説明

ストロボ発光装置

【課題】 外部から衝撃が加えられたとき、ケース内に収納したストロボ光源の端子にかかる衝撃を緩和できるストロボ発光装置を提供する。
【解決手段】 ストロボ発光装置1は、給電される端子21a、21bを有するストロボ光源としてのキセノン管2と、正面側が開口して端子21a、21bを含むキセノン管2全体を収納したケース3とを備える。ケース3には、キセノン管2への衝撃を緩和するための緩衝部3a、3b、31、32を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロボ発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キセノンガスをガラス管に注入したキセノン管が発生する光を光源とするストロボ発光装置が知られている。
【0003】
このようなキセノン管には、両端に給電される端子を有しており、この端子を外部と給電させる電極に、半田付けなどで固定される。
【0004】
一般に、キセノン管のガラス管と端子との接続部分は、外部からの衝撃に弱い。特にガラスと金属製の電極とが接合する封止部位は強度が弱く、伸縮や捻れの応力により破損すると、封止不良でキセノンガスの漏れ等を生じてしまう。
【0005】
そこで、キセノン管に作用する衝撃によってキセノン管が損傷することを防止するために、弾性形状の電極端子を用いた衝撃吸収構造が提案されている(特許文献1)。
【0006】
これによれば、キセノン管の端子が弾性形状の電極端子に当接しているため、電極端子の弾性力によってキセノン管に作用する衝撃を吸収している。
【0007】
特許文献1のようなストロボ発光装置では、内側表面が高反射率のケースにキセノン管を挿入している。挿入したキセノン管の両端はケースから突出し、この突出した両端の端子と導電用の電極とが半田付けされている。このような形状のストロボ発光装置を製造する場合には、キセノン管をケースに設けられた孔に挿入する必要がある。
【0008】
ストロボ発光装置のケースの他の形状としては、正面側に開口部が設けられた形状にし、この開口部に端子を含むキセノン管全体を収納するものが考えられる。このような形状のケースでは、開口部にキセノン管を上から入れるだけでよくなり、キセノン管をケースに設けられた孔に挿入するよりも、製造、特にライン工程の自動化による製造の作業性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−138445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、キセノン管の両端の端子もケース内に収納されて固定される、すなわち、キセノン管が直接的にケースに固定されるため、例えば、落下等によりケースに応力が生じた場合、その力がキセノン管に直接作用してしまう。また、キセノン管の両端の端子がケース内に収納されて固定される構造の場合には、特許文献1のような弾性的な電極を使用して衝撃を緩和することが難しい。
【0011】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたものであり、外部から衝撃が加えられたとき、ケース内に収納したストロボ光源の端子にかかる衝撃を緩和できるストロボ発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、給電される端子を有するストロボ光源と、正面側が開口して前記端子を含むストロボ光源全体を収納したケースとを備え、前記ケースに前記ストロボ光源への衝撃を緩和するための緩衝部を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、給電される端子を含むストロボ光源全体が収納されたケースの正面側が開口している。また、ケースに設けられた緩衝部によって、ストロボ光源の端子への衝撃を緩和することができる。従って、外部からの衝撃に対してストロボ光源の端子にかかる衝撃を緩和することができる。
【0014】
本発明において、前記ケースは前記緩衝部として可撓性を有する腕部を有することが好ましい。これによれば、衝撃がケースに加えられたとき、腕部がたわむことによって衝撃を緩和することができる。
【0015】
本発明において、前記緩衝部に弾性体を付加したことが好ましい。これによれば、緩衝部に付加した弾性体の弾性力によってより大きな衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のストロボ発光装置1の構成を示す図。
【図2】図1のストロボ発光装置1の長さ方向断面図。
【図3】第1実施形態のストロボ発光装置1を構成する部材を示す分解斜視図。
【図4】第2実施形態のストロボ発光装置1の緩衝部の拡大図。
【図5】第3実施形態のストロボ発光装置1を構成する部材を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図1〜図3を参照して、本発明の第1実施形態のストロボ発光装置について説明する。
【0018】
図示のように、ストロボ発光部1は、ストロボ光源としてキセノン管2を備える。キセノン管2は、発光に必要な電力が供給される端子として、両端の電極端子21a、21bと、管の外周面に形成されたトリガ電極(図示省略)とを有する。これらの電極端子を含むキセノン管2全体が、正面側(図では、上面側)が開口したケース3内に収納されている。
【0019】
キセノン管2は、円柱状のガラス管で構成され、内部にキセノンガスが封入されている。ガラス管の外周表面には、発光のためのトリガ電圧を印加するトリガ電極を構成する透明電極が塗布されている。このように構成されるキセノン管2は、後述の給電回路から1対の端子21a、21b(両電極間)に高い電位差(例えば、50V以上)が生じた状態でトリガ電極にトリガ電圧が印加されることでストロボ発光する。キセノン管2が、本発明におけるストロボ光源に相当する。
【0020】
ケース3は、内面がリフレクタとしても機能するような形状で高反射率の樹脂部材でその外形が直方体形状に形成され、キセノン管2を収納可能なように正面側が開口しており、この開口からキセノン管2が発光した光を照射する。以下、ケース3の開口部の面を「ケース3の正面」とし、ケース3の正面とは反対側の面を「ケース3の背面」とする。
【0021】
また、キセノン管2のトリガ電極に接触する導電部材である金属反射板41で光反射板が形成されると共に、キセノン管2に電力を供給する給電回路の端子接続部43が形成されている。金属反射板41によって、キセノン管2の発光を反射することで、照射方向に対して、より強い光を反射することができる。
【0022】
更に、金属反射板41と給電回路の端子接続部43との間に、長さ方向に平行に延びた一対の導電性弾性部材42が配置される。各弾性部材は、導電加工された樹脂からなる。
【0023】
従って、ケース3に収納されたキセノン管2に対して、トリガ電圧は、給電回路の接続部43から弾性部材42及び金属反射板41を介して、トリガ電極に印加される。
【0024】
ケース3は、白色の樹脂でリフレクタを形成する。また、金属反射板41には、高反射率のアルミ板を使用できる。更に、導電性弾性部材42として金属細線入りのゴムコネクタを用いることができる。これは、例えば、弾性部材であるゴムの内部に導電性を有するスプリングが埋め込まれるか、或いは鉄粉を混ぜることで導電性を有するものとなる。これら金属反射板41、導電性弾性部材42及び接続部43は、蒸着による接着や接着材による接着などによって、ケース3に固定される。
【0025】
また、ケース3の底面中央部には、キセノン管2のトリガ電極と電気的に接続する給電回路の導電部44が形成されている。導電部44は、ケース3に穿設された貫通孔に銅などの導電体が詰められている。導電部44は、ケース3の内周側で接続部43に接続し、ケース3の外周側で回路基板50に固定されたコネクタ45に接続している。これにより、ケース3の外部電源からキセノン管2へ電力を供給する給電回路が構成されている。
【0026】
また、コネクタ45は、導電性を持ち且つ弾性力が発生するように形成されている。コネクタ45の図2の左右それぞれにゴムやばねの弾性力を持つ部材によって構成された弾性支持部材46a、46bが回路基板50に配置され、コネクタ45及び弾性支持部材46a、46bは、ケース3と接触している。
【0027】
このように、回路基板50からキセノン管2に対して供給されるトリガ電圧は、コネクタ45、導電部44、接続部43、導電性弾性部材42及び反射板41を介してトリガ電極に印加される。
【0028】
ケース3の長さ方向の両端には、腕部3aがケース3と一体に形成されている。ケース3は、正面側で腕部3aと繋っており、ケース3の長さ方向側面の背面側には、第1切欠部31が形成され、ケース3の幅方向側面の背面側には、第2切欠部32が形成されている。
【0029】
また、腕部3aの図2の下側の先端部は、ケース3の長さ方向側面に向かって突出する第1爪3bが形成されている。
【0030】
ケース3に外側から衝撃が加えられても、第1切欠部31又は第2切欠部32の空間に対して、腕部3aがたわむことによりケース3に収納されているキセノン管2への衝撃を緩和することができる。この腕部3aが、本発明における可撓性を有する腕部に相当する。
【0031】
以下、腕部3a、第1爪3b、第1切欠部31及び第2切欠部32によって構成される部分を緩衝部といい、緩衝部を除くケース3の部分を発光部という。腕部3a、第1爪3b、第1切欠部31及び第2切欠部32が、本発明における緩衝部に相当する。
【0032】
また、ケース3の発光部の長さ方向の側面には、ケース3を補強するためのリブ3cがケース3と一体に設けられている。
【0033】
腕部3a及び第1爪3bの表面には導電性の回路パターンが被着されており、接続部40a、40bは、この回路パターンと電気的に接続している。上述したように、接続部40a、40bは、キセノン管2の端子21a、21bと半田付けされて固定されている。すなわち、第1爪3bの表面に被着された回路パターンに電圧を供給することで、接続部40a、40bを介してキセノン管2の端子21a、21bに電圧を供給できる。
【0034】
上述したように、ケース3は樹脂製の部材によって構成されているため、腕部3a、第1爪3b及びリブ3cを一体に形成することが他の部材で形成するよりも容易になっている。更に、端子21a、21bを含むキセノン管2の全体を収納するようにケース3の正面を開口してあるため、ストロボ発光装置1を製造する過程においては、キセノン管2を上から入れるだけでよく、特許文献1に記載されているように、キセノン管をケースに設けられた孔に挿入するよりも、製造の作業性を向上させることができる。従って、製造コストを抑えることが可能である。
【0035】
以上のように構成されたケース3の正面とケース3の側面の照射方向側とを覆うように透光性を有するカバー61が配置される。このカバー61は、キセノン管2の光を透過可能であり、外部からキセノン管2に接触できないように保護している。
【0036】
カバー61は、ケース3と反対側の面に向かって凸部61aが設けられており、この凸部61aは、ストロボ発光装置の外周を形成するボディ62の中央部に設けられた穴63に嵌るように形成されている。
【0037】
回路基板50には、長方形の枠の形状で形成されたベース51が固定されており、ベース51の回路基板50とは反対側の面(図3の上方向)にケース3が配置されている。ベース51の四隅には、ケース3側に向かって第2爪51aがベース51と一体に形成されている。この第2爪51aは、第1爪3bと係着するように構成されている。すなわち、第1爪3bと第2爪51aとが係着することで、ケース3はベース51に結合される。
【0038】
第2爪51aの表面には、導電性の回路パターンが被着されており、回路基板50から電圧が供給可能になっている。更に、第1爪3bの回路パターンと第2爪51aの回路パターンとは接触している。すなわち、回路基板50から第2爪51aの回路パターンに電圧を供給することで、第1爪3bに電圧が供給できる。上述のとおり、第1爪3bに供給された電圧は、接続部40a、40bを介してキセノン管2の端子21a、21bに給電されるため、回路基板50からキセノン管2の端子21a、21bに給電可能となっている。
【0039】
以上のように給電される端子21a、21bを含むキセノン管2が収納された正面側が開口しているケース3は、ケース3の長さ方向又は幅方向の外部からの衝撃に対して、腕部3a及び第1爪3bがケース3の最初の接触部となる。この衝撃に対して、腕部3aが第1切欠部31又は第2切欠部32の空間にたわむことで、ケース3の発光部、特にキセノン管2の端子21a、21bに伝わる衝撃を緩和することができる。
【0040】
従って、樹脂製の部材によってケース3を一体成形し、端子21a、21bを含むキセノン管2全体をケース3に収納するようにしても、ケース3に緩衝部を設けることでキセノン管2の端子21a、21bに伝わる衝撃を緩和することができる。
【0041】
また、上述したように、ケース3を樹脂製の部材によって形成しているため、腕部3a、第1爪3b及びリブ3cを一体に形成することが他の部材で形成するよりも容易になっている。従って、キセノン管2の端子21a、21bへの衝撃を緩和しつつ、ケース3の製造コストを抑えることが可能である。
【0042】
また、ケース3の発光部の裏面方向の外部からの衝撃に対して、コネクタ45及び弾性支持部材46a、46bの弾性力によって、ケース3の発光部、特にキセノン管2の端子21a、21bに伝わる衝撃を緩和することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、ケース3の発光部の長さ方向側面に補強用のリブ3cが形成されているため、発光部と緩衝部とで剛性に差を持たせる事でキセノン管2への衝撃をより緩和することができる。
【0044】
腕部3aの形状は、本明細書に記載の形状に限定されるものではなく、別の形状であってもよい。
【0045】
第1爪3b及び第2爪51aの形状は、本明細書に記載の形状に限定されるものではなく、第1爪3bと第2爪51aとが係着することで、ケース3と回路基板50とが結合されるものであれば、別の形状であってもよい。
【0046】
また、第1切欠部31及び第2切欠部32の形状は、本明細書に記載の形状に限定されるものではなく、たわむことで衝撃を緩和できるものであれば別の形状であってもよい。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0048】
図4は、第2実施形態のケース3の緩衝部の拡大図である。
【0049】
第1実施形態のケース3の緩衝部との違いは、弾性体であるゴム33を第1切欠部31による空間に配置したことである。それ以外の構成は、第1実施形態と同じため説明を省略する。
【0050】
ゴム33を第1切欠部31に配置することで、第1実施形態に比べて、より大きなケース3の長さ方向への外部からの衝撃に対して、ケース3の発光部、特にキセノン管2の端子21a、21bに伝わる衝撃を緩和することができる。このゴム33が本発明における弾性体に相当する。
【0051】
[第3実施形態]
最後に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0052】
図5は、第3実施形態のストロボ発光装置1を構成する部材を示す分解斜視図である。第3実施形態では、ケース3の長さ方向両端に形成される緩衝部の形状と、ベース51の第2爪部の形状とが第1実施形態と異なる。
【0053】
ケース3の長さ方向の両端には、ケース3の背面側で繋がっている腕部7aが一体に形成されている。ケース3の長さ方向側面の正面側には、第3切欠部71が形成され、ケース3の幅方向側面の正面側には、第4切欠部72が形成されている。
【0054】
腕部7aの表面には、接続部40a、40bと電気的に接続する回路パターンが被着されている。
【0055】
ベース51には、短い辺(幅方向に長さを持つ辺)の中央部にケース3側に向かって第3爪8aがベース51と一体に形成されている。第3爪8aは、腕部7aの第4切欠部72側の側面に係着され、ケース3とベース51とが結合される。
【0056】
第3爪8aの表面には、導電性の回路パターンが被着されており、回路基板50から電圧が供給可能になっている。更に、腕部7aの回路パターンと第3爪8aの回路パターンとは接触している。すなわち、回路基板50から第3爪8aの回路パターンに電圧を供給することで、腕部7aに電圧が供給できる。腕部7aに供給された電圧は、接続部40a、40bを介してキセノン管2の端子21a、21bに給電されるため、回路基板50からキセノン管2の端子21a、21bに給電可能となっている。
【0057】
他の構成は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0058】
このように構成されることで、ケース3の長さ方向又は幅方向の外部からの衝撃に対して、腕部7a及び第1爪3bがケース3の最初の接触部となる。この衝撃に対して、腕部7aが第3切欠部71又は第4切欠部72の空間にたわむことで、ケース3の発光部、特にキセノン管2の端子21a、21bに伝わる衝撃を緩和することができる。
【0059】
第3実施形態では、腕部7a、第3切欠部71、及び第4切欠部72が、本発明における緩衝部に相当する。
【0060】
第1実施形態と同じ構成部分については、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【符号の説明】
【0061】
1…ストロボ発光装置、2…キセノン管(ストロボ光源)、21a,21b…端子、3…ケース、3a…腕部(緩衝部)、3b…第1爪(緩衝部)、31…第1切欠部(緩衝部)、32…第2切欠部(緩衝部)、33…ゴム(弾性体)、40a,40b…接続部、50…回路基板、51a…第2爪。7a…腕部(緩衝部)、71…第3切欠部(緩衝部)、72…第4切欠部(緩衝部)、8a…第3爪。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電される端子を有するストロボ光源と、正面側が開口して前記端子を含むストロボ光源全体を収納したケースとを備え、
前記ケースに前記ストロボ光源への衝撃を緩和するための緩衝部を設けたことを特徴とするストロボ発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストロボ発光装置において、前記ケースは前記緩衝部として可撓性を有する腕部を有することを特徴とするストロボ発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のストロボ発光装置において、前記緩衝部に弾性体を付加したことを特徴とするストロボ発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58326(P2012−58326A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199080(P2010−199080)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】