説明

スプリング、ポンプディスペンサ用スプリング及びそれを備えるポンプディスペンサ

【課題】軽量で、ポンプディスペンサへの組み込みが容易であり、確実にポンプ復元力を付与可能なスプリングを提供する。
【解決手段】合成樹脂からなる波形状の本体部11と、本体部11の両端に設けられた装着部12と、を備えるスプリング10である。長手方向に対して垂直方向の本体部の断面が矩形状であり断面の横幅が長手方向に対して垂直方向のピストン装着部の長さよりも小さい、樹脂がポリアセタールまたはポリプロピレンからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリング、ポンプディスペンサ用スプリング及びそれを備えるポンプディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の容器に収容された吐出液を、供給管から吐出液収容部に流入させ、ポンプ作用により、所定のノズル口から吐出液を吐出するポンプディスペンサが知られている。
【0003】
ところで、このポンプディスペンサにおいては、一般にポンプを復元する力(以下「ポンプ復元力」という。)を付与するためにスプリングが内装される。
このようなスプリングとしては、コイル状のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−118724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載のスプリングを含めた従来のポンプディスペンサ用スプリングは、コイル状であるので、ポンプディスペンサに組み込む場合、ポンプディスペンサの構成物品に引っ掛かり易いという欠点がある。
また、スプリングが金属製である場合、重量が大きくなる欠点がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量で、ポンプディスペンサへの組み込みが容易であり、確実にポンプ復元力を付与可能なポンプディスペンサ用スプリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、長手方向に伸縮可能となるように本体部を合成樹脂からなる波形状とすることにより、上記課題を一挙に解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、(1)合成樹脂からなる波形状の本体部と、本体部の両端に設けられた装着部と、を備えるスプリングに存する。
【0008】
本発明は、(2)合成樹脂からなる波形状の本体部と、本体部の両端に設けられた装着部と、を備えるポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0009】
本発明は、(3)装着部が、シリンダに装着するためのシリンダ装着部と、ピストンに装着するためのピストン装着部とからなる上記(2)記載のポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0010】
本発明は、(4)長手方向に対して垂直方向の本体部の断面が矩形状であり、該断面の横幅が、長手方向に対して垂直方向のピストン装着部の長さよりも小さい上記(3)記載のポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0011】
本発明は、(5)長手方向に対して垂直方向の本体部の断面が矩形状であり、収縮時における該断面の対角幅が、装着部の長さ以下である上記(2)記載のポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0012】
本発明は、(6)合成樹脂が、ポリアセタール又はポリプロピレンである上記(2)記載のポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0013】
本発明は、(7)装着部が放射状に延びた立璧翼を有する上記(2)記載のポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0014】
本発明は、(8)装着部が放射状に延びた立璧翼を有し、且つピストン装着部の立璧翼がシリンダ装着部の立璧翼よりも小さい上記(3)記載のポンプディスペンサ用スプリングに存する。
【0015】
本発明は、(9)上記(2)〜(8)のいずれか一つに記載のポンプディスペンサ用スプリングを備えるポンプディスペンサに存する。
【0016】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記(1)から(9)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスプリングは、本体部が合成樹脂からなるので、軽量化されており、金属のように錆びることがない。
また、上記スプリングは、本体部が波形状となっているので、長手方向に伸縮可能であり、確実にポンプ復元力を付与可能である。
なお、上記スプリングは、本体部の肉厚、材質を適宜選択することにより、ポンプ復元力を調整可能である。
さらに、上記スプリングは、装着部を備えるので、所定の位置に固定され、伸縮時にも位置ブレが抑制される。
さらにまた、組み付けの際、保管されている多数のスプリングの中から1つを取り出す場合に、スプリング同士が絡まることなく、容易に取り出せる。
因みに従来のコイル状のスプリングは引っ掛かり易く且つ相互に絡まり易い。
【0018】
特に、上記スプリングにおいては、上記合成樹脂が、ポリアセタールであると、ポンプ復元力に優れ、クリープ性にも優れる。
また、ポリプロピレンであると、耐薬品性に優れる。
【0019】
上記スプリングがポンプディスペンサに用いられるポンプディスペンサ用スプリングであると、上述した効果に加え、他部所に引っ掛かり難いので、ポンプディスペンサへの組み込みが容易になる。
【0020】
本発明のポンプディスペンサ用スプリングは、装着部が、シリンダに装着するためのシリンダ装着部と、ピストンに装着するためのピストン装着部とからなるものであると、ポンプディスペンサ用スプリングを、ピストン作用を利用するポンプディスペンサに装着した場合、シリンダ装着部がシリンダ内壁に内装され、ピストン装着部がピストン内壁に内装されるので、位置ブレを確実に抑制できる。
すなわち、装着部が、かかるポンプディスペンサに確実に固定される。
【0021】
本発明のポンプディスペンサ用スプリングは、長手方向に対して垂直方向の本体部の断面が矩形状であり、該断面の横幅が、長手方向に対して垂直方向のピストン装着部の長さよりも小さいと、より他部所に引っ掛かり難いので、ポンプディスペンサへの組み込みが容易になる。
また、ポンプディスペンサ用スプリングが伸縮する場合であっても、シリンダやピストンへの内装状態が安定するので、位置ブレがより抑制される。
【0022】
本発明のポンプディスペンサ用スプリングは、長手方向に対して垂直方向の本体部の断面の対角幅が、装着部の長さ以下であると、スプリングが装着されたピストンやシリンダでは、スプリングの伸縮時にも本体部が邪魔になることがない。
【0023】
本発明のポンプディスペンサ用スプリングは、装着部が放射状に延びた立璧翼を有すると、吐出液の流通を妨げない。
また、立璧翼が放射状に延びているので、ピストンやシリンダへの装着時には、弾圧効果を発揮し、スプリングが確実に固定される。
さらに、ピストンやシリンダの形状に制限されずにスプリングを装着できるようになる。
さらにまた、ピストン装着部の立璧翼がシリンダ装着部の立璧翼よりも小さいと、ポンプディスペンサのピストン作用が妨げられず、スムーズに行われる。
【0024】
上記ポンプディスペンサは、上述したポンプディスペンサ用スプリングを備えるので、軽量であり、確実にポンプ復元力を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0026】
本実施形態に係るポンプディスペンサ用スプリング(以下単に「スプリング」という。)は、ポンプディスペンサに用いられる。
ここで、本発明においてポンプディスペンサとは、ポンプの容積の拡張、収縮に基づいて、所定の容器に収容された吐出液を吸引し、或いは、ノズル口から吐出液を吐出するディスペンサをいう。
上記スプリングは、このポンプの容積が拡張、収縮された場合、ポンプ復元力を有する。
【0027】
図1の(a)は、本実施形態に係るスプリングの一例を示す断面図であり、図1の(b)は、図1の(a)に示すスプリングのI−I線断面図である。
【0028】
図1の(a)に示すように、本実施形態に係るスプリング10は、波形状の本体部11と、本体部11の両端に設けられた装着部12とを備える。
また、かかる本体部11は、合成樹脂からなるものである。
したがって、スプリング10は、長手方向に伸縮可能であると共に、軽量化されており、金属のように錆びることがない。
【0029】
ここで、上記合成樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール等が挙げられる。
これらの他に、各種エラストマーや合成ゴム等であってもよい。
合成樹脂が、これらの化合物であると、弾性及び耐久性に優れるばかりか、射出成形により安価且つ容易に製造することが可能となる。
なお、これらの中でも、ポンプ復元力に優れ、クリープ性にも優れるポリアセタール、又は、耐薬品性に優れるポリプロピレンであることが好ましい。
【0030】
本体部11は、V字形状のユニットが繰り返されて波形状となっている。
したがって、スプリング10は、本体部11が波形状となっているので、長手方向に伸縮可能であり、確実にポンプ復元力を付与可能である。
【0031】
装着部12は、シリンダに装着するためのシリンダ装着部12bと、ピストンに装着するためのピストン装着部12aとからなる。
なお、ピストン装着部12a、シリンダ装着部12bは、それぞれピストン、シリンダに内挿入される部分であるので、大きさが異なる。
スプリング10は、装着部12を備えるので、所定の位置に固定され、伸縮時にも位置ブレが抑制される。
【0032】
かかる装着部12は、特に限定されないが、スプリング10の軽量化の観点から合成樹脂からなるものであることが好ましい。
なお、かかる合成樹脂は、上述した本体部11における合成樹脂と同義である。
【0033】
図2の(a)は、本実施形態に係るスプリングの上面図であり、(b)は、本実施形態に係るスプリングの下面図である。
図2の(a)及び(b)に示すように、ピストン装着部12a及びシリンダ装着部12bは、放射状に延びた4つの立璧翼を有しており、立璧翼同士の成す角度が90度になっている。
すなわち、かかる装着部12は、断面が十字形状となっている。
また、各立璧翼の長さは等しく形成されている。
【0034】
上記スプリング10をポンプディスペンサに用いる場合、スプリング10は吐出液の流路に内装される。
このとき、スプリング10は、装着部12が、シリンダに装着するためのシリンダ装着部12bと、ピストンに装着するためのピストン装着部12aとからなるので、シリンダ装着部12bがシリンダ内壁に内装され、ピストン装着部12aがピストン内壁に内装される。
これにより、スプリング10は、位置ブレが確実に抑制される。
すなわち、装着部12が、かかるポンプディスペンサに確実に固定される。
また、装着部12は立璧翼が放射状となっているので、間隙が十分形成され吐出液の流通を妨げない。
【0035】
これに加え、立璧翼が放射状に延びているので、ピストンやシリンダへの装着時には、弾圧効果を発揮し、スプリング10が確実に固定される。
すなわち、ピストンやシリンダの形状に制限されずにスプリング10を装着できるようになる。
【0036】
また、本実施形態に係るスプリング10においては、ピストン装着部12aの立璧翼がシリンダ装着部12bの立璧翼よりも小さくなっている。
このため、各立璧翼は、内径の異なるピストンやシリンダの内壁に対応させることができ、装着状態が安定する。
したがって、上記スプリング10によれば、ポンプディスペンサのピストン作用が妨げられず、スムーズに行われる。
【0037】
図1の(b)に戻り、本実施形態に係るスプリング10において、本体部11の長手方向に対して垂直方向の本体部11の断面は矩形状となっている。
本体部11の横幅L2(本体部11の断面の短いほうの辺の長さ)が、ピストン装着部12aの長さL1(本体部11の長手方向に対して垂直方向におけるピストン装着部12aの立璧翼2つ分の長さ)よりも小さくなっている。
【0038】
ここで、横幅L2と長さL1との比は、横幅L2を1とした場合、長さL1が1.1〜3であることが好ましい。
長さL1が1.1未満であると、上記範囲内にある場合と比較して、スプリング10が傾くなどして位置が安定しない傾向にあり、長さL1が3を超えると、スプリング10のポンプ復元力が不十分となる傾向にある。
【0039】
また、スプリング10の収縮時の本体部11の対角幅L3(本体部11の断面の対角線の長さ)は、ピストン装着部12aの長さL1以下である。
同様に、対角幅L3は、シリンダ装着部12bの長さ(本体部11の長手方向に対して垂直方向におけるシリンダ装着部12bの立璧翼2つ分の長さ)以下である。
このような関係を採用することにより、スプリング10が装着されたピストンやシリンダでは、スプリング10の伸縮時にも本体部11が邪魔になることがない。
【0040】
図3は、本実施形態に係るスプリングが収縮した状態を示す図である。
図3に示すように、スプリング10は、装着部12を押圧することにより、本体部11が変形して収縮する。
そして、押圧から解放すると、本体部11のポンプ復元力により、もとの形状に戻る。
なお、スプリング10は、本体部11の肉厚、材質を適宜選択することにより、ポンプ復元力を調整することが可能である。
【0041】
以上より、本実施形態に係るスプリング10は、軽量で、ポンプディスペンサへの組み込みが容易であり、確実にポンプ復元力を付与可能である。
また、組み付けの際、保管されている多数のスプリング10の中から1つを取り出す場合に、スプリング10同士が絡まることなく、容易に取り出せるという利点も有する。
【0042】
このスプリング10は、特に上下押圧式又はトリガー式のポンプディスペンサに好適に用いられる。
なお、スプリング10をポンプディスペンサに組み込む際には、ポンプディスペンサの他部所に引っ掛かり難いので、ポンプディスペンサへの組み込みが容易になる。
【0043】
次に、本実施形態に係るスプリング10をトリガー式ポンプディスペンサに用いた例について説明する。
【0044】
図4は、本実施形態に係るスプリングをトリガー式ポンプディスペンサに用いた例を示す部分断面図であり、図5は、図4に示すトリガー式ポンプディスペンサのトリガーを引いた状態を示す部分断面図である。
図4に示すように、トリガー式ポンプディスペンサ20は、吐出液供給管21と、該吐出液供給管21に連通するシリンダ22と、吐出液供給管21内及びシリンダ22内の間に設けられたバルブ26と、シリンダ22の内壁に沿って摺動可能となるように設けられ、内部にピストン流路29を有するピストン23と、ピストン流路29に連通されたノズル部24と、ノズル部24の先端に設けられ、吐出液を吐出可能なノズル口27と、ピストン23に接続されたトリガー25とを備える。
【0045】
また、トリガー式ポンプディスペンサ20においては、ピストン23が下降移動した場合、すなわち、ポンプ容積が収縮した場合に、ピストン23を上方に復元するためのスプリング10がシリンダ22に内設されている。
なお、シリンダ装着部12bは、シリンダ22に装着されており、ピストン装着部12aは、ピストン23に装着されている。
【0046】
図5に示すように、上記トリガー式ポンプディスペンサ20においては、トリガー25を引くことにより、ピストン23が下降移動し、スプリング10が収縮する。
このとき、図示しないセカンドバルブがピストン流路29を開封し、バルブ26が吐出液供給管21及びシリンダ22の間を封止する。
【0047】
一方、トリガー25を開放すると、スプリング10のポンプ復元力により、ピストン23が上昇移動する。
このとき、図示しないセカンドバルブがピストン流路29を封止するので、シリンダ22内が負圧になり、バルブ26が吐出液供給管21内及びシリンダ22内の間を開封する。
この時、所定の容器から吐出液がシリンダ22内に流入する。
【0048】
そして、再び、トリガー25を引くと、上述のように作用すると共に、吐出液がスプリング10の内部を流通し、次いで、ピストン流路を流通し、ノズル部24に流入される。
さらにノズル部24を流入した吐出液は、ノズル口27から吐出されることになる。
【0049】
上記トリガー式ポンプディスペンサ20においては、このような操作を繰り返すことにより、連続して吐出液が吐出される。
以上より、上記トリガー式ポンプディスペンサ20は、軽量で、確実にポンプ復元力を付与可能なスプリング10を備えるので、取扱い性に優れ、十分な量の吐出液を吸引又は吐出することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係るスプリング10を上下押圧式ポンプディスペンサに用いた例について説明する。
【0051】
図6は、本実施形態に係るスプリングを上下押圧式ポンプディスペンサに用いた例を示す部分断面図であり、図7は、図6に示す上下押圧式ポンプディスペンサのノズル部を押し下げた状態を示す部分断面図である。
図6に示すように、上下押圧式ポンプディスペンサ30は、吐出液供給管31と、該吐出液供給管31に連通するシリンダ32と、吐出液供給管31内及びシリンダ32内の間に設けられたバルブ36と、シリンダ32の内壁に沿って摺動可能となるように設けられ、内部にピストン流路39を有するピストン33と、シリンダ32に内設され、ピストン流路39を封止可能なセカンドバルブ38と、ピストン流路39に連通されたノズル部34と、ノズル部34の先端に設けられ、吐出液を吐出可能なノズル口37とを備える。
【0052】
また、上下押圧式ポンプディスペンサ30においては、ピストン33が下降移動した場合、すなわち、ポンプ容積が収縮した場合に、ピストン33を上方に復元するためのスプリング10がシリンダ32に内設されている。
なお、シリンダ装着部12bは、シリンダ32に装着されており、ピストン装着部12aは、ピストン33に装着されている。
【0053】
図7に示すように、上記上下押圧式ポンプディスペンサ30においては、ノズル部34を押し下げることにより、ピストン33が下降移動し、スプリング10が収縮する。
このとき、セカンドバルブ38がピストン流路39を開封し、バルブ36が吐出液供給管31内及びシリンダ32内の間を封止する。
【0054】
一方、ノズル部34を開放すると、スプリング10のポンプ復元力により、ピストン33が上昇移動する。
このとき、セカンドバルブ38がピストン流路39を封止するので、シリンダ32内が負圧になり、バルブ36が吐出液供給管31内及びシリンダ32内の間を開封する。
この時、所定の容器から吐出液がシリンダ32内に流入する。
【0055】
そして、再び、ノズル部34を押し下げると、上述のように作用すると共に、吐出液がスプリング10の内部を流通し、次いで、ピストン流路を流通し、ノズル部34に流入される。
さらにノズル部34を流入した吐出液は、ノズル口37から吐出されることになる。
【0056】
上記上下押圧式ポンプディスペンサ30においては、このような操作を繰り返すことにより、連続して吐出液が吐出される。
以上より、上記上下押圧式ポンプディスペンサ30は、軽量で、確実にポンプ復元力を付与可能なスプリング10を備えるので、取扱い性に優れ、十分な量の吐出液を吸引又は吐出することができる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0058】
例えば、本実施形態に係るスプリング10の本体部11の長手方向に対して垂直方向の断面が矩形状となっているが、楕円状や正方形であってもよい。
【0059】
本実施形態に係るスプリング10は、本体部11が、V字形状のユニットが繰り返されて波形状となっているが、ユニットの形状はこれらに限定されず、本体部11が波形状になるものであれば以下のような形状であってもよい。
【0060】
例えば、図8の(a)及び(b)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す断面図である。
図8の(a)に示すように、スプリング40は、本体部41が、台形形状のユニットが繰り返されて波形状となっている。
この場合、耐久性に優れ、より確実にポンプ復元力を付与可能である。
【0061】
また、図8の(b)に示すように、スプリング50は、本体部51が、U字形状のユニットが繰り返されて波形状となっている。
この場合、弾力性に優れ、より確実にポンプ復元力を付与可能である。
【0062】
図9の(a)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す断面図であり、図9の(b)は、図9の(a)に示すスプリングのII−II線断面図である。
図9の(a)及び(b)に示すように、スプリング60は、薄肉の本体部61が、V字形状のユニットが繰り返されて波形状となっており、本体部61の表裏の略中央に突起状の補強リブ62が設けられている。
この場合、スプリング60の肉厚を厚くしなくても十分な弾力性が得られ、確実にポンプ復元力を付与可能である。
【0063】
図10の(a)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す上面図であり、(b)は、その下面図である。
図10の(a)及び(b)に示すように、スプリング70は、装着部72が、ピストン装着部72aとシリンダ装着部72bとからなる。
また、いずれの装着部72も放射状に延びた立璧翼を有しており、立璧翼同士の成す角度が60度になっている。
すなわち、本発明のスプリングにおいては、装着部72の断面がアスタリスク形状であってもよい。
この場合、スプリング70の位置ブレをより一層防止でき、且つ吐出液の流通を妨げない。
【0064】
図11の(a)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す上面図であり、(b)は、その下面図である。
図11の(a)及び(b)に示すように、スプリング80は、装着部82が、ピストン装着部82aとシリンダ装着部82bとからなる。
また、いずれの装着部82も放射状に延びた立璧翼を有しており、立璧翼同士の成す角度が90度になっている。
さらに、立璧翼の周囲に連続するように環Rが形成されている。
この場合、スプリング80の位置ブレをより確実に防止でき、且つ吐出液の流通を妨げない。
【0065】
図12の(a)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す断面図であり、(b)は、その上面図であり、(c)は、その下面図である。
図12の(a)に示すように、上記スプリング90は、本体部91が、V字形状のユニットが繰り返されて波形状となっており、中央に円筒状の中空部Hが設けられている。
【0066】
図12の(b)及び(c)に示すように、スプリング90は、装着部92が、ピストン装着部92aとシリンダ装着部92bとからなる。
また、いずれの装着部92も放射状に延びた立璧翼を有しており、立璧翼同士の成す角度が90度になっている。
さらに、立璧翼の周囲に連続するように環Rが形成されている。
さらにまた、中央には円状の中空部Hが設けられている。
なお、装着部92に設けられた中空部Hは、本体部91に設けられた中空部Hと径が一致することが、好ましい。
この場合、吐出液の流通がスムーズに行われる。
また、図示しないリークバルブを用いる場合は、リークバルブを中空部Hに挿通することができる。
【0067】
図13は、図12の(a)に示すスプリングをトリガー式ポンプディスペンサに用いた例を示す部分断面図である。
図13に示すように、トリガー式ポンプディスペンサ100においては、バルブ26の上方に棒状のリークバルブ101が配設されている。
このリークバルブ101は、上部に膨張部102を有しており、該膨張部102により、ピストン23内の吐出液の流路105が封止される。
そして、トリガー25を完全に引いた状態とすると、吐出液供給管21とシリンダ22との間がバルブ26により封止され、ピストン23内の吐出液の流路105がリークバルブ101の移動により開封される。
これにより、吐出液が吐出される。
【0068】
このとき、上記スプリング90は、中空部を有するので、リークバルブ101の挿入出を妨げない。
したがって、リークバルブ101を備えるトリガー式ポンプディスペンサ100であっても、スプリング90は、好適に用いられる。
【0069】
本実施形態に係るスプリング10を用いた例として、トリガー式ポンプディスペンサ20及び上下押圧式ポンプディスペンサ30を例示したが、これらに限定されず、その他のポンプディスペンサ等に用いてもよい。
また、スプリングの弾発効果を発揮できる部分であれば、ポンプディスペンサ以外の種々の装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1の(a)は、本実施形態に係るスプリングの一例を示す断面図であり、図1の(b)は、図1の(a)に示すスプリングのI−I線断面図である。
【図2】図2の(a)は、本実施形態に係るスプリングの上面図であり、(b)は、本実施形態に係るスプリングの下面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係るスプリングが収縮した状態を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係るスプリングをトリガー式ポンプディスペンサに用いた例を示す部分断面図である。
【図5】図5は、図4に示すトリガー式ポンプディスペンサのトリガーを引いた状態を示す部分断面図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るスプリングを上下押圧式ポンプディスペンサに用いた例を示す部分断面図である。
【図7】図7は、図6に示す上下押圧式ポンプディスペンサのノズル部を押し下げた状態を示す部分断面図である。
【図8】図8の(a)及び(b)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す断面図である。
【図9】図9の(a)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す断面図であり、図9の(b)は、図9の(a)に示すスプリングのII−II線断面図である。
【図10】図10の(a)及び(b)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す上面図である。
【図11】図11の(a)及び(b)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す上面図である。
【図12】図12の(a)は、本発明に係るスプリングの他の例を示す断面図であり、(b)は、その上面図であり、(c)は、その下面図である。
【図13】図13は、図12の(a)に示すスプリングをトリガー式ポンプディスペンサに用いた例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0071】
10,40,50,60,70,80,90・・・スプリング(ポンプディスペンサ用スプリング)
11,41,51,61,91・・・本体部
12,72,82,92・・・装着部
12a,72a,82a,92a・・・ピストン装着部
12b,72b,82b,92b・・・シリンダ装着部
20・・・トリガー式ポンプディスペンサ
21,31・・・吐出液供給管
22,32・・・シリンダ
23,33・・・ピストン
24,34・・・ノズル部
25・・・トリガー
26,36・・・バルブ
27,37・・・ノズル口
29,39・・・ピストン流路
30・・・上下押圧式ポンプディスペンサ
38・・・セカンドバルブ
62・・・補強リブ
93・・・中空部
101・・・リークバルブ
102・・・膨張部
105・・・流路
H・・・中空部
L1・・・長さ
L2・・・横幅
L3・・・対角幅
R・・・環

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂からなる波形状の本体部と、
前記本体部の両端に設けられた装着部と、
を備えることを特徴とするスプリング。
【請求項2】
合成樹脂からなる波形状の本体部と、
前記本体部の両端に設けられた装着部と、
を備えることを特徴とするポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項3】
前記装着部が、シリンダに装着するためのシリンダ装着部と、ピストンに装着するためのピストン装着部とからなることを特徴とする請求項2記載のポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項4】
長手方向に対して垂直方向の前記本体部の断面が矩形状であり、
該断面の横幅が、長手方向に対して垂直方向の前記ピストン装着部の長さよりも小さいことを特徴とする請求項3記載のポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項5】
長手方向に対して垂直方向の前記本体部の断面が矩形状であり、
収縮時における該断面の対角幅が、前記装着部の長さ以下であることを特徴とする請求項2記載のポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項6】
前記合成樹脂が、ポリアセタール又はポリプロピレンであることを特徴とする請求項2記載のポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項7】
前記装着部が放射状に延びた立璧翼を有することを特徴とする請求項2記載のポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項8】
前記装着部が放射状に延びた立璧翼を有し、且つ前記ピストン装着部の立璧翼が前記シリンダ装着部の立璧翼よりも小さいことを特徴とする請求項3記載のポンプディスペンサ用スプリング。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載のポンプディスペンサ用スプリングを備えることを特徴とするポンプディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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