小さな内腔を介して、特に1.5ミリメートル及び4.5ミリメートルの間、好ましくは3ミリメートル以下の内腔を介して、呼気排出補助付きのジェット換気により正常換気する(normoventilate)ことが可能である。
【0057】
更に、カテーテル及び/又はカニューレの先端又は先端付近に配置されている膨張体を有する本発明に係るカテーテル及び/又はカニューレを使用することは有利であり、その使用により特に、a)通常の気道がふさがれて(これによって、レーザー切除中の煙の吸入、及び血の吸引、もしかすると発癌性又はウィルスの物質(material)又は細胞の残骸(cell debris)を患者から防ぎ、感染リスクのある環境汚染が医療スタッフから遮断される)、b)本発明に係るカテーテル及び/又は針の位置が気道に対して横及び/又は放射状の位置に固定されて、c)気道の組織がカテーテル及び/又は針により損なわれる又は害されない。膨張体は好ましくは膨張式カフを含む。膨張体は、使用中に膨張体の中に特に窒素又は一つ以上の希ガスなどの不活性ガス(inert gas)又は特に水又は食塩水等の不燃性の液体(nonflammable liquid)を注入することで好ましくは膨張される。膨張体の大きさ及び膨張体の特に少なくとも一つの直径は膨張体内のガス又は液体の圧力により制御できる。呼気排出補助付きの患者のジェット換気の方法は下記の指示(indications)の一つがある場合に特に使用できる。指示とは、a)経気管ジェット換気、b)咽頭、喉頭、気管、気管支の腫瘍(例えば、癌腫、粘膜下浮腫(submucosal edema)、出血、気腫)により妨害された、ほぼ完全に又は完全にふさがれた気道の場合に小さい内腔を介しての換気、c)小さな内腔カテーテルを介した一つの肺の換気、及びd)患者の適正な換気を維持するために配置できる人工気管(例えば、気管内挿入管)の大きさを限定する気道内の診断的及び/又は治療的介入である。
【0058】
呼気排出補助付きの患者のジェット換気の方法は下記の健康状態の場合に特に使用できる。それらは、a)肺からの受動逆流(passive backflow)を限定する咽頭、喉頭、気管、気管支の気道妨害、b)適切な換気を維持するために配置される人工気道(例えば、気管内挿入管)の大きさを限定する咽頭、喉頭、気管、気管支の気道妨害、c)気道内の診断的及び/又は治療的介入の間に適切な換気を維持するために配置できる人工気道(例えば、気管内チューブ)の大きさを限定する咽頭、喉頭、気管、気管支の気道妨害、d)「換気不可能で、気管挿管不可能な(cannot ventilate-cannot intubate)」状況、及びe)負及び正の胸内の圧力を交互に引き起こす心血管系の蘇生法(cardiocirculatory resuscitation)の支持である。
【0059】
「正常換気」という用語は、(十分な酸素付加と組み合わせて)好気性代謝(aerobic metabolism)(任意の代謝率で約40mmHgの肺胞二酸化炭素圧力を発生させる肺胞換気率(alveolar ventilation rate)で)により蓄積される二酸化炭素の適切な除去として理解される。
【0060】
本発明に係るカテーテル及び/又はカニューレは、好ましくは不燃性材料又は低い燃焼性の材料、及び/又はレーザー光、特に医療的適用に通常用いられるレーザー光、に対して耐性がある材料から成る。
【0061】
換気方法は好ましくは手動換気方法であり、その方法では患者の気道へ及び気道からの呼吸ガスの流れは手動で制御され、即ち、自動供給システム又は自動ガスフロー逆転部品の支援なしで行われる。この場合、流れの方向は作業者により手動で制御される。本発明に係るカテーテル及び/又はカニューレとは、あらゆる種類のガスフロー逆転部品を使用できる。本明細書に援用される国際公開公報2008/113752A1によるガスフロー逆転部品の使用が好ましく、特にはガスフロー逆転部品が形成される又は成形される方法が好ましい。
【0062】
また、本発明に係るカテーテル及び/又は針による患者の呼気排出補助付きのジェット換気の方法が提案されており、その方法では患者の気道及び/又は肺内の呼吸ガスの圧力が制御されて、患者の気道へ及び気道からの呼吸ガスの体積流れ(volume flow)を制御するように特に圧力が使用される。
【0063】
いくつかの例示的実施例が記載されて添付の図面にも示されているが、このような実施例は広い発明を単に例示しているだけで限定してなく、本発明は図示及び記載されている特定の構成及び配置に限定されず、上述の段落に記載されたものに加えて、他の様々な変更、組み合わせ、省略、改良、及び置換が可能である。当業者であれば、前に記載された実施例の様々な適応及び改良は本発明の範囲及び精神から逸脱することなく構成され得る。従って、添付の請求項の範囲内で、本発明はここに明確に記載されたこととは別の方法で実施できると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気排出補助付きで患者を換気するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
酸素又は酸素を含有するガスを前記患者の気道へ送達すること及び前記患者の前記気道から呼吸ガスを除去することを交互に行う換気チャネルが中に規定されている細長い部材を備えて、
前記換気チャネルは、開放端及び供給システムに接続するための接続端を規定して、
前記換気チャネルの内径は最大4.5ミリメートル、好ましくは最大3ミリメートルであり、長さは少なくとも200ミリメートルである
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記細長い部材は、約6ミリメートル、好ましくは約1.5から4.5ミリメートル、の最大外径を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記供給システムはガスフロー逆転部品(gas flow reversing element)である
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項4】
圧力測定手段、好ましくは圧力センサー、は前記換気チャネルの外に配置されて、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定する
ことを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記細長い部材はその中に圧力測定チャネルを更に規定して、前記圧力測定チャネルは前記換気チャネルの前記開放端付近に開放測定端及び第二の閉じた端(closed end)を規定して、
前記圧力測定チャネルは液体及びガス部分(a liquid and a gas part)を有し、前記ガス部分は前記液体部分の動作により圧縮可能であり、前記圧力測定チャネルは前記圧力測定チャネル内の前記圧力を測定するスケール(scale)を更に規定している
ことを特徴とする、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記圧力測定手段は、前記カテーテルの前記細長い部材内に組み込まれた複数の信号線を有する少なくとも一つの電子圧力センサーを含む
ことを特徴とする、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記細長い部材はその中に圧力測定チャネルを更に規定して、前記圧力測定チャネルは前記換気チャネルの前記開放端付近の開放測定端及び第二接続端を規定して、
前記圧力センサーは測定接続部品及び圧力表示装置を有し、前記圧力測定チャネル内の前記圧力を測定するために前記測定接続部品は前記第二接続端及び前記圧力表示装置に操作可能に接続されている
ことを特徴とする、請求項4又は6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記細長い部材は、少なくとも前記細長い部材の前記開放端の前記領域では、針状の形状を有し、前記針状の形状は、特に患者の前記気管に入り込み経気管換気を行なうように構成されている
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載のカテーテル。
【請求項9】
前記細長い部材の外に前記細長い部材の前記開放端の前記領域に配置される少なくとも一つの膨張体を更に有し、流体を送達すること及び除去することをそれぞれ行うことによって少なくとも一つの前記膨張体の大きさを増加または減少させるように構成されている
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載のカテーテル。
【請求項10】
前記細長い部材の中又はその上に規定されている供給チャネルを更に有し、前記供給チャネルは前記膨張体に流体的に接続されている
ことを特徴とする、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記膨張体は、少なくとも一つ補強構造を有し、前記補強構造は、減少した大きさの状態の前記膨張体に最小体積を提供して、少なくとも10ミリバールの外部の過剰圧力又は過少圧力に対して前記膨張体の少なくとも前記最小体積を維持する
ことを特徴とする、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記細長い部材の前記外面の少なくとも一部は、不燃性、難燃性、及び/又はレーザーに耐性のある材料からなる
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載のカテーテル。
【請求項13】
前記細長い部材の前記外面の少なくとも一部は、不燃性、難燃性、及び/又はレーザーに耐性のある材料が塗布されている
ことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載のカテーテル。
【請求項14】
患者を換気する方法であって、前記方法は、
供給システムを設けて、
前記患者の気道へ酸素又は酸素含有ガスを送達すること及び前記気道から呼吸ガスを除去することを交互に行うための換気チャネルを中に規定している細長い部材を含むカテーテルを設けて、
前記換気チャネルは、開放端及び前記供給システムに接続するための接続端を規定して、
前記カテーテルは、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定するための前記換気チャネルの外に配置されている圧力センサーを更に有し、
前記カテーテルを外から前記気管内に挿入して、
前記カテーテルを通して呼気排出補助付きでジェット換気を実施して、
前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定して、
圧力測定値に基づいて酸素及び/又は空気を送達する及び除去する間隔を決定する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記実施ステップは、前記カテーテルに操作可能に接続されている酸素又は酸素含有ガスを送達する及び呼吸ガスを除去することを交互に行うためのプロセッサに制御された弁(processor-controlled valves)を有するガスフロー逆転部品を使用して実施される、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カテーテルは膨張体を更に含み、
前記膨張体が前記気道を封鎖するまで前記膨張体の大きさを変更する前記ステップを更に含む
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記挿入ステップは、治療又は診断される前記気道の部位よりも前記膨張体が深く配置されるように前記患者の前記気道の奥に前記カテーテルを挿入することを含み、前記カテーテルを前記気道の前記周辺組織に対して封止するように適切な位置に保持するまでに前記膨張体は少なくとも間欠的に膨張されて、
前記実施ステップは、治療される前記部位の治療の前、間、及び/又は後に実施される
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カテーテルは膨張体を更に含み、前記膨張体の大きさを間欠的に変更する前記ステップを更に含み、
大きさの前記間欠的な変更の前記タイミングは、前記実施ステップにおいて酸素又は酸素含有ガスを送達すること及び呼吸ガスを除去することを交互に行うことと同期している
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記膨張体の大きさを間欠的に変更する前記ステップは、前記膨張体の大きさを増加させる及び減少させることを含む
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記膨張体の大きさを間欠的に増加させる及び減少させるステップは、前記膨張体に不燃性ガスを送達すること及び除去することをそれぞれ含む
ことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記不燃性ガスは窒素又は希ガスを含む
ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記測定ステップは、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を、前記開放端付近の前記細長い部材内に配置された電子圧力センサーを用いて測定することを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記細長い部材はその中に圧力測定チャネルを更に規定して、前記圧力測定チャネルは前記換気チャネルの前記開放端付近に開放測定端及び第二接続端を規定して、
前記圧力センサーは測定接続部品及び圧力表示装置を含み、前記測定接続部品は前記第二接続端及び前記圧力表示装置に操作可能に接続されており、
前記測定ステップでは、前記圧力表示装置を用いて前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定することを含む
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項24】
ある対象の呼吸障害を改善する方法であり、前記方法は、
供給システムを設けて、
前記患者の気道へ空気及び/又は酸素を送達して及び前記気道から空気及び/又は酸素を除去することを交互に行うための換気チャネルを中に規定している細長い部材を含むカテーテルを設けて、
前記換気チャネルは、開放端及び前記供給システムに接続するための接続端を規定して、
前記カテーテルを外から前記気管内へ挿入して、
前記対象が正常換気されるように、前記カテーテルを通して呼気排出補助付きのジェット換気を実施することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記カテーテルは、前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定するための前記換気チャネルの外に配置されている圧力センサーを更に含み、
前記方法は、
前記換気チャネルの前記開放端付近の前記圧力を測定して、
前記圧力測定値に基づいて酸素及び/又は空気を送達すること及び除去することの間隔を決定する
ことを更に含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記換気チャネルは、内径が最大4.5ミリメートル、好ましくは最大3ミリメートルであり、長さは少なくとも200ミリメートルである
ことを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記カテーテルを通る前記吸気及び前記吸引のガスの流量は毎分約12から20リットル、好ましくは毎分約15リットルである
ことを特徴とする請求項24から26のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−520708(P2012−520708A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500234(P2012−500234)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053445
【国際公開番号】WO2010/106094
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511227303)ドルフィース テクノロジーズ ベスローテン ヴェンノーツハップ (1)
【氏名又は名称原語表記】DOLPHYS TECHNOLOGIES B. V.
【住所又は居所原語表記】N−laag,F.0.03,Den Dolech 2,NL−5612 AZ Eindhoven(NL)