説明

スティック状化粧料用容器

【課題】 化粧料の生産方式として、カプセル充填方式と直接充填方式のいずれも選択可能な汎用性のある化粧料容器を提供すること。
【解決手段】 外筒、螺旋筒、内筒、受筒、およびスティック状化粧料を充填した中皿を含み、受筒に設けられた突起が内筒に設けられたガイド溝でガイドされ、回動可能な外筒の内側と一体となった螺旋筒の螺旋溝により当該突起が上下に移動し、中皿に充填されたスティック状化粧料を繰り出すスティック状化粧料用容器において、受筒の底部を開口し、前記突起の位置に対応する受筒の内周に補強用リブを備えたことを特徴とするスティック状化粧料用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック状化粧料を保持する容器に関し、更に詳細には、スティック状化粧料のカプセル充填および直接充填することができる化粧料用容器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スティック状化粧料の生産方法としては、いわゆる、カプセル充填方式および直接充填方式が知られている。ここでカプセル充填方式とは、カプセルと中皿をセットし、その状態で化粧料、たとえば口紅を充填、固化し、次に、容器の頭から容器内の受筒に中皿のリブを挿入、嵌合し、組み立てる方法である。また、直接充填方式とは、あらかじめ中皿、カプセルを容器の口元から受筒にセットし、倒立させ、容器の底部穴から充填ノズルを挿入し化粧料を充填する方法である。
【0003】
ところが、従来のカプセル充填用容器では、以下のような問題が生じていた。すなわち、当該容器はカプセル充填方式専用容器であり、直接充填方式には転用できないものであるうえに、カプセル充填方式の生産設備も大掛かりな専用設備となるため、小ロットの生産には向かないなど、生産の汎用性や自由度に制限を有するものであった。
【0004】
すなわち、従来のカプセル充填用容器は、その構成が外筒、螺旋筒、内筒、受筒、およびスティック状化粧料を充填した中皿を含み、受筒に設けられた突起が内筒に設けられたガイド溝でガイドされ、回動可能な外筒の内側と勘合一体となった螺旋筒の螺旋溝により当該突起が上下に移動することにより、中皿に充填されたスティック状化粧料を繰り出すという機構を有するものである。
【0005】
そして、前記受筒として、例えば、特許文献1に開示されているような、円筒の一端が開口し、他端は底部となっているカップ状のもので、外周部に螺旋溝係合用の突起が形成されているものが知られている。
【0006】
しかしながら、かかるカプセル充填用容器を使用して直接充填を試みた場合、前記受筒の底部が障害となり、受筒および中皿の内部にまで充填ノズルを挿入することができないため、化粧料を充填することが不可能であった。
【0007】
そこで、従来のカプセル充填用容器を直接充填方式に転用するために、前記受筒の底面を開口し、容器の底部穴から該開口部を通して充填ノズルを挿入し化粧料を充填することが考えられる。
【0008】
しかしながら、単に受筒の底を開口した場合には、変形に対する強度を十分に確保できず、受筒外周部の係合突起の寸法が狂い、スティック状化粧料の確実な繰上げないし繰り下げ操作に支障を生じてしまう。
【0009】
すなわち、受筒の上部円周上は中皿とのきつい嵌合の為、該部肉厚を薄くすることなどにより、一定の弾性又は撓み性を有しており、受筒の底部によって全体の強度を確保していた。したがって受筒の底面を開口すると耐変形強度を確保できず、中皿を受筒に嵌合した場合や、化粧料繰り出しの上限及び下限で無理な力で繰出した場合に、受筒の突起取り付け部に強い力が加わり変形が起き、突起部分の寸法が狂い、その結果、螺旋溝との間隙に不具合を生じさせ、突起が螺旋溝の係合を外れてしまうなどの事態を招いていた。
【0010】
【特許文献1】特開平7−255525
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで本発明は、従来のカプセル充填用容器のかかる欠点を克服し、化粧料の生産方式として、カプセル充填方式と直接充填方式のいずれも選択可能な汎用性のある化粧料容器の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するものであり、外筒、螺旋筒、内筒、受筒、およびスティック状化粧料を充填した中皿を含み、受筒に設けられた突起が内筒に設けられたガイド溝でガイドされ、回動可能な外筒の内側と一体となった螺旋筒の螺旋溝により当該突起が上下に移動し、中皿に充填されたスティック状化粧料を繰り出すスティック状化粧料用容器において、受筒の底部を開口し、前記突起の位置に対応する受筒の内周に補強用リブを備えたことを特徴とするスティック状化粧料化粧料容器である。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、本発明の化粧料容器の受筒は、内側下部に構造体補強用リブを持ち、リブの中心には充填用のノズルが挿入できる穴が開いているという特徴を有し、該リブは突起の位置に対応するように形成されているため、底板付の受筒に近い耐変形強度を確保する事が出来る。
【0014】
さらに、本発明の化粧料容器の受筒は、中皿を嵌合させることにより中皿の外周面と密着するため、一体構造となり、上記耐変形強度はより強化される。
【0015】
上述のとおり、本発明のスティック状化粧料容器は、従来のカプセル充填方式容器の受筒底面を直接充填用に開口するとともに、底板付きの受筒に近い耐変形強度を確保しているため、カプセル充填方式および直接充填方式のいずれにおいても使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のスティック状化粧料用容器の一実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0017】
図1は本発明に係るスティック状化粧料用容器の構成を示す断面図、図2aは本発明に係るスティック状化粧料用容器の構成を示す切り欠き斜視図、図2bは外筒の切り欠き斜視図、図3aは受筒の平面図、図3bは受筒の断面図、図4は受筒に中皿を嵌合した状態の断面図、図5aおよび図5bは本発明に係る化粧料用容器の直接充填方式における使用態様を示している断面図である。各図中、1は受筒を、2は中皿を、3は内筒を、4は螺旋筒を、5は外筒を、6はカプセルを、7は充填ノズルを示し、さらに、11は補強用リブを、12は突起を、13は開口部を、14は突起幅を、31はガイド溝を、41は螺旋溝をそれぞれ示す。
【0018】
図1ないし5に示すように、本実施態様のスティック状化粧料用容器は、受筒1と、中皿2と、ガイド溝31が形成された内筒3および、外筒5と、内面に螺旋溝41を切った螺旋筒4から構成されている。そして、外筒5を回転させることにより、受筒1に設けられた突起12が内筒3に設けられたガイド溝31でガイドされるとともに、外筒5の内側と一体となった螺旋筒4の内面に切られた螺旋溝41により上下に移動し、中皿2に充填されたスティック状化粧料を繰り出す機構となっている。かかる構成は、従来のカプセル充填用容器と基本的には相違しないが、以下の点に特徴を有する。
【0019】
すなわち、図3に示すように、受筒1の底面には充填用のノズルが挿入できるように開口部13が設けられており、補強用の環状リブ11が形成されている。さらに、環状リブ11の位置が、受筒1の外周に形成された突起12に対応する内周部に形成されている。ここで、環状リブ11の位置は、図3bに示すように、突起幅14の範囲に形成されており、かかる範囲内であればいずれの場所でも本発明の効果を有するが、特に、突起幅14の中心部に対応する位置が好ましい。また、開口部13の直径は、充填用のノズルが挿入できる径であれば良いが、補強用リブの強度も考慮した場合、直径7mm〜8.5mm程度が望ましい。
【0020】
また、受筒1の上部円周上は中皿2とのきつい嵌合の為、該部肉厚を薄くすることなどにより、一定の弾性又は撓み性を有している。一方で、中皿2は比較的硬い材質により形成されている。したがって、中皿2を受筒1に嵌合させる場合、受筒1の上部は撓んで広がるため変形するも、最終的には中皿2の外周面と密着することにより(図4参照)、構造上の強度を確保できる。
【0021】
次に、直接充填方式における、本発明に係るスティック状化粧料用容器の使用態様を、図5により説明する。
【0022】
まず、あらかじめ中皿2にカプセル6を装着し(図5a参照)、その状態のまま容器体の口元から受筒1にセットし、倒立させ、容器体底部の穴および受筒1の開口部13から充填ノズル7を挿入し、化粧料を充填する(図5b参照)。その後、化粧料が固化した時点で、カプセル6を取り外せばよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上説明したように、本発明のスティック状化粧料用容器は、従来のスティック状化粧料のカプセル充填に対応したものであるとともに、直接充填方式も選択可能な汎用性のある化粧料容器である。
【0024】
したがって、生産量の大小に合わせた生産設備化が出来る為、極小ロットにも対応が可能となり、経済性に優れた共有容器として、スティック状化粧料容器として、口紅、リップクリーム、コンシーラー、皮膚美白用スティック、日焼け止めスティック等の化粧料に有利に使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るスティック状化粧料用容器であって、充填された化粧料を最上部まで繰り出した状態を示す断面図。
【図2】aは、本発明に係るスティック状化粧料用容器の構成を示す切り欠き斜視図。bは、本発明に係るスティック状化粧料用容器を構成する外筒の切り欠き斜視図。
【図3】aは、本発明に係るスティック状化粧料用容器を構成する受筒の平面図。bは、図3aの受筒の断面図。
【図4】本発明に係るスティック状化粧料用容器を構成する中皿の断面図。
【図5】aは、本発明に係るスティック状化粧料用容器の直接充填方式における使用態様を示した断面図。bは、本発明に係るスティック状化粧料用容器の直接充填方式における使用態様を示した断面図。
【符号の説明】
【0026】
1 … … 受筒
2 … … 中皿
3 … … 内筒
4 … … 螺旋筒
5 … … 外筒
6 … … カプセル
7 … … 充填ノズル
11 … … 環状リブ
12 … … 突起
13 … … 開口部
14 … … 突起幅
31 … … ガイド溝
41 … … 螺旋溝
A … … スティック状化粧料
以 上


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒、螺旋筒、内筒、受筒、およびスティック状化粧料を充填した中皿を含み、受筒に設けられた突起が内筒に設けられたガイド溝でガイドされ、回動可能な外筒の内側と一体となった螺旋筒の螺旋溝により当該突起が上下に移動し、中皿に充填されたスティック状化粧料を繰り出すスティック状化粧料用容器において、受筒の底部を開口し、前記突起の位置に対応する受筒の内周に補強用リブを備えたことを特徴とするスティック状化粧料用容器。
【請求項2】
補強用リブが環状であって、受筒の上部円周上が弾性または撓み性を有し、中皿を嵌合させることにより中皿の外周面と密着することを特徴とする請求項1または請求項2記載のスティック状化粧料用容器。
































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−271758(P2006−271758A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96893(P2005−96893)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)