説明

ステージ付陳列棚

【課題】従来のステージ付陳列棚の基本的な構造を変えることなく、ステージ部を、簡単に、商品陳列用スペースとして使用しうるようにしたステージ付陳列棚を提供する。
【解決手段】商品陳列部における棚板を支持する左右1対の支柱1の下部前面に、前方を向く左右1対のステージ脚2を設け、商品陳列部の下方に、左右1対のステージ脚2により区画されたステージ部Bを形成してなるステージ付陳列棚において、左右1対のステージ脚2の内側面に、左右1対の内側板11を着脱自在に取り付け、かつ左右の内側板の後端部間に、左右方向を向く後面板12を取り付けることにより、ステージ部B内に、商品陳列用スペースを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の棚板等からなる商品陳列部の下方に、前方に突出するステージ部を設けたステージ付陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のステージ付陳列棚におけるステージ部には、在庫商品を収容する引き出しやストッカが設けられている(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2003−250673号公報
【特許文献2】特開2004−135940号公報
【特許文献3】特開2000−201782号公報
【0003】
これらの特許文献に記載されているステージ付陳列棚においては、引き出しやストッカの前面は、前面板により覆われているので、この部分を商品陳列スペースとして使用することができず、商品陳列スペースを拡張したい場合は、ステージ付陳列棚全体を設計変更するか、または他の構造のものと交換しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、従来のステージ付陳列棚の基本的な構造を変えることなく、ステージ部を、簡単に、商品陳列用スペースとして使用しうるようにしたステージ付陳列棚を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)商品陳列部における棚板を支持する左右1対の支柱の下部前面に、前方を向く左右1対のステージ脚を設け、前記商品陳列部の下方に、左右1対のステージ脚により区画されたステージ部を形成してなるステージ付陳列棚において、
左右のステージ脚の内側面に、左右1対の内側板を着脱自在に取り付け、かつ左右の内側板の後端部間に、左右方向を向く後面板を取り付けることにより、ステージ部内に、商品陳列用スペースを形成する。
【0006】
(2)上記(1)項において、内側板の前端部に連設した外側方を向く前面カバーにより、ステージ脚の前面を覆う。
【0007】
(3)上記(2)項において、内側板の外側面がステージ脚の内側面に当接し、かつ前面カバーの後面がステージ脚の前面に当接した状態で、前面カバーの後面とステージ脚の前面とのいずれか一方に設けた係止片を、他方に設けた係合孔に係合させることにより、内側板を、ステージ脚の内側面に着脱自在に取り付ける。
【0008】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、左右の内側板の内面に棚板保持部材を内向き突設し、この棚板保持部材上に棚板の左右両端部を載置させることにより、ステージ部内に、棚板を架設する。
【0009】
(5)上記(4)項において、棚板保持部材を、上向き鉤形として、内側板の内面に内向き突設し、この棚板保持部材と内側板の内面との間に、棚板の左右の側端より垂下する側片を嵌合して係止する。
【0010】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、棚板の後面と、後面板の前面との対向部分のいずれか一方に係合凸部を、また他方に、前記係合凸部が嵌合する係合凹部を設ける。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、従来のステージ付陳列棚におけるのと同様の左右のステージ脚の内側面に、左右1対の内側板を着脱自在に取り付け、かつ左右の内側板の後端部間に、左右方向を向く後面板を取り付けるだけで、ステージ部に、商品陳列用スペースを、簡単かつ低コストで形成することができ、必要に応じて、商品陳列用スペースを拡張することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によると、内側板の前端部に連設した外側方を向く前面カバーにより、ステージ脚の前面を覆ってあるので、ステージ脚の前端面が前方に露呈することがなく、外観をよくすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によると、内側板の外側面がステージ脚の内側面に当接し、かつ前面カバーの後面がステージ脚の前面に当接した状態で、前面カバーの後面とステージ脚の前面とのいずれか一方に設けた係止片を、他方に設けた係合孔に係合させることにより、内側板を、ステージ脚の内側面に着脱自在に取り付けてあるので、内側板を、ステージ脚の内側面に、工具等を用いることなく、簡単、かつ強固に、しかも体裁よく、取り付けることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によると、左右の内側板の内面に棚板保持部材を内向き突設し、この棚板保持部材上に棚板の左右両端部を載置させることにより、ステージ部内に、棚板を架設してあるので、ステージ部に形成した商品陳列用スペースにおける商品陳列効率を高めることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によると、棚板保持部材を、上向き鉤形として、内側板の内面に内向き突設し、この棚板保持部材と内側板の内面との間に、棚板の左右の側端より垂下する側片を嵌合して係止してあるので、棚板を介して、左右のステージ脚同士が互いに連結され、左右のステージ脚の左右方向のがたつきや、棚板の脱落を防止しうるとともに、ステージ部全体の強度を高めることができる。
【0016】
請求項6記載の発明によると、棚板の後面と、後面板の前面との対向部分のいずれか一方に係合凸部を、また他方に、前記係合凸部が嵌合する係合凹部を設けてあるので、棚板が上方に外れるのを防止しうるとともに、係合凸部と係合凹部とを、棚板および後面板の左右方向の中間部に設けることにより、棚板の中間部の撓みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1および図2に示すように、このステージ付陳列棚は、CDや書籍等を陳列するためのものとしてあり、上下の端部同士を、左右方向を向く横連結杆(図示略)をもって互いに連結した左右1対の支柱(1)(1)を備えている。
【0018】
左右の支柱(1)(1)の下部前面には、前方を向く左右1対のステージ脚(2)(2)が設けられ、両支柱(1)(1)の前面におけるステージ脚(2)(2)より上方の部分が商品陳列部(A)をなし、その下方における、左右1対のステージ脚により区画された部分がステージ部(B)をなしている。
【0019】
商品陳列部(A)においては、両支柱(1)(1)の前面に、垂直板(3)と、前下方を向く傾斜角度が漸次大となる上下2段の傾斜板(4)(5)とが、上下に並べて取り付けられ、それらの前面には、1個または複数個の棚板(6)が、それらと直角をなすようにして、取り付けられている。
したがって、商品陳列部(A)の前面である陳列面は、下部が漸次前方にせり出しているので、その前方に立った顧客の目から、陳列面全体が視認し易くなり、購買意欲を高めることができる。
【0020】
図3に示すように、各ステージ脚(2)は、後端が各支柱(1)の前面に係止されるか、または結合された角管よりなる上下1対の前向杆(7)(8)と、その前端に連結された上下方向を向く角管よりなる前支柱(9)とからなっている。前向杆(7)(8)と、前支柱(9)と、支柱(1)の下部とによって形成された側面視方形の枠内の下半部には、補強板(10)が設けられているが、この補強板(10)は、省略して実施することもある。
【0021】
左右のステージ脚(2)(2)の内側面には、左右1対の内側板(11)(11)が、着脱自在に取り付けられており、また、その左右の内側板(11)(11)の後端部間に、左右方向を向く後面板(12)を取り付けることにより、ステージ部(B)内に、商品陳列用スペースが形成されている。
【0022】
各内側板(11)の前端部には、外側方を向く前面カバー(13)が連設されており、この前面カバー(13)により、ステージ脚(2)の前面、すなわち前支柱(9)の前面が覆われている。
【0023】
前支柱(9)の前面には、複数の係合孔(14)が、上下方向に並べて穿設されており、それに対向する前面カバー(13)の後面には、上下1対の下向き鉤形の係止片(15)(16)が後方を向くように突設されている。上方の係止片(15)の後端上部には、上向突部(15a)が設けられている。
なお、複数の係合孔(14)を、前面カバー(13)の後面に設け、それに対向する前支柱(9)の前面に、上下1対の上向き鉤形の係止片(図示略)設けてもよい。
【0024】
各内側板(11)は、前面カバー(13)を若干後傾させた状態で、上方の係止片(15)の上向突部(15a)を、対応する係合孔(14)に係合し、次いで、前面カバー(13)を垂直状態に戻しつつ、上下の係止片(15)(16)を、対応する係合孔(14)に係合することにより、内側板(11)の外側面がステージ脚(2)の内側面に当接し、かつ前面カバー(13)の後面がステージ脚(2)の前面に当接するようにして、各ステージ脚(2)に着脱自在に取り付けられる。
【0025】
後面板(12)は、その左右の端部を後方に向けて折曲形成した側片(12a)を、固定ねじ(17)をもって、内側板(11)の後端部内面に固着することにより、内側板(11)に強固に結合されている。
【0026】
図4〜図7に示すように、左右の内側板(11)(11)の内面における上端部と中間部と下端部とには、棚板保持部材(18)が内向き突設されており、この棚板保持部材(18)上に、棚板(19)の左右両端部を載置させることにより、ステージ部(B)内に、上、中、下3段の棚板(19)が架設されている。
【0027】
各棚板保持部材(18)は、内側板(11)の内面に溶接により固着した取付片(18a)の上端に、上向き鉤形片(18b)を連設したものとしてあり、この上向き鉤形片(18b)と内側板(11)の内面との間に、棚板(19)における左右の側端より垂下する側片(19a)を、上方より嵌合して係止することにより、棚板(19)を介して、左右のステージ脚(2)(2)同士が互いに連結され、左右のステージ脚の左右方向のがたつきや、棚板(2)の脱落が防止されるとともに、ステージ部(B)全体の強度を高めることができる。
【0028】
図6に示すように、各棚板(19)の後端より垂下する後片(19b)の後面における両側部と中間部とには、係合凹部(この例では、係合孔としてあるが、単なる凹部としてもよい)(20)が設けられており、また各棚板(19)を左右の棚板保持部材(18)における上向き鉤形片(18b)に係止したとき、各係合凹部(20)と対向する後面板(12)の前面には、係合凸部(21)が設けられている。この各係合凸部(21)を、対応する各係合凹部(20)に嵌合することにより、棚板(19)が上方に外れるのを防止しうるとともに、中間部の係合凸部(21)と係合凹部(20)との係合により、棚板(19)の中間部の上下方向の撓みを防止することができる。
なお、各棚板(19)の後片(19b)の後面に、後方を向く係合凸部を設け、またそれに対向する後面板(12)の前面に、上記係合凸部が嵌合する係合凹部を設けてもよい。
【0029】
後面板(12)には、中段の棚板(19)と、下段の棚板(19)との上方に配設する仕切板(図示略)の後端に設けた差し込み片を差し込むための上下方向の多数のスリット(22)が、上下2段として、左右方向に並べて穿設されている。
【0030】
最上段の棚板(19)は、ステージ天板として使用することもできるが、この例では、商品陳列部(A)における最下段の棚板(6)により上方が覆われているので、ステージ部(B)の上端を閉塞するためのものとして用いられている。
【0031】
各支柱(1)の下端と、ステージ脚(2)の前端部下面とには、レベル調整用のアジャスタ(23)(24)が設けられている。
【0032】
図示した例においては、説明を簡単にするために省略したが、実際に使用する際には、商品陳列部(A)とステージ部(B)との両側面を覆う化粧用の側板が、支柱およびステージ脚(2)の外側面に取り付けられる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、幾多の変形した態様で実施することができる。
例えば、図1に2点鎖線で示すように、左右の支柱(1)(1)の後面にも、前面に設けたものと同様の構成を、前後対称をなすように配設し、支柱(1)(1)の前後両面に、CDや書籍等を同様に陳列することもできる。
また、商品陳列部(A)を、奥行きを同一とした複数の棚板を、支柱(1)(1)の前面に直接多段状に取り付けた単純な構造のものとすることもできる。この場合は、左右のステージ脚(2)(2)の上端部に、奥行きを商品陳列部(A)における棚板の奥行きより大としたステージ天板を架設し、その上にも陳列商品を載置しうるようにするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態の正面図である。
【図2】同じく、側面図である。
【図3】同じく、ステージ部の右側部の分解斜視図である。
【図4】同じく、ステージ部の左側部の分解斜視図である。
【図5】図1のV−V線に沿う拡大縦断側面図である。
【図6】図5のVII部の拡大縦断側面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う拡大縦断正面図である。
【符号の説明】
【0035】
(A)商品陳列部
(B)ステージ部
(1)支柱
(2)ステージ脚
(3)垂直板
(4)(5)傾斜板
(6)棚板
(7)(8)前向杆
(9)前支柱
(10)補強板
(11)内側板
(12)後面板
(12a)側片
(13)前面カバー
(14)係合孔
(15)(16)係止片
(17)固定ねじ
(18)棚板保持部材
(18a)取付片
(18b)上向き鉤形片
(19)棚板
(19a)側片
(19b)後片
(20)係合凹部
(21)係合凸部
(22)スリット
(23)(24)アジャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列部における棚板を支持する左右1対の支柱の下部前面に、前方を向く左右1対のステージ脚を設け、前記商品陳列部の下方に、左右1対のステージ脚により区画されたステージ部を形成してなるステージ付陳列棚において、
左右のステージ脚の内側面に、左右1対の内側板を着脱自在に取り付け、かつ左右の内側板の後端部間に、左右方向を向く後面板を取り付けることにより、ステージ部内に、商品陳列用スペースを形成したことを特徴とするステージ付陳列棚。
【請求項2】
内側板の前端部に連設した外側方を向く前面カバーにより、ステージ脚の前面を覆ったことを特徴とする請求項1記載のステージ付陳列棚。
【請求項3】
内側板の外側面がステージ脚の内側面に当接し、かつ前面カバーの後面がステージ脚の前面に当接した状態で、前面カバーの後面とステージ脚の前面とのいずれか一方に設けた係止片を、他方に設けた係合孔に係合させることにより、内側板を、ステージ脚の内側面に着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項2記載のステージ付陳列棚。
【請求項4】
左右の内側板の内面に棚板保持部材を内向き突設し、この棚板保持部材上に棚板の左右両端部を載置させることにより、ステージ部内に、棚板を架設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のステージ付陳列棚。
【請求項5】
棚板保持部材を、上向き鉤形として、内側板の内面に内向き突設し、この棚板保持部材と内側板の内面との間に、棚板の左右の側端より垂下する側片を嵌合して係止したことを特徴とする請求項4記載のステージ付陳列棚。
【請求項6】
棚板の後面と、後面板の前面との対向部分のいずれか一方に係合凸部を、また他方に、前記係合凸部が嵌合する係合凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のステージ付陳列棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−267989(P2007−267989A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97962(P2006−97962)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】