説明

ステージ機構

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は移動体がガイド上を移動するステージ機構に関し、特に、ステージ機構に用いられる構造体支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ステージ機構として移動体がガイドに沿って移動するものが知られている。
【0003】ここで、図3を参照して、従来のステージ機構について説明する。
【0004】図示のステージ機構は、静圧軸受を用いた1軸のステージ機構であり、ベース1上には一本のビーム6が固定されている。ビーム6上には移動体14が配置されており、移動体14はビーム6をガイドとしてビーム6に沿って移動することができる。図示のステージ機構では、ビーム6及び移動体14は、例えば、セラミックのような寸法管理が容易で、かつ、高い剛性を有する材料で作成される。
【0005】さらに、ステージ機構として、図4に示す静圧軸受を用いた2軸のステージ機構が知られている。図4を参照して、ベース1上には2本のレール2及び3が所定の間隔をおいて配設されている。レール2及び3にはそれぞれ移動体4及び5が配置されており、移動体4及び5はそれぞれレール2及び3に沿って移動する(運動する)。また、移動体4及び5はビーム6によって連結されており、この結果、移動体4及び5がレール2及び3上を移動するに連れてビーム6も移動することになる。そして、ビーム6上には移動体14が配置されており、移動体14はビーム6をガイドとしてビーム6に沿って移動することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、ステージ機構が大型化する傾向にあり、図3及び図4に示すステージ機構ともに、移動体14の移動量(ストローク)を大きくするため、ビーム6の長さを長くしており、さらに、移動体14に搭載される負荷質量が大きくなっている。この結果、ビーム6のたわみ量が無視できない量となっている。そして、このようなたわみが発生すると、移動体がスムースに移動できなくなってしまう。
【0007】特に、図4に示すステージ機構において、ビーム6のたわみ量を最小にするためにビーム6の中央を保持しようにも、図4に示す構成では移動体14がビーム6の4面をガイドとして用いている関係上、ビーム6に支持体等を接触させることができない。さらに、ビーム6自体がレール方向に移動するため、支持体をビーム6の移動に追従させて移動させなければならない。
【0008】本発明の目的はビームのたわみを容易に防止することのできるステージ機構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ベースの上方に所定の間隔をおいて位置し予め定められた方向に延びるビームと、該ビームをガイドとして前記ビームに沿って移動する移動体とを有し、前記移動体には前記ビームの外側に突出する位置で前記ベースに当接する少なくとも3つの移動体用静圧空気軸受けパッドが配設されており、前記ビームには前記ベースとの間に介在しつのビーム用静圧空気軸受けパッドが取り付けられ該ビーム用静圧空気軸受けパッドは前記予め定められた方向及びこれに直交する方向に関して前記ビームの中央部に取り付けられていることを特徴とするステージ機構が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明について図面を参照して説明する。
【0011】まず、図1を参照して、図1において、図4R>4と同一の構成要素については同一の参照番号を付す。ベース1上には2本のレール2及び3が所定の間隔をおいて配設されており、レール2及び3にはそれぞれ移動体4及び5が配置されている。ここで、レール2及び移動体4に着目すると、図1(b)に示すように、移動体4には静圧空気軸受けパッド12が備えられており、レール2と移動体4との間には静圧空気軸受けパッド12が介在している。この静圧空気軸受けパッド12によって移動体4は図1(a)に示すX軸方向にガイドされている。さらに、図1(b)に示すように、移動体4には静圧空気軸受けパッド13が備えられており、移動体4は静圧空気軸受けパッドでベース1によってZ軸方向(図1(b)において上方向)にガイドされて図1(a)に示すY軸方向、つまり、レール2に沿って移動する。
【0012】なお、同様に、移動体5にも静圧空気軸受けパッド12及び13が備えられており、移動体5はレール3に沿って移動可能となっている。
【0013】ビーム6は移動体4とリジット(例えば、ネジを用いて)に固定されており、一方、ビーム6は移動体5と板バネ構造によって連結されている。
【0014】ビーム6に移動体14が配置されており、移動体14はビーム6をガイドとして、図1(a)のX軸方向に移動する。図1(b)に示すように、ベース1と移動体14との間には静圧空気軸受けパッド14a乃至14cが配置されている。つまり、移動体14には静圧空気軸受けパッド14a乃至14cが取り付けられており、移動体14は静圧空気軸受けパッド14a乃至14cによってベース1に対してZ軸方向をガイドされて、X軸方向に移動する。
【0015】図1(a)に示されているように、移動体14はビーム6を跨ぐようにしてビーム6上に配置されており、移動体14にはビーム6に対して直角にベース1に対して平行に延びる一対のフランジ部141が形成されている。つまり、移動体14にはY軸方向に延在するフランジ部141が形成されており、このフランジ部141はビーム6の外側に位置する。そして、フランジ部141には静圧空気軸受けパッド14a乃至14cが取り付けられている(図1(a)に示す例では、図中下側に位置するフランジ部141に静圧空気軸受けパッド14a及び14bが取り付けられ、図中上側に位置するフランジ部141に静圧空気軸受けパッド14cが取り付けられている。
【0016】ビーム6の中央部において、その下面には静圧空気軸受けパッド15が取り付けられ、この静圧空気軸受けパッド15はベース1に当接している。そして、静圧空気軸受けパッド15によって、ビーム6が支えられている。つまり、静圧空気軸受けパッド15は、移動体14の移動を妨げることなく、X軸方向及びY軸方向の全ストロークに亘ってビーム6に追従しつつビーム6の自重を受け持っており、ビーム6と移動体5の締結部等に無理な負荷を掛けないようにビーム6を保持している。
【0017】図2を参照して、本発明によるステージ機構の他の例について説明する。なお、図2において、図1R>1と同一の構成要素については、同一の参照番号を付し、説明を省略することとする。
【0018】図示の例は、レール2のみがベース1上に配設されており、このレール2上には移動体4が配置されている。前述のように、移動体4にはビーム6の一端部がリジットに固定されており、移動体4には静圧空気軸受けパッド12が備えられており、レール2と移動体4との間には静圧空気軸受けパッド12が介在している。この静圧空気軸受けパッド12によって移動体4はX軸方向にガイドされている。さらに、移動体4には静圧空気軸受けパッド13が備えられており、移動体4は静圧空気軸受けパッドでベース1によってZ軸方向にガイドされて、Y軸方向、つまり、レール2に沿って移動する。
【0019】ビーム6の他端部にはY軸方向に延びる腕部材17が取り付けられている。腕部材17の下面にはY軸方向に所定の間隔をおいて静圧空気軸受けパッド17a及び17bが取り付けられており、腕部材17は、静圧空気軸受けパッド17a及び17bを介してベース1に当接している。
【0020】ビーム6の中央部において、その下面には静圧空気軸受けパッド18a及び18bがビーム6の幅方向(Y軸方向)所定の間隔をおいて取り付けてもよく、これら静圧空気軸受けパッド18a及び18bはベース1に当接している。そして、静圧空気軸受けパッド18a及び18bによって、ビーム6が支えられている。つまり、静圧空気軸受けパッド18a及び18bは、移動体14の移動を妨げることなく、X軸方向及びY軸方向の全ストロークに亘ってビーム6に追従しつつビーム6の自重を受け持っている。なお、一対の静圧空気軸受けパッド18a及び18bをビーム6に取り付けることによって、ビーム6のX軸に対する回転、つまり、ねじれを防止することができる。
【0021】また、一対の静圧空気軸受けパッド18a及び18bをX軸方向に所定の間隔をおいて取り付けることによって、ビーム6のたわみを防止することができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では静圧空気軸受けパッドをビームの中央部に配置して、ビームの中央部でベースに対してビームを支持するようにしたから、ガイド構造体、つまり、容易にビームのたわみ及びねじれを防止することができ、移動体をスムースに移動させることができるという効果がある。
【0023】さらに、ビームのたわみ等を心配する必要がないので、組み立て調整に要する時間が削減でき、コストダウンがはかれるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるステージ機構の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明によるステージ機構の他の例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】従来のステージ機構の一例を示す図である。
【図4】従来のステージ機構の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 ベース
2,3 レール
4,5,14 移動体
6 ビーム
8 板バネ
12,13,15 静圧空気軸受けパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベースの上方に所定の間隔をおいて位置し予め定められた方向に延びるビームと、該ビームをガイドとして前記ビームに沿って移動する移動体とを有し、前記移動体には前記ビームの外側に突出する位置で前記ベースに当接する少なくとも3つの移動体用静圧空気軸受けパッドが配設されており、前記ビームには前記ベースとの間に介在して一つのビーム用静圧空気軸受けパッドが取り付けられ、該ビーム用静圧空気軸受けパッドは前記予め定められた方向及びこれに直交する方向に関して前記ビームの中央部に取り付けられていることを特徴とするステージ機構。
【請求項2】 請求項1に記載されたステージ機構において、前記ベース上に所定の間隔をおいて配設され前記予め定められた方向に直交する直交方向に延びる第1及び第2のレールが配設され、前記第1及び前記第2のレールにはそれぞれ前記第1及び前記第2のレールに沿って移動する第1及び第2の移動体が配置されており、前記ビームは前記第1及び前記第2の移動体と連結したことを特徴とするステージ機構。
【請求項3】 請求項に記載されたステージ機構において、前記ベース上には前記予め定められた方向に直交する直交方向に延びるレールが配設され、前記レールにはレールに沿って移動する移動体が配置されており、前記ビームの一端は前記移動体に固定され前記ビームの他端には前記レール方向に延びる腕部が固定されており、前記腕部は腕部用静圧空気軸受けパッドを介して前記ベースに当接し、前記ビームの中央部には前記直交方向に所定の間隔をおいて一対のビーム用静圧空気軸受けパッドが配設されていることを特徴とするステージ機構。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【特許番号】特許第3458227号(P3458227)
【登録日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【発行日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−167135
【出願日】平成11年6月14日(1999.6.14)
【公開番号】特開2000−356693(P2000−356693A)
【公開日】平成12年12月26日(2000.12.26)
【審査請求日】平成12年7月27日(2000.7.27)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【参考文献】
【文献】特開 平1−188242(JP,A)
【文献】特開 平7−285044(JP,A)