説明

ストップ機構付きのドアクローザ

【課題】良好な外観体裁を確保しつつ確実にストップ機構の機能を解除することができるストップ機構付きのドアクローザを提供する。
【解決手段】操作軸35は、バネ支持体33の伸長部42の被規制部43に当接してバネ支持体33のリンクアームの他端部側への移動を阻止する規制部50を備えている。操作軸35の規制部50がバネ支持体33の移動を阻止している状態から操作軸35を半回転を超えない範囲で回転させると、バネ支持体33の伸長部42の移動に対して干渉しないように操作軸35の規制部50がバネ支持体33の伸長部42を回避する姿勢となり、コイルバネ32によってバネ支持体33が移動してストップ機構が機能解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を所定の開き角度に保持するためのストップ機構を備えたドアクローザに関し、特に、ストップ機構の機能を解除できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉を所定の開き角度に保持するためのストップ機構を備えたドアクローザにおいて、該ストップ機構の機能を解除できるように構成されたものが存在する。これは、施工時においては例えば荷物等の運搬のために扉を開扉状態に保持しておく必要がある一方、施工後においては、防災上の観点等から扉が開扉状態に保持されないようにする必要があるためである。更に、施工後において、ストップ機構の機能を解除した後に、再びユーザー等によってストップ機構の機能を復帰させることができない構造が要求される。該構造について本出願人は先に下記特許文献1のような構造を提案している。
【0003】
この下記特許文献1のドアクローザにおいては、例えばコイルバネを圧縮状態に保持していたネジをリンクアームから取り外すことによってコイルバネの圧縮状態を解き、これによってストップ機構の機能を解除するようになっている。しかしながら、ネジを取り外すことによって、リンクアームには孔が空いた状態となるため、外観上好ましくない。
【0004】
一方、下記特許文献2には、ストップ機構の機能を解除する際に切替回動軸を180度回転操作するという構成が記載されている。この構成では、コイルバネを支持する支持部材が切替回動軸における断面半円状の部分に当接する構成となっている。ストップ機構の作動状態では支持部材は切替回動軸における断面半円状の部分の周面に当接してコイルバネを圧縮状態としている。そして、切替回動軸を180度回転させると、支持部材が切替回動軸の平坦面に当接することになり、これによってコイルバネが解放されてストップ機構の機能が解除される。
【0005】
かかる下記特許文献2の場合、切替回動軸を回転操作する構成であるので、下記特許文献1のようにリンクアームに孔が空いた状態にはならず、従って外観体裁が悪化することがない。しかしながら、下記特許文献2の場合には、切替回動軸に支持部材が当接する箇所を周面から平坦面へと切り替える構成であるため、その構造上、支持部材の移動距離が短く、当接する箇所を平坦面へと切り替えたとしてもコイルバネを十分に解放できない可能性がある。即ち、ストップ機構の機能を確実に解除できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−348552号公報
【特許文献2】特開2007−284983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、良好な外観体裁を確保しつつ確実にストップ機構の機能を解除することができるストップ機構付きのドアクローザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るストップ機構付きのドアクローザは、リンクアームの一端部にブラケット等の構成部材が相対回転可能に連結され、該リンクアームと構成部材の相対回転を止めることによって扉を所定の開き角度に保持するストップ機構として、構成部材側にはストッパ用カムが設けられ、リンクアームの筒状部には、ストッパ用カムの係合凹部に係合する係合ボールと、該係合ボールをストッパ用カムに向けて付勢するコイルバネとが内蔵されているストップ機構付きのドアクローザにおいて、コイルバネをリンクアームの他端部側から支持するバネ支持体がリンクアームの筒状部に軸線方向に移動可能に設けられ、バネ支持体に対してリンクアームの他端部側の位置には、操作軸がリンクアームの軸線方向と直交する方向の軸線を中心として回転可能に設けられ、バネ支持体は、コイルバネの弾発力を受ける支持部と、該支持部からリンクアームの他端部側に伸びる伸長部とを備え、操作軸は、バネ支持体の伸長部の被規制部に当接してバネ支持体のリンクアームの他端部側への移動を阻止する規制部を備え、操作軸の規制部がバネ支持体の移動を阻止している状態から操作軸を半回転を超えない範囲で回転させると、バネ支持体の伸長部の移動に対して干渉しないように操作軸の規制部がバネ支持体の伸長部を回避する姿勢となってストップ機構が機能解除されることを特徴とする。
【0009】
該構成のストップ機構付きのドアクローザにあっては、操作軸を回転操作することによってストップ機構の機能を解除することができるのであるが、初期状態においては、操作軸の規制部がバネ支持体の伸長部の被規制部に当接していて、バネ支持体のリンクアームの他端部側への移動を阻止した状態にある。従って、コイルバネによって係合ボールがストッパ用カム側に付勢されることになり、ストップ機構は正規に機能する。そして、施工が完了した段階等において操作軸を半回転を超えない範囲で回転させると、操作軸の規制部はバネ支持体の伸長部の移動進路に対して直交する方向に回避する。即ち、操作軸の規制部はバネ支持体の伸長部を回避する姿勢となり、操作軸の規制部によるバネ支持体の移動規制が解除され、バネ支持体はコイルバネに押されてリンクアームの他端部側へ移動し、ストップ機構の機能が解除される。また、ストップ機構の機能が一旦解除されると、操作軸を元の位置に回転操作しようとしても、リンクアームの他端部側に既に移動した状態にあるバネ支持体の伸長部によって操作軸の回転が阻止されるので、ストップ機構を復帰させることはできない。
【0010】
特に、バネ支持体の伸長部の被規制部は、ストップ機構を機能解除した状態において、操作軸よりもリンクアームの他端部側に位置することが好ましい。バネ支持体の伸長部の被規制部が操作軸を通過してリンクアームの他端部側に位置する構成とすることによって、バネ支持体の移動量を十分に確保でき、ストップ機能を確実に解除することができる。
【0011】
更に、リンクアームは、筒状部を有してリンクアームの一端部側の部分を構成するアーム本体と、該アーム本体の筒状部に螺入されてリンクアームの他端部側の部分を構成するアジャストリンクとを備えて、該アジャストリンクの筒状部への螺入量を調整することによって全長を伸縮調整できる構成とされている場合においては、アジャストリンクのアーム本体側の端面に、バネ支持体の伸長部の先端部が入ることのできる凹部が形成されていることが好ましい。アジャストリンクの筒状部への螺入量を増加させてリンクアームの全長を短くした場合においても、アジャストリンクのアーム本体側の端面の凹部にバネ支持体の伸長部の先端部が入ることができる。従って、アジャストリンクのアーム本体の端面に規制されてバネ支持体の移動量が不十分になるということがなく、確実にストップ機構を機能解除することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、操作軸がリンクアームに残る構成であるので、ストップ機構を解除しても良好な美観を維持することができる。また、ストップ機構の機能解除時において操作軸の規制部がバネ支持体の伸長部に対して回避する姿勢となるので、バネ支持体の移動量を長くすることができ、ストップ機構を確実に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態におけるストップ機構付きのドアクローザを示す一部断面を含む正面図。
【図2】同ドアクローザを示す一部断面を含む平面図。
【図3】同ドアクローザにおいてストップ機構の機能解除前の状態を示す断面図であって、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図4】同ドアクローザにおいてストップ機構の機能解除後の状態を示す断面図であって、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図5】図4(b)からアジャストリンクを移動させた状態を示す正面図。
【図6】本発明の他の実施形態におけるストップ機構付きのドアクローザの要部を示す正面図であって、(a)はストップ機構の機能解除前の状態を示し、(b)はストップ機構の機能解除後の状態を示す。
【図7】本発明の他の実施形態におけるストップ機構付きのドアクローザの要部を示す正面図であって、(a)はストップ機構の機能解除前の状態を示し、(b)はストップ機構の機能解除後の状態を示す。
【図8】本発明の他の実施形態におけるストップ機構付きのドアクローザの要部を示す正面図であって、(a)はストップ機構の機能解除前の状態を示し、(b)はストップ機構の機能解除後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるストップ機構付きのドアクローザについて図1〜図5を参酌しつつ説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態におけるドアクローザは、扉枠の上枠に下方からネジ止めされるブラケット1と、該ブラケット1に上下方向の軸線を中心としてその一端部が回転可能に連結されたリンクアーム2と、該リンクアーム2の他端部に上下方向の軸線を中心としてその一端部が回転可能に連結されたメインアーム3と、該メインアーム3の他端部に駆動軸が連結されて扉に取り付けられるドアクローザ本体(図示省略)とを備えている。また、ブラケット1とリンクアーム2の相対回転を止めることによって扉を所定の開き角度に保持できるストップ機構を備えている。
【0015】
図1に示すように、ブラケット1には支軸4が固定されている。該支軸4は、上側部分が大径で下側部分が小径に形成されていて、下側部分に板状のストッパ用カム5が回転可能に支持されている。支軸4の段差部にはセレーションが形成されていて、ストッパ用カム5の上面に形成されたセレーションと噛み合うことにより、支軸4に対するストッパ用カム5の相対回転が不能となる。一方、セレーションの噛み合いを解くとストッパ用カム5が支軸4に対して相対回転可能となり、支軸4に対するストッパ用カム5の角度を変更することによって扉を保持する際の開き角度を任意に変更することができるようになっている。尚、支軸4には下方から固定ネジ6が螺入されており、該固定ネジ6を緩めることでセレーションの噛み合いを解除することができる。また、ストッパ用カム5の下方には筒体7が上下に移動可能に設けられていて、固定ネジ6を締め付けることで筒体7はストッパ用カム5の下面に押しつけられてこれと一体となる。
【0016】
リンクアーム2は、その一端部側を構成するアーム本体10と、他端部側を構成するアジャストリンク11とを備えている。アーム本体10は、筒状部20と該筒状部20の一端開口部から伸びて上下に二股状に分岐した二股状部21とから構成されている。筒状部20の内周面の他端部側の所定領域には雌ねじ部22が形成され、アジャストリンク11の外周面の一端部側の所定領域には雄ねじ部23が形成されており、アジャストリンク11の一端部側がアーム本体10の筒状部20の他端開口部から螺入されている。該アジャストリンク11のアーム本体10への螺入量を調整することにより、リンクアーム2の全長を伸縮調整できるようになっている。
【0017】
一方、アーム本体10の二股状部21は、それぞれ支軸4の上側部分と筒体7に軸支されており、二股状部21の上下間に前記ストッパ用カム5が位置している。そして、筒状部20には、一端開口部側から順に、係合ボール30と、受圧体31と、コイルバネ32と、バネ支持体33が軸線方向に移動可能に内蔵されている。係合ボール30は、金属製であって、コイルバネ32によって付勢されることにより筒状部20の一端開口部からその一部が表出するように設けられていて、扉を所定の開き角度に保持する際に、図1及び図2のように前記ストッパ用カム5に形成された係合凹部5aに係合する。受圧体31は、コイルバネ32と係合ボール30との間に位置して、コイルバネ32の弾発力を受けてそれを係合ボール30に作用させるように設けられている。該受圧体31は、コイルバネ32の一端面に当接する円盤状の受圧部31aと、該受圧部31aより小径の円柱状であって受圧部31aからリンクアーム2の軸線方向他端部側に伸びて、コイルバネ32の内側に挿入される挿入支持部31bとから構成されている。尚、受圧体31も係合ボール30と同様に金属製であり、従って、両者の衝突音を防止するために、受圧体31と係合ボール30との間には樹脂製のワッシャー34を介在させていて、係合ボール30が直接受圧体31に当接しないようにしている。但し、このワッシャー34を省略してもよい。
【0018】
そして、コイルバネ32の他端面に当接するように前記バネ支持体33が設けられている。該バネ支持体33も受圧体31と共に圧縮状態のコイルバネ32からその弾発力を受ける。従って、バネ支持体33はコイルバネ32の弾発力によってリンクアーム2の他端部側に移動しようとしているが、そのバネ支持体33の移動を阻止すべくリンクアーム2には操作軸35が装着されている。以上のようなストッパ用カム5、係合ボール30、受圧体31、コイルバネ32、バネ支持体33、操作軸35からストップ機構が構成されている。
【0019】
次に、バネ支持体33と操作軸35について更に図3及び図4を用いて説明すると、バネ支持体33は、コイルバネ32に対してリンクアーム2の他端部側に位置していて、操作軸35は、更に、バネ支持体33よりもリンクアーム2の他端部側に位置している。バネ支持体33は、全体として円柱状であって、図3(b)のように水平方向から見て上下方向中央部には水平方向のスリット40が形成され、該スリット40によってバネ支持体33はその操作軸35側の大部分の領域が上下に二股状に分岐している。即ち、スリット40は、操作軸35側の他端部からコイルバネ32側の一端部に向けて形成されており、バネ支持体33は、スリット40が形成されていない領域である一端部側の支持部41と、スリット40を介して上下一対形成されて支持部41からリンクアーム2の他端部側に向けて伸びる伸長部42とを備えている。支持部41は、コイルバネ32の他端面に当接してその弾発力を受け止める。また、上下一対の伸長部42の先端部には、リンクアーム2の軸線方向と直交する平坦面となった被規制部43が設けられ、該被規制部43が操作軸35の規制部50に当接する。上下一対の伸長部42における被規制部43の外側にはそれぞれリンクアーム2の他端部側に向けて突出する突出部44が形成されている。該突出部44は、図3(a)のように、伸長部42の他の部分よりも左右方向の寸法が小さい。
【0020】
また、操作軸35は、リンクアーム2の軸線方向と直交する方向に装着されてその軸線を中心として回転できるようにアーム本体10に軸支されている。具体的には、操作軸35には雄ねじ部が形成されてアーム本体10を水平方向に貫通するように螺着されており、両端面にはマイナスのネジ回しを差し込むためのマイナス溝51がそれぞれ形成されている。従って、操作軸35はマイナスのネジ回しを使用することによってその軸線回りに回転できる。また、操作軸35の軸線方向中央部は筒状部20の内側空間に位置するが、その軸線方向中央部は、外周面の180度対向した二カ所が互いに平行となるように平坦にカットされて断面視略長方形の細軸状とされている。該細軸状の部分は、ストップ機構の機能が解除される前の初期状態において、バネ支持体33の伸長部42の被規制部43に当接してバネ支持体33のリンクアーム2の他端部側への移動を阻止する規制部50を構成している。即ち、図3(b)のように、細軸状の規制部50における両平坦面52がリンクアーム2の軸線方向と直交する方向となって、両平坦面52のうちの一方にバネ支持体33における上下一対の伸長部42の被規制部43が当接する。尚、上述したバネ支持体33における一対の突出部44は、操作軸35の規制部50の外側(操作軸35の中心に対して径方向外側)に位置し、操作軸35に対してバネ支持体33がリンクアーム2の軸線方向と直交する方向に位置ずれしないように規制する。従って、両突出部44間の離間距離は、操作軸35の規制部50における太い方の寸法(即ち操作軸35の外周面の直径)と略等しいかそれよりも若干長く設定されている。
【0021】
更に、操作軸35の規制部50における細い方の寸法(即ち規制部50における両平坦面52間の寸法)は、上述したバネ支持体33のスリット40の幅よりも細くなっている。従って、図3の初期状態から操作軸35を何れかの方向に90度回転させると、図4に示すように、操作軸35の規制部50は、バネ支持体33の伸長部42の移動進路に対して直交する方向に回避するようにバネ支持体33のスリット40に相対的に係入する。即ち、操作軸35の規制部50はバネ支持体33の両伸長部42を回避する姿勢となり、この姿勢変化により操作軸35の規制部50によるバネ支持体33の移動規制が解除される。そして、バネ支持体33の伸長部42の移動に対して操作軸35の規制部50が干渉しないため、バネ支持体33はコイルバネ32の弾発力によってリンクアーム2の他端部側に移動し、コイルバネ32は圧縮されていない自由長の状態となる。従って、係合ボール30はコイルバネ32によって押圧付勢されなくなり、ストップ機構の機能が解除される。
【0022】
尚、操作軸35は、アーム本体10の筒状部20における雌ねじ部22が形成された領域に装着されている。そのため、図5のようにアジャストリンク11をアーム本体10にねじ込んでいった際にアジャストリンク11の端面11aとバネ支持体33の伸長部42とが当接しないように、アジャストリンク11の端面11aにはバネ支持体33の伸長部42の先端部が入り込むことのできる凹部12が形成されている。該凹部12は、円柱状であってアジャストリンク11の中央に形成されている。また、アジャストリンク11の凹部12にバネ支持体33の伸長部42が係入できるように、バネ支持体33の他端部側の外径は一端部側の外径よりも小径に形成されている。
【0023】
以上のように構成されたドアクローザは、施工前の初期状態(出荷時)には、図1〜図3に示すように操作軸35の規制部50によってバネ支持体33の移動が阻止された状態にあって、コイルバネ32は所定の圧縮状態にあり、ストップ機構はその機能を発揮しうる作動状態となっている。従って、ドアクローザを取り付けた状態において扉を所定の開き角度に保持することができ、例えば室内への物品搬入等の作業を楽に行うことができる。
【0024】
そして、作業終了後に、操作軸35を何れかの方向に90度回転させると、ストップ機構の機能を解除することができる。操作軸35は水平方向に伸びていてリンクアーム2の筒状部20の外周面から表出している両端面にはマイナス溝51が形成されているので、取り付けた状態において左右何れの方向からでも容易に操作軸35を回転操作することができる。しかも、約1/4回転という小さい回転角度で済むので、ストップ機構の切替操作が極めて簡単で、素早く切替作業を行うことができる。更に、操作軸35を時計回り、反時計回りの何れの方向に回転させてもよいので、その点でも作業が楽である。また、操作軸35にマイナス溝51が形成されていて、且つ、その操作軸35を90度回転させてストップ機構の機能を解除する構成となっているので、ストップ機構が機能解除されているか否かを、操作軸35のマイナス溝51の向きによって容易に目視判別できる。そして、操作軸35を回転させるのみであってリンクアーム2から操作軸35が除去されないので、リンクアーム2の表面に孔が空くということがなく、ストップ機構を機能解除した後の通常の使用状態においても良好な美観が保たれる。
【0025】
その一方、操作軸35をネジタイプとしてリンクアーム2にねじ込んで装着する構成であるので、操作軸35の装着作業も容易であり、両端部が対称形状となっているので、組み立て作業時に操作軸35の挿入の向きに注意を払う必要がない。更に、細軸状の規制部50にはバネ支持体33の伸長部42に当接できる平坦面52が180度対向して二面形成されていて、何れの平坦面52を当接させることもできる。従って、平坦面52が一面の場合に比して組み立て作業が容易である。また、組み立て作業時にもマイナス溝51の向きを見ながら操作軸35の角度を容易に設定できる。更に、操作軸35の規制部50は外周面をカットした形状となっているので、その加工も容易であって安価に製造することができると同時に、リンクアーム2のネジ孔に螺着させるだけで済むので、ドアクローザの組み立ても容易である。
【0026】
また、図3に示す初期状態において、バネ支持体33の一対の伸長部42が共に操作軸35の規制部50に当接する構成であって操作軸35に回転モーメントが作用しないようになっているので、輸送時の振動等によって操作軸35が不用意に回転するおそれもなく、安定している。
【0027】
そして、図4のように、ストップ機構を解除すべく操作軸35を回転させると、バネ支持体33のスリット40に操作軸35の規制部50が入り込むようになるので、バネ支持体33が長い距離を移動することができ、コイルバネ32の弾発力を十分に減少させることができる。特に、コイルバネ32が自由長になるまでバネ支持体33が操作軸35の規制部50に干渉せずに移動するので、ストップ機構の機能が確実に解除される。また、バネ支持体33の伸長部42の被規制部43が操作軸35を通過してリンクアーム2の他端部側に位置する構成であるので、バネ支持体33の十分な移動量を確保できると同時に、ストップ機構の機能解除前の初期状態においてコイルバネ32を十分に圧縮させることができる。
【0028】
更に、バネ支持体33の移動量が大きくても、図5のようにアジャストリンク11の端面11aには凹部12が形成されていてバネ支持体33の伸長部42の先端部が進入できるので、リンクアーム2の全長を短く設定した場合でも確実にストップ機構を機能解除することができる。
【0029】
また、ストップ機構を機能解除した状態において操作軸35を仮に元の状態まで回転操作しようとしても、操作軸35の規制部50がスリット40内に位置していてその回転が両伸長部42によって阻止されている。従って、一旦解除したストップ機構を再び作動状態に復帰させることはできない。
【0030】
尚、本実施形態では、伸長部42をスリット40を介して一対形成したが、図6のように、伸長部42を一つのみにしてもよい。また、同図のように、操作軸35の規制部50を断面略半円状とするなどして平坦面52を一面のみとしてもよい。
【0031】
また、図7のように操作軸35に貫通孔53を設けて操作軸35の外周部分を規制部50とし、操作軸35を回転させることによって操作軸35の貫通孔53にバネ支持体33の伸長部42が入ると共に、伸長部42が操作軸35を貫通する構成としてもよい。この場合、バネ支持体33の中央に伸長部42を設けているので、アジャストリンク11の凹部12を小径化することも可能である。尚、操作軸35の貫通孔53の入り口をテーパ状とするなどして伸長部42の先端がより一層スムーズに入るようにしてもよい。更に、図8のように操作軸35の外周部分を一部のみ残して他の部分をカットし、残った外周部分を規制部50として伸長部42の被規制部43が当接するようにしてもよい。
【0032】
また更に、操作軸35を水平方向に装着したが、上下方向に装着したり斜め方向に装着してもよく、リンクアーム2の軸線方向と直交する方向であればよい。
【0033】
尚、ブラケット1とリンクアーム2の接続構造等についても種々変更可能であって、例えば、ストッパ用カム5がブラケット1に対して回転しないように固定あるいは一体構造として、扉の開き角度が一定である構造としてもよい。また、ブラケット1の扉枠への取り付け方向や取り付け構造を含め、その構成についても種々変更可能である。
【0034】
また、ストップ機構をリンクアーム2とブラケット1(構成部材)との間の相対回転を止めるように構成したが、リンクアーム2とメインアーム3(構成部材)との間の相対回転を止めるように構成してもよい。その場合には、アーム本体10がメインアーム3側に位置してアジャストリンク11がブラケット1側に位置するようにリンクアーム2を設けて、メインアーム3にストッパ用カム5を設ける。
【符号の説明】
【0035】
1 ブラケット
2 リンクアーム
3 メインアーム
4 支軸
5 ストッパ用カム
5a 係合凹部
6 固定ネジ
7 筒体
10 アーム本体
11 アジャストリンク
11a 端面
12 凹部
20 筒状部
21 二股状部
22 雌ねじ部
23 雄ねじ部
30 係合ボール
31 受圧体
31a 受圧部
31b 挿入支持部
32 コイルバネ
33 バネ支持体
34 ワッシャー
35 操作軸
40 スリット
41 支持部
42 伸長部
43 被規制部
44 突出部
50 規制部
51 マイナス溝
52 平坦面
53 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンクアームの一端部にブラケット等の構成部材が相対回転可能に連結され、該リンクアームと構成部材の相対回転を止めることによって扉を所定の開き角度に保持するストップ機構として、構成部材側にはストッパ用カムが設けられ、リンクアームの筒状部には、ストッパ用カムの係合凹部に係合する係合ボールと、該係合ボールをストッパ用カムに向けて付勢するコイルバネとが内蔵されているストップ機構付きのドアクローザにおいて、
コイルバネをリンクアームの他端部側から支持するバネ支持体がリンクアームの筒状部に軸線方向に移動可能に設けられ、
バネ支持体に対してリンクアームの他端部側の位置には、操作軸がリンクアームの軸線方向と直交する方向の軸線を中心として回転可能に設けられ、
バネ支持体は、コイルバネの弾発力を受ける支持部と、該支持部からリンクアームの他端部側に伸びる伸長部とを備え、操作軸は、バネ支持体の伸長部の被規制部に当接してバネ支持体のリンクアームの他端部側への移動を阻止する規制部を備え、
操作軸の規制部がバネ支持体の移動を阻止している状態から操作軸を半回転を超えない範囲で回転させると、バネ支持体の伸長部の移動に対して干渉しないように操作軸の規制部がバネ支持体の伸長部を回避する姿勢となってストップ機構が機能解除されることを特徴とするストップ機構付きのドアクローザ。
【請求項2】
バネ支持体の伸長部の被規制部は、ストップ機構が機能解除した状態において、操作軸よりもリンクアームの他端部側に位置する請求項1記載のストップ機構付きのドアクローザ。
【請求項3】
リンクアームは、筒状部を有してリンクアームの一端部側の部分を構成するアーム本体と、該アーム本体の筒状部に螺入されてリンクアームの他端部側の部分を構成するアジャストリンクとを備えて、該アジャストリンクの筒状部への螺入量を調整することによって全長を伸縮調整できる構成とされ、アジャストリンクのアーム本体側の端面には、バネ支持体の伸長部の先端部が入ることのできる凹部が形成されている請求項2記載のストップ機構付きのドアクローザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−122368(P2011−122368A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281223(P2009−281223)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)