説明

ジョイントコネクタ

【課題】端子保持力を高めることが可能なジョイントコネクタを提供する。
【解決手段】複数の端子部12を有するジョイント端子10がコネクタハウジング20に保持され、コネクタハウジング20には、ジョイント端子10に接続可能な相手側端子金具40が挿入されるキャビティ21と、キャビティ21に挿入された相手側端子金具40に係止してこの相手側端子金具40を抜け止めするランス22とが設けられ、コネクタハウジング20は、複数が積層可能とされ、コネクタハウジング20には、重ねられた他のコネクタハウジング20のキャビティ21に突出可能な係止突起25が設けられるとともに、他のコネクタハウジング20には、係止突起25をキャビティ21に貫通させる貫通穴26が形成され、コネクタハウジング20が積層されると、係止突起25が貫通穴26からキャビティ21に突出して相手側端子金具40に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の端子部を有するジョイント端子が、コネクタハウジングに保持されてなるジョイントコネクタが知られている(例えば下記特許文献1に記載)。このジョイントコネクタのコネクタハウジングには、ジョイント端子に接続可能な相手側の端子金具が挿入されるキャビティと、キャビティに挿入された相手側の端子金具に係止して、この端子金具を抜け止めするランスとが設けられている。相手側の端子金具は、ワイヤハーネスから引き出された電線の端末に固着されており、この種のジョイントコネクタは、一般に、ワイヤハーネスの幹線にテープにより巻き付けられて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−67483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなジョイントコネクタでは、相手側の端子金具にランスが係止することのみにより、この端子金具の抜け止めがなされている。このため、例えばランスに加えてリテーナ等が端子金具に二重係止するタイプのコネクタに比して、端子保持力が低いという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子保持力を高めることが可能なジョイントコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のジョイントコネクタは、複数の端子部を有するジョイント端子がコネクタハウジングに保持され、前記コネクタハウジングには、前記ジョイント端子に接続可能な相手側端子金具が挿入されるキャビティと、前記キャビティに挿入された前記相手側端子金具に係止してこの相手側端子金具を抜け止めするランスとが設けられ、前記コネクタハウジングは、複数が積層可能とされ、前記コネクタハウジングには、重ねられた他のコネクタハウジングの前記キャビティに突出可能な係止突起が設けられるとともに、前記他のコネクタハウジングには、前記係止突起を前記キャビティに貫通させる貫通穴が形成され、前記コネクタハウジングが積層されると、前記係止突起が前記貫通穴から前記キャビティに突出して前記相手側端子金具に係止し、この相手側端子金具を抜け止めするものである。
このような構成によれば、相手側端子金具は、ランスと係止突起とによって二重係止されるから、ジョイントコネクタの端子保持力を高めることができる。
【0007】
また、前記コネクタハウジングに積層可能なカバーを備え、前記カバーは、前記係止突起と、ワイヤハーネス以外の部品に取り付け可能な取付部とを有しているものとしてもよい。このような構成によれば、コネクタハウジングにカバーを積層することにより、相手側端子金具を二重係止することができ、またコネクタハウジングをワイヤハーネス以外の部品に取り付けることができる。したがって、複数のコネクタハウジングを積層することでその高さ寸法が増し、ワイヤハーネスへの巻き付け固定が困難な場合に有利である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、端子保持力を高めることが可能なジョイントコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態におけるジョイントコネクタであって、積層する前の状態を示す斜視図
【図2】ジョイントコネクタの正面図
【図3】ジョイントコネクタの平面図
【図4】ジョイントコネクタの底面図
【図5】ジョイントコネクタの断面図
【図6】ジョイントコネクタとカバーとが積層された状態を示す斜視図
【図7】ジョイントコネクタとカバーとが積層された状態を示す正面図
【図8】ジョイントコネクタとカバーとが積層された状態を示す断面図であって、図7のA−A位置における断面に相当する断面図
【図9】他の実施形態(7)におけるジョイントコネクタとカバーとが積層された状態を示す斜視図
【図10】他の実施形態(8)におけるジョイントコネクタとダミーコネクタとが積層された状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した本実施形態について、図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態におけるジョイントコネクタCは、複数の端子部12を有するジョイント端子10が、コネクタハウジング20に保持されたものである。このジョイントコネクタCには、図示しないワイヤハーネスの幹線から引き出された電線Wが接続される。以下、各構成部材において、図1の上側を上方、下側を下方、左手前側を前方、右奥側を後方として説明する。
【0011】
コネクタハウジング20は合成樹脂製であって、全体として偏平な箱形をなしている。コネクタハウジング20には、ジョイント端子10に接続可能な相手側端子金具(以後、単に端子金具40と称する)が挿入されるキャビティ21が、複数(本実施形態では10室)設けられている。キャビティ21は、端子金具40の接続部41よりも一回り大きい略長方形断面をなし、図5に示すように、前後方向に細長い形状とされ、後方から端子金具40が挿入可能とされている。複数のキャビティ21は、コネクタハウジング20の幅方向に一列に並んで配されている。
【0012】
コネクタハウジング20には、キャビティ21に挿入された端子金具40に係止してこの端子金具40を抜け止めするランス22が設けられている。ランス22は、コネクタハウジング20の外壁のうちキャビティ21よりも上側に配される上壁部20Aに、スリット23を入れることで形成されている。ランス22は、キャビティ21と同数が、コネクタハウジング20の幅方向に並んで形成されている(図3参照)。
【0013】
ランス22は、前方へ向かって片持ち状に延出する形態をなし、コネクタハウジング20の内外方向(上下方向)に弾性撓み可能とされている(図5参照)。各ランス22の前端部(自由端部)には、キャビティ21内へ突出して端子金具40に係止する係止部22Aが設けられている。ランス22が自然状態にあるときには、その全体がコネクタハウジング20の上壁部20Aから上側に突出しないで配され、ランス22の外面とコネクタハウジング20の外面とが平坦な面を構成する。
【0014】
コネクタハウジング20の前端部には、ジョイント端子10が装着される端子装着部24が設けられている(図5参照)。端子装着部24は、ジョイント端子10の板厚寸法と同等の高さ寸法を有して、キャビティ21の前方に設けられた空間であり、前方からジョイント端子10が装着可能とされている。端子装着部24には、ジョイント端子10に係合してジョイント端子10の抜け止めを図る抜け止め突起(図示せず)が設けられている。
【0015】
端子金具40は、導電性を有する金属板材から形成され、全体として前後方向に細長い形状をなす雌型のものである(図8参照)。端子金具40の前側には、ジョイント端子10と接続される接続部41が設けられ、後側には、ワイヤハーネスを構成する電線Wの端末部をかしめ付けるバレル部42が設けられている。
【0016】
接続部41は、前後方向に開放された角筒状をなし、ジョイント端子10の端子部12が前方から挿入されて電気的に接続するものとされている。また、接続部41には、ランス22の係止部22Aと係止可能な被係止部43が突設されている。被係止部43は、接続部41の前端寄りの位置に設けられ、その後側に係止部22Aが係止する。
【0017】
ジョイント端子10は、導電性の金属板材をプレス加工することにより製造されるものであり、図1に示すように、帯状基部11から互いに所定の間隔を空けて複数本(キャビティ21と同数の10本)の端子部12が突出した形状とされている。
【0018】
ジョイント端子10の帯状基部11には、プレス加工時に金属板材を送り出すための送り孔13が、所定ピッチで並んで設けられている。送り孔13は、帯状基部11のうち端子部12の間に位置し、略方形をなして帯状基部11を板厚方向に貫通している。この送り孔13に、コネクタハウジング20の端子装着部24に設けられた抜け止め突起が係合する。ジョイント端子10がコネクタハウジング20の端子装着部24に装着された状態では、各端子部12が、各キャビティ21内に突出した状態になる。
【0019】
さて、コネクタハウジング20は、複数が積層可能とされている。
各コネクタハウジング20には、重ねられた他のコネクタハウジング20のキャビティ21に突出可能な係止突起25と、重ねられた他のコネクタハウジング20に設けられた係止突起25を、キャビティ21に貫通させる貫通穴26とが形成されている(図5および図8参照)。
【0020】
貫通穴26は、図3に示すように、コネクタハウジング20の上壁部20Aに貫通形成されている。貫通穴26は、ランス22の後側に設けられ、コネクタハウジング20の幅方向に細長い略長方形をなして開口している。貫通穴26は、図5に示すように、キャビティ21の間を仕切る隔壁21Aを切り欠いて形成され、全てのキャビティ21にまたがっている。
【0021】
貫通穴26は、図5に示すように、断面略台形状をなし、下方へ向かって前後方向の開口寸法が狭くされている。貫通穴26の前側面26Aは、コネクタハウジング20の上面に対して略垂直に切り立った面とされ、貫通穴26の後側面26Bは、下方へ向かって前側面26Aに接近する向きで傾斜した傾斜面とされている。
【0022】
係止突起25は、図5に示すように、コネクタハウジング20の下面に突設されている。係止突起25は、貫通穴26の形状に整合する断面略台形状とされている。係止突起25の前端面25Aは、コネクタハウジング20の下面に対して切り立った面(端子金具40の挿抜方向に対して垂直な面)とされ、係止突起25の後端面25Bは、貫通穴26の後側面26Bに沿う傾斜面とされている。係止突起25は、図2および図4に示すように、コネクタハウジング20の幅方向に長い壁状とされ、コネクタハウジング20に収容される全ての端子金具40に一括して係止可能とされている。
【0023】
複数のジョイントコネクタCが上下方向に積層されると、図8に示すように、上側のコネクタハウジング20の係止突起25が、下側のコネクタハウジング20の貫通穴26からキャビティ21に突出する。このとき、上側のコネクタハウジング20の係止突起25の半分以上が、下側のコネクタハウジング20のキャビティ21に突出し、その前端面25Aが端子金具40の接続部41の後側に近接して配される。これにより、端子金具40の抜け止めがなされる。
【0024】
コネクタハウジング20には、積層された複数のコネクタハウジング20を前後方向に位置決めする位置決め部27が設けられている。この位置決め部27は、図1に示すように、コネクタハウジング20の下面に突設された位置決め凸部27Aと、コネクタハウジング20の上面に凹設された位置決め凹部27Bとを有している。
【0025】
位置決め凹部27Bは、図3に示すように、貫通穴26の両側に設けられ、前後方向に細長い長方形状をなして上方に開口している。
位置決め凸部27Aは、図4に示すように、位置決め凹部27Bに嵌合可能な、前後方向に長い略長方形の壁状とされている。位置決め凸部27Aは、係止突起25の両側に並んで設けられ、コネクタハウジング20の下面からの突出寸法は、係止突起25の突出寸法と同等とされている(図2参照)。
【0026】
複数のコネクタハウジング20が上下方向に積層されると、上側のコネクタハウジング20の位置決め凸部27Aが、下側のコネクタハウジング20の位置決め凹部27Bに挿入される。そして、位置決め凸部27Aの前後両端が、位置決め凹部27Bの前後両端に近接、もしくは接触して配置され、これにより、積層された複数のコネクタハウジング20の前後方向の位置決めがなされる。
【0027】
コネクタハウジング20には、複数のコネクタハウジング20を、積層状態にロックするロック部28が設けられている。このロック部28は、図1に示すように、コネクタハウジング20の上面に設けられたロック凸部28Aと、コネクタハウジング20の側面に設けられたロック凹部28Bとからなる。
【0028】
ロック凸部28Aは、コネクタハウジング20の上面に立ち上げられている。ロック凸部28Aは、図3に示すように、コネクタハウジング20の前端部および後端部(位置決め凹部27Bの前側および後側)に一対ずつが設けられている。ロック凸部28Aは、図1に示すように、コネクタハウジング20の幅方向の両端縁に沿って形成された壁状突部29と、その突出端に形成された爪部31とを有している。爪部31は、図2に示すように、コネクタハウジング20の幅方向の中央側に突出し、その下面は、コネクタハウジング20の上面と略平行をなしている。なお、爪部31の上面は、先端に向かって下側に傾斜している。
【0029】
ロック凹部28Bは、図2に示すように、コネクタハウジング20の外壁のうち並列するキャビティ21の両外側に配される側壁部20Bに設けられている。ロック凹部28Bは、図4に示すように、ロック凸部28Aに対応するコネクタハウジング20の前端部および後端部(位置決め凸部27Aの前側および後側)に一対ずつが設けられている。ロック凹部28Bは、図2および図7に示すように、ロック凸部28Aの爪部31が嵌合する爪嵌合部32と、壁状突部29が嵌合する壁嵌合部33とを有している。ロック凹部28Bは側壁部20Bに凹設され、爪嵌合部32および壁嵌合部33はいずれも側方に開放された溝状をなしている。なお、爪嵌合部32の深さ寸法は、壁嵌合部33の深さ寸法よりも大きくされている。
【0030】
複数のコネクタハウジング20が上下方向に積層されると、図7に示すように、下側のコネクタハウジング20のロック凸部28Aが、上側のコネクタハウジング20のロック凹部28Bに嵌合する。そして、爪部31の下面が爪嵌合部32の下面に近接、もしくは接触して配置され、これにより、積層されたコネクタハウジング20が上下方向に離間することなく積層状態に保持される。この積層状態では、上側のコネクタハウジング20の下面と、下側のコネクタハウジング20の上面とが面接触している。また、上下のコネクタハウジング20のロック凸部28Aが上下方向に連なって配され、複数のジョイントコネクタCが積層されてなる合体コネクタUの両側面は略平坦な面となる。
【0031】
ジョイントコネクタCは、コネクタハウジング20に積層可能なカバー50を備えている。
カバー50は合成樹脂製であって、コネクタハウジング20の上側に積層されるものである。カバー50は、コネクタハウジング20の上面の略全体を覆う蓋体51と、下側に配されるコネクタハウジング20のキャビティ21に突出可能な係止突起52とを備えている(図8参照)。蓋体51は、コネクタハウジング20の平面形状に整合する平面視略長方形の板状とされている(図1参照)。また、カバー50の係止突起52(図8参照)は、コネクタハウジング20の係止突起25と同様の構成を有して蓋体51の下面に突設されている。
【0032】
カバー50は、図1に示すように、下側に配されるコネクタハウジング20の位置決め凹部27Bに嵌合可能な位置決め凸部53を有している。位置決め凸部53は、コネクタハウジング20の位置決め凸部27Aと同様の構成を有して、蓋体51の下面に突設されている。
【0033】
また、カバー50は、下側に配されるコネクタハウジング20のロック凸部28Aが嵌合可能なロック凹部54を有している。ロック凹部54は、コネクタハウジング20のロック凹部28Bと同様の構成を有して、蓋体51の側面に凹設されている。
【0034】
そして、カバー50は、ワイヤハーネス以外の部品等、例えば車体の壁面や合成樹脂製のプロテクタ等に取り付け可能な取付部55を有している。取付部55は、部品等に設けられたブラケット(図示せず)に取り付け可能とされている。ブラケットは、部品等の壁面から略垂直に突出した後、部品等の壁面に略平行な方向に屈曲した形状とされ、その先端部に、取付部55が係合可能な孔部が形成されたものである。
【0035】
取付部55は、ブラケットを差し入れることが可能な差入部56を有している。差入部56は、ブラケットの一面側に沿う押え部57を有し、押え部57は、前方に突出する突出片58を有している。突出片58の先端部には、ブラケットの孔部に嵌合する突起部59が、蓋体51側に突出して設けられている。
【0036】
次に、複数のジョイントコネクタCを積層して固定する作業について説明する。なお、本実施形態では、2つのコネクタハウジング20を積層する場合について説明する。
まず、各ジョイントコネクタCのコネクタハウジング20に、電線Wの端末部に固着された端子金具40を挿入する。この際、ランス22の係止部22Aが端子金具40の被係止部43に乗り上がって上側に弾性変位し、端子金具40が正規の位置(ジョイント端子10との接続が確実になされる位置)まで挿入されると、ランス22が自然状態に復帰して、端子金具40に係止した状態になる。これにより、端子金具40がランス22によって一次係止されて抜け止めされるとともに、端子金具40の接続部41にジョイント端子10の端子部12が挿入されて、端子金具40とジョイント端子10との接続がなされる。
【0037】
こうして、各コネクタハウジング20に端子金具40を挿入した後、2つのジョイントコネクタCを上下に積層する。すると、上側のコネクタハウジング20の係止突起25が、下側のコネクタハウジング20の貫通穴26からキャビティ21内に突出し、下側のコネクタハウジング20に収容されている端子金具40に係止する。また、上側のコネクタハウジング20の位置決め凸部27Aが、下側のコネクタハウジング20の位置決め凹部27Bに挿入されるとともに、下側のコネクタハウジング20のロック凸部28Aが、上側のコネクタハウジング20のロック凹部28Bに接触することで若干外側に開いた後、弾性復帰してロック凹部28Bに嵌合する。これにより、下側のコネクタハウジング20に収容された端子金具40の全てが、ランス22と係止突起25とにより、一括して二重係止され、ジョイントコネクタCが一体に組み付けられてロックされる。
【0038】
次に、積層状態にロックされたジョイントコネクタCの上側に、カバー50を積層する。すると、カバー50の係止突起52が、コネクタハウジング20の貫通穴26からキャビティ21内に突出し、そこに挿入されている端子金具40に係止する。また、カバー50の位置決め凸部53が、コネクタハウジング20の位置決め凹部27Bに挿入されるとともに、コネクタハウジング20のロック凸部28Aが、カバー50のロック凹部54に嵌合する。これにより、上側のコネクタハウジング20に収容された端子金具40の全てが、ランス22とカバー50の係止突起52とにより一括して二重係止され、ジョイントコネクタCとカバー50とが一体に組み付けられてロックされる。こうして、積層された2つのコネクタハウジング20内のすべての端子金具40が、ランス22と係止突起25,52とによって二重に係止される。
【0039】
次に、2つのジョイントコネクタCとカバー50とを積層してなる合体コネクタUを、部品等に取り付ける。部品等のブラケットが、カバー50の差入部56に差し入れられるようにして、合体コネクタUを押し込むと、カバー50の突起部59がブラケットの孔部に嵌合し、合体コネクタUが部品等に固定される。
【0040】
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態のジョイントコネクタCにおいては、コネクタハウジング20は、複数が積層可能とされ、コネクタハウジング20には、重ねられた他のコネクタハウジング20のキャビティ21に突出可能な係止突起25が設けられるとともに、係止突起25をキャビティ21に貫通させる貫通穴26が形成され、コネクタハウジング20が積層されると、係止突起25が貫通穴26からキャビティ21に突出して端子金具40に係止し、この端子金具40を抜け止めするものである。これにより、端子金具40は、ランス22と係止突起25とによって二重係止されるから、ジョイントコネクタCの端子保持力を高めることができる。
【0041】
また、コネクタハウジング20に積層可能なカバー50を備え、カバー50は、係止突起52と、ワイヤハーネス以外の部品に取り付け可能な取付部55とを有している。これにより、コネクタハウジング20にカバー50を積層することによって、端子金具40を二重係止することができ、またコネクタハウジング20をワイヤハーネス以外の部品に取り付けることができる。したがって、複数のコネクタハウジング20を積層することでその高さ寸法が増し、ワイヤハーネスへの巻き付け固定が困難な場合に有利である。また、ワイヤハーネスの1か所にジョイントコネクタCが集中すると、ワイヤハーネスの外周面に、全てのジョイントコネクタCを巻き付けるだけのスペースを確保できない場合があり、このような場合に、複数のジョイントコネクタCを一括して部品等に固定することができるから有利である。また、ワイヤハーネスの近傍に配される部品等にジョイントコネクタCを取り付けることにより、ワイヤハーネスから電線Wを長く引き出さなくて済む。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、複数のジョイントコネクタCが同一の構成を有する場合について説明したが、これに限らず、ジョイントコネクタを、その積層する位置によって異なる構成としてもよく、例えば、下側に配されるジョイントコネクタのコネクタハウジングには、係止突起25を設けないものとしてもよい。
(2)上記実施形態では、ジョイントコネクタCはロック部28を備えているが、これに限らず、例えば、ジョイントコネクタがロック部を備えないものとしてもよく、位置決め部によって位置決めされたジョイントコネクタを、ワイヤハーネスにテープ巻きすることで、積層状態に固定するものとしてもよい。
(3)上記実施形態では、ジョイントコネクタC同士を積層した後に、カバー50を積層する場合について説明したが、これに限らず、先にカバー50をジョイントコネクタCに積層し、その後、ジョイントコネクタCを積層するものとしてもよい。
(4)上記実施形態では、コネクタハウジング20の下面に位置決め凸部27Aが突設され、コネクタハウジング20の上面に位置決め凹部27Bが凹設されているが、これらは上下逆に設けられていてもよく、すなわちコネクタハウジングの上面に位置決め凸部が突設され、コネクタハウジングの下面に位置決め凹部が凹設されていてもよい。
(5)上記実施形態では、コネクタハウジング20の上面にロック凸部28Aが突設されているが、これに限らず、コネクタハウジングの下面にロック凸部が突設されていてもよい。
(6)上記実施形態では、2つのジョイントコネクタCを積層する場合について説明したが、これに限らず、3つ以上のジョイントコネクタCを積層してもよい。
【0043】
(7)上記実施形態では、係止突起52と取付部55とを有するカバー50をジョイントコネクタCに積層しているが、例えば、図9に示すように、カバー50の代わりに、係止突起52のみを有して取付部55を有さないカバー60を、ジョイントコネクタCに積層するものとしてもよい。この場合には、ジョイントコネクタCとカバー60とを合体させてなる合体コネクタU2を、ワイヤハーネスの幹線にテープ巻きして固定すればよく、取付部55を有するカバー50をジョイントコネクタCに積層してなる合体コネクタUを、ワイヤハーネスの幹線にテープ巻きする場合に比して、合体コネクタU2の高さ寸法(積層方向の寸法)を小さくすることができる。
(8)上記実施形態では、係止突起52と取付部55とを有するカバー50をジョイントコネクタCに積層しているが、例えば、図10に示すように、カバー50の代わりに、端子金具40が挿入されていない(すなわちキャビティ21が空の)ジョイントコネクタ(ダミーコネクタ70と称する)を、ジョイントコネクタCに積層するものとしてもよい。この場合には、ジョイントコネクタCとダミーコネクタ70とを合体させてなる合体コネクタU3を、ワイヤハーネスの幹線にテープ巻きして固定すればよい。これにより、同一部品のみで合体コネクタU3を構成することができるから、カバー50を積層する場合に比して、部品点数の増加を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0044】
C…ジョイントコネクタ
10…ジョイント端子
12…端子部
20…コネクタハウジング
21…キャビティ
25,52…係止突起
26…貫通穴
40…端子金具(相手側端子金具)
50…カバー
55…取付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子部を有するジョイント端子がコネクタハウジングに保持され、
前記コネクタハウジングには、前記ジョイント端子に接続可能な相手側端子金具が挿入されるキャビティと、前記キャビティに挿入された前記相手側端子金具に係止してこの相手側端子金具を抜け止めするランスとが設けられ、
前記コネクタハウジングは、複数が積層可能とされ、
前記コネクタハウジングには、重ねられた他のコネクタハウジングの前記キャビティに突出可能な係止突起が設けられるとともに、前記他のコネクタハウジングには、前記係止突起を前記キャビティに貫通させる貫通穴が形成され、
前記コネクタハウジングが積層されると、前記係止突起が前記貫通穴から前記キャビティに突出して前記相手側端子金具に係止し、この相手側端子金具を抜け止めするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングに積層可能なカバーを備え、
前記カバーは、前記係止突起と、ワイヤハーネス以外の部品に取り付け可能な取付部とを有している請求項1に記載のジョイントコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−93226(P2013−93226A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234945(P2011−234945)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)