説明

スクリーン印刷物

【課題】 ヘアライン模様やスピン模様が、スクリーン印刷により、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得るスクリーン印刷物を提供する。
【解決手段】 同一の線幅と一定のピッチとを有する、切れ目のない多数の円22からなる同心円状模様を呈する第一のスピンパターン18を、基材12の被印刷面17に印刷形成する一方、該第一のスピンパターン18を構成する円22とは、線幅とピッチと中心位置のうちの少なくとも何れか二つが異なる多数の円24か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチと中心位置のうちの何れか一つが異なる多数の円24が、描かれてなる不規則な円形模様を有する第二のスピンパターン20を、前記第一のスピンパターン18の上に重畳するように形成して、構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、金属製品は、合成樹脂製品等に比して、高級感や重厚的な印象を与える外観を呈している。そのため、例えば、ビルの壁面や各種の高額商品等に対して様々なマークや名称を表示するのに貼り付けられる記号プレートや文字プレート等の多くのものが、アルミニウムや真鍮等の金属にて作製されている。そして、従来においては、そのような金属製品が有する高級感や重厚感等を更に高めるために、金属製品の表面を機械加工により切削する(削る)等して、かかる表面に対して、互いに平行な多数の直線や、同一乃至は相似の多数の曲線等が描かれてなるヘアライン模様、或いは多数の同心円が描かれてなるスピン模様(スピンドル模様)を形成することが、一般的に行われている。
【0002】
一方、多種多様な基材(被印刷物)に対して印刷可能なスクリーン印刷の利用技術の一つとして、金属表面を擬似的に表現する金属疑似表面を形成する技術が、知られている。これは、ポリカーボネート製やアクリル樹脂製の透明な樹脂平板や透明なガラス平板等からなる基材の表面や裏面に、アルミニウムや真鍮等の金属色(銀色や金色)を有する、所謂メタリックインキがスクリーン印刷によりべた塗りされて、メタリックインキ層(メタル地色層)が形成され、このメタリックインキ層が形成された基材の表面にて、金属表面が擬似的に表現されてなるものである。
【0003】
そして、このようなスクリーン印刷技術によって形成された金属疑似表面を有するスクリーン印刷物は、金属製品よりも成形性や軽量性等において優れたものであるところから、例えば、上述の如き記号プレートや文字プレートの他、高級感や重厚感等を得る上で金属製であることが好まれる製品に、金属製品の代用品として、多く使用されている。また、最近では、基材として高強度の合成樹脂材料が用いられることにより、小型で高価な電子機器のケーシング等にも、適用されている。
【0004】
また、そのようなスクリーン印刷物の金属疑似表面において、より高い質感が得られるように、機械加工により金属表面に形成されるヘアライン模様やスピン模様に類似した模様が、金属疑似表面に対して、スクリーン印刷により形成されたスクリーン印刷物もある。例えば、基材の表面と裏面のうちの何れか一方の面上にメタル地色層が形成されて、このメタル地色層の上に、ヘアライン模様が重畳するように形成されてなるスクリーン印刷物(例えば、下記特許文献1参照)や、基材の表面と裏面の両方にスピン模様が形成され、更に、裏面上に形成されたスピン模様の上に、メタル地色層が重畳するように形成されてなるスクリーン印刷物(例えば、下記特許文献2参照)等が、それである。
【0005】
ところが、本発明者等が、上記の如きスクリーン印刷によりヘアライン模様やスピン模様が表面に形成された従来のスクリーン印刷物と、ヘアライン模様やスピン模様が機械加工により実際に形成された表面を有する金属製品とを用いて、それらの表面を比較したところ、従来のスクリーン印刷物の表面のヘアライン模様やスピン模様が、明らかにリアルさに欠け、しかも、従来のスクリーン印刷物には、外観不良の原因となるモアレが発生しており、従って、表面にヘアライン模様やスピン模様が機械加工された金属製品において発揮される高級感や重厚感を、従来のスクリーン印刷物において得ることが極めて困難であることが、判明したのである。
【0006】
【特許文献1】特開2000−211234号公報
【特許文献2】特開2001−113899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、機械加工により表面に形成されるヘアライン模様やスピン模様が、スクリーン印刷により表面に形成されるヘアライン模様又はスピン模様にて、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され、以て、高級感や重厚感が、更に効果的に得られるようにしたスクリーン印刷物の改良された構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その要旨とするところは、(a)表面が被印刷面とされた基材と、(b)該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ一方向に切れ目無く連続的に延びる互いに平行な多数の直線が、互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な直線状ヘアライン模様を有する第一の直線状ヘアラインパターンと、(c)該第一の直線状ヘアラインパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチの両方が、該第一の直線状ヘアラインパターンの前記規則的な直線状ヘアライン模様を構成する前記直線とは異なる直線を含む互いに平行な多数の直線か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチのうちの少なくとも何れか一方が、該規則的な直線状ヘアライン模様を構成する直線とは異なる直線を含む互いに平行な多数の直線が、描かれてなる不規則な直線状ヘアライン模様を有する第二の直線状ヘアラインパターンとを備えていることを特徴とするスクリーン印刷物にある。
【発明の効果】
【0009】
このような本発明に従うスクリーン印刷物においては、基材の被印刷面上に、第一の直線状ヘアラインパターンの規則的な直線状ヘアライン模様を構成する互いに平行な多数の直線と、第二の直線状ヘアラインパターンの不規則な直線状ヘアライン模様を構成する互いに平行な多数の直線とが、後者を上側にして重なり合った状態や、互いに隣り合って近接位置せしめられた状態において、スクリーン印刷される。
【0010】
それ故、かかるスクリーン印刷物では、基材の被印刷面上に、より多数の直線が、何等の規則性をも有することなく、また互いに重なり合った直線と重ねられていない直線との間で顕著な高低差をもって描かれるようになり、それによって、そのような多数の直線からなる直線状ヘアライン模様が、より立体的に、しかもモアレの発生を有利に解消乃至は抑制しつつ、一層高い質感をもって形成され得る。
【0011】
従って、かくの如き本発明に従うスクリーン印刷物にあっては、機械加工により表面に形成される直線状ヘアライン模様が、スクリーン印刷により表面に形成される直線状ヘアライン模様にて、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得る。そして、その結果として、基材が、表面加工が何等施されていない金属製品であっても、或いは金属疑似表面を有するスクリーン印刷物であっても、機械加工により直線状ヘアライン模様が表面に形成された金属製品に匹敵する高級感や重厚感が、更に一層効果的に得られることとなるのである。
【発明の態様】
【0012】
ところで、本発明は、少なくとも、以下に列挙する如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。
【0013】
<1> (a)表面が被印刷面とされた基材と、(b)該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ一方向に切れ目無く連続的に延びる互いに平行な多数の直線が、互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な直線状ヘアライン模様を有する第一の直線状ヘアラインパターンと、(c)該第一の直線状ヘアラインパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチの両方が、該第一の直線状ヘアラインパターンの前記規則的な直線状ヘアライン模様を構成する前記直線とは異なる直線を含む互いに平行な多数の直線か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチのうちの少なくとも何れか一方が、該規則的な直線状ヘアライン模様を構成する直線とは異なる直線を含む互いに平行な多数の直線が、描かれてなる不規則な直線状ヘアライン模様を有する第二の直線状ヘアラインパターンとを備えていることを特徴とするスクリーン印刷物。
【0014】
<2> (a)表面が被印刷面とされた基材と、(b)該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ一方向に切れ目無く連続的に延びる同一乃至は相似の多数の曲線が、互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な曲線状ヘアライン模様を有する第一の曲線状ヘアラインパターンと、(c)該第一の曲線状ヘアラインパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチの両方が、該第一の曲線状ヘアラインパターンの前記規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する前記曲線とは異なる曲線を含む多数の曲線か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチの少なくとも何れか一方が、該規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する曲線とは異なる曲線を含む多数の曲線が、描かれてなる不規則な曲線状ヘアライン模様を有する第二の曲線状ヘアラインパターンとを備えていることを特徴とするスクリーン印刷物。
【0015】
このような本態様によれば、基材の被印刷面上に、第一の曲線状ヘアラインパターンの規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する多数の曲線と、第二の曲線状ヘアラインパターンの不規則な曲線状ヘアライン模様を構成する多数の曲線とが、後者を上側にして重なり合った状態や、互いに隣り合って近接位置せしめられた状態において、スクリーン印刷される。
【0016】
それ故、かかる本態様では、基材の被印刷面上に、より多数の曲線が、何等の規則性をも有することなく、また互いに重なり合った曲線と重ねられていない曲線との間で顕著な高低差をもって描かれるようになり、それによって、そのような多数の曲線からなる曲線状ヘアライン模様が、より立体的に、しかもモアレの発生を有利に解消乃至は抑制しつつ、一層高い質感をもって形成され得る。
【0017】
従って、かくの如き本態様にあっては、機械加工により表面に形成される曲線状ヘアライン模様が、スクリーン印刷により表面に形成される曲線状ヘアライン模様にて、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得る。そして、その結果として、基材が、表面加工が何等施されていない金属製品であっても、或いは金属疑似表面を有するスクリーン印刷物であっても、機械加工により曲線状ヘアライン模様が表面に形成された金属製品に匹敵する高級感や重厚感が、更に一層効果的に得られることとなるのである。
【0018】
<3> 上記の態様<2>において、前記第二の曲線状ヘアラインパターンの前記不規則な曲線状ヘアライン模様を構成する多数の曲線のうちの何れか一つが基準曲線とされると共に、該基準曲線の曲率円の中心が、前記第一の曲線状ヘアラインパターンの前記規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する多数の曲線のうちで、該基準曲線に最も近接して位置する近接曲線の曲率円の中心から、その径方向の一方向に偏寄して位置せしめられるように、該第二の曲線状ヘアラインパターンが、該第一の曲線状ヘアラインパターンの上に重畳するように形成されていること。
【0019】
この本態様によれば、第一の曲線状ヘアラインパターンと第二の曲線状ヘアラインパターンとが、互いに位置ズレした状態で、基材の被印刷面上に形成され、それによって、それら各曲線状ヘアラインパターンを構成する多数の曲線が、部分的に重なり合ったり、或いは互いに交差したりした状態で、より不規則に、しかもより複雑な高低差をもって、基材の被印刷面上にスクリーン印刷される。そして、その結果として、機械加工により表面に形成される曲線状ヘアライン模様が、スクリーン印刷により表面に形成される曲線状ヘアライン模様にて、モアレによる外観不良の発生が、より確実に阻止せしめられた状態で、更に一層リアルに表現され得ることとなる。
【0020】
<4> (a)表面が被印刷面とされた基材と、(b)該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ互いに異径の切れ目のない多数の円が、同心上で互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な同心円状模様を有する第一のスピンパターンと、(c)該第一のスピンパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチと中心位置のうちの少なくとも何れか二つが、該第一のスピンパターンの前記規則的な同心円状模様を構成する前記円とは異なる円を含む互いに異径の多数の円か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチと中心位置のうちの何れか一つが、該規則的な同心円状模様を構成する円とは異なる円を含む互いに異径の多数の円が、描かれてなる不規則な円形模様を有する第二のスピンパターンとを備えていることを特徴とするスクリーン印刷物。
【0021】
このような本態様によれば、基材の被印刷面上に、第一のスピンパターンの規則的な同心円状模様を構成する多数の円と、第二のスピンパターンの不規則な円形模様を構成する多数の円とが、後者を上側にして重なり合った状態や、互いに隣り合って近接位置せしめられた状態において、スクリーン印刷される。
【0022】
それ故、かかる本態様では、基材の被印刷面上に、より多数の円が、何等の規則性をも有することなく、また互いに重なり合った円と重ねられていない円との間で顕著な高低差をもって描かれるようになり、それによって、そのような多数の円からなる円形模様、つまりスピン模様が、より立体的に、しかもモアレの発生を有利に解消乃至は抑制しつつ、一層高い質感をもって形成され得る。
【0023】
従って、かくの如き本態様にあっては、機械加工により表面に形成されるスピン模様が、スクリーン印刷により表面に形成されるスピン模様にて、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得る。そして、その結果として、基材が、表面加工が何等施されていない金属製品であっても、或いは金属疑似表面を有するスクリーン印刷物であっても、機械加工によりスピン模様が表面に形成された金属製品に匹敵する高級感や重厚感が、更に一層効果的に得られることとなるのである。
【0024】
<5> 上記の態様<4>において、前記第二のスピンパターンの前記不規則な円形模様を構成する互いに異径の多数の円のうちの何れか一つが基準円とされると共に、該基準円の中心が、前記第一のスピンパターンの前記規則的な同心円状模様を構成する互いに異径の多数の円の中心から、その径方向の一方向に偏寄して位置せしめられるように、該第二のスピンパターンが、該第一のスピンパターンの上に重畳するように形成されていること。
【0025】
この本態様によれば、第一のスピンパターンと第二のスピンパターンとが、互いに位置ズレした状態で、基材の被印刷面上に形成され、それによって、それら各スピンパターンを構成する多数の円が、部分的に重なり合ったり、互いに交差したりした状態で、より不規則に、しかもより複雑な高低差をもって、基材の被印刷面上にスクリーン印刷される。従って、機械加工により表面に形成されるスピン模様が、スクリーン印刷により表面に形成されるスピン模様にて、モアレによる外観不良の発生が、より確実に阻止せしめられた状態で、更に一層リアルに表現され得ることとなる。
【0026】
<6> 上記の態様<1>において、前記基材が、透明な平板からなり、且つ板厚方向の一方の面が前記被印刷面とされた透明シートにて構成されると共に、該透明シートの該被印刷面と前記第一の直線状ヘアラインパターンとの間又は該被印刷面とは反対側の面上に、光の反射により金属光沢を発するインキがスクリーン印刷によりべた塗りされることにより形成されて、該透明シートの該被印刷面側から照射される光を反射して、金属光沢を発する光反射層が設けられていること。この本態様によれば、例えば、合成樹脂製やガラス製の透明シート等からなる基材を有するスクリーン印刷物において、金属疑似表面が、モアレ等による外観不良を生ずることなく、よりリアルな質感や高級感をもって、効果的に表現され得る。
【0027】
<7> 上記の態様<2>又は態様<3>において、前記基材が、透明な平板からなり、且つ板厚方向の一方の面が前記被印刷面とされた透明シートにて構成されると共に、該透明シートの該被印刷面と前記第一の曲線状ヘアラインパターンとの間又は該被印刷面とは反対側の面上に、光の反射により金属光沢を発するインキがスクリーン印刷によりべた塗りされることにより形成されて、該透明シートの該被印刷面側から照射される光を反射して、金属光沢を発する光反射層が設けられていること。この本態様によっても、例えば、合成樹脂製やガラス製の透明シート等からなる基材を有するスクリーン印刷物において、金属疑似表面が、モアレ等による外観不良を生ずることなく、よりリアルな質感や高級感をもって、効果的に表現され得る。
【0028】
<8> 上記の態様<4>又は態様<5>において、前記基材が、透明な平板からなり、且つ板厚方向の一方の面が前記被印刷面とされた透明シートにて構成されると共に、該透明シートの該被印刷面と前記第一のスピンパターンとの間又は該被印刷面とは反対側の面上に、光の反射により金属光沢を発するインキがスクリーン印刷によりべた塗りされることにより形成されて、該透明シートの該被印刷面側から照射される光を反射して、金属光沢を発する光反射層が設けられていること。この本態様によっても、例えば、合成樹脂製やガラス製の透明シート等からなる基材を有するスクリーン印刷物において、金属疑似表面が、モアレ等による外観不良を生ずることなく、よりリアルな質感や高級感をもって、効果的に表現され得る。
【0029】
<9> 上記の態様<6>乃至は態様<8>のうちの何れか一つにおいて、前記透明シートの前記被印刷面とは反対側の面に対して、直接に、或いは前記光反射層が該反対側の面上に設けられているときには該光反射層の上に、該光反射層の全面にわたって、不透明なインキがスクリーン印刷によりべた塗りされて形成されたインキ層からなり、該透明シートの該被印刷面側から照射される光が該光反射層を透過することを阻止して、該光反射層による光の反射量を増大せしめる遮光層が、更に設けられていること。このような本態様によれば、遮光層による光反射層での反射光の増大作用により、光反射層において、より鮮やかな金属光沢が発せられて、金属光沢効果が更に高いレベルで発揮され、以て、機械加工により切削された金属表面が、より一層リアルな質感をもって表現され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係るスクリーン印刷物の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0031】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物の一実施形態として、所定のエンブレムやマークの下地プレートたるネームプレートが、その平面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態のネームプレート10は、基材としての被印刷シート12を有し、その表面(図2では、被印刷シート12の上面)上に光反射層14が形成される一方、その裏面(図2では、被印刷シート12の下面)上に遮光層16が形成されて、構成されている。
【0032】
より具体的には、被印刷シート12は、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の樹脂材料やガラス材料等からなる透明な矩形薄肉平板にて、構成されている。そして、そのような被印刷シート12の表面上に、光の反射により金属光沢を発するインキが、スクリーン印刷により円形にべた塗りされることによって、光反射層14が形成されている。即ち、光反射層14は、透明な被印刷シート12の表面における所定大きさの円形領域部分を、所定の厚さをもって完全に覆うにように形成された、光の反射により金属光沢を発するインキ層にて、構成されているのである。
【0033】
一方、遮光層16は、不透明なインキが、被印刷シート12の光反射層14形成側とは反対側の面の全面に、スクリーン印刷によりべた塗りされて形成された不透明インキ層によって、構成されている。換言すれば、遮光層16は、被印刷シート12の裏面側において、光反射層14を裏打ちする如き状態で、被印刷シート12を介して、光反射層14の裏面の全面を覆うように形成されており、それによって、被印刷シート12の表面側から照射された光が光反射層14を透過して、被印刷シート12の裏面側から漏れ出すのを遮断し得るようになっている。
【0034】
かくして、ここでは、被印刷シート12の表面側から照射された光が、光反射層14で反射されて、かかる光反射層14において、金属光沢が発せられるようになっている。しかも、そのような光反射層14を透過した光の被印刷シート12の裏面側からの漏れ出しが遮光層16にて遮断されることで、光反射層14で反射される光の反射量が効果的に増大せしめられて、光反射層14上で、金属光沢が、より鮮明に発せられ得るようになっている。そして、これにより、被印刷シート12の表面における光反射層14の形成部位が、金属表面を十分なリアルさをもって擬似的に表現する金属疑似表面部分17とされている。
【0035】
なお、光反射層14を与えるインキとしては、スクリーン印刷に用いられるスクリーンインキのうち、真鍮の微粉末を混和した金インキや、アルミニウムの微粉末を混和した銀インキ、更には金インキに赤インキや紺インキ、藍インキ等のインキを混ぜ合わせた混合インキ等、光の反射により金色や銀色、ブロンズ色等の金属光沢を発するインキ等が、光反射層14で表現されるべき金属色等に応じて、適宜に用いられる。また、遮光層16を与えるインキは、各種のスクリーンインキの中から、例えば、白色や黒色等、不透明な色を有するものが適宜に選択されて、使用される。更に、それら光反射層14や遮光層16を与えるインキには、一般に、安価な溶剤型のものが用いられるが、そのようなインキの種別(タイプ)は、特に限定されるものでない。
【0036】
また、光反射層14の厚さ(図2において、t1 にて示される寸法)や遮光層16の厚さ(図2において、t2 にて示される寸法)も、何等限定されるものではないものの、それら光反射層14と遮光層16の厚さ:t1 ,t2 は、何れも3μm以上とされていることが、望ましい。これによって、被印刷シート12の裏面側からの光反射層14の透過光の漏れが更に効果的に阻止されて、光反射層14において、より鮮やかな金属光沢が発せられることとなる。なお、光反射層14と遮光層16のそれぞれの厚さ:t1 ,t2 の上限は、インキの無駄な使用により、光反射層14や遮光層16が必要以上に厚くならない程度において、適宜に決定される。
【0037】
そして、本実施形態のネームプレート10にあっては、特に、被印刷シート12の表面が被印刷面とされ、この被印刷面上に形成された金属疑似表面部分17を与える光反射層14の上に、互いに異なる同心円状模様を有する第一のスピンパターン18と第二のスピンパターン20とが積層形成されており、そこに、従来品には見られない大きな特徴が存しているのである。
【0038】
すなわち、図1及び図2と、被印刷シート12の表面上に、第一のスピンパターン18のみが形成されたスクリーン印刷物の平面形態を示す図3とから明らかな如く、ここでは、被印刷シート12の表面上において光反射層14が形成される円形領域の略全体に、多数の同心円が密に描かれてなる同心円状模様が、光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷されており、この同心円状模様を呈する印刷パターンによって、第一のスピンパターン18が、形成されている。
【0039】
換言すれば、第一のスピンパターン18は、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により、被印刷シート12における円形の金属疑似表面部分17の略全体に形成された、互いに径が異なる、切れ目のない多数の第一円形凸条22を有し、また、それら互いに異径の多数の第一円形凸条22が、円形の光反射層14の中心点を中心:O1 として、その周りに、同心円を描くように位置せしめられることによって、構成されている。
【0040】
そして、このような第一のスピンパターン18を形成する互いに異径の多数の第一円形凸条22は、何れも、同一の幅(図2において、w1 にて示される寸法)と、極めて狭い、一定のピッチ(図3において、P1 にて示される寸法)とを有しており、以て、そのような多数の第一円形凸条22からなる第一のスピンパターン18が、規則的な同心円状模様を呈するようになっているのである。
【0041】
また、図1及び図2と、被印刷シート12の表面上に、第二のスピンパターン20のみが形成されたスクリーン印刷物の平面形態を示す図4とから明らかなように、被印刷シート12の金属疑似表面部分17上に形成された第一のスピンパターン18の上には、その全体に、かかる第一のスピンパターン18とは異なる同心円状模様を呈する第二のスピンパターン20が、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷によって、形成されている。
【0042】
つまり、この第二のスピンパターン20は、スクリーン印刷によって形成された、互いに径の異なる多数の第二円形凸状24を有している。また、かかる互いに異径の多数の第二円形凸条24は、それらのうちで最も小さな径を有する基準円形凸条24aの中心:O2 を中心点として、その周りに、同心円を描くように位置せしめられることによって、構成されている。
【0043】
さらに、そのような多数の第二円形凸条24にあっては、何れも、その幅(図2において、w2 にて示される寸法)が、第一のスピンパターン18における各第一円形凸条22の幅:w1 と同一の大きさとされているものの、それぞれのものにおける周上の無作為に選ばれた1個所或いは複数個所に、切れ目26が、不均一な長さで形成されており、また、ピッチ(図4において、P2 にて示される寸法)も、各第一円形凸条22のピッチ:P1 とは異なる不均一な大きさとされている。これによって、かかる多数の第二円形凸条24からなる第二のスピンパターン20が、多数の第一円形凸条22からなる第一のスピンパターン18とは異なる不規則な同心円状模様を呈するようになっているのである。
【0044】
そして、図1に示されるように、上記の如き不規則な同心円状模様を有する第二のスピンパターン20における基準円形凸条24aの中心:O2 、即ち、多数の第二円形凸条24の中心:O2 が、規則的な同心円状模様を有する第一のスピンパターン18における多数の第一円形凸条22の中心:O1 から、各第一円形凸条22の径方向における図1中の右側に、mにて示される寸法だけ偏寄して位置せしめられた状態で、第二のスピンパターン20が、第一のスピンパターン18の上に、重畳するように、形成されている。なお、図示されてはいないものの、ここでは、かかる第一のスピンパターン18上に形成された第二のスピンパターン20の上に、所定のエンブレムやマークが、所定のスクリーンインキを用いた公知のスクリーン印刷等によって、更に形成されることとなる。
【0045】
かくして、ここでは、図1に示される如く、第一のスピンパターン18上への第二のスピンパターン20の積層状態下で、多数の第一円形凸条22と多数の第二円形凸条24とが、互いに交差したり、所定長さに亘って重なり合ったり、或いは径方向に互いに隣り合ったりして位置せしめられ、また、それらのうちで径方向に互いに隣り合うもの同士の間隔が、周方向に徐々に変化せしめられるようになっている。そして、その結果、図2に示されるように、金属疑似表面部分17上の不規則な位置に、第一円形凸条22と第二円形凸条24との重合せ部分が、最も高い高さと、第一円形凸条22の上面からなる段差部28とをもって形成され、また、第二円形凸条24が、かかる重合せ部分よりも低い高さをもって、更には、第一円形凸条22が、第二円形凸条24よりも更に低い高さをもって、それぞれランダムに位置するように形成されている。
【0046】
このように、本実施形態では、金属疑似表面部分17上に、第一のスピンパターン18と第二のスピンパターン20とが、それぞれの中心:O1 ,O2 が不一致の状態で、積層形成されていることで、より多くの円形凸条22,24が、何等の規則性をも有することなく、しかも顕著で且つ複雑な高低差をもって、それぞれ形成されるようになっている。
【0047】
それ故、本実施形態のネームプレート10においては、スクリーン印刷により積層形成される第一のスピンパターン18と第二のスピンパターン20のそれぞれの同心円状模様、つまり各スピン模様が、金属疑似表面部分17上に、より立体的に、しかもモアレを生ぜしめることなく、一層高い質感をもって形成され得て、かかる金属疑似表面部分17において、金属製品の上面に機械加工により形成されるスピン模様が、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得る。
【0048】
従って、かくの如き本実施形態に係るネームプレート10にあっては、機械加工によりスピン模様が表面に形成された金属製品に匹敵する高級感や重厚感が、極めて効果的に得られることとなるのである。
【0049】
なお、上記せる如き第一のスピンパターン18や第二のスピンパターン20を形成するインキとしては、スクリーン印刷に用いられるスクリーンインキのうち、光透過性を有する無色透明又は有色のインキが適宜に選択されて用いられるが、その中でも、例えば、紫外線硬化型の無色透明インキが、好適に使用される。かかるインキを用いることによって、光反射層14で発せられる金属光沢の鮮明性を損なうことなく、紫外線硬化型インキを使用した印刷特有の厚盛り印刷が可能となって、第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22と第二のスピンパターン20の各第二円形凸条24とが、共に有利に厚肉化される。そして、その結果として、第一及び第二のスピンパターン18,20におけるスピン模様がより鮮明化されて、金属疑似表面部分17において、金属製品の表面への機械加工によって形成されるスピン模様が、更に一層リアルな質感をもって表現され得ることとなる。
【0050】
また、第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22と第二のスピンパターン20の各円形凸条24の幅、つまり、第一のスピンパターン18におけるスピン模様の線幅:w1 と第二のスピンパターン20におけるスピン模様の線幅:w2 は、何れも、特に限定されるものではないものの、0.2〜0.5ポイント(0.07028〜0.1757mm)程度とされていることが望ましい。何故なら、0.2ポイント(0.07028mm)を下回るような極めて小さな線幅:w1 ,w2 を有する各スピンパターン18,20を印刷形成することは、現在のスクリーン印刷技術では困難であるからであり、また、各スピンパターン18,20の線幅:w1 ,w2 が0.5ポイント(0.1757mm)を上回る場合、各円形凸条22,24の幅が大きくなり過ぎて、金属疑似表面部分17上に、光透過性のインキをべた塗りしたのと同じような状態となり、互いに径の異なる円形凸条22,24が同心円を描いて、密に形成された各スピンパターン18,20の繊細なスピン模様が十分に認識され難くなるからである。
【0051】
さらに、第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22間のピッチ:P1 、つまり第一のスピンパターン18を与える同心円状模様の同心円のピッチは、前記せる如く、一定の値とされるが、その値は、例えば、0.2〜0.8mmの範囲内における値が、選択される。何故なら、かかるピッチ:P1 が0.2mm未満であるようなスピンパターン18をスクリーン印刷によって印刷形成することが難しく、また、かかるピッチ:P1 が0.8mmを越えるようになると、隣り合う第一円形凸条22同士の間の隙間が過大となり、それによって、互いに径の異なる第一円形凸条22が同心円を描いて、密に形成されてなる第一のスピンパターン18のスピン模様の質感が低下せしめられるようになるからである。
【0052】
また、第二のスピンパターン20の各第二円形凸条24間のピッチ:P2 、つまり第二のスピンパターン20を与える同心円状模様の同心円のピッチは、前記せる如く、不均一な値とされるが、その値は、第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22間のピッチ:P1 と同様に、例えば、0.2〜0.8mmの範囲内の値と選択される。これは、上記と同様の理由による。そして、そのような範囲内の値の中から、複数種類の値が適宜に選択されることとなるのである。
【0053】
さらに、第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22の厚さ(図2において、t3 にて示される寸法)と第二のスピンパターン20の各第二円形凸条24の厚さ(図2において、:t4 にて示される寸法)も、適宜に選定されるところではあるものの、それらは、何れも、5μm以上とされていることが好ましい。それらの厚さ:t3 ,t4 が5μmを下回るようなスピンパターン18,20では、薄過ぎるために、スピン模様の鮮明さが損なわれるからである。また、それら第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22の厚さ:t3 と第二のスピンパターン20の各第二円形凸条24の厚さ:t4 の各上限値は、何れも特定されるものでないものの、インキの無駄使いによって、各パターン18,20が必要以上に厚くならない程度において、それぞれ、適宜に定められることとなる。また、第二のスピンパターン20の各第二円形凸条24の厚さ:t4 は、第一のスピンパターン18の各第一円形凸条22の厚さ:t3 よりも、大きくされていることが、望ましい。
【0054】
更にまた、第二のスピンパターン20における各第二円形凸条24の周上の1個所又は複数個所に形成される切れ目26の長さも、特に限定されるものではなく、例えば、金属疑似表面部分17上での第二のスピンパターン20の形成領域の大きさ等によって、適宜に決定されるところではあるものの、かかる切れ目26の長さは、0.1〜30mm程度とされていることが、好ましい。何故なら、切れ目26の長さが0.1mmを下回る長さとされると、切れ目26が短過ぎて、かかる切れ目26の存在、更にはそれにより得られる第一及び第二円形凸条22,24の複雑な高低差が、十分に認識され得なくなってしまうからである。また、切れ目26の長さが30mmを越える長さとされている場合には、切れ目26が長過ぎるために、第二のスピンパターン20に対して繊細なスピン模様を与えることが困難となり、それによって、スピン模様の表現効果が著しく低下するといった不具合が生ずる恐れがあるからである。
【0055】
ところで、前記第一の実施形態では、第二のスピンパターン20の各第二円形凸条24が、第一のスピンパターン18における各第一円形凸条22の幅:w1 と同一の幅:w2 と、周上の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目26と、不均一なピッチ:P2 とを有して、構成されていたが、例えば、図5に示されるように、多数の第二円形凸条24が、第一のスピンパターン18における各第一円形凸条22の幅:w1 とは異なる大きさのものを含む不均一な幅:w2 と、周上の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目26と、各第一円形凸条22のピッチ:P1 と同じ一定のピッチ:P2 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二円形凸条24にて、第二のスピンパターン20を構成するようにしても良い。かくの如き第二のスピンパターン20が、金属疑似表面部分17上に形成された第一のスピンパターン18の上に、重畳するように形成されることによっても、前記第一の実施形態と同様な作用・効果が有効に享受され得ることとなる。
【0056】
また、例えば、図6に示されるように、多数の第二円形凸条24が、第一のスピンパターン18における各第一円形凸条22の幅:w1 とは異なる大きさのものを含む不均一な幅:w2 と、各第一円形凸条22のピッチ:P1 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P2 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二円形凸条24にて、第二のスピンパターン20を構成するようにしても良い。
【0057】
さらに、例えば、図7に示されるように、多数の第二円形凸条24が、第一のスピンパターン18における各第一円形凸条22の幅:w1 と同一の幅:w2 と、周上の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目26と、各第一円形凸条22のピッチ:P1 と同じ一定のピッチ:P2 、或いはかかるピッチ:P1 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P2 とを有し、且つ多数の第二円形凸条24のうち、基準円形凸条24aを除く各第二円形凸条24の中心が、基準円形凸条24aの中心:O2 とは異なる位置に位置せしめられるように構成し、そして、そのような多数の第二円形凸条24にて、第二のスピンパターン20を構成するようにしても良い。
【0058】
更にまた、例えば、図8に示されるように、多数の第二円形凸条24が、第一のスピンパターン18における各第一円形凸条22の幅:w1 とは異なる大きさのものを含む不均一な幅:w2 と、各第一円形凸条22のピッチ:P1 と同じ一定のピッチ:P2 、或いはかかるピッチ:P1 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P2 とを有し、且つ多数の第二円形凸条24のうち、基準円形凸条24aを除く各第二円形凸条24の中心が、基準円形凸条24aの中心:O2 とは異なる位置に位置せしめられるように構成し、そして、そのような多数の第二円形凸条24にて、第二のスピンパターン20を構成するようにしても良い。また、図示されてはいないものの、このような第二のスピンパターン20における多数の第二円形凸条24に対して、不均一な長さの切れ目26を設けることも、勿論可能である。
【0059】
そして、図6乃至図8に示される如き構造を有する第二のスピンパターン20が、金属疑似表面部分17上に形成された第一のスピンパターン18の上に、重畳するように形成されることによっても、前記第一の実施形態と同様な作用・効果が有効に享受され得ることとなる。
【0060】
なお、前記第一の実施形態では、第二のスピンパターン20における基準円形凸条24aの中心:O2 が、第一のスピンパターン18における多数の第一円形凸条22の中心:O1 から、その径方向における図1中の右側に所定寸法だけ偏寄して位置せしめられた状態で、第二のスピンパターン20が、第一のスピンパターン18の上に積層形成されていたが、そのような第二のスピンパターン20と第一のスピンパターン18の位置ズレ方向は、第一円形凸条22の径方向であれば、何等これに限定されるものではない。また、第二のスピンパターン20を、第一のスピンパターン18の上に、そのような位置ズレなく積層形成することも、勿論可能である。
【0061】
また、前記第一の実施形態では、被印刷シート12の表面上に光反射層14が形成される一方、その裏面上に遮光層16が形成されていたが、例えば、被印刷シート12の表面上に、光反射層14と遮光層16とを、後者が被印刷シート12側に位置するように積層形成したり、或いは被印刷シート12の裏面上に、光反射層14と遮光層16とを、前者が被印刷シート12側に位置するように積層形成したりしても良い。
【0062】
さらに、光反射層14のみにて、被印刷シート12の表面側からの照射光を充分な量において反射し得るのであれば、遮光層16を必ずしも設ける必要はない。
【0063】
更にまた、光反射層14や遮光層16の被印刷シート12への形成領域、つまり、それら光反射層14や遮光層16の全体形状は、例示される円形形状に、何等限定されるものではなく、それ以外の形状が適宜に採用され得るのであり、また、第一のスピンパターン18と第二のスピンパターン20の被印刷シート12表面側への形成領域も、被印刷シート12の表面上における光反射層14の形成領域に応じて、適宜に変更されるところである。
【0064】
次に、図9には、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物の別の実施形態が、その平面形態において、概略的に示されている。この図9から明らかなように、本実施形態のスクリーン印刷物30は、基材として、例えばアルミニウム等の金属製の矩形平板からなる金属板32を有している。そして、かかる金属板32の厚さ方向一方の面が被印刷面34とされて、この被印刷面34の外周部を除く略全面に、第一の直線状ヘアラインパターン36と第二の直線状ヘアラインパターン38とが、積層形成されている。
【0065】
より詳細には、図9と、金属板32の被印刷面34上に、第一の直線状ヘアラインパターン36のみが形成されたスクリーン印刷物の平面形態を示す図10とから明らかな如く、ここでは、被印刷面34上の外周部を除く矩形領域の全体に、互いに平行な多数の直線が密に描かれてなる直線状ヘアライン模様が、光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷されており、この直線状ヘアライン模様を呈する印刷パターンによって、第一の直線状ヘアラインパターン36が、形成されている。
【0066】
すなわち、第一の直線状ヘアラインパターン36は、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により、金属板32における被印刷面34の略全体に形成された、切れ目のない多数の第一直線形凸条40を有している。そして、それら多数の第一直線形凸条40が、互いに同一の長さ及び幅と、極めて狭い、一定のピッチ(図10において、P3 にて示される寸法)とをもって、金属板32の被印刷面34上に、図10中、左右方向に連続して、互いに平行に延びるよう位置せしめられることによって、構成されている。かくして、第一の直線状ヘアラインパターン36が、規則的な直線状ヘアライン模様を有するようになっている。
【0067】
また、図9と、金属板32の被印刷面34上に、第二の直線状ヘアラインパターン38のみが形成されたスクリーン印刷物の平面形態を示す図11とから明らかなように、金属板32の被印刷面34上に形成された第一の直線状ヘアラインパターン36の上には、その全体に、かかる第一の直線状ヘアラインパターン36とは異なる直線状ヘアライン模様を呈する第二の直線状ヘアラインパターン38が、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷によって、形成されている。
【0068】
つまり、この第二の直線状ヘアラインパターン38は、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により形成された多数の第二直線形凸条42を有している。そして、それら多数の第二直線形凸条42が、金属板32の被印刷面34上に、図11中、左右方向に連続して、互いに平行に延びるよう位置せしめられることによって、構成されている。
【0069】
さらに、そのような多数の第二直線形凸条42にあっては、何れも、その幅が、第一の直線状ヘアラインパターン36における各第一直線形凸条40の幅と同一の大きさとされているものの、それぞれのものの長さ方向において無作為に選択された1個所或いは複数個所に、切れ目44が、不均一な長さで形成されており、また、ピッチ(図11において、P4 にて示される寸法)も、各第一直線形凸条40のピッチ:P3 とは異なる大きさのものを含む不均一な大きさとされている。これによって、かかる多数の第二直線形凸条42からなる第二の直線状ヘアラインパターン38が、多数の第一直線形凸条40からなる第一直線状ヘアラインパターン36とは異なる不規則な直線状ヘアライン模様を呈するようになっているのである。
【0070】
そして、図9に示されるように、上記の如き不規則な直線状ヘアライン模様を有する第二の直線状ヘアラインパターン38が、規則的な直線状ヘアライン模様を有する第一の直線状ヘアラインパターン36の上に、重畳するように、形成されている。
【0071】
かくして、ここでは、第一の直線状ヘアラインパターン36上への第二の直線状ヘアラインパターン38の積層状態下で、多数の第一直線形凸条40と多数の第二直線形凸条42とが、一部のもの同士において、全長に亘って互いに重なり合ったり、或いは幅方向に互いに隣り合ったりして位置せしめられ、また、それらのうちで幅方向に互いに隣り合うもの同士の間隔が、不均一なものとされている。そして、その結果、金属板32の被印刷面34上の不規則な位置に、第一直線形凸条40と第二直線形凸条42との重合せ部分が、最も高い高さをもって形成されると共に、第二直線形凸条42が、かかる重合せ部分よりも低い高さをもって、また、第一直線形凸条40が、第二直線形凸条42よりも更に低い高さをもって、それぞれランダムに位置するように形成されている。更にまた、図9には明示されてはいないものの、第一直線形凸条40と第二直線形凸条42との重合せ部分における第二直線形凸条42の切れ目44の形成部位には、第一直線形凸条40の上面からなる段差部が、形成されている。
【0072】
このように、本実施形態では、金属板32の被印刷面34上に、第一の直線状ヘアラインパターン36と第二の直線状ヘアラインパターン38とが、重畳するように積層形成されていることで、より多くの直線形凸条40,42が、何等の規則性をも有することなく、しかも顕著で且つ複雑な高低差をもって、それぞれ形成されるようになっている。
【0073】
それ故、本実施形態のスクリーン印刷物30においては、スクリーン印刷により積層形成される第一の直線状ヘアラインパターン36と第二の直線状ヘアラインパターン38のそれぞれの直線状ヘアライン模様が、金属板32の被印刷面34上に、より立体的に、しかもモアレを生ぜしめることなく、一層高い質感をもって形成され得る。
【0074】
従って、かくの如き本実施形態に係るスクリーン印刷物30にあっては、金属板32の被印刷面34に対する機械加工が何等施されていないにも拘わらず、かかる被印刷面34において、機械加工により形成される直線状ヘアライン模様が、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得る。そして、その結果として、直線状ヘアライン模様を表面に機械加工するための大型且つ高価な設備を何等要することなく、機械加工により直線状ヘアライン模様が表面に形成された金属製品に匹敵する高級感や重厚感が、極めて効果的に得られることとなるのである。
【0075】
なお、上記せる如き第一の直線状ヘアラインパターン36と第二の直線状ヘアラインパターン38をそれぞれ形成するインキは、前記第一の実施形態に係るネームプレート10の金属疑似表面部分17上に、第一のスピンパターン18や第二のスピンパターン20を形成するインキと同様なものが、使用される。また、それら第一及び第二の直線状ヘアラインパターン36,38を構成する第一及び第二直線形凸条40,42のそれぞれの幅やピッチ、厚さ、切れ目44の長さ等も、例えば、第一及び第二のスピンパターン18,20を構成する第一及び第二円形凸条22,24の幅やピッチ、厚さ、切れ目26の長さ等と、各々同様な値とされる。
【0076】
ところで、前記第二の実施形態では、第二の直線状ヘアラインパターン38の各第二直線形凸条42が、第一の直線状ヘアラインパターン36における各第一直線形凸条40の幅と同一の幅と、長さ方向の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目44と、不均一なピッチ:P4 とを有して、構成されていたが、例えば、図12に示されるように、多数の第二直線形凸条42が、第一の直線状ヘアラインパターン36における各第一直線形凸条40の幅とは異なる大きさのものを含む不均一な幅と、長さ方向の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目44と、各第一直線形凸条40のピッチ:P3 と同じ一定のピッチ:P4 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二直線形凸条42にて、第二の直線状ヘアラインパターン38を構成するようにしても良い。かくの如き第二の直線状ヘアラインパターン38が、金属板32の被印刷面34上に形成された第一の直線状ヘアラインパターン36の上に、重畳するように形成されることによっても、前記第二の実施形態と同様な作用・効果が有効に享受され得ることとなる。
【0077】
また、例えば、図13に示されるように、多数の第二直線形凸条42が、第一の直線状ヘアラインパターン36における各第一直線形凸条40の幅とは異なる大きさのものを含む不均一な幅と、各第一直線形凸条40のピッチ:P3 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P4 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二直線形凸条42にて、第二の直線状ヘアラインパターン38を構成するようにしても良い。
【0078】
さらに、例えば、図14に示されるように、第二の直線状ヘアラインパターン38の各第二直線形凸条42が、第一の直線状ヘアラインパターン36における各第一直線形凸条40の幅とは異なる大きさのものを含む不均一な幅と、長さ方向の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目44と、各第一直線形凸条40のピッチ:P3 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P4 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二直線形凸条42にて、第二の直線状ヘアラインパターン38を構成するようにしても良い。
【0079】
そして、図13及び図14に示される如き構造を有する第二の直線状ヘアラインパターン38が、金属板32の被印刷面34上に形成された第一の直線状ヘアラインパターン36の上に、重畳するように形成されることによっても、前記第二の実施形態と同様な作用・効果が有効に享受され得ることとなる。
【0080】
次に、図15には、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物の更に別の実施形態が、その平面形態において、概略的に示されている。この図15から明らかなように、本実施形態のスクリーン印刷物46は、基材として、例えばアルミニウム等の金属製の矩形平板からなる金属板48を有している。そして、かかる金属板48の厚さ方向一方の面が被印刷面50とされて、この被印刷面50の外周部を除く略全面に、第一の曲線状ヘアラインパターン52と第二の曲線状ヘアラインパターン54とが、積層形成されている。
【0081】
より具体的には、図15と、金属板48の被印刷面50上に、第一の曲線状ヘアラインパターン52のみが形成されたスクリーン印刷物の平面形態を示す図16とから明らかな如く、ここでは、被印刷面50上の外周部を除く矩形領域の全体に、多数の波形の曲線が密に描かれてなる曲線状ヘアライン模様が、光透過性を有するインキを用いて、スクリーン印刷されており、この曲線状ヘアライン模様を呈する印刷パターンによって、第一の曲線状ヘアラインパターン52が、形成されている。
【0082】
すなわち、第一の曲線状ヘアラインパターン52は、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により、金属板48における被印刷面50の略全体に形成された、切れ目のない、互いに同一の波形状を呈する多数の第一曲線形凸条56を有している。そして、それら多数の第一曲線形凸条56が、互いに同一の幅と、極めて狭い、一定のピッチ(図16において、P5 にて示される寸法)とをもって、金属板48の被印刷面50上に、図16中、左右方向に連続して延びるよう位置せしめられることによって、構成されている。かくして、第一の曲線状ヘアラインパターン52が、規則的な曲線状ヘアライン模様を有するようになっている。なお、金属板48の被印刷面50における図15及び図16の上側と下側に位置する部分に形成される第一曲線形凸条56は、かかる被印刷面50の中央部に位置する部分に形成される第一曲線形凸条56と同一形状を呈するものの一部にて構成されていることが理解されるべきである。
【0083】
また、図15と、金属板48の被印刷面50上に、第二の曲線状ヘアラインパターン54のみが形成されたスクリーン印刷物の平面形態を示す図17とから明らかなように、金属板48の被印刷面50上に形成された第一の曲線状ヘアラインパターン52の上には、その全体に、かかる第一の曲線状ヘアラインパターン52とは異なる曲線状ヘアライン模様を呈する第二の曲線状ヘアラインパターン54が、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷によって、形成されている。
【0084】
つまり、この第二の曲線状ヘアラインパターン54は、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により形成された、互いに同一の波形状を呈する多数の第二曲線形凸条58を有している。そして、それら多数の第二曲線形凸条58が、金属板48の被印刷面50上に、図17中、左右方向に連続して延びるよう位置せしめられることによって、構成されている。
【0085】
また、そのような多数の第二曲線形凸条58にあっては、何れも、その幅が、第一の曲線状ヘアラインパターン52における各第一曲線形凸条56の幅と同一の大きさとされているものの、それぞれのものの長さ方向において無作為に選択された1個所或いは複数個所に、切れ目60が、不均一な長さで形成されており、また、ピッチ(図17において、P6 にて示される寸法)も、各第一曲線形凸条56のピッチ:P5 とは異なる大きさのものを含む不均一な大きさとされている。これによって、かかる多数の第二曲線形凸条58からなる第二の曲線状ヘアラインパターン54が、多数の第一曲線形凸条56からなる第一曲線状ヘアラインパターン52とは異なる不規則な曲線状ヘアライン模様を呈するようになっているのである。更に、ここでは、かかる第二の曲線状ヘアラインパターン54における多数の第二曲線形凸条58のうち、図17の上下方向の略中央に位置するものが、基準曲線形凸条58aとされている。
【0086】
そして、図15に示されるように、上記の如き不規則な曲線状ヘアライン模様を有する第二の曲線状ヘアラインパターン54における基準曲線形凸条58aの所定の曲率円の中心:O3 が、規則的な曲線状ヘアライン模様を有する第一の曲線状ヘアラインパターン52における多数の第一曲線形凸条56のうちで、かかる基準曲線形凸条58aに最も近接する第一曲線形凸条56aの曲率円の中心:O4 から、その径方向における図15の左側に、nにて示される寸法だけ偏寄して位置せしめられた状態で、第二の曲線状ヘアラインパターン54が、第一の曲線状ヘアラインパターン52の上に、重畳するように、形成されている。
【0087】
かくして、ここでは、第一の曲線状ヘアラインパターン52上への第二の曲線状ヘアラインパターン54の積層状態下で、多数の第一曲線形凸条56と多数の第二曲線形凸条58とが、互いに交差したり、所定長さに亘って重なり合ったり、或いはそれぞれの曲率円の径方向に互いに隣り合ったりして位置せしめられ、また、それらのうちで互いに隣り合うもの同士の間隔が、互いに不均一で且つ徐々に変化せしめられるようになっている。そして、その結果、金属板48の被印刷面50上の不規則な位置に、第一曲線形凸条56と第二曲線形凸条58との重合せ部分が、最も高い高さをもって形成されると共に、第二曲線形凸条58が、かかる重合せ部分よりも低い高さをもって、また、第一曲線形凸条56が、第二曲線形凸条58よりも更に低い高さをもって、それぞれランダムに位置するように形成されている。更にまた、図15には明示されてはいないものの、第一曲線形凸条56と第二曲線形凸条58との重合せ部分における第二曲線形凸条58の切れ目60の形成部位には、第一曲線形凸条56の上面からなる段差部が、形成されている。
【0088】
このように、本実施形態では、金属板48の被印刷面50上に、第一の曲線状ヘアラインパターン52と第二の曲線状ヘアラインパターン54とが、重畳するように積層形成されていることで、より多くの曲線形凸条56,58が、何等の規則性をも有することなく、しかも顕著で且つ複雑な高低差をもって、それぞれ形成されるようになっている。
【0089】
それ故、本実施形態のスクリーン印刷物46においては、スクリーン印刷により積層形成される第一の曲線状ヘアラインパターン52と第二の曲線状ヘアラインパターン54のそれぞれの曲線状ヘアライン模様が、金属板48の被印刷面50上に、より立体的に、しかもモアレを生ぜしめることなく、一層高い質感をもって形成され得る。
【0090】
従って、かくの如き本実施形態に係るスクリーン印刷物46にあっては、金属板48の被印刷面50に対する機械加工が何等施されていないにも拘わらず、かかる被印刷面50において、機械加工により形成される曲線状ヘアライン模様が、モアレによる外観不良を生ずることなく、よりリアルに表現され得る。そして、その結果として、曲線状ヘアライン模様を表面に機械加工するための大型且つ高価な設備を何等要することなく、機械加工により曲線状ヘアライン模様が表面に形成された金属製品に匹敵する高級感や重厚感が、極めて効果的に得られることとなるのである。
【0091】
なお、上記せる如き第一の曲線状ヘアラインパターン52と第二の曲線状ヘアラインパターン54をそれぞれ形成するインキは、前記第一の実施形態に係るネームプレート10の金属疑似表面部分17上に、第一のスピンパターン18や第二のスピンパターン20を形成するインキと同様なものが、使用される。また、それら第一及び第二の曲線状ヘアラインパターン52,54を構成する第一及び第二曲線形凸条56,58のそれぞれの幅やピッチ、厚さ、切れ目60の長さ等も、例えば、第一及び第二のスピンパターン18,20を構成する第一及び第二円形凸条22,24の幅やピッチ、厚さ、切れ目26の長さ等と、各々同様な値とされる。
【0092】
ところで、前記第三の実施形態では、第二の曲線状ヘアラインパターン54の各第二曲線形凸条58が、第一の曲線状ヘアラインパターン52における各第一曲線形凸条56の幅と同一の幅と、長さ方向の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目60と、不均一なピッチ:P6 とを有して、構成されていたが、例えば、図18に示されるように、多数の第二曲線形凸条58が、第一の曲線状ヘアラインパターン52における各第一曲線形凸条56の幅とは異なる大きさのものを含む不均一な幅と、長さ方向の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目60と、各第一曲線形凸条56のピッチ:P5 と同じ一定のピッチ:P6 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二曲線形凸条58にて、第二の曲線状ヘアラインパターン54を構成するようにしても良い。かくの如き第二の曲線状ヘアラインパターン54が、金属板48の被印刷面50上に形成された第一の曲線状ヘアラインパターン52の上に、重畳するように形成されることによっても、前記第三の実施形態と同様な作用・効果が有効に享受され得ることとなる。
【0093】
また、例えば、図19に示されるように、多数の第二曲線形凸条58が、第一の曲線状ヘアラインパターン52における各第一曲線形凸条56の幅とは異なる大きさのものを含む不均一な幅と、各第一曲線形凸条56のピッチ:P5 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P6 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二曲線形凸条58にて、第二の曲線状ヘアラインパターン54を構成するようにしても良い。
【0094】
さらに、例えば、図20に示されるように、第二の曲線状ヘアラインパターン54の各第二曲線形凸条58が、第一の曲線状ヘアラインパターン52における各第一曲線形凸条56の幅とは異なる大きさのものを含む不均一な幅と、長さ方向の1個所又は複数個所に不均一な長さで設けられた切れ目60と、各第一曲線形凸条56のピッチ:P5 とは異なる大きさのものを含む不均一なピッチ:P6 とを有するように構成し、そして、そのような多数の第二曲線形凸条58にて、第二の曲線状ヘアラインパターン54を構成するようにしても良い。
【0095】
そして、図19及び図20に示される如き構造を有する第二の曲線状ヘアラインパターン54が、金属板48の被印刷面50上に形成された第一の曲線状ヘアラインパターン52の上に、重畳するように形成されることによっても、前記第三の実施形態と同様な作用・効果が有効に享受され得ることとなる。
【0096】
なお、前記第三の実施形態では、第二の曲線状ヘアラインパターン54における基準曲線形凸条58aの所定の曲率円の中心:O3 が、第一の曲線状ヘアラインパターン52における多数の第一曲線形凸条56のうちで、基準曲線形凸条58aに最も近接する第一曲線形凸条56aの曲率円の中心:O4 から、その径方向における図15の左側に所定寸法だけ偏寄して位置せしめられた状態で、第二の曲線状ヘアラインパターン54が、第一の曲線状ヘアラインパターン52の上に積層形成されていたが、そのような第二の曲線状ヘアラインパターン54と第一の曲線状ヘアラインパターン52の位置ズレ方向は、上記第一曲線形凸条56aの曲率円の径方向であれば、何等限定されるものではない。また、第二の曲線状ヘアラインパターン54を、第一の曲線状ヘアラインパターン52の上に、そのような位置ズレなく積層形成するようにしても、何等差し支えない。
【0097】
また、前記第三の実施形態では、第一の曲線状ヘアラインパターン52が、互いに同一の形状を呈する多数の第一曲線形凸条56からなると共に、第二の曲線状ヘアラインパターン54も、互いに同一の形状を呈する多数の第二曲線形凸条58にて構成されていたが、例えば、図21乃至図23に示されるように、第一の曲線状ヘアラインパターン62を、互いに相似の形状を呈する多数の第一曲線形凸条66にて構成すると共に、第二の曲線状ヘアラインパターン64も、互いに相似の形状を呈する多数の第二曲線形凸条68にて構成することも出来る。
【0098】
なお、本実施形態においては、第二の曲線状ヘアラインパターン64を構成する各第二曲線形凸条68の幅が、第一の曲線状ヘアラインパターン62における各第一曲線形凸条66の幅と同一の大きさとされているものの、各第二曲線形凸条68の長さ方向において無作為に選択された1個所或いは複数個所に、切れ目70が、不均一な長さで形成されており、また、各第二曲線形凸条68のピッチ(図23において、P8 にて示される寸法)も、各第一曲線形凸条66のピッチ(図22において、P7 にて示される寸法)とは異なる大きさのものを含む不均一な大きさとされているが、このような第二の曲線状ヘアラインパターン64を構成する各第二曲線形凸条68の幅やピッチ:P8 の大きさ、切れ目70の有無等については、前記第三の実施形態と同様なバリエーション(例えば、図18乃至図20に示されるバリエーション)の中から、適宜に選定される。
【0099】
また、本実施形態にあっても、前記第三の実施形態と同様に、第二の曲線状ヘアラインパターン64における基準曲線形凸条68aの所定の曲率円の中心:O5 が、第一の曲線状ヘアラインパターン62における多数の第一曲線形凸条66のうちで、基準曲線形凸条68aに最も近接して位置する第一曲線形凸条66aの曲率円の中心:O6 から、その径方向における図21の左側に所定寸法だけ偏寄して位置せしめられた状態で、第二の曲線状ヘアラインパターン64が、第一の曲線状ヘアラインパターン62の上に積層形成されていたが、そのような第二の曲線状ヘアラインパターン64と第一の曲線状ヘアラインパターン62の位置ズレ方向は、第一曲線形凸条66aの径方向であれば、何等限定されるものではない。また、第二の曲線状ヘアラインパターン64を、第一の曲線状ヘアラインパターン62の上に、そのような位置ズレなく積層形成することも、勿論、可能である。
【0100】
さらに、ここにおいて、前記第一の実施形態では、樹脂材料やガラス材料等からなる透明な被印刷シート12に設けられた金属疑似表面部分17上に、第一のスピンパターン18と第二のスピンパターン20とを積層形成してなるスクリーン印刷物たるネームプレート10に対して、本発明を適用したものの具体例が示され、また、前記第二乃至第四の実施形態では、金属板32の被印刷面34上に、第一の直線状へアラインパターン36と第二の直線状ヘアラインパターン38とを積層形成してなるスクリーン印刷物30や、金属板48の被印刷面50上に、第一の曲線状へアラインパターン52,62と第二の曲線状ヘアラインパターン54,64とを積層形成してなるスクリーン印刷物46に対して、本発明をそれぞれ適用したものの具体例が示されていたが、本発明は、表面が印刷面とされた、何等材質が特定されるものではない基材に対して、特定のスピンパターン同士やヘアラインパターン同士が積層形成されてなるスクリーン印刷物の何れに対しても、有利に適用可能であることは、言うまでもないところである。
【0101】
その他、本発明は、各種の形態において実施され得るものであって、当業者の知識に基づいて採用される本発明についての種々なる変更、修正、改良に係る各種の実施の形態が、何れも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範疇に属するものであることが、理解されるべきである。
【実施例】
【0102】
以下に、本発明の代表的な実施例の幾つかを示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0103】
<実施例1>
先ず、基材として、ポリカーボネート製で、表面と裏面とが平滑面とされた、0.5mmの厚さの透明な矩形平板からなる被印刷シートを準備した。そして、この準備された被印刷シートの表面の所定大きさの円形領域に、光の反射により銀色の金属光沢を発するスクリーンインキ[商品名:MRC750シルバー(株式会社ミノグループ製)]を、250メッシュのスクリーンを用いて、公知のスクリーン印刷手法によりべた塗りし、これを乾燥硬化させて、2μmの厚さを有する光反射層を形成した。
【0104】
次いで、被印刷シートの裏面の全面に、黒色を有する不透明なスクリーンインキ[商品名:MRC黒(株式会社ミノグループ製)]を、250メッシュのスクリーンを用いて、公知のスクリーン印刷手法によりべた塗りし、これを乾燥硬化させて、2μmの厚さを有する遮光層を形成した。
【0105】
その後、被印刷シートにおける光反射層の上の全体に、透明な紫外線硬化型のスクリーンインキ[商品名:6100SLメジウム(十条ケミカル株式会社製)]を、350メッシュのスクリーンを用いて、公知のスクリーン印刷手法により、互いに径が異なるものの同一の幅を有する、切れ目のない、図3に示される如き多数の第一円形凸条を、一定のピッチで同心円を描くように印刷形成した。その後、それら多数の第一円形凸条に対して、紫外線を紫外線照射機にて照射することにより、多数の第一円形凸条を硬化せしめて、同心円状状模様を有する第一のスピンパターンを形成した。なお、かくして形成された第一のスピンパターンの線幅、つまり各第一円形凸条の幅を0.15ポイント(0.05271mm)とし、また、その厚さを10μmとした。
【0106】
引き続き、被印刷シートの表面に形成された第一のスピンパターンの上に、かかる第一のスピンパターンを与えるインキと同じインキを、公知のスクリーン印刷手法により、図4に示される如き構成、つまり、第一のスピンパターンにおける各第一円形凸条と幅は同じではあるものの、ピッチが異なり、また、長さ方向の1個所又は複数個所に、不均一な長さの切れ目が設けられてなる、多数の第二円形凸条を印刷形成した。また、そのような多数の第二円形凸条は、図1に示される如く、それらの中心点が、第一のスピンパターンにおける多数の第一円形凸条の中心点から、各第一円形凸条の径方向に0.2mmだけ偏寄して位置せしめられるようにした。なお、これら多数の第二円形凸条のそれぞれに形成された切れ目の長さを、0.1〜30mmの範囲内の不均一な長さとし、また、各第二円形凸条のピッチを、0.3〜2.0mmの範囲内で、各第一円形凸条のピッチとは異なる不均一な大きさとした。更に、各第二円形凸条の厚さは、10μmとした。
【0107】
そして、その後、上記のようにして、第一のスピンパターンの上に積層形成された多数の第二円形凸条に対して、紫外線を紫外線照射機にて照射して、各第二円形凸条を硬化せしめた。これによって、不規則な同心円状模様を有する第二のスピンパターンを、規則的な同心円状模様を呈する第一のスピンパターンの上に、重畳するように形成した。なお、この第二のスピンパターンの形成に際しては、350メッシュのスクリーンを使用した。
【0108】
かくして、被印刷シートの表面と裏面とに光反射層と遮光層とがそれぞれ形成されて、被印刷シートの表面に、金属疑似表面が形成される一方、かかる金属疑似表面上に、第一のスピンパターンと第二のスピンパターンとが一体的に積層形成されてなる、目的とするスクリーン印刷物を得た。
【0109】
そして、この得られたスクリーン印刷物を表面から視認により観察したところ、かかる表面において、光の反射により銀色の金属光沢が発せられ、また、そのような金属光沢を発する表面に、金属製品の上面に機械加工により形成されるスピン模様と同様に、より立体的で高い質感を有するスピン模様が形成されていることが認められ、更に、かかる表面には、実際の金属表面には現れない模様のモアレが殆ど発生していないことが、確認された。このことから、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物において、モアレの発生による外観の低下を何等招くことなく、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに、しかも低コストに表現され得ることが、明確に認識され得るのである。
【0110】
<実施例2>
先ず、基材として、アルミニウム製で、表面と裏面とが平滑面とされた、0.5mmの厚さの矩形平板からなる金属板を準備した。そして、この準備された金属板の表面の略全体に、透明な紫外線硬化型のスクリーンインキ[商品名:6100SLメジウム(十条ケミカル株式会社製)]を用いて、公知のスクリーン印刷手法により、互いに同一の幅と長さとを有する、切れ目のない、図10に示される如き多数の第一直線形凸条を、一定のピッチで、互いに平行に延びるように印刷形成し、そして、それら多数の第一直線形凸条に対して、紫外線を紫外線照射機にて照射し、硬化せしめて、直線状ヘアライン模様を有する第一の直線状ヘアラインパターンを形成した。なお、かくして形成された第一のスピンパターンの線幅、つまり各第一直線形凸条の幅を0.25ポイント(0.08785mm)とし、また、その厚さを10μmとした。
【0111】
次に、金属板の表面に形成された第一の直線状ヘアラインパターンの上に、かかる第一の直線状ヘアラインパターンを与えるインキと同じインキを用いて、公知のスクリーン印刷手法により、図11に示される如き構成、つまり、第一の直線状ヘアラインパターンにおける各第一直線形凸条と幅は同じではあるものの、ピッチが異なり、また、長さ方向の1個所又は複数個所に、不均一な長さの切れ目が設けられてなる、多数の第二直線形凸条を印刷形成した。なお、これら多数の第二直線形凸条のそれぞれに形成された切れ目の長さを、0.1〜30mmの範囲内の不均一な長さとし、また、各第二直線形凸条のピッチを、0.3〜3.0mmの範囲内で、各第一直線形凸条のピッチとは異なる不均一な大きさとした。更に、各第二直線形凸条の厚さは、10μmとした。
【0112】
そして、その後、上記のようにして、第一の直線状ヘアラインパターンの上に積層形成された多数の第二直線形凸条に対して、紫外線を紫外線照射機にて照射して、各第二直線形凸条を硬化せしめた。これによって、不規則な直線状ヘアライン模様を有する第二の直線状ヘアラインパターンを、規則的な直線状ヘアライン模様を呈する第一の直線状ヘアラインパターンの上に、重畳するように形成した。なお、これら第一の直線状ヘアラインパターンと第二の直線状ヘアラインパターンの形成に際しては、350メッシュのスクリーンを使用した。
【0113】
かくして、金属板の表面に、第一の直線状ヘアラインパターンと第二の直線状ヘアラインパターンとが一体的に積層形成されてなる、目的とするスクリーン印刷物を得た。
【0114】
そして、この得られたスクリーン印刷物を表面から視認により観察したところ、かかる表面に、金属製品の上面に機械加工により形成される直線状ヘアライン模様と同様に、より立体的で高い質感を有する直線状ヘアライン模様が形成されていることが認められ、更に、かかる表面には、外観不良の原因となるモアレが殆ど発生していないことが、確認された。このことから、金属板を基板として用いた、本発明に従う構造を有するスクリーン印刷物において、モアレの発生による外観の低下を何等招くことなく、機械加工により切削された金属表面が、より高い質感をもって、更に一層リアルに、しかも低コストに表現され得ることが、明確に認識され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に従うスクリーン印刷物の一実施形態を示す平面説明図である。
【図2】図1のII−II断面における要部拡大説明図である。
【図3】図1に示されたスクリーン印刷物に形成される第一のスピンパターンの一例を説明するための図であって、被印刷シートの表面上に、かかる第一のスピンパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図4】図1に示されたスクリーン印刷物に形成される第二のスピンパターンの一例を説明するための図であって、被印刷シートの表面上に、かかる第二のスピンパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図5】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二のスピンパターンの別の例を説明するための図4に対応する図である。
【図6】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二のスピンパターンの更に別の例を説明するための図4に対応する図である。
【図7】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二のスピンパターンの他の例を説明するための図4に対応する図である。
【図8】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二のスピンパターンの更に他の例を説明するための図4に対応する図である。
【図9】本発明に従うスクリーン印刷物の別の実施形態を示す平面説明図である。
【図10】図9に示されたスクリーン印刷物に形成される第一の直線状ヘアラインパターンの一例を説明するための図であって、金属板の表面上に、かかる第一の直線状ヘアラインパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図11】図9に示されたスクリーン印刷物に形成される第二の直線状ヘアラインパターンの一例を説明するための図であって、金属板の表面上に、かかる第二の直線状ヘアラインパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図12】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二の直線状ヘアラインパターンの別の例を説明するための図11に対応する図である。
【図13】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二の直線状ヘアラインパターンの更に別の例を説明するための図11に対応する図である。
【図14】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二の直線状ヘアラインパターンの他の例を説明するための図11に対応する図である。
【図15】本発明に従うスクリーン印刷物の更に別の実施形態を示す平面説明図である。
【図16】図15に示されたスクリーン印刷物に形成される第一の曲線状ヘアラインパターンの一例を説明するための図であって、金属板の表面上に、かかる第一の曲線状ヘアラインパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図17】図15に示されたスクリーン印刷物に形成される第二の曲線状ヘアラインパターンの一例を説明するための図であって、金属板の表面上に、かかる第二の曲線状ヘアラインパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図18】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二の曲線状ヘアラインパターンの別の例を説明するための図17に対応する図である。
【図19】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二の曲線状ヘアラインパターンの更に別の例を説明するための図17に対応する図である。
【図20】本発明に従うスクリーン印刷物に形成される第二の曲線状ヘアラインパターンの他の例を説明するための図17に対応する図である。
【図21】本発明に従うスクリーン印刷物の他の実施形態を示す平面説明図である。
【図22】図21に示されたスクリーン印刷物に形成される第一の曲線状ヘアラインパターンの一例を説明するための図であって、金属板の表面上に、かかる第一の曲線状ヘアラインパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【図23】図21に示されたスクリーン印刷物に形成される第二の曲線状ヘアラインパターンの一例を説明するための図であって、金属板の表面上に、かかる第二の曲線状ヘアラインパターンのみが形成されたスクリーン印刷物の平面説明図である。
【符号の説明】
【0116】
10 ネームプレート 12 被印刷シート
14 光反射層 16 遮光層
17 金属疑似表面 18 第一のスピンパターン
20 第二のスピンパターン 22 第一円形凸条
24 第二円形凸条 26,44,60,70 切れ目
28 段差部 30,46 スクリーン印刷物
32,48 金属板 34,50 被印刷面
36 第一の直線状ヘアラインパターン 38 第二の直線状ヘアラインパターン
40 第一直線形凸条 42 第二直線形凸条
52,62 第一の曲線状ヘアラインパターン
54,64 第二の曲線状ヘアラインパターン
56,66 第一曲線形凸条 58,68 第二曲線形凸条



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が被印刷面とされた基材と、
該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ一方向に切れ目無く連続的に延びる互いに平行な多数の直線が、互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な直線状ヘアライン模様を有する第一の直線状ヘアラインパターンと、
該第一の直線状ヘアラインパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチの両方が、該第一の直線状ヘアラインパターンの前記規則的な直線状ヘアライン模様を構成する前記直線とは異なる直線を含む互いに平行な多数の直線か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチのうちの少なくとも何れか一方が、該規則的な直線状ヘアライン模様を構成する直線とは異なる直線を含む互いに平行な多数の直線が、描かれてなる不規則な直線状ヘアライン模様を有する第二の直線状ヘアラインパターンと、
を備えていることを特徴とするスクリーン印刷物。
【請求項2】
表面が被印刷面とされた基材と、
該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ一方向に切れ目無く連続的に延びる同一乃至は相似の多数の曲線が、互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な曲線状ヘアライン模様を有する第一の曲線状ヘアラインパターンと、
該第一の曲線状ヘアラインパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチの両方が、該第一の曲線状ヘアラインパターンの前記規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する前記曲線とは異なる曲線を含む多数の曲線か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチの少なくとも何れか一方が、該規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する曲線とは異なる曲線を含む多数の曲線が、描かれてなる不規則な曲線状ヘアライン模様を有する第二の曲線状ヘアラインパターンと、
を備えていることを特徴とするスクリーン印刷物。
【請求項3】
前記第二の曲線状ヘアラインパターンの前記不規則な曲線状ヘアライン模様を構成する多数の曲線のうちの何れか一つが基準曲線とされると共に、該基準曲線の曲率円の中心が、前記第一の曲線状ヘアラインパターンの前記規則的な曲線状ヘアライン模様を構成する多数の曲線のうちで、該基準曲線に最も近接して位置する近接曲線の曲率円の中心から、その径方向の一方向に偏寄して位置せしめられるように、該第二の曲線状ヘアラインパターンが、該第一の曲線状ヘアラインパターンの上に重畳するように形成されている請求項2に記載のスクリーン印刷物。
【請求項4】
表面が被印刷面とされた基材と、
該基材の前記被印刷面に、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ互いに異径の切れ目のない多数の円が、同心上で互いに同一の線幅と一定のピッチとをもって描かれた規則的な同心円状模様を有する第一のスピンパターンと、
該第一のスピンパターンの上に重畳するように、光透過性を有するインキを用いたスクリーン印刷により印刷形成されたパターンであって、且つ線幅とピッチと中心位置のうちの少なくとも何れか二つが、該第一のスピンパターンの前記規則的な同心円状模様を構成する前記円とは異なる円を含む互いに異径の多数の円か、若しくは1個又は複数個の切れ目を有し且つ線幅とピッチと中心位置のうちの何れか一つが、該規則的な同心円状模様を構成する円とは異なる円を含む互いに異径の多数の円が、描かれてなる不規則な円形模様を有する第二のスピンパターンと、
を備えていることを特徴とするスクリーン印刷物。
【請求項5】
前記第二のスピンパターンの前記不規則な円形模様を構成する互いに異径の多数の円のうちの何れか一つが基準円とされると共に、該基準円の中心が、前記第一のスピンパターンの前記規則的な同心円状模様を構成する互いに異径の多数の円の中心から、その径方向の一方向に偏寄して位置せしめられるように、該第二のスピンパターンが、該第一のスピンパターンの上に重畳するように形成されている請求項4に記載のスクリーン印刷物。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate