説明

スライドファスナー

【課題】1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを順次重ね合わせ、複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供する。
【解決手段】ファスナーテープ20の相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメント30とスライダー40とから構成され、エレメント30は、水平方向の一方に噛み合せ部を、他方にファスナーテープ固定部を有する水平機能部と、水平機能部に直交し、噛み合せ部を上方に延設した係合片を有する上方垂直機能部及びファスナーテープ固定部を下方に延設した係合受片を有する下方垂直機能部とを備える。形成したファスナーユニットを複数個揃え、1つ目のファスナーユニットの係合部に2つ目のファスナーユニットの係合受部を係合して、順次新しいファスナーユニットの係合受部を1つ前のファスナーユニットの係合部に係合して複数のファスナーユニットを重層構造としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい発想により特異形状のファスナーエレメントを創造して、1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを順次重ね合わせ、複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にスライドファスナーの多くは、主に衣服やバッグ等の開口部に取り付けられ、エレメント(務歯)を開口部の端縁部に並べて設け、左右対になった一組のエレメントの間をスライダーを動かすことで、左右のエレメント同士が順に噛み合わさってゆき、自在に開閉できる単層構造である。一方、防水性、安全性を要求される衣服やバッグ等にはファスナーを複層に重設したスライドファスナーが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52−115305号公報
【特許文献2】実開昭52−144803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に示したスライドファスナーは、複層に重設したファスナーを1個のスライダーによって開閉する構造であるので、1つの層に設けられたファスナーを開閉したいときも複層に設けられたファスナーを同時に開閉しなければならない等の問題点がある。本発明は、新しい発想により特異形状のファスナーエレメントを創造して、1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを順次重ね合わせ、複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ファスナーテープの相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメントとスライダーとから構成され、スライダーをエレメントに沿って摺動させることにより開閉するスライドファスナーであって、エレメントは、水平方向の一方に噛み合せ部を、他方にファスナーテープ固定部を有する水平機能部と、水平機能部に直交し、噛み合せ部を上方に延設した係合片を有する上方垂直機能部及びファスナーテープ固定部を下方に延設した係合受片を有する下方垂直機能部とを備え、エレメントを向かい合わせに配置して、その間をスライダーを摺動させて噛み合せ部を噛み合せることにより、向かい合わせにしたエレメントの係合片同士で係合部を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片同士で係合受部を形成したファスナーユニットを複数個揃え、1つ目のファスナーユニットの係合部に2つ目のファスナーユニットの係合受部を係合して、順次新しいファスナーユニットの係合受部を1つ前のファスナーユニットの係合部に係合して複数のファスナーユニットを重層構造としたことを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明であって、係合部は、先端に尖頭部を有する矢頭形状とし、係合受部は、下方に延設した係合受片を鉤型に形成して、矢頭形状の係合部が係合するように角錐形状としたことを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明であって、係合部は、先端に尖頭部を有する矢頭形状とし、矢頭形状の下部に段差を設け、係合受部は、下方に延設した係合受片を鉤型に形成し、段差に係合する凸部を設け、弾力性を持たせて形成して、矢頭形状の係合部がプッシュインで係合するように角錐形状としたことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明であって、係合部は、先端を平面にした平坦形状とし、係合受部は、下方に延設した係合受片を角型に形成して、平坦形状の係合部が外力により係合受部に押し込まれて係合することがないように直方体形状としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のスライドファスナーによれば、ファスナーテープの相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメントとスライダーとから構成され、スライダーをエレメントに沿って摺動させることにより開閉するスライドファスナーであって、エレメントは、水平方向の一方に噛み合せ部を、他方にファスナーテープ固定部を有する水平機能部と、水平機能部に直交し、噛み合せ部を上方に延設した係合片を有する上方垂直機能部及びファスナーテープ固定部を下方に延設した係合受片を有する下方垂直機能部とを備え、エレメントを向かい合わせに配置して、その間を前記スライダーを摺動させて噛み合せ部を噛み合せることにより、向かい合わせにしたエレメントの係合片同士で係合部を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片同士で係合受部を形成したファスナーユニットを複数個揃え、1つ目のファスナーユニットの係合部に2つ目のファスナーユニットの係合受部を係合して、順次新しいファスナーユニットの係合受部を1つ前のファスナーユニットの係合部に係合して複数のファスナーユニットを重層構造としたので、1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを順次重ね合わせ、複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供することができる。また重層構造を構成するファスナーユニットの各層が互いに係合しているので、噛み合わさった時には、噛み合わせ位置が規定され、且つ安定した噛み合わせ状態を保つことができる。
【0010】
また、請求項2記載のスライドファスナーによれば、係合部は、先端に尖頭部を有する矢頭形状とし、係合受部は、下方に延設した係合受片を鉤型に形成して、矢頭形状の係合部が係合するように角錐形状としたので、複数のファスナーユニットを重層構造として、積み重ねることができる。
【0011】
また、請求項3記載のスライドファスナーによれば、係合部は、先端に尖頭部を有する矢頭形状とし、矢頭形状の下部に段差を設け、係合受部は、下方に延設した係合受片を鉤型に形成し、段差に係合する凸部を設け、弾力性を持たせて形成して、矢頭形状の係合部がプッシュインで係合するように角錐形状としたので、複数のスライドファスナーを閉じてからでもプッシュインで積み重ねができる。又、弾性力で左右から挟み込まれており、かつ矢頭形状下部の段差に凸部が係合するので、積み重ねが容易に外れることはない。
【0012】
また、請求項4記載のスライドファスナーによれば、係合部は、先端を平面にした平坦形状とし、係合受部は、下方に延設した係合受片を角型に形成して、平坦形状の係合部が外力により係合受部に押し込まれて係合することがないように直方体形状としたので、重ね合わせず別々に噛み合わさっているファスナーユニットが、外力により意図せず係合部が係部受部に押し込まれて係合することがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のスライドファスナーの実施形態を示す斜視図である。
【図2】エレメントの第一実施例を示し、(a)は単体、(b)は向かい合わせにして噛み合せた斜視図である。
【図3】スライダーの実施例を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(e)はスライダーを図3に示した直線A〜Eで切断した各断面図である。
【図5】1つ目のファスナーユニットを形成する動作説明図である。
【図6】2つ目のファスナーユニットを形成し、図5で形成した1つ目のファスナーユニットに重ね合わせ、これらのファスナーユニットを重層構造とする動作説明図である。
【図7】エレメントの第二実施例を示し、(a)は単体、(b)は向かい合わせにして噛み合せた斜視図である。
【図8】エレメントの第三実施例を示し、(a)は単体、(b)は向かい合わせにして噛み合せた斜視図である。
【図9】第一実施例のエレメントによるファスナーユニットが重なり合った状態を示す説明図である。
【図10】第二実施例のエレメントによるファスナーユニットがプッシュインにより重なり合う途中状態を示す説明図である。
【図11】第二実施例のエレメントによるファスナーユニットがプッシュインにより重なり合った状態を示す説明図である。
【図12】第三実施例のエレメントによるファスナーユニットが重なり合った状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下、本発明によるスライドファスナーの実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。スライドファスナー10は、図1に示すように、ファスナーテープ20の相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメント30とスライダー40とから構成され、複数個のファスナーユニット11a、12aを形成する。そして1つ目のファスナーユニット11aに2つ目のファスナーユニット12aを係合して、新しいファスナーユニットを1つ前のファスナーユニットに順次重ね合わせ、複数のファスナーユニットを重層構造としたものである。
【0015】
次に、スライドファスナーを構成するエレメント30、スライダー40の詳細を図2(a)、(b)、図3、図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に基づいて説明する。
【0016】
図2(a)は、第一実施例のエレメント30aを示し、水平方向の一方に噛み合せ部31aを、他方にファスナーテープ固定部32aを有する水平機能部と、水平機能部に直交し、噛み合せ部31aを上方に延設した係合片34aを有する上方垂直機能部及びファスナーテープ固定部32aを下方に延設した係合受片36aを有する下方垂直機能部とを備えている。
【0017】
このエレメント30aを図2(b)に示すように、向かい合わせに配置して、その間を後述のスライダーを摺動させて噛み合せ部31aを噛み合せることにより、向かい合わせにしたエレメント30aの係合片34a同士で係合部Kaを形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36a同士で係合受部Raを形成する。また、係合部Kaは先端に尖頭部Saを有する矢頭形状であり、係合受部Raは、下方に延設した係合受片36aを鉤型Gaに形成して、矢頭形状の係合部Kaが係合するように角錐形状である。
【0018】
図3は、スライダー40の実施例を示し、エレメント30aを挿通して噛合・離脱させるスライダー本体50とスライダー本体50を移動させる引き手60とから構成されている。
【0019】
図4(a)〜図4(e)は、スライダー本体50を図3に示した直線A〜Eで切断した各断面図を示し、スライダー本体50は、上方垂直側ケース51(図4(a)〜図4(e))、下方垂直側ケース52(図4(a)〜図4(e))、両者を連結する連結部53(図4(e))から成る。上方垂直側ケース51と下方垂直側ケース52の間にはファスナーテープ20を挿通する水平スリット54が設けられる(図4(a)〜図4(e))。
【0020】
スライダー本体50の内部は、ファスナーテープ20の相対する開閉端の縁部に沿って列設された複数のエレメント30aが挿通するエレメント通路55、56が上方垂直側ケース51、下方垂直側ケース52それぞれに形成され、上方垂直側ケース51のエレメント通路55の一方55a(図4(e))は、噛み合わさる前のエレメント30aの係合片34aを挿通可能とし、エレメント通路55の他方55b(図3、図4(a))は、噛み合わせが完了したエレメント30aの係合片34aを挿通可能とする。
【0021】
同様に下方垂直側ケース52のエレメント通路56の一方56a(図4(e))は、噛み合わさる前のエレメント30aの係合受片36aを挿通可能とし、エレメント通路56の他方56b(図3、図4(a))は、噛み合わせが完了したエレメント30aの係合受片36aを挿通可能とする。
【0022】
引き手60は、スライダー本体50への取付部61と摘み部62から成り、取付部61を上方垂直側ケース51に立設された引き手取付部57に係合する(図3)。
【0023】
この第一実施例に示したエレメント30aとスライダー40によるスライドファスナーの動作を図5、図6を用いて説明する。
【0024】
図5は、1つ目のファスナーユニット11aを形成する説明図で、向かい合わせに配置した1つ目のファスナーユニット11aのファスナーテープ20の相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメント30aの噛み合せ部31aと上方に延設した係合片34aの間をスライダー本体50の上方垂直側ケース51(図4(a)〜図4(e))のエレメント通路55(図4(a)〜図4(e))に沿って1つ目のファスナーユニット11aのスライダー40を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合せ部31aが噛み合わさり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34a同士で係合部Kaを形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36a同士で係合受部Ra(図2(b))を形成して1つ目のファスナーユニット11aを形成する。
【0025】
図6は、同様にして2つ目のファスナーユニット12aを形成し、図5で形成した1つ目のファスナーユニット11aに重ね合わせ、これらのファスナーユニットを重層構造とする説明図で、向かい合わせに配置した2つ目のファスナーユニット12aのファスナーテープ20の相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメント30aの噛み合せ部31aと上方に延設した係合片34aの間をスライダー本体50の上方垂直側ケース51(図4(a)〜図4(e))のエレメント通路55(図4(a)〜図4(e))に沿って2つ目のファスナーユニット12aのスライダー40を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31aが噛み合わさり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34a同士で係合部Kaを形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36a同士で係合受部Raを形成して2つ目のファスナーユニット12aを形成する。2つ目のファスナーユニット12aのスライダー40を摺動させる際、1つ目のファスナーユニット11aの係合部Kaを2つ目のファスナーユニット12aのスライダー本体50の下方垂直側ケース52(図4(a)〜図4(e))のエレメント通路56(図4(a)〜図4(e))において形成される2つ目のファスナーユニット12aの係合受部Raの内側に沿って摺動させるので、1つ目のファスナーユニット11aと2つ目のファスナーユニット12aが係合され重層構造とすることができる。
【0026】
また、係合部Kaは、先端に尖頭部Sa(図2(b))を有する矢頭形状である。係合受部Ra(図2(b))は、下方に延設した係合受片36aを鉤型Ga(図2(b))に形成して、矢頭形状の係合部が係合するように角錐形状である。
【0027】
次に、エレメントの他の実施例を図7、図8を用いて説明する。図7(a)は、第二実施例のエレメント30bを示し、水平方向の一方に噛み合せ部31bを、他方にファスナーテープ固定部32bを有する水平機能部と、水平機能部に直交し、噛み合せ部31bを上方に延設した係合片34bを有する上方垂直機能部及びファスナーテープ固定部32bを下方に延設した係合受片36bを有する下方垂直機能部とを備えている。
【0028】
このエレメント30bを向かい合わせに配置して、その間をスライダー40を摺動させて噛み合せ部31bを噛み合せると、図7(b)に示すように、向かい合わせにしたエレメント30bの係合片34b同士で係合部Kbを形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36b同士で係合受部Rbを形成する。
【0029】
また、係合部Kbは先端に尖頭部Sbを有する矢頭形状であり、矢頭形状の下部に段差Dbを設ける。係合受部Rbは、下方に延設した係合受片36bを鉤型Gbに形成し、段差Dbに係合する凸部Tbを設け、かつ弾力性を持たせて形成して、矢頭形状の係合部Kbがプッシュインで係合するように角錐形状である。
【0030】
図8(a)は、第三実施例のエレメント30cを示し、水平方向の一方に噛み合せ部31cを、他方にファスナーテープ固定部32cを有する水平機能部と、水平機能部に直交し、噛み合せ部31cを上方に延設した係合片34cを有する上方垂直機能部及びファスナーテープ固定部32cを下方に延設した係合受片36cを有する下方垂直機能部とを備えている。
【0031】
このエレメント30cを向かい合わせに配置して、その間をスライダー40を摺動させて噛み合せ部31cを噛み合せると、図8(b)に示すように、向かい合わせにしたエレメント30cの係合片34c同士で係合部Kcを形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36c同士で係合受部Rcを形成する。
【0032】
また、係合部Kcは先端を平面Hcにした平坦形状であり、係合受部Rcは、下方に延設した係合受片36cを角型Scに形成して、平坦形状の係合部Kcが係合するように直方体形状である。
【0033】
次に、図2(a)、(b)、図3、図4(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、図9〜図12を参照して、第一実施例から第三実施例のエレメントによるファスナーユニットが重なり合う作用を説明する。
【0034】
図9は、第一実施例のエレメント30a(図2(a))によるファスナーユニット11a、12aが重なり合った状態を示す図で、前述したように、エレメント30a(図2(a))を向かい合わせに配置して、噛み合せ部31a(図2(a))と上方に延設した係合片34a(図2(a))の間をスライダー本体50(図3)の上方垂直側ケース51(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路55(図4(a)〜図4(e))に沿って、噛み合せ部31a(図2(a))と下方に延設した係合受片36a(図2(a))の間をスライダー本体50(図3)の下方垂直側ケース52(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路56(図4(a)〜図4(e))に沿ってスライダー40(図3)を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31a(図2(a))が噛み合さり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34a(図2(a))同士で係合部Ka(図2(b))を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36a(図2(a))同士で係合受部Ra(図2(b))を形成して1つ目のファスナーユニット11aを形成する。
【0035】
同様に、別のエレメント30a(図2(a))を向かい合わせに配置して、噛み合せ部31a(図2(a))と上方に延設した係合片34a(図2(a))の間をスライダー本体50(図3)の上方垂直側ケース51(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路55(図4(a)〜図4(e))に沿って、噛み合せ部31a(図2(a))と下方に延設した係合受片36a(図2(a))の間をスライダー本体50(図3)の下方垂直側ケース52(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路56(図4(a)〜図4(e))に沿って別のスライダー40(図3)を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31a(図2(a))が噛み合さり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34a(図2(a))同士で係合部Ka(図2(b))を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36a(図2(a))同士で係合受部Ra(図2(b))を形成して2つ目のファスナーユニット12aを形成する。
【0036】
2つ目のファスナーユニット12aを形成する際に、1つ目のファスナーユニット11aに重なり合うように、2つ目のファスナーユニット12aの係合受部Raで1つ目のファスナーユニット11aの係合部Kaを挟み込む様に係合できる。
【0037】
このように、1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを重ね合わせ、順次新しいファスナーユニットの係合受部を1つ前のファスナーユニットの係合部に係合して複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供することが可能となった。
【0038】
図10は、第二実施例のエレメント30b(図6(a))によるファスナーユニット11b、12bがプッシュインにより重なり合う途中状態を示す図で、エレメント30b(図6(a))を向かい合わせに配置して、噛み合せ部31b(図6(a))と上方に延設した係合片34b(図6(a))の間をスライダー本体50(図3)の上方垂直側ケース51(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路55(図4(a)〜図4(e))に沿って、噛み合せ部31b(図6(a))と下方に延設した係合受片36b(図6(a))の間をスライダー本体50(図3)の下方垂直側ケース52(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路56(図4(a)〜図4(e))に沿ってスライダー40(図3)を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31b(図6(a))が噛み合さり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34b(図6(a))同士で係合部Kb(図6(b))を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36b(図6(a))同士で係合受部Rb(図6(b))を形成して1つ目のファスナーユニット11bを形成する。
【0039】
同様に、別のエレメント30b(図6(a))を向かい合わせに配置して、噛み合せ部31b(図6(a))と上方に延設した係合片34b(図6(a))の間をスライダー本体50(図3)の上方垂直側ケース51(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路55(図4(a)〜図4(e))に沿って、噛み合せ部31b(図6)と下方に延設した係合受片36b(図6)の間をスライダー本体50(図3)の下方垂直側ケース52(図3、図4(a)〜図4(e))のエレメント通路56(図4(a)〜図4(e))に沿って別のスライダー40(図3)を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31b(図6(a))が噛み合さり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34b(図6(a))同士で係合部Kb(図6(b))を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36b(図6(a))同士で係合受部Rb(図6(b))を形成して2つ目のファスナーユニット12bを形成する。
【0040】
このように形成した1つ目のファスナーユニット11bの係合部Kbを、2つ目のファスナーユニット12bの係合受部Rbに押し込むようにすると、係合受片36bは弾力性を有するので、係合受部Rbが撓み、図11に示すように、両スライドファスナーを閉じてからでもプッシュインで積み重ねができる。
【0041】
更に、図11に示すように、1つ目のファスナーユニット11bの係合部Kbは、ファスナーユニット12bの係合受片36bの弾性力で左右から挟み込まれており、かつ1つ目のファスナーユニット11bの係合部Kbの矢頭形状下部の段差Dbに2つ目のファスナーユニット12bの係合受部Rbの凸部Tbが係合するので、積み重ねが容易に外れることはない。
【0042】
このように、別々に複数のファスナーユニットを噛み合せて形成し、1つ目のファスナーユニット11bの係合部Kbを、2つ目のファスナーユニット12bの係合受部Rbに押し込み、複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供することが可能となった。なお、この実施例では、上述したプッシュインの他に、第一実施例と同様に1つ目のファスナーユニット11aの係合部Kaを挟み込むように2つ目のファスナーユニット12aを摺動させて重層構造とすることも可能である。
【0043】
図12は、第三実施例のエレメント30c(図7(a))によるファスナーユニット11c、12cが重なり合った状態を示す図で、エレメント30c(図7(a))を向かい合わせに配置して、噛み合せ部31c(図7(a))と上方に延設した係合片34c(図7(a))の間を、第一実施例、第二実施例に準じた形状のスライダー本体(不図示)の上方垂直側ケース(不図示)のエレメント通路(不図示)に沿って、噛み合せ部31c(図7(a))と下方に延設した係合受片36c(図7(a))の間をスライダー本体(不図示)の下方垂直側ケース(不図示)のエレメント通路(不図示)に沿ってスライダー(不図示)を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31c(図7(a))が噛み合さり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34c(図7(a))同士で係合部Kc(図7(b))を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36c(図7(a))同士で係合受部Rc(図7(b))を形成して1つ目のファスナーユニット11cを形成する。
【0044】
同様に、別のエレメント30c(図7(a))を向かい合わせに配置して、噛み合せ部31c(図7(a))と上方に延設した係合片34c(図7(a))の間を、上述のスライダー本体(不図示)の上方垂直側ケース(不図示)のエレメント通路(不図示)に沿って、噛み合せ部31c(図7(a))と下方に延設した係合受片36cの(図7(a))間をスライダー本体(不図示)の下方垂直側ケース52のエレメント通路(不図示)に沿って別のスライダー(不図示)を摺動させると、向かい合わせに配置した噛み合わせ部31c(図7(a))が噛み合さり、向かい合わせにしたエレメントの係合片34c(図7(a))同士で係合部Kc(図7(b))を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片36c(図7(a))同士で係合受部Rc(図7(b))を形成して2つ目のファスナーユニット12cを形成する。
【0045】
2つ目のファスナーユニット12cを形成する際に、1つ目のファスナーユニット11cに重なり合うように、2つ目のファスナーユニット12cの係合受部Rcで1つ目のファスナーユニット11cの係合部Kcを挟み込む様に係合できる。
【0046】
このように、1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを重ね合わせ、順次新しいファスナーユニットの係合受部を1つ前のファスナーユニットの係合部に係合して複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供することが可能となった。なお、この第三実施例では、係合部Kcの先端は平面Hcにした平坦形状であるので、別々に独立して噛み合わさっている複数のファスナーユニットが外力により、意図せず係合部が係合受部に押し込まれて係合することがない。
【0047】
以上、説明したように、本発明のスライドファスナーによれば、新しい発想により特異形状のファスナーエレメントを創造して、1つのファスナーユニットに別のファスナーユニットを順次重ね合わせ、複数のファスナーユニットを重層構造とした新しいスライドファスナーを提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 スライドファスナー
20 ファスナーテープ
30 エレメント
30a 第一実施例のエレメント
31a 噛み合せ部
32a ファスナーテープ固定部
34a 係合片
36a 係合受片
Ka 係合部
Ra 係合受部
11a、12a ファスナーユニット
30b 第二実施例のエレメント
31b 噛み合せ部
32b ファスナーテープ固定部
34b 係合片
36b 係合受片
Kb 係合部
Rb 係合受部
11b、12b ファスナーユニット
30c 第三実施例のエレメント
31c 噛み合せ部
32c ファスナーテープ固定部
34c 係合片
36c 係合受片
Kc 係合部
Rc 係合受部
11c、12c ファスナーユニット
40 スライダー
50 スライダー本体
60 引き手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーテープの相対する開閉端の縁部に沿って列設されたエレメントとスライダーとから構成され、前記スライダーを前記エレメントに沿って摺動させることにより開閉するスライドファスナーであって、
前記エレメントは、水平方向の一方に噛み合せ部を、他方にファスナーテープ固定部を有する水平機能部と、前記水平機能部に直交し、前記噛み合せ部を上方に延設した係合片を有する上方垂直機能部及び前記ファスナーテープ固定部を下方に延設した係合受片を有する下方垂直機能部とを備え、
前記エレメントを向かい合わせに配置して、その間を前記スライダーを摺動させて前記噛み合せ部を噛み合せることにより、向かい合わせにしたエレメントの係合片同士で係合部を形成し、向かい合わせにしたエレメントの係合受片同士で係合受部を形成したファスナーユニットを複数個揃え、
1つ目のファスナーユニットの係合部に2つ目のファスナーユニットの係合受部を係合して、順次新しいファスナーユニットの係合受部を1つ前のファスナーユニットの係合部に係合して複数のファスナーユニットを重層構造としたことを特徴とするスライドファスナー。
【請求項2】
前記係合部は、先端に尖頭部を有する矢頭形状とし、前記係合受部は、下方に延設した係合受片を鉤型に形成して、前記矢頭形状の係合部が係合するように角錐形状としたことを特徴とする請求項1記載のスライドファスナー。
【請求項3】
前記係合部は、先端に尖頭部を有する矢頭形状とし、前記矢頭形状の下部に段差を設け、前記係合受部は、下方に延設した係合受片を鉤型に形成し、前記段差に係合する凸部を設け、弾力性を持たせて形成して、前記矢頭形状の係合部がプッシュインで係合するように角錐形状としたことを特徴とする請求項1記載のスライドファスナー。
【請求項4】
前記係合部は、先端を平面にした平坦形状とし、前記係合受部は、下方に延設した係合受片を角型に形成して、前記平坦形状の係合部が外力により係合受部に押し込まれて係合することがないように直方体形状としたことを特徴とする請求項1記載のスライドファスナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−101683(P2011−101683A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256917(P2009−256917)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【特許番号】特許第4493726号(P4493726)
【特許公報発行日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(507030737)
【Fターム(参考)】