説明

スポーツ用グローブ閉止システム

【課題】グローブを側面部分(親指側)および中央部分(小指側)に分割する開口を具備するグローブ閉止システムである。開口により、ユーザの手に容易にアクセスできるようになる。
【解決手段】このシステム12は、側面部分に結合されアクセス開口33に渡って引きまわされる、矩形または長円形のフラップ30を有する。スライドバーはボタンをバーに沿って任意に位置に係合させ配置させるためのノッチ付けされた表面を含む。ボタンは開放タブを含み、この開放タブは押圧時に、ボタンをスライドバーに沿って移動可能にし、閉止を締めつけたり緩めたりできる。ボタンが側面部分に向かって移動すればするほど閉止がきつくなる。ボタンが係合してロック状態のときに、開放タブを単に押すだけで、係合解除が行われてグローブ10を開くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般的にはスポーツ用グローブに関し、より詳細には、スライド押しボタンの閉止システムを具備するゴルフグローブに関する。
【背景技術】
【0002】
運動用グローブ、例えば、ゴルフで用いられるグローブに関しては、グローブが装着者の手に適切にフィットし、そのまわりに確実に保持され、装着者が保持するスポーツ用具のフィーリングにグローブが邪魔にならないようにすることが重要である。適切なサイズを選ぶことが適切なフィットを確実にする上で重要な役割を担うけれども、同時に、グローブは装着者の手の出し入れを可能にするのに充分なほど当初は緩くなくてはならない。そのため、適切なフィットを確実にするためには、装着者の手を覆った後に、グローブを締めつける手段が必要である。
【0003】
現在でも、装着者の手の回りでグローブをきつくするための機構や手法が沢山ある。そのような機構は、バックル、ストラップ、ボタン、紐、ゴム、引き閉止部、フック・ループシステム、ケーブルシステム、その他を含む。このような機構はグローブを締め付け可能にするけれども、それらは一般的に範囲が限定され、片手で調整し操作することが難しく、および/または、耐久性の制約を伴う。バックルまたはストラップ、例えば米国特許第4,042,977号明細書(特許文献1)に開示されるものは、一方の手に装着したグローブを締めつけることがしばしば必要となるので、片手で操作することは困難に違いない。ボタン、例えば、米国特許第1,083,795号明細書(特許文献2)中のものは、片手で操作することが難しいだけでなく、それらが実現する締め付けの範囲が制約されてもいる。ゴム部分、例えば米国特許第7,480,944号明細書(特許文献3)において検討されているものは、グローブを伸ばして出し入れを可能にし、かつその場にグローブを保持することができ、さらに片手での操作が容易である。しかしながら、それらは時間が経つと伸びてしまい、確実なフィットを維持できなくなり、本当に心地よいフィットを実現するような装着者の手の回りの張力を生成する能力に制約がある。引き閉止部、例えば、米国特許第5,263,202号明細書(特許文献4)に開示されるものでは、ゴムストラップが強く引っ張られるけれども、一般に過剰なゴムコードがぶらぶらの状態のままに置かれ、運動用グローブとしては好ましくない。最後に、フック・ループ閉止部は、しばしばベルクロ(商標)として販売され、米国特許第4,701,963号明細書(特許文献5)に開示されるようなものであり、他の繊維や泥が詰まり、また片手できつく引くことは難しい。ケーブルシステム、例えば米国特許第5,647,104号明細書(特許文献6)に開示されたものは、フック・ループ閉止部と同様に片手で操作することが困難である。
【0004】
したがって、改良されたグローブ締め付けシステムに対する要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,042,977号明細書
【特許文献2】米国特許第1,083,795号明細書
【特許文献3】米国特許第7,480,944号明細書
【特許文献4】米国特許第5,263,202号明細書
【特許文献5】米国特許第4,701,963号明細書
【特許文献6】米国特許第5,647,104号明細書
【発明の概要】
【0006】
この発明は、グローブを側面部分(親指側)および中央部分(小指側)に分ける開口を具備するグローブ閉止システムに向けられている。開口はユーザの手のアクセスを容易にする。このシステムは、中央部分に結合されアクセス開口に渡って引かれる、矩形または長円形のフラップを有する。押しボタンがフラップ上に設けられ、中央部分に結合されたスライドバーに移動自在に結合されている。スライドバーは、当該バーに沿う任意の位置にボタンを係合させ配置させるためのノッチ付けされた表面を含む。ボタンは開放タブを含み、この開放タブは、押圧されたときに、ボタンをスライドバーに沿って移動可能にし、閉止をきつくしたり弱くしたりすることができる。ボタンが側面部分の方に移動すればするほど閉止が強くなる。ボタンが係合してロックされているとき、開放タブを単に押すだけで、係合が外れ、グローブを開けることができる。
【0007】
添付の図面は明細書の一部を構成し明細書との関係で理解されるべきであり、これら図面において、種々の図において類似の参照番号は類似の部分を示すために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】スライドバーにスライド押しボタンを組み入れたこの発明のゴルフグローブ閉止装置の実施例の背面図である。
【図2】スライドボタンおよびスライドバーの平面図である。
【図3】スライドバーおよびノッチの上方斜視図である。
【図4】スライドボタンおよびスライドバーの上方斜視図である。
【図5】締め付けフラップのロック機構の底面斜視図である。
【図6】閉止システム用の皮ベースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明は、スライドバーに係合する押しボタンを有し、この押しボタンは、スライドバーに沿って移動させられるときにスライドバー上の複数の位置にロックさせ、グローブをきつくしたり緩くしたりする手段を具備する、グローブに向けられている。この発明のグローブは範囲を調整可能であり、調整して快適なフィットを実現でき、さらに著しく耐久性がある。
【0010】
この発明はスポーツグローブ、例えばベースボール、ラケットボール、またはゴルフのグローブに関連して検討されるけれども、この発明の押しボタンシステムは、締め付けまたは閉止システムを必要とする任意のタイプのグローブに採用できることに留意されたい。
【0011】
図1〜図6は、ゴルファーが装着してゴルフをしっかりと握るのを確実にするタイプのゴルフグローブ10を示している。慣用的なスポーツグローブと同様に、グローブ10は、指部11、親指部13、および本体15を含む。グローブ10は、グローブを閉止し締めつけるための、新規なグローブ閉止システム12を含み、これは、スライドバー14と係合する押しボタン16を有し、これについては以下に検討する。
【0012】
より具体的には、グローブ10は柔軟な構造であり、好ましくは皮または合成皮革を有し、合成皮革はこれに限定されないがポリウレタン皮革(例えばポリウレタン被覆ナイロン)、または不織材料を含み、またグローブ10は指部の甲表面に通気孔を伴って良い。グローブ本体は、掌部(図示しない)、背面、および甲表面を含み、これは、アクセス開口33によって、親指に隣接する側面部分21および中央部分23(小指に近い)に分割される。開口33は弾性材料または繊維により満たされても良い。
【0013】
図1〜図6は、グローブ閉止システム12を比較的閉ざした位置にした状態でグローブ10を示す。グローブ閉止システム12は全体として矩形または長円形のフラップ30を含み、このフラップは好ましくは皮革材料から製造され、末端32が、アクセス開口33に沿う一列の縁縫いによって中央部分の甲表面に結合されており、フラップは開口を覆い、側面部分21へと伸びる。全体として矩形なフラップ30は部分的に円形なアパーチャ34を含み、ここで、ボタンをフラップに結合させることができ、ボタンの底をスライドバーに係合させることができる。スライドバーは押しボタン16をその上に結合させ、これは図4および図6に最も良く示される。
【0014】
好ましい実施例において、スライドバー14は側面部分21の甲表面に、好ましくは縫い付けにより結合される。スライドバー14は比較的幅の狭い長尺形状であり、グローブ10に縫い付けるための周囲部分19と、押しボタン16と係合するための複数のノッチ22を組み込んだ立ち上がり部分17とを具備する。押しボタン16は、図5に最も良く示されるように、下方表面に位置してスライドバー14のノッチ22の1つに入り込んでロックするためのリセス28を具備する係合ストリップ26を有する。押しボタン16は押圧タブ20を含み、押しボタンが下方に押され、押しボタンをノッチの1つとのロック状態から開放し、ボタンがバー14に沿って移動することを可能にする。タブに沿って所望の停止位置に移動したときに、押圧タブ20が開放されグローブをその具体的な閉止位置にロックする。ボタン16がより親指方向でスライドバー14と係合すると、より閉止がきつくなる。押圧タブ20を単に押すだけでグローブは緩められて外すことができる。ボタンの端部部分18は係合ストリップ26と一体に結合され、押圧タブ20が操作されるときに、係合ストリップ26をノッチ22と係合させ、または係合解除させる。
【0015】
フラップは好ましくは皮革から製造されるので、フラップはわずかしか伸び縮みせず、このため、ユーザはフラップをグローブの側面部分とピンとして関係で充分に係合させることができる。多くのスポーツグローブは、フラップが伸び、または拡大して快適なフィットを確実にすることが重要である。なぜならば、ユーザは、通常、片手でフィッティングを調整する必要があるからである。この発明では、手のロックは、ボタンを押圧し、スライドバーに沿って移動させることにより達成される。これによって、グローブを容易に装着可能にし、適宜に、締め付け可能にし、緩めることができ、また取り外すことができるので、装着者の便宜を実現する。これによりユーザはプレイ中にグローブのフィッティングを即座に適合化できるので、著しく便利である。例えば、当初はグローブが適切にフィットしていても、プレイ中に皮革の伸長によりグローブが緩くなったり、装着者がグローブを緩めたりきつくしたりしたいと思うことがある。従来のグローブでは、装着者は締め付けプロセスを初めから行う必要があり、それによる面倒さをすべて伴う。この発明のシステムを使用すると、装着者は単にボタンを押し締め付け方向または緩め方向に1つまたは2つ分のノッチだけ移動させるだけで良い。
【0016】
この発明の所定の形態がここでは図示され説明されたけれども、この発明は説明され示された部分の具体的な形態または構造に限定されないことに留意されたい。押しボタン閉止システムが他の形状の項目を利用してロック機構をロックまたはロック解除するような例、または代替的には皮革以外の閉止アッセンブリをフラップとして採用するような例であってもよい。この発明はここに図示された具体的な好ましい実施例に限定されるものでもない。
【符号の説明】
【0017】
10 ゴルフグローブ
11 指部
12 グローブ閉止システム
13 親指部
14 スライドバー
16 押しボタン
20 押圧タブ
21 側面部分
22 ノッチ
23 中央部分
26 係合ストリップ
28 リセス
30 フラップ
33 アクセス開口
34 アパーチャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指部(親指以外)と、親指部と、側面部分を中央部分から分離するためにアクセス開口が設けられた甲表面とを具備するグローブと、
上記アクセス開口の近くの領域で上記中央部分に結合され、部分的に上記アクセス開口を覆い、部分的に円形なアパーチャが設けられたフラップと、
上記フラップにおいて上記アパーチャ内に設けられた押しボタンと、
上記グローブの甲表面に上記側面部分において結合され、かつ、複数のノッチを具備する立ち上がり部分を有するスライドバーと、
上記ボタンの底面に設けられた係合ストリップであって、その内部に形成され上記スライドバーのノッチの1つにはめ込まれてロックするリセスを有する上記係合ストリップと、
上記ボタン上に位置する押圧タブであって、当該押圧タブが下方に押圧されたときに上記ボタンが上記複数のノッチの1つとのロック位置から開放されるようになし、上記押圧タブが上記スライドバーに沿って移動させられたときに当該押圧タブが上記複数のノッチの1つと係合してグローブの締め付け具合を決定するようになす、上記押圧タブとを有するグローブ閉止システム。
【請求項2】
上記フラップは全体として矩形または長円形の形状である請求項1記載のグローブ閉止システム。
【請求項3】
上記フラップは皮革製である請求項1記載のグローブ閉止システム。
【請求項4】
上記フラップの末端が上記アクセス開口に沿って上記中央部分に縫い付けられている請求項1記載のグローブ閉止システム。
【請求項5】
上記スライドバーは上記グローブの側面部分に縫い付けるための周囲部分を具備する請求項1記載のグローブ閉止システム。
【請求項6】
上記押しボタンはABSプラスチック製である請求項1記載のグローブ閉止システム。
【請求項7】
冗句スライドバーは軟質EPA材料製である請求項1記載のグローブ閉止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−202335(P2011−202335A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−17497(P2011−17497)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
【Fターム(参考)】