スピーカをイコライズする方法及び装置
小型スピーカにおいて電気−音響変換の歪を補償するために、オーディオ信号源とスピーカとの間に配置された予歪フィルタに信号が通される。スピーカの非線形歪を補償するために、ヴォルテラをベースとする予歪フィルタが一般に使用される。高い再生レベルにおいて、ヴォルテラの予めの逆状態では、知覚し得る質が改善されないことがある。ヴォルテラモデルの厳密な逆状態をベースとする適応予補償装置が提供される。この技術は、スピーカの入力と補償された出力との間の瞬時エラーを最小にするように予補償装置のパラメータを調整する。厳密な逆状態は、高い再生レベルにおいて、知覚し得るより高い質を生じさせる優れた性能を有する。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
[0001]本特許出願は、参考としてここに援用する2004年6月4日に出願された「Method And Apparatus For Loudspeaker Equalization Using AdaptiveFeedback And Exact Inverse」と題する対応するプロビジョナル特許出願第60/577,375号に対する優先権を請求する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、オーディオスピーカの分野に係り、より詳細には、本発明は、小型スピーカにより生じる歪を補償することに係る。
【発明の背景】
【0003】
[0003]コーデックは、移動装置におけるアナログ入力及び出力(I/O)処理がオーディオ及びスピーチの質の限界を決定するところまで進歩した。より詳細には、非線形特性をもつ小型スピーカは、例えば、セルラー電話やパーソナルデジタルアシスタント(PDA)のようなターミナル装置におけるオーディオ質低下の主たる原因である。
【0004】
[0004]スピーカには、2つの形式の歪があり、即ち1)線形歪(低周波抑制、共振、等)と、2)非線形歪である。スピーカの周波数応答の振幅及び位相は、線形歪を特徴付ける。線形歪の作用は、信号の周波数内容の振幅及び位相を変更することである。線形歪は、サウンドに余計な周波数を追加するものではなく、スピーカの線形周波数応答の逆の周波数応答をもつ線形フィルタを使用して容易に補償することができる。
【0005】
[0005]非線形歪は、より激しいサウンド質低下を招くことがある。オリジナルサウンドに存在しない高調波や相互変調歪として知られている余計な周波数成分が現われることがある。これらの「余計なサウンド」は、耳障りで且つ不自然なものとして感じられるようにオリジナルサウンドを変更し得る。この技術で良く知られているように、サウンドは、スピーカのダイアフラム又はホーンの振動で発生される。一般に、非線形歪は、スピーカのダイアフラムの変位が大きいほど高く、これは、低い周波数において生じると共に、スピーカの共振周波数においても生じる。
【0006】
[0006]非線形歪を厳密に補償するには、スピーカモデルの厳密に逆である予歪フィルタが必要となる。
【0007】
[0007]この技術では、図1に示すようにスピーカ応答の線形成分(H1)及び非線形成分(H2、H3、・・・)をモデリングするためにヴォルテラ展開式が使用されている。これらの成分は、スピーカの入力及び出力測定値から推定される。非線形歪を測定するために、正弦波信号を印加し、次いで、非線形システムの出力に高調波又は合成トーンが発生される程度を測定することが慣習的に使用されている。例えば、M.ツジカワ、T.シオザキ、Y.カジカワ、Y.ノムラ著の「Identification and Elimination of Second-Order Nonlinear Distortionof Loudspeaker System using Volterra Filter」、ISCAS2000−IEEEインターナショナル・シンポジウム・オン・サーキット・アンド・システムズ、第V−249−252ページ、2000年5月、を参照されたい。この正弦波入力解決策とは対照的に、スピーカの特性を分析するのにランダムノイズがしばしば使用される。例えば、V.J.マッセウ著の「Adaptive Polynomial Filters」、IEEE SPマガジン、第8巻、第3号、第10−26ページ、1991年7月、を参照されたい。このランダム入力解決策は、音楽のような周波数多重化入力を近似するもので、入力トーンの周波数を変えることにより同じ実験を繰り返すことを必要としない。このランダム入力解決策は、通常、ヴォルテラの級数表示で非線形システムをモデリングすることを含む。次いで、最小平均二乗(LMS)又は反復最小二乗(RLS)のような最小二乗技術を使用して、線形成分(H1)及び非線形成分(H2、H3・・・)のパラメータを計算する。
【0008】
[0008]一般に、時間ドメインにおけるスピーカの入力−出力関係は、p次のヴォルテラ展開式により次のように与えられる。
【数1】
但し、Hk=hk(m1、m2、m3、・・・mk)は、k次のヴォルテラカーネルであり、又、Hk[x(n)]は、次のように与えられる。
【数2】
【0009】
[0009]スピーカは、2次又は3次のヴォルテラモデルにより充分にモデリングできると一般的に仮定される。2次のモデルは、(1)の特殊なケースであり、次のように与えられる。
【数3】
【0010】
[0010]第1の項は定数であって一般的にゼロであると仮定し、第2の項は線形応答(H1)であり、そして第3の項は二次の非線形応答(H2)である。
【0011】
[0011]電気−音響変換における線形歪及び非線形歪を補償するために、予歪フィルタが使用される。図2は、信号源201からの入力信号(d(n))を、オーディオ信号源201とスピーカ203との間の予歪フィルタ202に通すオーディオシステムを示す。予歪フィルタ202は、予補償装置、リニアライザ又はイコライザとも称される。スピーカ203の可動コイルは、予歪フィルタ202からの出力である予めフィルタされた信号dpre(n)により駆動される。スピーカモデルは、オーディオ信号源201とスピーカ203との間に配置されるべき非線形予歪フィルタ202を見出すのに使用される。予歪フィルタ202により実行されるフィルタリングは、可動コイルの実際の変位が、オリジナル信号d(n)により規定された理想的な運動に正確に一致するように、スピーカ203の歪に対抗するよう設計される。即ち、理想的には、予歪フィルタ202は、スピーカ203へ供給したときに、出力音響信号がオリジナルオーディオ信号の厳密な複製となるように、予歪信号dpre(n)を発生しなければならない。このケースでは、線形歪及び非線形歪の両方が完全に補償される。
【0012】
[0012]厳密な逆を見出すことは単純ではなく、非線形スピーカを含む非線形システムをイコライズする上で難題を課する。多数の近似解決策が利用されている。例えば、W.フランク、R.レガー、及びU.アペル著の「Loudspeaker Nonlinearities-Analysis and Compensation」、Conf. Record 26th,Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers、パシフィック・グルーブ、CA、第756−760ページ、1992年10月;X.Y.ガオ、W.M.スネルグルーブ著の「Adaptive Linearization of a Loudspeaker」、Proc. IEEE Intl. Conf.Acoust., Speech, Signal Processing、第3589−3592ページ、1991年;及び2002年6月18日付の「Distortion Removal Apparatus, Method for Determining Coefficient forthe Same, and Processing Speaker System, Multi-Processor, and AmplifierIncluding the Same」と題する米国特許第6,408,079号を参照されたい。これらの機構は、スピーカのためのヴォルテラモデルを使用して、スピーカの非線形の逆状態を近似する予歪フィルタを見出す。通常、近似の逆状態は、図3に示すように線形成分及び二次成分しかもたず、ここで、G1及びG2は、ヴォルテラの逆状態の線形部分及び二次部分である。
【0013】
[0013]線形部分は、通常、上述したようにスピーカの線形歪(G1=H1−1)を完全に補償するように選択される。予歪フィルタの2次即ち二次成分は、スピーカの二次歪(G2=H1−1H2H1−1)を完全に補償するように選択される。
【0014】
[0014]この補償機構の副産物として、余計な3次及び4次の非線形性が導入される。ある従来の参照文献は、より高次の(いわゆるp次の)予歪フィルタを使用して、非線形逆状態に対する良好な近似を構成することを述べている。このようなケースでは、より高次の非線形性がスピーカの出力に導入される。
【0015】
[0015]p次のヴォルテラ逆状態は、ある条件が満足された場合だけ、真の逆状態に収斂される。小さな信号レベルから、ヴォルテラの予めの逆状態は、スピーカから認知される音質を改善する。W.フランク、R.レガー及びU.アペル著の「Loudspeaker Nonlinearities-Analysis and Compensation」、Conf. Record 26th,Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers、パシフィック・グルーブ、CA、第756−760ページ、1992年10月には、スピーカの公称入力電力において、高次の歪が小さいことが述べられている。これは、スピーカが耳に非常に接近する用途(音声電話のような)で言えることであるが、ビデオ電話やハンズフリー電話のような将来のマルチメディア用途では、スピーカが聴取者の耳から遠く離れる。これらの用途では、より高い再生レベルが要求される。
【0016】
[0016]高い再生レベルの場合に、p次のヴォルテラ逆状態が厳密な非線形の逆状態に収斂しないことがあり、その結果、予歪フィルタにより導入される余計な歪が、オリジナルの未補償スピーカ歪より悪いものになり得る。p次のヴォルテラ逆状態の構造は、非線形歪に対して高いコストで線形歪を補償できるというものである。大きな入力レベルの場合に、第3、第4及びそれより高次の歪が未補償歪より大きなものとなり、これにより、予補償機構を役に立たなくする。その結果、ヴォルテラの予補償スピーカの音質は、未補償の場合より低くなることがある。
【発明の概要】
【0017】
[0017]スピーカをイコライズするための方法、装置及びシステムがここに開示される。一実施形態において、このシステムは、入力信号のサンプルを受信するための入力部と、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ、及び入力信号の以前の予歪サンプルに応答して、予補償出力を発生するための予補償装置と、前記スピーカモデルに対応するスピーカであって、前記予補償出力に応答してオーディオ出力を発生するためのスピーカとを備えている。
【0018】
[0018]本発明は、種々の実施形態を示す添付図面及び以下の詳細な説明から理解されるであろうが、本発明は、特定の実施形態に限定されず、これら実施形態は、単に本発明を例示し、それを理解するためのものに過ぎない。
【本発明の詳細説明】
【0019】
[0032]非線形逆状態及びフィードバックループを使用してスピーカの線形及び非線形歪を補償するための方法及び装置を説明する。一実施形態において、逆状態とは、厳密な非線形の逆状態である。小型スピーカにおける電気−音響変換の歪を補償するために、オーディオ信号源とスピーカとの間に配置された予歪フィルタに信号が通される。
【0020】
[0033]ここに述べる実施形態は、厳密な非線形逆状態と、予歪フィルタのパラメータを適応調整するためのフィードバックループとを使用して、スピーカの線形及び非線形歪を補償し、スピーカの入力と予補償出力との間の差が最小にされ又は実質的に減少されるようにする。一実施形態において、予歪フィルタは、推定されるスピーカ伝達関数の逆(例えば、厳密な逆)を使用して入力信号を変換し、入力サウンドの複製を発生する。一実施形態において、フィードバック信号を使用して、非線形システムの厳密な逆状態を計算することができる。フィードバックは、スピーカの入力と予補償出力との間の差が減少され且つ潜在的に最小にされるように、予歪フィルタのパラメータを適応調整するのに使用される。それにより得られる質の改善は、ここに述べる技術を、高い再生レベルにおいて高い音質が望まれる用途に含ませるのに適したものにする。このような用途は、セルラー電話、テレコンファレンス、ビデオ電話、ビデオ会議、パーソナルデジタルアシスタント、Wi−Fi、システム等を含むが、これらに限定されない。
【0021】
[0034]一実施形態において、スピーカの電気音響特性のモデルを使用して、スピーカの伝達関数を導出する。次いで、予補償装置がこの伝達関数の逆を実行する。従って、スピーカの出力は、オリジナルの入力信号により密接に類似したものとなる。
【0022】
[0035]以下の説明において、本発明をより完全に説明するために多数の細部について述べる。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これらの特定の細部を伴わずに実施できることが明らかであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、良く知られた構造及び装置は、詳細な形態ではなく、ブロック図の形態で示す。
【0023】
[0036]以下の詳細な説明のある部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対するオペレーションをアルゴリズム及び記号表示の形態で示す。これらアルゴリズム記述及び表示は、データ処理技術の当業者により、それらの仕事の実体をこの技術の他の当業者へ最も有効に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムとは、ここでは、一般に、希望の結果を導くステップの自己矛盾のないシーケンスであると考えられる。これらステップは、物理的な量の物理的操作を要求する。通常、必ずしもそうでないが、これらの量は、記憶、転送、合成、比較、及びその他、操作することのできる電気的又は磁気的信号の形態をとる。時には、主として、共通の使用という理由で、これらの信号を、ビット、値、エレメント、記号、キャラクタ、項、数字等として参照するのが便利であると分かっている。
【0024】
[0037]しかしながら、これら及び同様の用語は、全て、適当な物理的量に関連されるべきで、且つこれらの量に適用される便利なラベルに過ぎないことを銘記されたい。特に指示のない限り、以下の説明から明らかなように、この説明全体にわたり、「処理」又は「コンピューティング」又は「計算」又は「決定」又は「表示」等の用語を使用する検討は、コンピュータシステム又は同様の電子的コンピューティング装置のアクション及び処理であって、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)量として表わされたデータを、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、或いは他のこのような情報記憶、送信又は表示装置内の物理的量として同様に表わされる他のデータへと操作及び変換するものを指すことが明らかであろう。
【0025】
[0038]又、本発明は、ここに述べるオペレーションを実行するための装置にも係る。この装置は、要求される目的に対して特別に構成されてもよいし、或いはコンピュータに記憶されるコンピュータプログラムにより選択的にアクチベートされ又はコンフィギュレーションされる汎用コンピュータを備えてもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えば、これに限定されないが、フロッピーディスク、光学ディスク、CD−ROM、及び磁気−光学ディスクを含む任意の形式のディスク、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光学カード、或いは電子的インストラクションを記憶するのに適していて、コンピュータシステムバスに各々結合される任意の形式の媒体に記憶されてもよい。
【0026】
[0039]ここに述べるアルゴリズム及びディスプレイは、特定のコンピュータ又は他の装置に固有に関連したものではない。種々の汎用システムが、ここに述べる教示に基づくプログラムと共に使用されてもよいし、又は必要な方法ステップを実行するために更に特殊な装置を構成するのが便利であると分かった。種々のこれらシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかであろう。更に、本発明は、特定のプログラミング言語を参照して説明しない。ここに述べる本発明の教示を実施するのに種々のプログラミング言語を使用できることが明らかであろう。
【0027】
[0040]マシン読み取り可能な媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な形態で情報を記憶し又は送信するためのメカニズムを含む。例えば、マシン読み取り可能な媒体は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、等々を含む。
【0028】
概略
[0041]スピーカの線形及び非線形歪を予補償して、スピーカの歪を減少するための方法及び装置について説明する。一実施形態では、この方法は、以前の予歪値及びオリジナル入力信号に応答して予歪フィルタの動作を変更することにより適応予補償を実行し、オリジナルの入力サンプルとスピーカの出力との間の予補償エラーを決定し、そしてスピーカモデルの厳密な逆状態を計算することにより予補償エラーを実質的に減少することを含む。入力と予想スピーカ出力との間の差がフィードバック信号を与え、これを使用して、エラーを最小にするか又は実質的に減少するように予補償装置のパラメータを調整する。
【0029】
[0042]一実施形態では、予補償エラーの実質的な減少は、逆(例えば、厳密な逆)を表わす多項式の係数を計算し、この多項式の実数根を見出すことにより予歪信号を計算し、次の係数計算に対して根をスケーリングして記憶し、次いで、予歪信号を再スケーリングした後に、スピーカへ送信することにより、達成される。
【0030】
[0043]図4は、スピーカ線形化のためのフィードバックを伴う予歪フィルタを示す一般的なブロック図である。図4を参照すれば、入力信号d(n)が経時変化予歪フィルタ401へ送り込まれる。この予歪フィルタ401は、入力信号d(n)がスピーカ405に送信される前に、入力信号d(n)に対して予補償を実行する。予歪フィルタ401からの出力は、スピーカモデル402と称される、スピーカ405の数学的モデルへ送られると共に、スピーカ405を駆動するアナログ/デジタルコンバータ403へも送られる。スピーカ405の数学的モデル402は、スピーカの次の出力410、
【数4】
を予想する。この予想出力410は、スピーカ405の理想的な出力と予想出力との間の差である予補償エラー信号
【数5】
を導出するのに使用される。従って、予歪フィルタ401及びスピーカモデル402は、予補償装置として働いて、予補償エラーe(n)が最小にされるか又は実質的に減少されるようにパラメータを調整する。
【0031】
[0044]一実施形態において、スピーカの数学的モデルは、一般に、ここに述べるp次のヴォルテラモデルである。説明上、2次のヴォルテラモデルに基づく厳密な逆について説明するが、ここに述べる方法及び装置は、これに限定されず、より高次のモデルに対しても使用できる。
【0032】
[0045]図5は、信号源がアナログ源である別のオーディオシステムのブロック図である。図5を参照すれば、アナログ信号501は、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ502を使用してデジタル信号に変換される。A/Dコンバータ502のデジタル出力は、デジタル予補償装置503へ供給される。この予補償装置503は、スピーカ505に通されたときに線形及び非線形歪を補償する予歪信号を発生する。予補償装置503のデジタル出力は、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ504へ供給される。このD/Aコンバータ504のアナログ出力は、スピーカ505を駆動する。
【0033】
[0046]図6は、スピーカのサウンドレベルが、予補償装置により予補償される前に、デジタル利得モジュールにより制御されるオーディオシステムの別の実施形態のブロック図である。図6を参照すれば、可変デジタル利得モジュール601は、デジタル入力信号を受信する。この可変デジタル利得モジュール601は、デジタル予補償装置602へ入力されるデジタル入力信号の信号レベルを制御する。デジタル予補償装置602は、上述したように予補償を実行する。予補償装置602の出力は、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ603へ供給される。電力増幅器604は、D/Aコンバータ603からアナログ信号出力を受け取り、そしてスピーカ605を駆動する信号に固定利得を適用する。
【0034】
[0047]図7は、スピーカからのサウンドレベルが、スピーカの前の電力増幅器の可変アナログ利得により制御されるオーディオシステムの別の実施形態のブロック図である。図7を参照すれば、固定利得モジュール701は、入力信号d(n)のレベルを調整する。予補償装置702は、固定利得モジュール701の出力を受け取る。予補償装置702は、上述した予補償を実行する。dpre(n)と称される予補償装置702の出力は、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ703へ供給され、該コンバータは、その出力をデジタルからアナログへ変換する。D/Aコンバータ703からのアナログ信号は、スピーカ705を駆動する可変利得電力増幅器704へ入力される。この可変利得増幅器704は、スピーカ705のサウンドレベルを制御する。
【0035】
[0048]図8は、予補償装置の一実施形態のブロック図である。図8を参照すれば、メモリモジュール801は、スピーカモデルのパラメータを記憶すると共に、スケールファクタs1及びs2のような種々のシステムパラメータも記憶する。一実施形態では、これらのパラメータは、2次のヴォルテラモデルを表わす。線形及び非線形部分H1=[h1(0)、h1(1)、・・・h1(M1)]及びH2={h2(i、j)、i、j=0、1、・・・M2}がメモリ801に記憶される。より高次のヴォルテラモデルについては、その高次のカーネルのパラメータも記憶される。デジタル信号d(n)は、厳密な逆モジュール802へ入力される。この逆モジュール802の機能は、逆の非線形動作を遂行することである。逆モジュール802は、入力信号d(n)と、状態バッファ802からのその出力のスケーリングされた過去の値{d’pre(n−1)、d’pre(n−2)、・・・}とを取り上げ、そして出力の現在値d’pre(n)を発生する。予歪信号の過去の値は、図8に示すように、先ず、利得モジュールを使用してマルチプライヤー812によりファクタs1でスケーリングされて、状態バッファ802に記憶される。
【0036】
[0049]予補償装置の最終的な出力は、厳密な逆モジュール802からの出力のスケーリングされたバージョンである。このスケーリングは、s2の利得を有する利得モジュール811により実行される。一実施形態では、利得s1及びs2は、パラメータメモリ801に記憶される。利得s1及びs2は、実施形態に基づいて固定でも可変でもよい。別の実施形態では、s1として利得1を使用できる(s1=1)と共に、関連する1組のパラメータ、例えば、モデルパラメータの適切にスケーリングされたバージョンをパラメータメモリ801に記憶することができる。
【0037】
[0050]図9は、予補償装置の一実施形態のブロック図である。図9を参照すれば、この予補償装置は、多項式係数計算器921及び多項式根解答器922を備えている。多項式係数計算モジュール921は、パラメータメモリ901からのスピーカモデルパラメータ、状態バッファ902からの予歪信号の過去の値、及び入力信号d(n)を使用して、p次多項式の(p+1)個の係数を計算する。多項式根解答器922は、その計算された係数を使用して、この多項式の実数根を計算する。一実施形態では、計算された根は、厳密な逆状態の出力d’pre(n)を構成する。
【0038】
[0051]図10は、厳密な逆を表わす多項式が、一般的に時間従属の3つの係数A(n)、B(n)及びC(n)を有する2次数の多項式であるような予補償装置の別の実施形態のブロック図である。一実施形態において、このケースにおける二次方程式は、次の通りである。
【数6】
【0039】
[0052]この式の根は、厳密な逆d’pre(n)の出力を与える。この実施形態における多項式根解答器は、二次方程式の解答器1022である。
【0040】
[0053]これらの係数を計算する方法の一実施形態は、次の式で与えられる。
【数7】
【0041】
[0054]上述したように、一実施形態では、係数は、スピーカモデル{H1、H2}のパラメータ、予歪信号d”pre(n)(状態)の過去のスケーリングされた値、及び入力信号d(n)に依存する。
【0042】
[0055]前記式(2a)、(2b)及び(2c)から明らかなように、二次方程式の係数は定数ではなく、それらは、予歪信号d”pre(n−i)の過去のスケーリングされた値、及びスピーカモデルのパラメータに依存する。
【0043】
[0056]これらの方程式で示されるように、図10のフィードバックは、厳密な予歪フィルタのパラメータをサンプルごとに調整する。従って、入力信号の各サンプルに対して、異なる二次方程式が解かれる。それ故、厳密な逆状態は固定されず、そのパラメータは、時間と共に変化する。
【0044】
[0057]この実施形態における根は、次の式により与えられる。
【数8】
【0045】
[0058]ここに示すように、一般に、多数の根がある。p次の多項方程式の場合には、一般にp個の根があり、又、二次方程式の場合には、一般に2個の根がある。これらの根は、全て、解として考えられる候補である。しかしながら、その後の処理については1つの根しか選択されない。候補の解を選択するのに種々の基準を使用できる。一実施形態では、選択される根が実数である。実数根が存在しない場合には、予補償エラーe(n)が減少しそして潜在的に最小となるように、d’pre(n)に対する別の実数値が選択される。p次の多項式について、pが奇数である場合には、少なくとも1つの実数根の存在が補償される。pが偶数で且つ実数根が存在しない場合には、p次の多項式から、d’pre(n)に対して微分することにより、(p−1)次の多項式を導出することができる。導出された多項式は、奇数である次数(p−1)を有し、実数の根をもつことが保証される。(p−1)次の多項式の実数根は、予補償エラーを減少する。二次多項式について、実数根が存在しない場合には、予補償エラーを減少する別の実数解は、次式で与えられる。
【数9】
【0046】
[0059]異なる有効解(根)は、予補償装置に対して異なる全体的性能を生じ得る。例えば、ある根は、バイアス値を有する予歪信号を発生し得る。このような特性は、ある用途にとって望ましいこともあるし、そうでないこともある。従って、複数の根から根を選択する方法に基づいて多数の実施形態が考えられる。一実施形態では、最小の絶対値をもつ実数根が使用される。
【0047】
[0060]図11は、信号を予補償するためのプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック等)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシンで実行されるような)、或いはその両方の組合せを含む処理ロジックにより実行される。一実施形態では、処理ロジックは、予補償装置の一部分である。
【0048】
[0061]図11を参照すれば、予補償は、処理ロジックが状態バッファを初期化することで始まる(処理ブロック1101)。状態バッファが初期化されると、処理ロジックは、入力データストリームを受け取る(処理ブロック1102)。処理ロジックは、スピーカモデルパラメータ、予歪フィルタの過去の状態(例えば、予補償装置の過去の予歪サンプル)、及び入力信号を使用して、逆多項式の係数を計算する(処理ブロック1103)。一実施形態では、逆多項式は、式(2a)、(2b)及び(2c)に基づいて計算された厳密な逆多項式である。
【0049】
[0062]係数を計算した後に、処理ロジックは、逆多項式の根を決定し(処理ブロック1104)、そして予補償エラーを減少し且つ潜在的に最小にする多項式の実数根を選択する(処理ブロック1105)。別の実施形態では、処理ロジックは、上述したように予補償エラーを減少する別の実数解を選択する。
【0050】
[0063]選択の後、処理ロジックは、その選択をスケーリングし記憶する(処理ブロック1106)。一実施形態では、スケーリングされた選択が、次の根の計算のために状態バッファに記憶される。一実施形態では、根解答器の出力が別のファクタでスケーリングされ、予補償出力として出力される。
【0051】
[0064]次いで、処理ロジックは、このサンプルが最後かどうか決定する(処理ブロック1107)。入力データが尽きない場合には、処理は、処理ブロック1102へ移行し、そこで、次のデータサンプルが読み取られて、多項式係数、根の計算、及び過去の状態の記憶が繰り返されるが、さもなければ、プロセスは終了となる。
【0052】
コンポーネント及びインターフェイス
[0065]ここに述べる技術を含む装置及び/又はシステムには、多数のコンポーネントが含まれる。例えば、逆多項式の係数及び根を計算するための中央処理ユニット(CPU)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)である。スピーカモデル、予補償装置パラメータ、及び入力信号の部分を記憶するためのメモリは、このような装置及び/又はシステムの一部分である。更に、アナログ及びデジタル利得エレメントがオーディオシステムに含まれてもよい。これらは、デジタルマルチプライヤ及びアナログ増幅器を含んでもよい。1つのこのような装置は、セルラー電話である。図12は、セルラー電話の一実施形態のブロック図である。
【0053】
[0066]図12を参照すれば、セルラー電話1210は、アンテナ1211と、高周波トランシーバ(RFユニット)1212と、モデム1213と、信号処理ユニット1214と、制御ユニット1215と、外部インターフェイスユニット(外部I/F)1216と、スピーカ(SP)1217と、マイクロホン(MIC)1218と、ディスプレイユニット1219と、操作ユニット1220と、メモリ1221とを備えている。
【0054】
[0067]外部ターミナル1230は、外部インターフェイス(外部I/F)1231と、CPU(中央処理ユニット)1232と、ディスプレイユニット1233と、キーボード1234と、メモリ1235と、ハードディスク1236と、CD−ROMドライバ1237とを備えている。
【0055】
[0068]CPU1232は、セルラー電話1210のメモリ(例えば、メモリ1221、メモリ1235、及びハードディスク1236)とあいまって、上述したオペレーションを実行するように協働する。
【0056】
コンピュータシステム例
[0069]図13は、上述したオペレーションの1つ以上を実行できるコンピュータシステム例のブロック図である。これらブロック、又はこれらブロックのサブセットを、例えば、セルラー電話のような装置へ一体化して、ここに述べる技術を遂行できることに注意されたい。
【0057】
[0070]図13を参照すれば、コンピュータシステム1300は、例示的なクライアント又はサーバーコンピュータで構成されてもよい。コンピュータシステム1300は、情報を通信するための通信メカニズム又はバス1311と、情報を処理するためにバス1311に結合されたプロセッサ1312とを備えている。プロセッサ1312は、例えば、PentiumTM、PowerPCTM、AlphaTM、等のマイクロプロセッサを含むが、マイクロプロセッサに限定されない。
【0058】
[0071]システム1300は、更に、プロセッサ1312により実行されるべき情報及び命令を記憶するためにバス1311に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミック記憶装置1304(メインメモリと称される)を備えている。又、メインメモリ1304は、プロセッサ1312による命令の実行中に一時的変数又は他の中間情報を記憶するのに使用されてもよい。
【0059】
[0072]又、コンピュータシステム1300は、プロセッサ1312に対するスタティック情報及び命令を記憶するためにバス1311に結合されたリードオンリメモリ(ROM)及び/又は他のスタティック記憶装置1306と、磁気ディスク又は光学ディスク及びそれに対応するディスクドライブのようなデータ記憶装置1307も備えている。このデータ記憶装置1307は、情報及び命令を記憶するためにバス1311に結合される。
【0060】
[0073]コンピュータシステム1300は、更に、コンピュータユーザへ情報を表示するためにバス1311に結合されたディスプレイ装置1321、例えば、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)に結合されてもよい。又、情報及びコマンド選択をプロセッサ1312に通信するために、アルファニューメリックキー及び他のキーを含むアルファニューメリック入力装置1322がバス1311に結合されてもよい。付加的なユーザ入力装置は、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ1312へ通信すると共に、ディスプレイ1321上のカーソル移動を制御するためにバス1311に結合されたカーソル制御器1323、例えば、マウス、トラックボール、トラックパッド、スタイラス、又はカーソル方向キーである。
【0061】
[0074]バス1311に結合できる別の装置は、命令、データ又は他の情報を、ペーパー、フィルム又は同様の形式の媒体のような媒体にプリントするのに使用できるハードコピー装置1324である。更に、コンピュータシステム1300とオーディオインターフェイスするために、スピーカ及び/又はマイクロホンのような録音及び再生装置をバス1311に結合するのも任意である。バス1311に結合できる別の装置は、電話又はハンドヘルドパルム装置と通信するためのワイヤード/ワイヤレス通信能力1325である。
【0062】
[0075]システム1300及びそれに関連したハードウェアのコンポーネントのいずれか又は全部を本発明に使用できることに注意されたい。しかしながら、コンピュータシステムの他のコンフィギュレーションがこれら装置の幾つか又は全部を含んでもよいことが明らかである。
【0063】
[0076]従って、上述したように、少なくとも1つの実施形態は、スピーカ歪を良好に補償し、スピーカから高い音質を生じさせる。
【0064】
[0077]当業者であれば、以上の説明を読んだ後に、本発明の多数の変更や修正が疑いなく明らかであろうから、ここに図示して説明した特定の実施形態は、何ら限定を意図したものではないことを理解されたい。それ故、種々の実施形態の詳細な説明は、本発明の本質とみなされる特徴のみを列挙した特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】2次のスピーカモデルを示す図である。
【図2】スピーカをイコライズするための予歪フィルタを有するオーディオシステムのブロック図である。
【図3】2次予歪フィルタの一実施形態を示す図である。
【図4】適応フィルタリング理論の概念及び表示法を使用した一実施形態を示す図である。
【図5】信号源がアナログ源である実施形態を示す図である。
【図6】スピーカのサウンドレベルが予補償装置の前でデジタル利得により制御される別の実施形態を示す図である。
【図7】スピーカからのサウンドレベルがスピーカの前で電力増幅器の可変アナログ利得により制御される別の実施形態を示す図である。
【図8】5つのコンポーネントで構成される予補償装置の一実施形態を示す図である。
【図9】多項式係数計算器及び多項式根解答器で構成される厳密な逆状態の一実施形態を示す図である。
【図10】厳密な逆状態を与える多項式が、一般的に時間従属の3つの係数を有する2次の多項式であるような厳密な逆状態の別の実施形態を示す図である。
【図11】予補償装置により実行される予補償プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【図12】セルラー電話の実施例を示すブロック図である。
【図13】コンピュータシステムを例示するブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
401・・・予歪フィルタ、402・・・スピーカモデル、403・・・アナログ/デジタルコンバータ、405・・・スピーカ、501・・・信号源、502・・・A/Dコンバータ、503・・・予補償装置、504・・・D/Aコンバータ、505・・・スピーカ、601・・・可変デジタル利得モジュール、602・・・予補償装置、603・・・D/Aコンバータ、604・・・電力増幅器、605・・・スピーカ、701・・・固定利得モジュール、702・・・予補償装置、703・・・D/Aコンバータ、704・・・可変利得電力増幅器、705・・・スピーカ、801・・・メモリモジュール、802・・・逆モジュール、802・・・状態バッファ、811・・・利得モジュール、812・・・マルチプライヤー、901・・・パラメータメモリ、902・・・状態バッファ、921・・・多項式係数計算器、922・・・多項式根解答器、1210・・・セルラー電話、1211・・・アンテナ、1212・・・高周波トランシーバ、1213・・・モデム、1214・・・信号処理ユニット、1215・・・制御ユニット、1216・・・外部インターフェイスユニット、1217・・・スピーカ、1218・・・マイク、1219・・・ディスプレイユニット、1220・・・操作ユニット、1221・・・メモリ
【優先権】
【0001】
[0001]本特許出願は、参考としてここに援用する2004年6月4日に出願された「Method And Apparatus For Loudspeaker Equalization Using AdaptiveFeedback And Exact Inverse」と題する対応するプロビジョナル特許出願第60/577,375号に対する優先権を請求する。
【発明の分野】
【0002】
[0002]本発明は、オーディオスピーカの分野に係り、より詳細には、本発明は、小型スピーカにより生じる歪を補償することに係る。
【発明の背景】
【0003】
[0003]コーデックは、移動装置におけるアナログ入力及び出力(I/O)処理がオーディオ及びスピーチの質の限界を決定するところまで進歩した。より詳細には、非線形特性をもつ小型スピーカは、例えば、セルラー電話やパーソナルデジタルアシスタント(PDA)のようなターミナル装置におけるオーディオ質低下の主たる原因である。
【0004】
[0004]スピーカには、2つの形式の歪があり、即ち1)線形歪(低周波抑制、共振、等)と、2)非線形歪である。スピーカの周波数応答の振幅及び位相は、線形歪を特徴付ける。線形歪の作用は、信号の周波数内容の振幅及び位相を変更することである。線形歪は、サウンドに余計な周波数を追加するものではなく、スピーカの線形周波数応答の逆の周波数応答をもつ線形フィルタを使用して容易に補償することができる。
【0005】
[0005]非線形歪は、より激しいサウンド質低下を招くことがある。オリジナルサウンドに存在しない高調波や相互変調歪として知られている余計な周波数成分が現われることがある。これらの「余計なサウンド」は、耳障りで且つ不自然なものとして感じられるようにオリジナルサウンドを変更し得る。この技術で良く知られているように、サウンドは、スピーカのダイアフラム又はホーンの振動で発生される。一般に、非線形歪は、スピーカのダイアフラムの変位が大きいほど高く、これは、低い周波数において生じると共に、スピーカの共振周波数においても生じる。
【0006】
[0006]非線形歪を厳密に補償するには、スピーカモデルの厳密に逆である予歪フィルタが必要となる。
【0007】
[0007]この技術では、図1に示すようにスピーカ応答の線形成分(H1)及び非線形成分(H2、H3、・・・)をモデリングするためにヴォルテラ展開式が使用されている。これらの成分は、スピーカの入力及び出力測定値から推定される。非線形歪を測定するために、正弦波信号を印加し、次いで、非線形システムの出力に高調波又は合成トーンが発生される程度を測定することが慣習的に使用されている。例えば、M.ツジカワ、T.シオザキ、Y.カジカワ、Y.ノムラ著の「Identification and Elimination of Second-Order Nonlinear Distortionof Loudspeaker System using Volterra Filter」、ISCAS2000−IEEEインターナショナル・シンポジウム・オン・サーキット・アンド・システムズ、第V−249−252ページ、2000年5月、を参照されたい。この正弦波入力解決策とは対照的に、スピーカの特性を分析するのにランダムノイズがしばしば使用される。例えば、V.J.マッセウ著の「Adaptive Polynomial Filters」、IEEE SPマガジン、第8巻、第3号、第10−26ページ、1991年7月、を参照されたい。このランダム入力解決策は、音楽のような周波数多重化入力を近似するもので、入力トーンの周波数を変えることにより同じ実験を繰り返すことを必要としない。このランダム入力解決策は、通常、ヴォルテラの級数表示で非線形システムをモデリングすることを含む。次いで、最小平均二乗(LMS)又は反復最小二乗(RLS)のような最小二乗技術を使用して、線形成分(H1)及び非線形成分(H2、H3・・・)のパラメータを計算する。
【0008】
[0008]一般に、時間ドメインにおけるスピーカの入力−出力関係は、p次のヴォルテラ展開式により次のように与えられる。
【数1】
但し、Hk=hk(m1、m2、m3、・・・mk)は、k次のヴォルテラカーネルであり、又、Hk[x(n)]は、次のように与えられる。
【数2】
【0009】
[0009]スピーカは、2次又は3次のヴォルテラモデルにより充分にモデリングできると一般的に仮定される。2次のモデルは、(1)の特殊なケースであり、次のように与えられる。
【数3】
【0010】
[0010]第1の項は定数であって一般的にゼロであると仮定し、第2の項は線形応答(H1)であり、そして第3の項は二次の非線形応答(H2)である。
【0011】
[0011]電気−音響変換における線形歪及び非線形歪を補償するために、予歪フィルタが使用される。図2は、信号源201からの入力信号(d(n))を、オーディオ信号源201とスピーカ203との間の予歪フィルタ202に通すオーディオシステムを示す。予歪フィルタ202は、予補償装置、リニアライザ又はイコライザとも称される。スピーカ203の可動コイルは、予歪フィルタ202からの出力である予めフィルタされた信号dpre(n)により駆動される。スピーカモデルは、オーディオ信号源201とスピーカ203との間に配置されるべき非線形予歪フィルタ202を見出すのに使用される。予歪フィルタ202により実行されるフィルタリングは、可動コイルの実際の変位が、オリジナル信号d(n)により規定された理想的な運動に正確に一致するように、スピーカ203の歪に対抗するよう設計される。即ち、理想的には、予歪フィルタ202は、スピーカ203へ供給したときに、出力音響信号がオリジナルオーディオ信号の厳密な複製となるように、予歪信号dpre(n)を発生しなければならない。このケースでは、線形歪及び非線形歪の両方が完全に補償される。
【0012】
[0012]厳密な逆を見出すことは単純ではなく、非線形スピーカを含む非線形システムをイコライズする上で難題を課する。多数の近似解決策が利用されている。例えば、W.フランク、R.レガー、及びU.アペル著の「Loudspeaker Nonlinearities-Analysis and Compensation」、Conf. Record 26th,Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers、パシフィック・グルーブ、CA、第756−760ページ、1992年10月;X.Y.ガオ、W.M.スネルグルーブ著の「Adaptive Linearization of a Loudspeaker」、Proc. IEEE Intl. Conf.Acoust., Speech, Signal Processing、第3589−3592ページ、1991年;及び2002年6月18日付の「Distortion Removal Apparatus, Method for Determining Coefficient forthe Same, and Processing Speaker System, Multi-Processor, and AmplifierIncluding the Same」と題する米国特許第6,408,079号を参照されたい。これらの機構は、スピーカのためのヴォルテラモデルを使用して、スピーカの非線形の逆状態を近似する予歪フィルタを見出す。通常、近似の逆状態は、図3に示すように線形成分及び二次成分しかもたず、ここで、G1及びG2は、ヴォルテラの逆状態の線形部分及び二次部分である。
【0013】
[0013]線形部分は、通常、上述したようにスピーカの線形歪(G1=H1−1)を完全に補償するように選択される。予歪フィルタの2次即ち二次成分は、スピーカの二次歪(G2=H1−1H2H1−1)を完全に補償するように選択される。
【0014】
[0014]この補償機構の副産物として、余計な3次及び4次の非線形性が導入される。ある従来の参照文献は、より高次の(いわゆるp次の)予歪フィルタを使用して、非線形逆状態に対する良好な近似を構成することを述べている。このようなケースでは、より高次の非線形性がスピーカの出力に導入される。
【0015】
[0015]p次のヴォルテラ逆状態は、ある条件が満足された場合だけ、真の逆状態に収斂される。小さな信号レベルから、ヴォルテラの予めの逆状態は、スピーカから認知される音質を改善する。W.フランク、R.レガー及びU.アペル著の「Loudspeaker Nonlinearities-Analysis and Compensation」、Conf. Record 26th,Asilomar Conference on Signals, Systems and Computers、パシフィック・グルーブ、CA、第756−760ページ、1992年10月には、スピーカの公称入力電力において、高次の歪が小さいことが述べられている。これは、スピーカが耳に非常に接近する用途(音声電話のような)で言えることであるが、ビデオ電話やハンズフリー電話のような将来のマルチメディア用途では、スピーカが聴取者の耳から遠く離れる。これらの用途では、より高い再生レベルが要求される。
【0016】
[0016]高い再生レベルの場合に、p次のヴォルテラ逆状態が厳密な非線形の逆状態に収斂しないことがあり、その結果、予歪フィルタにより導入される余計な歪が、オリジナルの未補償スピーカ歪より悪いものになり得る。p次のヴォルテラ逆状態の構造は、非線形歪に対して高いコストで線形歪を補償できるというものである。大きな入力レベルの場合に、第3、第4及びそれより高次の歪が未補償歪より大きなものとなり、これにより、予補償機構を役に立たなくする。その結果、ヴォルテラの予補償スピーカの音質は、未補償の場合より低くなることがある。
【発明の概要】
【0017】
[0017]スピーカをイコライズするための方法、装置及びシステムがここに開示される。一実施形態において、このシステムは、入力信号のサンプルを受信するための入力部と、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ、及び入力信号の以前の予歪サンプルに応答して、予補償出力を発生するための予補償装置と、前記スピーカモデルに対応するスピーカであって、前記予補償出力に応答してオーディオ出力を発生するためのスピーカとを備えている。
【0018】
[0018]本発明は、種々の実施形態を示す添付図面及び以下の詳細な説明から理解されるであろうが、本発明は、特定の実施形態に限定されず、これら実施形態は、単に本発明を例示し、それを理解するためのものに過ぎない。
【本発明の詳細説明】
【0019】
[0032]非線形逆状態及びフィードバックループを使用してスピーカの線形及び非線形歪を補償するための方法及び装置を説明する。一実施形態において、逆状態とは、厳密な非線形の逆状態である。小型スピーカにおける電気−音響変換の歪を補償するために、オーディオ信号源とスピーカとの間に配置された予歪フィルタに信号が通される。
【0020】
[0033]ここに述べる実施形態は、厳密な非線形逆状態と、予歪フィルタのパラメータを適応調整するためのフィードバックループとを使用して、スピーカの線形及び非線形歪を補償し、スピーカの入力と予補償出力との間の差が最小にされ又は実質的に減少されるようにする。一実施形態において、予歪フィルタは、推定されるスピーカ伝達関数の逆(例えば、厳密な逆)を使用して入力信号を変換し、入力サウンドの複製を発生する。一実施形態において、フィードバック信号を使用して、非線形システムの厳密な逆状態を計算することができる。フィードバックは、スピーカの入力と予補償出力との間の差が減少され且つ潜在的に最小にされるように、予歪フィルタのパラメータを適応調整するのに使用される。それにより得られる質の改善は、ここに述べる技術を、高い再生レベルにおいて高い音質が望まれる用途に含ませるのに適したものにする。このような用途は、セルラー電話、テレコンファレンス、ビデオ電話、ビデオ会議、パーソナルデジタルアシスタント、Wi−Fi、システム等を含むが、これらに限定されない。
【0021】
[0034]一実施形態において、スピーカの電気音響特性のモデルを使用して、スピーカの伝達関数を導出する。次いで、予補償装置がこの伝達関数の逆を実行する。従って、スピーカの出力は、オリジナルの入力信号により密接に類似したものとなる。
【0022】
[0035]以下の説明において、本発明をより完全に説明するために多数の細部について述べる。しかしながら、当業者であれば、本発明は、これらの特定の細部を伴わずに実施できることが明らかであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、良く知られた構造及び装置は、詳細な形態ではなく、ブロック図の形態で示す。
【0023】
[0036]以下の詳細な説明のある部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対するオペレーションをアルゴリズム及び記号表示の形態で示す。これらアルゴリズム記述及び表示は、データ処理技術の当業者により、それらの仕事の実体をこの技術の他の当業者へ最も有効に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムとは、ここでは、一般に、希望の結果を導くステップの自己矛盾のないシーケンスであると考えられる。これらステップは、物理的な量の物理的操作を要求する。通常、必ずしもそうでないが、これらの量は、記憶、転送、合成、比較、及びその他、操作することのできる電気的又は磁気的信号の形態をとる。時には、主として、共通の使用という理由で、これらの信号を、ビット、値、エレメント、記号、キャラクタ、項、数字等として参照するのが便利であると分かっている。
【0024】
[0037]しかしながら、これら及び同様の用語は、全て、適当な物理的量に関連されるべきで、且つこれらの量に適用される便利なラベルに過ぎないことを銘記されたい。特に指示のない限り、以下の説明から明らかなように、この説明全体にわたり、「処理」又は「コンピューティング」又は「計算」又は「決定」又は「表示」等の用語を使用する検討は、コンピュータシステム又は同様の電子的コンピューティング装置のアクション及び処理であって、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子的)量として表わされたデータを、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、或いは他のこのような情報記憶、送信又は表示装置内の物理的量として同様に表わされる他のデータへと操作及び変換するものを指すことが明らかであろう。
【0025】
[0038]又、本発明は、ここに述べるオペレーションを実行するための装置にも係る。この装置は、要求される目的に対して特別に構成されてもよいし、或いはコンピュータに記憶されるコンピュータプログラムにより選択的にアクチベートされ又はコンフィギュレーションされる汎用コンピュータを備えてもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えば、これに限定されないが、フロッピーディスク、光学ディスク、CD−ROM、及び磁気−光学ディスクを含む任意の形式のディスク、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光学カード、或いは電子的インストラクションを記憶するのに適していて、コンピュータシステムバスに各々結合される任意の形式の媒体に記憶されてもよい。
【0026】
[0039]ここに述べるアルゴリズム及びディスプレイは、特定のコンピュータ又は他の装置に固有に関連したものではない。種々の汎用システムが、ここに述べる教示に基づくプログラムと共に使用されてもよいし、又は必要な方法ステップを実行するために更に特殊な装置を構成するのが便利であると分かった。種々のこれらシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかであろう。更に、本発明は、特定のプログラミング言語を参照して説明しない。ここに述べる本発明の教示を実施するのに種々のプログラミング言語を使用できることが明らかであろう。
【0027】
[0040]マシン読み取り可能な媒体は、マシン(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な形態で情報を記憶し又は送信するためのメカニズムを含む。例えば、マシン読み取り可能な媒体は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、等々を含む。
【0028】
概略
[0041]スピーカの線形及び非線形歪を予補償して、スピーカの歪を減少するための方法及び装置について説明する。一実施形態では、この方法は、以前の予歪値及びオリジナル入力信号に応答して予歪フィルタの動作を変更することにより適応予補償を実行し、オリジナルの入力サンプルとスピーカの出力との間の予補償エラーを決定し、そしてスピーカモデルの厳密な逆状態を計算することにより予補償エラーを実質的に減少することを含む。入力と予想スピーカ出力との間の差がフィードバック信号を与え、これを使用して、エラーを最小にするか又は実質的に減少するように予補償装置のパラメータを調整する。
【0029】
[0042]一実施形態では、予補償エラーの実質的な減少は、逆(例えば、厳密な逆)を表わす多項式の係数を計算し、この多項式の実数根を見出すことにより予歪信号を計算し、次の係数計算に対して根をスケーリングして記憶し、次いで、予歪信号を再スケーリングした後に、スピーカへ送信することにより、達成される。
【0030】
[0043]図4は、スピーカ線形化のためのフィードバックを伴う予歪フィルタを示す一般的なブロック図である。図4を参照すれば、入力信号d(n)が経時変化予歪フィルタ401へ送り込まれる。この予歪フィルタ401は、入力信号d(n)がスピーカ405に送信される前に、入力信号d(n)に対して予補償を実行する。予歪フィルタ401からの出力は、スピーカモデル402と称される、スピーカ405の数学的モデルへ送られると共に、スピーカ405を駆動するアナログ/デジタルコンバータ403へも送られる。スピーカ405の数学的モデル402は、スピーカの次の出力410、
【数4】
を予想する。この予想出力410は、スピーカ405の理想的な出力と予想出力との間の差である予補償エラー信号
【数5】
を導出するのに使用される。従って、予歪フィルタ401及びスピーカモデル402は、予補償装置として働いて、予補償エラーe(n)が最小にされるか又は実質的に減少されるようにパラメータを調整する。
【0031】
[0044]一実施形態において、スピーカの数学的モデルは、一般に、ここに述べるp次のヴォルテラモデルである。説明上、2次のヴォルテラモデルに基づく厳密な逆について説明するが、ここに述べる方法及び装置は、これに限定されず、より高次のモデルに対しても使用できる。
【0032】
[0045]図5は、信号源がアナログ源である別のオーディオシステムのブロック図である。図5を参照すれば、アナログ信号501は、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ502を使用してデジタル信号に変換される。A/Dコンバータ502のデジタル出力は、デジタル予補償装置503へ供給される。この予補償装置503は、スピーカ505に通されたときに線形及び非線形歪を補償する予歪信号を発生する。予補償装置503のデジタル出力は、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ504へ供給される。このD/Aコンバータ504のアナログ出力は、スピーカ505を駆動する。
【0033】
[0046]図6は、スピーカのサウンドレベルが、予補償装置により予補償される前に、デジタル利得モジュールにより制御されるオーディオシステムの別の実施形態のブロック図である。図6を参照すれば、可変デジタル利得モジュール601は、デジタル入力信号を受信する。この可変デジタル利得モジュール601は、デジタル予補償装置602へ入力されるデジタル入力信号の信号レベルを制御する。デジタル予補償装置602は、上述したように予補償を実行する。予補償装置602の出力は、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ603へ供給される。電力増幅器604は、D/Aコンバータ603からアナログ信号出力を受け取り、そしてスピーカ605を駆動する信号に固定利得を適用する。
【0034】
[0047]図7は、スピーカからのサウンドレベルが、スピーカの前の電力増幅器の可変アナログ利得により制御されるオーディオシステムの別の実施形態のブロック図である。図7を参照すれば、固定利得モジュール701は、入力信号d(n)のレベルを調整する。予補償装置702は、固定利得モジュール701の出力を受け取る。予補償装置702は、上述した予補償を実行する。dpre(n)と称される予補償装置702の出力は、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ703へ供給され、該コンバータは、その出力をデジタルからアナログへ変換する。D/Aコンバータ703からのアナログ信号は、スピーカ705を駆動する可変利得電力増幅器704へ入力される。この可変利得増幅器704は、スピーカ705のサウンドレベルを制御する。
【0035】
[0048]図8は、予補償装置の一実施形態のブロック図である。図8を参照すれば、メモリモジュール801は、スピーカモデルのパラメータを記憶すると共に、スケールファクタs1及びs2のような種々のシステムパラメータも記憶する。一実施形態では、これらのパラメータは、2次のヴォルテラモデルを表わす。線形及び非線形部分H1=[h1(0)、h1(1)、・・・h1(M1)]及びH2={h2(i、j)、i、j=0、1、・・・M2}がメモリ801に記憶される。より高次のヴォルテラモデルについては、その高次のカーネルのパラメータも記憶される。デジタル信号d(n)は、厳密な逆モジュール802へ入力される。この逆モジュール802の機能は、逆の非線形動作を遂行することである。逆モジュール802は、入力信号d(n)と、状態バッファ802からのその出力のスケーリングされた過去の値{d’pre(n−1)、d’pre(n−2)、・・・}とを取り上げ、そして出力の現在値d’pre(n)を発生する。予歪信号の過去の値は、図8に示すように、先ず、利得モジュールを使用してマルチプライヤー812によりファクタs1でスケーリングされて、状態バッファ802に記憶される。
【0036】
[0049]予補償装置の最終的な出力は、厳密な逆モジュール802からの出力のスケーリングされたバージョンである。このスケーリングは、s2の利得を有する利得モジュール811により実行される。一実施形態では、利得s1及びs2は、パラメータメモリ801に記憶される。利得s1及びs2は、実施形態に基づいて固定でも可変でもよい。別の実施形態では、s1として利得1を使用できる(s1=1)と共に、関連する1組のパラメータ、例えば、モデルパラメータの適切にスケーリングされたバージョンをパラメータメモリ801に記憶することができる。
【0037】
[0050]図9は、予補償装置の一実施形態のブロック図である。図9を参照すれば、この予補償装置は、多項式係数計算器921及び多項式根解答器922を備えている。多項式係数計算モジュール921は、パラメータメモリ901からのスピーカモデルパラメータ、状態バッファ902からの予歪信号の過去の値、及び入力信号d(n)を使用して、p次多項式の(p+1)個の係数を計算する。多項式根解答器922は、その計算された係数を使用して、この多項式の実数根を計算する。一実施形態では、計算された根は、厳密な逆状態の出力d’pre(n)を構成する。
【0038】
[0051]図10は、厳密な逆を表わす多項式が、一般的に時間従属の3つの係数A(n)、B(n)及びC(n)を有する2次数の多項式であるような予補償装置の別の実施形態のブロック図である。一実施形態において、このケースにおける二次方程式は、次の通りである。
【数6】
【0039】
[0052]この式の根は、厳密な逆d’pre(n)の出力を与える。この実施形態における多項式根解答器は、二次方程式の解答器1022である。
【0040】
[0053]これらの係数を計算する方法の一実施形態は、次の式で与えられる。
【数7】
【0041】
[0054]上述したように、一実施形態では、係数は、スピーカモデル{H1、H2}のパラメータ、予歪信号d”pre(n)(状態)の過去のスケーリングされた値、及び入力信号d(n)に依存する。
【0042】
[0055]前記式(2a)、(2b)及び(2c)から明らかなように、二次方程式の係数は定数ではなく、それらは、予歪信号d”pre(n−i)の過去のスケーリングされた値、及びスピーカモデルのパラメータに依存する。
【0043】
[0056]これらの方程式で示されるように、図10のフィードバックは、厳密な予歪フィルタのパラメータをサンプルごとに調整する。従って、入力信号の各サンプルに対して、異なる二次方程式が解かれる。それ故、厳密な逆状態は固定されず、そのパラメータは、時間と共に変化する。
【0044】
[0057]この実施形態における根は、次の式により与えられる。
【数8】
【0045】
[0058]ここに示すように、一般に、多数の根がある。p次の多項方程式の場合には、一般にp個の根があり、又、二次方程式の場合には、一般に2個の根がある。これらの根は、全て、解として考えられる候補である。しかしながら、その後の処理については1つの根しか選択されない。候補の解を選択するのに種々の基準を使用できる。一実施形態では、選択される根が実数である。実数根が存在しない場合には、予補償エラーe(n)が減少しそして潜在的に最小となるように、d’pre(n)に対する別の実数値が選択される。p次の多項式について、pが奇数である場合には、少なくとも1つの実数根の存在が補償される。pが偶数で且つ実数根が存在しない場合には、p次の多項式から、d’pre(n)に対して微分することにより、(p−1)次の多項式を導出することができる。導出された多項式は、奇数である次数(p−1)を有し、実数の根をもつことが保証される。(p−1)次の多項式の実数根は、予補償エラーを減少する。二次多項式について、実数根が存在しない場合には、予補償エラーを減少する別の実数解は、次式で与えられる。
【数9】
【0046】
[0059]異なる有効解(根)は、予補償装置に対して異なる全体的性能を生じ得る。例えば、ある根は、バイアス値を有する予歪信号を発生し得る。このような特性は、ある用途にとって望ましいこともあるし、そうでないこともある。従って、複数の根から根を選択する方法に基づいて多数の実施形態が考えられる。一実施形態では、最小の絶対値をもつ実数根が使用される。
【0047】
[0060]図11は、信号を予補償するためのプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。このプロセスは、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック等)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシンで実行されるような)、或いはその両方の組合せを含む処理ロジックにより実行される。一実施形態では、処理ロジックは、予補償装置の一部分である。
【0048】
[0061]図11を参照すれば、予補償は、処理ロジックが状態バッファを初期化することで始まる(処理ブロック1101)。状態バッファが初期化されると、処理ロジックは、入力データストリームを受け取る(処理ブロック1102)。処理ロジックは、スピーカモデルパラメータ、予歪フィルタの過去の状態(例えば、予補償装置の過去の予歪サンプル)、及び入力信号を使用して、逆多項式の係数を計算する(処理ブロック1103)。一実施形態では、逆多項式は、式(2a)、(2b)及び(2c)に基づいて計算された厳密な逆多項式である。
【0049】
[0062]係数を計算した後に、処理ロジックは、逆多項式の根を決定し(処理ブロック1104)、そして予補償エラーを減少し且つ潜在的に最小にする多項式の実数根を選択する(処理ブロック1105)。別の実施形態では、処理ロジックは、上述したように予補償エラーを減少する別の実数解を選択する。
【0050】
[0063]選択の後、処理ロジックは、その選択をスケーリングし記憶する(処理ブロック1106)。一実施形態では、スケーリングされた選択が、次の根の計算のために状態バッファに記憶される。一実施形態では、根解答器の出力が別のファクタでスケーリングされ、予補償出力として出力される。
【0051】
[0064]次いで、処理ロジックは、このサンプルが最後かどうか決定する(処理ブロック1107)。入力データが尽きない場合には、処理は、処理ブロック1102へ移行し、そこで、次のデータサンプルが読み取られて、多項式係数、根の計算、及び過去の状態の記憶が繰り返されるが、さもなければ、プロセスは終了となる。
【0052】
コンポーネント及びインターフェイス
[0065]ここに述べる技術を含む装置及び/又はシステムには、多数のコンポーネントが含まれる。例えば、逆多項式の係数及び根を計算するための中央処理ユニット(CPU)又はデジタル信号プロセッサ(DSP)である。スピーカモデル、予補償装置パラメータ、及び入力信号の部分を記憶するためのメモリは、このような装置及び/又はシステムの一部分である。更に、アナログ及びデジタル利得エレメントがオーディオシステムに含まれてもよい。これらは、デジタルマルチプライヤ及びアナログ増幅器を含んでもよい。1つのこのような装置は、セルラー電話である。図12は、セルラー電話の一実施形態のブロック図である。
【0053】
[0066]図12を参照すれば、セルラー電話1210は、アンテナ1211と、高周波トランシーバ(RFユニット)1212と、モデム1213と、信号処理ユニット1214と、制御ユニット1215と、外部インターフェイスユニット(外部I/F)1216と、スピーカ(SP)1217と、マイクロホン(MIC)1218と、ディスプレイユニット1219と、操作ユニット1220と、メモリ1221とを備えている。
【0054】
[0067]外部ターミナル1230は、外部インターフェイス(外部I/F)1231と、CPU(中央処理ユニット)1232と、ディスプレイユニット1233と、キーボード1234と、メモリ1235と、ハードディスク1236と、CD−ROMドライバ1237とを備えている。
【0055】
[0068]CPU1232は、セルラー電話1210のメモリ(例えば、メモリ1221、メモリ1235、及びハードディスク1236)とあいまって、上述したオペレーションを実行するように協働する。
【0056】
コンピュータシステム例
[0069]図13は、上述したオペレーションの1つ以上を実行できるコンピュータシステム例のブロック図である。これらブロック、又はこれらブロックのサブセットを、例えば、セルラー電話のような装置へ一体化して、ここに述べる技術を遂行できることに注意されたい。
【0057】
[0070]図13を参照すれば、コンピュータシステム1300は、例示的なクライアント又はサーバーコンピュータで構成されてもよい。コンピュータシステム1300は、情報を通信するための通信メカニズム又はバス1311と、情報を処理するためにバス1311に結合されたプロセッサ1312とを備えている。プロセッサ1312は、例えば、PentiumTM、PowerPCTM、AlphaTM、等のマイクロプロセッサを含むが、マイクロプロセッサに限定されない。
【0058】
[0071]システム1300は、更に、プロセッサ1312により実行されるべき情報及び命令を記憶するためにバス1311に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミック記憶装置1304(メインメモリと称される)を備えている。又、メインメモリ1304は、プロセッサ1312による命令の実行中に一時的変数又は他の中間情報を記憶するのに使用されてもよい。
【0059】
[0072]又、コンピュータシステム1300は、プロセッサ1312に対するスタティック情報及び命令を記憶するためにバス1311に結合されたリードオンリメモリ(ROM)及び/又は他のスタティック記憶装置1306と、磁気ディスク又は光学ディスク及びそれに対応するディスクドライブのようなデータ記憶装置1307も備えている。このデータ記憶装置1307は、情報及び命令を記憶するためにバス1311に結合される。
【0060】
[0073]コンピュータシステム1300は、更に、コンピュータユーザへ情報を表示するためにバス1311に結合されたディスプレイ装置1321、例えば、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)に結合されてもよい。又、情報及びコマンド選択をプロセッサ1312に通信するために、アルファニューメリックキー及び他のキーを含むアルファニューメリック入力装置1322がバス1311に結合されてもよい。付加的なユーザ入力装置は、方向情報及びコマンド選択をプロセッサ1312へ通信すると共に、ディスプレイ1321上のカーソル移動を制御するためにバス1311に結合されたカーソル制御器1323、例えば、マウス、トラックボール、トラックパッド、スタイラス、又はカーソル方向キーである。
【0061】
[0074]バス1311に結合できる別の装置は、命令、データ又は他の情報を、ペーパー、フィルム又は同様の形式の媒体のような媒体にプリントするのに使用できるハードコピー装置1324である。更に、コンピュータシステム1300とオーディオインターフェイスするために、スピーカ及び/又はマイクロホンのような録音及び再生装置をバス1311に結合するのも任意である。バス1311に結合できる別の装置は、電話又はハンドヘルドパルム装置と通信するためのワイヤード/ワイヤレス通信能力1325である。
【0062】
[0075]システム1300及びそれに関連したハードウェアのコンポーネントのいずれか又は全部を本発明に使用できることに注意されたい。しかしながら、コンピュータシステムの他のコンフィギュレーションがこれら装置の幾つか又は全部を含んでもよいことが明らかである。
【0063】
[0076]従って、上述したように、少なくとも1つの実施形態は、スピーカ歪を良好に補償し、スピーカから高い音質を生じさせる。
【0064】
[0077]当業者であれば、以上の説明を読んだ後に、本発明の多数の変更や修正が疑いなく明らかであろうから、ここに図示して説明した特定の実施形態は、何ら限定を意図したものではないことを理解されたい。それ故、種々の実施形態の詳細な説明は、本発明の本質とみなされる特徴のみを列挙した特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】2次のスピーカモデルを示す図である。
【図2】スピーカをイコライズするための予歪フィルタを有するオーディオシステムのブロック図である。
【図3】2次予歪フィルタの一実施形態を示す図である。
【図4】適応フィルタリング理論の概念及び表示法を使用した一実施形態を示す図である。
【図5】信号源がアナログ源である実施形態を示す図である。
【図6】スピーカのサウンドレベルが予補償装置の前でデジタル利得により制御される別の実施形態を示す図である。
【図7】スピーカからのサウンドレベルがスピーカの前で電力増幅器の可変アナログ利得により制御される別の実施形態を示す図である。
【図8】5つのコンポーネントで構成される予補償装置の一実施形態を示す図である。
【図9】多項式係数計算器及び多項式根解答器で構成される厳密な逆状態の一実施形態を示す図である。
【図10】厳密な逆状態を与える多項式が、一般的に時間従属の3つの係数を有する2次の多項式であるような厳密な逆状態の別の実施形態を示す図である。
【図11】予補償装置により実行される予補償プロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【図12】セルラー電話の実施例を示すブロック図である。
【図13】コンピュータシステムを例示するブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
401・・・予歪フィルタ、402・・・スピーカモデル、403・・・アナログ/デジタルコンバータ、405・・・スピーカ、501・・・信号源、502・・・A/Dコンバータ、503・・・予補償装置、504・・・D/Aコンバータ、505・・・スピーカ、601・・・可変デジタル利得モジュール、602・・・予補償装置、603・・・D/Aコンバータ、604・・・電力増幅器、605・・・スピーカ、701・・・固定利得モジュール、702・・・予補償装置、703・・・D/Aコンバータ、704・・・可変利得電力増幅器、705・・・スピーカ、801・・・メモリモジュール、802・・・逆モジュール、802・・・状態バッファ、811・・・利得モジュール、812・・・マルチプライヤー、901・・・パラメータメモリ、902・・・状態バッファ、921・・・多項式係数計算器、922・・・多項式根解答器、1210・・・セルラー電話、1211・・・アンテナ、1212・・・高周波トランシーバ、1213・・・モデム、1214・・・信号処理ユニット、1215・・・制御ユニット、1216・・・外部インターフェイスユニット、1217・・・スピーカ、1218・・・マイク、1219・・・ディスプレイユニット、1220・・・操作ユニット、1221・・・メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号のサンプルを受信するための入力部と、
前記入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ、及び入力信号の以前の予歪サンプルに応答して、予補償出力を発生するための予補償装置と、
前記スピーカモデルに対応するスピーカであって、前記予補償出力に応答してオーディオ出力を発生するためのスピーカと、
を備えるオーディオシステム。
【請求項2】
前記予補償装置は、非線形補償を使用して、前記スピーカから生じる歪とは反対の仕方で前記入力信号のサンプルを変更する、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項3】
前記予補償装置は、前記スピーカモデルの逆を計算するための逆モジュールを備える、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項4】
前記逆モジュールは、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ及び入力信号の以前の予歪サンプルを使用して、前記スピーカモデルの逆を計算する、請求項3に記載のオーディオシステム。
【請求項5】
前記逆モジュールは、
多項式の係数を計算するための多項式係数計算器と、
前記係数に応答して多項式の根を発生するための多項式根解答器と、
を含む請求項3に記載のオーディオシステム。
【請求項6】
前記多項式係数計算器は、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ及び入力信号の以前の予歪サンプルを使用して前記係数を計算する、請求項5に記載のオーディオシステム。
【請求項7】
前記予補償出力に応答して、前記スピーカを駆動するための前記予補償出力に対応する信号の信号レベルを制御するアナログ利得増幅器を更に備える、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項8】
入力信号のサンプルを受信するステップと、
前記入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ、及び入力信号の以前の予歪サンプルに応答して、予補償出力を発生するステップと、
前記予補償出力に応答して、前記スピーカモデルに対応するスピーカでオーディオ出力を発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項9】
非線形補償を使用して、前記スピーカから生じる歪とは反対の仕方で前記入力信号のサンプルを変更するステップを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
予補償出力を発生する前記ステップは、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ及び入力信号の以前の予歪サンプルを使用して、前記スピーカモデルの逆を計算する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
予補償出力を発生する前記ステップは、
入力信号、スピーカのモデルのパラメータ、及び過去のフィルタ出力に関する状態情報に応答して、多項式の係数を計算する段階と、
前記係数に対応する多項式の根を決定する段階と、
を含む請求項8に記載の方法。
【請求項1】
入力信号のサンプルを受信するための入力部と、
前記入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ、及び入力信号の以前の予歪サンプルに応答して、予補償出力を発生するための予補償装置と、
前記スピーカモデルに対応するスピーカであって、前記予補償出力に応答してオーディオ出力を発生するためのスピーカと、
を備えるオーディオシステム。
【請求項2】
前記予補償装置は、非線形補償を使用して、前記スピーカから生じる歪とは反対の仕方で前記入力信号のサンプルを変更する、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項3】
前記予補償装置は、前記スピーカモデルの逆を計算するための逆モジュールを備える、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項4】
前記逆モジュールは、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ及び入力信号の以前の予歪サンプルを使用して、前記スピーカモデルの逆を計算する、請求項3に記載のオーディオシステム。
【請求項5】
前記逆モジュールは、
多項式の係数を計算するための多項式係数計算器と、
前記係数に応答して多項式の根を発生するための多項式根解答器と、
を含む請求項3に記載のオーディオシステム。
【請求項6】
前記多項式係数計算器は、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ及び入力信号の以前の予歪サンプルを使用して前記係数を計算する、請求項5に記載のオーディオシステム。
【請求項7】
前記予補償出力に応答して、前記スピーカを駆動するための前記予補償出力に対応する信号の信号レベルを制御するアナログ利得増幅器を更に備える、請求項1に記載のオーディオシステム。
【請求項8】
入力信号のサンプルを受信するステップと、
前記入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ、及び入力信号の以前の予歪サンプルに応答して、予補償出力を発生するステップと、
前記予補償出力に応答して、前記スピーカモデルに対応するスピーカでオーディオ出力を発生するステップと、
を備えた方法。
【請求項9】
非線形補償を使用して、前記スピーカから生じる歪とは反対の仕方で前記入力信号のサンプルを変更するステップを更に備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
予補償出力を発生する前記ステップは、入力信号のサンプル、スピーカモデルのパラメータ及び入力信号の以前の予歪サンプルを使用して、前記スピーカモデルの逆を計算する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
予補償出力を発生する前記ステップは、
入力信号、スピーカのモデルのパラメータ、及び過去のフィルタ出力に関する状態情報に応答して、多項式の係数を計算する段階と、
前記係数に対応する多項式の根を決定する段階と、
を含む請求項8に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−504721(P2008−504721A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515689(P2007−515689)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/020085
【国際公開番号】WO2005/120126
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/020085
【国際公開番号】WO2005/120126
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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