説明

スパークラー

【課題】火薬の燃焼中ないし燃焼後に赤熱スラグが落下するおそれのないスパークラーを提供する。
【解決手段】軸11に不燃材13を固着し、該不燃材の表面に火薬15を固着してなるスパークラーにおいて、該不燃材は低熱伝導性材料の高摩擦体であることを特徴とするスパークラー。高摩擦体は表面に凹凸を備えている。高摩擦体は砂である。軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、該火薬における先端部に火花が出ない別の火薬を固着したことを特徴とするスパークラー。軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、該火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去したことを特徴とするスパークラー。軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、該火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去すると共に当該除去した端部に火花が出ない別の火薬を固着したことを特徴とするスパークラー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸に火薬を固着してなるスパークラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
軸に火薬を固着してなるスパークラーは、従来より使用されている。以下、このスパークラーを「従来のスパークラー」という。
【0003】
本出願人は、実公平2−12473号公報において、軸(芯材)に不燃材を固着し、該不燃材の表面に火薬を固着してなる玩具花火(以下「従来の玩具花火」という。)を提供している。
【特許文献1】実公平2−12473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記従来のスパークラー及び上記従来の玩具花火においては、火薬の燃焼中ないし燃焼後に、粘性流体状の赤熱スラグが落下するおそれがある。赤熱スラグは、火薬中に混入されている鉄粉、アルミニウム粉末等の固形残渣である。
【0005】
赤熱スラグの落下は、特に内部に軸が存在しない火薬の先端部にしばしば見られる。
【0006】
即ち、図5は、軸1に火薬3を固着してなる従来のスパークラーを示すものであるが、この火薬3の先端部3aから赤熱スラグ5がしばしば落下する。もとより、火薬3における先端部3a以外の部分から赤熱スラグ5が落下することも往々にしてある。
【0007】
火薬の燃焼中ないし燃焼後に赤熱スラグが落下することは極めて危険である。即ち、例えば赤熱スラグがスパークラーの使用者ないし看者の足上に落下したときには、該使用者ないし看者が火傷を負うおそれがあり、また、該スパークラーを屋内で使用しているときに赤熱スラグが床上等に落下したときには火災が発生するおそれがある。
【0008】
このような状況に鑑み、本発明は、火薬の燃焼中ないし燃焼後に赤熱スラグが落下するおそれのないスパークラーを提供しようとしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は下記のスパークラーを提供する。
【0010】
(1)軸に不燃材を固着し、該不燃材の表面に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該不燃材は低熱伝導性材料の高摩擦体であることを特徴とするスパークラー(請求項1)。
【0011】
(2)前記高摩擦体は表面に凹凸を備えている(請求項2)。
【0012】
(3)前記高摩擦体は砂である(請求項3)。
【0013】
(4)軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該火薬における先端部に火花が出ない別の火薬を固着したことを特徴とするスパークラー(請求項4)。
【0014】
(5)軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去したことを特徴とするスパークラー(請求項5)。
【0015】
(6)軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去すると共に当該除去した端部に火花が出ない別の火薬を固着したことを特徴とするスパークラー(請求項6)。
【発明の効果】
【0016】
[請求項1の発明]
不燃材は高摩擦体であり、該高摩擦体が赤熱スラグを保持するため、火薬の燃焼中又は燃焼後において粘性流体状の赤熱スラグが落下するおそれはない。赤熱スラグは、火薬中に混入されている鉄粉、アルミニウム粉末等の固形残渣である。
【0017】
因みに、本発明者は、従来のスパークラー又は従来の玩具花火において火薬の燃焼中又は燃焼後に粘性流体状の赤熱スラグが落下するのは、針金若しくは木の如く摩擦抵抗の小さい軸に直接火薬を固着し、又は軸に固着した摩擦抵抗の小さい不燃材の表面に火薬を固着していることに起因することを見出している。
【0018】
また、高摩擦体は、低熱伝導性材料により形成されているため、火薬の燃焼による熱エネルギーを蓄積することなく発散させる。即ち、該高摩擦体は赤熱スラグの熱を発散させる結果、該赤熱スラグを短時間で冷却させる効果をも発揮する。
【0019】
[請求項2の発明]
高摩擦体は、表面に凹凸を備えているため、赤熱スラグを滴下させることなく該凹凸部に好ましく保持する。
【0020】
[請求項3の発明]
高摩擦体は砂であるため、安価であって、砂を軸に固着したときには赤熱スラグを保持する好ましい凹凸が形成される。
【0021】
[請求項4の発明]
火薬の先端部から赤熱スラグが落下する原因は、内部に軸が存在しない先端部が火花を発すると、その火花の勢いで該先端部が落下しやすくなるという点にもあるものと思われる。
【0022】
火薬における先端部に火花が出ない別の火薬を固着したときには、燃焼時、当該別の火薬の表面が固まり、この表面の固まった層が内側の火薬による火花の発生を抑制する。その結果、火花の勢いで先端部が落下することが防止される。
【0023】
[請求項5の発明]
火薬の先端部から赤熱スラグが落下する原因の一つは、該先端部の内部に軸が存在しないという点にある。
【0024】
従って、火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去することにより、先端部が落下することが防止される。
【0025】
[請求項6の発明]
火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去すると共に当該除去した端部に火花が出ない別の火薬を固着したときには、先端部が落下することが一層効果的に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
符号11に示すものは、スパークラーの軸である。
【0027】
軸11は、針金、木、合成樹脂などにより形成される。
【0028】
該軸11に不燃材13を固着し、該不燃材13の表面に火薬15を固着する。
【0029】
火薬15は、一例として、下記の如き組成を有する。
【0030】
硝酸バリウム 60重量%
鉄粉 20重量%
アルミニウム粉 5重量%
樹脂 5重量%
でんぷんのり 10重量%
【0031】
しかして、本発明においては、前記不燃材13は低熱伝導性材料の高摩擦体である。図1参照。即ち、不燃材13は、熱伝導性が低い材料により形成された摩擦抵抗が大きい高摩擦体である。
【0032】
前記高摩擦体は、好ましくは、表面に細かな凹凸を備えている。
【0033】
前記高摩擦体は、より好ましくは、砂(岩石又は鉱物の細粒)である。
【0034】
図2に示す事例においては、火薬15における先端部15aに火花が出ない別の火薬17を固着している。
【0035】
火花が出ない別の火薬17は、一例として、下記の如き組成を有する。
【0036】
硝酸バリウム 70重量%
アルミニウム粉 5重量%
樹脂 5重量%
でんぷんのり 20重量%
【0037】
図3に示す事例においては、火薬15の先端における、内部に軸が存在しない部分15bを除去している。
【0038】
図4に示す事例においては、火薬15の先端における、内部に軸が存在しない部分15bを除去すると共に当該除去した端部に火花が出ない別の火薬17を固着している。
【0039】
火花が出ない別の火薬17は、図2に示す前記事例におけるものと同じである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるスパークラーの一例を示す断面図である。
【図2】同上スパークラーの別の一例を示す断面図である。
【図3】同上スパークラーの更に別の一例を示す断面図である。
【図4】同上スパークラーの更に別の一例を示す断面図である。
【図5】従来のスパークラーを示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 軸
3 火薬
3a 先端部
5 赤熱スラグ
11 軸
13 不燃材
15 火薬
15a 先端部
15b 内部に軸が存在しない部分
17 別の火薬

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に不燃材を固着し、該不燃材の表面に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該不燃材は低熱伝導性材料の高摩擦体であることを特徴とするスパークラー。
【請求項2】
前記高摩擦体は表面に凹凸を備えていることを特徴とする請求項1に記載のスパークラー。
【請求項3】
前記高摩擦体は砂であることを特徴とする請求項1に記載のスパークラー。
【請求項4】
軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該火薬における先端部に火花が出ない別の火薬を固着したことを特徴とするスパークラー。
【請求項5】
軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去したことを特徴とするスパークラー。
【請求項6】
軸に火薬を固着してなるスパークラーにおいて、
該火薬の先端における内部に軸が存在しない部分を除去すると共に当該除去した端部に火花が出ない別の火薬を固着したことを特徴とするスパークラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−255875(P2007−255875A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84697(P2006−84697)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(592072551)井上玩具煙火株式会社 (7)