説明

スクリーン、スクリーン装置、スクリーンの製造方法、及びスクリーン装置の製造方法

【課題】スクリーンの左右方向の中心軸と、プロジェクターから投射される投射光の光軸とを略一致させることが容易となるスクリーン、スクリーン装置、スクリーンの製造方法、及びスクリーン装置の製造方法を提供する。
【解決手段】スクリーン2は、投射光を反射させて表示を行うスクリーン基材20を有するスクリーン2であって、スクリーン基材20は、上下方向の少なくともいずれか一方の端部側に、スクリーン基材20の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部(第1孔部24)を備える。スクリーン装置は、スクリーン2と、スクリーン2を保持するフレーム3と、を備え、フレーム3は、スクリーン2の第1孔部24を保持する保持部30を有している。スクリーンの製造方法は、スクリーン基材20の一方の端部側に、スクリーン基材20の左右方向の中心位置を明示する第1孔部24を形成する中心位置表示部形成工程103を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン、スクリーン装置、スクリーンの製造方法、及びスクリーン装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター等の投射型表示装置から投射された投射光をスクリーンで反射して画像を表示するスクリーン装置が知られている。特許文献1では、凹形状をなし、平面上に配列された複数の凹面部を有し、平面又は平面の延長面上の基準点から離れるに従って、基準点を中心とする放射方向における凹面部のピッチを増大させて凹面部を配列させるスクリーンを開示している。これにより、プロジェクターからの光を適度な角度分布で効率良く正面へ進行させ、高輝度かつ高コントラストな画像が得られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−96883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるスクリーンでは、凹面部は、左右対称で上下非対称に形成される。このような凹面部を有するスクリーンでは、基準点を含み左右方向の中心となる軸に対して、プロジェクターからの投射光の光軸が交わらないと、効率良く正面へ進行させ、高輝度かつ高コントラストな画像が得難くなるという課題がある。言い換えると、左右方向の中心軸を通り、スクリーンの面に対して略垂直となる平面を設定した場合、この平面上に光軸が含まれることが必要となる。更に言い換えると、中心軸と光軸を含む平面が、スクリーン面と略垂直に交差することが必要となる。なお、以降では、このことを、「中心軸と光軸とが略一致する」として適宜使用する。また、別の課題として、スクリーンに投射光の表示領域が設定される場合等には、表示領域にのみ反射膜を形成することが課題となる。
従って、スクリーンの左右方向の中心軸と、プロジェクターから投射される投射光の光軸とを略一致させることが容易となるスクリーン、スクリーン装置、スクリーンの製造方法、及びスクリーン装置の製造方法が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
(適用例1)本適用例に係るスクリーンは、投射光を反射させて表示を行うスクリーン基材を有するスクリーンであって、スクリーン基材は、上下方向の少なくともいずれか一方の端部側に、スクリーン基材の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部を備えることを特徴とする。
【0007】
このようなスクリーンによれば、スクリーン基材の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部を備えることにより、例えば、スクリーン基材の中心軸と、投射光の光軸とを一致させなければならない場合、中心位置表示部を基準として用いることにより、一致させることが容易となる。
【0008】
(適用例2)上記適用例に係るスクリーンにおいて、スクリーン基材は、投射光を反射させて表示を行う表示領域を備え、中心位置表示部は、表示領域の左右方向の中心位置で表示領域の外側に形成されていることが好ましい。
【0009】
このようなスクリーンによれば、投射光を反射させて表示を行う表示領域を備えているような場合(例えば、表示領域が、左右対称で上下非対称な配置で形成される複数の凹部または凸部の内面または外面に反射膜を有している場合等)において、表示領域の左右方向の中心位置と投射光の光軸とを一致させることが容易となる。また、中心位置表示部は、表示領域の外側に形成されるため、投射光に影響することがない。
【0010】
(適用例3)上記適用例に係るスクリーンにおいて、中心位置表示部は、第1孔部を有していることが好ましい。
【0011】
このようなスクリーンによれば、中心位置表示部は孔部(第1孔部)という簡易な構成で実現できる。
【0012】
(適用例4)上記適用例に係るスクリーンにおいて、中心位置表示部は、第1孔部を中心として、左右方向に少なくともそれぞれ1つの第2孔部を有していることが好ましい。
【0013】
このようなスクリーンによれば、中心位置表示部は、第1孔部を中心として、左右方向に少なくともそれぞれ1つの第2孔部を有することにより、スクリーン又は表示領域の水平度を確保することができる。また、例えば、スクリーンを別の部材に固定する場合、この第1孔部及び第2孔部を用いることにより、水平度を確保して固定することができる。
【0014】
(適用例5)上記適用例に係るスクリーンにおいて、表示領域と表示領域の外側との境界を示す境界表示部を備えていることが好ましい。
【0015】
このようなスクリーンによれば、例えば、境界表示部を目安にしてマスクを容易に設置することができる。これにより、例えば、表示領域にのみ反射膜や反射膜を保護する保護膜等を形成することが容易となる。
【0016】
(適用例6)本適用例に係るスクリーン装置は、上述したいずれかのスクリーンと、スクリーンを保持するフレームと、を備え、フレームは、スクリーンの中心位置表示部を保持する保持部を有していることを特徴とする。
【0017】
このようなスクリーン装置によれば、フレームの保持部により、スクリーンの中心位置表示部を保持することにより、投射光の光軸と一致させ易くなる。また、水平度を確保してスクリーンを固定することができる。
【0018】
(適用例7)上記適用例に係るスクリーン装置において、スクリーンを巻回する巻回機構部と、スクリーンを伸縮する伸縮機構部と、を備えることが好ましい。
【0019】
このようなスクリーン装置によれば、上記の効果を奏するスクリーンに対して、巻回機構部、伸縮機構部を備えることにより、使用時にはスクリーンを展張し、終了時にはスクリーンを巻回してコンパクトに収容することができる。なお、伸縮機構部を備える際、中心位置表示部に合わせて行なえば、スクリーン装置全体でも位置合わせが容易となる。
【0020】
(適用例8)上記適用例に係るスクリーン装置において、光源からの光を変調して投射光を形成し、スクリーンに向けて投射するプロジェクターを備え、プロジェクターから投射される投射光の光軸と、スクリーンの中心位置とは略一致していることが好ましい。
【0021】
このようなスクリーン装置によれば、プロジェクターから投射される投射光の光軸と、スクリーンにおける表示領域の左右方向の中心位置とは略一致していることにより、スクリーンに入射する投射光を観察者側に効率よく反射させ、高輝度かつ高コントラストな画像を得るスクリーン装置を実現できる。
【0022】
(適用例9)本適用例に係るスクリーンの製造方法は、投射光を反射させて表示を行うスクリーン基材を有するスクリーンの製造方法であって、スクリーン基材の上下方向の少なくともいずれか一方の端部側に、スクリーン基材の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部を形成する中心位置表示部形成工程を備えていることを特徴とする。
【0023】
このようなスクリーンの製造方法によれば、中心位置表示部形成工程により中心位置表示部を形成することにより、例えば、スクリーン基材の左右方向の中心位置と投射光の光軸とを一致させることが容易となるスクリーンを製造することができる。
【0024】
(適用例10)上記適用例に係るスクリーンの製造方法において、スクリーン基材は、投射光を反射させて表示を行う表示領域を備え、中心位置表示部形成工程は、表示領域の左右方向の中心位置で、表示領域の外側に第1孔部を形成する第1孔部形成工程を含むことが好ましい。
【0025】
このようなスクリーンの製造方法によれば、中心位置表示部形成工程は第1孔部形成工程を含み、表示領域の左右方向の中心位置で、表示領域の外側に第1孔部を形成する。これにより、中心位置表示部を簡易に構成することができる。
【0026】
(適用例11)上記適用例に係るスクリーンの製造方法において、中心位置表示部形成工程は、第1孔部を中心として、左右方向に少なくともそれぞれ1つの第2孔部を形成する第2孔部形成工程を含むことが好ましい。
【0027】
このようなスクリーンの製造方法によれば、中心位置表示部形成工程が第2孔部を形成する第2孔部形成工程を含むことにより、スクリーン又は表示領域の水平度を確保できるスクリーンを製造することができる。また、例えば、スクリーンを別の部材に固定する場合、この第1孔部及び第2孔部を用いることにより、水平度を確保して固定できるスクリーンを製造することができる。
【0028】
(適用例12)上記適用例に係るスクリーンの製造方法において、表示領域に対して左右対称で上下非対称な配置で複数の凹部または凸部を有するようにスクリーン基材を変形させる基材変形工程と、凹部または凸部に対して選択的に反射膜を形成する反射膜形成工程と、を有し、反射膜形成工程は、中心位置表示部形成工程で形成された第1孔部と第2孔部とを所定の部材に保持する保持工程を含むことが好ましい。
【0029】
このようなスクリーンの製造方法によれば、反射膜形成工程が保持工程を含むことにより、スクリーン基材を所定の部材に保持させて反射膜を形成することができ、反射膜形成の効率化を図ることができる。
【0030】
(適用例13)上記適用例に係るスクリーンの製造方法において、表示領域と表示領域の外側との境界を示す境界表示部を形成する境界表示部形成工程を備えていることが好ましい。
【0031】
このようなスクリーンの製造方法によれば、境界表示部を形成する境界表示部形成工程を備えることにより、例えば、境界表示部を目安にマスクを設置することができる。これにより、例えば、表示領域にのみ反射膜や反射膜を保護する保護膜等を形成することが容易となるスクリーンを製造することができる。
【0032】
(適用例14)上記適用例に係るスクリーンの製造方法において、表示領域に対して左右対称で上下非対称な配置で複数の凹部または凸部を有するようにスクリーン基材を変形させる基材変形工程を備え、基材変形工程と境界表示部形成工程とは、共通の工程として実施されることが好ましい。
【0033】
このようなスクリーンの製造方法によれば、基材変形工程と境界表示部形成工程とが、共通の工程として実施されることにより、基材変形工程を実施して凹部また凸部を形成する中で、併せて境界表示部形成工程を実施して境界表示部を形成することができる。これにより、境界表示部の形成を効率的に行うことができる。
【0034】
(適用例15)本適用例に係るスクリーン装置の製造方法は、上述したいずれかのスクリーンの製造方法で製造されたスクリーンに対し、中心位置表示部を用いて、スクリーンをフレームに保持させるスクリーン保持工程を備えていることを特徴とする。
【0035】
このようなスクリーン装置の製造方法によれば、スクリーン保持工程を備えて、中心位置表示部を用いて、スクリーンをフレームに保持させる。これにより、水平度を確保してスクリーンをフレームに固定することができると共に、表示領域の左右方向の中心位置と投射光の光軸とを一致させることが容易となるスクリーン装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態に係るスクリーン装置を模式的に示す図。
【図2】スクリーンを模式的に示す平面図。
【図3】スクリーンの製造工程を工程順に示す図。
【図4】スクリーンの製造工程を示す模式図。
【図5】中心位置表示部形成工程後のスクリーン基材の表面を見た模式図。
【図6】蒸着装置を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0038】
図1は、実施形態に係るスクリーン装置1を模式的に示す図であり、図1(a)は、スクリーン装置1の斜視図であり、図1(b)は、スクリーン2を保持するフレーム3の部分拡大図である。図1を参照して、本実施形態のスクリーン装置1の概構成に関して簡略に説明する。
【0039】
本実施形態のスクリーン装置1は、反射型のスクリーン装置1であり、床面等に設置して使用されるタイプの装置である。スクリーン装置1は、直方体状の箱型に形成される筺体7の内部から上方(床面に対して略垂直な方向)に向かって、略矩形状のスクリーン2が伸縮機構部4と巻回機構部5との動作により繰り出される。スクリーン2は、床面に対して起立して使用可能な状態となる。そして、スクリーン2は、筺体7に設置されるプロジェクター6から射出される投射光Lを観察者側に反射する。なお、スクリーン装置1の詳細に関しては後述する。
【0040】
図1を含む以降の図面では、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせて示している。また、図1を含む以降の図面では、説明の便宜上、XYZ直交座標系で記載する。XYZ直交座標系は、床面に対して垂直方向をY方向とする。また、起立したスクリーン2の表(おもて)面20Aに平行で、Y方向に直交する方向をX方向とする。また、Y方向及びX方向に直交する方向をZ方向とする。
【0041】
また、Y方向において、重力方向を基準として、重力方向(−Y方向)を下方向、重力方向と逆方向(+Y方向)を上方向とする。また、X方向において、起立した状態のスクリーン2の表面20Aと正対した場合の+X方向を右方向、−X方向を左方向とする。また、起立したスクリーン2の表面20Aと正対する方向(+Z方向)を前方向、逆方向(−Z方向)を背面方向として適宜使用する。
【0042】
図2は、スクリーン2を模式的に示す平面図である。図2を参照して、本実施形態のスクリーン2の構成に関して説明する。
【0043】
本実施形態のスクリーン2は、反射型のスクリーン2であり、可撓性を有するシート状のスクリーン基材20で形成されている。詳細には、スクリーン基材20は、黒色で硬質の塩化ビニル樹脂を用いて矩形状に形成されている。黒色としているのは、不要な入射光を吸収し易くさせることができるためである。
【0044】
スクリーン2は、大略、表示領域21と、表示領域21の外側となる表示外領域22と、中心位置表示部としての第1孔部24及び第2孔部25が形成される中心位置表示部領域23と、表示領域21と表示外領域22との境界を示す境界表示部26と、を有して構成されている。
【0045】
詳細は後述するが、表示領域21と表示外領域22の表(おもて)面20Aには、凹形状に形成される複数の凹部201が形成されている。表示領域21は、矩形状を有してスクリーン2の略中心に位置しており、プロジェクター6からの投射光Lが投射される領域である。なお、表示領域21は、凹部201に反射膜202が選択的に形成されており、投射光Lを前方向に反射させる。
【0046】
また、中心位置表示部領域23は、スクリーン基材20の上下方向の端部に位置しており、スクリーン装置1にスクリーン2を設置する際に使用される領域である。また、中心位置表示部領域23は、反射膜202を形成する際にも使用される。ここで、上方向に位置する中心位置表示部領域23を23Aとし、下方向に位置する中心位置表示部領域23を23Bとする。
【0047】
中心位置表示部領域23には、本実施形態では、表示領域21の左右方向の中心軸B上に中心を有する丸孔状に貫通して形成される第1孔部24(上方向の第1孔部24を24A、下方向の第1孔部24を24Bとする)が形成される。また、中心位置表示部領域23には、本実施形態では、第1孔部24を中心として、左右方向に等間隔で丸孔状に貫通して形成される第2孔部25(上方向の第2孔部25を25A、下方向の第2孔部25を25Bとする)が複数形成される。なお、第1孔部24の孔径は、第2孔部25の孔径より大きく形成されている。
【0048】
境界表示部26は、上述したように、表示領域21と表示外領域22との境界を示すものである。境界表示部26は、表示領域21に反射膜202を形成する際に、反射膜202を形成しない領域(表示外領域22及び中心位置表示部領域23)を覆う型(以降、マスクと言う)を設置するために使用されるものである。本実施形態では、表示領域21の4つのコーナー部で、表示外領域22に矩形状に形成されている。なお、境界表示部26は、凹形状に形成されている。
【0049】
図3は、スクリーン2の製造工程100を工程順に示す図である。図4は、スクリーン2の製造工程100を示す模式図であり、図4(a)は、基材変形工程101、境界表示部形成工程102、及び中心位置表示部形成工程103(中心位置目印形成工程103A)を示す模式図であり、図4(b)は、中心位置表示部形成工程103(第1孔部形成工程103B、第2孔部形成工程103C)を示す模式図であり、図4(c)は、反射膜形成工程104を示す模式図である。図3、図4を参照して、スクリーン2の製造工程100を説明する。
【0050】
なお、図3、図4に示す製造工程100は、長さ数百mのスクリーン基材がロール状に巻かれた状態から、使用するスクリーン基材20の寸法に合わせて定寸裁断したものを用いて行われる。図4は、工程毎に実施された結果を、要部の断面として拡大して示している。
【0051】
本実施形態の製造工程100は、図3に示すように、工程順に、基材変形工程101と境界表示部形成工程102と中心位置表示部形成工程103と反射膜形成工程104とを備えている。また、本実施形態では、基材変形工程101と境界表示部形成工程102、及び中心位置表示部形成工程103の一部となる中心位置目印形成工程103Aとは共通の工程として実施される。言い換えると、基材変形工程101と境界表示部形成工程102と中心位置表示部形成工程103(中心位置目印形成工程103A)とは同時に実施(加工)される。
【0052】
中心位置表示部形成工程103は、詳細には、中心位置目印形成工程103Aと第1孔部形成工程103Bと第2孔部形成工程103Cとが含まれる。中心位置目印形成工程103Aでは、次工程の第1孔部形成工程103B及び第2孔部形成工程103Cを実施するための目印を中心位置表示部領域23に形成する。第1孔部形成工程103Bでは、第1孔部24を形成し、第2孔部形成工程103Cでは、第2孔部25を形成する。
【0053】
また、反射膜形成工程104は、詳細には、マスク設置工程104Aと保持工程104Bと蒸着工程104Cとが含まれる。マスク設置工程104Aでは、境界表示部形成工程102で形成された境界表示部26を基準に表示領域21以外の領域を覆うようにマスクを設置する。保持工程104Bでは、中心位置表示部形成工程103で形成された第1孔部24、第2孔部25を用いて後述する蒸着装置130(図6参照)にセットする。
【0054】
図4(a)に示すように、基材変形工程101は、スクリーン基材20を変形させ、複数の凹部201をスクリーン基材20の表面20Aに形成する。なお、凹部201は、スクリーン基材20において、表示領域21と表示外領域22とに渡って形成される。なお、凹部201の内面201Aは、略半球状に形成される。
【0055】
境界表示部形成工程102は、スクリーン基材20を変形させ、矩形状で凹状の境界表示部26をスクリーン基材20の表面20Aに形成する。なお、境界表示部26は、表示領域21の4つのコーナー部で、表示外領域22に形成される。
【0056】
中心位置表示部形成工程103の中心位置目印形成工程103Aは、次工程で形成される第1孔部24と第2孔部25のそれぞれの中心位置を指示するための目印として凹部231をスクリーン基材20の表面20Aに形成する。本実施形態では、図2に示すように、上下方向の第1孔部24A,24Bが形成される中心位置と、上方向の第2孔部25Aが形成される左右側のそれぞれ1つの第2孔部25Aの中心位置と、下方向の第2孔部25Bが形成される左右側のそれぞれ1つの第2孔部25Bの中心位置との、合計6箇所に凹部231を形成する。なお、凹部231は、図4(a)に示すように、略半球状に形成される。
【0057】
基材変形工程101と境界表示部形成工程102と中心位置目印形成工程103Aとは、加熱しながら型をスクリーン基材20に押し付ける転写装置(図示省略)を用いて同時に実施される。なお、転写装置は、形成させる形状(凹部201、境界表示部26、及び凹部231)とは逆形状に形成された金型を加熱しながら、スクリーン基材20を両面方向から高圧力で押し付け、スクリーン基材20を金型形状に沿わせて熱変形(転写)させて、必要な形状を形成させる。
【0058】
中心位置表示部形成工程103は、前述した中心位置目印形成工程103A(図4(a))の終了後、図4(b)に示すように、第1孔部形成工程103Bと第2孔部形成工程103Cとを行う、本実施形態では、この第1孔部形成工程103Bと第2孔部形成工程103Cとは、共通の工程として実施される。言い換えると、第1孔部形成工程103Bと第2孔部形成工程103Cとは同時に実施(加工)される。
【0059】
中心位置表示部形成工程103(第1孔部形成工程103B、第2孔部形成工程103C)は、中心位置表示部領域23(23A,23B)において、中心位置目印形成工程103Aで形成された6箇所の凹部231を目印として、第1孔部形成工程103Bで、丸孔で形成される第1孔部24を形成し、第2孔部形成工程103Cで、丸孔で形成される第2孔部25を形成する。
【0060】
中心位置表示部形成工程103は、第1孔部24及び第2孔部25のそれぞれの孔径に対応した径で形成された刃先を有するピン部材を複数立設したプレス用金型(図示省略)を用いて、スクリーン基材20の表面20Aからプレスすることにより、貫通孔として形成される。この場合、最初に、スクリーン基材20に対してプレス用金型の位置合わせを行った後にプレスする。なお、位置合わせの方法は、上述した合計6箇所の凹部231を目印として、この凹部231に形成する第1孔部24A,24B、及び第2孔部25A,25Bに対応するプレス用金型のピン部材の位置を合わせることにより行う。なお、図4(b)には、凹部231も図示している。
【0061】
図4(b)に示すように、中心位置表示部形成工程103により、中心位置表示部領域23(23A,23B)において、表示領域21の左右方向の中心軸B上にそれぞれ第1孔部24(24A,24B)が形成される。また、第1孔部24(24A,24B)を中心として、左右方向に等間隔Pで第2孔部25(25A,25B)が複数形成される。凹部231の大きさは、第1孔部24及び第2孔部25の孔径よりも小さいため、第1孔部24、第2孔部25が形成された後には、凹部231は残らない。
【0062】
なお、本実施形態では、第1孔部24の孔径は、第2孔部25の孔径より大きく形成される。第1孔部24と第2孔部25とで、孔径の大きさを異ならせるのは、中心軸B上に配置される第1孔部24と、その他の孔部(第2孔部25)とを識別できるようにするためである。主な孔部は、第1孔部24となる。
【0063】
図5は、中心位置表示部形成工程103後のスクリーン基材20の表面20Aを見た模式図である。図5を参照して、凹部201の構成に関して説明する。
【0064】
凹部201は、上述したように、表示領域21と表示外領域22とに渡って形成される。凹部201は、左右方向(X方向)において、スクリーン2(表示領域21)の中心軸B上の所定の位置を中心として円弧状に配列し、Y方向において、この中心を同心とする同心円状に配列するように形成される。従って、凹部201は、左右方向においては中心軸Bを中心に対称に形成され、上下方向においては非対称に形成される。
【0065】
また、中心位置表示部領域23に形成される第1孔部24と第2孔部25とは、中心位置が左右方向に直線状に並んで形成される。詳細には、中心位置が中心軸Bに対して垂直方向に並ぶように形成される。
【0066】
図4に戻り、中心位置表示部形成工程103が終了した後、次工程の反射膜形成工程104に移行する。反射膜形成工程104は、図4(c)に示すように、凹部201の内面201Aに選択的に反射膜202を形成する工程である。なお、反射膜形成工程104は、図3に示すように、マスクを設置するマスク設置工程104Aと、スクリーン基材20を蒸着装置130に保持する保持工程104Bと、蒸着工程104Cとを含んで構成される。なお、本実施形態では、蒸着工程104Cにより、アルミニウムの膜を、凹部201(内面201A)に選択的に形成する。
【0067】
図6は、蒸着装置130を模式的に示す斜視図である。図6を参照して、反射膜形成工程104を説明する。
反射膜形成工程104において、マスク設置工程104Aは、反射膜202を形成する領域(表示領域21)を露出させ、反射膜202を形成しない領域(表示外領域22及び中心位置表示部領域23)を覆うために実施する工程である。なお、この工程は、本実施形態では作業者が行っている。
【0068】
マスク設置工程104Aは、中心位置表示部形成工程103が終了したスクリーン基材20に対し、4つの境界表示部26を基準として、反射膜202を形成しない表示外領域22及び中心位置表示部領域23にテープ状部材を貼着することによりマスク120を形成(設置)する。マスク設置工程104Aが終了した後、保持工程104Bに移行する。
【0069】
図6に示すように、蒸着装置130は、図示省略する円筒状の筺体を備え、その筺体の内部には、円筒形状を有するスクリーン保持枠131が上下方向に1つずつ設置されている。なお、上方のスクリーン保持枠131は蓋状となっている。このような蒸着装置130に対して、スクリーン基材20を設置する。
【0070】
最初に、マスク120が設置されたスクリーン基材20の表面20Aが内側を向くように湾曲させて、上下方向に形成される第1孔部24、第2孔部25をスクリーン保持枠131の内側側面に当てる。スクリーン保持枠131の内側側面には、第1孔部24、第2孔部25の孔径及びピッチPに対応させて突起部(図示省略)が設置されている。この突起部が第1孔部24、第2孔部25に挿通するように設置することで、スクリーン基材20が蒸着装置130に設置される。保持工程104Bが終了した後、蒸着工程104Cに移行する。
【0071】
なお、図4(c)は、反射膜形成工程104における蒸着工程104Cも示す模式図としている。図4(c)、図6を参照して、蒸着工程104Cに関して説明する。
【0072】
図6に示すように、蒸着装置130には、蒸着源Sが設置される。蒸着源Sは、図2、図5に示す中心軸Bを通るYZ平面上で、スクリーン基材20の下部側に設置される。図6では、設置されたスクリーン基材20の中心軸Bと、上下方向のスクリーン保持枠131の中心軸とで形成される平面上(図6におけるYZ平面上)で、スクリーン基材20の下部側に設置される。
【0073】
蒸着工程104Cは、本実施形態では、詳細には、反射膜202を形成する際、表面20Aに対して斜めに投射光Lを射出するプロジェクター6(図1参照)の位置と、蒸着源Sの位置とを略一致させている。従って、蒸着工程104Cを行うことにより、投射光Lが入射する凹部201の内面201A部分に対応させて、内面201A形状に沿った反射膜202が形成される。
【0074】
なお、このように、斜め方向から蒸着を行い、マスク120で覆われない領域に、反射膜202を選択的に形成することで、蒸着源Sを中心として、表面20Aの表示領域21の各凹部201に放射状で部分的に反射膜202が形成される。そして、蒸着工程104Cにより、マスク120で覆われない領域に反射膜202を形成することにより、表示領域21が形成される。
【0075】
反射膜形成工程104が終了した場合、その後の工程で、本実施形態では、下方向に位置する中心位置表示部領域23Bを切断する。そして、切断したスクリーン2の下方向の縁部となる表示外領域22(スクリーン基材20)の裏面に、スクリーン基材20の左右方向の長さと同じ幅で、巻取りしろとして機能するスクリーン基材28の一方の縁部を貼着する。これにより、スクリーン2は、スクリーン基材20に巻取りしろ用のスクリーン基材28が下方向に延設される。このように加工されたスクリーン2をスクリーン装置1として組み立てる。
【0076】
図1に戻り、スクリーン装置1の構成及び製造方法に関して説明する。
スクリーン装置1は、上述したように、スクリーン2と伸縮機構部4と巻回機構部5とプロジェクター6と筺体7とを有して構成される。
【0077】
筺体7は、直方体状の箱型に形成され、上面7aの中央部には、プロジェクター6が投射レンズ61を後方に向けて載置されて上面7aに固定されている。また、筺体7の上面7aの後方には、開口部71が形成されており、この開口部71を介してスクリーン2が上方向に繰り出され、また、筺体7内部に巻回されて収容される。
【0078】
筺体7内部には、巻回機構部5が設置されている。巻回機構部5は、スクリーン2の他端側(スクリーン基材28の他方の縁部)を固着したスプリングロール50が筺体7に回動自在に取り付けられている。また、スクリーン2の一端側(上方向の中心位置表示部領域23A)は、後述するフレーム3に保持されて固定されている。なお、スプリングロール50は、常にスクリーン2を巻き取る方向に付勢している。従って、スクリーン2は、フレーム3とスプリングロール50とにより、常に引っ張られた状態となっている。
【0079】
筺体7の右側面7bには、伸縮機構部4が設置されている。伸縮機構部4は、駆動部40と伸縮部41とを有して構成されている。なお、伸縮部41の先端部には、フレーム3が水平方向に延びて設置されている。駆動部40は、モーターやギヤ等で構成され、駆動部40が駆動することにより、伸縮部41が伸縮動作を行う。伸縮部41の伸縮動作に従動してフレーム3は上下方向に移動する。
【0080】
従って、伸縮部41が縮む動作を行い、下方向に移動した場合、フレーム3も下方向に移動する。この動作により、スクリーン2は、スプリングロール50に巻回されながら下方向に移動する。また逆に、伸縮部41が伸びる動作を行い、上方向に移動した場合、フレーム3も上方向に移動する。この動作により、スクリーン2は、スプリングロール50の付勢力に抗して上方向に移動する。
【0081】
次に、スクリーン2の一端側(上方向の中心位置表示部領域23A)とフレーム3との固定に関して説明する。
フレーム3の上面3aには、スクリーン2の中心位置表示部領域23Aの中心位置表示部としての第1孔部24及び第2孔部25を保持する保持部30が形成されている。保持部30は、プロジェクター6の光軸Aと平行となるYZ平面上の位置に概円柱状の第1突起部31を有している。また、保持部30は、第1突起部31を中心として、左右方向に等間隔Pで概円柱状に形成される第2突起部32を複数有している。
【0082】
第1突起部31は、中心位置表示部領域23の第1孔部24に挿通してスクリーン2を保持する。また、第2突起部32は、中心位置表示部領域23の第2孔部25に挿通してスクリーン2を保持する。従って、第1突起部31、第2突起部32の径は、第1孔部24、第2孔部25の孔径に対応して形成されている。また、第1突起部31は1つ形成され、第2突起部32は、第2孔部25の数に対応させて形成されている。
【0083】
上述したように、スクリーン2をフレーム3に保持させるには、スクリーン2の第1孔部24を第1突起部31に挿通させ、併せて、第2孔部25をそれぞれ対応する第2突起部32に挿通させることにより行われる。なお、この組み立ては、本実施形態では、作業者が行っている。また、この組み立て工程を本実施形態では、スクリーン保持工程としている。
【0084】
なお、スクリーン保持工程が終了した後、フレーム3に保持された中心位置表示部領域23Aを、上から覆うカバー部材8を設置する。カバー部材8は、スクリーン2の幅方向の長さ以上の長さを有しており、中心位置表示部領域23A全体を覆い隠すと共に、保持部30からの第1孔部24、第2孔部25の外れを防止している。
【0085】
上述したように、スクリーン装置1を組み立てた場合、プロジェクター6からの投射光Lの光軸Aとスクリーン2(表示領域21)の左右方向の中心軸Bとを一致させることができる。言い換えると、中心軸Bと光軸Lを含む平面が、スクリーン2の表面20Aと略垂直に交差する。これにより、プロジェクター6から射出された投射光Lが、スクリーン2の表示領域21内に投射される。表示領域21内に投射された投射光Lは、スクリーン2の反射膜202により、効率的に観察者側に反射される。また、スクリーン2に、蛍光灯等からの不要な外光が入射した場合には、反射膜202が形成されていない凹部201の内面201Aに吸収されるため、観察者側には反射させ難くすることができ、コントラスト性能を向上させる。
【0086】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態のスクリーン2によれば、スクリーン基材20は、上下方向に中心位置表示部としての第1孔部24、第2孔部25を備えている。また、投射光Lを反射させて表示を行う表示領域21を備え、中心位置表示部(第1孔部24)は、表示領域21の左右方向の中心位置(中心軸B)で表示領域21の外側に形成されている。また、表示領域21には、左右対称で上下非対称な配置で形成される複数の凹部201を有している、これにより、表示領域21の左右方向の中心軸Bと投射光Lの光軸Aとを一致させることが容易となる。また、中心位置表示部は、表示領域21の外側に形成されるため、投射光Lに影響することがない。
【0087】
本実施形態のスクリーン2によれば、中心位置表示部は孔部(第1孔部24)という簡易な構成で実現できる。
【0088】
本実施形態のスクリーン2によれば、中心位置表示部は、第1孔部24を中心として、左右方向に複数の第2孔部を有することにより、スクリーン2又は表示領域21の水平度を確保することができる。また、スクリーン2をスクリーン装置1のフレーム3に固定する場合、この第1孔部24及び第2孔部25を用いることにより、水平度を確保して固定することができる。
【0089】
本実施形態のスクリーン2によれば、表示領域21と表示外領域22との境界を示す境界表示部26を有することにより、境界表示部26を目安にマスク120を容易に設置することができる。
【0090】
本実施形態のスクリーン装置1によれば、フレーム3の保持部30により、スクリーン2の中心位置表示部(第1孔部24、第2孔部25)を保持することにより、投射光Lの光軸Aと一致させ易くなる。また、水平度を確保してスクリーン2を固定することができる。
【0091】
本実施形態のスクリーン装置1によれば、巻回機構部5や伸縮機構部4を備えることにより、使用時にはスクリーン2を展張し、終了時にはスクリーン2を巻回してコンパクトに筺体7内部に収容することができる。
【0092】
本実施形態のスクリーン装置1によれば、プロジェクター6が筺体に設置されており、プロジェクター6から投射される投射光Lの光軸Aと、スクリーン2における表示領域21の左右方向の中心軸Bとは略一致していることにより、スクリーン2に入射する投射光Lを観察者側に効率よく反射させ、高輝度かつ高コントラストな画像を得るスクリーン装置1を実現できる。
【0093】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、中心位置表示部形成工程103を有して、中心位置表示部を形成することにより、スクリーン2の中心軸Bと投射光Lの光軸Aとを一致させることが容易となるスクリーン2を製造することができる。
【0094】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、中心位置表示部形成工程103は第1孔部形成工程103Bを含み、表示領域21の左右方向の中心軸Bで、表示領域21の外側に第1孔部24を形成する。これにより、中心位置表示部を簡易に構成することができる。
【0095】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、中心位置表示部形成工程103が第2孔部25を形成する第2孔部形成工程103Cを含むことにより、スクリーン2(表示領域)の水平度を確保できるスクリーン2を製造することができる。また、スクリーン2をフレーム3に固定する場合、この第1孔部24及び第2孔部25を用いることにより、水平度を確保して固定できるスクリーン2を製造することができる。
【0096】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、反射膜形成工程104にマスク設置工程104Aを含んでいることにより、境界表示部形成工程102で形成された境界表示部26を目安にして表示領域21以外の領域にマスク120を設置することができるため、表示領域21にのみ反射膜202を形成することが容易となる。
【0097】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、反射膜形成工程104が保持工程104Bを含むことにより、スクリーン基材20をスクリーン保持枠131の所定の部材に保持させて反射膜202を形成することができ、反射膜202形成の効率化を図ることができる。
【0098】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、基材変形工程101と境界表示部形成工程102とが、共通の工程として実施されることにより、基材変形工程101を実施して凹部201を形成する中で、併せて境界表示部形成工程102を実施して境界表示部26を形成することができる。これにより、境界表示部26の形成を効率的に行うことができる。
【0099】
本実施形態のスクリーンの製造方法によれば、スクリーン保持工程を備えて、中心位置表示部(第1孔部24、第2孔部25)を用いて、スクリーン2をフレーム3に保持させる。これにより、水平度を確保してスクリーン2をフレーム3に固定することができると共に、表示領域21の左右方向の中心軸Bと投射光Lの光軸Aとを一致させることが容易となるスクリーン装置1を製造することができる。
【0100】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0101】
前記実施形態のスクリーン2は、表示領域21内に反射膜202を形成し、中心位置表示部は、この表示領域21の左右方向の中心軸上で、表示領域21の外側に形成されている。しかし、これに限られず、表示領域21が設定されない場合にも、スクリーン基材20の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部を有することでもよい。この場合、中心位置表示部以外の領域となるスクリーン基材20の表面20Aを表示領域とすることができると共に、中心位置表示部にプロジェクターから射出される投射光の光軸を一致させ易くすることができる。
【0102】
前記実施形態のスクリーン2はスクリーン装置1として組み立てられている。しかし、これに限られず、スクリーン2単体で使用することでもよい。その場合には、スクリーン2を壁等に設置し、机上に載置したプロジェクターから、スクリーン2に投射光を投射させる。そして、プロジェクターから投射された投射光の範囲を、表示領域21内となるように位置調整し、また、投射光の光軸Aをスクリーン2の表示領域21の左右方向の中心軸Bに一致(交差)するように、プロジェクターの位置を調整する。この場合、中心軸B上に形成された第1孔部24(24A,24B)を基準(目安)として使用することができるため、調整も容易となる。
【0103】
このように使用された場合にも、プロジェクターから投射された投射光は、スクリーン2の反射膜202により、効率的に観察者側に反射される。また、スクリーン2に、蛍光灯等からの不要な外光が入射する場合には、反射膜202が形成されていない凹部201の内面201Aに吸収されるため、観察者側には反射させ難くできることで、コントラスト性能を向上させることができる。
【0104】
前記実施形態のスクリーン2は、上下方向に中心位置表示部を備えているが、上下方向の少なくともいずれか一方の端部側に備えていればよい。
【0105】
前記実施形態のスクリーン2は、第2孔部25を複数有している。しかし、第2孔部25は、第1孔部24を中心として、左右方向に少なくともそれぞれ1つ有していることでもよい。
【0106】
前記実施形態のスクリーン2は、第1孔部24および第2孔部25は丸孔形状に形成されている。しかし、これに限られず、第1孔部24は丸孔形状で、第2孔部25は楕円孔形状に形成されていてもよい。
【0107】
前記実施形態のスクリーン2において、境界表示部26は、表示領域21の4つのコーナー部で、表示外領域22に形成されている。しかし、境界表示部26は、4つのコーナー部に形成されることには限定されず、表示領域21と表示外領域22との境界を示すことができる位置に形成されることでよい。また、本実施形態の境界表示部26は、矩形状を有しているが、形状には限定されない。また、本実施形態の境界表示部26は、凹形状に形成されているが、凸形状に形成されていてもよい。
【0108】
前記実施形態のスクリーン2において、中心位置表示部は第1孔部24と第2孔部25とを有している。しかし、第1孔部24のみを有していることでもよい。この場合、第1孔部24のみをフレーム3の第1突起部31に挿通させることでスクリーン2を保持させることでよい。
【0109】
前記実施形態のスクリーン2は、反射膜形成工程104が終了した場合、その後の工程で、下方向に位置する中心位置表示部領域23Bを切断する。しかし、切断しなくてもよく、その場合は、中心位置表示部領域23Bの表面20Aに巻取りしろ用のスクリーン基材を貼着して延設することでよい。
【0110】
前記実施形態のスクリーンの製造工程100において、中心位置表示部形成工程103の中心位置目印形成工程103Aで、第1孔部24A,24B、第2孔部25A,25B等が形成される中心位置に、目印として略半球状の凹部231を形成している。しかし、目印としてこれには限定されず、例えば、矢印の先端位置が孔の中心を示すように、矢印の形状を目印として形成することや、細い「+」形状を孔の中心に目印として形成すること等でもよい。
【0111】
前記実施形態のスクリーンの製造工程100において、基材変形工程101の後に、中心位置表示部形成工程103(第1孔部形成工程103Bおよび第2孔部形成工程103C)を行っている。しかし、これに限られず、中心位置表示部形成工程103を行った後、この工程で形成された、第1孔部24、第2孔部25を基準案内孔として用いて、基材変形工程101を行うことでもよい。
【0112】
前記実施形態のスクリーン2は、凹形状に形成される複数の凹部201を有している。しかし、凹形状には限られず、凸形状に形成される複数の凸部を有していてもよい。この場合、凸部の配置は、本実施形態の凹部201の配置と同様でよい。また、反射膜は、本実施形態の反射膜形成工程104と同様に実施し、凸部の外面に選択的に形成されることでよい。
【0113】
前記実施形態のスクリーン2において、反射膜202は、蒸着法により形成されている。しかし、蒸着には限られず、スパッタ法等によって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1…スクリーン装置、2…スクリーン、3…フレーム、4…伸縮機構部、5…巻回機構部、6…プロジェクター、20…スクリーン基材、21…表示領域、22…表示外領域、23…中心位置表示部領域、24…第1孔部、25…第2孔部、26…境界表示部、30…保持部、101…基材変形工程、102…境界表示部形成工程、103…中心位置表示部形成工程、103B…第1孔部形成工程、103C…第2孔部形成工程、104…反射膜形成工程、104B…保持工程、201…凹部、202…反射膜、A…光軸、B…中心軸、L…投射光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射光を反射させて表示を行うスクリーン基材を有するスクリーンであって、
前記スクリーン基材は、上下方向の少なくともいずれか一方の端部側に、前記スクリーン基材の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部を備えることを特徴とするスクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーンであって、
前記スクリーン基材は、前記投射光を反射させて表示を行う表示領域を備え、
前記中心位置表示部は、前記表示領域の左右方向の中心位置で前記表示領域の外側に形成されていることを特徴とするスクリーン。
【請求項3】
請求項2に記載のスクリーンであって、
前記中心位置表示部は、第1孔部を有していることを特徴とするスクリーン。
【請求項4】
請求項3に記載のスクリーンであって、
前記中心位置表示部は、前記第1孔部を中心として、左右方向に少なくともそれぞれ1つの第2孔部を有していることを特徴とするスクリーン。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載のスクリーンであって、
前記表示領域と当該表示領域の外側との境界を示す境界表示部を備えていることを特徴とするスクリーン。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のスクリーンと、
前記スクリーンを保持するフレームと、を備え、
前記フレームは、前記スクリーンの前記中心位置表示部を保持する保持部を有していることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスクリーン装置であって、
前記スクリーンを巻回する巻回機構部と、
前記スクリーンを伸縮する伸縮機構部と、を備えることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のスクリーン装置であって、
光源からの光を変調して前記投射光を形成し、前記スクリーンに向けて投射するプロジェクターを備え、
前記プロジェクターから投射される投射光の光軸と、前記スクリーンの前記中心位置とは略一致していることを特徴とするスクリーン装置。
【請求項9】
投射光を反射させて表示を行うスクリーン基材を有するスクリーンの製造方法であって、
前記スクリーン基材の上下方向の少なくともいずれか一方の端部側に、前記スクリーン基材の左右方向の中心位置を明示する中心位置表示部を形成する中心位置表示部形成工程を備えていることを特徴とするスクリーンの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のスクリーンの製造方法であって、
前記スクリーン基材は、前記投射光を反射させて表示を行う表示領域を備え、
前記中心位置表示部形成工程は、前記表示領域の左右方向の前記中心位置で、前記表示領域の外側に第1孔部を形成する第1孔部形成工程を含むことを特徴とするスクリーンの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のスクリーンの製造方法であって、
前記中心位置表示部形成工程は、前記第1孔部を中心として、左右方向に少なくともそれぞれ1つの第2孔部を形成する第2孔部形成工程を含むことを特徴とするスクリーンの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載のスクリーンの製造方法であって、
前記表示領域に対して左右対称で上下非対称な配置で複数の凹部または凸部を有するように前記スクリーン基材を変形させる基材変形工程と、
前記凹部または凸部に対して選択的に反射膜を形成する反射膜形成工程と、を有し、
前記反射膜形成工程は、前記中心位置表示部形成工程で形成された前記第1孔部と前記第2孔部とを所定の部材に保持する保持工程を含むことを特徴とするスクリーンの製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載のスクリーンの製造方法であって、
前記表示領域と当該表示領域の外側との境界を示す境界表示部を形成する境界表示部形成工程を備えていることを特徴とするスクリーンの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載のスクリーンの製造方法であって、
前記表示領域に対して左右対称で上下非対称な配置で複数の凹部または凸部を有するように前記スクリーン基材を変形させる基材変形工程を備え、
前記基材変形工程と前記境界表示部形成工程とは、共通の工程として実施されることを特徴とするスクリーンの製造方法。
【請求項15】
請求項9〜請求項14のいずれか一項に記載のスクリーンの製造方法で製造された前記スクリーンに対し、前記中心位置表示部を用いて、前記スクリーンをフレームに保持させるスクリーン保持工程を備えていることを特徴とするスクリーン装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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