説明

スピーカ制御装置およびスピーカ検査方法

【課題】室内等に備え付けられた複数のスピーカに対して、検査用の光源等を必要とせず、一旦、室内等に備え付けられた後であっても、当該スピーカが正常に動作しているか否かを、短時間で容易に検査することができるスピーカ制御装置およびスピーカ検査方法を提供する。
【解決手段】本発明のスピーカ制御装置は、ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、ユーザの操作に基づいて、複数のスピーカとライトとの動作が独立して制御される通常モードと、複数のスピーカのそれぞれが正常に動作するか否かを検査する検査モードとのいずれかの動作モードを選択するモード選択部と、動作モードに基づいて、複数のスピーカおよびライトの動作を制御する制御部とを備え、制御部は、検査モードの場合、複数のスピーカから検査音を順に出力させ、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応するライトを点灯または点滅させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ制御装置およびスピーカ検査方法に関し、より特定的には、スピーカが正常に動作しているか否かを検査員に認識させるスピーカ制御装置およびスピーカ検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内等に備え付けられるスピーカについて、当該スピーカが正常に動作するか否かを検査する必要がある。例えば、特許文献1では、スピーカの振動部の表面に非拡散光を入射させて、当該振動部の表面における非拡散光の照射部を、検査員に確認させることによって、当該スピーカが正常に動作しているか否かを検査する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−279755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来の検査方法では、スピーカの製造直後または工場からの出荷時(出荷直前)においては、正常に動作していないスピーカを検知することができるものの、一旦、例えば、複数のスピーカが室内等に備え付けられた後では、当該スピーカが正常に動作しているか否かを容易に検査することができないという問題がある。
【0005】
具体的には、従来の検査方法では、室内等に備え付けられた複数のスピーカに対して、1つ1つのスピーカの振動部の表面に、非拡散光を斜めに入射させるための光源を必要とする。換言すれば、スピーカ1つ1つに対応する検査用の光源を必要とし、さらに、スピーカの振動部の表面に対して所定の角度で非拡散光を入射させる必要がある。このため、検査員は、室内等に備え付けられた複数のスピーカ1つ1つに対して、当該スピーカが正常に動作しているか否かを確認することは困難であって、さらに、スピーカの設置位置によっては確認できない場合がある。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、室内等に備え付けられた複数のスピーカに対して、検査用の光源等を必要とせず、一旦、室内等に備え付けられた後であっても、当該スピーカが正常に動作しているか否かを、短時間で容易に検査することができるスピーカ制御装置およびスピーカ検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のスピーカ制御装置は、室内に備え付けられた複数のスピーカおよびライトの動作を制御するスピーカ制御装置であって、ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、操作受付部によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、複数のスピーカとライトとの動作が独立して制御される通常モードと、複数のスピーカのそれぞれが正常に動作するか否かを検査する検査モードとのいずれかの動作モードを選択するモード選択部と、モード選択部によって選択された動作モードに基づいて、複数のスピーカおよびライトの動作を制御する制御部とを備え、制御部は、検査モードの場合、複数のスピーカから検査音を順に出力させ、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応するライトを点灯または点滅させる。
【0008】
好ましくは、検査モードにおいて、検査音が出力されるスピーカと、当該スピーカに対応するライトとが記録されたデータベースを、さらに備える。
【0009】
また、典型的には、検査音が出力されるスピーカに対応するライトは、少なくとも当該スピーカ周辺に配置されている、少なくとも1つ以上のライトであることを特徴とする。
【0010】
さらに、好ましい検査音が出力されるスピーカに対応するライトは、当該スピーカに最も近い呼び出し灯を含むことを特徴とする。
【0011】
また、好ましい検査音が出力されるスピーカに対応するライトは、当該スピーカに最も近い読書灯を含むことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のスピーカ検査方法は、室内に備え付けられた複数のスピーカおよびライトの動作を制御するスピーカ制御装置が実行するスピーカ検査方法であって、ユーザの操作を受け付ける操作受付ステップと、操作受付ステップで受け付けられたユーザの操作に基づいて、複数のスピーカとライトとの動作が独立して制御される通常モードと、複数のスピーカのそれぞれが正常に動作するか否かを検査する検査モードとのいずれかの動作モードを選択するモード選択ステップと、モード選択ステップで選択された動作モードに基づいて、複数のスピーカおよびライトの動作を制御する制御ステップとを含み、制御ステップは、検査モードの場合、複数のスピーカから検査音を順に出力させ、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応するライトを点灯または点滅させる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、上述した本発明のスピーカ制御装置の各構成が行うそれぞれの処理は、一連の処理手順を与えるスピーカ検査方法として捉えることができる。この方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上述のように、本発明のスピーカ制御装置およびスピーカ検査方法によれば、室内等に備え付けられた複数のスピーカに対して、検査用の光源等を必要とせず、一旦、室内等に備え付けられた後であっても、当該スピーカが正常に動作しているか否かを、短時間で容易に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】航空機内における座席、スピーカ、および呼び出し灯の配置の一例を示す概略図
【図2】スピーカの検査時における、スピーカと呼び出し灯との関連を示す図
【図3】本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100を示す機能ブロック図
【図4】スピーカと呼び出し灯との対応付けを格納するデータベースの一例を示す図
【図5】本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100が実行するスピーカ検査方法500の処理の流れを示すフローチャート
【図6】本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置110を示す機能ブロック図
【図7】航空機内における座席、スピーカ、呼び出し灯、および読書灯の配置の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、航空機内における座席、スピーカ、および呼び出し灯の配置の一例を示す概略図である。図1において、航空機内には、座席A1〜E5が備えられており、さらに、第1のスピーカ101〜第6のスピーカ106と、第1の呼び出し灯201〜第10の呼び出し灯210とが配置されている。
【0017】
座席A1〜E5には、それぞれ乗客が着席する。
【0018】
第1のスピーカ101〜第6のスピーカ106からは、航空機における機内アナウンス等の音声、および注意喚起のためのチャイム音等が出力される。
【0019】
第1の呼び出し灯201〜第10の呼び出し灯210は、例えば、座席A1〜E5のそれぞれにおいて呼び出しボタンが設置されており、乗客が呼び出しボタンを押下することによって点灯する。ここでは所定単位で1つの呼び出し灯が設置されており、例えば、座席A1、座席B1、および座席C1のうち、いずれかの座席の乗客が呼び出しボタンを押下すると、第1の呼び出し灯201が点灯する。その結果、乗務員は、座席A1、座席B1、および座席C1のうち、いずれかの座席の乗客が呼び出しボタンを押下したことが認識できる。また、座席D1、および座席E1のうち、いずれかの座席の乗客が呼び出しボタンを押下すると、第2の呼び出し灯202が点灯する。その結果、乗務員は、座席D1、および座席E1のうち、いずれかの座席の乗客が呼び出しボタンを押下したことが認識できる。第3の呼び出し灯203〜第10の呼び出し灯210についても、同様の機能である。
【0020】
ここまでは、航空機内に備え付けられたスピーカと呼び出し灯とが独立して動作する通常モードである。換言すれば、航空機内に備え付けられたスピーカは、航空機における機内アナウンス等の音声、および注意喚起のためのチャイム音等を出力し、第1の呼び出し灯201〜第10の呼び出し灯210は、乗客が呼び出しボタンを押下することによって点灯して、独立してそれぞれの機能を発揮している。
【0021】
次に、航空機内に既に備え付けられている第1のスピーカ101〜第6のスピーカ106のそれぞれが正常に動作するか否かを検査する検査モードについて詳しく説明する。検査モードでは、上述した第1の呼び出し灯201〜第10の呼び出し灯210を用いて、第1のスピーカ101〜第6のスピーカ106のそれぞれが正常に動作するか否かを検査する。
【0022】
第1のスピーカ101〜第6のスピーカ106において、順に検査音を出力させて、第1のスピーカ101〜第6のスピーカ106のそれぞれが正常に動作するか否かを検査する。その際、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応する呼び出し灯を点灯させる。
【0023】
図2は、スピーカの検査時における、スピーカと呼び出し灯との関連を示す図である。図2において、第1のスピーカ101と第1の呼び出し灯201とが対応付けられ、第2のスピーカ102と第2の呼び出し灯202とが対応付けられ、第3のスピーカ103と第5の呼び出し灯205とが対応付けられ、第4のスピーカ104と第6の呼び出し灯206とが対応付けられ、第5のスピーカ105と第9の呼び出し灯209とが対応付けられ、第6のスピーカ106と第10の呼び出し灯210とが対応付けられている。
【0024】
そして、例えば、第3のスピーカ103から検査音を出力させて、第3のスピーカ103が正常に動作するか否かを検査する際、当該検査音の出力に合わせて、第5の呼び出し灯205を点灯させている。
【0025】
仮に、第3のスピーカ103が故障している場合では、第5の呼び出し灯205を点灯しているにも拘わらず、検査員は、検査音を全く認識できないため、第5の呼び出し灯205に対応する第3のスピーカ103が故障していることが容易に認識できる。
【0026】
さらに、上述した通常モードおよび検査モードを切り替えながら、スピーカおよび呼び出し灯の動作を制御するスピーカ制御装置について、詳しく説明する。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100を示す機能ブロック図である。図3において、スピーカ制御装置100は、操作受付部301と、モード選択部302と、制御部303と、データベース304と、複数の駆動部(ここでは、第1の駆動部311、第2の駆動部312、第3の駆動部313・・・、第Nの駆動部)と、複数のスピーカ(ここでは、第1のスピーカ101、第2のスピーカ102、第3のスピーカ103・・・、第Nのスピーカ)と、複数の呼び出し灯(ここでは、第1の呼び出し灯201、第2の呼び出し灯202、第3の呼び出し灯203・・・、第Nの呼び出し灯)とを備える。
【0028】
操作受付部301は、ユーザの操作を受け付ける。具体的には、ユーザが、航空機内に備え付けられた複数のスピーカが正常に動作するか否かを検査する際に、スピーカ制御装置100を検査モードで動作させるように、動作モードを通常モードから検査モードに切り替え操作をする。例えば、航空機が乗客を乗せる前に、航空機内に備え付けられたスピーカが正常に動作するか否かを検査する場合に、動作モードを通常モードから検査モードに切り替えられる。
【0029】
モード選択部302は、操作受付部301によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、通常モードと検査モードとのいずれかの動作モードを選択する。ここでは、スピーカ制御装置100の動作モードは、通常モードから検査モードに切り替えられるものとする。
【0030】
制御部303は、モード選択部302によって選択された動作モードに基づいて、複数のスピーカおよび呼び出し灯の動作を制御する。検査モードの場合、制御部303は、第1のスピーカ101から検査音を出力させ、同時に、第1の呼び出し灯201を点灯させるように、第1の駆動部311を制御する。同様に、順に、制御部303は、第2の駆動部312を制御して、第2のスピーカ102から検査音を出力させ、同時に、第2の呼び出し灯202を点灯させ、次に、第3の駆動部313を制御して、第3のスピーカ103から検査音を出力させ、同時に、第3の呼び出し灯203を点灯させる。このように、制御部303は、航空機内に備え付けられた複数のスピーカから検査音を順に出力させ、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応する呼び出し灯を点灯させることを繰り返す。
【0031】
なお、制御部303と各駆動部とは、例えば、ハブ等を介して、Ethernet(登録商標)で接続されている。各駆動部は、制御部303からEthernetを介して、スピーカ検査コマンドを受信し、スピーカから検査音を出力し、同時に、当該検査音が出力されるスピーカに対応する呼び出し灯を点灯させる。
【0032】
データベース304には、検査モードにおいて、検査音が出力されるスピーカと、当該スピーカに対応する呼び出し灯とが紐付けられて記録されている。図4は、スピーカと呼び出し灯との対応付けを格納するデータベースの一例を示す図である。図4において、データベースには、検査順と、スピーカ検査コマンドの送信先である各駆動部のIPアドレスと、検査対象である各スピーカのポートIDと、検査対象スピーカに対応して点灯する各呼び出し灯のポートIDとが予め記録されている。
【0033】
なお、ここでは、各駆動部、各スピーカ、および各呼び出し灯について、IPアドレスおよびポートIDを用いて一意に特定しているが、これらに限定されるものではなく、一意に特定できる識別情報であれば、その他の情報を用いても構わない。
【0034】
さらに、スピーカ検査コマンドを各駆動部に送信する間隔(所定の時間T1)、各スピーカから出力される検査音の種類および大きさ(例えば、周波数情報、チャイムの種類、Wavファイル等で音源の設定など)、および当該検査音を出力する期間T2なども、データベースに予め記録されていても構わない。
【0035】
また、スピーカ検査コマンドは、検査開始コマンドおよび検査終了コマンドを用いても構わない。具体的には、検査開始コマンドによって、検査対象スピーカから検査音を出力させ、かつ当該検査音が出力されるスピーカに対応する呼び出し灯を点灯させて、期間T2経過後に、検査終了コマンドによって、当該スピーカから検査音の出力を停止させ、かつ当該呼び出し灯を消灯させる。
【0036】
なお、典型的には、各スピーカが正常に動作しているか否かを確認する検査員は、航空機内の通路(図1および図2では、C列席とD列席との間)を移動しながら、スピーカから出力される検査音と点灯する呼び出し灯とを順に確認する。したがって、所定の時間T1および期間T2は、検査員が、スピーカから出力される検査音と点灯する呼び出し灯とを確認する時間、および次のスピーカと呼び出し灯とを確認するために移動する速度等を考慮して、例えば、数秒から数十秒に設定されればよい。さらには、航空機の大きさ、およびスピーカの配置位置等も考慮して設定されてもよい。
【0037】
次に、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100が実行するスピーカ検査方法の処理の流れについて、詳しく説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100が実行するスピーカ検査方法500の処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
先ず、操作受付部301は、ユーザの操作によって検査モードを受け付けた場合、スピーカ検査方法500の処理が開始される(検査開始)。
【0039】
ステップS501において、制御部303は、前処理として、全てのスピーカの動作を停止させ、検査対象となるスピーカに対応する全ての呼び出し灯を消灯させる。
【0040】
ステップS502において、制御部303は、検査対象となるスピーカから検査音を出力させ、同時に、当該スピーカに対応する呼び出し灯を点灯させる。具体的には、制御部303は、データベース304に予め記録されている順序に応じて、駆動部に検査開始コマンドを送信する。これにより、検査対象となるスピーカから検査音が出力され、同時に、当該スピーカに対応する呼び出し灯が点灯する。
【0041】
ステップS503において、制御部303は、所定時間待機する。ここで、所定時間とは、検査員が検査対象となっているスピーカからの検査音と、当該スピーカに対応する呼び出し灯とを確認するための時間である。待機とは、例えば、当該検査員が確認するための期間、現在検査対象となっているスピーカの検査処理を終了しないこと、または、現在検査対象となっているスピーカから次に検査対象となるスピーカへ、検査処理を移行しないことである。
【0042】
ここで、検査員が検査対象となっているスピーカからの検査音を確認し、例えば、異音を認識した場合、または検査音が認識できない場合には、当該スピーカに対応する呼び出し灯の点灯に基づいて、航空機内に備え付けられた複数のスピーカのうち、いずれのスピーカが正常に動作していないかを容易に特定することができる。
【0043】
ステップS504において、制御部303は、検査対象となっているスピーカからの検査音の出力を停止させ、同時に、当該スピーカに対応する呼び出し灯を消灯させる。具体的には、制御部303は、ステップS502で検査開始コマンドを送信した駆動部に対して、検査終了コマンドを送信する。これにより、検査対象となっているスピーカからの検査音の出力が停止し、同時に、当該スピーカに対応する呼び出し灯が消灯する。
【0044】
なお、制御部303が、ステップS502で検査開始コマンドを送信するタイミング、ステップS504で検査終了コマンドを送信するタイミング、検査音を出力する期間、および呼び出し灯を点灯させる期間などは、データベース304に予め記録されており、制御部303は、当該データベース304を参照しながら、処理を実行する。
【0045】
ステップS505において、制御部303は、全てのスピーカが検査済みか否かを判定する。全てのスピーカが検査済みである場合(ステップS505のYes)、スピーカ検査方法500の処理が終了される(検査終了)。一方、全てのスピーカが検査済みでない場合(ステップS505のNo)、ステップS502の処理に戻り、制御部303は、検査対象となる次のスピーカの検査を実行する。
【0046】
なお、スピーカ検査方法500の処理が終了される(検査終了)場合、全てのスピーカおよび検査対象となるスピーカに対応する全ての呼び出し灯について、ステップS501で前処理を実行していたため、検査開始直前の状態に戻しても構わない。
【0047】
以上のように、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100およびスピーカ検査方法500によれば、航空機内に備え付けられた複数のスピーカに対して、通常用いられる呼び出し灯を利用しながら検査を実施するため、検査用の光源等を必要とせず、一旦、航空機内に備え付けられた後であっても、当該スピーカが正常に動作しているか否かを、短時間で容易に検査することができる。
【0048】
また、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100では、検査対象となるスピーカ、当該スピーカに対応する呼び出し灯、検査する順序、検査音の種類、検査結果の確認時間等が含まれる検査手順および検査情報を、データベース304に管理していた。このため、例えば、航空機内の座席、スピーカ、および呼び出し灯の配置が変更された場合、検査対象となるスピーカの数が増減した場合、検査音の種類を変更する場合であっても、制御部303が実行する検査プログラム(ソフトウェア)などを修正する必要がなく、データベース304に記録されている情報を更新するだけで構わない。
【0049】
なお、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置100におけるデータベース304では、上述した検査手順および検査情報等を一括管理していたが、これに限定されるものではない。例えば、制御部303が参照するデータベースには、スピーカ検査コマンドを送信する各駆動部の情報のみを記録しておき、各駆動部において、検査対象となるスピーカおよび当該スピーカに対応する呼び出し灯の情報を保持していても構わない。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置110を示す機能ブロック図である。図6において、スピーカ制御装置110は、は、操作受付部301と、モード選択部302と、制御部303と、データベース305と、複数の駆動部と、当該複数の駆動部それぞれが保持する複数のデータベース(ここでは、データベース306、307、308・・・)と、複数のスピーカと、複数の呼び出し灯とを備える。
【0051】
スピーカ制御装置110の基本的な構成は、図3に示したスピーカ制御装置100の構成と同様であるため、同一の構成については、同一の参照符号を付すことによって詳細な説明は省略する。
【0052】
検査モードの場合、制御部303は、第1のスピーカ101から検査音を出力させ、同時に、第1の呼び出し灯201を点灯させるように、第1の駆動部311を制御する。ここで、制御部303が参照するデータベース305には、第1の駆動部311に関する情報が記録されている。例えば、データベース305には、スピーカ検査コマンドの送信先である各駆動部のIPアドレス、および当該スピーカ検査コマンドを送信する順序およびタイミング等が記録されていればよい。
【0053】
そして、例えば、第1の駆動部311は、スピーカ検査コマンドを受信すれば、データベース306を参照して、検査対象となる第1のスピーカ101から検査音を出力させ、当該第1のスピーカ101に対応する第1の呼び出し灯201を点灯させる。ここで、第1の駆動部311が参照するデータベース306には、第1のスピーカ101および第1の呼び出し灯201に関する情報が記録されている。例えば、データベース306には、第1のスピーカ101および第1の呼び出し灯201のポートIDが記録されており、さらには、第1のスピーカ101から出力される検査音の種類および大きさ等が記録されていても構わない。
【0054】
なお、その他、各駆動部に保持されるデータベース(図6では、データベース307、308等)にも、各駆動部に対応するスピーカおよび呼び出し灯に関する情報が記録されている。
【0055】
このように、本発明の一実施形態に係るスピーカ制御装置110では、各駆動部において、検査対象となるスピーカおよび当該スピーカに対応する呼び出し灯の情報を記録するデータベースを保持している。このため、例えば、故障したスピーカの取り替え等が発生した場合であっても、当該スピーカに関する情報が記録されているデータベースのみを更新すればよく、制御部303が実行する検査プログラム(ソフトウェア)、または他のデータベースなどを修正する必要がない。
【0056】
また、本発明の一実施形態では、検査対象であるスピーカから検査音が出力され、同時に、当該スピーカに対応する呼び出し灯を点灯させることによって、検査員は、航空機内に備え付けられた複数のスピーカのうち、いずれのスピーカが正常に動作していないかを特定していたが、点灯させるライトは、呼び出し灯に限定させるものではない。例えば、航空機内の各座席に設置された読書灯であっても構わない。読書灯とは、各座席に着席した乗客が、例えば、読書する場合など、手元に照明を当てたい場合に利用するライトである。
【0057】
図7は、航空機内における座席、スピーカ、呼び出し灯、および読書灯の配置の一例を示す概略図である。図7において、各座席には、読書灯が設置されている。そして、第1のスピーカ101と座席A1、B1、C1に設置された読書灯とが対応付けられ、第2のスピーカ102と座席D1、E1に設置された読書灯とが対応付けられ、第3のスピーカ103と座席A3、B3、C3に設置された読書灯とが対応付けられ、第4のスピーカ104と座席D3、E3に設置された読書灯とが対応付けられ、第5のスピーカ105と座席A5、B5、C5に設置された読書灯とが対応付けられ、第6のスピーカ106と座席D5、E5に設置された読書灯とが対応付けられている。
【0058】
そして、例えば、第3のスピーカ103から検査音を出力させて、第3のスピーカ103が正常に動作するか否かを検査する際、当該検査音の出力に合わせて、座席A3、B3、C3に設置された読書灯を点灯させている。
【0059】
仮に、第3のスピーカ103が故障している場合では、座席A3、B3、C3に設置された読書灯を点灯しているにも拘わらず、検査員は、検査音を全く認識できないため、座席A3、B3、C3に設置された読書灯に対応する第3のスピーカ103が故障していることが容易に認識できる。
【0060】
なお、ここでは、1つのスピーカに対して、2つまたは3つの読書灯を点灯させる構成としたが、1つのスピーカに対して、当該スピーカに最も近い座席に設置された1つの読書灯のみを点灯させる構成にしても構わない。
【0061】
また、1つのスピーカに対して、図2に示したような呼び出し灯、および図7に示したような読書灯を点灯させる構成にしても構わない。
【0062】
さらには、航空機内に備え付けられた複数のスピーカのうち、検査音を出力しているスピーカが認識できる手法であれば、呼び出し灯および/または読書灯の点灯に限らず、例えば、呼び出し灯および/または読書灯を点滅させても構わない。また、航空機内に備え付けられているその他のライトを利用しても構わない。
【0063】
また、検査音を出力しているスピーカを検査員に認識させるために、呼び出し灯および/または読書灯など、航空機内に備え付けられているライトを用いたが、検査音を出力しているスピーカが認識できる手法であれば、その他の手法を用いても構わない。例えば、検査員が確認可能なモニタに、検査音を出力しているスピーカの配置位置を表示したり、識別番号を表示したりしても構わない。
【0064】
なお、本発明の一実施形態では、図1、図2、および図7に示したように、3列および2列を構成する座席配置である、所謂、中・小型航空機を一例に説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではない。例えば、座席、スピーカ、呼び出し灯、読書灯、およびモニタなどは、それらの数および配置は、航空機の大きさおよび種類によって様々である。本発明は、これらの様々な航空機、さらには、室内にスピーカが備え付けられたバス、電車、および会議室などにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、室内に備え付けられた複数のスピーカの動作を制御するスピーカ制御装置等に有用である。
【符号の説明】
【0066】
A1〜E5 座席
100、110 スピーカ制御装置
101〜106 スピーカ
201〜210 呼び出し灯
301 操作受付部
302 モード選択部
303 制御部
304〜308 データベース
311〜313 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に備え付けられた複数のスピーカおよびライトの動作を制御するスピーカ制御装置であって、
ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部によって受け付けられたユーザの操作に基づいて、前記複数のスピーカとライトとの動作が独立して制御される通常モードと、前記複数のスピーカのそれぞれが正常に動作するか否かを検査する検査モードとのいずれかの動作モードを選択するモード選択部と、
前記モード選択部によって選択された動作モードに基づいて、前記複数のスピーカおよびライトの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検査モードの場合、前記複数のスピーカから検査音を順に出力させ、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応するライトを点灯または点滅させる、スピーカ制御装置。
【請求項2】
前記検査モードにおいて、前記検査音が出力されるスピーカと、当該スピーカに対応するライトとが記録されたデータベースを、さらに備える、請求項1に記載のスピーカ制御装置。
【請求項3】
前記検査音が出力されるスピーカに対応するライトは、少なくとも当該スピーカ周辺に配置されている、少なくとも1つ以上のライトであることを特徴とする、請求項2に記載のスピーカ制御装置。
【請求項4】
前記検査音が出力されるスピーカに対応するライトは、当該スピーカに最も近い呼び出し灯を含むことを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ制御装置。
【請求項5】
前記検査音が出力されるスピーカに対応するライトは、当該スピーカに最も近い読書灯を含むことを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ制御装置。
【請求項6】
室内に備え付けられた複数のスピーカおよびライトの動作を制御するスピーカ制御装置が実行するスピーカ検査方法であって、
ユーザの操作を受け付ける操作受付ステップと、
前記操作受付ステップで受け付けられたユーザの操作に基づいて、前記複数のスピーカとライトとの動作が独立して制御される通常モードと、前記複数のスピーカのそれぞれが正常に動作するか否かを検査する検査モードとのいずれかの動作モードを選択するモード選択ステップと、
前記モード選択ステップで選択された動作モードに基づいて、前記複数のスピーカおよびライトの動作を制御する制御ステップとを含み、
前記制御ステップは、前記検査モードの場合、前記複数のスピーカから検査音を順に出力させ、当該検査音の出力に合わせて、当該検査音が出力されるスピーカに対応するライトを点灯または点滅させる、スピーカ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222755(P2012−222755A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89599(P2011−89599)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)