説明

スケジュール管理装置

【課題】 複数の管理項目について、いかなる時間帯であってもスケジュールの確認が容易で、誤認しにくいスケジュール管理装置を得る。
【解決手段】 スケジュール管理装置10は、基部12に立てられた軸14を含み、軸14に回転可能に円筒状のタイムチャート保持部16が取り付けられる。タイムチャート保持部16の周回側面に、時間軸20が表示されたタイムチャート部18が取り付けられる。タイムチャート部18の表面に沿って移動可能に、項目表示部22が取り付けられる。項目表示部22には、時間軸20と交差する向きに、複数の管理項目が表示される。管理項目に対応してタイムチャート部18に形成された管理領域24に、色分けなどによって、作業の発生タイミングや所要時間などが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スケジュール管理装置に関し、特にたとえば、工場などにおける複数の設備や作業について、そのスケジュールをタイムチャートとして掲示するためのスケジュール管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などにおいては、複数の設備や作業についてのスケジュールがタイムチャートとして作成され、このタイムチャートがスケジュール管理表として掲示されている。このようなスケジュール管理表1としては、たとえば図4に示すように、平板2上に縦軸と横軸が設けられ、縦軸に設備名が表示されるとともに、横軸に24時間が分単位で表示されたものが用いられる。そして、各設備において、作業を行うタイミングを示す情報表示札3が、時間を示す横軸に沿って貼付される。情報表示札3には、所要の作業時間が色分けされて表示されており、この情報表示札3を平板2の横軸に沿って貼付することにより、各設備における作業スケジュールを表示することができる。このようなスケジュール管理表1を用いることにより、各設備における作業の発生タイミングおよび所要時間が表示される。したがって、スケジュール管理表を見ることにより、各設備における作業を事前に確認することができ、設備稼働ロスや品質ロスが生じないように、作業者のフットワークや処理開始タイミングなどを決定することができる。
【0003】
ところが、24時間稼動の工場においては、工程に区切りというものがなく、図4に示すように、日付を跨ぐような作業がある場合、平板2から情報表示札3がはみ出し、日付を跨ぐ情報表示札3を0時から始まる箇所に貼り替えなければならない。また、このようなスケジュール管理表1では、日付を跨ぐ作業について、1日の終わり(24時)と始まり(0時)が視覚的につながらず、誤認作業の原因となる恐れもある。
【0004】
なお、コンピュータを用いたスケジュール管理においては、時間軸を24時間で区切る必要はなく、日付を跨ぐ作業も連続してタイムチャート上に表示することができる(特許文献1、特許文献2参照)。また、図5に示すように、回転可能に保持された円筒状または角筒状のドラム4の表面に、週間表示したメモ書き用ボード5があり、このメモ書き用ボード5にスケジュールを記入すれば、日付を跨ぐ作業を連続して表示することができる(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−24490号公報
【特許文献2】特開2002−41736号公報
【特許文献3】特開平6−210992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に示されるスケジュール管理においては、日付を跨ぐ作業をディスプレイ上に表示することはできるが、工場などで全作業者が確認できるようにするには、コンピュータで作成したタイムチャートを印刷して掲示板などに掲示する必要がある。その場合、どこかの時間においてタイムチャートが切れてしまうことは避けられず、タイムチャートの区切りを跨ぐ作業について、誤認作業の原因となる恐れがある。
【0007】
また、特許文献3のように、回転可能なドラムの表面にスケジュールを記入すれば、連続的な作業を途切れることなく表示することが可能である。しかしながら、工場においては、複数の設備が並行して稼動しているため、各設備について、このようなメモ書き用ボードを使用すると、多数のメモ書き用ボードを設置する必要がある。また、個々のメモ書き用ボードに各設備のスケジュールを記入すると、それぞれの設備間の作業タイミングの関係が把握できない。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、複数の管理項目について、いかなる時間帯であってもスケジュールの確認が容易で、誤認しにくいスケジュール管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、時間軸が表示され、時間軸の始端と終端とがつながるように無端状に形成されるタイムチャート部と、タイムチャート部を時間軸の方向に順送り可能に保持するタイムチャート保持部と、タイムチャート部とは独立して設けられ、時間軸と交差する向きに管理項目が表示された項目表示部とを含み、項目表示部に表示された全ての管理項目および時間軸の一部が視認可能である、スケジュール管理装置である。
このようなスケジュール管理表において、タイムチャート保持部を円筒状に形成することができ、この場合、タイムチャート保持部の外周面にタイムチャート部が保持される。
また、タイムチャート保持部は一対のプーリで形成されてもよく、この場合、一対のプーリを周回するようにしてタイムチャート部が保持される。
さらに、項目表示部は、タイムチャート部の表面に沿ってスライド可能に設けられることが好ましい。
また、項目表示部に表示された管理項目ごとにタイムチャート部表面の時間軸に沿って貼付される情報表示札が含まれてもよい。
【0010】
タイムチャート部を時間軸の始端と終端とがつながるように無端状に形成することにより、タイムチャート上にスケジュールを表示するときに、時間の区切りがなくなり、日付を跨ぐ作業についても連続して表示することができる。また、時間軸と交差する向きに管理項目を表示することにより、複数の管理項目についてのスケジュールを1つのタイムチャート上に表示することができる。そして、全ての管理項目および時間軸の一部が視認可能となるようにすることにより、それぞれの管理項目間の作業タイミングの関係を把握することができる。
このようなスケジュール管理表において、タイムチャート保持部を円筒状に形成し、その表面にタイムチャート部を保持することにより、タイムチャート保持部を回転させて、全ての時間帯の作業スケジュールを確認することができる。
また、タイムチャート保持部を一対のプーリで形成し、これらのプーリを周回するようにタイムチャート部を保持した場合においても、プーリを回転させることにより、タイムチャート部が周回するように移動し、全ての時間帯の作業スケジュールを確認することができる。
さらに、項目表示部をタイムチャートの表面に沿ってスライド可能とすることにより、所望の時間帯に項目表示部を移動させることができ、各管理項目について、所望の時間帯における作業スケジュールを確認することができる。
また、タイムチャート部表面の時間軸に沿って貼付される情報表示札を形成することにより、作業の発生タイミングや作業時間を表示した情報表示札をタイムチャート部に貼付するだけで、スケジュールを作成することができる。したがって、作業時間のシフトなどがあっても、記入した作業スケジュールを消したりする必要がなく、容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、タイムチャート部の時間軸を無端状とすることにより、管理項目のスケジュールを途切れることなく表示することができる。そのため、視覚的にも連続した作業スケジュールとすることができ、誤認作業の発生を抑えることができる。また、タイムチャート部の時間軸と交差する向きに管理項目を表示することにより、複数の管理項目について、視覚的にスケジュールの確認を行うことができる。
【0012】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、この発明のスケジュール管理装置の一例を示す斜視図である。スケジュール管理装置10は、たとえば矩形板状の基部12を含む。基部12の中央部には、基部12の主面に直交するように、円柱状の軸14が形成される。軸14には、基部12から間隔を隔てて、円筒状のタイムチャート保持部16が回転可能に保持される。
【0014】
タイムチャート保持部16の周回側面には、タイムチャート部18が形成される。タイムチャート部18においては、タイムチャート保持部16の周回方向に沿って時間軸20が表示される。時間軸20は、タイムチャート保持部16の軸方向に平行な複数の線で構成される。そして、これらの線の間隔が時間を示し、たとえば1日の始まり(0時)から終わり(24時)まで、分単位で表示される。さらに、0時と24時がタイムチャート部18上でつながれ、無端状の時間軸20が形成される。
【0015】
さらに、タイムチャート部18の表面に沿って、項目表示部22が形成される。項目表示部22の両端側は同じ向きに折り曲げられる。そして、タイムチャート保持部16の両側において、項目表示部22の両端部が軸14に回転可能に取り付けられる。タイムチャート部18の表面において、時間軸20にほぼ直交するように配置された項目表示部22には、複数の管理項目が表示される。管理項目としては、たとえば工場における各設備名や作業名などが表示される。これらの管理項目の境界に対応する部分において、時間軸20に交差するようにして、タイムチャート保持部16の周回方向に平行な複数の線が引かれ、これらの線の間に各管理項目に対応した管理領域24が表示される。
【0016】
管理領域24には、各管理項目における作業スケジュールが表示される。作業スケジュールは、各管理項目における作業の発生タイミングと、作業の所要時間とが色分けされて表示される。したがって、項目表示部22側から見ることにより、全ての管理項目と項目表示部22側における時間軸20の一部を視認することができる。
【0017】
このスケジュール管理装置10では、時間軸20の始端と終端とがつながれた無端状となっているため、日付を跨ぐ作業においても、所要時間の表示が途切れたりせず、連続した表示を行うことができる。そのため、日付を跨ぐ作業を行う作業者にとっても、このスケジュール表示装置10を見ることによって、視覚的に作業スケジュールを確認することができ、誤認作業の発生を防ぐことができる。
【0018】
また、タイムチャート保持部16および項目表示部22は、軸14を中心として回転可能であるため、これらを回転させることにより、全ての時間帯において、各管理項目の作業スケジュールを確認することができる。さらに、複数の管理項目について、1つのタイムチャート部18上で管理できるため、それぞれの設備間の作業タイミングの関係を視覚的に確認することができる。
【0019】
このようなスケジュール管理装置10において、設備などの作業タイミングおよび所要時間について、図2に示すように、タイムチャート部18の管理領域24に情報表示札26を貼付するようにしてもよい。この情報表示札26は、作業や設備の段取りなどの発生タイミングや所要時間などを色分けして表示されたものであり、一連の総時間が情報表示札26の長さで表される。情報表示札26は、たとえばゴム磁石などで形成されることにより、磁性体で形成されたタイムチャート部18に脱着可能とすることができる。このような情報表示札26を用いた場合、作業時間のシフトなどがあっても、記入した作業スケジュールを消したりする必要がなく、容易に対応することができる。また、日付を跨ぐような作業について、情報表示札26を貼り替えることなく表示することができ、視覚的に作業スケジュールの確認を行うことができる。
【0020】
また、図3に示すように、タイムチャート保持部16を2つのプーリ30,32で構成してもよい。この場合、タイムチャート部18は、無端ベルト状に形成され、2つのプーリ30,32を周回するように掛けわたされる。このタイムチャート部18上には、2つのプーリ30,32を周回する周回方向に沿って、時間軸20が形成される。そして、一方のプーリ30の軸30aに回転可能に項目表示部22が取り付けられ、時間軸20にほぼ直交する向きに複数の管理項目が表示される。さらに、各管理項目に沿って、時間軸20に管理領域24が形成される。この管理領域24に、作業タイミングや所要時間を示す色分け記入が行われたり、情報表示札26が貼付されることにより、スケジュール管理が行われる。
【0021】
このようなスケジュール管理装置10では、項目表示部22側において、プーリ30,32を周回するタイムチャート部18の約半周分の時間軸20および全ての管理項目を視認することができる。また、プーリ30,32を回転させることによって、タイムチャート部18が周回するように移動し、所望の時間帯における作業スケジュールを確認することができる。このスケジュール管理装置10においても、時間軸20が無端状に形成されているため、日付を跨ぐような作業があっても、表示が途切れたりすることはなく、情報表示札26を貼り替えたりする必要がない。さらに、複数の管理項目について、1つのタイムチャート部18上でスケジュール管理ができるため、各管理項目間における作業タイミングの関係を視覚的に確認することができる。
【0022】
なお、タイムチャート部18に表示される時間軸20としては、始端から終端まで24時間のものに限らず、たとえば2日単位、週単位、月単位などで時間軸20を形成してもよく、時間軸20の長さは任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明のスケジュール管理装置の一例を示す斜視図である。
【図2】この発明のスケジュール管理装置の他の例を示す斜視図である。
【図3】この発明のスケジュール管理装置のさらに他の例を示す斜視図である。
【図4】従来のスケジュール管理表の一例を示す平面図である。
【図5】スケジュール管理表として用いることができる円筒状のメモ書き用ボードを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
10 スケジュール管理装置
12 基部
14 軸
16 タイムチャート保持部
18 タイムチャート部
20 時間軸
22 項目表示部
24 管理領域
26 情報表示札
30 プーリ
32 プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間軸が表示され、前記時間軸の始端と終端とがつながるように無端状に形成されるタイムチャート部、
前記タイムチャート部を前記時間軸の方向に順送り可能に保持するタイムチャート保持部、および
前記タイムチャート部とは独立して設けられ、前記時間軸と交差する向きに管理項目が表示された項目表示部を含み、
前記項目表示部に表示された全ての前記管理項目および前記時間軸の一部が視認可能である、スケジュール管理装置。
【請求項2】
前記タイムチャート保持部は円筒状に形成され、前記タイムチャート保持部の外周面に前記タイムチャート部が保持される、請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項3】
前記タイムチャート保持部は一対のプーリで形成され、一対の前記プーリを周回するようにして前記タイムチャート部が保持される、請求項1に記載のスケジュール管理装置。
【請求項4】
前記項目表示部は、前記タイムチャート部の表面に沿ってスライド可能に設けられる、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスケジュール管理装置。
【請求項5】
前記項目表示部に表示された管理項目ごとに前記タイムチャート部表面の前記時間軸に沿って貼付される情報表示札を含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のスケジュール管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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