説明

ステンレス刺繍撚糸及びその方法

【課題】70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸中に、35〜45μmのステンレス糸を合撚するステンレス刺繍撚糸及びその方法を提供する。
【解決手段】ステンレス刺繍撚糸は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸と35〜45μmのステンレス糸とを合撚し、ステンレス刺繍撚糸としたものである。ステンレス刺繍撚糸の製造方法は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸を、特定の管体に導入し、さらに35〜45μmのステンレス糸と、単包方式で、合撚して、撚糸し、ステンレス刺繍撚糸を構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステンレス刺繍撚糸及びその方法に関し、特に70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸中に、35〜45μmのステンレス糸を合撚するステンレス刺繍撚糸ステンレス刺繍撚糸及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かつては世界中どこでも、刺繍業者が使用していた刺繍糸の大多数は、シルク、コットン、麻、ウール等の繊維により紡績された天然繊維であった。工業革命後は、テクノロジーの進歩に従い、化学繊維が開発され、刺繍業界でも、人造絹糸、人造コットン、ナイロン、ポリエステル等が混紡された糸が、刺繍用の表面糸として使用され始めた。しかし、ベース糸は、特に機能性を備えないコットン、人造コットン、混紡糸を主としている。
【0003】
特許文献1は、機能性刺繍製品の加工方法を掲示し、機能性深色系バイオカーボンを用いた機能性刺繍製品を提示する。それは主に、竹炭、木炭(備長炭)という機能性を備える深色系バイオカーボン、及び別の種類のバイオカーボン、或いは機能性を備える繊維により紡績された糸を、刺繍糸或いはベース糸として使用し、織られた編織品を刺繍面の背面ベース布として用いる。
【0004】
刺繍時には、一般的な機能性を備えない刺繍糸或いはベース糸を、機能性を備える深色系バイオカーボン或いは機能性を備える繊維により紡績された糸の代わりに、刺繍糸或いはベース糸として刺繍を行う。また、機能性を備える深色系バイオカーボン或いは機能性を備える繊維により織られた編織品を、刺繍面の背面にセットし、刺繍を行うことができる。さらに、その布或いは生地は、衣服等の生活、健康、保健用品に加工され、機能性を備える深色系バイオカーボンと機能性を備える繊維の機能を最大限に発揮させることができる。こうして、バイオカーボン等機能性を備える繊維、編織品の使用範囲を拡大し、機能性刺繍製品の加工方法を形成するものである。
【0005】
特許文献2は、高輝度蛍光繊維及びその製造方法を掲示する。その繊維は、人体に悪影響がなく、長時間高輝度で、かつ多色の発光を行う特性を備える。この繊維は、刺繍糸、衣料に応用可能で、長時間高輝度で、かつ多色の発光を行う特性を備える蛍光繊維を提供することができる。
【0006】
特許文献3は、繊維中に変色顔料を添加し、感温、感光、感臭気、感湿により変色する繊維を掲示する。それは、特殊な条件下で、溶融紡績時に変色顔料を添加し、紡績、延伸のプロセスを経て形成される全く新しい化学繊維である。該繊維は、水洗いに耐性を持ち、摩擦に強く、立体効果を備える他、添加した変色顔料の違いに応じて、感温、感光、感臭気、感湿により変色するという効果を備える。この繊維は、刺繍、衣服、カーテン、リボン等多くのテキスタイルに用いられ、高付加価値を形成する。
【0007】
上記したように、先行技術中では、多種の材質を、刺繍材質中に添加している。しかし現在、機械刺繍或いは手作業刺繍の別にかかわらず、刺繍産業で使用されている刺繍糸の材質に、ステンレスは存在しない。一方、ステンレス糸は、電磁波を防止し、静電気を防ぎ、吸音するという卓越した機能を備える。にもかかわらず、刺繍産業では、あらゆる機種の機械刺繍において使用されている刺繍糸材質には、ステンレス材質が存在せず、非常に惜しい。よって、本発明人は大量の実験による検証を経て、本発明ステンレス刺繍撚糸及びその方法を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許公告第200724741号
【特許文献2】台湾特許公告第564268号
【特許文献3】台湾特許公告第156380号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、現在使用されている刺繍糸の材質に、ステンレスを備えないという問題を解決するステンレス刺繍撚糸及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は下記のステンレス刺繍撚糸及びその方法を提供する。ステンレス刺繍撚糸は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸と35〜45μmのステンレス糸とを合撚し、該ステンレス刺繍撚糸を構成し、該ポリエステル繊維機械刺繍糸はより好ましくは、75デニールである。該ステンレス糸はより好ましくは、40μmで、ステンレス刺繍撚糸の製造方法は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸を、特定の管体に導入し、さらに35〜45μmのステンレス糸と、単包方式で、合撚して、撚糸し、ステンレス刺繍撚糸を構成し、該特定の管体は、特殊撚糸管で、該ポリエステル繊維機械刺繍糸はより好ましくは、75デニールで、該ステンレス糸はより好ましくは、40μmである。
【発明の効果】
【0011】
本発明ステンレス刺繍撚糸及びその方法は、以下の効果を備える。
<イ>本発明がポリエステル繊維機械刺繍糸中に加えるステンレス糸は、刺繍糸においては過去に例のない新材質で、文化産業に想像できないほどの発展と無限のビジネスチャンスをもたらすことができる。
<ロ> 本発明が、ポリエステル繊維機械刺繍糸中にステンレス糸を加え形成する刺繍糸は、毒性がなく、電磁波を防止する作用を備え、しかもステンレス糸は独特のメタリックな光沢を備え、さらに一種のグリーン材料で、しかも静電防止機能をも備える。
<ハ>.自然材質であるステンレスは、クロム12%以上を含む合金で、表面には一層の薄膜を形成し、該薄膜は、保護作用を備え、空気、水分を隔絶し、及び酸/アルカリによる浸食を防止し、刺繍を施した編織品の保存期間を延長することができる。
<二>本発明は、ポリエステル繊維機械刺繍糸中にステンレス糸を加えることで、刺繍糸及びそれにより形成される刺繍編織品は、より強い張力を備える。
<ホ>本発明は、手作業刺繍及び機械刺繍に適用され、しかもあらゆる機械刺繍機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のフローチャートである。
【図2】本発明ステップAの模式図である。
【図3】本発明ステップBの模式図である。
【図4】本発明ステップCの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
本発明が提供するステンレス刺繍撚糸は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸と、35〜45μmのステンレス糸とを合撚して構成する。
【0015】
本発明が提供するステンレス刺繍撚糸の製造方法は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸を、特定の管体に導入し、さらに35〜45μmのステンレス糸と、単包方式で、合撚して、撚糸し、ステンレス刺繍撚糸を構成する。ポリエステル繊維機械刺繍糸はより好ましくは、75デニールで、ステンレス糸はより好ましくは、40μmである。
【0016】
図1は、本発明のフローチャートであり、図2は、ステップAの模式図である。ステップAでは、先ず、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸1を、特定の第一管体2に導入する。
第一管体2は、特殊撚糸管である。図3に示すステップBでは、第一管体2上のポリエステル繊維機械刺繍糸1と第二管体3上の35〜45μmのステンレス糸4を、同時に別の第三管体5に送る。図4に示すステップCでは、第三管体5より送り出し、単包方式により、合撚、撚糸のプロセスを経た後、さらに機械刺繍糸巻6に送り、本発明ステンレス刺繍撚糸7を完成する。
【0017】
また、本発明ステンレス繊維の直径は、550μm〜28μmで、長さは、40mm〜120mmであるが、逐一テストを行うことで、機械刺繍機内部のボビンケース運転に適した最良のサイズを決定した。さらに、140μm〜28μmの糸を、ミシン用9、11号針により、軟性ひし形メッシュ布をベース布材として利用し、機械刺繍機においてテスト刺繍を行った。こうして、求められた本発明の最適範囲値は35〜45μmで、テストにより明らかとなった最適値は40μmである。
【0018】
以下に、本発明の最適値40μmにより行った実際のテストの実験記録表を掲示する。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】
【表4】

【0023】
表1、2、表3及び表4の大きな差異は運転速度で、350回転と1000回転の違いがある。1000回転で行った実験データでは、断針数に小幅な上昇が見られるが、なお許容の範囲内で、しかもその糸切断の確率は非常に小さく、機械刺繍機による大量生産に有利である。
【0024】
上記の本発明名称と内容は、本発明技術内容の説明に用いたのみで、本発明を限定するものではない。本発明の精神に基づく等価応用或いはいは部品(構造)の転換、置換、数量の増減はすべて、本発明の保護範囲に含むものとする
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は特許請求の要件である新規性を備え、従来の同類製品に比べ十分な進歩を有し、実用性が高く、社会のニーズに合致しており、産業上の利用価値は非常に大きい。
【符号の説明】
【0026】
1 ポリエステル繊維機械刺繍糸
2 第一管体
3 第二管体
4 ステンレス糸
5 第三管体
6 機械刺繍糸巻
7 ステンレス刺繍撚糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス刺繍撚糸は、
70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸と、35〜45μmのステンレス糸とを合撚して構成することを特徴とする、ステンレス刺繍撚糸。
【請求項2】
前記ポリエステル繊維機械刺繍糸は、75デニールであることを特徴とする、請求項1に記載のステンレス刺繍撚糸。
【請求項3】
前記ステンレス糸は、40μmであることを特徴とする、請求項1に記載のステンレス刺繍撚糸。
【請求項4】
ステンレス刺繍撚糸の製造方法は、70〜80デニールのポリエステル繊維機械刺繍糸を、特定の管体に導入し、さらに35〜45μmのステンレス糸と、単包方式で、合撚して、撚糸し、ステンレス刺繍撚糸を構成することを特徴とする、ステンレス刺繍撚糸の製造方法。
【請求項5】
前記特定の管体は、特殊撚糸管であることを特徴とする、請求項4に記載のステンレス刺繍撚糸の製造方法。
【請求項6】
前記ポリエステル繊維機械刺繍糸は、75デニールであることを特徴とする、請求項4に記載のステンレス刺繍撚糸の製造方法。
【請求項7】
前記ステンレス糸は、40μmであることを特徴とする、請求項4に記載のステンレス刺繍撚糸の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate