説明

スピンドルモータとディスク駆動装置

【課題】低背化が可能なスピンドルモータを提供することにある。
【解決手段】ディスクが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータとを備え、前記モータの回転軸と一体に回転する磁性体のロータケースの上面板を前記ターンテーブルとしたスピンドルモータ1であって、前記ディスクの内縁部を案内する円環状のセンタリング部材20Aが、前記回転軸15と同心状に前記ロータケース10の上面板に配され、円環状のクランプマグネット30が、前記回転軸15と同心状に前記センタリング部材20Aの内側の貫通口部21に配されて、前記ロータケース10の上面板に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、光磁気ディスク等を回転させるためのスピンドルモータと、このスピンドルモータを備えたディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクに記録された情報を読み取り、あるいは情報をディスクに書き込むヘッド機構を備えたディスク駆動装置は、例えばCD、DVD、MD等の光ディスク、光磁気ディスク装置として知られている。
このようなディスク駆動装置に用いるスピンドルモータとして、例えば特許文献1には、図8に示すような外転型のスピンドルモータが開示されている。
【0003】
図8のスピンドルモータ101には、ディスク102の中心孔の内縁部に当接してディスク102を支持するディスク支持部材(センタリング部材)103が、ロータホルダ(ロータケース)104の上面に設けられている。このディスク支持部材103は、ロータホルダ104に固定される円筒部103Aと、円筒部103Aの下端部から径方向外側に延びる平板部103Bと、平板部103Bから径方向外側に延びてディスク102を案内するガイド部103Cとからなる収容部103Dを有する。収容部103Dには、クランプマグネット106とバックヨーク107が配されている。クランプマグネット106とバックヨーク107は、ディスク102の上面に配された磁性体のクランパ108をロータホルダ側に引き寄せる役割を果たしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−170632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8のスピンドルモータでは、ディスク支持部材103の平板部103Bの上にバックヨーク107とクランプマグネット106を積層して配置しており、また、ディスク支持部材103のガイド部103Cによってディスク102を確実にガイドするために、ガイド部103Cの上端はクランプマグネット106の上面よりも高く設計されているのが一般的である。このため、ロータホルダ104の上面からクランプマグネット106の上面までの高さが高くなると共にディスク支持部材103の高さが高くなり、その結果、スピンドルモータ全体の高さが高くなってしまう。
【0006】
また、ディスク支持部材103の高さを抑えようとすると、クランプマグネット106の厚みを抑える必要があるが、厚みを抑えつつ所定の吸引力を確保するためには、希土類マグネットのような磁束密度の高い高価なマグネットを用いる必要があり、コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術が抱える課題を解決しようとするものであり、低背化が可能なスピンドルモータを提供することを第1の目的とし、低コスト化が可能なスピンドルモータを提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく成された本発明の請求項1のスピンドルモータは、
ディスクが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータとを備え、前記モータの回転軸と一体に回転する磁性体のロータケースの上面板を前記ターンテーブルとしたスピンドルモータであって、
前記ディスクの内縁部を案内する円環状のセンタリング部材が、前記回転軸と同心状に前記ロータケースの上面板に配され、
円環状のクランプマグネットが、前記回転軸と同心状に前記センタリング部材の内側の貫通口部に配されて、前記ロータケースの上面板に当接していることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載のスピンドルモータは、請求項1に記載のスピンドルモータにおいて、
前記センタリング部材の内周部と前記クランプマグネットの外周部が当接していることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載のスピンドルモータは、請求項2に記載のスピンドルモータにおいて、
前記回転軸は、前記ロータケースの上面板から突出した突出部分を有し、
前記突出部分の周囲に円筒部材が固定され、
前記クランプマグネットは、その内周部が前記円筒部材の外周部に当接されて、前記回転軸と同心状に配されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載のスピンドルモータは、請求項3に記載のスピンドルモータにおいて、
前記円筒部材は、上部外周に径方向に突出する鍔部を有し、
前記鍔部は、前記クランプマグネットの上面と軸方向に対面することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に記載のスピンドルモータは、請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータにおいて、
前記センタリング部材には、前記クランプマグネットの上面と軸方向に対面する突部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に記載のディスク駆動装置は、本発明の請求項4に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の内周部が前記円筒部材の鍔部の外周部に当接して位置決めされることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に記載のディスク駆動装置は、本発明の請求項5に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の外周部が前記センタリング部材の突部の先端に当接して位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスピンドルモータによれば、センタリング部材には、従来例のような平板部がないことにより、クランプマグネットがロータケースの上面板に直接当接して配され、磁性体のロータケースがバックヨークとなり、従来例のようなバックヨークは配置せずにすむ。したがって、ロータケースの上面からクランプマグネットの上面までの高さが低くなると共にセンタリング部材の高さを低くできるため、スピンドルモータ全体の高さを低背化できる。
また、本発明のスピンドルモータによれば、スピンドルモータ全体の高さを抑える必要がない場合には、従来例のものよりも厚いクランプマグネットを用いることができる。このため、所定の吸引力を確保するために、クランプマグネットの材料として磁気吸引力の高い高価な希土類マグネット等に代えて安価なフェライトマグネット等を用いることができ、より低コストなスピンドルモータが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図2】図1中の矢印A−Aにおける断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。
【図4】図3中の矢印B−Bにおける断面図である。
【図5】本発明のディスク駆動装置の断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。
【図8】従来のスピンドルモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るスピンドルモータについて説明する。
【0018】
(第1実施形態例)
本発明の第1実施形態例に係るスピンドルモータの構成を図1及び図2を用いて説明する。図1は、本例のスピンドルモータの平面図である。図2は、図1中の矢印A−Aにおける断面図である。
【0019】
本例のスピンドルモータ1は、ディスクが載置されるターンテーブルと、ターンテーブルを回転させるモータとを備え、モータの回転軸15と一体に回転する磁性体のロータケース10の上面板11をターンテーブルとしているものである。
【0020】
本例のスピンドルモータ1は、図2に示すように、ロータケース10と、回転軸15と、センタリング部材20Aと、クランプマグネット30と、駆動用マグネット40と、ステータ50を備えている。
【0021】
ロータケース10は、磁性金属材料でキャップ状に形成されている。このロータケース10は、回転軸15と直角な面で形成された平板状の上面板11と、上面板11の周縁に筒状に形成された第1円筒部12と、上面板11の中央に回転軸15が固定される第2円筒部13を有する。第2円筒部13は、上面板11の軸方向上方に立ち上げられている。
【0022】
ロータケース10の上面板11は、ディスクが着脱自在に配されて回転軸15と一体に回転するターンテーブルとなっている。この上面板11には、ディスクの滑り止め部材16が設けられている。また上面板11には、回転軸15から等距離で回転方向に等間隔の貫通孔14が3つ設けられている。詳しくは後述するが、この貫通孔14には、後述のセンタリング部材20Aの突起部26が挿入される。
【0023】
回転軸15は、ロータケース10の第2円筒部13に圧入されてロータケース10の上面板11から突出して配されている。この回転軸15は、後述するステータ50に回転可能な状態で支持されている。
【0024】
センタリング部材20Aは、ディスクを回転軸15と同心状に案内するための部材であり、ロータケース10の上面板11に配されている。このセンタリング部材20Aは、硬質樹脂で円環状に形成されており、内側に貫通口部21を有する。
【0025】
センタリング部材20Aの外周部分には、複数の爪部23が回転方向に等間隔に設けられている。この爪部23は、ディスクの中心孔の内縁部に当接されるものである。
センタリング部材20Aの下面部24は、平坦面状に形成されておりロータケース10の上面板11と当接されている。
センタリング部材20Aの内周部25の上部には、後述のクランプマグネット30の上面と軸方向に近接して対面する突部27が一体に設けられている。この突部27は、センタリング部材20Aの内周部に沿って回転方向に等間隔に3つ同一形状で配されている。
【0026】
ディスクを回転軸15と同心状に案内するためには、センタリング部材20Aは回転軸15と同心状にロータケース10の上面板11に配される必要がある。
このため本例のセンタリング部材20Aの下面部24には、センタリング部材20Aの中心から等距離で回転方向に等間隔に3つの突起部26が設けられている。この3つの突起部26は、上面板11に設けられている3つの貫通孔14にそれぞれ挿入される。すると、センタリング部材20Aは、ロータケース10に回転軸15と同心状に位置決めされる。さらに、貫通孔14に挿入された突起部26は、上面板11の下方から熱圧着等により潰されることにより、センタリング部材20Aは、ロータケース10と一体化される。
【0027】
クランプマグネット30は、円環状に形成されている。このクランプマグネット30は、センタリング部材20Aの貫通口部21に配されて、ロータケース10の上面板11に当接されている。
このクランプマグネット30の外径は、センタリング部材20Aの内周部25の内径と同程度に形成されている。そして、クランプマグネット30が、センタリング部材20Aの貫通口部21に配されると、センタリング部材20Aの内周部25とクランプマグネット30の外周部が当接される。よって、クランプマグネット30は、回転軸15と同心状に位置決めされる。
【0028】
駆動用マグネット40は、円筒状に形成されており、ロータケース10の第1円筒部12の内周部に固着されている。
ステータ50は、回転軸15を回転自在に支承するラジアル軸受51およびスラスト軸受52と、このラジアル軸受51の外周を保持する軸受ホルダ53を有する。また、ステータ50は、軸受ホルダ53の外周に固定されて駆動用マグネット40に対向配置されたステータコア55と、このステータコア55に巻回されたコイル54と、回路基板56を載置したステータベース57を有する。
【0029】
このように構成された本例のスピンドルモータ1では、ディスクの内縁部を案内する円環状のセンタリング部材20Aが、回転軸15と同心状にロータケース10の上面板11に配されている。また、円環状のクランプマグネット30が、回転軸15と同心状にセンタリング部材20Aの内側の貫通口部21に配されて、ロータケース10の上面板に当接している。
【0030】
よって、磁性体のロータケースがクランプマグネットのバックヨークとなり、従来例のようなバックヨークは配置せずにすむ。したがって、ロータケースの上面からクランプマグネットの上面までの高さが低くなると共にセンタリング部材の高さを低くできるため、スピンドルモータ全体を低背化できる。また、センタリング部材20Aは、円環状に形成されるため、従来例に比べ、センタリング部材の成形時の製造が非常に容易になると共に、センタリング部材を構成する材料を少なくできるためコスト低減ができる。
また、スピンドルモータ全体の高さを抑える必要がない場合には、図8のものよりも厚いクランプマグネットを用いることができる。このため、所定の吸引力を確保するために、クランプマグネットの材料として磁気吸引力の高い高価な希土類マグネット等に代えて安価なフェライトマグネット等を用いることができ、より低コストなスピンドルモータが提供できる。
【0031】
また、本例のスピンドルモータ1では、センタリング部材20Aの内周部とクランプマグネット30の外周部が当接している。このため、センタリング部材20Aとクランプマグネット30のどちらか一方を回転軸15と同心状に位置決めすることにより、他方も自動的に回転軸15と同心状に位置決めすることができ、偏芯の小さいスピンドルモータを容易に組み立てることができる。
【0032】
また、図8のスピンドルモータでは、ディスク支持部材103(センタリング部材)に平板部103Bがあるため、クランプマグネット106はセンタリング部材の上方から収容部103Dに挿入しなければならない。このような構造では、スピンドルモータの駆動時や衝撃等によってクランプマグネット106が容易に外れてしまう危険性があり、これを防止するには、平板部103Bにバックヨーク107を接着固定すると共に、バックヨーク107にクランプマグネット106を接着固定する必要がある。
一方、本発明のスピンドルモータでは、センタリング部材に平板部103Bに相当する部分が無いため、センタリング部材の下方(ロータケース側)からクランプマグネットを配することができる。このため、本例のスピンドルモータ1のように、クランプマグネット30の上面と軸方向に対面する突部27をセンタリング部材20Aに設けることができる。このような突部27は、センタリング部材20Aに当接しているクランプマグネット30に対して抜け止め機能を有するため、熱的信頼性に欠ける接着剤を用いてクランプマグネットを固定する必要がなく、より信頼性の高いスピンドルモータが得られる。
【0033】
なお、第1実施形態例ではセンタリング部材20Aに分離している3つの突部27が形成されているが、この突部27は、センタリング部材20Aの内周部上部に回転方向に連続して突出する鍔形状でもよい。
【0034】
また、本例では、熱圧着による突起部26と貫通孔14の位置決め機構であるからセンタリング部材がロータケースから取り外しできないが、この突起部と貫通孔は、スナップフィット固定される、嵌合爪と嵌合孔であってもよい。すると、スピンドルモータを分解する必要が生じた際に、クランプマグネットを容易に取り替えることができ、残りの部材の再利用ができ、量産時のコストが低減できる。
【0035】
(第2実施形態例)
図3は、本発明の第2実施形態例に係るスピンドルモータの平面図である。図4は、図3中の矢印B−B線における断面図である。図3、図4において、図1中、図2中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0036】
本例は、センタリング部材の位置決め機構やクランプマグネットの抜け止め機構が第1実施形態例と異なる。
【0037】
まず、センタリング部材の位置決め機構について、第1実施形態例では、ロータケースに固定されたセンタリング部材の内周部にクランプマグネットが位置決めされている。本例では、回転軸の突出部分に固定された円筒部材60の外周部にクランプマグネット30が位置決めされており、さらに、クランプマグネット30の外周部にセンタリング部材20Bが位置決めされている。
円筒部材60は、円筒形状であり、上部外周に径方向に突出する後述の鍔部60Aを有する。円筒部材60の下面は、ロータケース10の第2円筒部13上端に当接されている。円筒部材60の外周部には、クランプマグネット30が設けられている。クランプマグネット30の内径は、円筒部材60の外径と同程度の大きさに形成されており、クランプマグネット30は、その内周部が円筒部材60の外周部に当接されている。
クランプマグネット30の外周部には、センタリング部材20Bが設けられている。本例のセンタリング部材20Bは、下面に第1実施形態例の突起部を設けない形状になっている。センタリング部材20Bの内径は、クランプマグネット30の外径と同程度の大きさに形成されており、センタリング部材20Bは、その内周部がクランプマグネット30の外周部と当接されている。
【0038】
よって、本例のクランプマグネット30は、その内周部が円筒部材60の外周部に当接されているため、クランプマグネット30は、回転軸15と同心状に位置決めでき、回転時に偏芯することがない。
【0039】
また、センタリング部材20Bは、その内周部がクランプマグネット30の外周部に当接されているため、センタリング部材20Bは、回転軸15と同心状に位置決めでき、ディスクを偏芯することなく装着できる。このため、センタリング部材20Bとクランプマグネット30のどちらか一方を回転軸15と同心状に位置決めすることにより、他方も自動的に回転軸15と同心状に位置決めすることができ、偏芯の小さいスピンドルモータを容易に組み立てることができる。
【0040】
次に、クランプマグネットの抜け止め機構について、第1実施形態例では、センタリング部材20Aには、クランプマグネット30の上面と軸方向に対面する抜け止め用の突部27が設けられている。それに対し、本例のクランプマグネットの抜け止め機構は、回転軸15に固定される円筒部材60の上部外周にあって径方向に突出する鍔部60Aにより形成されている。この鍔部60Aは、クランプマグネット30の上面と軸方向に近接して対面されている。
【0041】
よって、クランプマグネット30の内周部が円筒部材60の外周部に当接されていると、鍔部60Aは、クランプマグネット30に対して抜け止め機能を有する。このため、従来例のような熱的信頼性に欠ける接着剤を用いてクランプマグネットを固定する必要がなく、より信頼性の高いスピンドルモータが得られる。
【0042】
なお、第2実施形態例のセンタリング部材20Bには、内周部上部に、第1実施形態例で説明した突部27がクランプマグネット30の上面と軸方向に対面するように形成されてもよい。
【0043】
次に、本発明のディスク駆動装置を説明する。図5は、本発明のディスク駆動装置の断面図である。図6は、本発明の第1実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。図5、図6において、図1ないし図4の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0044】
ディスク駆動装置70は、本発明のスピンドルモータ1と、クランパ71と、記録再生部72と、筐体73を備えている。
【0045】
クランパ71は、磁性体で形成されディスク上面に当接して配されており、スピンドルモータ1のクランプマグネット30によりロータケース側に引き寄せられるものである。このクランパ71には、下面に突出して回転中心から同心状に形成された円環状突起部71Aが設けられている。
【0046】
記録再生部72は、スピンドルモータ1により回転するディスクの記録面に沿って不図示の光ピックアップを移動させて、ディスク74からの情報の読み出し又はディスク74への情報の書き込みを行うものである。
筐体73は、スピンドルモータ1と、クランパ71と、記録再生部72等を内部に備えているものである。
【0047】
そして、図6に示す第1実施形態例のセンタリング部材20Aにおいて、分離された3つの突部27の先端に接する内接円の中心は、回転中心となっている。円環状突起部71Aの外径は、前記内接円と同等の大きさとなっている。クランパ71がディスク74の上方から軸方向下方に移動した際、円環状突起部71Aは、その外周部がセンタリング部材20Aの突部27の先端に当接しながらセンタリングされる。
【0048】
よって、この突部27は、クランパ71のセンタリング機能を有し、ディスクの上面に配されたクランパ71が回転時に偏芯しないディスク駆動装置が得られる。この突部27は、先端に内接する内接円を形成するため3つ以上が好ましい。
【0049】
また、センタリングされたクランパ71の円環状突起部71Aは、クランプマグネット30の上面に非接触に対向してクリアランスを有して配されている。これにより、クランパ71がクランプマグネット30から離れるように軸方向上方に移動した際、上述のクリアランスがあるため、クランプマグネット30と円環状突起部71Aとの吸着力は、クランプマグネット30とロータケース10との吸着力より弱くなる。よって、クランプマグネット30は、接着固定することなくロータケース10から軸方向上方に移動しないように固定できる。
さらに、クランプマグネット30の上面には、抜け止め用の突部27が設けられているため、クランプマグネットはロータケースから確実に外れることがない高信頼性のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置が得られる。
【0050】
また、円環状突起部71Aの外周部とこの外周部と連続する底部との間に、凸状のR形状が形成されると、クランパ71がディスク74の上方から軸方向下方に移動した際、クランパ71はセンタリング部材20Aの突部27の先端に滑らかに当接してセンタリングが容易にできるディスク駆動装置が得られる。
【0051】
図7は、本発明の第2実施形態例のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置の要部断面図である。図7において、図1ないし図6の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
図7に示す第2実施形態例において、鍔部60Aの外径の中心は、回転中心と同一となっており、円環状突起部71Aの内径は、鍔部60Aの外径と同等の大きさとなっている。そのため、クランパ71がディスク74の上方にあって軸方向下方に移動した際、クランパ71の円環状突起部71Aは、その内周部が鍔部60Aの外周部に当接しながらセンタリングされる。よって、この鍔部60Aは、クランパ71のセンタリング機能を有し、ディスク74の上面に配されたクランパ71が回転時に偏芯しないディスク駆動装置が得られる。
【0052】
また、センタリングされたクランパ71の円環状突起部71Aは、クランプマグネット30の上面に非接触に対向してクリアランスを有して配される。これにより、クランパ71がクランプマグネットから離れるように軸方向上方に移動した際、上述のクリアランスがあるため、クランプマグネット30と円環状突起部71Aとの吸着力は、クランプマグネット30とロータケース10との吸着力より弱くなる。よって、クランプマグネット30は接着固定することなくロータケース10から軸方向上方に移動しないように固定できる。
さらに、このクランプマグネット30の上面には、抜け止め用の鍔部60Aが設けられているため、クランプマグネットはロータケースから確実に外れることがない高信頼性のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置が得られる。
【0053】
また、円環状突起部71Aの内周部とこの内周部と連続する底部との間に、凸状のR形状が形成されると、クランパ71がディスク74の上方から軸方向下方に移動した際、クランパ71は鍔部60Aに滑らかに当接してセンタリングが容易にできるディスク駆動装置が得られる。
【0054】
以上、本発明の2つの実施形態例を説明したが、本発明のセンタリング部材が、ロータケースの上面板に形成された凹所の内周壁に位置決めされたり、専用の治具を用いてロータケースの上面板に位置決めされたりしてもよく、センタリング部材は上述の実施形態例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 スピンドルモータ
10 ロータケース
11 上面板
12 第1円筒部
13 第2円筒部
14 貫通孔
15 回転軸
16 滑り止め部材
20A センタリング部材
20B センタリング部材
21 貫通口部
23 爪部
24 下面部
25 内周部
26 突起部
27 突部
30 クランプマグネット
40 駆動用マグネット
50 ステータ
51 ラジアル軸受
52 スラスト軸受
53 軸受ホルダ
54 コイル
55 ステータコア
56 回路基板
57 ステータベース
60 円筒部材
60A 鍔部
70 ディスク駆動装置
71 クランパ
71A 円環状突起部
72 記録再生部
73 筐体
74 ディスク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが載置されるターンテーブルと、前記ターンテーブルを回転させるモータとを備え、前記モータの回転軸と一体に回転する磁性体のロータケースの上面板を前記ターンテーブルとしたスピンドルモータであって、
前記ディスクの内縁部を案内する円環状のセンタリング部材が、前記回転軸と同心状に前記ロータケースの上面板に配され、
円環状のクランプマグネットが、前記回転軸と同心状に前記センタリング部材の内側の貫通口部に配されて、前記ロータケースの上面板に当接していることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記センタリング部材の内周部と前記クランプマグネットの外周部が当接していることを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記回転軸は、前記ロータケースの上面板から突出した突出部分を有し、
前記突出部分の周囲に円筒部材が固定され、
前記クランプマグネットは、その内周部が前記円筒部材の外周部に当接されて、前記回転軸と同心状に配されていることを特徴とする請求項2に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記円筒部材は、上部外周に径方向に突出する鍔部を有し、
前記鍔部は、前記クランプマグネットの上面と軸方向に対面することを特徴とする請求項3に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記センタリング部材には、前記クランプマグネットの上面と軸方向に対面する突部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
請求項4に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の内周部が前記円筒部材の鍔部の外周部に当接して位置決めされることを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項7】
請求項5に記載のスピンドルモータを備えたディスク駆動装置であって、
前記ディスクの上面に配され前記クランプマグネットにより前記ロータケース側に吸引されるクランパを有し、
前記クランパは、下面に突出する円環状突起部を有し、前記円環状突起部の外周部が前記センタリング部材の突部の先端に当接して位置決めされることを特徴とするディスク駆動装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate