説明

スイッチ装置及び着脱式歯ブラシ用振動装置

【課題】収納構造のコンパクト化と把持した手の親指操作でスイッチ操作が可能な機械的なスイッチ装置の提供。
【手段】スイッチ装置は、電池プラス端子金具40の折り返し弾性片43とモータプラス端子金具50の凸部52とが向かい合って位置決めされており、折り返し弾性片43と凸部52との中間に介在する隔壁部84を持つ揺動可能な絶縁性スイッチ操作部80を備え、隔壁部84は、その基部側に凸部52が嵌入する貫通孔Hと先端側に凸部52が嵌入する盲穴hとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的なスイッチ装置に関し、特に、これを用いた着脱式歯ブラシ用振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−93415には偏心錘を持つ振動モータを用いた電動歯ブラシが開示されている。この電動歯ブラシは、内部に電池2本を直列に収納する把持本体と、この把持本体の一側部に取り付けた歯ブラシ体とから成り、把持本体の外端部にはスイッチを兼ねた蓋体をねじ等の止着部材により取り付けてあって、スイッチ操作を行なうことができると共に電池交換ができるようになっている。このスイッチは内蔵する振動モータと電池とに構成した回路途中に設けられ、止着部材における回転式や押しボタン式となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−93415(0011〜0013、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のスイッチは把持本体の歯ブラシ側ではなく外端部(反歯ブラシ側)に設けられているため、把持本体を片手で把持した際にはスイッチのオン/オフ操作は他方の手で行なわねばならず、把持した手の親指操作でスイッチ操作を行なうのは不可能で使い勝手の悪さがあった。また、歯ブラシ体は、ネック部近傍の空洞部に振動モータを内蔵し、把持本体の一側部に嵌合筒部を接合する特殊品であることから、ブラシ毛の摩滅劣化の際は歯ブラシ体全体の交換を余儀なくされるばかりか、内部部品である振動モータを露出させてからこれを新たな歯ブラシ体に組み込み直す手間を要する。
【0005】
そこで、本発明の第1の課題は、収納構造のコンパクト化において把持した手の親指操作でスイッチ操作が可能な機械的なスイッチ装置を提供することにある。
【0006】
本発明の第2の課題は、歯ブラシ交換の際にケース内の振動モータを取り外さずに済ませることができる電動歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電池及びその給電対象体のうちいずれか一方の電極と接続した第1端子金具と、電池及び給電対象体のうち他方の電極に接続した第2端子金具とを有するスイッチ装置において、第1端子金具の弾性接続部と第2端子金具の凸部とが向かい合って位置決めされており、弾性接触部と凸部との中間に介在して当該凸部に対して実質的に直交する方向にスライド可能な隔壁部を持つ絶縁性スイッチ操作部を備え、この隔壁部は、第1位置にて凸部が嵌入して当該隔壁部を自己位置決めする係合凹部と、第2位置にて凸部が嵌入して当該隔壁部を自己位置決めすると共に、嵌入した当該凸部が弾性接触部に弾接するのを許容する貫通空部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
斯かる構成のスイッチ装置においては、隔壁部が第1位置では係合凹部と凸部とが嵌め合い状態であるスイッチ・オフ状態を持続でき、絶縁性スイッチ操作部を操作して隔壁部が第2位置になると、凸部から係合凹部が脱し、凸部に貫通空部が嵌入し、この貫通空部を介して弾性接触部に弾接するため、凸部と弾性接触部が導通し、スイッチ・オン状態を持続できる。そして、絶縁性スイッチ操作部を操作して隔壁部が第1位置になると、凸部から貫通空部が脱し、凸部に係合凹部が嵌入するため、スイッチ・オフを持続できる。
【0009】
このように、第2端子金具の凸部が弾性接続部との間で可動する隔壁部の係合凹部と貫通空部とに切り換わって嵌入するため、スイッチ操作にクリック感を呈することができると共に、スイッチ操作部に対し無操作の場合はオン状態又はオフ状態を持続できる。そして、第1端子金具と第2端子金具とは電池とその給電対象体との中間に配することができ、片手で把持したまま、その親指でスイッチ操作部を操作できる。また、2つの端子金具とこの間に隔壁部が介在するスイッチ操作部とで構成できるため、コンパクトな収納構造を実現できる。
【0010】
弾性接触部は板バネ片であって、隔壁部はこのスライドに伴い板バネ片を相対的に案内するガイド溝を有することが望ましい。弾力的な板バネ片の逃げをガイド溝で規制でき、永年使用による板バネ片の変形が抑制でき、結果として隔壁部のスライド方向に対するブレを抑制でき、凸部と係合凹部や貫通空部との嵌め合わせの精度を持続できる。
【0011】
絶縁性スイッチ操作部は、相対向した支軸を持つ一対の対向脚部と、これらに跨って支軸に対して直交方向の双方向へ延在する操作板部と、この操作板部の一端から実質的にL形状に湾曲した隔壁部とを一体的に有することが望ましい。
【0012】
隔壁部のスライドを操作板部のシーソー操作で実現できるから、スイッチ操作面を電池や給電対象体の片面側に配することができる。
【0013】
ここで、係合凹部は隔壁部の先端側に形成されており、貫通空部は隔壁部の基部側に形成された貫通孔であることが望ましい。凸部は係合凹部と浅く嵌合し、凸部は貫通孔と深く嵌合するため、貫通空部が隔壁部の基部側に形成されているので、隔壁部には嵌合時に過大なストレスが生じ難く、スイッチ操作に伴う耐久性を向上できる。
【0014】
着脱式歯ブラシ用振動装置としては、上記スイッチ装置を用い、給電対象体は偏心錘を持つ振動モータであって、この振動モータと電池との間に凸部,隔壁部及び弾性接触部を配置して内蔵したケース本体を備え、このケース本体は、歯ブラシのネック部を着脱自在に挟持する第1の二股爪部と、その腹部において歯ブラシのハンドル部を着脱自在に挟持する第2の二股爪部とを一体的に備えている。
【0015】
振動モータからの振動はケース本体を介して第1の二股爪部から歯ブラシのネック部に良く伝わるため、市販品の歯ブラシでも電動歯ブラシとして使用可能となる。一台の着脱式歯ブラシ用振動装置を家族数人の使い回しで共用でき、従来の専用電動歯ブラシを各人が購入する場合に比し低価格化を実現できる。また、歯ブラシの交換においては、振動モータは露出せず、ケース本体に内蔵されたままであり、二股爪部による着脱操作だけで簡単に交換できる。
【0016】
ここで、ケース本体は第2の二股爪部から後方へ延在しハンドル部に跨る尾部を有する場合は、ハンドル部を把持した片手の指が第2の二股爪部に不如意に掛ったときでも、第2の二股爪部がハンドル部の端にないため、ハンドル部から外れ難い。
【0017】
また、ケース本体の振動モータ収容部を塞ぐモータカバーを有し、振動モータ収容部とモータカバーとで支軸を回動可能に支持し、操作板部がモータカバー上に被さっている場合、隔壁部のスライドにおいてはその先端がケース本体に当接するときと、反対に、操作板部の端がモータカバーに当接するときとがあり、隔壁部のスライドストロークを限定できる。
【0018】
ケース本体の電池収容部と振動モータ収容部とを一巡する開口縁にOリングを介在させて両収容部を塞ぐ外カバーを有し、この外カバーは操作板部のオン釦部とオフ釦部に臨むシール付き窓部を有することが望ましい。
【0019】
操作板部はモータカバーと外カバーとの間に挟まっており、窓部のシールを介してシーソー操作可能であって、Oリングや窓部のシールで2重防水構造となっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明のスイッチ装置によれば、部品点数が少なくコンパクトな収納構造を実現できると共に、スイッチ操作が把持した手の親指操作で可能である。また本発明の着脱式歯ブラシ用振動装置によれば、市販品の歯ブラシを電動歯ブラシとして使用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)は本発明に係る着脱式歯ブラシ用振動装置を用いた電動歯ブラシを示す正面図、(B)は同電動歯ブラシの右側面図、(C)は同電動歯ブラシの左側面図である。
【図2】(A)は同着脱式歯ブラシ用振動装置を示す正面図、(B)は同着脱式歯ブラシ用振動装置の右側面図、(C)は同着脱式歯ブラシ用振動動置の左側面図、(D)は同着脱式歯ブラシ用振動装置の平面図、(E)は同着脱式歯ブラシ用振動装置の底面面である。
【図3】(A)は同着脱式歯ブラシ用振動装置を上から見た斜視図、(B)は同着脱式歯ブラシ用振動装置を下から見た斜視図である。
【図4】同着脱式歯ブラシ振動装置の組立斜視図である。
【図5】(A)は同着脱式歯ブラシ振動装置のケース本体を上から見た斜視図、(B)は同ケース本体を下から見た斜視図である。
【図6】(A)は同ケース本体の正面図、(B)は同ケース本体の右側面図、(C)は同ケース本体の左側面図である。
【図7】(A)は同ケース本体の平面図、(B)は(A)中のb−b線で切断した状態を示す切断矢視図、(C)は(B)中のc−c線で切断した状態を示す切断矢視図、(D)は(B)中のd−d線で切断した状態を示す切断矢視である。
【図8】(A)は同ケース本体内に振動モータ,モータカバー,絶縁性スイッチ操作部及び端子金具を内蔵した状態を示す縦断面図、(B)は同ケース本体内に内蔵する振動モータ,絶縁性スイッチ操作部及び端子金具の関係を示す正面図である。
【図9】(A)は同ケース本体内に内蔵する電池マイナス端子金具を示す斜視図、(B)は同電池マイナス端子金具の正面図、(C)は同電池マイナス端子金具の左側面図である。
【図10】(A)は同ケース本体内に内蔵する電池プラス端子金具を示す斜視図、(B)は同電池プラス端子金具の正面図、(C)は同電池プラス端子金具を別の角度から見た斜視図である。
【図11】(A)は同ケース本体内に内蔵するモータプラス端子金具を示す斜視図、(B)は同モータプラス端子金具の正面図、(C)は同モータプラス端子金具を別の角度から見た斜視図である。
【図12】(A)は同振動モータ,同電池マイナス端子金具の一部,同モータプラス端子金具及び同電池プラス端子金具の配置関係を示す斜視図、(B)は同配置関係を示す正面図である。
【図13】(A)は同モータカバーを上から見た斜視図、(B)は同モータカバーを下から見た斜視図である。
【図14】(A)は同モータカバーの平面図、(B)は同モータカバーの正面図、(C)は同モータカバーの右側面図、(D)は同モータカバーの底面図、(E)は(D)中のe−e線で切断した状態を示す切断矢視図、(F)は(D)中のf−f線で切断した状態を示す切断矢視図、(G)は(D)中のg−g線で切断した状態を示す切断矢視図である。
【図15】(A)は同絶縁性スイッチ操作部を上から見た斜視図、(B)は同絶縁性スイッチ操作部を下から見た斜視図である。
【図16】(A)は同絶縁性スイッチ操作部の平面図、(B)は同絶縁性スイッチ操作部の正面図、(C)は同絶縁性スイッチ操作部の右側面図、(D)は同絶縁性スイッチ操作部の左側面図、(E)は(A)中のe−e線に沿って切断した状態を示す切断矢視図である。
【図17】(A)〜(D)は同モータカバーと同是絶縁性スイッチ操作部とを組み合わせて同ケース本体に組み込む手順を示す断面図である。
【図18】(A)は同電動歯ブラシ用振動装置の外カバーを示す平面図、(B)は同外カバーの右側面図、(C)は同外カバーの左側面図、(D)は同外カバーの正面図、(E)は同外カバーの底面図、(F)は(D)中のf−f線に沿って切断した状態を示す切断矢視図、(G)は(D)中のg−g線に沿って切断した状態を示す切断矢視図、(H)は(D)中のh−h線に沿って切断した状態を示す切断矢視である。
【図19】(A)は同振動モータのオフ状態を示す断面図、(B)は同振動モータをオン状態からオフ状態へ移行させる中途状態を示す断面図、(C)は同振動モータのオン状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る着脱式歯ブラシ振動装置の一実施例を添付図面に基づいて説明する。本例の着脱式歯ブラシ振動装置1を用いた電動歯ブラシ2は、図1に示す如く、歯ブラシ3に着脱式歯ブラシ振動装置1を装着したものである。まず歯ブラシ3としては、通常市販品でも構わないが、特に本例では特許第4146729号に開示のカートリッジ式ブラシ毛を適宜取り替え可能な歯ブラシであって、片手で把持するハンドル部3aと、このハンドル部3aからこれより縮径の柄部3bを介して延在するヘッド部3cに対して着脱交換可能な替えブラシユニット3dとを有する。着脱式歯ブラシ振動装置1の筐体は樹脂製のケース本体10と外カバー20とから成り、このケース本体10は、歯ブラシ3の柄部3bが貫通可能に抱持する空洞部Sを有し、その先端において歯ブラシ3の柄部3bのハンドル部3a側であるネック部3eを着脱自在に弾力的に挟持する第1の二股爪部11と、その腹部において歯ブラシ3のハンドル部3aの中途部3fを着脱自在に弾力的に挟持する第2の二股爪部12とが側面10a,10bから底面側へ張り出ており、それ以外の側面10a,10bの端はハンドル部3aを把持できるようハンドル部3aの輪郭形状に合わせて内側で終端している。また、ケース本体10は全体的にハンドル部3aに跨って装着されるが、第2の二股爪部12から後方へ延在しハンドル部3aに跨る尾部Tも有する。ハンドル部3aを把持した片手の指が第2の二股爪部12に不如意に掛ったときでも、第2の二股爪部12がハンドル部3aの端にないため、ハンドル部3aから外れ難い。
【0023】
ケース本体10の細長矩形状の収納凹所は、振動モータ収容部13と電池収容部14とに分けられており、振動モータ収容部13と電池収容部14との中間は端子金具装填部15となっている。電池収容部14内には、図4及び図8に示す如く、電池マイナス端子金具30及び電池プラス端子金具40が組み込まれている。
【0024】
電池マイナス端子金具30は、図9に示す如く、乾電池Bのマイナス電極に押圧接触する折り返し弾性片31a及び電池収容部14の壁14aに当って抜け止め機能を果たす返し片31bを持つ端板部31と、この端板部31から折曲して長手方向に延び電池収容部14の底面に嵌る底板部32と、この底板部32の他方端で折曲して偏心錘Wを持つ振動モータ60のマイナス端子61と半田付けされる半田盛り片33a及び振動モータ収容部13の壁に当って抜け止め機能を果たす返し片33bを持つ端板部33とを一体的に有する。端板部31は図7に示す第1の案内溝Gに沿って差し込まれている。
【0025】
電池プラス端子金具40は、図10に示す如く、電池収容部14を区画する第1の中抜き仕切り壁14bに当って抜け止め機能を果たす一対の返し片41aと電池マイナス端子金具30の底板部32に接触しない広さに開けた切欠き部41bを持つ脚片部41と、この脚片部41の上部にプレス成形して乾電池Bのプラス電極に押圧接触する凸部42と、この凸部42の上部から折曲形成した折り返し弾性片43とを有する。脚片部41は図7に示す第2の案内溝Gに沿って差し込まれている。
【0026】
第1の中抜き仕切り壁14bと振動モータ収容部13の壁との間には第2の中抜き仕切り壁14cが形成されており、この第2の中抜き仕切り壁14cは中継端子金具としてのモータプラス端子金具50が取り付けられている。このモータプラス端子金具50は、第2の中抜き仕切り壁14cに当って抜け止め機能を果たす一対の返し片51aと電池マイナス端子金具30の底板部32に接触しない広さに開けた切欠き部51bを持つ脚片部51と、この脚片部51の上部にプレス成形して後述する絶縁性スイッチ操作部80の隔壁部84に圧接する凸部52と、この凸部52の上部から折曲形成されて振動モータ60のプラス端子62と半田付けされる半田盛り片53を有する。脚片部51は図7に示す第3の案内溝Gに沿って差し込まれている。この凸部52と折り返し弾性片43とは、図12に示す如く、第1の中抜き仕切り壁14bと第2の中抜き仕切り壁14cとの間で向き合って弾力的に接触している。
【0027】
振動モータ60はその下半分に象られた振動モータ収容部13内に嵌め込み設置されており、モータケースの反偏心錘端から突出したマイナス端子61及びプラス端子62は電池B側へ向いている。この振動モータ60は図13及び図14に示す樹脂製のドーム状モータカバー70で覆われて密閉されている。ここで、ドーム状モータカバー70は振動モータ60を覆う天井部71の外、端子61,62及び半田盛り片33a,53の半田接続箇所を密封する継ぎ足し天井部72を一体的に有する。そして、ドーム状モータカバー70の上には、図15及び図16に示す絶縁性スイッチ操作部80が被さっている。
【0028】
この絶縁性スイッチ操作部80は絶縁性樹脂の成形品であって、相対向した支軸81a,82aを持つ一対の対向脚部81,82と、これらに跨って支軸81a,82aに対して直交方向の双方向へ延在する操作板部83と、この操作板部83の一端からL形状に湾曲した隔壁部84とを一体的に有する。操作板部83上の隔壁部84側にはオン釦部83aが膨出形成されていると共に、その反対側にはオフ釦部83bが膨出形成されている。支軸81a,82aはドーム状モータカバー70の下端に形成された軸受孔71a,71bと振動モータ収容部13の上端縁13aとの間に回転可能に嵌っている。
【0029】
このドーム状モータカバー70及び絶縁性スイッチ操作部80をケース本体10に組み付ける場合は、図17(A)に示す如く、絶縁性スイッチ操作部80の操作板部83がドーム状モータカバー70上になるよう、絶縁性スイッチ操作部80の対向脚部81,82間を天井部71よりも幅狭の継ぎ足し天井部72に跨らせてその長手方向(母線方向)へ差し入れることにより、図17(B)に示す如く、支軸81a,82aが軸受孔71a,71bの孔壁に当接して嵌めることができる。その後、図17(C)に示す如く、オフ釦部83bを押して隔壁部84が跳ね上がる姿勢を保持したまま、隔壁部84を端子金具装填部15における凸部52と折り返し弾性片43との間に差し込むと共に、ドーム状モータカバー70を図17(D)に示す如く振動モータ収容部13の接着剤塗布済みの上端縁13aに合わせて固定する。切り欠き状の軸受孔71a,71bはその上端縁13aで囲まれるため、支軸81a,82aが軸受孔71a,71bから外れることがない。
【0030】
ここで、隔壁部84は絶縁性スイッチ操作部80のシーソー運動に伴い折り返し弾性片43の先端側を相対的に嵌め込み案内するガイド溝84aを有する。また隔壁部84は、その基部側に凸部42が嵌入する貫通孔Hと先端側に凸部42が嵌入する盲穴hとを備えている。
【0031】
ケース本体10の振動モータ収容部13,電池収容部14及び端子金具装填部15を巡る壁の上端縁には、図4及び図5に示す如く、Oリング17が沿って嵌め込まれている。また、図8(A)に示す如く、ケース本体10の長手方向の両側には外カバー掛止爪部K,Kが一体的に形成されている。また、ケース本体10を覆う外カバー20は、図18に示す如く、半円筒状であって、その両端に外カバー掛止爪部K,Kに係合する掛止突起P,Pと操作板部83のオン釦部83a及びオフ釦部83bを臨んで対応する位置に矩形窓21を有している。そして、この矩形窓21はその周辺に貼着されたスイッチ操作マーク付きの防水シール22で塞がれている。
【0032】
このような構成の着脱式歯ブラシ振動装置1においては、振動モータ60からの振動はケース本体10を介して第1の二股爪部11から歯ブラシ2のネック部3eに良く伝わるため、市販品の歯ブラシでも電動歯ブラシとして使用できる。また、歯ブラシ2の交換においては、振動モータ60は露出せず、ケース本体10に内蔵されたままであり、二股フック部11,12による着脱操作で簡単に交換できる。一台の着脱式歯ブラシ用振動装置1を家族数人の使い回しで共用でき、従来の専用電動歯ブラシを各人が購入する場合に比し低価格化を実現できる。
【0033】
また、本例における機械的スイッチ装置においては、図19(A)に示す如く、隔壁部84の盲穴hに凸部52が嵌った状態では、凸部52が折り返し弾性片43と非接触であるため、スイッチ・オフ状態を持続でき、斯かる状態からケース本体10を把持する手の親指でオン釦部83aを防水シール22を介して押し込むと、スイッチ操作部80が矢印X方向に揺動し、図19(B)に示す如く、盲穴hが凸部52から相対的に抜け出し、今度は図19(C)に示す如く、凸部52が貫通孔Hに嵌入すると同時に折り返し弾性片43の先端側も貫通孔Hの反対側から進入するため、凸部52と折り返し弾性片43とが貫通孔H内で弾性的に圧接し、スイッチ・オン状態を持続できる。逆に、図19(C)のスイッチ・オン状態において、指頭でオフ釦部83bを押し込むことにより、スイッチ操作部80が矢印Y方向に揺動し、図19(B)に示す如く、凸部52及び折り返し弾性片43が貫通孔Hから相対的に抜け出し、今度は図19(A)に示す如く、凸部52が盲穴hに嵌って返し弾性片43とは非接触状態となり、スイッチ・オフ状態を持続できる。
【0034】
このように、凸部52の貫通孔H又は盲穴hに対して選択的に嵌ることによりスイッチのオン状態又はオフ状態が持続でき、しかも片手でケース本体10を把持したまま、その親指でスイッチ操作でき、使い勝手の向上に資する。また、2つの端子金具40,50とこの間に隔壁部84が介在するスイッチ操作部80とで構成できるため、実質的にコンパクトな収納構造として端子金具装填部15で済む。
【0035】
本例では、隔壁部84にガイド溝84aが形成されているため、折り返し弾性片43の逃げをガイド溝で規制でき、永年使用による折り返し弾性片43の変形が抑制でき、結果として隔壁部84のスライド方向に対するブレの抑制で、凸部42と盲穴hや貫通孔Hとの嵌め合わせの精度を持続できる。
【0036】
絶縁性スイッチ操作部80は操作板部81とこれからL形状に湾曲した隔壁部84とを一体的に有し、操作板部81のシーソー操作で隔壁部84をスライドできるので、スイッチ操作面をケース本体の片面側に配することができ、親指操作に適している。
【0037】
凸部52は盲穴hと浅く嵌合し、凸部52は貫通孔Hと深く嵌合するが、貫通孔Hは隔壁部84の基部側に形成されているので、隔壁部84には嵌合時に過大なストレスが生じ難く、スイッチ操作に伴う耐久性を向上できる。
【0038】
本例では、ケース本体10の振動モータ収容部13を塞ぐドーム状モータカバー70を有し、振動モータ収容部13とドーム状モータカバー70とで支軸81a,82aを回動可能に支持し、操作板部81がドーム状モータカバー70上に被さっているので、隔壁部84のスライドにおいてはその先端がケース本体10に当接するときと、反対に、操作板部81の端がドーム状モータカバー70に当接するときとがあり、隔壁部84のスライドストロークを限定できる。
【0039】
そして、ケース本体10の電池収容部14と振動モータ収容部13とを一巡する開口縁にOリング17を介在させて両収容部を塞ぐ外カバー20を有し、この外カバー20は操作板部81のオン釦部83a及びオフ釦部83bに臨むシート付きの矩形窓21を有しているため、操作板部81はドーム状モータカバー70と外カバー20との間に挟まっており、矩形窓21の防水シール22を介してシーソー操作可能であって、Oリング17や防水シール22で2重防水構造となっている。
【0040】
なお、着脱式歯ブラシ振動装置2においては振動モータ60を内蔵してあるが、それに代えてギアドモータとすることにより、各種の着脱式原動装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…着脱式歯ブラシ振動装置
2…電動歯ブラシ
3…歯ブラシ
3a…ハンドル部
3b…柄部
3c…ヘッド部
3d…替えブラシユニット
3e…ネック部
3f…中途部
10…ケース本体
10a,10b…側面
11…第1の二股爪部
12…第2の二股爪部
13…振動モータ収容部
13a…上端縁
14…電池収容部
14a…壁
14b…第1の中抜き仕切り壁
14c…第2の中抜き仕切り壁
15…端子金具装填部
17…Oリング
20…外カバー
21…矩形窓
22…防水シール
30…電池マイナス端子金具
31,33…端板部
31a…折り返し弾性片
31b,33b,41a,51a…返し片
32…底板部
33a,53…半田盛り片
40…電池プラス端子金具
41,51…脚片部
41b,51b…切欠き部
42,52…凸部
43…折り返し弾性片
50…モータプラス端子金具
60…振動モータ
61…マイナス端子
62…プラス端子
70…ドーム状モータカバー
71…天井部
71a,71b…軸受孔
72…継ぎ足し天井部
80…スイッチ操作部
81a,82a…支軸
81,82…対向脚部
83…操作板部
83a…オン釦部
83b…オフ釦部
84…隔壁部
84a…ガイド溝
B…乾電池
…第1の案内溝
…第2の案内溝
…第3の案内溝
H…貫通孔
h…盲穴
,K…外カバー掛止爪部
,P…掛止突起
S…空洞部
T…尾部
W…偏心錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池及びその給電対象体のうちいずれか一方の電極と接続した第1端子金具と、前記電池及び前記給電対象体のうち他方の電極に接続した第2端子金具とを有するスイッチ装置において、
第1端子金具の弾性接触部と第2端子金具の凸部とが向かい合って位置決めされており、前記弾性接触部と前記凸部との中間に介在して当該凸部に対して実質的に直交する方向にスライド可能な隔壁部を持つ絶縁性スイッチ操作部を備え、前記隔壁部は、第1位置にて前記凸部が嵌入して当該隔壁部を自己位置決めする係合凹部と、第2位置にて前記凸部が嵌入して当該隔壁部を自己位置決めすると共に、嵌入した当該凸部が前記弾性接触部に弾接するのを許容する貫通空部とを備えていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、前記弾性接触部は板バネ片であって、前記隔壁部は当該隔壁部のスライドに伴い前記板バネ片を相対的に案内するガイド溝を有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスイッチ装置において、前記絶縁性スイッチ操作部は、相対向した支軸を持つ一対の対向脚部と、これらに跨って前記支軸に対して直交方向の双方向へ延在する操作板部と、この操作板部の一端からL形状に湾曲した前記隔壁部とを一体的に有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチ装置において、前記係合凹部は前記隔壁部の先端側に形成されており、前記貫通空部は前記隔壁部の基部側に形成された貫通孔であることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスイッチ装置を用い、前記給電対象体は偏心錘を持つ振動モータであって、この振動モータと前記電池との間に前記凸部,隔壁部及び弾性接触部を配置して内蔵したケース本体を備え、このケース本体は、歯ブラシのネック部を着脱自在に挟持する第1の二股爪部と、前記歯ブラシのハンドル部を着脱自在に挟持する第2の二股爪部とを一体的に備えて成ることを特徴とする着脱式歯ブラシ用振動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の着脱式歯ブラシ用振動装置において、前記ケース本体は前記第2の二股爪部から後方へ延在し前記ハンドル部に跨る尾部を有することを特徴とする着脱式歯ブラシ用振動装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の着脱式歯ブラシ用振動装置において、前記ケース本体の振動モータ収容部を塞ぐモータカバーを有し、前記振動モータ収容部と前記モータカバーとで前記支軸を揺動可能に支持し、前記操作板部が前記モータカバー上に被さっていることを特徴とする着脱式歯ブラシ用振動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の着脱式歯ブラシ用振動装置において、前記ケース本体の電池収容部と前記振動モータ収容部とを一巡する開口縁にOリングを介在させて前記両収容部を塞ぐ外カバーを有し、この外カバーは前記操作板部のオン釦部とオフ釦部に臨むシート付き窓部を有することを特徴とする着脱式歯ブラシ用振動装置。
【請求項9】
ケース本体とカバーとから成り、前記ケース本体は歯ブラシの柄部が貫通可能に抱持する空洞部を有し、前記ケース本体の先端において前記歯ブラシの柄部のハンドル部側であるネック部を着脱自在に弾力的に挟持する第1の二股爪部と、前記ケース本体の腹部において前記ハンドル部の中途部を着脱自在に弾力的に挟持する第2の二股爪部12とが設けられており、前記ケース本体は前記第1の二股爪部寄りに振動モータを内蔵して成ることを特徴とする着脱式歯ブラシ用振動装置。
【請求項10】
請求項9に記載の着脱式歯ブラシ用振動装置において、前記ケース本体は前記第2の二股爪部から後方へ延在し前記ハンドル部に跨る尾部を有することを特徴とする着脱式歯ブラシ用振動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−104240(P2011−104240A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264746(P2009−264746)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(392013361)テムコ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】