スクイジーチャンネルのカバー部材
【課題】スクイジーのチャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーするとともにチャンネルに安定に装着できるカバー部材を提供する。
【解決手段】カバー部材44の軸直角方向の断面は、基端側に位置する第一の係合部46と、先端側に位置する第二の係合部50と、第一の係合部46と第二の係合部50の間でこれら両者を相互に連結する連結部48を一体に形成して構成される。第一の係合部46はチャンネル10の膨出部10aに被せられて係合する第一の凹部46aを有する。第二の係合部50はチャンネル10の上壁部10bの先端部10dに被せられて係合する第二の凹部50bを有する。第一の係合部46、連結部48、第二の係合部50で包囲される内側空間52にチャンネル10を嵌め込んで装着する。
【解決手段】カバー部材44の軸直角方向の断面は、基端側に位置する第一の係合部46と、先端側に位置する第二の係合部50と、第一の係合部46と第二の係合部50の間でこれら両者を相互に連結する連結部48を一体に形成して構成される。第一の係合部46はチャンネル10の膨出部10aに被せられて係合する第一の凹部46aを有する。第二の係合部50はチャンネル10の上壁部10bの先端部10dに被せられて係合する第二の凹部50bを有する。第一の係合部46、連結部48、第二の係合部50で包囲される内側空間52にチャンネル10を嵌め込んで装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は窓の掃除用具であるスクイジーおいて、そのチャンネルが窓ガラスを擦って傷つけるのを防止するために該チャンネルに装着して使用されるカバー部材に関し、チャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーするとともにチャンネルに安定に装着できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
窓の掃除用具としてスクイジーが古くから使われている。スクイジーはハンドル(把持具)の先端にチャンネル(横棒)を取り付けて構成される。チャンネルにはその長手方向に沿ってブレード(長尺のゴム等の弾性板)が装着される。ブレードの前縁部はチャンネルの前縁部から少し突出して配置される。窓ガラスの掃除(洗浄)は、例えば、はじめに洗浄液を含浸させたウォッシャー(シャンプー)でガラス表面に洗浄液を塗り広げ、次いでスクイジーを、ブレードの前縁部をガラス表面に押し当ててガラス表面に沿ってハンドルの手前方向に引いて、該ブレードでガラス表面から洗浄液を掻き落とすことにより行われる。
【0003】
チャンネルは一般にステンレス、アルミ、真鍮等の金属で構成されている。このためスクイジーの操作を誤ってチャンネルで窓ガラスを擦ると、窓ガラスに引っ掻き傷を付けることがあった。特に表面に金属膜をコーティングした熱線反射ガラス等では金属膜の引っ掻き傷は目立ち、外観を損ねる問題があった。
【0004】
そこで、チャンネルによる窓ガラスの引っ掻き傷を防止するためのカバーが下記特許文献1で提案されていた。図2はブレードおよび同カバーを装着したチャンネルの、同カバーを装着した箇所(チャンネルの軸方向の両端部)における断面図である。チャンネル10は膨出部10aと、膨出部10aの上側端部に連続して形成された上壁部10bと、膨出部10aの下側端部に連続して形成され上壁部10bと適宜の空隙12aを隔てて対面する下壁部10cを具えている。上壁部10bはその先端に近づくに従って上方に向けて反り返っている。下壁部10cは上壁部10bよりも短く形成されている。空隙12aと膨出部10aの内部空間12bは相互に繋がって、ブレード14を収容する内部空間12を構成する。
【0005】
ブレード14は膨出した基端部14aと、基端部14aに連続して形成された板状部14bを具える。ブレード14はチャンネル10の内部空間12にチャンネル10の長手方向の端部からスライドさせて収容される。すなわち基端部14aはチャンネル10の膨出部10aの内部空間12bに収容され、板状部14bは上壁部10bと下壁部10cとの間の空隙12aに配置される。ブレード14の膨出した基端部14aとチャンネル10の膨出部10aの内部空間12bとの嵌め合いにより、ブレード14はチャンネル10の内部空間12に保持される。
【0006】
カバー20はチャンネル10の軸方向の両端部に被せて装着される。カバー20はその軸に直角な方向(軸直角方向)の断面がチャンネル10を一回り大きくした形状を有している。すなわちカバー20は膨出部20aと、膨出部20aの上側端部に連続して形成された上壁部20bと、膨出部20aの下側端部に連続して形成され上壁部20bと空隙22aを隔てて対面する下壁部20cを具えている。空隙22aと膨出部20aの内部空間22bは相互に繋がって、チャンネル10を収容する内部空間22を構成する。カバー20は例えばプラスチック成型品で構成され、チャンネル10の外側に嵌め込んで装着される。すなわちチャンネル10の膨出部10aをカバー20の膨出部20aの内部空間22bに嵌め込むことにより、カバー20はチャンネル10の外側に装着される。このときチャンネル10の上壁部10bと下壁部10cはカバー20の上壁部20bと下壁部20cとの間の空隙22aに配置されて、チャンネル10の上壁部10bはカバー20の上壁部20bでカバーされ、チャンネル10の下壁部10cはカバー20の下壁部20cでカバーされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実願昭62−63697号(実開昭63−169069号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載のカバー20によれば、チャンネル10の膨出部10aとカバー20の膨出部20aとの嵌め合いだけでカバー20をチャンネル10に装着しているので、カバー20はチャンネル10から外れやすい。またチャンネル10の上壁部10bの先端部10dは上面10daがカバー20の上壁部20bでカバーされているが先端面10dbおよび下面10dcはカバーされてないので、窓ガラスの清浄作業時に上壁部10bの先端部10dの先端面10dbおよび下面10dcがガラス面に接触して該ガラス面を傷つける恐れがある。またカバー20の上壁部20bはチャンネル10の上壁部10bから浮いて離れやすく、チャンネル10の上壁部10bの先端部10dを確実にカバーすることができない。また軸直角方向の断面形状や外寸が様々に異なる各種メーカーのチャンネルに適合させることができないので、軸直角方向の断面形状が異なるチャンネルごとに異なる設計のカバーを用意しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した従来技術の課題を解決するもので、チャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーするとともにチャンネルに安定に装着できるようにしたスクイジーチャンネルのカバー部材を提供するものである。
【0010】
この発明のカバー部材は、軸直角方向の断面が、膨出部と、該膨出部の上側端部に連続して形成される上壁部を少なくとも具備するチャンネルに装着されるカバー部材であって、可撓性を有し、軸直角方向の断面が、前記チャンネルの膨出部に被せられて係合する第一の凹部を有する第一の係合部と、前記チャンネルの上壁部の少なくとも先端部に被せられて係合する第二の凹部を有する第二の係合部と、前記上壁部の上側で前記第一の係合部と前記第二の係合部を相互に連結する連結部を具備し、前記第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部で包囲される内側空間に前記チャンネルを嵌め込んで装着するものである。この発明によれば、第一の係合部をチャンネルの膨出部に係合させ、第二の係合部をチャンネルの上壁部の先端部に係合させて、第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部で包囲される内側空間に前記チャンネルを嵌め込んで装着するので、前記図2のチャンネル10の膨出部10aとカバー20の膨出部20aとの嵌め合いだけでチャンネル10に装着するカバー20に比べてチャンネルから外れにくく、チャンネルに安定に装着できる。またチャンネルの上壁部の先端部が第二の係合部で保護されるので、チャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーしてガラス面等を傷付けるのを抑制することができる。
【0011】
この発明において前記第二の凹部は、軸直角方向の断面が、前記上壁部の少なくとも先端部が差し込まれる溝状に形成されているものとすることができる。これによれば第二の係合部をチャンネルの上壁部に保持することができる。
【0012】
この発明において前記第二の係合部は、前記上壁部の下面側に位置する部分の板厚が、該カバー部材の一般厚よりも薄くまたは先細に形成されているものとすることができる。これによればブレードをガラス表面に押し当ててガラス表面から洗浄液を掻き落とすときに、ブレードの反り(しなり)が該部分の板厚によって邪魔されるのを抑制することができる。
【0013】
この発明において前記第一の凹部の内壁面は、軸直角方向の断面が弧状(例えば円弧状)に形成されているものとすることができる。これによれば軸直角方向の断面形状や外寸が様々に異なる複数種類のチャンネルに対し、第二の係合部をチャンネルの上壁部の先端部に係合させたまま、可撓性を有する第一の係合部の変形(第一の凹部が拡開する大きさ等)でカバー部材を装着することができるので、一種類のカバー部材で複数種類のチャンネルに適合させることができる。
【0014】
この発明のカバー部材は軸直角方向の断面の一端部が前記第一の係合部で終端しているものとすることができる。すなわち第一の係合部の下側の端部に続いてチャンネルの下壁部をカバーする部分(図2の下壁部20cに相当する部分)が形成されていると、チャンネルの種類によっては第一の係合部の変形により、該チャンネルの下壁部をカバーするはずの該部分が該チャンネルの下壁部から外れた位置に来て邪魔になることがあるが、第一の係合部で終端させることにより、このような不都合を解消することができる。ハンドルを握った状態ではチャンネルの下壁部はガラス面に当たりにくいので、チャンネルの下壁部をカバーする部分がなくても、チャンネルの下壁部がガラス面を傷つける恐れは少ない。
【0015】
この発明のカバー部材は前記チャンネルの軸方向全長にわたり連続して装着されるものとすることができる。これによればチャンネルの軸方向全長にわたりチャンネルをカバーすることができる。
【0016】
この発明において前記第一の係合部は、軸方向の全長の中央箇所の下面にスクイジーのバックプレートを除ける切欠が形成されているものとすることができる。すなわちチャンネルの種類によってはチャンネルにカバーを被せることによりハンドルを装着する箇所の外径が大きくなり、該ハンドルとバックプレートでチャンネルを安定に挟み込めなくなる可能性がある。そのような場合に備えて、第一の係合部の軸方向の全長の中央箇所の下面にバックプレートを除ける切欠を形成することにより、ハンドルを装着する箇所の外径が大きくなるのを抑制して、ハンドルとバックプレートでチャンネルを安定に挟み込めるようになる。
【0017】
この発明において軸方向の全長の中央箇所に、前記第一の係合部と前記連結部との境界付近に沿って切取線が形成され、該第一の係合部を該切取線に沿って切り取ることによりスクイジーのハンドルの先端部を除ける切欠が形成されるものとすることができる。これによれば前記切欠に加えて、必要に応じて第一の係合部を該切取線に沿って切り取ることにより、ハンドルを装着する箇所の外径が大きくなるのをさらに抑制して、ハンドルとバックプレートでチャンネルを安定に挟み込めるようになる。
【0018】
この発明において前記第二の係合部は前記チャンネルの軸方向全長にわたり前記上壁部の先端部に係合するものとすることができる。これによればチャンネルの軸方向全長にわたりチャンネルの上壁部の先端部をカバーすることができる。
【0019】
この発明において前記第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部が可撓性を有するプラスチックによる一体成型で構成されているものとすることができる。これによればこの発明のカバー部材を押し出し成型等で容易に製造することができる。
【0020】
この発明において前記チャンネルの軸方向の端部で、前記チャンネルの上壁部の側面とその上側の前記連結部の側面との間に差し込まれて該チャンネルの該端部をカバーするエンドクリップを別体で具えるものとすることができる。これによればチャンネルの側面をエンドクリップでカバーして、スクイジーがガラス面の周縁部を掻いているときに、該チャンネルの側面がサッシ等に当たって引っ掻き傷を付けるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のカバー部材の実施の形態を示す軸直角方向の断面図である。
【図2】従来のカバー部材を示す図で、ブレードおよび同カバー部材を装着したチャンネルの軸直角方向の断面図である。
【図3】在来のスクイジーの構成部品およびこのスクイジーに装着される図1のカバー部材を示す分解斜視図である。
【図4】図3のスクイジーの構成部品およびカバー部材を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図5】図1のカバー部材44を押し出し成型で作製する、実際に作製した金型の設計図である。
【図6】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されているスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図7】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図8】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図9】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図10】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図11】図3のカバー部材44の変形例を示す図で、図3のカバー部材44に切欠54および切取線56を形成した状態を示す底面図および拡大断面図である。
【図12】図11の第一の係合部46を切取線で切って除去した状態を示す底面図および拡大断面図である。
【図13】エンドクリップ58の平面図、底面図、正面図である。
【図14】図13のエンドクリップ58をカバー部材44が装着されたチャンネル10に装着した状態示す側面図である。
【図15】図14の状態における平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態を説明する。図3は在来のスクイジーの構成部品およびこのスクイジーに装着されるこの発明によるカバー部材を示す。スクイジー30は金属製のハンドル32と、金属製のバックプレート(裏板)34と、金属製のチャンネル10と、チャンネル10にその長手方向に沿って装着されたゴム製のブレード14と、2本のねじ38と、2個のナット40とで構成される。チャンネル10に対するブレード14の装着状態は前記図2と同じである。すなわち図6〜図10に示すように、チャンネル10の膨出部10aは、ブレード14の膨出した基端部14aを内部空間12bに収容する。ブレード14の基端部14aに続く板状部14bは、チャンネル10の上壁部10bと下壁部10cとの間の空隙12aを通って外部に引き出されている。チャンネル10の上壁部10bは、ブレード14の板状部14bの上側に配置され、チャンネル10の下壁部10cは、ブレード14の板状部14bの下側に配置されている。
【0023】
図3において、ハンドル32の先端のヘッド部32aは把持部32bに比べて幅広に形成され、2箇所にねじ通し穴32cが形成されている。バックプレート34にはヘッド部32aのねじ通し穴32cに対面する2箇所にねじ通し穴34aが形成されている。カバー部材44を使用しない元々の使用方法では、ハンドル32のヘッド部32aの下面にバックプレート34を配置し、ヘッド部32aとバックプレート34の間にチャンネル10を挟み込み、2本のねじ38をハンドル32の上面側からねじ通し穴32c,34aに差し込み、バックプレート34の下面側に突出するねじ38の端部にそれぞれナット40をねじ込んで締め付けることにより、ハンドル32とバックプレート34は相互に連結されかつハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34の間にチャンネル10が挟持されて、ハンドル32とバックプレート34とチャンネル10は組み立てられて分解可能に一体化される。カバー部材44を使用するときは、チャンネル10にカバー部材44を被せて装着したうえで、上記と同様にして着脱自在に組み立てる。図4はそのようにして組み立てられた状態を示す。ブレード14の前端面14cはガラス表面から洗浄液を掻き落とせるようにカバー部材44の前端面44aよりも少し前に突出している。なおチャンネル10にカバー部材44を装着することによりハンドル32とバックプレート34で挟持する箇所の外径が大きくなり既存のねじ38ではナット40に十分に届かない場合は、既存のねじ38に代えて少し長めのねじを使用する。
【0024】
カバー部材44は適宜のプラスチック材料を、該カバー部材44の軸直角方向の断面パターンを有する金型で押し出し成型した後、適宜の長さごとに切断して作られ、全体が可撓性を有している。カバー部材44のプラスチック材料としては、適当な硬さ、耐摩耗性、押し出し成型の容易さ等を考慮して例えばポリプロピレン(PP)を好適に使用することができる。カバー部材44の軸直角方向の断面は長手方向全長にわたり一様に形成されている。カバー部材44は軸方向の長さがチャンネル10よりも若干長く形成され、チャンネル10の長手方向全体をカバーするようにチャンネル10に嵌め込み装着される。カバー部材44の軸方向の両端部はチャンネル10の軸方向の両端部から0.5〜2mm程度外側にはみ出して配置され、これによりチャンネル10の軸方向の両端部(両側面)もカバー部材44でカバーされる。
【0025】
カバー部材44の軸直角方向の断面を図1に示す。カバー部材44の軸直角方向の断面は、基端側に位置する円弧状に形成された第一の係合部46と、先端側に位置する鈎状に形成された第二の係合部50と、第一の係合部46と第二の係合部50の間でこれら両者を相互に連結する連結部48を一体に形成して構成される。カバー部材44の板厚は第二の係合部50の、チャンネル10の上壁部10b(図6〜図10)の下側に配置される部分(以下「鉤部」)50aを除き一定厚(図5に示す金型の設計では1mm厚)に形成されている。
【0026】
第一の係合部46は、チャンネル10の膨出部10a(図6〜図10)を収容する第一の凹部46aを有し、該膨出部10aに被せられて(嵌められて)該膨出部10aに係合する。第一の凹部46aの内壁面46bは円弧状に形成されている。これによりチャンネル10の種類によって膨出部10aの断面形状や外径が違っても、可撓性を有する第一の係合部46の変形(第一の凹部46aの拡開)によって、該違いを吸収して膨出部10aに係合させることができる。カバー部材44の第一の係合部46側の端部は該第一の係合部46で終端している。つまり図2の従来構造の下壁部20cに相当する部分を具えていない。下壁部20cに相当する部分があると、チャンネル10の膨出部10aの大きさ等による第一の係合部46の変形により、該下壁部20cに相当する部分がチャンネル10の下壁部10c(図6〜図10)から外れた位置に来て邪魔になることがあるが、カバー部材44は第一の係合部46で終端しているので邪魔になるものがない。ハンドル32を握った状態ではチャンネル10の下壁部10cはガラス面に当たりにくいので、チャンネル10の下壁部10cをカバーする部分がなくても、チャンネルの下壁部がガラス面を傷つける恐れは少ない。また図2の従来構造と異なり、カバー部材44は第一の係合部46と第二の係合部50の両方でチャンネル10に係合するので、図2の従来構造の下壁部20cに相当する部分がなく第一の係合部46がチャンネル10の膨出部10aをその周方向に広く取り囲んでいなくても、カバー部材44はチャンネル10から外れにくい。
【0027】
第二の係合部50はチャンネル10の上壁部10bの先端部10d(図6〜図10)を収容する第二の凹部50b(U字状の溝)を長手方向全長にわたり有し、該チャンネル10の上壁部10bの先端部10dに被せられて(嵌められて)該先端部10dに係合する。第二の係合部50の下側に折り返した鉤部50aは軸直角方向の断面形状を長く形成する(折り返す長さを長くする)こともできるが、容易に外れない程度に短く(例えばチャンネル10の上壁部10bの長さの半分以内、好ましくはチャンネル10の上壁部10bの長さの1/3以内、より好ましくは図1の構造のように第二の凹部50bがチャンネル10の上壁部10bの先端部10dのみに被せられて係合する程度)形成した方が、ブレード14をガラス表面に押し当ててガラス表面から洗浄液を掻き落とすときに、ブレード14の反り(しなり)を邪魔しなくてすむ。図6の二点鎖線14’はブレード14がガラス表面に押し当たって反った状態を示す。ブレード14’は鉤部50aに当たるまで反ることができる。ガラス表面から洗浄液を掻き落とすときにブレード14が十分に反れることは重要であり、図1のように鉤部50を短く形成するとブレード14は十分に反ることができる。また鉤部50aを短く形成すれば、チャンネル10に対する装着も容易になる。すなわち第一の係合部46をチャンネル10の膨出部10aに係合させた後に、第二の係合部50をチャンネル10の上壁部10bに載せて上から指で押せば、カバー部材44の可撓性により第二の係合部50の先端部50aはチャンネル10の上壁部10bの先端部10dを乗り越えてチャンネル10の上壁部10bの先端部10dに係合する(第二の凹部50bに先端部10dが嵌り込む)ことができる。また鉤部50aは先細に(つまり先端に近づくにつれて薄く)形成されており、これによってもブレード14の反りを邪魔するのが抑制される。鉤部50aを先細に形成するのに代えて、鉤部50aを一般厚よりも薄い一定厚に形成することによっても、ブレード14の反りを邪魔するのを抑制することができる。
【0028】
第一の係合部46と第二の係合部50は、チャンネル10の上壁部10bの上側で連結部48により相互に連結されている。連結部48の前縁部付近にはカバー部材44をSTECCONE(登録商標)のアルミ製チャンネル(図6)に装着する場合に、該チャンネル10の上壁部10bの上面の前縁部付近に突出形成された突条10eを除けるための凸部48aが形成されている。凸部48aはチャンネル10の断面形状の違いに応じて拡開して該違いを吸収してカバー部材44をチャンネル10にがたつき無く装着するのにも寄与していると考えられる。
【0029】
以上の構成により、カバー部材44には、第一の係合部46、連結部48、第二の係合部50で包囲された内側空間52が構成され、該内側空間52にチャンネル10が嵌め込んで装着される。装着の手順は、チャンネル10の上にカバー部材44を長手方向の位置を合わせて配置し、カバー部材44の第一の凹部46aにチャンネル10の膨出部10aを押し込んで嵌めて第一の係合部46を該膨出部10aに係合させ、次いでカバー部材44の第二の係合部50の付近(例えば凸部48a)を上から押して、第二の凹部50b(溝)にチャンネル10の上壁部10bの先端部10dを端から順次嵌め込んで第二の係合部50を該先端部10dに係合させる。あるいは、端から第二の凹部50bにチャンネル10の上壁部10bの先端部10dを先に嵌め込み、これと並行してカバー部材44の第一の係合部46を上から押して(あるいは第一の係合部46を指で押し広げて)第一の凹部46aにチャンネル10の膨出部10aを順次嵌め込んでいくことにより、第二の係合部50を先端部10dに先に係合させながら、第一の係合部46を膨出部10aに係合させていく。チャンネル10にカバー部材44を一旦装着すると、カバー部材44はその可撓性によりチャンネル10を締め付けるので、カバー部材44はがたつき無くチャンネル10に装着され、軸方向にも容易にずれなくなる。装着したカバー部材44をチャンネル10から取り外すときは、第一の係合部46を端から指で押し広げながらチャンネル10の膨出部10aを第一の凹部46aから順次取り出すことにより、カバー部材44をチャンネル10から外すことができる。
【0030】
図1のカバー部材44を押し出し成型で作製する、実際に作製した金型の設計図を図5に示す。図5に示す寸法は押し出し成型用金型の主な箇所の寸法であり、この金型で押し出し成型して製造したPP製のカバー部材44はこの寸法よりも若干縮んだ。チャンネル10に装着する前のカバー部材44の内側空間52の寸法はチャンネル10の外寸より若干小さめであり、カバー部材44の可撓性により内側空間52を拡げてチャンネル10に装着することにより各メーカー製のチャンネルにがたつき無く装着できる。製作したPP製のカバー部材44を各メーカー製のチャンネルに装着した状態を図6〜図10に示す。各図のチャンネル10は次のものである(「STECCONE」「UNGER」「ETTORE」「ヤマザキ」はそれぞれ登録商標である)。
・図6:STECCONE(アルミ製)
・図7:UNGER(ステンレス製)
・図8:ETTORE(アルミ製)
・図9:ETTORE(ステンレス製)
・図10:ヤマザキ(真鍮製)
【0031】
図6〜図10によれば、軸直角方向の断面形状や外寸が様々に異なるにもかかわらず、カバー部材44の第一の係合部46の第一の凹部46aにチャンネル10の膨出部10aが係合し、カバー部材44の第二の係合部50の第二の凹部50b(溝)にチャンネル10の上壁部10bの先端部10dが係合して、カバー部材44の内側空間52にチャンネル10がしっかりと嵌め込まれていることが分かる。またPP製のカバー部材44は半乳白色でチャンネル10が透けて見えるので、チャンネル10とカバー部材44の装着状態を外から見て確認しやすい。
【0032】
前記実施の形態の変形例を説明する。図11は前記実施の形態で説明したカバー部材44について、第一の係合部46の軸方向の全長の中央箇所の下面に、スクイジーのバックプレート34を除ける切欠54を形成し、かつ軸方向の全長の中央箇所に、第一の係合部46と連結部48との境界付近に沿って切取線56として長穴を形成した状態を示す。チャンネル10の種類によってはチャンネル10にカバー部材44を被せることによりハンドル32を装着する箇所の外径が大きくなり、ハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34でチャンネル10を安定に挟み込めなくなる可能性がある。これに対し切欠54を形成することにより、バックプレート34の先端部は切欠54内に進入してチャンネル10に直接当接して、ハンドル32を装着する箇所の外径が大きくなるのを抑制することができるので、ハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34でチャンネル10を安定に挟み込めるようになる。
【0033】
さらに一部メーカー製のスクイジーハンドル(例えばUNGERのスプリングロック付きハンドル)については切欠54だけでは依然としてハンドルとチャンネルとの間にがたつきが生じる場合がある。そのような場合は第一の係合部46を切取線56で切り取って、図12に示すように大きな切欠54’を形成する。このようにするとバックプレート34の先端部のほかハンドル32のヘッド部32aも切欠54’内に進入できるようになる。ハンドル32のヘッド部32aの先端部は切欠54’の前端部からカバー部材44とチャンネル10の間の隙間に滑り込ませる。これによりハンドル32のヘッド部32aの先端部およびバックプレート34の先端部はチャンネル10に直接当接して、ハンドル32を装着する箇所の外径が大きくなるのをさらに抑制することができるので、ハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34でチャンネル10を安定に挟み込めるようになる。
【0034】
エンドクリップについて説明する。エンドクリップはチャンネル10の軸方向の両端部で、チャンネル10の上壁部10bの先端部側面とその上側のカバー部材44の連結部48の側面との間に側方から差し込まれてチャンネル10の軸方向の両端部をカバーするものである。図13はエンドクリップ58の平面図、底面図、正面図を示す。エンドクリップ58はプラスチックの一体成型品で構成されたもので、図13に記載した寸法を有している。平板部60はチャンネル10の上壁部10bとカバー部材44の連結部48との間に挿入される部分である。平板部60の上面には、カバー部材44の連結部48に形成された凸部48a(図1)の内部空間48b内に収容されて該内部空間48bの内壁面に当接する2本の突条62,64が形成されている。平板部60の長手方向の一端部には平板部60の下面側に突出する当接板66が形成されている。エンドクリップ58をカバー部材44が装着されたチャンネル10に装着した状態を図14(側面図)、図15(平面図)に示す。エンドクリップ58はチャンネル10の軸方向の両端部で、平板部60が、チャンネル10の上壁部10bの先端部側面とその上側のカバー部材44の連結部48の側面との間に側方から差し込まれて装着されている。突条62,64はカバー部材44の凸部48aの内部空間48b内に収容されて該内部空間48bの内壁面に押圧当接して、エンドクリップ58が容易に脱落しないようにしている。当接板66の内側の面はチャンネル10の上壁部10bの先端部側面に当接して該先端部側面をカバーする。これによりスクイジーがガラス面の周縁部を掻いているときに、チャンネル10の側面がサッシ等に当たって引っ掻き傷を付けるのを防止することができる。PP製のカバー部材44は半乳白色で内側空間52が透けて見えるので、エンドクリップ58を色付きにすれば、外側からエンドクリップ58の当接板66の摩耗状況が確認しやすく、エンドクリップ58の交換時期を判断しやすい。
【0035】
なお本出願人は特願2009−54299にて「スクイジーをスクイジー・ウォッシャー一体型掃除用具に改造する方法および改造用部品」の発明を提案した。この発明ではチャンネルの上側にウォッシャーを装着して、ハンドルを反転させることによりスクイジーとウォッシャーを切り換えて使用できるようにしているが、ウォッシャーを使用するときに、裏返されたチャンネルの上壁部の先端部がガラス面に当たって引っ掻き傷を付ける恐れがある。そこでこのようなスクイジー・ウォッシャー一体型掃除用具のチャンネルにこの発明によるカバー部材を装着すればスクイジー・ウォッシャー一体型掃除用具を安心して使用することができる。
【0036】
前記実施の形態ではカバー部材44の第一の係合部46側の一端部を該第一の係合部46で終端させたが、カバー部材44を特定の型のチャンネル専用に作る場合等には、第一の係合部46に連続して下壁部(図2の下壁部20cに相当する部分)を設けることもできる。また前記実施の形態ではカバー部材44をポリプロピレンで構成したが、これ以外のプラスチック材料で構成することもできる。またプラスチック材料以外で構成することもできる。例えばガラス繊維・金属等の基材にゴム・プラスチック等をコーティングしてカバー部材を構成することができる。また前記実施の形態ではチャンネル10の全長にカバー部材を装着したが、チャンネル10の全長の一部の領域(例えばチャンネルの両端部近辺)に限りカバー部材を装着することもできる。また前記実施の形態ではカバー部材44の全長に第一の係合部46、第二の係合部50を形成したが、カバー部材44の全長の一部の領域(例えば両端部近辺あるいは飛び飛びの位置等)に限り第一の係合部46、第二の係合部50を形成することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10…チャンネル、10a…チャンネルの膨出部、10b…チャンネルの上壁部、12b…チャンネルの膨出部の内部空間、14…ブレード、14a…ブレードの膨出した基端部、14b…ブレードの板状部、32…ハンドル、34…バックプレート、44…カバー部材、46a…第一の凹部、46b…第一の凹部の内壁面、46…第一の係合部、48…連結部、50b…第二の凹部、50…第二の係合部、52…第一の係合部・連結部・第二の係合部で包囲される内側空間、58…エンドクリップ
【技術分野】
【0001】
この発明は窓の掃除用具であるスクイジーおいて、そのチャンネルが窓ガラスを擦って傷つけるのを防止するために該チャンネルに装着して使用されるカバー部材に関し、チャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーするとともにチャンネルに安定に装着できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
窓の掃除用具としてスクイジーが古くから使われている。スクイジーはハンドル(把持具)の先端にチャンネル(横棒)を取り付けて構成される。チャンネルにはその長手方向に沿ってブレード(長尺のゴム等の弾性板)が装着される。ブレードの前縁部はチャンネルの前縁部から少し突出して配置される。窓ガラスの掃除(洗浄)は、例えば、はじめに洗浄液を含浸させたウォッシャー(シャンプー)でガラス表面に洗浄液を塗り広げ、次いでスクイジーを、ブレードの前縁部をガラス表面に押し当ててガラス表面に沿ってハンドルの手前方向に引いて、該ブレードでガラス表面から洗浄液を掻き落とすことにより行われる。
【0003】
チャンネルは一般にステンレス、アルミ、真鍮等の金属で構成されている。このためスクイジーの操作を誤ってチャンネルで窓ガラスを擦ると、窓ガラスに引っ掻き傷を付けることがあった。特に表面に金属膜をコーティングした熱線反射ガラス等では金属膜の引っ掻き傷は目立ち、外観を損ねる問題があった。
【0004】
そこで、チャンネルによる窓ガラスの引っ掻き傷を防止するためのカバーが下記特許文献1で提案されていた。図2はブレードおよび同カバーを装着したチャンネルの、同カバーを装着した箇所(チャンネルの軸方向の両端部)における断面図である。チャンネル10は膨出部10aと、膨出部10aの上側端部に連続して形成された上壁部10bと、膨出部10aの下側端部に連続して形成され上壁部10bと適宜の空隙12aを隔てて対面する下壁部10cを具えている。上壁部10bはその先端に近づくに従って上方に向けて反り返っている。下壁部10cは上壁部10bよりも短く形成されている。空隙12aと膨出部10aの内部空間12bは相互に繋がって、ブレード14を収容する内部空間12を構成する。
【0005】
ブレード14は膨出した基端部14aと、基端部14aに連続して形成された板状部14bを具える。ブレード14はチャンネル10の内部空間12にチャンネル10の長手方向の端部からスライドさせて収容される。すなわち基端部14aはチャンネル10の膨出部10aの内部空間12bに収容され、板状部14bは上壁部10bと下壁部10cとの間の空隙12aに配置される。ブレード14の膨出した基端部14aとチャンネル10の膨出部10aの内部空間12bとの嵌め合いにより、ブレード14はチャンネル10の内部空間12に保持される。
【0006】
カバー20はチャンネル10の軸方向の両端部に被せて装着される。カバー20はその軸に直角な方向(軸直角方向)の断面がチャンネル10を一回り大きくした形状を有している。すなわちカバー20は膨出部20aと、膨出部20aの上側端部に連続して形成された上壁部20bと、膨出部20aの下側端部に連続して形成され上壁部20bと空隙22aを隔てて対面する下壁部20cを具えている。空隙22aと膨出部20aの内部空間22bは相互に繋がって、チャンネル10を収容する内部空間22を構成する。カバー20は例えばプラスチック成型品で構成され、チャンネル10の外側に嵌め込んで装着される。すなわちチャンネル10の膨出部10aをカバー20の膨出部20aの内部空間22bに嵌め込むことにより、カバー20はチャンネル10の外側に装着される。このときチャンネル10の上壁部10bと下壁部10cはカバー20の上壁部20bと下壁部20cとの間の空隙22aに配置されて、チャンネル10の上壁部10bはカバー20の上壁部20bでカバーされ、チャンネル10の下壁部10cはカバー20の下壁部20cでカバーされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実願昭62−63697号(実開昭63−169069号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載のカバー20によれば、チャンネル10の膨出部10aとカバー20の膨出部20aとの嵌め合いだけでカバー20をチャンネル10に装着しているので、カバー20はチャンネル10から外れやすい。またチャンネル10の上壁部10bの先端部10dは上面10daがカバー20の上壁部20bでカバーされているが先端面10dbおよび下面10dcはカバーされてないので、窓ガラスの清浄作業時に上壁部10bの先端部10dの先端面10dbおよび下面10dcがガラス面に接触して該ガラス面を傷つける恐れがある。またカバー20の上壁部20bはチャンネル10の上壁部10bから浮いて離れやすく、チャンネル10の上壁部10bの先端部10dを確実にカバーすることができない。また軸直角方向の断面形状や外寸が様々に異なる各種メーカーのチャンネルに適合させることができないので、軸直角方向の断面形状が異なるチャンネルごとに異なる設計のカバーを用意しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は上述した従来技術の課題を解決するもので、チャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーするとともにチャンネルに安定に装着できるようにしたスクイジーチャンネルのカバー部材を提供するものである。
【0010】
この発明のカバー部材は、軸直角方向の断面が、膨出部と、該膨出部の上側端部に連続して形成される上壁部を少なくとも具備するチャンネルに装着されるカバー部材であって、可撓性を有し、軸直角方向の断面が、前記チャンネルの膨出部に被せられて係合する第一の凹部を有する第一の係合部と、前記チャンネルの上壁部の少なくとも先端部に被せられて係合する第二の凹部を有する第二の係合部と、前記上壁部の上側で前記第一の係合部と前記第二の係合部を相互に連結する連結部を具備し、前記第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部で包囲される内側空間に前記チャンネルを嵌め込んで装着するものである。この発明によれば、第一の係合部をチャンネルの膨出部に係合させ、第二の係合部をチャンネルの上壁部の先端部に係合させて、第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部で包囲される内側空間に前記チャンネルを嵌め込んで装着するので、前記図2のチャンネル10の膨出部10aとカバー20の膨出部20aとの嵌め合いだけでチャンネル10に装着するカバー20に比べてチャンネルから外れにくく、チャンネルに安定に装着できる。またチャンネルの上壁部の先端部が第二の係合部で保護されるので、チャンネルの上壁部の先端部を効果的にカバーしてガラス面等を傷付けるのを抑制することができる。
【0011】
この発明において前記第二の凹部は、軸直角方向の断面が、前記上壁部の少なくとも先端部が差し込まれる溝状に形成されているものとすることができる。これによれば第二の係合部をチャンネルの上壁部に保持することができる。
【0012】
この発明において前記第二の係合部は、前記上壁部の下面側に位置する部分の板厚が、該カバー部材の一般厚よりも薄くまたは先細に形成されているものとすることができる。これによればブレードをガラス表面に押し当ててガラス表面から洗浄液を掻き落とすときに、ブレードの反り(しなり)が該部分の板厚によって邪魔されるのを抑制することができる。
【0013】
この発明において前記第一の凹部の内壁面は、軸直角方向の断面が弧状(例えば円弧状)に形成されているものとすることができる。これによれば軸直角方向の断面形状や外寸が様々に異なる複数種類のチャンネルに対し、第二の係合部をチャンネルの上壁部の先端部に係合させたまま、可撓性を有する第一の係合部の変形(第一の凹部が拡開する大きさ等)でカバー部材を装着することができるので、一種類のカバー部材で複数種類のチャンネルに適合させることができる。
【0014】
この発明のカバー部材は軸直角方向の断面の一端部が前記第一の係合部で終端しているものとすることができる。すなわち第一の係合部の下側の端部に続いてチャンネルの下壁部をカバーする部分(図2の下壁部20cに相当する部分)が形成されていると、チャンネルの種類によっては第一の係合部の変形により、該チャンネルの下壁部をカバーするはずの該部分が該チャンネルの下壁部から外れた位置に来て邪魔になることがあるが、第一の係合部で終端させることにより、このような不都合を解消することができる。ハンドルを握った状態ではチャンネルの下壁部はガラス面に当たりにくいので、チャンネルの下壁部をカバーする部分がなくても、チャンネルの下壁部がガラス面を傷つける恐れは少ない。
【0015】
この発明のカバー部材は前記チャンネルの軸方向全長にわたり連続して装着されるものとすることができる。これによればチャンネルの軸方向全長にわたりチャンネルをカバーすることができる。
【0016】
この発明において前記第一の係合部は、軸方向の全長の中央箇所の下面にスクイジーのバックプレートを除ける切欠が形成されているものとすることができる。すなわちチャンネルの種類によってはチャンネルにカバーを被せることによりハンドルを装着する箇所の外径が大きくなり、該ハンドルとバックプレートでチャンネルを安定に挟み込めなくなる可能性がある。そのような場合に備えて、第一の係合部の軸方向の全長の中央箇所の下面にバックプレートを除ける切欠を形成することにより、ハンドルを装着する箇所の外径が大きくなるのを抑制して、ハンドルとバックプレートでチャンネルを安定に挟み込めるようになる。
【0017】
この発明において軸方向の全長の中央箇所に、前記第一の係合部と前記連結部との境界付近に沿って切取線が形成され、該第一の係合部を該切取線に沿って切り取ることによりスクイジーのハンドルの先端部を除ける切欠が形成されるものとすることができる。これによれば前記切欠に加えて、必要に応じて第一の係合部を該切取線に沿って切り取ることにより、ハンドルを装着する箇所の外径が大きくなるのをさらに抑制して、ハンドルとバックプレートでチャンネルを安定に挟み込めるようになる。
【0018】
この発明において前記第二の係合部は前記チャンネルの軸方向全長にわたり前記上壁部の先端部に係合するものとすることができる。これによればチャンネルの軸方向全長にわたりチャンネルの上壁部の先端部をカバーすることができる。
【0019】
この発明において前記第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部が可撓性を有するプラスチックによる一体成型で構成されているものとすることができる。これによればこの発明のカバー部材を押し出し成型等で容易に製造することができる。
【0020】
この発明において前記チャンネルの軸方向の端部で、前記チャンネルの上壁部の側面とその上側の前記連結部の側面との間に差し込まれて該チャンネルの該端部をカバーするエンドクリップを別体で具えるものとすることができる。これによればチャンネルの側面をエンドクリップでカバーして、スクイジーがガラス面の周縁部を掻いているときに、該チャンネルの側面がサッシ等に当たって引っ掻き傷を付けるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明のカバー部材の実施の形態を示す軸直角方向の断面図である。
【図2】従来のカバー部材を示す図で、ブレードおよび同カバー部材を装着したチャンネルの軸直角方向の断面図である。
【図3】在来のスクイジーの構成部品およびこのスクイジーに装着される図1のカバー部材を示す分解斜視図である。
【図4】図3のスクイジーの構成部品およびカバー部材を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図5】図1のカバー部材44を押し出し成型で作製する、実際に作製した金型の設計図である。
【図6】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されているスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図7】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図8】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図9】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図10】図5の金型で作製したカバー部材44を市販されている別のスクイジーチャンネルに装着した状態を示す軸直角方向の断面図である。
【図11】図3のカバー部材44の変形例を示す図で、図3のカバー部材44に切欠54および切取線56を形成した状態を示す底面図および拡大断面図である。
【図12】図11の第一の係合部46を切取線で切って除去した状態を示す底面図および拡大断面図である。
【図13】エンドクリップ58の平面図、底面図、正面図である。
【図14】図13のエンドクリップ58をカバー部材44が装着されたチャンネル10に装着した状態示す側面図である。
【図15】図14の状態における平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施の形態を説明する。図3は在来のスクイジーの構成部品およびこのスクイジーに装着されるこの発明によるカバー部材を示す。スクイジー30は金属製のハンドル32と、金属製のバックプレート(裏板)34と、金属製のチャンネル10と、チャンネル10にその長手方向に沿って装着されたゴム製のブレード14と、2本のねじ38と、2個のナット40とで構成される。チャンネル10に対するブレード14の装着状態は前記図2と同じである。すなわち図6〜図10に示すように、チャンネル10の膨出部10aは、ブレード14の膨出した基端部14aを内部空間12bに収容する。ブレード14の基端部14aに続く板状部14bは、チャンネル10の上壁部10bと下壁部10cとの間の空隙12aを通って外部に引き出されている。チャンネル10の上壁部10bは、ブレード14の板状部14bの上側に配置され、チャンネル10の下壁部10cは、ブレード14の板状部14bの下側に配置されている。
【0023】
図3において、ハンドル32の先端のヘッド部32aは把持部32bに比べて幅広に形成され、2箇所にねじ通し穴32cが形成されている。バックプレート34にはヘッド部32aのねじ通し穴32cに対面する2箇所にねじ通し穴34aが形成されている。カバー部材44を使用しない元々の使用方法では、ハンドル32のヘッド部32aの下面にバックプレート34を配置し、ヘッド部32aとバックプレート34の間にチャンネル10を挟み込み、2本のねじ38をハンドル32の上面側からねじ通し穴32c,34aに差し込み、バックプレート34の下面側に突出するねじ38の端部にそれぞれナット40をねじ込んで締め付けることにより、ハンドル32とバックプレート34は相互に連結されかつハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34の間にチャンネル10が挟持されて、ハンドル32とバックプレート34とチャンネル10は組み立てられて分解可能に一体化される。カバー部材44を使用するときは、チャンネル10にカバー部材44を被せて装着したうえで、上記と同様にして着脱自在に組み立てる。図4はそのようにして組み立てられた状態を示す。ブレード14の前端面14cはガラス表面から洗浄液を掻き落とせるようにカバー部材44の前端面44aよりも少し前に突出している。なおチャンネル10にカバー部材44を装着することによりハンドル32とバックプレート34で挟持する箇所の外径が大きくなり既存のねじ38ではナット40に十分に届かない場合は、既存のねじ38に代えて少し長めのねじを使用する。
【0024】
カバー部材44は適宜のプラスチック材料を、該カバー部材44の軸直角方向の断面パターンを有する金型で押し出し成型した後、適宜の長さごとに切断して作られ、全体が可撓性を有している。カバー部材44のプラスチック材料としては、適当な硬さ、耐摩耗性、押し出し成型の容易さ等を考慮して例えばポリプロピレン(PP)を好適に使用することができる。カバー部材44の軸直角方向の断面は長手方向全長にわたり一様に形成されている。カバー部材44は軸方向の長さがチャンネル10よりも若干長く形成され、チャンネル10の長手方向全体をカバーするようにチャンネル10に嵌め込み装着される。カバー部材44の軸方向の両端部はチャンネル10の軸方向の両端部から0.5〜2mm程度外側にはみ出して配置され、これによりチャンネル10の軸方向の両端部(両側面)もカバー部材44でカバーされる。
【0025】
カバー部材44の軸直角方向の断面を図1に示す。カバー部材44の軸直角方向の断面は、基端側に位置する円弧状に形成された第一の係合部46と、先端側に位置する鈎状に形成された第二の係合部50と、第一の係合部46と第二の係合部50の間でこれら両者を相互に連結する連結部48を一体に形成して構成される。カバー部材44の板厚は第二の係合部50の、チャンネル10の上壁部10b(図6〜図10)の下側に配置される部分(以下「鉤部」)50aを除き一定厚(図5に示す金型の設計では1mm厚)に形成されている。
【0026】
第一の係合部46は、チャンネル10の膨出部10a(図6〜図10)を収容する第一の凹部46aを有し、該膨出部10aに被せられて(嵌められて)該膨出部10aに係合する。第一の凹部46aの内壁面46bは円弧状に形成されている。これによりチャンネル10の種類によって膨出部10aの断面形状や外径が違っても、可撓性を有する第一の係合部46の変形(第一の凹部46aの拡開)によって、該違いを吸収して膨出部10aに係合させることができる。カバー部材44の第一の係合部46側の端部は該第一の係合部46で終端している。つまり図2の従来構造の下壁部20cに相当する部分を具えていない。下壁部20cに相当する部分があると、チャンネル10の膨出部10aの大きさ等による第一の係合部46の変形により、該下壁部20cに相当する部分がチャンネル10の下壁部10c(図6〜図10)から外れた位置に来て邪魔になることがあるが、カバー部材44は第一の係合部46で終端しているので邪魔になるものがない。ハンドル32を握った状態ではチャンネル10の下壁部10cはガラス面に当たりにくいので、チャンネル10の下壁部10cをカバーする部分がなくても、チャンネルの下壁部がガラス面を傷つける恐れは少ない。また図2の従来構造と異なり、カバー部材44は第一の係合部46と第二の係合部50の両方でチャンネル10に係合するので、図2の従来構造の下壁部20cに相当する部分がなく第一の係合部46がチャンネル10の膨出部10aをその周方向に広く取り囲んでいなくても、カバー部材44はチャンネル10から外れにくい。
【0027】
第二の係合部50はチャンネル10の上壁部10bの先端部10d(図6〜図10)を収容する第二の凹部50b(U字状の溝)を長手方向全長にわたり有し、該チャンネル10の上壁部10bの先端部10dに被せられて(嵌められて)該先端部10dに係合する。第二の係合部50の下側に折り返した鉤部50aは軸直角方向の断面形状を長く形成する(折り返す長さを長くする)こともできるが、容易に外れない程度に短く(例えばチャンネル10の上壁部10bの長さの半分以内、好ましくはチャンネル10の上壁部10bの長さの1/3以内、より好ましくは図1の構造のように第二の凹部50bがチャンネル10の上壁部10bの先端部10dのみに被せられて係合する程度)形成した方が、ブレード14をガラス表面に押し当ててガラス表面から洗浄液を掻き落とすときに、ブレード14の反り(しなり)を邪魔しなくてすむ。図6の二点鎖線14’はブレード14がガラス表面に押し当たって反った状態を示す。ブレード14’は鉤部50aに当たるまで反ることができる。ガラス表面から洗浄液を掻き落とすときにブレード14が十分に反れることは重要であり、図1のように鉤部50を短く形成するとブレード14は十分に反ることができる。また鉤部50aを短く形成すれば、チャンネル10に対する装着も容易になる。すなわち第一の係合部46をチャンネル10の膨出部10aに係合させた後に、第二の係合部50をチャンネル10の上壁部10bに載せて上から指で押せば、カバー部材44の可撓性により第二の係合部50の先端部50aはチャンネル10の上壁部10bの先端部10dを乗り越えてチャンネル10の上壁部10bの先端部10dに係合する(第二の凹部50bに先端部10dが嵌り込む)ことができる。また鉤部50aは先細に(つまり先端に近づくにつれて薄く)形成されており、これによってもブレード14の反りを邪魔するのが抑制される。鉤部50aを先細に形成するのに代えて、鉤部50aを一般厚よりも薄い一定厚に形成することによっても、ブレード14の反りを邪魔するのを抑制することができる。
【0028】
第一の係合部46と第二の係合部50は、チャンネル10の上壁部10bの上側で連結部48により相互に連結されている。連結部48の前縁部付近にはカバー部材44をSTECCONE(登録商標)のアルミ製チャンネル(図6)に装着する場合に、該チャンネル10の上壁部10bの上面の前縁部付近に突出形成された突条10eを除けるための凸部48aが形成されている。凸部48aはチャンネル10の断面形状の違いに応じて拡開して該違いを吸収してカバー部材44をチャンネル10にがたつき無く装着するのにも寄与していると考えられる。
【0029】
以上の構成により、カバー部材44には、第一の係合部46、連結部48、第二の係合部50で包囲された内側空間52が構成され、該内側空間52にチャンネル10が嵌め込んで装着される。装着の手順は、チャンネル10の上にカバー部材44を長手方向の位置を合わせて配置し、カバー部材44の第一の凹部46aにチャンネル10の膨出部10aを押し込んで嵌めて第一の係合部46を該膨出部10aに係合させ、次いでカバー部材44の第二の係合部50の付近(例えば凸部48a)を上から押して、第二の凹部50b(溝)にチャンネル10の上壁部10bの先端部10dを端から順次嵌め込んで第二の係合部50を該先端部10dに係合させる。あるいは、端から第二の凹部50bにチャンネル10の上壁部10bの先端部10dを先に嵌め込み、これと並行してカバー部材44の第一の係合部46を上から押して(あるいは第一の係合部46を指で押し広げて)第一の凹部46aにチャンネル10の膨出部10aを順次嵌め込んでいくことにより、第二の係合部50を先端部10dに先に係合させながら、第一の係合部46を膨出部10aに係合させていく。チャンネル10にカバー部材44を一旦装着すると、カバー部材44はその可撓性によりチャンネル10を締め付けるので、カバー部材44はがたつき無くチャンネル10に装着され、軸方向にも容易にずれなくなる。装着したカバー部材44をチャンネル10から取り外すときは、第一の係合部46を端から指で押し広げながらチャンネル10の膨出部10aを第一の凹部46aから順次取り出すことにより、カバー部材44をチャンネル10から外すことができる。
【0030】
図1のカバー部材44を押し出し成型で作製する、実際に作製した金型の設計図を図5に示す。図5に示す寸法は押し出し成型用金型の主な箇所の寸法であり、この金型で押し出し成型して製造したPP製のカバー部材44はこの寸法よりも若干縮んだ。チャンネル10に装着する前のカバー部材44の内側空間52の寸法はチャンネル10の外寸より若干小さめであり、カバー部材44の可撓性により内側空間52を拡げてチャンネル10に装着することにより各メーカー製のチャンネルにがたつき無く装着できる。製作したPP製のカバー部材44を各メーカー製のチャンネルに装着した状態を図6〜図10に示す。各図のチャンネル10は次のものである(「STECCONE」「UNGER」「ETTORE」「ヤマザキ」はそれぞれ登録商標である)。
・図6:STECCONE(アルミ製)
・図7:UNGER(ステンレス製)
・図8:ETTORE(アルミ製)
・図9:ETTORE(ステンレス製)
・図10:ヤマザキ(真鍮製)
【0031】
図6〜図10によれば、軸直角方向の断面形状や外寸が様々に異なるにもかかわらず、カバー部材44の第一の係合部46の第一の凹部46aにチャンネル10の膨出部10aが係合し、カバー部材44の第二の係合部50の第二の凹部50b(溝)にチャンネル10の上壁部10bの先端部10dが係合して、カバー部材44の内側空間52にチャンネル10がしっかりと嵌め込まれていることが分かる。またPP製のカバー部材44は半乳白色でチャンネル10が透けて見えるので、チャンネル10とカバー部材44の装着状態を外から見て確認しやすい。
【0032】
前記実施の形態の変形例を説明する。図11は前記実施の形態で説明したカバー部材44について、第一の係合部46の軸方向の全長の中央箇所の下面に、スクイジーのバックプレート34を除ける切欠54を形成し、かつ軸方向の全長の中央箇所に、第一の係合部46と連結部48との境界付近に沿って切取線56として長穴を形成した状態を示す。チャンネル10の種類によってはチャンネル10にカバー部材44を被せることによりハンドル32を装着する箇所の外径が大きくなり、ハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34でチャンネル10を安定に挟み込めなくなる可能性がある。これに対し切欠54を形成することにより、バックプレート34の先端部は切欠54内に進入してチャンネル10に直接当接して、ハンドル32を装着する箇所の外径が大きくなるのを抑制することができるので、ハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34でチャンネル10を安定に挟み込めるようになる。
【0033】
さらに一部メーカー製のスクイジーハンドル(例えばUNGERのスプリングロック付きハンドル)については切欠54だけでは依然としてハンドルとチャンネルとの間にがたつきが生じる場合がある。そのような場合は第一の係合部46を切取線56で切り取って、図12に示すように大きな切欠54’を形成する。このようにするとバックプレート34の先端部のほかハンドル32のヘッド部32aも切欠54’内に進入できるようになる。ハンドル32のヘッド部32aの先端部は切欠54’の前端部からカバー部材44とチャンネル10の間の隙間に滑り込ませる。これによりハンドル32のヘッド部32aの先端部およびバックプレート34の先端部はチャンネル10に直接当接して、ハンドル32を装着する箇所の外径が大きくなるのをさらに抑制することができるので、ハンドル32のヘッド部32aとバックプレート34でチャンネル10を安定に挟み込めるようになる。
【0034】
エンドクリップについて説明する。エンドクリップはチャンネル10の軸方向の両端部で、チャンネル10の上壁部10bの先端部側面とその上側のカバー部材44の連結部48の側面との間に側方から差し込まれてチャンネル10の軸方向の両端部をカバーするものである。図13はエンドクリップ58の平面図、底面図、正面図を示す。エンドクリップ58はプラスチックの一体成型品で構成されたもので、図13に記載した寸法を有している。平板部60はチャンネル10の上壁部10bとカバー部材44の連結部48との間に挿入される部分である。平板部60の上面には、カバー部材44の連結部48に形成された凸部48a(図1)の内部空間48b内に収容されて該内部空間48bの内壁面に当接する2本の突条62,64が形成されている。平板部60の長手方向の一端部には平板部60の下面側に突出する当接板66が形成されている。エンドクリップ58をカバー部材44が装着されたチャンネル10に装着した状態を図14(側面図)、図15(平面図)に示す。エンドクリップ58はチャンネル10の軸方向の両端部で、平板部60が、チャンネル10の上壁部10bの先端部側面とその上側のカバー部材44の連結部48の側面との間に側方から差し込まれて装着されている。突条62,64はカバー部材44の凸部48aの内部空間48b内に収容されて該内部空間48bの内壁面に押圧当接して、エンドクリップ58が容易に脱落しないようにしている。当接板66の内側の面はチャンネル10の上壁部10bの先端部側面に当接して該先端部側面をカバーする。これによりスクイジーがガラス面の周縁部を掻いているときに、チャンネル10の側面がサッシ等に当たって引っ掻き傷を付けるのを防止することができる。PP製のカバー部材44は半乳白色で内側空間52が透けて見えるので、エンドクリップ58を色付きにすれば、外側からエンドクリップ58の当接板66の摩耗状況が確認しやすく、エンドクリップ58の交換時期を判断しやすい。
【0035】
なお本出願人は特願2009−54299にて「スクイジーをスクイジー・ウォッシャー一体型掃除用具に改造する方法および改造用部品」の発明を提案した。この発明ではチャンネルの上側にウォッシャーを装着して、ハンドルを反転させることによりスクイジーとウォッシャーを切り換えて使用できるようにしているが、ウォッシャーを使用するときに、裏返されたチャンネルの上壁部の先端部がガラス面に当たって引っ掻き傷を付ける恐れがある。そこでこのようなスクイジー・ウォッシャー一体型掃除用具のチャンネルにこの発明によるカバー部材を装着すればスクイジー・ウォッシャー一体型掃除用具を安心して使用することができる。
【0036】
前記実施の形態ではカバー部材44の第一の係合部46側の一端部を該第一の係合部46で終端させたが、カバー部材44を特定の型のチャンネル専用に作る場合等には、第一の係合部46に連続して下壁部(図2の下壁部20cに相当する部分)を設けることもできる。また前記実施の形態ではカバー部材44をポリプロピレンで構成したが、これ以外のプラスチック材料で構成することもできる。またプラスチック材料以外で構成することもできる。例えばガラス繊維・金属等の基材にゴム・プラスチック等をコーティングしてカバー部材を構成することができる。また前記実施の形態ではチャンネル10の全長にカバー部材を装着したが、チャンネル10の全長の一部の領域(例えばチャンネルの両端部近辺)に限りカバー部材を装着することもできる。また前記実施の形態ではカバー部材44の全長に第一の係合部46、第二の係合部50を形成したが、カバー部材44の全長の一部の領域(例えば両端部近辺あるいは飛び飛びの位置等)に限り第一の係合部46、第二の係合部50を形成することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10…チャンネル、10a…チャンネルの膨出部、10b…チャンネルの上壁部、12b…チャンネルの膨出部の内部空間、14…ブレード、14a…ブレードの膨出した基端部、14b…ブレードの板状部、32…ハンドル、34…バックプレート、44…カバー部材、46a…第一の凹部、46b…第一の凹部の内壁面、46…第一の係合部、48…連結部、50b…第二の凹部、50…第二の係合部、52…第一の係合部・連結部・第二の係合部で包囲される内側空間、58…エンドクリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸直角方向の断面が、膨出部と、該膨出部の上側端部に連続して形成される上壁部を少なくとも具備するチャンネルに装着されるカバー部材であって、
可撓性を有し、
軸直角方向の断面が、前記チャンネルの膨出部に被せられて係合する第一の凹部を有する第一の係合部と、前記チャンネルの上壁部の少なくとも先端部に被せられて係合する第二の凹部を有する第二の係合部と、前記上壁部の上側で前記第一の係合部と前記第二の係合部を相互に連結する連結部を具備し、前記第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部で包囲される内側空間に前記チャンネルを嵌め込んで装着するスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項2】
前記第二の凹部は、軸直角方向の断面が、前記上壁部の少なくとも先端部が差し込まれる溝状に形成されている請求項1記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項3】
前記第二の係合部は前記上壁部の下面側に位置する部分の板厚が、該カバー部材の一般厚よりも薄くまたは先細に形成されている請求項1または2記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項4】
前記第一の凹部の内壁面は、軸直角方向の断面が弧状に形成されている請求項1から3のいずれか1つに記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項5】
軸直角方向の断面の一端部が前記第一の係合部で終端している請求項1から4のいずれか1つに記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項1】
軸直角方向の断面が、膨出部と、該膨出部の上側端部に連続して形成される上壁部を少なくとも具備するチャンネルに装着されるカバー部材であって、
可撓性を有し、
軸直角方向の断面が、前記チャンネルの膨出部に被せられて係合する第一の凹部を有する第一の係合部と、前記チャンネルの上壁部の少なくとも先端部に被せられて係合する第二の凹部を有する第二の係合部と、前記上壁部の上側で前記第一の係合部と前記第二の係合部を相互に連結する連結部を具備し、前記第一の係合部、前記連結部、前記第二の係合部で包囲される内側空間に前記チャンネルを嵌め込んで装着するスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項2】
前記第二の凹部は、軸直角方向の断面が、前記上壁部の少なくとも先端部が差し込まれる溝状に形成されている請求項1記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項3】
前記第二の係合部は前記上壁部の下面側に位置する部分の板厚が、該カバー部材の一般厚よりも薄くまたは先細に形成されている請求項1または2記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項4】
前記第一の凹部の内壁面は、軸直角方向の断面が弧状に形成されている請求項1から3のいずれか1つに記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【請求項5】
軸直角方向の断面の一端部が前記第一の係合部で終端している請求項1から4のいずれか1つに記載のスクイジーチャンネルのカバー部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−29991(P2012−29991A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173948(P2010−173948)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(509048004)株式会社プラス・ワン・サービス (2)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(509048004)株式会社プラス・ワン・サービス (2)
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