説明

スクラッチカード

【課題】
スクラッチカードにおいて、不正者が一度スクラッチをして秘密情報を読み取った後、再度同様のスクラッチ隠蔽層を設けると、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であり、その隠蔽層に香料を含ませても同様であった。
【解決手段】
スクラッチカードのスクラッチ隠蔽部に、秘密情報を劣化させる成分を含んだマイクロカプセルを入れることで、スクラッチを実施したときにその成分が秘密情報を劣化させることで、不正行為が行われた場合、目視にて容易に確認できるようにし、不正行為による被害を少なくすると共に、不正行為の防止を図ることができるスクラッチカードを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード上の秘密情報表示部を隠蔽するためのスクラッチ隠蔽層が設けられたスクラッチカードであって、特に偽造品や変造品に対する真偽判定を香り及び前記秘密情報表示部の劣化を確認することにより行うことができるスクラッチカードに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
通信網やコンピュータネットワークの普及とともに、わが国においても第三次産業の占める割合が急速に伸び、様々な業者による様々なサービスの提供が行われている。このようなサービス業者は、物品の販売ではなく、特定のサービスの提供により対価を得ているため、物品を販売する一般の業者とは異なる形態により、顧客からの料金回収を行っていることが多い。たとえば、顧客の銀行口座から、利用したサービスに相当する対価を自動的に引き落とす方法や、信販会社に対してクレジット契約を予め締結しておき、信販会社を介して利用料金を決済する方法などは、ごく一般的な料金回収の形態であり、電気料金、ガス料金、水道料金などの公共サービスや、種々の情報提供サービスなどにおける料金決済の手法として広く利用されている。また、プリペイドカードの販売という形式により、将来提供されるべきサービスに対して、料金回収を先に行ってしまう方法も普及している方法であり、料金や運賃の回収に広く利用されている。
【0003】
上述した銀行口座からの自動引き落としや、信販会社を介した決済という方法は、非常に堅実な方法ではあるが、事前の手続きが面倒で、また、サービスの利用開始までに時間がかかるという問題がある。したがって、公共料金など利用が不可欠なサービスについては、有効な料金回収方法であるとしても、顧客にとって恣意的なサービスについての料金回収方法としては、必ずしも適切ではない。利用料金の支払いのための手続きが面倒であったり、実際に利用が可能になるまでに何日も待たされたりすれば、顧客はそのサービスの利用に躊躇せざるを得なくなる。これに対して、プリペイドカードを用いた料金回収方法は、非常に手軽な方法であり、サービスによっては非常に有効な方法である。すなわち、通常の物品を購入するのと同じ形態で、サービスに対する対価の支払いを行うことができ、かつ、プリペイドカードを購入した時点からそのサービスを利用できるようになる。
【0004】
このような利便性から、プリペイドカードの利用が拡大したが、その半面、プリペイドカードの偽造や変造という問題が生じるに至っている。すなわち、一般的なプリペイドカードは、磁気的に残存対価を記録する方式を採っているため、この磁気的な記録の改竄という方法による不正利用が蔓延する結果となっている。このように、従来の磁気記録を利用したプリペイドカードは、安全性の面で問題が生じている。
そこで、カードそのものには金額等の記録を保持せず、「認証番号等」のみを秘密情報として保持させて、そのカードを購入した者がその番号等を「申告する」ことにより種々のサービスを受けることができる等のプリペイドカードサービスが普及している。この番号等は、秘密情報として秘匿するために、スクラッチ隠蔽層等により隠蔽されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
(先行技術)
さらに、インスタント抽選券、秘密情報伝達カード、クイズカード等で、一時的に秘密にしたい情報をシート上にプリンター等で印字表示し、それらの秘密情報表示部の上層に引っ掻くことで破壊されるスクラッチ隠蔽層を形成させてなる「スクラッチカード」が用いられている。これらのスクラッチ隠蔽層は、比較的容易に入手できる原料から形成することが可能であるため、偽造や変造を行うことも容易である。例えば、販売前の段階において、販売関係者が宝くじ等のインスタント抽選券のスクラッチ隠蔽層を一旦引っ掻いて剥離し、抽選番号を見て当たりの抽選券と外れの抽選券を事前に確認して判別しておき、再度抽選番号の表示部分上にスクラッチ隠蔽層を再形成することで、見かけ上、元の状態に戻しておき不正行為が行われたことを気づかれないようにカムフラージュし、当たりの抽選券を知り合いに販売することで特定の客に儲けさせる等の不正行為を働くことも可能である。この対策として、スクラッチ隠蔽層に香料を含んだマイクロカプセルを入れ、真偽判定をする方法が提案されている。しかし、この方法では、正当な使用者がスクラッチした際、バラの匂い等、嗅覚に訴える販促的効果は期待できるが、不正者が一度スクラッチをした後、再度同様の匂いの香料を含むスクラッチ隠蔽層を設けても、その後入手した正当な使用者にとって、目視にて容易に判読できる不正の痕跡を残すことは困難であった。(例えば、特許文献2参照。)
【0006】
【特許文献1】特開平10−214320号公報
【特許文献2】特開2001−47777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、スクラッチカードの不正の判定を誰でも簡単に行うことができるようにすることで、不正行為が行われた場合でも目視にて容易に確認できるようにし、不正行為による被害を少なくすると共に、不正行為の防止を図ることができるスクラッチカードを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のスクラッチカードの第1の態様は、
秘密情報表示部及び、スクラッチ隠蔽層が設けられたスクラッチカードにおいて、前記スクラッチ隠蔽層を粉砕した際に前記秘密情報表示部を劣化させる液状物質を含むマイクロカプセルを、前記スクラッチ隠蔽層が含有することを特徴とするものである。
「液状物質」とは、常温で液体であるものをいうが、本発明の「液状物質」は、秘密情報を形成するインキやトナーに用いられる樹脂等の材料を劣化(膨潤、溶解等)することができる液体をいう。
カード基材上に秘密情報表示部の秘密情報として、暗証番号、個人認証番号、口座番号、その他の個人特有の番号・記号や、抽選番号・記号、管理番号・記号等の単なる連続番号や記号であって、登録することによりその有効性を発現するもの、暗号鍵番号である共通鍵番号のように同一の番号、さらには、全くの乱数であってカード作成時に発生させ作製者含め誰もその番号の内容を知らないよう工夫した番号等、知ることが許された者のみが見ることができ、その他の者は物理的に見ることができないよう設定される番号・記号等がある。もちろん、そのカードの用途により、番号・記号のみならず、図形その他、個人及びそのカード供給者が共通に認識できるもの(情報)であれば何でもよい。
この秘密情報をカードに表示する方法(秘密情報表示部とする方法。以下、「秘密情報」もしくは「秘密情報表示部」を総称して「秘密情報」とする。)としては、可変情報を形成する方式として、感熱溶融転写方式、昇華転写方式及び、インクジェット方式等があり、固定情報を形成する方式としては、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式等がある。
これらの方式により、前記秘密情報をカード基材へ形成し、この秘密情報を使用者等の目視による判読を防ぎ、正当な使用者がスクラッチによりその秘密情報を判読できるようにするためのスクラッチ隠蔽層を前記秘密情報形成部分を覆うように形成する。
このスクラッチを行った履歴を残すために、液状物質を前記スクラッチ隠蔽層に含めるが、液状であることによって、そのスクラッチ隠蔽層からその液状物質が染み出したり、その匂いが前記隠蔽層から出ては意味がない。そのため、その液状物質の染み出しや、その匂いを遮蔽するカプセル膜材で包み込んだマイクロカプセルとして含有する。また、比較的長時間その液状物質をそのカプセル内にと留めるため、カプセル膜材は、その液状物質の溶解性に対する耐性を有する必要がある。その上で、スクラッチをしたときには、このマイクロカプセルが粉砕され(マイクロカプセルが破れるという意味。)、その液状物質が流れ出して、前記スクラッチ隠蔽部の秘密情報表示部に接して、その秘密情報を膨潤させ、もしくは一部溶解して秘密情報の判読を阻害するものとする。もちろん、液状物質の量に限りがあるため、さらには、流れ出る領域に限りがあるため、秘密情報の全てを溶解、判読不能とすることは困難であるが、秘密情報の中に、敢えて、この溶解を想定して、通常の数字・文字・記号・マーク・図形等のその「大きさ」より「小さい」数字・文字・記号・マーク・図形等を含めておき(例えば、1/2サイズ、さらには1/10サイズ等。1/5〜1/10以下であれば、速やかに消失するが、それより小さいと可変情報形成方式で正確に形成できない。)、その部分を確認すること不正を判定することもできる。この小さい数字・文字・記号・マーク・図等をスクラッチカード毎に変更し、正当な使用者のみにその「存在」及び、場合によってはその「内容」を知らせることにより(カード上の別の場所に同一のものを形成しておく等。)、「不正の発見」を精度よく実施することができる。
【0009】
さらには、秘密情報を「白抜き」とし、その「白抜き」の輪郭線を極く細い線として(10ポイント文字であれば、白抜きの輪郭線の幅は、100μm以下となるが、その幅をさらに細くし、例えば30μmとする等。)、この溶解性を高めることも好適である。
もちろん、さらに秘密情報を小さくすることも可能であるが、その場合には、秘密情報形成方法として、精密リソグラフィーを用い、秘密情報判読方法として、拡大読み取り装置等の準備が必要となり、システム全体が大掛かりなものとなる。
この液状物質としては、秘密情報を形成する感熱溶融転写方式、昇華転写方式及び、インクジェット方式等に用いられる感熱溶融インク、昇華転写材料、インクジェットトナー等を劣化もしくは溶解する性質のものを使用する。すなわち、脂肪族アルコール系、芳香族アルコール、芳香族炭化水素系、環状テルペン系等の液状物質が使用できる。
さらに、水性インク、水性トナーを使用して秘密情報を形成した時には、蒸留水、低級アルコール等、水系のものを用いることができる。衛生面等から考慮して、水系のものが好適である。
感熱溶融インクや、インクジェットトナーは、転写したカード基材上に形成された後、上記した溶解を行うと比較的基材上のその痕跡を残さず除去可能であるが、昇華転写方式の場合は、カード基材に直接昇華転移した場合には、容易にはその痕跡を消失することが難しいため、あらかじめカード基材上に昇華転写材料の受容層(昇華材料の転移を受ける層)を設けておき、その層を上記した方法により溶解することで、その層が保持している秘密情報を溶解させる手法をとる。
上記した液状物質を包み込むマイクロカプセルの膜材としては、ゼラチン、アラビアゴム、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等、尿素樹脂等が使用できるが、使用する液状物質により、その耐性のあるものを選定する。
マイクロカプセルの大きさは、1μm〜50μmであり、その膜の厚さはその1/5以下と非常に薄く、スクラッチにより容易に粉砕することができる。もちろん、カード上に形成しているときは、このような不要な力が働かないため、粉砕されることなく液状物質を保持しつづける。
このマイクロカプセルを種々の樹脂に分散し、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、活版印刷方式、凹版印刷方式、スクリーン印刷方式に使用するインキとして、秘密情報表示部上にその秘密情報を覆うように、スクラッチ隠蔽層を厚さ5μmから50μm、さらには10μm〜30μmで形成する。5μm未満では、秘密情報が透けて見える可能性があり、50μm超ではカード上の突出が大きすぎてカードを重ねる等のハンドリングに支障をきたす。さらに10μm以上あれば秘密情報の隠蔽性は十分であり、30μm以下であれば形成作業性に優れ、1000枚重ねた際の突出量は3cm以内となり、自動搬送処理等にも使用可能な範囲に収まる。
スクラッチ隠蔽層の厚さがこの範囲であれば、指もしくはつめで容易に粉砕可能である。
但し、正当な使用者が粉砕した際に、その液状物質により即時に秘密情報が消失したのでは秘密情報を判読できないため、マイクロカプセルの含有量を調節する。例えば、スクラッチ隠蔽層において、マイクロカプセルの含有量は、10%〜70%とする。10%以下では、秘密情報を劣化させるには不十分であり、70%以上であると、スクラッチ層自体の強度が不十分となる。マイクロカプセル内の、液状物質の含有量は、10%以上40%以内とする。10%未満では上記した効果が不十分であり、40%を超えるとマイクロカプセルの膜材が薄くなり脆弱となる。また、マイクロカプセル含有量を70%超とし、且つ駅所物質の含有量を40%超とすると、スクラッチの際、秘密情報が即時に劣化・消失するためその判読性に問題が生じる。この量は、秘密情報を形成する材料、スクラッチ隠蔽層の樹脂、液状物質によって、さらにはスクラッチカードの用途により、適量とする。
【0010】
本発明のスクラッチカードの第2の態様は、
前記液状物質に香料が含まれることを特徴とするものである。
香料を含ませることで、正当な使用者に対して、「バラの匂い」等、嗅覚に訴え販促効果を醸し出すことが可能であり、且つ、秘密情報形成部以外のカード表面部分へ香料が染み出し、香料の残渣を残すとともに、その匂いもそのカード表面へ広く付着することにより、スクラッチ行為をしたことを明らかにする。
香料としては、種々のものが採用されるが、やはり、スクラッチカードの用途に応じて選定することが好ましい。
香料としては、天然香料として、ジャスミン油やラベンダー油等の植物性香料や、動物性香料、さらには、合成香料(芳香族系、脂肪族系等)が用いられる。もちろん、販促目的でなく、偽造防止目的として、敢えて強い印象の残るスカトール等の「臭い匂い」を採用することもできる。
【発明の効果】
【0011】
以上、詳細に説明したように、本発明のスクラッチカードは、不正行為の有無の判定を、スクラッチ隠蔽層部分を引っ掻いて破壊した時の秘密情報の劣化や、香りの有無により誰でも簡単に行うことができるので、不正行為が行われた場合に容易に確認することができ、不正行為による被害を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すスクラッチカード1の断面図である。
図2は、本発明の1実施例であるスクラッチカード1を粉砕した際のスクラッチカード1の断面図である。
以下、本発明のスクラッチカードの実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の1実施例のスクラッチカードの断面図、図2は、図1のスクラッチカードのスクラッチ隠蔽層の一部を引っ掻いた状態を示す断面図である。本発明のスクラッチカード1は、図1に示すようにカード基材2上に秘密情報が印字や印刷により表示された秘密情報表示部3と、その上に形成された液状物質、もしくは香料を含む液状物質が含有されているスクラッチ隠蔽層4とから構成されている。
カード基材2としては、紙、合成樹脂フィルム等の任意の基材を使用すればよい。本発明のスクラッチカード1は、例えばプラスチックカードや紙カード等のカード類、その他各種の券やシート状の印刷物等として用いることができる。
スクラッチ隠蔽層4としては、ゼラチン、合成ゴム系樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、等種々のものが用いられる。この樹脂は、前記液状物質により溶解される必要はないが、秘密情報を劣化させるための液状物質の流動性を助けるため、一部溶解性を有することは好適である。
また、体質顔料、シリコンオイル、金属粉等(アルミニウム粉等。)の種々の添加物も使用できる。金属粉を含むと、秘密情報を隠蔽する効果だけでなく、前記液状物質の流動性を促進する効果がある。
スクラッチ隠蔽層の上に、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体さらには紫外線硬化樹脂等の保護層を設けて、スクラッチカード使用等における液状物質の染み出しを防止したり、秘密情報の隠蔽をさらに強化してもよい。
また、秘密情報の一部を形成後、保護層を設けて、液状物質からの劣化を防ぎ、さらにその保護層の上に、秘密情報の残りの部分を形成し、その上にスクラッチ隠蔽部を設けることで、スクラッチの際、その保護層の下の秘密情報(一部)をそのまま残し、保護層上の秘密情報(残りの部分)を劣化、消失させる手法も好適である。この保護層上下の秘密情報を組み合わせて(数字を交互に設ける等。)より偽造防止効果を向上させることもできる。この保護層は、感熱溶融転写方式、昇華転写方式、インクジェット方式で用いられる保護層形成方法を使用して、1〜3μm厚さで形成することができる。これらの保護層は、本発明の液状物質に対する耐性をある程度有している。
【0013】
液状物質6としては、スクラッチカードを使用する環境において液体であって、
水性インキに対応して、蒸留水等や、脂肪族アルコール、環状テルペンアルコール、芳香族アルコール等のアルコール類及びこれらの混合物、
樹脂系インキに対応して、環状テルペン類、芳香族炭化水素等、ケトン類等及びこれらの混合物を使用することができる。
または、下記する香料において、液状物資の性質を持つものは液状物質として使用することができる。もちろん、上記液体を混合して、液状としたものも好適である。香料そのものが、秘密情報の溶解性を持つ場合は、もちろん、単体で用いることもできる。
香料としては、以下に示すようなものを用いることができる。
(1)天然香料
植物性香料として、ジャスミン花油、ラベンダー油、ペパーミント油、ローズマリー油、ベルガモット油、レモン油、カシア油、オレンジ油、アニス油、オリス油、ネロリ油、スパイク油、パチューリ油、サイム油、クラリセイジ油、パルマローザ油等
動物性香料として、カストリウム、ムンク等
(2)エステル類
脂肪族酸エステルとして、吉草酸エステル、ヘプチンカルボン酸エステル、ミリスチン酸エステル等、芳香族酸エステルとして、安息香酸エステル、サリチル酸エステル等
(3)炭化水素
環状テルペン炭化水素として、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、ジペンテン等、
芳香族炭化水素として、フェノール類、フェノールエーテル類、ヒドロキノン類、アニーソル類、オイゲノール類、フサロール類、ナフトール類等
(4)アルコール類
脂肪族アルコールとして、n−ノニルアルコール、n−オクチルアルコール、ジメチルオクタノール、n−ウンデシレンアルコール、等、さらに、オレフィン系テルペンアルコールゲラニオール、シトロネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシ・シトロネロール、ロジノール等、
環状テルペンアルコールとして、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、イソプレゴール、メントール、ボルネオール、イソボルネオール、等
セスキテルペンアルコールとして、ネロリドール、サンタロール、ファルネソール、等
芳香族アルコールとして、アニスアルコール、ベンジルアルコール、シンナミックアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、メチルフェニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、ジメチルベンジルカルビノール、β−フェニルエチル・ジメチルカルビノール、β−フェニルエチル・メチルエチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール等
(5)ケトン類
脂肪族ケトンとして、メチル−n−ノニルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジアセチル、メチルヘプテノン等
環状テルペンケトンとして、メントル、カルボン等、
c)芳香族ケトン
ベンジリデンアセトン、ベンゾフェノン、メチルナフチルケトン、イオノン、メチルイオノン、イロン、ジャスモン、シベトン、エキザルトン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン等
(6)ラクトン及びオキシドとして、エキザルトリド、クマリン、シネオール等
(7)アルデヒド類
n−ウンデシアルデヒド、n−ヘキサンデシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド、
シトロネラール、シトラール等のオレフィン系テルペン、
サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド等の芳香族アルデヒド
(8)窒素カ化合物
スカトール、インドール、ニトロベンゾール、キノリン誘導体等
を使用することができる。この中でも、天然香料は、販促効果が高く、衛生面に優れる。
【0014】
マイクロカプセル化の方法としては、気中懸濁法等の物理的・機械的手法による方法や、界面重合法、in−situ重合法、コンプレックスコアセルベーション法、有機溶剤系からの相離法、液中乾燥によるマイクロカプセル化法、融解分散冷却法によるマイクロカプセル化法、液中硬化被覆マイクロカプセル化法等の物理化学方法及び化学的方法によりマイクロカプセル化する。
上記のマイクロカプセル化において、物理的・機械的手法による方法では、壁膜材として、でん粉、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の水溶性物質、セルロースアセテート、エチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリエチレン、ニトロセルロース、シリコーン等の非水溶性物質、ステアリン酸、パルミチン酸、グリセリルステアレート等のワックス類等を用いることができる。
また、物理化学的方法及び化学的方法では、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルフォンアミド、エポキシ化合物、ポリスンフォネート、ポリカーボネート、ポリオール、ポリイソシアナート、ポリアクリル酸、アクリレート化合物、ポリアミン、ポリサルファイド、尿素、ゼラチン、ゴム、エチルセルロース、フェノール樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸塩、ワックス、脂肪酸、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等を用いてマイクロカプセル化を行う。
これらのマイクロカプセル5に内包化された香料は、図2に示すように、カード基材2上に印字や印刷により表示された秘密情報表示部3の表示情報を見るために、表面から引っ掻くと、スクラッチ隠蔽層4内に混入されているマイクロカプセル5の一部が破壊されるために、マイクロカプセル5内の液状物質や香料が発散されることでその匂いや香りを嗅ぐことができる。
【0015】
(実施例1)
カード基材2として、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートシートに、下記インキ組成物をオフセット印刷方式にて、「12345」の番号(文字高さ高さ2mm、幅1mm))と、その1/10サイズの「☆」マークの印刷を行った。印刷後の番号やマークの厚さは、1μmとした。
・<インキ組成物>
ポリビニルアルコール樹脂 40質量部
エチレン−ビニルアルコール共重合体 35質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
カーボンブラック 5質量部
この上に、秘密情報を覆う様に、下記液状物質マイクロカプセルを含有する、下記スクラッチ隠蔽層用インキを用いて、スクリーン印刷方式にて、厚さ20μm、縦10mm、横30mmのサイズにて形成し、スクラッチカードとした。
・<液状物質マイクロカプセル>
カプセル膜材:メラミン樹脂、液状物質:イソプロピルアルコール、カプセル平均粒径:5μm
・<スクラッチ隠蔽層用インキ>
液状物質カプセル 30質量部
メラミン樹脂 10質量部
アルミニウム紛 40質量部
メチルイソブチルケトン 20質量部
このスクラッチカードを、指のつめでスクラッチしたところ、スクラッチ隠蔽層の一部が破れ、中のマイクロカプセルの一部が粉砕して、中の液状物質マイクロカプセルからイソプロピルアルコールが流出して、速やかに秘密情報である「12345」及び「☆」マークを劣化させた。そのため、秘密情報「12345」は何とか読み取ることができたものの、「☆」マークは判読不能であった。
このことから、この一度スクラッチしたものを、元の形に復元しようとしても(「12345」を改めて印刷したとしても)、この微細マークが読めないため、復元不可能と思われた。
(実施例2)
香料として、植物性香料のレモン油を使用し、液状物質としてジペンテン/シクロヘキサンを4/1にて混合したもの、秘密情報の印字方法としてインクジェット方式を使用した以外は、実施例1と同様として、実施例2を得た。
このスクラッチカードを、指のつめでスクラッチしたところ、スクラッチ隠蔽層の一部が破れ、中のマイクロカプセルの一部が粉砕して、中の液状物質マイクロカプセルからレモン油及びジペンテン/シクロヘキサンが流出して、レモンの心地よい香りがしたと同時に、速やかに秘密情報である「12345」及び「☆」マークを劣化させた。そのため、秘密情報「12345」は何とか読み取ることができたものの、「☆」マークは判読不能であった。
このことから、この一度スクラッチしたものを、元の形に復元しようとしても(「12345」を改めて印刷したとしても)、この微細マークが読めないため、復元不可能と思われた。
【0016】
(比較例)
液状物質を除いたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例を得た。
このスクラッチカードを、指のつめでスクラッチしたところ、スクラッチ隠蔽層の一部が破れ、中のマイクロカプセルの一部が粉砕して、レモン油が流出して、レモンの心地よい香りがした。
秘密情報「12345」及び「☆」マークは劣化しておらず、明確に読み取ることができた。このことから、この一度スクラッチしたものを、元の形に復元することは容易と推察された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施例を示すスクラッチカード1の断面図である。
【図2】本発明の1実施例であるスクラッチカード1を粉砕した際のスクラッチカード1の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 スクラッチカード
2 カード基材
3 秘密情報表示部
4 スクラッチ隠蔽層
5 マイクロカプセル
6 液状物質もしくは、香料を含む液状物質


【特許請求の範囲】
【請求項1】
秘密情報表示部及び、スクラッチ隠蔽層が設けられたスクラッチカードにおいて、
前記スクラッチ隠蔽層を粉砕した際に前記秘密情報表示部を劣化させる液状物質を含むマイクロカプセルを、前記スクラッチ隠蔽層が含有することを特徴とするスクラッチカード。
【請求項2】
前記液状物質に香料が含まれることを特徴とする請求項1記載のスクラッチカード。

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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−105344(P2010−105344A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281778(P2008−281778)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】