説明

スタンピングシリンダ

紙のシートのような平らな被印刷物にフォイルを接着するためのスタンピングシリンダ(1)において:スタンピングシリンダが、スタンピング媒体(2,18)をスタンピングシリンダに保持するための把持手段を備えた少なくとも一つのピット(11)を備えており、スタンピング媒体(2,18)はスタンピング媒体に沿って分散配置された少なくとも一つのスタンプ(9)の列を備えていて、スタンピング媒体は、スタンピングプレート(2)により又はスタンピングストリップ(18)により形成されており、そして、スタンピングシリンダ(1)は、スタンピングシリンダ(1)の周囲に沿ってカウンタシリンダを連続的に支持するために、ピット(11)をまたぐブリッジを形成している少なくとも一つの支持ピース(12,13)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された紙のシートのような平らな被印刷物用のスタンピングシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
スタンピングシリンダを用いてセキュリティエレメントを付加することは有価証券用、例えば紙幣の印刷機において公知なものである。例えば特許文献1は加熱フォイルスタンピングを使用している印刷方法と装置とを開示していて、参考としてここに包含するものである。
【0003】
有価証券の印刷の分野において、偽造をより困難なものにするために、被印刷物、例えば紙幣に所定の形状又は模様の金属フォイルの薄い層を付加することは公知なものである。公知の用途において、フォイルは被印刷物支持体と高温溶融接着剤の層との間で連続層となっていて、付加される形状又は模様はスタンプ又はプレスにより決定される。従来装置において、被印刷物支持体及び被印刷物は共に、スタンプ配列を有しているプラテンタイプのプレス下方に位置決めされていて、そのスタンプ配列は同時に付加され、被印刷物に付加される高温フォイル印影の配列をもたらすようになっている。高温溶融接着剤を活性化させるための加熱は、一般にプレスにより行なわれている。被印刷物にフォイルを付加するための印刷機は、支持体搬送手段と、被印刷物搬送手段と、印刷手段と、予熱手段とを備えており;支持体搬送手段は、フォイル用の支持体を接着剤と共に搬送するものであって、接着剤は印刷位置において加熱することにより活性化されるようになっていて;被印刷物搬送手段は、被印刷物を前記印刷位置に搬送するようになっており;印刷手段において、支持体及び被印刷物が共に前記印刷位置を通過し、印刷位置において圧力が作用されてフォイルにおける所定の形状と模様とが支持体から被印刷物に転写されるようになっており;予熱手段は、支持体が印刷位置に到達する前に及び/又は被印刷物に接触する前に熱を支持体に伝達するためのものである。好ましくは、予熱手段は熱を印刷位置の直前で支持体に伝達する効果がある。例えば、印刷手段が印刷シリンダとカウンタシリンダとの間にニップを備えている場合、予熱手段は前記ニップに可能な限り近づけて効果的に設置されてもよい。好適な装置において、印刷手段は印刷位置において圧力と熱との両方を作用する手段を備えている。例えば、印刷手段は印刷シリンダを備えていてもよくて、その印刷シリンダは、所定の形状及び/又は模様画成している一つ以上のスタンプを有していて、そして印刷シリンダは、前記スタンプ又は複数のスタンプの近傍に加熱手段を有している。
【0004】
例えば、特許文献2は、セキュリティペーパにセキュリティを印刷するための機械を開示していて、セキュリティペーパにはフォイルに備えられているセキュリティエレメントがシリンダによりセキュリティプリントに付加されており、シリンダは加熱されたスタンプを備えており、参考としてここに包含するものである。
【0005】
特許文献3は、複数のスタンプを備えたスタンピングシリンダを開示していて、前記スタンプは調節手段を介してシリンダに取り付けられており、その調節手段は、各スタンプをスタンピングシリンダの軸方向及び円周方向に調節できるようになっていて、参考としてここに包含するものである。
【0006】
特許文献4は、従来技術を開示していて、参考としてここに包含するものである。本特許文献4において、有価証券とくに紙幣にセキュリティを印刷するための機械が開示されていて、その機械は、紙を供給するための装置と、紙を搬送するための装置と、光学的に変化する画像を付加するためのユニットとを備えていて、その画像は少なくとも一つのテープに含まれており、そのテープは紙と接触するようになっていて、これらの画像が紙の所定位置に付加されるようになっていて、その所定位置は有価証券の印刷用マークに対応しているものである。付加ユニットは、加圧シリンダと相互作用する少なくとも一つの付加シリンダを含んでいて、紙はこれらのシリンダの間に沿って移動してゆく。テープは付加シリンダのセクタに配置された二つのリールの間に取り付けられていて、テープは、各付加工程ごとに間欠的に作動するサーボモータの作用により、前記付加シリンダの母線に沿って、紙の通路に直交して通過してゆく。
【0007】
特許文献5は、加熱式スタンピングローラに関するものであって、そのスタンピングローラは内部加熱装置を備えた中空ドラム部材と、スタンピング輪郭を備えたドラムマントルと、ドラムマントルに設置された交換可能な少なくとも一つのセグメントとを備えている。本構造の利点は、加熱式ローラ区画を取りはずすことなくスタンピング面を交換できることである。
【0008】
特許文献6は、フォイルを支持体から付加される表面に転写するフォイル付加機を開示していて、参考としてここに包含するものである。本特許文献6に記載されているように、フォイルの転写は従来のフラットベッドプロセスで実施されており、ダイがフラットベッドに取り付けられていて、装飾層が付加される表面(すなわち印刷材料)はインプレッションシリンダの表面に取り付けられている。金型を備えたフラットベッドは、シリンダに対して正接している通路に沿って、前後に移動する。フォイルバンドは金型の上方に支持される。ダイがシリンダ表面に接近すると、フォイルは(適切な温度に加熱された)金型によりシリンダにおける印刷材料に対して押し付けられ、装飾層が印刷材料に転写される。印刷材料は通常紙又はカードであるけれども、プラスチック又は他の材料であってもよい。金型がシリンダから離間すると、離型剤が支持体層を装飾層から分離するようになっている。フラットベッドプロセスの固有の低速性を回避するために、ロータリプロセスによりフォイルのブロッキングを行なうことが提案されている。このことが、フォイルブロッキングスタンプの刻まれているシリンダ構造体を必要なものとしている。そのようなシリンダの構造体は非常に高価であって、そして金型表面がシリンダ本体と一体となっているので、印刷材料に対して金型表面を正しく整列させる問題がある。特許文献6において、基盤に取り付けられたフォイルブロッキング金型が提供されていて、その基盤はシリンダの周囲を囲んで取り付けられるようになっている。運転中シリンダ表面に取り付けられているけれど、シリンダ表面から取りはずすことのできる金型の使用は、格別の利点を有している。すなわち、往復動装置と比較して回転式装置を用いて可能となる高速運転を達成することができる。
【0009】
特許文献6の構造の問題は、スタンプを担持している開口部を形成しているプレートの非連続表面の存在であって、加圧シリンダがプレートの開口部を通過する際機械に振動が発生する。そのような振動は、フォイルの不適切な付加又は印刷の不整合の原因となっている。この問題を克服する解決方法は、そのような開口部を通過する際の圧力を緩和するためにシリンダを横方向に移動可能な軸、例えば偏心軸受に取り付けることであるけれども、この構造は複雑でかつ高価なものである。
【特許文献1】国際公開第96/37368号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,263,790号明細書
【特許文献3】米国特許第6,062,134号明細書
【特許文献4】米国特許第5,429,044号明細書
【特許文献5】独国特許第4125996号明細書
【特許文献6】独国特許第2255317号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は公知の機械を改善することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、操作が簡単なスタンピングシリンダを備えたスタンピング機械を提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、現状の機械に組み込むことが可能なスタンピングシリンダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は請求項における記載により達成されている。
【0014】
本発明は、数例の実施形態及び図面を参照することにより理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明におけるスタンピングシリンダの第一実施形態が図1に図示されている。本実施形態において、シリンダ1が本発明におけるスタンピングプレート2を支持している。スタンピングプレート2はスタンプ9が形成されている数本の平行なトラック3−8を備えている。トラック(3−8)のスタンプ9の両側にはスタンピングプレート2の長手方向に沿って延びている支持枠10があって、その支持枠10はスタンプ9とほぼ同一高さであり、そして加圧シリンダ(図示せず)の位置をスタンプ9に対して正確に位置決めするべく使用されており、前記加圧シリンダは従来技術と同じくスタンピング操作時に被印刷物をフォイルに押しつけるべく使用されている。
【0016】
プレート1が保持されているシリンダピット11をおおって、スタンプ9のトラック3−8各々に対して一対の支持ピース12,13があって、その支持ピース12,13は加圧シリンダが前記シリンダピット11を通過する際にシリンダピット11の中へ落下するのを防止している。前記支持ピースは好ましくは金属製であって、シリンダピット11をおおう支持枠10の連続面を提供していて、シリンダピットをおおう加圧シリンダの位置を滑らかにガイドし維持するようになっている。
【0017】
支持ピース12,13各々は、ねじ14又は他の同等の手段によりシリンダピット11に固定されていて、真空引き(減圧時の空気)用の複数の穴15を備えている。シリンダピット11は真空にされるようになっていて、そして支持ピース12,13は支持部品16に取り付けられ固定されていて、支持部品16は真空源に接続されていて好ましくはねじによりシリンダピット11に保持されている。前方アライメント停止板17が支持部品16に調節可能に取り付けられていて、停止板17は支持ピース12,13を貫通しており、エンボス加工するシートの基準アライメントを提供するようになっていて、そのシートは真空引きにより支持ピースに保持されている。
【0018】
スタンピングシリンダ1の第二実施形態が図2に図示されている。本実施形態において、図1におけるスタンピングプレートは数個のスタンピングストリップ18に置き代えられていて、各ストリップは支持枠10′を備えたトラック3′−8′を有している。図1の実施形態と同様の他のエレメントは、同符号が付番されている。ストリップ3′−8′各々は一対の支持ピース12,13と結合されていてスタンピングシリンダ1のシリンダピット11をおおう加圧シリンダの滑らかな通過を可能にしている。
【0019】
図1と同様に、各支持ピース12,13が真空引き用の穴15を備えていて、ねじ14によりシリンダに保持されており、支持部品16が真空源に接続されねじによりシリンダピット11に固定されている。エンボス加工されるシートをアライメントするためのアライメント停止板17が支持ピース12,13を横切っている。
【0020】
図3はシリンダ1のピット11の詳細例を図示していて、シリンダ1にはスタンピングプレート2が支持ピース12,13なしで取り付けられている。ピット11の左側において、プレート2の一方の端部が切断され延伸部分24を備えたノッチと切欠き25とを形成している。延伸部分24の端部は折り曲げられ、ねじ26及びクランプバー27のようなクランプ手段によりピット11に把持されている。プレート1の他方の端部は同一形状(延伸部分28及び切欠き29)であって、クランプ手段すなわちねじ30及び第二クランプバー31により把持されており、そのクランプバー31は応力下でシリンダにおけるプレート2を引くように可動である。
【0021】
支持ピース12,13の穴15用の真空源は符号32で図示されている。
【0022】
支持ピース12,13が取り付けられると、図1及び2に図示するように、支持ピース12,13はピット11をまたいで切欠き25から切欠き29へ延伸している。
【0023】
スタンピングプレートをシリンダに取り付ける原理は、図2における第二実施形態としてのスタンピングストリップ18の場合にも使用することができる。
【0024】
スタンプの加熱は、例えば特許文献2又は6において公知な従来技術により行われてもよくて、参考として本出願に包含するものである。好ましくは、加熱は、シリンダ1における回路に水又はオイルのような液体を流すことにより、又は従来技術で公知の電気加熱により、シリンダ1全体を加熱することにより行なわれる。
【0025】
シリンダあたりのプレートの数又は一連のストリップの数は、状況に応じて又は印刷されるシートのフォーマットに応じて選択されてもよい。好ましくは、シリンダあたり三つの一連のスタンピングプレート、又は三つの一連のスタンピングストリップがシリンダ周囲を囲んでいる。この場合シリンダはシリンダの周囲を囲んで等間隔に離間した三つのピットを備えていて、すべてのピットは前述のピット11と類似なものである。
【0026】
さらに、シリンダが中間スタンプ33を備えている。これらの中間スタンプは、スタンプ9の列ごとにシリンダピットに設置されていて、エンボス加工される紙シートとフォイルとの間の圧力を維持するべく、かつ見当間違い又は相対運動を防止するべく使用されている。
【0027】
本発明における第一実施形態のプレートを使用する利点は、プレートの取り付けが容易なことである。一方、第二実施形態のストリップを使用する利点は、ストリップを個別に、例えば横方向に調節できることである。
【0028】
特許文献3における構造に対して、本発明によるスタンピング媒体の利点は、スタンプの個別の調節の必要がないことである。
【0029】
以上の説明から容易に理解できるように、本発明の原理はシリンダタイプだけではなく平面タイプの印刷機にも使用することができる。この場合スタンピング媒体(プレート又はストリップ)は、本出願に開示されているシリンダに代えてプレートに取り付けられ、前記プレートは同様に加熱される(例えば液体又は電気ヒータにより)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、スタンピングシリンダの第一実施形態の斜視図である。
【図2】図2は、スタンピングシリンダの第二実施形態の斜視図である。
【図3】図3は、シリンダのピットの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙のシートのような平らな被印刷物にフォイルを付加するためのスタンピングシリンダ(1)において:
前記スタンピングシリンダが、スタンピング媒体(2,18)を前記スタンピングシリンダに保持するための保持手段を備えた少なくとも一つのピット(11)を備えており、前記スタンピング媒体(2,18)は前記スタンピング媒体に沿って分散配置された少なくとも一つのスタンプ(9)の列を備えていて、
前記スタンピング媒体は、スタンピングプレート(2)により又はスタンピングストリップ(18)により形成されており、そして、前記スタンピングシリンダ(1)は、前記スタンピングシリンダ(1)の周囲に沿ってカウンタシリンダを連続的に支持するために、前記ピット(11)をまたぐブリッジを形成している少なくとも一つの支持ピース(12,13)を備えている、
スタンピングシリンダ。
【請求項2】
前記支持ピース(12,13)が前記ピット(11)に取り付けられている、請求項1に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項3】
前記スタンプ(9)の列ごとに、少なくとも一つの支持ピース(12,13)を備えている、請求項1又は2に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項4】
前記スタンピング媒体がスタンプ(9)の数本の列を備えていて、前記シリンダはスタンプ(9)の列ごとに二つの支持ピース(12,13)を備えている、請求項1−3のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項5】
支持枠(10,10′)が、前記カウンタシリンダを支持するために、前記スタンピングプレート(2)に沿って又はスタンプ(9)の列各々の両側に前記スタンピングストリップ(18)を備えられていて、前記支持ピース(12,13)は、前記ピット(11)をおおって前記支持枠(10;10′)の連続表面を保証するようになっている、請求項4に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項6】
前記支持ピース(12,13)が穴(14)を備えていて、前記穴(14)を介して真空引きが行なわれスタンプされる前記被印刷物が前記支持ピース(12,13)に対して維持するようになっている、請求項1−5のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項7】
スタンプされる被印刷物用の標準アライメントを提供するためのアライメント停止板(17)をさらに備えている、請求項1−6のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項8】
液体を用いて加熱するための回路をさらに備えている、請求項1−7のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項9】
電気ヒータをさらに備えている、請求項1−7のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項10】
スタンプされる前記平らな被印刷物と前記フォイルとの間の圧力を維持するための中間スタンプ(33)を前記ピット(11)にさらに備えている、請求項1−9のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダ。
【請求項11】
請求項1−10のいずれか一項に記載のスタンピングシリンダを備えているスタンピング機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−533506(P2007−533506A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508994(P2007−508994)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000965
【国際公開番号】WO2005/102733
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(502065583)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】