説明

スライドファスナーのスライダー

【課題】厚手生地において、端部同士の間隙を狭めて取り付けることができるスライドファスナーのスライダーを提供する。
【解決手段】本発明のスライドファスナーのスライダー1は、胴体2上側の上翼板3と胴体2下側の下翼板4との間隔を調節可能にしたことを特徴とする。上翼板3と下翼板4とを連結する案内柱5をねじで形成して、上翼板3と下翼板4との間隔を調節可能にすることができ、また、下翼板4を、上翼板3よりも幅広に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚手生地の接合に用いるのに適したスライドファスナーのスライダーに関する。
【背景技術】
【0002】
スライドファスナーは、主に衣服や鞄の開口部などに設け、生地と生地との接合のために用いられる。
例えば、従来のスライドファスナー15は、図6に示すように、エレメント16を備えたファスナーテープ17の両端縁に、側面に凹状の取付溝を形成した補強部材18を接着し、この取付溝に各生地19の端部を挿入して縫製し、各生地19を接合することができる(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−223821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のファスナー15は、図6に示すように、各生地19を接合する場合、生地19間にスライダー20を通す幅が必要なものである。ファスナー15の周囲は、生地19より薄いファスナーテープ17の厚みになるため、間隙ができ見栄えがよくなく、また、変形しやすいものであった。特に厚手生地を用いた場合は厚さが大きく異なり、間隙が目立つものであった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、厚手生地においても、生地端部の間隙を狭めて取り付けることができるスライドファスナーのスライダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスライドファスナーのスライダーは、胴体上側の上翼板と胴体下側の下翼板との間隔を調節可能にしたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明のスライドファスナーのスライダーは、上翼板と下翼板との間隔を、従来に比べて拡張させることができるため、この間に生地の端部を挟み込むことができ、生地端部の間隙を狭めてファスナーのエレメントを噛み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のスライダーの斜視図である。
【図2】図1のスライダーを用いて生地を接合する状態を示した斜視図である。
【図3】図1のスライダーで接合した生地を示した斜視図である。
【図4】図1のスライダーの変形例を示した平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態のスライダーを示した斜視図である。
【図6】従来のスライドファスナーで生地を接合した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のスライドファスナーのスライダーを、一実施形態に基づいて説明する。
【0010】
本発明の一実施形態のスライダー1は、図1に示すように、胴体2を、上翼板3と下翼板4とを案内柱5で連結して形成し、上翼板3と下翼板4との間隔を調節できるようにしたものである。
【0011】
上翼板3は、平面視雁首状に形成してあり、上面の幅中間部にアーチ状の柱6を設けて引き手7を取付けてある。下面の先端側には、幅中間部に直方体状に下方に突出した突部8を設け、その下面に案内柱5を締結固定できるねじ穴9が形成してある。後端側には、側端縁に沿い下方に垂下した側面部10が形成してあり、エレメントを噛み合わせることができる。
【0012】
下翼板4は、平面視において上翼板2と略同じ形状の平板状に形成してあり、先端側には、案内柱4を締結できるねじ孔11が形成してある。
【0013】
案内柱5は、細長状のおねじであり、これを、まず、下翼板4のねじ孔11に締結して取り付けた後、先端部を上翼板3のねじ穴9に締結固定することにより、スライダー1を形成することができる。このスライダー1は、上翼板3の下面と下翼板4の上面との間隔を、例えば、10mm〜20mmの間で調節することができる。
【0014】
スライダー1は、従来からあるスライダーの案内柱を切断し、この切断面の上翼板部分にねじ穴を形成し、下翼板部分にねじ孔を形成し、市販のねじを案内柱として用いて形成することもできる。
本実施形態では、案内柱をねじとして上翼板と下翼板との間隔を調節できるようにしてあるが、これに限定されるものではなく、案内柱をピン状に形成し、くさびなどを用いて下翼板を固定できるようにしてもよい。
【0015】
スライダー1は、従来からあるエレメント12を備えたファスナーテープ13に取付けて使用することができる。
例えば、図2に示すように、スライダー1を取付けたファスナーテープ13の両端縁を、各厚手生地14の端部に縫製する。この際、上翼板3と下翼板4の間に厚手生地14の端部が挟まり込むようにする。その後、下翼板4を回転させて上翼板3と下翼板4との間隔を厚手生地14の厚さと略同じに調節する。そして、スライダー1をスライドさせてエレメント12を噛み合わせることにより各厚手生地14を接合させることができる。この際、厚手生地14の間隙は、案内柱5が通過できる幅にすればよいので、図3に示すように、従来と比べて間隙を狭めて、厚手生地14をスライドファスナーで接合することができる。
【0016】
なお、厚手生地14としては、特に限定するものではないが、10mm〜20mmの厚さの不織布、布地などを用いることができる。
スライダー1は、衣服や鞄などに用いることができる他、厚手生地を接合して鞄の中敷きなどを形成することもできる。
【0017】
また、図2に示すように、ファスナーテープ12の裏側に硬めの板状素材15を設けておくとエレメント12が噛み合いやすくなる。この素材としては、革、合皮、合成樹脂板などを用いることができる。
【0018】
上記実施形態では、平面視において、上翼板3と下翼板4を略同じ形状に形成してあるが、図4に示す変形例のように、下翼板4aを上翼板3aに対して幅広に形成することができる。これにより、スライダー1aがスライドしやすくなり、エレメントが噛み合いやすくなる。
【0019】
図5には、他の実施形態のスライダー1bが示されており、これは上翼板3bと下翼板4bとの間隔を固定させたものである。このようにしても、厚手生地を、間隙を狭めて接合することができる。この場合、案内柱5bの高さは、10mm〜20mmに形成することが好ましい。
【0020】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【符号の説明】
【0021】
1スライダー 2胴体 3下翼板 4上翼板 5案内柱 6柱 7引き手 8突部 9ねじ穴 10側面部 11ねじ孔 12エレメント 13ファスナーテープ 14厚手生地 15板状素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体上側の上翼板と胴体下側の下翼板との間隔を調節可能にしたスライドファスナーのスライダー。
【請求項2】
上翼板と下翼板とを連結する案内柱をねじで形成して、上翼板と下翼板との間隔を調節可能にした請求項1に記載のスライドファスナーのスライダー。
【請求項3】
胴体上側の上翼板と胴体下側の下翼板との間隔を10mm〜20mmの間で調節可能にした請求項1又は2に記載のスライドファスナーのスライダー。
【請求項4】
胴体上側の上翼板と胴体下側の下翼板とを連結する案内柱の高さを10mm〜20mmに形成したスライドファスナーのスライダー。
【請求項5】
下翼板を、上翼板よりも幅広に形成した請求項1〜4のいずれかにスライドファスナーのスライダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−217603(P2012−217603A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86075(P2011−86075)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(500067330)株式会社マルヨシ (16)
【Fターム(参考)】