説明

スポット溶接される板の厚さに対して適した数の肩部を用いる摩擦攪拌スポット溶接のための方法及び器械

少なくとも2つの金属薄板(2、3)をまとめて摩擦攪拌スポット溶接するための方法及び器械を説明する。溶接先端(7)に向かって段階的に減少している直径を備えた工具(5)を使用している。直径のそれぞれの段階的な減少が、肩部(9−15)を画定している。第1の肩部(9)は、溶接先端(7)から、ゼロより大きく、金属薄板(2、3)の1つの最小厚さ(Wmin)より小さい距離(x)に位置しており、接合される金属薄板(2、3)の数より多い数の肩部(9−15)は、溶接先端(7)から、接合される金属薄板(2、3)の数から1を引いた数を掛けた金属薄板(2、3)の最大厚さ(Wmax)より小さい、或る距離(L)の範囲内に位置付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦攪拌スポット溶接のための方法及び器械に関する。より厳密には、本発明は、様々な厚さを有する薄板の摩擦攪拌スポット溶接のための方法及び器械に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦攪拌スポット溶接(FSSW)は、伝統的な摩擦攪拌溶接(FSW)を元にして作り出された技法である。この技法は、横行を使用していないということを除いて、伝統的な加工として適用されている。代わりに、工具を回転運動させながら、下方運動(突入)及び引き込み運動が適用されている。この技法の様々な拡張機能が存在しており、例えば、工具をあちこちと移動させる又は格納式ピン工具を使用して2つの別々の動きを用いて適用される突入動作を有する等によって、接合品質を向上させている。FSSWの使用は、伝統的なリベットを用いる接合の代わりに使用することのある消耗電極の無い急速接合を可能にしている。
【0003】
1つの一般的な問題は、スポット溶接される薄板が、様々な厚さを有している可能性があることである。最初に、伝統的なFSW工具を使用して、位置に基づく突入を適用する場合、肩部は、材料を「超過突入」する(上部薄板の中へ過度に深く突入する)場合があり又は更に悪いことに、材料に全く接触しない場合がある。次に、伝統的な工具のピンは、接合される薄板の厚さに適合する長さを有していなければならない。ピンは、接合される板の厚さを超えてはいけないし、短過ぎて下部薄板の中へ十分に突入できないのもいけない。後者の場合、接合が形成されない可能性がある。
【0004】
FSSW接合を適用する主たる理由の1つは、接合が適用され得る速度にあるので、時間サイクルは、できるだけ短く保たれなければならない。伝統的な突入の間、熱は、工具のピン部分が突入されている最中には、ほとんど生成されない。工具の肩部分が材料と接触する際には、高いトルクが生成される。突入中、工具の下向き速度が最大限に高められる場合には、伝統的突入の極度のトルクは、FSW機械にとって望ましくない高さの荷重を引き起こすと考えられ、最悪の場合、機械又はFSWに損傷を与える場合もある。
【0005】
日本特許出願第JP2001−321967号は、3枚金属薄板の摩擦攪拌スポット溶接のための工具について記述している。工具は、先端に向かって直径が減少している先細のピンを有している。工具は、更に、従来式の肩部を有していて、溶接中、最上部の金属薄板の表面にあるように配置されている。
【0006】
金属の2つの薄板がFSSWを使用して接合される場合、工具は、肩部が最上部薄板の最上面と接触している時、ピンが最上部薄板を完全に通り抜けて底部薄板の中へ貫通するのに十分な長さとなるように配置されている。薄板の厚さが異なるものになる時には、工具のピンが底部薄板を貫通すること無く底部薄板の中へ入り込むように、FSSWで使用される工具を変更する必要がある。しかしながら、薄板の厚さが変わる度に工具を変更する必要があれば、時間を浪費することになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、金属薄板の厚さが所定の区間の範囲で異なるものになる時、摩擦攪拌スポット溶接で使用される工具を変更すること無く満足な溶接結果を提供する、摩擦攪拌スポット溶接のための方法及び装置を提供することにある。
【0008】
上記の目的は、独立請求項による方法及び装置で成就される。
【0009】
本発明の更なる利点は、従属請求項の特徴で獲得される。
【0010】
本発明の基本概念は、溶接される金属薄板の数を上回る複数の肩部を備えた摩擦攪拌溶接工具を使用することである。
【0011】
本発明の第1の態様による摩擦攪拌スポット溶接のための方法は、少なくとも部分的に相互に重なり合っている支持平面上に少なくとも2つの金属薄板を配置する段階を備えていて、支持平面に垂直な各薄板は、最小厚さから最大厚さまでの区間の範囲内の厚さを有している。方法は、更に、長さ軸を備えた工具を提供する段階を備えており、工具は、溶接先端において先端部分を備えていて、先端部分は、長さ軸を中心に円形に対称になっており、溶接中、金属薄板と接するように配置されており、更に、溶接先端に向かって段階的に減少している直径を備えていて、直径のそれぞれの段階的な減少が、肩部を画定しており、更に、溶接中工具を回転する段階を、更に備えている。方法は、溶接中、溶接先端から支持平面までの距離がゼロより大きく、金属薄板の1つの最小厚さより小さくなる、所定の位置まで支持平面に向かって長さ軸に沿って工具を動かす段階を更に備えていることを特徴としている。第1の肩部は、溶接先端から、金属薄板の1つの最小厚さの半分より小さい距離に位置しており、接合される板の数より多い数の肩部は、溶接先端から、接合される金属薄板の数から1を引いた数を掛けた金属薄板の最大厚さより小さい、或る距離の範囲内に位置付けられている。
【0012】
本発明の第1の態様による方法を用いれば、厚さの広い範囲内の厚さの金属薄板に対して、満足のいく摩擦攪拌スポット溶接結果を獲得し得る。肩部は、金属薄板の必要な位置に位置付けられ得る。
【0013】
肩部における直径の最小減少と肩部における直径の最大減少の間の倍数は、区間1−2の範囲内であってもよい。無論、直径をより大きく減少させることは可能であるが、区間1−2は、良好な摩擦攪拌スポット溶接結果を提供する。
【0014】
方法は、金属薄板から、金属薄板の最大厚さより小さい或る距離の位置で工具の回転を開始することを備えていてもよい。これは、工具が溶接位置まで動いている間、その途中で何かにぶつかった場合に備えて、不本意に溶接してしまう危険性を小さくしている。しかしながら、金属薄板から任意の距離の位置で回転を開始することは可能である。
【0015】
望ましいことに、方法は、工具の長さ軸を金属薄板によって画定される平面に対して基本的に垂直に向ける段階を備えている。このように工具の向きを合せることで、最良の摩擦攪拌スポット溶接結果を生み出すことができる。しかしながら、長さ軸を金属薄板に関して他の角度に向けた状態で工具を配置することも可能である。
【0016】
方法は、所定の位置に達してから所定の期間の範囲内に工具を所定の位置から引き込む段階を備えていてもよく、当該所定の期間は、1秒未満である。1秒を上限とし、所定の位置に達した後可能な限り迅速に工具を引き込めることは好都合である。
【0017】
使用してもよい金属薄板は、金属薄板の異なる群に属しており、群の各薄板の厚さは、基本的に同じである。言い換えれば、これは、有限的な数の、厚さの可能な組み合わせが存在していることを意味している。板のそれぞれの厚さは、各々が属している金属薄板の群によって決められる。
【0018】
使用される工具上にある肩部の間の長さ軸沿いの距離は、2つの異なる群に属する薄板の間の厚さの最小差に基本的に等しければ望ましい。2つの金属薄板を溶接した結果、特定の肩部が最上部金属薄板の最上部に位置することになってもよい。最上部金属薄板が、次に厚い群に属する薄板と取り換えられた場合、特定の肩部が、最上部金属薄板の中でより低く位置付けられるであろう。しかしながら、その次の肩部が厚さの差と等しい距離に位置付けられる場合、次の肩部は、先に述べた特定の肩部のように、最上部金属薄板の同じ深さに位置付けられることになるであろう。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、支持平面上に配置され、相互に少なくとも部分的に重なり合っている少なくとも2つの金属薄板の摩擦攪拌スポット溶接のための器械が提供されている。各薄板は、支持平面に垂直になっていて、最小厚さから最大厚さまでの区間の範囲内の厚さを有している。器械は、長さ軸を備えた工具を備えており、工具は、溶接中に、長さ軸を中心に回転されるように配置されており、工具は、溶接先端において先端部分を備えており、先端部分は、長さ軸を中心にして円形に対称になっており、溶接先端に向かって段階的に減少する直径を備えていて、直径のそれぞれの段階的な減少は、肩部を画定しており、更に、溶接中、金属薄板と接触するように配置されている。器械は、溶接中の器械が、溶接先端と支持平面との距離がゼロより大きく、金属薄板の1つの最小厚さより小さくなる、所定の位置まで支持平面に向かって長さ軸に沿って工具を動かすように配置されていることと、第1の肩部が、溶接の先端から、金属薄板の1つの最小厚さの半分より小さい距離に位置していることと、を特徴としていて、接合される薄板の数より多い数の肩部は、溶接先端から、接合される金属薄板の数から1を引いた数を掛けた金属薄板の最大厚さより小さい、或る距離の範囲内に位置付けられている。
【0020】
肩部における直径の最小減少と肩部における直径の最大減少の間の倍数は、区間1−2の範囲内であってもよい。無論、直径をより大きく減少させることは可能であるが、区間1−2は、良好な摩擦攪拌スポット溶接結果を提供する。
【0021】
器械は、金属薄板から、金属薄板の最大厚さより小さい或る距離の位置で工具の回転を開始するように配置されてもよい。これは、工具が溶接位置まで動いている間、その途中で何かにぶつかった場合に備えて、不本意に溶接してしまう危険性を小さくしている。しかしながら、金属薄板から任意の距離の位置で回転を開始することは可能である。
【0022】
望ましいことに、器械は、工具の長さ軸を金属薄板によって画定される平面に対して基本的に垂直に向けるように配置されている。このように工具の向きを合せることで、最良の摩擦攪拌スポット溶接結果を生み出すことができる。しかしながら、長さ軸を金属薄板に関して他の角度に向けた状態で工具を配置することも可能である。
【0023】
器械は、所定の位置に達してから所定の期間の範囲内に工具を所定の位置から引き込むように配置されてもよく、当該所定の期間は、1秒未満である。1秒を上限とし、所定の位置に達した後可能な限り迅速に工具を引き込めることは好都合である。
【0024】
器械は、金属薄板の異なる群に属している金属薄板を使用するように配置されてもよく、群の各薄板の厚さは、基本的に同じである。言い換えれば、これは、有限的な数の、厚さの可能な組み合わせが存在していることを意味している。板のそれぞれの厚さは、各々が属している金属薄板の群によって決められる。
【0025】
肩部の間の長さ軸沿いの距離は、2つの異なる群に属する薄板の間の厚さの最小差に基本的に等しければ望ましい。2つの金属薄板を溶接した結果、特定の肩部が最上部金属薄板の最上部に位置することになってもよい。最上部金属薄板が、次に厚い群に属する薄板と取り換えられた場合、特定の肩部が、最上部金属薄板の中でより低く位置付けられるであろう。しかしながら、その次の肩部が厚さの差と等しい距離に位置付けられる場合、次の肩部は、先に述べた特定の肩部のように、最上部金属薄板の同じ深さに位置付けられることになるであろう。
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照しながら説明してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態による器械1を概略的に示している。
【図2】第1のセットの金属薄板上で溶接作業を行う間の工具を概略的に示している。
【図3】図2の金属薄板より厚い第2のセットの金属薄板上で溶接作業を行う間の工具を概略的に示している。
【図4】本発明の代替的な実施形態による工具を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の本発明の好適な実施形態についての説明では、同じ参照番号を類似のものに使用してゆく。
【0029】
図1は、本発明の実施形態による器械1を概略的に示している。器械は、図1に示されるように、支持平面4に接触して配置されていて、少なくとも部分的に相互に重なり合っている少なくとも2つの金属薄板2、3の摩擦攪拌スポット溶接を目的とするものである。各薄板は、支持平面に垂直になっていて、最小厚さWminから最大厚さWmaxまでの区間の範囲内の厚さを有している。器械1は、長さ軸6を備えた工具5を備えており、溶接中、工具5が長さ軸6を中心に回転するように配置されている。工具5の長さ軸6は、金属薄板2、3に画定される平面に対して基本的に垂直に配置されている。工具5を金属薄板2、3に対して別の角度で配置することは、無論可能である。溶接先端7に、工具5は、長さ軸6を中心に円形に対称になっている先端部分8を備えている。先端部分8は、溶接先端7に向かって段階的に減少している直径を備えており、直径のそれぞれの段階的な減少が、肩部9を画定している。工具5の最大直径は、図1でDと表示されている。先端部分8は、溶接中、金属薄板2、3と接触するように配置されている。
【0030】
溶接中、器械1は、工具5を、溶接先端7から支持平面4までの距離が金属薄板2、3の1つの最小厚さより小さくなる、所定の位置まで支持平面4に向かって長さ軸6に沿って動かすように配置されている。工具5は、溶接先端7と支持平面4との間の距離xが、金属薄板2、3の1つの最小厚さより小さくなる、所定の位置に位置付けられている。使用してもよい金属薄板は、少なくとも2つの群の金属薄板2、3に属していて、群のそれぞれの薄板2、3の厚さは、本質的に同じである。図1に示される実施形態では、各金属薄板2、3は、6ミリメートルの段階の区間6−24の厚さを有していてもよい。このようにして、金属薄板2、3は、5つの異なる群に属している。図1では、第1金属薄板2と、第2の金属薄板3があり、それぞれ、6ミリメートルの厚さを有していて、実線で示されている。第1の金属薄板2と第2の金属薄板3は、それぞれ24ミリメートルの厚さを有していて、点線で示されている。
【0031】
工具5は、7つの肩部9−15を備えている。第1の肩部9は、溶接先端7から、ゼロより大きく(金属薄板2、3の1つの最小厚さの少なくとも1/10であれば望ましい)、金属薄板2、3の1つの最小厚さより小さくなる、或る距離に位置付けられている。このことは、少なくとも1つの肩部9−15が、金属薄板2、3の最小厚さを目指して最上部金属薄板3の中へ突入されることを確実にする。更に、接合される金属薄板2、3の数より大きい数の肩部9、10、11は、溶接先端7から、接合される金属薄板2、3の数から1を引いた数を掛けた金属薄板2、3の最大厚さより小さい、或る距離の範囲内に位置付けられている。図1に示されるように、第1の肩部9は、金属薄板2、3の最小厚さを目指して最上部薄板3の中へ突入されている。更に、工具5のあらゆる肩部9−15は、点線で示されるように、金属薄板2、3の最大厚さを目指して金属薄板2、3の中へ突入されている。溶接する方法について、図2を参照しながら下文で説明してゆく。
【0032】
図2は、第1のセットの金属薄板2、3上での溶接作業中の工具5を概略的に示している。工具5は、3つの肩部9、10、11を有している。実線は、工具5の開始位置を示しており、その位置で、工具5の回転が開始される。開始位置において、溶接先端7と最上部金属薄板3との間には所定の距離が存在している。溶接先端7と最上部金属薄板3との間の所定の距離xは、金属薄板2、3の最大厚さWmaxより小さい。次に、工具5は、溶接先端7が点線で示されるように支持平面4から距離xの位置になるまで、工具5が回転している間、金属薄板の中へ突入する。工具5が、点線で示される位置に達すると、工具5は、直ちに金属薄板2、3から引き込まれる。工具5は、所定の位置に達してから所定の期間の範囲内に点線で示された所定の位置から引き込まれるように配置されている。所定の期間は、1秒未満であることが望ましい。図2で示されるように、最小厚さWminを有する金属薄板の溶接中には、第1の肩部9だけが、金属薄板2、3の中へ突入される。
【0033】
図3は、図2の金属薄板2、3より厚い、第2のセットの金属薄板2、3上での溶接作業中の図2の工具5を概略的に示している。溶接作業は、図2に関して先に記載したのと同じ方法で行われている。金属薄板2、3が図2で示される実施形態より厚いので、工具の溶接先端が支持平面から距離xの位置にある時、工具5の全ての3つの肩部9、10、11は、金属薄板2、3と接触するであろう。
【0034】
図4は、本発明の代替的な実施形態による工具5を示している。図4に示される工具5は、4つの肩部9−12を備えている。肩部9−12の直径の減少は、工具5に沿って変化している。直径の減少が最も小さいのは、第1の肩部9と第4の肩部12においてであり、直径の減少が最も大きいのは、第2の肩部10と第3の肩部11においてである。肩部9での直径の最小減少と、肩部10での直径の最大減少との間の倍数は、2である。2つの異なる肩部9−12の間の長さ軸6に沿った距離は、工具5に沿って変化している。2つの異なる肩部9―12の間の最小距離は、基本的には、2つの異なる群に属している、金属薄板2、3間の厚さの最小差と等しい。更に、異なる肩部9−12の間の長さ軸6に沿った距離は、異なっており、第1の肩部9と第2の肩部10との間の距離が最大になっており、隣接する肩部9−12の間の全ての残りの距離は、等しい。
【0035】
記載される実施形態は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される、本発明の精神及び範囲から逸脱すること無く多くの方法で改修することができる。
【0036】
本発明の方法を使用して2つより多い金属薄板に摩擦攪拌スポット溶接を行うことが可能である。
【0037】
上述の実施形態では、金属薄板は、両方とも同じ厚さを有している。しかしながら、異なる厚さを有する金属薄板をまとめて溶接することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦攪拌スポット溶接の方法において、
少なくとも部分的に相互に重なり合っている支持平面(4)上に少なくとも2つの金属薄板(2、3)を配置する段階であって、前記支持平面(4)に垂直な各金属薄板(2、3)は、最小厚さ(Wmin)から最大厚さ(Wmax)までの区間の範囲内の厚さを有している、少なくとも2つの金属薄板(2、3)を配置する段階と、
工具(5)は、溶接先端(7)において先端部分(8)を備えていて、先端部分(8)は、前記長さ軸(6)を中心にして円形に対称になっていて、溶接中、前記金属薄板(2、3)と接するように配置されていて、更に、前記溶接先端(7)に向かって段階的に小さくなっている直径を備えていて、直径のそれぞれの段階的な減少が、肩部(9−15)を画定している、長さ軸(6)を備えた工具(5)を提供する段階と、
溶接中、前記工具(5)を回転する段階と、から成っており、前記方法は、
溶接中、前記溶接先端(7)と前記支持平面(4)との間の距離(x)がゼロより大きく、前記金属薄板(2、3)の1つの前記最小厚さ(Wmin)より小さくなる、所定の位置まで前記支持平面(4)に向かってその長さ軸(6)に沿って前記工具(5)を動かす段階を備えていることを特徴としており、前記第1の肩部(9)は、前記溶接先端(7)から、前記金属薄板(2、3)の1つの前記最小厚さ(Wmin)の半分より小さい距離に位置しており、接合される金属薄板(2、3)の前記数より多い数の肩部(9−15)は、前記溶接先端(7)から、接合される金属薄板(2、3)の前記数から1を引いた数を掛けた金属薄板(2、3)の前記最大厚さ(Wmax)より小さい、或る距離(L)の範囲内に位置付けられている、方法。
【請求項2】
肩部における直径(D)の前記最小減少と肩部における直径(D)の前記最大減少の間の前記倍数は、前記区間1−2の範囲内であるように配置されている工具(5)を使用する前記段階を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属薄板(2、3)から所定の距離(x)の位置で前記工具(5)の前記回転を開始することを備えており、距離は、前記金属薄板(2、3)の前記最大厚さ(Wmax)より小さい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記工具(5)の前記長さ軸(6)を前記金属薄板(2、3)によって画定される前記平面に対して基本的に垂直に向ける前記段階を備えている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の位置に達してから所定の期間の範囲内に前記工具(5)を前記所定の位置から引き込む前記段階を備えており、所定の期間は、1秒未満である、前述の請求項の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
使用してもよい前記金属薄板(2、3)は、金属薄板(2、3)の異なる群に属しており、群の各金属薄板(2、3)の前記厚さは、基本的に同じである、前述の請求項の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記肩部(9−15)の間の前記長さ軸(6)沿いの前記距離は、2つの異なる群に属する金属薄板(2、3)の間の厚さの前記最小差に基本的に等しい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
支持平面(4)上に配置され、相互に少なくとも部分的に重なり合っている少なくとも2つの金属薄板(2、3)の摩擦攪拌スポット溶接のための器械(1)であって、前記支持平面(4)に垂直になっていて各薄板(2、3)は、最小厚さ(Wmin)から最大厚さ(Wmax)までの区間の範囲内の厚さを有しており、器械(1)は、長さ軸(6)を備えた工具(5)を備えており、前記工具(5)は、溶接中に、長さ軸を中心に回転されるように配置されており、工具(5)は、溶接先端(7)において先端部分(8)を備えており、先端部分は、前記長さ軸(6)を中心にして円形に対称になっており、前記溶接先端(7)に向かって段階的に減少する直径(D)を備えていて、直径(D)のそれぞれの段階的な減少は、肩部(9−15)を画定しており、更に、溶接中、前記金属薄板(2、3)と接触するように配置されており、溶接中の前記器械(1)が、前記溶接先端(7)と前記支持平面(4)との距離(x)がゼロより大きく、前記金属薄板(2、3)の1つの前記最小厚さ(Wmin)より小さくなる、所定の位置まで前記支持平面(4)に向かってその長さ軸(6)に沿って前記工具(5)を動かすように配置されていることを特徴としていて、前記第1の肩部(9)が、前記溶接の先端(7)から、前記金属薄板(2、3)の1つの前記最小厚さ(Wmin)の半分より小さい距離に位置しており、接合される金属薄板(2、3)の前記数より多い数の肩部(9−15)は、前記溶接先端(7)から、接合される金属薄板(2、3)の前記数から1を引いた数を掛けた金属薄板(2、3)の前記最大厚さ(Wmax)より小さい、或る距離の範囲内に位置付けられている、器械(1)。
【請求項9】
肩部における直径の前記最小減少と肩部における直径の前記最大減少の間の前記倍数は、前記区間1−2の範囲内である、請求項8に記載の器械(1)。
【請求項10】
前記工具(5)の前記回転は、前記最上部金属薄板(3)から所定の距離(x)の位置で開始されるように配置されており、距離(x)は、前記金属薄板(2、3)の前記最大厚さ(Wmax)より小さい、請求項8又は9に記載の器械(1)。
【請求項11】
前記工具(5)の前記長さ軸(6)は、前記金属薄板(2、3)によって画定される前記平面に基本的に垂直となるように配置されている、請求項8、9、又は10に記載の器械(1)。
【請求項12】
前記工具(5)は、前記所定の位置に達してから、所定の期間の範囲内に前記所定の位置から引き込まれるように配置されており、所定の期間は、1秒未満である、請求項8−11の何れか1つに記載の器械(1)。
【請求項13】
前記器械(1)は、金属薄板(2、3)の異なる群に属している金属薄板(2、3)を使用するように配置されていて、群の各薄板(2、3)の前記厚さは、基本的に同じである、請求項8−12の何れか1つに記載の器械(1)。
【請求項14】
前記肩部(9−15)の間の前記長さ軸(6)に沿う前記距離は、2つの異なる群に属する金属薄板(2、3)の間の厚さの前記最小差に基本的に等しい、請求項13に記載の器械(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−530608(P2012−530608A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516616(P2012−516616)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057844
【国際公開番号】WO2010/149478
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509242048)イーエスエービー エービー (6)
【Fターム(参考)】