説明

スクリーン

【課題】異物の挟み込みによる伸縮装置の動作不良を防止したスクリーンを提供する。
【解決手段】可撓性を有する略矩形状のスクリーン基材3と、スクリーン基材3の裏面32側に設けられ、スクリーン基材3の長さを可変とするように伸縮する伸縮装置と、伸縮装置の伸縮方向における一端側を支持する第1の支持体と、第1の支持体に対向する伸縮装置の他端側を支持する第2の支持体と、第1の支持体に取り付けられ、伸縮方向に延出することで伸縮装置の一部を覆うカバー部材と、を備えるスクリーンに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プロジェクター等の画像投射装置から入射される画像光を反射して、当該画像光に応じた画像を表示するスクリーンが知られている。このようなスクリーンとして、シート状に形成された可撓性を有するスクリーン基材と、このスクリーン基材を内部に収納する筐体とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のスクリーンでは、スクリーン基材(スクリーン布)は、筐体(収容ケース)内の巻取軸により巻き取られて筐体内に収納され、筐体内から外部に主枠が伸長することにより、巻き取られたスクリーン基材が伸長される。より具体的には、スクリーン基材の引出方向先端縁は、上縁桟により支持され、この上縁桟は、主枠を構成する2本の上枠と係合している。また、主枠を構成する2本の下枠は、筐体内に枢止結合されるほか、2本の上枠とそれぞれ回動自在に連結されることで、主枠は略菱形状を有するパンタグラフリンクを構成する。このような主枠を伸長させることにより、スクリーン基材が展張され、主枠を収縮させることにより、スクリーン基材が巻取軸により巻き取られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−25336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、スクリーン基材を伸長させる伸縮装置であるパンタグラフリンクが外部に露出しているため、該伸縮装置の可動部分にゴミ等の異物が付着することで動作不良を引き起こすおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、異物の挟み込みによる伸縮装置の動作不良を防止したスクリーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のスクリーンは、可撓性を有する略矩形状のスクリーン基材と、前記スクリーン基材の裏面側に設けられ、当該スクリーン基材の長さを可変とするように伸縮する伸縮装置と、前記伸縮装置の伸縮方向における一端側を支持する第1の支持体と、前記第1の支持体に対向する前記伸縮装置の他端側を支持する第2の支持体と、前記第1の支持体に取り付けられ、前記伸縮方向に延出することで前記伸縮装置の一部を覆うカバー部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のスクリーンによれば、伸縮装置を縮めることでスクリーンを畳む際、第1の支持体に取り付けられたカバー部材が第2の支持体側に近づくこととなる。このとき、カバー部材は伸縮装置の可動部を覆った状態となるので、ゴミ等の異物が挟み込まれることによる伸縮装置の動作不良の発生を防止することができる。
【0009】
また、上記スクリーンにおいては、前記伸縮装置は、前記伸縮方向に沿って伸縮するパンタグラフリンクを有するのが好ましい。
この構成によれば、伸縮装置がパンタグラフリンクを有するので、スクリーン基体を良好に伸縮可能な構成を実現できる。
【0010】
また、上記スクリーンにおいては、前記スクリーン基材の前記伸縮方向における一端側は、前記第1の支持体に支持されるのが好ましい。
この構成によれば、伸縮装置により第1の支持体を第2の支持体に対して移動させることでスクリーン基材を簡便且つ確実に伸縮させることができる。
【0011】
また、上記スクリーンにおいては、前記スクリーン基材及び前記伸縮装置を収容する収容ケースを備え、前記第2の支持体は、前記収容ケース内に設けられるのが好ましい。
この構成によれば、スクリーン基材及び伸縮装置を収容ケース内に収容できるので、該スクリーン基材及び伸縮装置にゴミ等の異物が付着するのを防止することができる。
【0012】
また、上記スクリーンにおいては、前記収容ケースは、前記スクリーン基材及び前記伸縮装置を収容する開口を備え、該開口は前記伸縮装置側の開口端が当該伸縮装置に近づく方向に絞られた絞り構造を有するのが好ましい。
この構成によれば、開口が絞り構造を有するので、開口と伸縮装置との隙間を小さくすることができる。よって、開口の隙間から伸縮装置にゴミ等の異物が入り込むのを防止することができる。
【0013】
また、上記スクリーンにおいては、前記収容ケースは、前記開口を覆う蓋部を有するのが好ましい。
この構成によれば、開口を蓋部で覆うことでケース内に収容したスクリーン基材及び伸縮装置に異物が付着するのを防止できる。
【0014】
また、上記スクリーンにおいては、前記第2の支持体は、前記スクリーン基材を巻き取る巻取機構を含むのが好ましい。
この構成によれば、スクリーン基材を巻き取ることができるので、スクリーン基材の収容スペースを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係るスクリーンを裏面側から視た斜視図。
【図2】第1実施形態に係るスクリーンの断面構成を示す図。
【図3】(a)はスクリーン基材が最大限まで拡がった状態を示す図、(b)はスクリーンが同図(a)の状態に比べて縮んだ状態を示す図、(c)はスクリーンが同図(b)の状態に比べて縮んだ状態を示す図。
【図4】第2実施形態に係るスクリーンを裏面側から視た構成を示す図。
【図5】(a)スクリーン基材が拡げられた状態を示す図、(b)はスクリーン基材が同図(a)よりも縮んだ状態を示す図、(c)はスクリーン基材が収容された状態を示す図。
【図6】変形例に係る保護カバーの構成を示し、(a)は変形例に係る保護カバーが拡がった状態を示す図、(b)は変形例に係る保護カバーが同図(a)よりも縮んだ状態を示す図、(c)は変形例に係る保護カバーが最大限まで縮んだ状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造における縮尺や数等が異なっている。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るスクリーンを裏面側から視た斜視図であり、図2はスクリーンの断面構成を示す図である。スクリーンは持ち運び可能な折り畳み式スクリーンとして構成されるものである。
【0018】
スクリーン1は、図1、2に示すように上側筐体部(第1の支持体)2と、スクリーン基材3と、下側筐体部(第2の支持体)4と、伸縮装置5と、巻取機構6と、保護カバー(カバー部材)7と、を備えている。
【0019】
上側筐体部2は、上記伸縮装置5の伸縮方向における一端側(上側)を支持するためのものである。また、下側筐体部4は、上記伸縮装置5の伸縮方向における他端側(下側)を支持するためのものである。このような構成に基づき、伸縮装置5が伸縮することで上側筐体部2及び下側筐体部4間の距離を変化させることが可能となっている。
【0020】
スクリーン基材3は可撓性を有し、伸縮装置5の伸縮方向を長手方向とする正面視略矩形のシート状に形成されるものであって、プロジェクター等から入射された画像光を反射して、当該画像光に応じた画像を表示する表示領域を形成するものである。このスクリーン基材3の正面31(伸縮装置5に対向する側とは反対側の面)には、入射した画像光を反射する反射面が形成されている。スクリーン基材3の背面32には、伸縮装置5が配置されている。スクリーン基材3の一端側(上側)は、上側筐体部2に支持されている。また、スクリーン基材3の他端側(下側)は、巻取機構6(後述の巻取ローラー6a)に支持されている。
【0021】
伸縮装置5は、下側筐体部4に対する上側筐体部2の位置を調整する調整機構としてのパンタグラフリンク10を備える。パンタグラフリンク10は、下方及び上方に位置する下リンク101及び上リンク102が互いに回動自在に組み合わされることで構成される。具体的に、パンタグラフリンク10は、それぞれ略同じ寸法を有する4本の棒状部材711,712,721,722を有する。
【0022】
パンタグラフリンク10は、下方及び上方に位置する下リンク101及び上リンク102が互いに回動自在に組み合わされることで構成されている。具体的に、パンタグラフリンク10は、それぞれ略同じ寸法を有する4本の棒状部材711,712,721,722を有する。すなわち、パンタグラフリンク10は、背面側から見た際に下方の左側及び右側に位置する一対の棒状部材711,712が略X字状に回動自在に組み合わされて構成される下リンク101と、上方の左側及び右側に位置する一対の棒状部材721,722が略逆X字状に回動自在に組み合わされて構成される上リンク102とが互いに回動自在に組み合わされて構成される。すなわち、棒状部材711,712は互いに回動自在に連結され、棒状部材722,722は互いに回動自在に連結される。また、棒状部材711,722は互いに回動自在に連結され、棒状部材712,721は互いに回動自在に連結されている。
【0023】
そして、このパンタグラフリンク10は、棒状部材711,712の連結部分710と、棒状部材721,722の連結部分720とを結ぶ対角線が、スクリーン基材3の伸長方向である上下方向に沿うように配置されている。
【0024】
図3はパンタグラフリンク10の動作を説明するための図である。
このようなパンタグラフリンク10は、図3(a)〜(c)に示すように、棒状部材711,712の挟角、及び、棒状部材721,722の挟角が小さくなり、また、棒状部材711,721の挟角、及び、棒状部材712,722の挟角が大きくなるように移動することで、上下方向に沿って伸長する。また、パンタグラフリンク10は、棒状部材711,712の挟角、及び、棒状部材721,722の挟角が大きくなり、また、棒状部材711,721の挟角、及び、棒状部材712,722の挟角が小さくなるように移動することで、上下方向に沿って収縮する。
【0025】
なお、図示を省略したが、各棒状部材711,712には、上側筐体部2或いは下側筐体部4のいずれかに一端が軸支されたガススプリング等の姿勢維持部材の他端が係合しており、当該姿勢維持部材により、パンタグラフリンク10の姿勢(高さ位置)が維持されるようになっている。
【0026】
棒状部材721は、上側筐体部2に対してガイドレール63を介して取り付けられている。ガイドレール63は、上側筐体部2の長手方向(スクリーン基材3の幅方向)に延出するように形成されている。具体的にガイドレール63には、棒状部材721に設けられた接続部材721aが係合している。一方、棒状部材722は、上側筐体部2に対して接続部材722aを介して固定されている。そして、パンタグラフリンク10の昇降に応じて、ガイドレール63に沿って接続部材721aが、当該上側筐体部2の中央に対して離間及び近接する方向に摺動することにより、棒状部材721,722がガイドレール62に対して回動される。
【0027】
また、棒状部材712は、下側筐体部4に対して一対のガイドレール62を介して取り付けられている。ガイドレール62は、下側筐体部4の長手方向(スクリーン基材3の幅方向)に延出するように形成されている。具体的にガイドレール62には、棒状部材712に設けられた接続部材712aが係合している。一方、棒状部材711は、下側筐体部4に対して接続部材711aを介して固定されている。そして、パンタグラフリンク10の昇降に応じて、ガイドレール62に沿って接続部材712aが、当該上側筐体部2の中央に対して離間及び近接する方向に摺動することにより、棒状部材711,712がガイドレール62に対して回動される。
【0028】
図2に示したように巻取機構6は、スクリーン基材3を巻き取ることでスクリーン1を折り畳み可能にするものである。具体的に巻取機構6は、スクリーン基材3を巻取可能な巻取ローラー6aと、該巻取ローラー6aを巻取方向或いは巻き解き方向に回転可能な駆動モーター6bとを備えている。スクリーン1は、このような巻取機構6を備えることでスクリーン基材3の収容スペースが小型化され、該スクリーン1自体の小型化を実現している。
【0029】
保護カバー7は、スクリーン基材3との間で伸縮装置5のパンタグラフリンク10の一部を覆うように上側筐体部2に取り付けられるものである。保護カバー7は、伸縮装置5の伸縮方向(上下方向)に延出した状態に形成されている。保護カバー7としては、スクリーン基材3とは異なり可撓性を有しない材料から構成されており、伸縮装置5の伸縮動作時においても折れ曲がらないようになっている。
【0030】
以上の構成に基づき、本実施形態に係るスクリーン1は、伸縮装置5によって上側筐体部2が下側筐体部4から離間すると巻取ローラー6aからスクリーン基材3が巻き解かれることで該スクリーン基材3が伸長されるようになっている。一方、スクリーン1は、伸縮装置5によって上側筐体部2が下側筐体部4に接近するとともに巻取ローラー6aに巻き取られることで該スクリーン基材3が弛むことなく収容可能となっている。
【0031】
続いて、スクリーン1の動作として、スクリーン基材3を折り畳む動作を説明することでスクリーン1の作用効果について説明する。スクリーン基材3を折り畳む際、上側筐体部2を下側筐体部4に近づけつつ、巻取機構6によってスクリーン基材3の他端側を巻き取る。上側筐体部2が下側筐体部4に近づくに従って、棒状部材711,721及び棒状部材712,722の挟角が小さくなる。
【0032】
このとき、上側筐体部2に取り付けられた保護カバー7は、該上側筐体部2の移動に伴って下側筐体部4側に移動して伸縮装置5を順次覆っていく。具体的に、保護カバー7は、スクリーン基材3が所定の長さまで折り畳まれると、図3(b)に示したように棒状部材721,722の連結部分720を覆うこととなる。
【0033】
同様にスクリーン基材3を折り畳んでいくと、保護カバー7は上リンク102及び下リンク101の連結部730、及び棒状部材711,712の連結部分710を順次覆った状態となる。
【0034】
ところで、伸縮装置5の縮小動作に伴い、上記連結部分710,720,730における挟角が小さくなるとゴミ等の異物を挟み込むことで動作不良や故障が生じるおそれがある。これに対して本実施形態によれば、スクリーン基材3の折り畳み動作時に連結部分710,720,730が保護カバー7によって覆われた状態となるので、連結部分710,720,730における異物の挟み込みを防止することができる。
【0035】
保護カバー7は、伸縮装置5が最少位置まで縮んだ状態において下側筐体部4と当接する長さに設定されている。すなわち、保護カバー7は、伸縮装置5が縮んだ状態において上側筐体部2及び下側筐体部4の隙間を塞ぐ大きさに設定されており、これによりスクリーン基材3の折り畳み時に伸縮装置5にゴミ等の異物が付着するのを防止することができる。
【0036】
一方、スクリーン基材3を折り畳んだ状態から広げる場合、すなわちパンタグラフリンク10を伸長させる際には、上側筐体部2を上方に移動させる。このとき、パンタグラフリンク10の伸長に応じて、ガイドレール62、63に沿って接続部材712a,721aが、上側筐体部2及び下側筐体部4の中央に対して近接する方向に摺動することにより、棒状部材711,712,721,722がガイドレール62、63に対して回動される。このようにパンタグラフリンク10を最大限に伸長させることで、正面視した際にスクリーン基材3が略矩形状をなすように展張することができる。
【0037】
以上述べたように本実施形態に係るスクリーン1によれば、スクリーン基材3の伸縮動作時に伸縮装置5の可動部(連結部分710,720,730)を保護カバー7によって覆う構成を実現できるので、異物の挟み込みによる伸縮装置5の動作不良の発生を防止することができる。
【0038】
また、伸縮装置5がパンタグラフリンク10を有するので、スクリーン基材3を良好に伸縮可能な構成を実現することができる。
【0039】
また、スクリーン基材3の一端側(上方端)が上側筐体部2に支持された構成となっているので、伸縮装置5により上側筐体部2を下側筐体部4に対して移動させることでスクリーン基材3を簡便且つ確実に収縮させることができる。
【0040】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係るスクリーンの構成について説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは、スクリーン基材及び伸縮装置を収容するケースを備える点であり、それ以外の構成は第1実施形態と同様である。以下の説明では、上記実施形態と同一の部材及び構成については同じ符号を付し、その説明については省略若しくは簡略化するものとする。
【0041】
図4は本実施形態に係るスクリーンを裏面側から視た構成を示す図であり、図5はスクリーンの動作を示す断面図である。図4に示すように、本実施形態に係るスクリーン100は、上側筐体部2と、スクリーン基材3と、下側筐体部4と、伸縮装置5(図1参照)と、巻取機構6と、保護カバー7と、収容ケース8と、を備えている。
【0042】
収容ケース8は、下側筐体部4及び巻取機構6を収容するケース本体9と、該ケース本体9に設けられた開口9aを閉塞するための蓋部9bと、を備えている。ケース本体9は、スクリーン基材3の折り畳み時にスクリーン1の外形を構成するものであり、板金部材等のように所定強度を有した部材から構成されるものである。開口9aは、折り畳まれたスクリーン基材3及びパンタグラフリンク10をケース本体9内に収容するためのものである。
【0043】
なお、蓋部9bは図5(a)に示すようにスクリーン基材3が展張された際、ケース本体9とともに伸縮装置5を覆うことで本発明のカバー部材としての機能を発揮している。また、蓋部9bは開いた状態で垂直方向に立ち上がるようにして配置されるため、ケース本体9に形成された開口端と略面一となるように構成されている。なお、本実施形態においては、スクリーン基材3は、展張された状態においてケース本体9から露出する部分が画像表示可能領域となる。
【0044】
保護カバー7は、伸縮装置5が縮んだ際に、図5(c)に示すように、上記開口9aを介して内部に収容されるようになっている。これにより、保護カバー7の先端が開口9aの開口端に重なる位置まで伸縮装置5が縮むことで該伸縮装置5の裏面側は収容ケース8及び保護カバー7によって覆われた状態となる。
【0045】
また、図5に示すように開口9aは伸縮装置5側の開口端を当該伸縮装置5に近づけた絞り構造を有している。具体的に本実施形態では、蓋部9bが開口9aの開口端と面一となっており、伸縮装置5側に取り付けられた蓋部9bと伸縮装置5との隙間が狭められている。
【0046】
この構成に基づき、伸縮装置5及び開口9aの開口端間に生じる隙間を小さくしている。よって、伸縮装置5と開口9a(蓋部9b)との隙間から伸縮装置5の可動部(連結部分710,720,730)にゴミ等の異物が入り込むリスクを低減することができる。
【0047】
続いて、スクリーン100の動作として、図5(a)〜(c)を参照しつつ、スクリーン基材3を折り畳む動作を説明することでスクリーン1の作用効果について説明する。スクリーン基材3を折り畳む際、図5(b)に示すように上側筐体部2を下側筐体部4に近づけつつ、巻取機構6によってスクリーン基材3の他端側を巻き取る。これにより、上側筐体部2に取り付けられた保護カバー7は棒状部材711,712の連結部分710を覆うことができる。
【0048】
本実施形態では、図5(a)に示したように蓋部9bが開いた状態において垂直方向に沿って配置されたものとなっているので、蓋部9bが伸縮装置5を覆った状態となる。よって、伸縮装置5の伸縮動作の際に蓋部9bが伸縮装置5の下端側における可動部(連結部分710)を覆うことで連結部分710への異物の挟み込みを防止することができる。
【0049】
図5(c)に示すように伸縮装置5を最少位置まで縮めることで該伸縮装置5及びスクリーン基材3が開口9aを介してケース本体9内に収容される。そして、蓋部9bを閉めて開口9aを閉塞することで伸縮装置5及びスクリーン基材3への異物の付着を防止するとともにスクリーン100を持ち運び性に優れた形態へと変化させることができる。
【0050】
一方、スクリーン基材3を折り畳んだ状態から広げる場合、すなわちパンタグラフリンク10を伸長させる際には、まず蓋部9bを開いて上側筐体部2を開口9a内から上方へと引き出す。このとき、パンタグラフリンク10の伸長に応じて、ガイドレール62、63に沿って接続部材712a,721aが、上側筐体部2及び下側筐体部4の中央に対して近接する方向に摺動することにより、スクリーン基材3を順次展張することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、スクリーン基材3が折り畳まれる際、スクリーン基材3の上面側からは保護カバー7が伸縮装置5を覆い、且つスクリーン基材3の下面側からは蓋部9bが伸縮装置5を覆う構成を実現できる。よって、第1実施形態に比べて伸縮装置5を覆う面積が広がるため、伸縮装置5の可動部における異物の挟み込みが発生するリスクを低減することができる。
【0052】
また、本実施形態では、スクリーン基材3及び伸縮装置5を収容ケース8内に収容できるので、スクリーン基材3及び伸縮装置5にゴミ等の異物が付着するのを防止することができる。
また、収容ケース8は蓋部9bによって内部空間が閉塞されるので、上述したスクリーン基材3及び伸縮装置5への異物の付着をより確実に防止できる。
【0053】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、改良が可能である。例えば、上記実施形態では、保護カバー7として1つの部材から構成されたものを例に挙げたが保護カバー7が複数の部材から構成されていても良い。
【0054】
図6は変形例に係る保護カバーの構成を示す図である。
具体的には、図6に示すように3つの板部材7a〜7cを組み合わせることで保護カバー7を折り畳み可能な構成としても良い。この構成においては、保護カバー7は、スクリーン基材3が広がった状態では図6(a)に示すように全ての板部材7a〜7cが開いた状態とされている。また、保護カバー7は、スクリーン基材3が折り畳まれることで最も下側の板部材7cが下側筐体部4に当接した後に伸縮装置5が縮小動作に伴って、板部材7c側から順次折り畳むように動作し、図6(b)に示すように板部材7cが板部材7bに重なった状態となる。そして、伸縮装置5が最大限まで縮んだ状態において、図6(c)に示すように3つの板部材7a〜7cが平面的に重なるようになっている。
【0055】
このように保護カバー7が複数の板部材7a〜7cで構成されるため、保護カバー7を大型化することができる。よって、伸縮装置5の裏面側をより広い範囲で覆うことができ、異物が侵入するリスクをより低減させることができる。
【0056】
また、上記実施形態では、パンタグラフリンク10の構成として4本の棒状部材711,712,721,722を有する場合を例に挙げたが、6本、8本、10本等といったようにより多くの棒状部材を組み合わせた場合についても本発明は適用可能である。
【0057】
また、上記実施形態では、スクリーン1は持ち運び可能なスクリーンとして構成されるとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、天井等に設置され、当該天井から下方にスクリーン基材を引き出して利用するスクリーンに、本発明を適用することも可能である。
また、上記実施形態では、伸縮装置5の上側を支持する上側筐体部2側に保護カバー7を取り付ける場合を例としたが、下側筐体部4側に保護カバー7を取り付けた構成であっても構わない。
また、スクリーン基材の引出方向は、上方及び下方に限らず、側方でもよい。すなわち、当該引出方向は問わない。
【符号の説明】
【0058】
1…スクリーン、2…上側筐体部、3…スクリーン基材、4…下側筐体部、5…伸縮装置、6…巻取機構、7…保護カバー、8…収容ケース、9a…開口、9b…蓋部、10…パンタグラフリンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する略矩形状のスクリーン基材と、
前記スクリーン基材の裏面側に設けられ、当該スクリーン基材の長さを可変とするように伸縮する伸縮装置と、
前記伸縮装置の伸縮方向における一端側を支持する第1の支持体と、
前記第1の支持体に対向する前記伸縮装置の他端側を支持する第2の支持体と、
前記第1の支持体に取り付けられ、前記伸縮方向に延出することで前記伸縮装置の一部を覆うカバー部材と、を備えることを特徴とするスクリーン。
【請求項2】
前記伸縮装置は、前記伸縮方向に沿って伸縮するパンタグラフリンクを有することを特徴とする請求項1に記載のスクリーン。
【請求項3】
前記スクリーン基材の前記伸縮方向における一端側は、前記第1の支持体に支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記スクリーン基材及び前記伸縮装置を収容する収容ケースを備え、前記第2の支持体は、前記収容ケース内に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーン。
【請求項5】
前記収容ケースは、前記スクリーン基材及び前記伸縮装置を収容する開口を備え、該開口は前記伸縮装置側の開口端が当該伸縮装置に近づく方向に絞られた絞り構造を有することを特徴とする請求項4に記載のスクリーン。
【請求項6】
前記収容ケースは、前記開口を覆う蓋部を有することを特徴とする請求項5に記載のスクリーン。
【請求項7】
前記第2の支持体は、前記スクリーン基材を巻き取る巻取機構を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のスクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−83746(P2013−83746A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222588(P2011−222588)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】