説明

スプレッダー、小便器、大便器、浴槽及び浴室

【課題】小便器、大便器、浴槽及び浴室自体の構成を変えることなく、紫外線照射手段を小便器、大便器、浴槽及び浴室に設置することができるスプレッダーと、このスプレッダーを備えた小便器、大便器、浴槽及び浴室を提供する。
【解決手段】スプレッダー10は、下方に向って開放した射水口12aを有し、鉢面3の前面側に配置されたスプレッダー本体12と、該本体12に連なり、後方に向って延出した管部14と、該管部14の後端に固着されたアタッチメント16とを有する。アタッチメント16の管部14の管軸方向の延長線上にUV透過窓16bが設けられており、このUV透過窓16bの外側に紫外線光源としてUVLED20が設置されている。UVLED20が点灯すると、紫外線がUV透過窓16bを透過してスプレッダー10の内部に入射し、反射板22で反射され、射水口12aから鉢面3に向けて出射する。これにより、鉢面3が紫外線で殺菌される。鉢面3に光触媒を設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器や大便器、浴槽、浴室に水を供給するのに好適なスプレッダーと、このスプレッダーを備えた小便器、大便器、浴槽及び浴室に係り、特に、スプレッダーから射出された水が流れる面に紫外線を照射する手段を備えたスプレッダー並びに小便器、大便器、浴槽及び浴室に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小便器の鉢面を紫外線で殺菌するために、小便器の鉢部の上面に紫外線ランプを設けることが特開昭62−102729号に記載されている。
【0003】
特開平11−71803号の図7には、小便器の鉢面に光触媒を保持させると共に、鉢上部に紫外線照射灯を設けることが記載されている。
【特許文献1】特開昭62−102729号
【特許文献2】特開平11−71803号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開昭62−102729号及び特開平11−71803号では、小便器に紫外線ランプ設置スペースを設けたり、鉢内部に紫外線照射灯を設置するようにしており、小便器自体を紫外線ランプ等が設置可能な構造とする必要がある。
【0005】
本発明は、小便器、大便器、浴槽及び浴室自体の構成を変えることなく、紫外線照射手段を小便器、大便器、浴槽及び浴室に設置することができるスプレッダーと、このスプレッダーを備えた小便器、大便器、浴槽及び浴室を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のスプレッダーは、射水口から水を射出するスプレッダーにおいて、該射水口から射出された水が流れる面に向って紫外線を照射する紫外線照射手段を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2のスプレッダーは、請求項1において、該紫外線照射手段は、該スプレッダーに設けられ、スプレッダー外部からスプレッダー内部へ紫外線を入射させる紫外線透過部と、該紫外線透過部に対面するように配置された紫外線発光体とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3のスプレッダーは、請求項2において、該紫外線照射手段は、該スプレッダー内部に設けられ、該紫外線透過部を透過して該スプレッダー内に入射された紫外線を反射させ、前記射水口からスプレッダー外に出射させる反射体を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4のスプレッダーは、請求項2又は3において、該スプレッダー内に、該紫外線透過部を透過してきた紫外線が照射されるように光触媒が保持されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の小便器は、スプレッダーを備えてなる小便器において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の大便器は、スプレッダーを備えてなる大便器において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7の浴槽は、スプレッダーを備えた浴槽において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項8の浴室は、スプレッダーを備えた浴室において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスプレッダー並びに小便器、大便器、浴槽及び浴室にあっては、スプレッダーが紫外線照射手段を備えており、このスプレッダーから小便器や大便器の鉢面、浴槽、あるいは浴室内に紫外線を照射することが可能となる。この紫外線照射により、該鉢面、浴槽あるいは浴室内が殺菌される。また、該鉢面、浴槽あるいは浴室内面に光触媒を設けておくと、光触媒作用によって有機物やアンモニア等を分解することが可能となる。本発明では、小便器、大便器、浴槽及び浴室それ自体の構造を変更することなく、紫外線照射手段を設置することができる。
【0015】
請求項2のスプレッダーによると、スプレッダー外部からスプレッダー内部に紫外線を入射させるため、長期間経過しても、水中の物質の付着に起因したヌメリなどの汚れが紫外線発光体に付かない。
【0016】
請求項3のスプレッダーにあっては、紫外線発光体の配置の自由度が高い。
【0017】
請求項4によると、スプレッダー内部で光触媒作用を生じさせて水を活性化させることができる。活性化された水を流すことにより、鉢面や浴槽あるいは浴室内、さらには排水設備のトラップ、排水管等を十分に洗浄したり抗菌化したりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る小便器の正面図、図2は図1のII−II線断面図である。
【0019】
小便器1は鉢部2を有し、その鉢面3の上部にスプレッダー10が設置されている。この小便器1は陶器製である。小便器1の上部にトップカバー4が設けられ、該トップカバー4の前面にセンサ取付口5が設けられている。図示は省略するがこのセンサ取付口5に臨むようにして人体検知センサが設けられ、この人体検知センサの検知信号に基づいて、トップカバー4内の給水制御弁が開閉し、前記スプレッダー10に水が供給される。
【0020】
このスプレッダー10は、下方に向って開放した射水口12aを有し、鉢面3の前面側に配置されたスプレッダー本体12と、該本体12に連なり、後方に向って延出した管部14と、該管部14の後端に固着されたアタッチメント16とを有する。
【0021】
このアタッチメント16は、管部14の管軸方向と交叉方向に延出した分岐部16aを有しており、この分岐部16aがホース18を介して前記トップカバー4内の給水制御弁に接続されている。
【0022】
アタッチメント16の管部14の管軸方向の延長線上にUV透過窓16bが設けられており、このUV透過窓16bの外側に紫外線光源としてUVLED20が設置されている。このUVLED20はUV透過窓16bに対峙しており、紫外線が該UV透過窓16bを透過してスプレッダー10内に入射可能とされている。本体12内には、この入射してきた紫外線を射水口12aに向けて反射させる反射板22が設けられている。
【0023】
なお、鉢面3の上部にスプレッダー取付孔3aが穿設されており、管部14が該取付孔3aに挿通されている。パッキン24,26及びワッシャを介してナット28を管部14に締め込むことにより、スプレッダー10が鉢面3に固定される。
【0024】
このように構成されたスプレッダー10付きの小便器1にあっては、UVLED20が点灯すると、紫外線がUV透過窓16bを透過してスプレッダー10の内部に入射し、反射板22で反射され、射水口12aから鉢面3に向けて出射する。これにより、鉢面3が紫外線で殺菌される。なお、鉢面3に酸化チタン等の光触媒のコーティング層を設けておくと、紫外線が照射されることにより光触媒が励起し、強力な光触媒作用が発揮され、鉢面3の殺菌が行われる他、鉢面3に付着したアンモニアや有機物が光触媒作用によって分解される。
【0025】
この実施の形態では、UVLED20をスプレッダー10外に配置しており、UVLED20が水と接触しない。そのため、UVLED20にヌメリなどが付着することがなく、長期にわたって紫外線をスプレッダー10内へ入射させることができる。また、電気機器であるUVLEDが水と接しないため、漏電も防止される。
【0026】
なお、UV透過窓16bの内面や反射板22等の水と接する面に光触媒のコーティング層を設けておくと、UV透過窓16bや反射板22等にヌメリ等の汚れが付くことが長期にわたって確実に防止される。
【0027】
上記UVLED20は、センサによって小便器近傍に人体が居ないことが確認されているときだけ点灯するようにしてもよい。もちろん、人体の有無に関わりなく常時UVLED20を点灯させてもよい。
【0028】
上記実施の形態では、管部14は中空管状であるが、本発明では、この管部14内に透光性材料よりなる光触媒担持体(図示略)を設け、この光触媒担持体に光触媒を担持させてもよい。UVLED20から光触媒担持体に紫外線を照射させた状態でスプレッダー10に水を供給すると、この水が光触媒によって活性化され、鉢面3に供給される。この活性化された水は、殺菌作用が高く、鉢面3や小便器トラップ、排水管内面を抗菌化する。この光触媒担持体としては、石英等の紫外線透過性粒子や、透明な樹脂のネットなどが例示される。
【0029】
本発明では、スプレッダーの少なくとも一部を透明樹脂等の紫外線透過材にて構成して紫外線導光部とし、この紫外線導光部に紫外線を入射させ、紫外線導光部に設けた粗面等よりなる出射部から紫外線を鉢面3に向って出射させるようにしてもよい。
【0030】
図3は別の実施の形態に係る小便器の縦断面図である。
【0031】
この実施の形態のスプレッダー10Aにあっては、スプレッダー本体12の上部に、紫外線を下向きに即ち射水口12aに向けて入射しうるようにUV透過窓30が設けられ、このUV透過窓30の外側にUVLED32が設置されている。このUVLED32からの紫外線は、UV透過窓30を透過してまっすぐに射水口12aに向かうようにスプレッダー本体12内に入射した後、該射水口12aを通ってスプレッダー本体12の外部に出射する。
【0032】
この実施の形態では、該UV透過窓30の外側に防水カバー34が取り付けられている。UVLED32は、このカバー34内に配置されている。なお、符号32aはUVLED32への通電用のリード線を示している。このリード線32aは、カバー34に設けられた引出口(符号略)から該カバー34の外側に引き出された後、鉢面3に設けられた引込口(符号略)から便器1の裏側へ引き込まれて電源回路(図示略)に接続されている。符号34a,3bは、該引出口及び引込口にそれぞれ装着されたパッキンを示している。
【0033】
このスプレッダー10Aのその他の構成は図1,2のスプレッダー10と同様となっており、図3において図1,2と同一符号は同一部分を示している。
【0034】
このように構成されたスプレッダー10A付きの小便器1にあっても、UVLED32が点灯すると、紫外線がUV透過窓30を透過してスプレッダー10Aの内部に入射し、射水口12aから鉢面3に向けて出射する。これにより、鉢面3が紫外線で殺菌される。
【0035】
また、この実施の形態でも、UVLED32をスプレッダー10Aの外部に配置しており、UVLED32が水と接触しない。そのため、UVLED32にヌメリなどが付着することがなく、長期にわたって紫外線をスプレッダー10A内へ入射させることができる。
【0036】
このUVLED32も、センサによって小便器近傍に人体が居ないことが確認されているときだけ点灯するようにしてもよく、人体の有無に関わりなく常時点灯させてもよい。
【0037】
なお、この実施の形態でも、UV透過窓30の内面等の水と接する面に光触媒のコーティング層を設けてもよい。また、スプレッダー10A内を通過する水を活性化するために、本体12内に透光性材料よりなる光触媒担持体(図示略)を設け、この光触媒担持体に光触媒を担持させてもよい。
【0038】
図4は実施の形態に係る大便器の斜視図、図5(a)はこの大便器のスプレッダーの正面図、図5(b),(c)はそれぞれ図5(a)のB−B線及びC−C線に沿う断面図である。
【0039】
大便器40は、この実施の形態では洋風便器であり、前部に鉢部41を備え、該鉢部41の後部の上縁付近にスプレッダー50が設置されている。なお、この実施の形態では鉢部41の後部の左右に位置を異ならせて2個のスプレッダー50が設けられている。該鉢部41の底部には排水トラップ42が連通している。
【0040】
大便器40の後部上面には便座ボックス43が設置されており、この便座ボックス43に対し便座44が起倒回動可能に取り付けられている。この便座ボックス43には、各スプレッダー50を介して鉢部41に洗浄水を供給するフラッシュ装置(図示略)や、用便者のお尻を温水で洗浄するための温水洗浄装置(洗浄ノズル45のみ図示)等の各種機器が内蔵されている。該温水洗浄装置の洗浄ノズル45は、この実施の形態では、左右のスプレッダー50,50同士の間から鉢部41内に伸び出して用便者のお尻を洗浄するようになっている。
【0041】
図5に示すように、各スプレッダー50(図5では左側スプレッダー50のみ図示)は、この実施の形態では、鉢部41の後部上縁から該鉢部41内へ延出し、途中から下方へ向って折れ曲がったL字形の本体51を有している。符号52は、該本体51の基端側に設けられた鉢部洗浄水の給水口を示している。この給水口52は、ホース(図示略)等を介して前記フラッシュ装置に接続されている。
【0042】
この実施の形態では、該スプレッダー本体51の先端側(下方へ折れ曲がった部分)の下端面に、下方へ向って開口した第1射水口53が設けられると共に、該先端側の前向き面に、斜め前方に向って開口した第2射水口54が設けられている。詳しくは、左側スプレッダー50にあっては、この第2射水口54は、該前向き面の左端側に配置され、左斜め前方即ち鉢面41aの左側の側部上縁付近に向って開口している。また、右側スプレッダー50にあっては、この第2射水口54は、該前向き面の右端側に配置され、右斜め前方即ち鉢面41aの右側の側部上縁付近に向って開口している。
【0043】
この第1射水口53と第2射水口54とは、それぞれ給水路55を介して前記給水口52に連通している。
【0044】
前記フラッシュ装置から各スプレッダー50(給水口52)に鉢部洗浄水が供給されると、左側スプレッダー50においては、第1射水口53から鉢面41aの後部左半側に向って洗浄水が射出されると共に、第2射水口54から鉢面41aの左側部上縁付近に向って洗浄水が射出される。また、右側スプレッダー50においては、第1射水口53から鉢面41aの後部右半側に向って洗浄水が射出されると共に、第2射水口54から鉢面41aの右側部上縁付近に向って洗浄水が射出される。
【0045】
この実施の形態では、各スプレッダー本体51の上部に、給水路55内に紫外線を下向きに即ち第1射水口53に向けて入射しうるように第1UV透過窓56が設けられている。また、給水路55の第2射水口54と対面する内面には、該給水路55内に紫外線を前向きに即ち該第2射水口54に向けて入射しうるように第2UV透過窓57が設けられている。該第1UV透過窓56の外側には第1UVLED58が設置され、第2UV透過窓57の外側には第2UVLED59が設置されている。
【0046】
該第1UVLED58は、第1UV透過窓56に対峙しており、該第1UVLED58が紫外線を発光すると、この紫外線はUV透過窓56を透過して下向きに給水路55内に入射し、第1射水口53を通って鉢面41aの後部(ないし底部)に向って出射するようになっている。また、第2UVLED59は、第2UV透過窓57に対峙しており、該第2UVLED59が紫外線を発光すると、この紫外線はUV透過窓57を透過して前向きに給水路55内に入射し、第2射水口54を通って鉢面41aの左右の側部上縁付近に向って出射するようになっている。
【0047】
このように構成されたスプレッダー50,50付きの大便器40にあっては、各スプレッダー50の第1及び第2UVLED58,59が点灯すると、各射水口53,54を介して鉢面41aの後部領域から左右の側部領域の広い範囲に紫外線が出射され、紫外線殺菌が行われる。なお、鉢面41aに酸化チタン等の光触媒のコーティング層を設けておくと、紫外線が照射されることにより光触媒が励起し、強力な光触媒作用が発揮され、鉢面41aの殺菌が行われる他、鉢面41aに付着したアンモニアや有機物が光触媒作用によって分解される。
【0048】
この実施の形態でも、UVLED58,59は、センサによって大便器近傍に人体が居ないことが確認されているときだけ点灯するようにしてもよく、人体の有無に関わりなく常時点灯させてもよい。
【0049】
また、この実施の形態でも、洗浄水を活性化するために、各スプレッダー50の給水路55内に透光性材料よりなる光触媒担持体(図示略)を設け、この光触媒担持体に光触媒を担持させてもよい。
【0050】
図6は実施の形態に係る浴槽の平面図、図7は図6のVII−VII線に沿う断面図、図8は図7のスプレッダー部分の拡大図である。
【0051】
この浴槽70は槽部71とフランジ部72とを有しており、このフランジ部72の上面に段付き水路73が凹設されている。この実施例では、フランジ部72は略長方形の平面視形状となっており、該フランジ部72のほぼ対角線方向に槽部71が延在されており、図6の左下及び右上部分に大きなフランジ部72が形成されている。この右上の大きなフランジ部72に段付き水路73が形成されている。
【0052】
この実施の形態では、該段付き水路73は、下流側ほど幅が広がる三角州又は扇状地の如き形状となっていると共に、弧状に湾曲する3個の段部74,75,76を有している。この段部74,75,76の上流側はそれぞれ上方に向って緩く凹陥し、若干量の水が貯まるようになっている。また、この段付き水路73はフランジ部72の上面から凹陥しており、風呂蓋をフランジ部72にぴったりと被せることが可能となっている。
【0053】
この段付き水路73の上流部(段76よりも上流側)に、スプレッダー77が設けられている。このスプレッダー77は、上部がフランジ部72の上方に突出するように該フランジ部72を貫通して設けられている。
【0054】
符号78は、槽部71の内側に形成されたアームレストを示し、符号79は、該槽部71の底面に設けられた排水口を示している。
【0055】
この実施例では、スプレッダー77に水を供給するために、槽部71の側壁に吸水口80と噴射口81とを設け、該吸水口80からポンプユニット82に吸い込んだ水の一部をスプレッダー77に導くようにしている。水の残部は噴射口81から噴射される。83a,83bはこのポンプユニット82と吸水口80及び噴射口81とを接続している配管、84aは流路切替弁、84bはスプレッダー77と該弁84aとを接続している配管である。82aはポンプ、82bはコントローラである。
【0056】
また、この実施例では、噴射口81は気泡噴射ノズルにて構成されており、エアー配管85からの空気を槽部71内に噴射しうるよう構成されている。86はエアー用電磁弁である。また、87はこのポンプユニット82のスイッチである。
【0057】
なお、この実施例では、該噴射口81の先端のフロントノズル(図示略)が可動となっており、噴射方向が変更可能となっている。また、本実施例では、吸水口80にメッシュ等のフィルタ(図示略)が設けられ、ゴミや毛髪などがポンプユニット82へ流れ込まないよう構成されている。
【0058】
図8の通り、スプレッダー77は、筒状本体90の上端にフランジ91が設けられており、本体90の外周の雄ねじ(符号略)に螺合されたナット92と該フランジ91とでフランジ部72を狭持している。93は三角パッキン、94は平パッキンである。また95は配管84bを本体90に連結している袋ナットである。
【0059】
この実施の形態では、該フランジ91の側周面に、水路73に向って開口する射水口96が設けられている。スプレッダー本体90の内孔97は、この実施の形態では該本体90の上端面に開口しておらず、該上端付近において射水口96に連通している。配管84bを介してスプレッダー77に水が供給されると、この水は内孔97を通って射水口96から水路73に吐出される。
【0060】
該内孔97の上端付近の射水口96と反対側の内面にUV透過窓98が設けられており、このUV透過窓98の外側にUVLED99が設置されている。このUVLED99はUV透過窓98に対峙しており、該UVLED99が紫外線を発光すると、この紫外線はUV透過窓98を透過して射水口96に向うように内孔97内に入射した後、該射水口96を通って出射するようになっている。
【0061】
このように構成されたスプレッダー77付き浴槽70にあっては、スプレッダー77のUVLED99が点灯すると、射水口96を介して水路73の表面に紫外線が出射され、紫外線殺菌が行われる。なお、該水路73の表面に酸化チタン等の光触媒のコーティング層を設けておくと、紫外線が照射されることにより光触媒が励起し、強力な光触媒作用が発揮され、該表面の殺菌が行われる他、該表面に付着したアンモニアや有機物が光触媒作用によって分解される。
【0062】
この実施の形態でも、UVLED99は、センサによって浴槽内又はその近傍に人体が居ないことが確認されているときだけ点灯するようにしてもよく、人体の有無に関わりなく常時点灯させてもよい。
【0063】
また、この実施の形態でも、スプレッダー77からの水を活性化するために、スプレッダー77の内孔97内に透光性材料よりなる光触媒担持体(図示略)を設け、この光触媒担持体に光触媒を担持させてもよい。
【0064】
図9は実施の形態に係る浴室の垂直断面図である。
【0065】
この実施の形態の浴室110は、天井111と、四方を取り囲む壁112と、床113とを有するユニットバスルームであり、図の一方の壁112に沿って浴槽114が設置されている。この実施の形態では、該天井111、壁112並びに床113の室内側面にそれぞれ親水性部材(図示略)が配置されており、この親水性部材の表面に光触媒のコーティング層が形成されている。
【0066】
天井111の中央には、浴室110内に水を噴射してこれらの天井111、壁112並びに床113の汚れを洗い流すためのスプレッダー115Aが設置されている。この実施の形態では、該スプレッダー115Aの側周面に複数個の射水口(符号略)が設けられており、これらの射水口から放射状に水が噴射される。
【0067】
また、この実施の形態では、床113(洗い場)にもスプレッダー115Bが設置されている。このスプレッダー115Bも、側周面に複数個の射水口(符号略)が設けられており、これらの射水口から放射状に水が噴射されるようになっている。
【0068】
これらのスプレッダー115A,115Bの内部に、それぞれ、UVLED(図示略)が設置されており、該UVLEDが紫外線を発光すると、この紫外線は各射水口を通って放射状に浴室110内に出射されるように構成されている。
【0069】
この実施の形態では、該スプレッダー115A,115B以外にも紫外線発光体が設けられている。
【0070】
天井111と図の他方の壁112の上部とのコーナー部付近には照明灯116が設けられている。この照明灯116は、天井111から該壁112の上部にかけて延設されたレール117に沿って移動可能となっている。この実施の形態では、該照明灯116は、可視光ランプ118と紫外線ランプ119とを備えてなるものである。
【0071】
図の前記一方の壁112の上部には、壁面照明灯120が設置されている。この壁面照明灯120も、可視光ランプ(図示略)と紫外線ランプ(図示略)とを備えてなる。
【0072】
また、該一方の壁112には、スプレッダー115や照明灯116,120からの紫外線を反射して浴槽114の内側等に紫外線を当てるためのリフレクタ121が取り付けられている。なお、該浴槽114の表面にも、光触媒層を設けてもよい。符号122は、該浴槽114付近に配置された手すりを示している。
【0073】
該浴槽114の内側及びこの浴室110の洗い場壁面等には、赤外線センサ等よりなる人体検知センサ123が設けられており、スプレッダー115A,115B及び照明灯116,120の各紫外線発光体は、これらのセンサ123が人体を検知していない場合、即ち、浴室110内に人がいない場合に点灯されるよう構成されている。
【0074】
この実施の形態では、さらに、ハンディタイプの紫外線ランプ124も設けられている。この紫外線ランプ124を用いることにより、据付け型の各紫外線発光体からの紫外線が当たりにくい場所(例えば洗面鉢や浴室用椅子等の裏側)にも紫外線を照射することができるようになっている。
【0075】
このように構成された浴室110にあっては、各スプレッダー115A,115Bから浴室110内に水が噴射されて該浴室110内が洗浄されると共に、該スプレッダー115A,115B、照明灯116,120並びに紫外線ランプ124から浴室110内全体に紫外線が出射され、紫外線殺菌が行われる。なお、この実施の形態では、天井111や壁112、床113等の表面に光触媒のコーティング層が設けられているので、紫外線が照射されることにより光触媒が励起し、強力な光触媒作用が発揮され、該表面の殺菌が行われる他、該表面に付着したアンモニアや有機物が光触媒作用によって分解される。
【0076】
この実施の形態でも、洗浄水による殺菌・抗菌作用を高めるために、各スプレッダー115A,115B内に透光性材料よりなる光触媒担持体(図示略)を設け、この光触媒担持体に光触媒を担持させてもよい。
【0077】
上記の各実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は図示の構成に限定されるものではない。
【0078】
紫外線発光体からの紫外線は直接的に目標面に向って照射されてもよく、リフレクタ等による反射や拡散等を利用して目標面に照射されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施の形態に係る小便器の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】別の実施の形態に係る小便器の断面図である。
【図4】実施の形態に係る大便器の正面図である。
【図5】図4のスプレッダーの構成を示す図である。
【図6】実施の形態に係る浴槽の平面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6のスプレッダー部分の拡大図である。
【図9】実施の形態に係る浴室の断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 小便器
3 鉢面
10,10A スプレッダー
12 スプレッダー本体
12a 射水口
14 管部
16 アタッチメント
16b 紫外線透過窓
20 UVLED
22 反射板
30 UV透過窓
32 UVLED
34 カバー
40 大便器
41a 鉢面
50 スプレッダー
51 スプレッダー本体
53,54 射水口
56,57 UV透過窓
58,59 UVLED
70 浴槽
73 水路
77 スプレッダー
90 スプレッダー本体
96 射水口
98 UV透過窓
99 UVLED
110 浴室
111 天井
112 壁
113 床
115A,115B スプレッダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射水口から水を射出するスプレッダーにおいて、
該射水口から射出された水が流れる面に向って紫外線を照射する紫外線照射手段を備えたことを特徴とするスプレッダー。
【請求項2】
請求項1において、該紫外線照射手段は、
該スプレッダーに設けられ、スプレッダー外部からスプレッダー内部へ紫外線を入射させる紫外線透過部と、
該紫外線透過部に対面するように配置された紫外線発光体とを備えていることを特徴とするスプレッダー。
【請求項3】
請求項2において、該紫外線照射手段は、該スプレッダー内部に設けられ、該紫外線透過部を透過して該スプレッダー内に入射された紫外線を反射させ、前記射水口からスプレッダー外に出射させる反射体を備えていることを特徴とするスプレッダー。
【請求項4】
請求項2又は3において、該スプレッダー内に、該紫外線透過部を透過してきた紫外線が照射されるように光触媒が保持されていることを特徴とするスプレッダー。
【請求項5】
スプレッダーを備えてなる小便器において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とする小便器。
【請求項6】
スプレッダーを備えてなる大便器において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とする大便器。
【請求項7】
スプレッダーを備えた浴槽において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とする浴槽。
【請求項8】
スプレッダーを備えた浴室において、該スプレッダーが請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスプレッダーであることを特徴とする浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−316544(P2006−316544A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141475(P2005−141475)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】