説明

ジャイロトロン

【課題】 省電力且つコンパクト設計可能なジャイロトロンの提供。
【解決手段】発振管内部2は、電子銃3が配される電子銃部21と、磁石5が配される位置に対応するキャビティ部22と、キャビティ部下流に位置するコレクタ部23の3つの領域から構成され、電子銃部において、電子銃から出力された電子ビームは徐々に径小となる管路211を介して、キャビティ内に至り、キャビティ内で電子銃から出力された電子ビームが電磁波に変換され、コレクタ部は、キャビティ部から連続的に径大となるテーパ管路部分231を備え、電磁波がコレクタ部を通じて出力窓から発振されるとともに、コレクタ部壁面はキャビティを通過した電子ビームの電子を捕捉するジャイロトロン1であって、発振管途中部の外径が、電子銃部及びコレクタ部内のテーパ形状部分の最大径よりも径小とされ、途中部を外嵌する環状磁石が分割構造とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波を発生させるジャイロトロンに関し、より詳しくは、省電力且つコンパクト設計可能なジャイロトロンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信技術の発達により、電磁波が産業上利用される機会が著しく増大している。電磁波の技術開発の歴史は、1752年のフランクリンの実験を皮切りに、マクスウェルの電磁場理論(1864年)、ヘルツによる電磁場の実証(1888年)、そしてマルコーニの大西洋横断通信(1901年)に行われたことがよく知られている。
【0003】
通信分野の電磁波の利用の歴史を見ると、ラジオ放送(中波)から始まり、短波を利用した国際通信に発展し、その後、テレビ放送において、超短波や極超短波が用いられるようになり、現在では、衛星放送にマイクロ波が用いられている。
このように現代の生活において電磁波の利用は欠かすことのできないものとなり、その利用範囲はますます増大の一途を辿るが、このような技術的発展は1つの問題を抱えている。
【0004】
上記の通信分野における電磁波の利用の例を鑑みる。
同じ周波数に複数の電波が存在すると、混信を生ずるという問題がある。一般に1つの電波は周波数に広がりを有するので、例えば、1つの電波が1MHzの広がりを持つとき、100MHzから110MHzの間には10個以上の電波を並べることができない。このような観点から、電波は有限な資源ということができ、上記の技術的発展は、利用可能な周波数帯の枯渇、即ち資源の枯渇をもたらすこととなる。
【0005】
ミリ波(波長1mm以上1cm以下、周波数約30GHz以上約300GHz以下の電磁波)の利用は、高出力で安定的に動作する光源及び高感度受信機の欠如のため、開発がこれまでほとんど行われてこなかった唯一の電磁波領域であり、「電磁波の谷間」とされている。ミリ波の利用は、これまで軍事用レーダなどといった特殊な用途にしか用いられていない。
【0006】
ミリ波の特性として、直進性が強くなり、物の後ろに回り込む性質が低いことが挙げられる。また、金属以外の物体にも遮られるという性質も備える。また、分子の振動の影響を受けやすく、例えば、水や酸素があるとミリ波が吸収されるという性質も備える。上記ミリ波の特性から、ミリ波は、遠方に飛ぶことができないという性質がある。この特性は、遠方への通信には不向きな一方、遠方からの混信を受けにくいという特性を意味し、短距離の通信には、非常に適した電磁波ということがいえる。このようなミリ波の特性から、ミリ波は、自動車衝突防止用レーダや高速無線LANなどといった分野への応用が期待されている。
【0007】
更には、ミリ波を用いた加熱は、従来の電子レンジ等に用いられるマイクロ波を用いる自己発熱効率よりも高い効率の発熱効果を得ることが可能である。これは、電磁波が照射された被加熱物の発熱量は、照射される電磁波の周波数に比例し、ミリ波の方がマイクロ波よりも周波数が高いことに起因する。また、ミリ波は、金属の加熱も可能であり、アークを発生させることなく、金属体の一様な加熱を行うことも可能である。
【0008】
このため、ミリ波は、核融合実験のプラズマ昇温など、高温を要求する技術分野への応用が進められている。更には、近年においては、材料研究の場において用いられ、例えば、セラミックスの焼結実験や窒化金属の開発などが行われている。
【0009】
ミリ波を作り出す装置として、ジャイロトロンが知られ、様々なジャイロトロンが提案されている(例えば、特許文献1や2)。
図4に、従来のジャイロトロンの基本構成の概略を示す。
ジャイロトロン(J)は、発振管(T)を備える。発振管(T)内部において、発振管(T)の一端部には電子銃(G)が配設され、電子銃(G)は発振管(T)軸方向に電子ビームを出力する。そして、電子ビームは発振管(T)の他端部に向かって進む。発振管(T)他端部には出力窓(W)が配される。
【0010】
発振管(T)の内部は、3つの領域に分けられ、図4中左方から電子銃部(T1)、キャビティ部(T2)及びコレクタ部(T3)とされる。
電子銃部(T1)には、上述の如く、電子銃(G)が配される。電子銃(G)から先に延びる電子銃部(T1)の管路はキャビティ部(T2)に向けて連続的に狭くなるテーパ形状とされる。
キャビティ部(T2)は、上述の如く電子銃部(T1)の管路と連通する細く形成された一定断面の管路である。
キャビティ部(T2)の後にコレクタ部(T3)が配される。コレクタ部(T3)の管路はキャビティ部(T2)から徐々に径大となるテーパ状に形成される部分と、その後一定断面となる部分を備える。
キャビティ部(T2)に対応する位置において、環状の磁石(M)が配される。磁石(M)は、キャビティ部(T2)の長さよりも長く形成され、その両端部は、キャビティ部(T2)の入口側及び出口側に形成されたテーパ管路部分の途中部の位置に至る。
【0011】
電子銃(G)から出力された電子ビームは磁石(M)に引き出されるとともに、電子銃部(T1)のテーパ管路に案内されて竜巻状の回転エネルギの大きな電子の渦となる。電子渦を構成する電子の1秒当りの回転数(相対論的電子サイクロトロン周波数)は、電子銃(G)から放出される電子と磁石(M)の磁場によって定められる。この電子渦はキャビティ部(T2)に導入される。
共鳴周波数がこの電子の回転数と一致するとき、電子の運動エネルギが、電磁波(ミリ波)へと変換される。この変換は、メーザの原理に基づくものである。
キャビティ部(T2)で、電子の運動エネルギから変換された電磁波は、発振管(T)の軸に沿って直進し、コレクタ部(T3)の管路を通り、出力窓(W)を介して、発振管(T)の外へ出力される。一方、キャビティ部(T2)を通り抜けた電子は、コレクタ部(T3)の壁面と衝突し、コレクタ部(T3)に吸収される。
出力窓(W)から出力された電磁波は、出力窓(W)の下流側に取り付けられた電磁波ガイド管(F)によりガイドされ更に直進する。
【0012】
【特許文献1】特開平6−196099号公報
【特許文献2】特開平7−94106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように、様々な分野への利用が期待されるミリ波を作り出すジャイロトロンは以下のような課題を有する。
より高出力のミリ波を作り出そうとするとき、電子を回転運動させるための磁場を強力にする必要がある。このため、磁石(M)に永久磁石を用いた場合には、発振管(T)途中部を外嵌する環状の磁石(M)が大型になり、これはジャイロトロン及びジャイロトロンを組み込んだ装置の大型化を招くこととなっていた。磁石(M)が電磁石である場合には、高電流を磁石(M)に供給する必要があった。
或いは、高速度で電子を発生させる電子銃(G)を用いることも、高出力ミリ波を作り出す手段の1つであるが、このような電子銃(G)は高価であり、高速化のための技術的限界もある。
したがって、従来においては、高出力ミリ波を発生させるジャイロトロンは、高電力を要し或いは大型のものしか存在せず、低電力或いは小型で高出力のミリ波を発生可能なジャイロトロンの出現が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明は、内部を真空状態とされる筒状の発振管と、前記発振管の一端部に配されるとともに電子ビームを前記発振管軸方向に出力する電子銃と、該電子銃が配される端部と対向する端部に配される出力窓と、前記発振管途中部を外嵌する環状の磁石からなり、前記発振管内部は、電子銃が配される電子銃部と、前記磁石が配される位置に対応するキャビティ部と、前記キャビティ部下流に位置するコレクタ部の3つの領域から構成され、前記電子銃部において、前記電子銃から電子ビームが出力されるとともに、該出力された電子ビームは徐々に径小となる管路を介して、前記キャビティ内に至り、該キャビティ内で前記電子銃から出力された電子ビームが電磁波に変換され、前記コレクタ部は、前記キャビティ部から連続的に径大となるテーパ管路部分を備え、前記電磁波がコレクタ部を通じて前記出力窓から発振されるとともに、前記コレクタ部壁面は前記キャビティを通過した電子ビームの電子を捕捉するジャイロトロンであって、前記発振管途中部の外径が、前記電子銃部及び前記コレクタ部内のテーパ形状部分の最大径よりも径小とされ、該途中部を外嵌する環状磁石が分割構造とされることを特徴とするジャイロトロンである。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記磁石が永久磁石であることを特徴とする請求項1記載のジャイロトロンである。
請求項3記載の発明は、前記磁石が電磁石であることを特徴とする請求項1記載のジャイロトロンである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、磁石からキャビティ部までの距離が短くなり、より小型の磁石或いは電磁石へのより少ない電力供給であっても、従来のジャイロトロンと同程度の出力のミリ波を発生させることができる。
また、高い磁力の磁石を用いれば、従来のジャイロトロンよりも高出力のミリ波を発生させることが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、従来のジャイロトロンよりも小型のジャイロトロンを構築することが可能となる。
請求項3記載の発明によれば、従来のジャイロトロンよりも低い要求電力のジャイロトロンを構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るジャイロトロンの実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るジャイロトロンの軸方向に沿う断面図である。
ジャイロトロン(1)は、筒状の発振管(2)を備える。発振管(2)の内部は真空状態とされる。発振管(2)の内部は、3つの領域に分けられる。図1中左方に形成される空間は、電子銃(3)が配される電子銃部(21)とされ、電子銃部(21)に連通する空間はキャビティ部(22)とされ、キャビティ部(22)の右方に配され、キャビティ部と連通する空間がコレクタ部(23)とされる。
【0018】
電子銃部(21)内には電子銃(3)が配設される。電子銃(3)は棒状のカソード(31)と、カソード(31)外周から所定の距離を開けて該カソード(31)を囲むように形成されたアノード(32)を備える。電子銃(3)は電子銃部(21)左端に固定されている。電子銃(3)はカソード(31)左端から延出する電源コード(311)から電力を供給され、カソード(31)先端から右方に向かって電子ビームを発射する。
尚、アノード(32)の右端は、カソード(31)先端よりも右方に位置し、カソード(31)先端から照射された電子ビームが発振管(1)に沿って進むようにガイドする。
【0019】
電子銃部(21)は更に、テーパ管路部(211)を備える。テーパ管路(211)は、カソード(31)先端より右側に形成され、カソード(31)先端から離れるにつれて連続的に径小となるテーパ管路となっている。
カソード(31)から照射された電子ビームは、徐々に径小となるテーパ管路(211)を通じて、キャビティ部(22)に至る。
【0020】
キャビティ部(22)は、細く形成された断面一定の管路である。テーパ管路(211)からキャビティ部(22)に至った電子ビームの電子の回転運動エネルギは、キャビティ部(22)で電磁波(ミリ波)に変換される。
【0021】
キャビティ部(22)を通過した電子ビームはコレクタ部(23)に至る。
コレクタ部(23)は、キャビティ部(22)と連通するとともに、キャビティ部(22)から離れるにつれて連続的に径大となるテーパ管路(231)と、テーパ管路(231)と連通するとともに、断面一定となって下流方向に延びる定管路(232)からなる。
【0022】
キャビティ部(22)を通過する電子ビームを構成する電子は旋回運動をしているが、テーパ管路(231)に至ると、旋回運動に起因する遠心力によって、電子は発振管(2)の軸から離れていく。即ち、旋回運動の半径が大きくなっていく。そして、電子は、コレクタ部(23)壁面と衝突し、コレクタ部(23)壁面に捕捉される。一方、キャビティ部(22)で作られた電磁波は直進性を備えるので、発振管(2)の軸に沿って直進し、コレクタ部(23)右端に固定された出力窓(4)に向かう。
尚、出力窓(4)は、ダイヤモンドから形成されることが好ましい。ダイヤモンドからなる出力窓(4)を用いることで、熱損傷を最小限化できる。
【0023】
発振管(2)の外部構造において、キャビティ部(22)の軸方向位置に対応する部分が途中部(220)とされる。
途中部(220)において、発振管(2)の外径は、キャビティ部(22)左右に形成されるテーパ管路(211,231)の最大径部分の直径よりも小さく形成される。
途中部(220)における発振管(2)の外径は、テーパ管路(211,231)の最大直径に対して10%以上80%以下とされることが好ましい。10%未満の直径であると、電磁波を作り出すことが困難となり、80%以上であると、省電力或いは設計のコンパクト化の効果がさほど得られなくなるためである。尚、最も好ましい途中部(220)の外径寸法の範囲は、テーパ管路(211,231)の最大直径に対して、30%以上60%以下である。
【0024】
図2は、磁石を示す。図2(a)、(b)及び(c)はそれぞれ異なる磁石の分割構造を示す。
途中部(220)に、環状の磁石(5)が外嵌する。図2に示す如く、磁石(5)は分割構造とされる。分割構造の形態は、途中部(220)を外嵌可能であれば特に限定されず、例えば、図2(a)に示す如く2等分としてもよいし、3等分以上としてもよい。また必ずしも、分割が等分で行われる必要はなく、例えば、図2(b)に示す如く、分割された磁石(5)を小片からなる部分と大片からなる部分としてもよい。
尚、図2(c)に示すように、環状の磁石(5)の内径部分から平行な接線を引くように磁石(5)を大片と小片とに分割すると好ましい。このようにすると、大片からなる部分が途中部(220)の外周大半を覆うため、キャビティ部(22)内において均一な磁場を得やすくなる。また、途中部(220)と磁石(5)内壁が密着するので、より強い磁場をキャビティ部(22)にもたらすことができる。
【0025】
このように分割構造の磁石(5)を用いることで、くびれるように形成された途中部(220)に磁石(5)の内壁面を密着させることができる。磁場の強さは、距離の2乗に反比例するので、このようにくびれ構造の発振管(1)の途中部(220)に磁石(5)内壁を密着させることで、キャビティ部(22)内により強い磁場を作り出すことが可能となる。
【0026】
尚、途中部(220)はキャビティ部(22)より長く形成され、途中部(220)の左右端は、テーパ管路(211,231)の途中部分に位置し、磁石(5)左右端面も同様にテーパ管路(211,231)の途中部分に位置する。
【0027】
図1に示す如く、出力窓(4)の右側には、円筒状の出力案内管(6)が取り付けられている。出力案内管(6)は、出力窓(4)から出た直後の電磁波の方向を整える。これにより、出力窓(4)から出た後の電磁波も発振管(2)軸方向に直進する。
【0028】
図3は、ジャイロトロン(1)の作動原理を示す図である。
電子銃(3)から放出された電子は、磁石(5)及び電子銃(3)の放電圧力により、磁石(5)からの磁力線に巻きつくように移動し、旋回運動しながら電子銃部(21)のテーパ管路(211)に至る。テーパ管路(211)内で電子の旋回半径は徐々に低減する一方で、その回転数は増加する。このようにして、電子銃(3)からの電子ビームは竜巻状の電子渦を形成する。そして、電子ビームはキャビティ部(22)に至る。
磁石(5)の内壁面は、キャビティ部(22)に近い位置に配されるので、より高い磁場がキャビティ部(22)内に形成される。これにより、電子の回転数と共鳴周波数の同調による電子の運動エネルギの電磁波への変換によって生ずる電磁波の周波数をより高いものとすることができる。
キャビティ部(22)を通過した電子(e)は、その回転運動の遠心力及びキャビティ部(22)との接続部から連続的に径大となるテーパ管路(231)の形状により、発振管(2)の軸から離れるように移動し、コレクタ部(23)の壁面と衝突し、コレクタ部(23)に捕捉される。
一方で、電磁波(w)は発振管(2)の軸に沿って直進し、出力窓(4)を介して発振管(2)外に放出される。
【0029】
本発明のジャイロトロンと従来の途中部(220)により形成されるくびれを備えないジャイロトロンの比較を、具体的数値を用いて行う。
ここで、出力15kW、周波数30GHz、発振モードTE01のジャイロトロンを設計する場合を考える。発振周波数30GHzを基本波で得るためには、キャビティ部で1.0テスラの磁場が必要となる。第2高調波にすると、必要とされる磁場は0.5テスラであるが、発振効率が基本波と較べて低くなる。
このような出力特性を備えるジャイロトロンを従来の機構を用いて設計すれば、コレクタ部及び電子銃部に必要とされる外径はφ100mm程度となり、従来においてはくびれ構造が採用されていないため、ジャイロトロンの中間位置、即ち途中部の外径寸法は約φ100mm程度となる。本発明の途中部(220)によって形成されるくびれ及び分割構造の磁石(5)を用いたジャイロトロン(1)の途中部(220)における発振管(2)の外径寸法は、くびれ部分に水冷構造を備えることを考慮したとしても、約φ25mmで十分である。
上記寸法のジャイロトロンに適用される永久磁石の重量は、従来構造の場合、0.5テスラの磁場を得るためには、500kgのNd−Fe−B系永久磁石が要求されるのに対して、本発明においては、80kgのNd−Fe−B系永久磁石が必要とされる。即ち、重量を約6分の1に低減できる。これに比例して、製造コストの低減も同様に図ることができる。
尚、本発明のジャイロトロンの構造を最適設計した場合、キャビティの寸法は約φ9mmであり、このときのジャイロトロンのくびれ部分の外径寸法は、水冷機能等を考慮して、約φ20mm程度となる。
このとき、従来構造の場合、電磁石の消費電力は36kWとなるのに対して、本発明の場合、同等の出力を得るのに1.8kWしか要さない。したがって、省電力化に優れることとなる。永久磁石を用いた場合においては、従来構造において必要とされる永久磁石の重量に対して10分の1程度の重量の50kgの永久磁石を用いることが可能であり、非常に軽量化されたジャイロトロンの構造を構築可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ミリ波を省電力或いはコンパクト設計で出力可能なジャイロトロンに関する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るジャイロトロンの断面図である。
【図2】本発明に係るジャイロトロンに用いられる磁石を示す図である。
【図3】本発明に係るジャイロトロンの作動原理を示す図である。
【図4】従来のジャイロトロンの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・・・ジャイロトロン
2・・・・・発振管
21・・・・電子銃部
211・・・テーパ管路
22・・・・キャビティ部
23・・・・コレクタ部
231・・・テーパ管路
3・・・・・電子銃
4・・・・・出力窓
5・・・・・磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を真空状態とされる筒状の発振管と、
前記発振管の一端部に配されるとともに電子ビームを前記発振管軸方向に出力する電子銃と、
該電子銃が配される端部と対向する端部に配される出力窓と、
前記発振管途中部を外嵌する環状の磁石からなり、
前記発振管内部は、電子銃が配される電子銃部と、前記磁石が配される位置に対応するキャビティ部と、前記キャビティ部下流に位置するコレクタ部の3つの領域から構成され、
前記電子銃部において、前記電子銃から電子ビームが出力されるとともに、該出力された電子ビームは徐々に径小となる管路を介して、前記キャビティ内に至り、
該キャビティ内で前記電子銃から出力された電子ビームが電磁波に変換され、
前記コレクタ部は、前記キャビティ部から連続的に径大となるテーパ管路部分を備え、前記電磁波がコレクタ部を通じて前記出力窓から発振されるとともに、前記コレクタ部壁面は前記キャビティを通過した電子ビームの電子を捕捉するジャイロトロンであって、
前記発振管途中部の外径が、前記電子銃部及び前記コレクタ部内のテーパ形状部分の最大径よりも径小とされ、
該途中部を外嵌する環状磁石が分割構造とされることを特徴とするジャイロトロン。
【請求項2】
前記磁石が永久磁石であることを特徴とする請求項1記載のジャイロトロン。
【請求項3】
前記磁石が電磁石であることを特徴とする請求項1記載のジャイロトロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−278285(P2006−278285A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99772(P2005−99772)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(502237515)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】