スポイラー展開機構
航空機の翼組立体が、翼と(1)、翼に枢動可能に取り付けられるスポイラー(2)と、スポイラー展開機構とを具備する。スポイラー展開機構は鋏型リンケージ機構(7)を具備し、鋏型リンケージ機構は、上方ピボット(10)でスポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンク(9)と、下方ピボット(10)で翼に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボット(13)で上方リンク(9)に枢動可能に取り付けられる下方リンク(11)とを具備する。アクチュエータ(8)は近位ピボットで翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットで鋏型リンケージ機構に枢動可能に取り付けられる。アクチュエータは近位ピボットと遠位ピボットとの間の距離を変化させるように拡張配置と収縮配置との間で調整可能である。このことは、鋏型リンケージ機構の上方リンク(9)と鋏型リンケージ機構の下方リンク(11)との間の角度を拡大し、且つスポイラーを翼上の気流中に押し上げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翼と、翼に枢動可能に取り付けられるスポイラーと、スポイラー展開機構とを具備する航空機の翼組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスポイラー展開機構は、近位ピボット(pivot)で翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットでスポイラーに枢動可能に取り付けられる線形アクチュエータを具備する。アクチュエータはガース長(girth-wise)(翼の深さ)の方向に設置される。将来の航空機において、後方スパーの背後の利用可能なガース長の空間は、ますます小さくなり、斯かる従来機構を不適切にする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第一の態様では、翼と、翼に枢動可能に取り付けられるスポイラーと、スポイラー展開機構であって、上方ピボットでスポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンクと、下方ピボットで翼に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボットで上方リンクに枢動可能に取り付けられる下方リンクとを備えたリンケージ機構と、近位ピボットで翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットでリンケージ機構に枢動可能に取り付けられ、近位ピボットと遠位ピボットとの間の距離を変化させるように拡張配置と収縮配置との間で調整可能であるアクチュエータであって、アクチュエータの少なくとも一つの配置において、近位ピボットおよび遠位ピボットが主に翼長(span-wise)方向に離間されるアクチュエータとを具備するスポイラー展開機構とを具備する航空機の翼組立体が提供される。
【0004】
本発明の更なる態様では、本発明の第一の態様の組立体の作動方法において、アクチュエータを収縮配置から拡張配置に調整することと、リンケージ機構の上方リンクとリンケージ機構の下方リンクとの間の角度を拡大することと、リンケージ機構の上方リンクを用いてスポイラーを翼上の気流中に押し上げることとを含む、作動方法が提供される。
【0005】
枢動するアクチュエータと組み合わせたリンケージ機構の使用は、アクチュエータのストロークが主に翼長方向に作動できるので、展開機構がガース長方向に小さい空間を占めることを可能とする。また、このことは、必要であれば、より大きく且つより強力なアクチュエータが使用されることを可能とする。
【0006】
アクチュエータは、中央ピボットから離間された遠位ピボットで上方リンクまたは下方リンクに取り付けられうる。このことは、機械的利点の要素を提供できる。例として、遠位ピボットはアクチュエータを上方リンクに取り付けることができ、且つ中央ピボットは遠位ピボットと上方ピボットとの間に配設される。或いは、アクチュエータをリンケージ機構に取り付ける遠位ピボットは、リンケージ機構の下方リンクをリンケージ機構の上方リンクに取り付ける中央ピボットと同軸であってもよい。このことはより小型な配置を生み出す。同軸の場合、さらに、中央ピボットおよび遠位ピボットは、アクチュエータおよび二つのリンクを貫通するピボットピンによって提供されうる。
【0007】
スポイラーと翼との間のピボット接続は複雑な動作を可能としうるが、より好ましくは、スポイラーは、スポイラーが展開されたときに固定されたままであるスポイラーピボットで翼に枢動可能に取り付けられる。同様に、展開中に下方ピボットが平行移動してもよいが、より好ましくは、スポイラーが展開されたとき、下方ピボットは固定されたままである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、航空機の平面図である。
【図2】図2は、収納配置にある、本発明の第1実施形態に係るスポイラー組立体の背面図である。
【図3】図3は、展開配置にあるスポイラー組立体の背面図である。
【図4】図4は、収納配置にあるスポイラー組立体の側面図である。
【図5】図5は、展開配置にあるスポイラー組立体の側面図である。
【図6】図6は、下方ヒンジの背面図である。
【図7】図7は、下方ヒンジの平面図である。
【図8】図8は、中央ヒンジの平面図である。
【図9】図9は、収納配置にある、本発明の第2実施形態に係るスポイラー組立体の概略背面図である。
【図10】図10は、収納配置にある、本発明の第3実施形態に係るスポイラー組立体の概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示される航空機は、上面に一連のスポイラー2(別名エアブレーキまたはリフトダンパーとして知られている)を備えた翼1を具備する。これらスポイラー2の一つが図2〜図5に示される。翼は後方スパー3を具備し、スポイラー2は一対のヒンジ4によって枢動可能に後方スパー3に取り付けられる。これらヒンジ4によって提供されるスポイラーの枢軸線5は、スポイラーが展開されるとき、固定されたままである。
【0010】
スポイラー2は、鋏型リンケージ(scissor linkage)機構7および線形アクチュエータ8を具備するスポイラー展開機構6によって、枢軸線5回りで回転される。鋏型リンケージ機構7は、上方ピボット10でスポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンク9と、下方ピボット12でスパー3に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボット13で上方リンク9に枢動可能に取り付けられる下方リンク11とを具備する。
【0011】
下方ピボット12の下方ヒンジ機構は、図6および図7に詳細に示される。図6に示されるように、下方リンク11は、下方リンク11が軸線18回りで枢動することを可能とするクレビス継手を介して、ヒンジ部材17に枢動可能に取り付けられる。ヒンジ部材17は、スパー3に固定されたブラケット19に回転可能に設置されるので、下方リンク11は軸線20回りでも回転できる。その結果、下方リンク11は、4自由度を有する下方ピボット12で回転できる。
【0012】
上方ピボット10の上方ヒンジ機構が下方ヒンジ機構と同様であるので、上方リンク9は、4自由度を有する上方ピボット10回りで回転できる。
【0013】
アクチュエータ8は、近位ピボット14でスパー3から延在するリブまたは他の接続部(図示せず)に枢動可能に取り付けられる油圧シリンダ21と、中央ピボット13で鋏型リンケージ機構に枢動可能に取り付けられるピストンロッド15とを具備する。油圧シリンダ21はピストンロッド15を直線的に外向きに駆動すべく加圧されうる。
【0014】
中央ピボット13のヒンジ機構の構造は、図8に詳細に示される。ピストンロッド15はピストンロッド15の遠位端で孔を有する。ピボットピン16は、ロッド15の孔を貫通し、且つ軸線方向に整列されたリンク10、11の孔をも貫通する。その結果、図8に示されるヒンジ機構は、アクチュエータと鋏型リンケージ機構との間の遠位ピボットと、鋏型アームの間の中央ピボットとの両方を提供する。
【0015】
スポイラーは、アクチュエータを図2に示されるその収縮された配置から図3に示される拡張された配置に調整して近位ピボット14および遠位ピボット13を直線の作用線に沿って離れさせることによって、展開される。このことは鋏型リンケージ機構の上方リンクと下方リンクとの間の角度を拡大させ、且つ上方リンク9はスポイラーを翼上の気流中に押し上げる。アクチュエータ8が拡張するとき、アクチュエータ8は中央ピボット13の動作に対応すべくピボット14回りで回転する。下方リンク11は、(図2および図3に示されるように)軸線18回りで回転し、且つ(図4および図5に示されるように)軸線20回りで回転する。また、上方リンク9は、上方リンク9をスポイラーに取り付ける上方ヒンジ機構の二つの直交軸線回りで回転する。
【0016】
図4および図5に見られうるように、鋏型リンケージ機構の下方ピボット12は、スポイラーの全姿勢において鋏型リンケージ機構の上方ピボット10の前方に配置される。
【0017】
図2および図3に見られうるように、ピボット13、14は、アクチュエータの収縮および拡張された両配置において、主に翼長方向に離間される。その結果、展開機構はガース長方向により小さい空間を占める。また、このことは、必要であれば、大きく且つ強力なアクチュエータ8が使用されることを可能とする。
【0018】
スポイラー展開機構の代替的な配置が図9に概略的に示される。この配置は図2〜図8に記載された配置と同様であり、且つ同様な特徴については同一の参照番号が用いられる。この場合、その収縮状態において、アクチュエータ8は上方リンク9の直線上にある。
【0019】
第二の代替的な配置が図10に概略的に示される。ここでも、この第二の代替的な配置は図2〜図9に記載された配置と同様であり、且つ同様な特徴については同一の参照番号が用いられる。この場合、鋏型リンケージ機構の上方リンクは、上方リンクを下方リンクに連結するヒンジよりも先まで延在する。具体的には、鋏型リンケージ機構は上方リンク30を具備し、上方リンク30はその上端部で上方ピボット10によってスポイラー2に枢動可能に取り付けられ且つその下端部で遠位ピボット33によってアクチュエータピストン15に枢動可能に取り付けられる。鋏型リンケージ機構の下方リンク31は、下方ピボット12でスパー3に枢動可能に取り付けられ、且つ中央ピボット32で上方リンク30に枢動可能に取り付けられる。この場合、中央ピボット32は、遠位ピボット33と同軸ではなく、むしろ遠位ピボット33と上方ピボット10との間の上方リンク30上に配設される。この配置は図2の配置よりも大きな機械的利点を持つ。(図10の配置との比較において)図2の配置の利点は、鋏型リンケージ機構がより小型であることと、アクチュエータが(ガース長の意味において)より中央の位置に配置されるのでより大きくされうるということとである。
【0020】
本発明が、一つ以上の好ましい実施形態に関して上述されたが、添付の特許請求の範囲において定義された発明の範囲を逸脱することなく種々の変更または修正がなされうることが理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、翼と、翼に枢動可能に取り付けられるスポイラーと、スポイラー展開機構とを具備する航空機の翼組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスポイラー展開機構は、近位ピボット(pivot)で翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットでスポイラーに枢動可能に取り付けられる線形アクチュエータを具備する。アクチュエータはガース長(girth-wise)(翼の深さ)の方向に設置される。将来の航空機において、後方スパーの背後の利用可能なガース長の空間は、ますます小さくなり、斯かる従来機構を不適切にする。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第一の態様では、翼と、翼に枢動可能に取り付けられるスポイラーと、スポイラー展開機構であって、上方ピボットでスポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンクと、下方ピボットで翼に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボットで上方リンクに枢動可能に取り付けられる下方リンクとを備えたリンケージ機構と、近位ピボットで翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットでリンケージ機構に枢動可能に取り付けられ、近位ピボットと遠位ピボットとの間の距離を変化させるように拡張配置と収縮配置との間で調整可能であるアクチュエータであって、アクチュエータの少なくとも一つの配置において、近位ピボットおよび遠位ピボットが主に翼長(span-wise)方向に離間されるアクチュエータとを具備するスポイラー展開機構とを具備する航空機の翼組立体が提供される。
【0004】
本発明の更なる態様では、本発明の第一の態様の組立体の作動方法において、アクチュエータを収縮配置から拡張配置に調整することと、リンケージ機構の上方リンクとリンケージ機構の下方リンクとの間の角度を拡大することと、リンケージ機構の上方リンクを用いてスポイラーを翼上の気流中に押し上げることとを含む、作動方法が提供される。
【0005】
枢動するアクチュエータと組み合わせたリンケージ機構の使用は、アクチュエータのストロークが主に翼長方向に作動できるので、展開機構がガース長方向に小さい空間を占めることを可能とする。また、このことは、必要であれば、より大きく且つより強力なアクチュエータが使用されることを可能とする。
【0006】
アクチュエータは、中央ピボットから離間された遠位ピボットで上方リンクまたは下方リンクに取り付けられうる。このことは、機械的利点の要素を提供できる。例として、遠位ピボットはアクチュエータを上方リンクに取り付けることができ、且つ中央ピボットは遠位ピボットと上方ピボットとの間に配設される。或いは、アクチュエータをリンケージ機構に取り付ける遠位ピボットは、リンケージ機構の下方リンクをリンケージ機構の上方リンクに取り付ける中央ピボットと同軸であってもよい。このことはより小型な配置を生み出す。同軸の場合、さらに、中央ピボットおよび遠位ピボットは、アクチュエータおよび二つのリンクを貫通するピボットピンによって提供されうる。
【0007】
スポイラーと翼との間のピボット接続は複雑な動作を可能としうるが、より好ましくは、スポイラーは、スポイラーが展開されたときに固定されたままであるスポイラーピボットで翼に枢動可能に取り付けられる。同様に、展開中に下方ピボットが平行移動してもよいが、より好ましくは、スポイラーが展開されたとき、下方ピボットは固定されたままである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、航空機の平面図である。
【図2】図2は、収納配置にある、本発明の第1実施形態に係るスポイラー組立体の背面図である。
【図3】図3は、展開配置にあるスポイラー組立体の背面図である。
【図4】図4は、収納配置にあるスポイラー組立体の側面図である。
【図5】図5は、展開配置にあるスポイラー組立体の側面図である。
【図6】図6は、下方ヒンジの背面図である。
【図7】図7は、下方ヒンジの平面図である。
【図8】図8は、中央ヒンジの平面図である。
【図9】図9は、収納配置にある、本発明の第2実施形態に係るスポイラー組立体の概略背面図である。
【図10】図10は、収納配置にある、本発明の第3実施形態に係るスポイラー組立体の概略背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に示される航空機は、上面に一連のスポイラー2(別名エアブレーキまたはリフトダンパーとして知られている)を備えた翼1を具備する。これらスポイラー2の一つが図2〜図5に示される。翼は後方スパー3を具備し、スポイラー2は一対のヒンジ4によって枢動可能に後方スパー3に取り付けられる。これらヒンジ4によって提供されるスポイラーの枢軸線5は、スポイラーが展開されるとき、固定されたままである。
【0010】
スポイラー2は、鋏型リンケージ(scissor linkage)機構7および線形アクチュエータ8を具備するスポイラー展開機構6によって、枢軸線5回りで回転される。鋏型リンケージ機構7は、上方ピボット10でスポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンク9と、下方ピボット12でスパー3に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボット13で上方リンク9に枢動可能に取り付けられる下方リンク11とを具備する。
【0011】
下方ピボット12の下方ヒンジ機構は、図6および図7に詳細に示される。図6に示されるように、下方リンク11は、下方リンク11が軸線18回りで枢動することを可能とするクレビス継手を介して、ヒンジ部材17に枢動可能に取り付けられる。ヒンジ部材17は、スパー3に固定されたブラケット19に回転可能に設置されるので、下方リンク11は軸線20回りでも回転できる。その結果、下方リンク11は、4自由度を有する下方ピボット12で回転できる。
【0012】
上方ピボット10の上方ヒンジ機構が下方ヒンジ機構と同様であるので、上方リンク9は、4自由度を有する上方ピボット10回りで回転できる。
【0013】
アクチュエータ8は、近位ピボット14でスパー3から延在するリブまたは他の接続部(図示せず)に枢動可能に取り付けられる油圧シリンダ21と、中央ピボット13で鋏型リンケージ機構に枢動可能に取り付けられるピストンロッド15とを具備する。油圧シリンダ21はピストンロッド15を直線的に外向きに駆動すべく加圧されうる。
【0014】
中央ピボット13のヒンジ機構の構造は、図8に詳細に示される。ピストンロッド15はピストンロッド15の遠位端で孔を有する。ピボットピン16は、ロッド15の孔を貫通し、且つ軸線方向に整列されたリンク10、11の孔をも貫通する。その結果、図8に示されるヒンジ機構は、アクチュエータと鋏型リンケージ機構との間の遠位ピボットと、鋏型アームの間の中央ピボットとの両方を提供する。
【0015】
スポイラーは、アクチュエータを図2に示されるその収縮された配置から図3に示される拡張された配置に調整して近位ピボット14および遠位ピボット13を直線の作用線に沿って離れさせることによって、展開される。このことは鋏型リンケージ機構の上方リンクと下方リンクとの間の角度を拡大させ、且つ上方リンク9はスポイラーを翼上の気流中に押し上げる。アクチュエータ8が拡張するとき、アクチュエータ8は中央ピボット13の動作に対応すべくピボット14回りで回転する。下方リンク11は、(図2および図3に示されるように)軸線18回りで回転し、且つ(図4および図5に示されるように)軸線20回りで回転する。また、上方リンク9は、上方リンク9をスポイラーに取り付ける上方ヒンジ機構の二つの直交軸線回りで回転する。
【0016】
図4および図5に見られうるように、鋏型リンケージ機構の下方ピボット12は、スポイラーの全姿勢において鋏型リンケージ機構の上方ピボット10の前方に配置される。
【0017】
図2および図3に見られうるように、ピボット13、14は、アクチュエータの収縮および拡張された両配置において、主に翼長方向に離間される。その結果、展開機構はガース長方向により小さい空間を占める。また、このことは、必要であれば、大きく且つ強力なアクチュエータ8が使用されることを可能とする。
【0018】
スポイラー展開機構の代替的な配置が図9に概略的に示される。この配置は図2〜図8に記載された配置と同様であり、且つ同様な特徴については同一の参照番号が用いられる。この場合、その収縮状態において、アクチュエータ8は上方リンク9の直線上にある。
【0019】
第二の代替的な配置が図10に概略的に示される。ここでも、この第二の代替的な配置は図2〜図9に記載された配置と同様であり、且つ同様な特徴については同一の参照番号が用いられる。この場合、鋏型リンケージ機構の上方リンクは、上方リンクを下方リンクに連結するヒンジよりも先まで延在する。具体的には、鋏型リンケージ機構は上方リンク30を具備し、上方リンク30はその上端部で上方ピボット10によってスポイラー2に枢動可能に取り付けられ且つその下端部で遠位ピボット33によってアクチュエータピストン15に枢動可能に取り付けられる。鋏型リンケージ機構の下方リンク31は、下方ピボット12でスパー3に枢動可能に取り付けられ、且つ中央ピボット32で上方リンク30に枢動可能に取り付けられる。この場合、中央ピボット32は、遠位ピボット33と同軸ではなく、むしろ遠位ピボット33と上方ピボット10との間の上方リンク30上に配設される。この配置は図2の配置よりも大きな機械的利点を持つ。(図10の配置との比較において)図2の配置の利点は、鋏型リンケージ機構がより小型であることと、アクチュエータが(ガース長の意味において)より中央の位置に配置されるのでより大きくされうるということとである。
【0020】
本発明が、一つ以上の好ましい実施形態に関して上述されたが、添付の特許請求の範囲において定義された発明の範囲を逸脱することなく種々の変更または修正がなされうることが理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.翼と、
b.前記翼に枢動可能に取り付けられるスポイラーと、
c.スポイラー展開機構であって、
i.上方ピボットで前記スポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンクと、下方ピボットで前記翼に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボットで前記上方リンクに枢動可能に取り付けられる下方リンクとを備えたリンケージ機構と、
ii.近位ピボットで前記翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットで前記リンケージ機構に枢動可能に取り付けられ、前記近位ピボットと前記遠位ピボットとの間の距離を変化させるように拡張配置と収縮配置との間で調整可能であるアクチュエータであって、該アクチュエータの少なくとも一つの配置において、前記近位ピボットおよび前記遠位ピボットが主に翼長方向に離間されるアクチュエータとを具備するスポイラー展開機構と
を具備する航空機の翼組立体。
【請求項2】
前記アクチュエータを前記リンケージ機構に取り付ける前記遠位ピボットが、前記リンケージ機構の下方リンクを前記リンケージ機構の上方リンクに取り付ける前記中央ピボットと同軸である、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記アクチュエータと前記上方リンクと前記下方リンクとを貫通するピボットピンを更に具備する、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記遠位ピボットが前記アクチュエータを前記上方リンクに取り付け、且つ前記中央ピボットが前記遠位ピボットと前記上方ピボットとの間に配設される、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記スポイラーが、該スポイラーが展開されるときに固定されたままであるスポイラーピボットで前記翼に枢動可能に取り付けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記スポイラーが展開されたとき、前記下方ピボットが固定されたままである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項7】
前記翼が後方スパーを具備し、且つ前記スポイラーが前記後方スパーに枢動可能に取り付けられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項8】
前記リンケージ機構の下方ピボットが前記リンケージ機構の上方ピボットの前方に配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項9】
前記アクチュエータが拡張するとき、前記遠位ピボットが上方へ移動する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項10】
前記下方リンクが少なくとも4自由度を有する前記下方ピボット回りで回転できる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項11】
前記上方リンクが少なくとも4自由度を有する前記上方ピボット回りで回転できる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組立体の作動方法において、
a.前記アクチュエータを収縮配置から拡張配置に調整することと、
b.前記リンケージ機構の上方リンクと前記リンケージ機構の下方リンクとの間の角度を拡大することと、
c.前記リンケージ機構の上方リンクを用いて前記スポイラーを前記翼上の気流中に押し上げることと
を含む、作動方法。
【請求項1】
a.翼と、
b.前記翼に枢動可能に取り付けられるスポイラーと、
c.スポイラー展開機構であって、
i.上方ピボットで前記スポイラーに枢動可能に取り付けられる上方リンクと、下方ピボットで前記翼に枢動可能に取り付けられ且つ中央ピボットで前記上方リンクに枢動可能に取り付けられる下方リンクとを備えたリンケージ機構と、
ii.近位ピボットで前記翼に枢動可能に取り付けられ且つ遠位ピボットで前記リンケージ機構に枢動可能に取り付けられ、前記近位ピボットと前記遠位ピボットとの間の距離を変化させるように拡張配置と収縮配置との間で調整可能であるアクチュエータであって、該アクチュエータの少なくとも一つの配置において、前記近位ピボットおよび前記遠位ピボットが主に翼長方向に離間されるアクチュエータとを具備するスポイラー展開機構と
を具備する航空機の翼組立体。
【請求項2】
前記アクチュエータを前記リンケージ機構に取り付ける前記遠位ピボットが、前記リンケージ機構の下方リンクを前記リンケージ機構の上方リンクに取り付ける前記中央ピボットと同軸である、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記アクチュエータと前記上方リンクと前記下方リンクとを貫通するピボットピンを更に具備する、請求項2に記載の組立体。
【請求項4】
前記遠位ピボットが前記アクチュエータを前記上方リンクに取り付け、且つ前記中央ピボットが前記遠位ピボットと前記上方ピボットとの間に配設される、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記スポイラーが、該スポイラーが展開されるときに固定されたままであるスポイラーピボットで前記翼に枢動可能に取り付けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記スポイラーが展開されたとき、前記下方ピボットが固定されたままである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項7】
前記翼が後方スパーを具備し、且つ前記スポイラーが前記後方スパーに枢動可能に取り付けられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項8】
前記リンケージ機構の下方ピボットが前記リンケージ機構の上方ピボットの前方に配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項9】
前記アクチュエータが拡張するとき、前記遠位ピボットが上方へ移動する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項10】
前記下方リンクが少なくとも4自由度を有する前記下方ピボット回りで回転できる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項11】
前記上方リンクが少なくとも4自由度を有する前記上方ピボット回りで回転できる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組立体の作動方法において、
a.前記アクチュエータを収縮配置から拡張配置に調整することと、
b.前記リンケージ機構の上方リンクと前記リンケージ機構の下方リンクとの間の角度を拡大することと、
c.前記リンケージ機構の上方リンクを用いて前記スポイラーを前記翼上の気流中に押し上げることと
を含む、作動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−519781(P2011−519781A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507994(P2011−507994)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050432
【国際公開番号】WO2009/136187
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(508305926)エアバス オペレーションズ リミティド (38)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050432
【国際公開番号】WO2009/136187
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(508305926)エアバス オペレーションズ リミティド (38)
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