スライドレール
【課題】傾斜棚、あるいは高所に設けられる収納棚等に使用されるスライドレールに関するもので、全閉状態でロックを解除した時の移動側レールの当初の飛び出しをなくすだけでなく、引出し時に加速することもなく、最後まで移動側レールが自動的引出されるスライドレールを提供する。
【解決手段】収納方向に押し込む動作で移動側レール2を固定側レール1に対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レール2を押し込む動作で移動側レール2の係止状態が解除され、移動側レール2を固定側レール1に対して摺動可能となした自動係止装置50と、移動側レール2の引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レール2の収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置8を移動側レール2と固定側レール間1に設ける。
【解決手段】収納方向に押し込む動作で移動側レール2を固定側レール1に対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レール2を押し込む動作で移動側レール2の係止状態が解除され、移動側レール2を固定側レール1に対して摺動可能となした自動係止装置50と、移動側レール2の引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レール2の収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置8を移動側レール2と固定側レール間1に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜棚、あるいは高所に設けられる収納棚等に使用されるスライドレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なスライドレールは、引出し方向への移動側レールの走行を極力軽くする方向で工夫がなされてきた。
従って、傾斜棚等(前下がりとなった棚、あるいは引出し)に、従来のスライドレールを使用すると、自動係止装置で全閉状態に維持された傾斜棚等のロック状態を解除すると、重量によって、引出し方向(開方向)に急激に動き出し、加速して、最大スピードで、全開時ストッパーに衝突して停止する。このため、衝突の衝撃によって、全開時ストッパーが破損したり、急激な飛び出しによって、作業者に危険をおよぼしたりすることがあった
。
【0003】
これを防止する為、バネ部材の復元力によって、移動側レールが自動的に収納されるスライドレールを傾斜棚等に使用する事があった。(例えば特許文献1参照。)
この場合、バネ部材を使用しているので、移動側レールの引出し量が多くなればなるほどバネ部材の復元力が大きくなるので、全閉状態でロックを解除した時の移動側レールの当初の飛び出しをなくそうとすると、移動側レールが自動的に引出されず、移動側レールが自重によって自動的に最後まで引出されるようにすると、ロックを解除したときの引出し等の飛び出しを防ぐことができなかった。
【0004】
一方、従来の自動係止装置は、ロック機構と解除機構をスライドレールの内部に組み込み、引出し等の前面を軽く押すことで、ロックを解除することができ、その後引出しをあけて、再び一番奥まで引出しを入れるとロックが自動的にかかるもの(自動係止機能を有するスライドレール)が提案されてきた。(例えば特許文献2参照。)
【0005】
この場合、2つの可動ストッパーを外レールと内レールに対応して設け、内レールに固定ストッパーを設け、押しバネを外レールにそれぞれ個別に取付けているので、それぞれの取付け位置に微妙な取付け誤差が発生するので、品質的な安定性が確保できないばかりか、装置が大型化しコンパクトなスライドレールに採用できず、さらに、それぞれの部品(2つの可動ストッパー、固定ストッパー、押しバネ)を部材としてそれぞれ管理しなければならず、部材管理としても煩雑となり、しかも、通常のスライドレールに故障が発生した時の修理も、それぞれの部材の点検、修理、交換が必要となり、スライドレール全体を取り替えることもあった。
【0006】
【特許文献1】実公平4−9860号公報
【特許文献2】特開2005−131338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本発明は、全閉状態でロックを解除した時の移動側レールの当初の飛び出しをなくすだけでなく、引出し時に加速することもなく、最後まで移動側レールが自動的引出される走行制御装置と、部材点数を少なくすることで、部材管理を容易とし、家具の扉等に使用されている市販のラッチ部材をスライドレールに適用する事を可能とし、万一ラッチ部材が破損しても、簡単に取り替えができ、市販のラッチ部材を使用することにより、スライドレール専用のラッチ部材を製作する必要がないので、安価に製作でき、しかも、スライドレールに特別の加工を必要としないので、通常のスライドレールでのも簡単に自動係止機能を有するスライドレールに転用することができる自動係止装置を有するスイライドレール提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が第1の手段として構成したところは、収納方向に押し込む動作で移動側レールを固定側レールに対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レールを押し込む動作で移動側レールの係止状態が解除され、移動側レールを固定側レールに対して摺動可能となした自動係止装置と、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置を移動側レールと固定側レール間に設けたものである。
【0009】
次に、本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段として構成したところに加え、自動係止装置は、固定側レールに着脱自在に取付けられる係合保持部材と、係合保持部材に対応して移動側レールに着脱自在に設けられる係止部材よりなり、係合保持部材は係止部材と係脱自在なラッチ部材を着脱自在に保持しているものである。
【0010】
次に本発明が第3の手段として構成したところは、第2の手段として構成したところに加え、係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を着脱雑自在に保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結されているものである。
【0011】
次に本発明が第4の手段として構成したところは、第1の手段、又は、第2の手段、又は、第3の手段として構成したところに加え、走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの引出し方向への走行時にはラック部材に直接的あるいは間接的に噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転するピニオンを有する一方向性のロータリーダンパーが組み込まれているものである。
【0012】
次に本発明が第5の手段として構成したところは、第1の手段、又は、第2の手段、又は、第3の手段として構成したところに加え、走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの走行時にラック部材と噛み合う補助ピニオンと、移動側レールの引出し方向への走行時には補助ピニオンに噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転し、移動側レールの収納方向への走行時には、補助ピニオンが離間し無回転となるピニオンを有する両方向性のロータリーダンパーが組み込まれているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によると、自動係止装置と走行制御装置が一つのスライドレールに組み込まれているので、このスラドレールを取付けるだけで、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加して、移動側レールの当初の飛び出し、及び走行時の加速がなく、自動的に最後まで引出され、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除するので、移動側レールの収納方向の走行に支障をきたすことがなく、使い勝手に優れた傾斜棚や昇降棚を簡単に得ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、上記効果に加え、自動係止装置は、係合保持部材と係止部材より構成され、係合保持部材はラッチ部材を保持した状態で、固定側レールに着脱自在で、係止部材は係合保持部材に対応して、移動側レールに設けられているので、部品として管理する必要があるのは、係合保持部材と係止部材の2つでよいから、部材点数が少なく、管理が容易である。
又、万一故障が発生しても(故障が発生する確率が一番高いのはラッチ部材である。)、その部材を取り替えるだけでよいので修理が容易で、現場で簡単に行なうことが出来る。
さらに、ラッチ部材は、係合保持部材に着脱自在に保持されているので、市販されているラッチ部材の外形にあわせて、係合保持部材のラッチ部材が取り付く部分の形状を工夫することにより、簡単に市販部品を利用することも可能となり、さらに、スライドレール自体に特別の加工を必要としないので、通常のスライドレールを簡単に自動係止機能を持つスライドレールに転用することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によると、前記効果に加え、係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結されているので、市販のラッチ部材に合わせて、ラッチ保持部材を形成すれば、スライドレールの用途に合わせて、各種の自動係止装置を簡単に提供することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記それぞれの効果に加え、走行制御装置がラック部材と制御部材よりなる構成であるので、部材管理が容易で、走行制御装置の組み立ても簡単で、既存のスライドレールにも簡単に走行制御装置を取付けることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によると、前記それぞれの効果に加え、制御部材は、補助ピニオンがピニオンと離間したり、ピニオンに噛み合ったりする構成としているので、安価な両方向性のロータリーダンパーを使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
収納方向に押し込む動作で移動側レールを固定側レールに対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レールを押し込む動作で移動側レールの係止状態が解除され、移動側レールを固定側レールに対して摺動可能となした自動係止装置と、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置を移動側レールと固定側レール間に設け、自動係止装置は、固定側レールに着脱自在に取付けられる係合保持部材と、係合保持部材に対応して移動側レールに着脱自在に設けられる係止部材よりなり、係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を着脱雑自在に保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結され、走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの走行時にラック部材と噛み合う補助ピニオンと、移動側レールの引出し方向への走行時には補助ピニオンに噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転し、移動側レールの収納方向への走行時には、補助ピニオンが離間し無回転となるピニオンを有する両方向性のロータリーダンパーが組み込まれているものである。
【実施例】
【0019】
以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
図1、図2において、符号1は固定側レールを示し、符号2は移動側レールを示し、符号3は中間レールを示し、符号4は固定側レール1のボール保持板を示し、符号6は移動側レール2のボール保持板を示し、符号50はスライドレール100の自動係止装置を示し、符号80はスライドレール100の走行制御装置を示している。そして、図1において左側斜め下方向を引出し側、右側斜め上方向を収納側とし、引出し側、収納側の両方向を走行方向として説明している。
【0020】
固定側レール1は、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げた内面長手方向にボール案内溝を有する上下の両折曲縁11、11と、家具等の本体側と連結される固定側レール基板12より断面略C字形に形成されている。
そして、固定側レール基板12の収納側端部を移動側レール2方向に折り曲げて固定側収納時ストッパー13が形成され、固定側レール1の基板12の引出し側端部を移動側レール2方向に折り曲げて固定側移動時ストッパー(図示せず。)が形成され、固定側収納時ストッパー13の収納側に自動係止装置50の係合保持部材5が取付けられている。
【0021】
中間レール3は、上記固定側レール1に挿入可能な大きさで固定側レール1よりやや短い長さの固定側基板31と、固定側基板31の上下端部を外向き円弧状に折り曲げた上下の両折曲縁32、32よりなる断面略C字形の固定側中間レール30と、上記移動側レール2に挿入可能な大きさで固定側レール1よりやや短い長さの移動側基板311と、移動側基板311の上下端部を内向き円弧状に折り曲げた上下の両折曲縁322、322よりなる断面略C字形の移動側中間レール300よりなり、固定側基板31の後端部が移動側基板311の後端部より収納側に突出するようずらして背中合わせに固着した断面略I字形に構成されている。
【0022】
そして、スライドレール100の最大伸長時、ボール保持板4の収納側端面に緩衝部材を介して当接し、スライドレール100の最短収縮時、固定側収納時ストッパー13の内面に緩衝部材を介して当接する中間レール収納時ストッパー35が、固定側中間レール30の固定側基板31の収納側端部で、固定側レール1側に突出して形成されている。
又、スライドレール100の最大伸長時、移動側レール2のボール保持板6の引出し側端面が緩衝部材を介して当接するボール保持板引出し時ストッパー(図示せず。)が、中間レール3の移動側基板311の移動側端部に、移動側レール2側に突出して形成されている。
【0023】
ボール保持板4、6は対向した同形で、帯条金属板にて固定側レール1、移動側レール2及び、中間レール3との間に挿入可能な大きさで、かつ、両レール1、2の半分程度の長さで、基板41、61と上下の折曲片42、42、62、62からなり、基板41、61は中央部をコ字形に折り曲げ、そして、上下の両折曲片42、42、62、62の摺動方向の数箇所に複数個のボール40・・・を回転自在に保持している。
【0024】
移動側レール2は、固定側レール1と対向した断面同形で、ほぼ同長に形成され、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向にボール案内溝を有する上下の両折曲縁21、21と、移動側レール基板22より、断面略C字形に形成されている。
【0025】
そして、移動側レール基板22の引出し側端部を固定側レール1方向に折り曲げて形成された移動側収納時ストッパー23と、移動側レール基板22の収納側端部の一部を固定側レール1方向に突出させて形成された移動側移動時ストッパー24を有し、移動側移動時ストッパー24の収納側に自動係止装置50の係止部材7が取付られている。
【0026】
実施例のスライドレール100は上記の如く構成され、スライドレール100の最大伸長時には、移動側レール2の移動側移動時ストッパー24に取り付けられた係止部材7の一部がボール保持板6の収納側端面に当接し、ボール保持板6の引出し側端面は緩衝部材を介して中間レール3のボール保持板引出し時ストッパー(図示せず。)に当接し、中間レール3の中間レール収納時ストッパー35がボール保持板4の収納側端面に緩衝部材を介して当接し、ボール保持板4の引出し側端面が緩衝部材を介して固定側移動時ストッパー14に当接している。
【0027】
一方、スライドレール100の最短収縮状態では、中間レール3の収納側端部に形成された中間レール収納時ストッパー35が緩衝部材を介して固定側レール1の収納側端部に形成された固定側収納時ストッパー13に当接し、移動側移動時ストッパー24の収納側に突出する係止部材7の一部が係合保持部材5に当接係止している。
そして、この状態で、移動側レール2の移動側収納時ストッパー23の緩衝部材と中間レール3の引出し側端部に形成されたボール保持板引出し時ストッパー(図示せず。)間には若干の隙間が形成されている。
そして、この若干の隙間が移動側レール2を再度収納側に押し込んで、係止部材7と係合保持部材5の係止状態を解除するための移動用隙間となる。
【0028】
自動係止装置50は、図1、図3、図4、図5、図6に示す如く、移動側レール2の収納側端部に取付けられる係止部材7と、固定側レール1の収納側端部に取付けられる係合保持部材5より構成されている。
係止部材7は、移動側レール2の収納側端面を閉塞する収納側基板71と、収納側基板71の引出し側面の上下端部に位置し、引出し側に向かって突出して、移動側レール2の上下の両折曲縁21、21間に嵌合する上下移動側レール用嵌合脚72、72と、収納側基板71の収納側面の中央部で係合保持部材5側に突出する矢尻型の係止突起73と、収納側基板71から引出し側に所定間隙710を有して上下移動側レール用嵌合脚72、72間に連設され、取付けられた状態で移動側レール基板22の内面に密着する位置決め用連結部74と、位置決め用連結部74の固定側レール1側から引出し側に突出して連設された収納時ストッパー部75が合成樹脂材にて一体に成形されて形成されている。
【0029】
符号711、711は中間レール3の上下の両折曲縁32、32が挿通するための挿通用切り欠き部を示し、符号721、721は、上下移動側レール用嵌合脚72、72に上下方向に所定の弾性を付与する為に形成された弾性用凹部を示し、符号751は緩衝部材750を取付けるための取付用凹部を示している。
すなわち、緩衝部材750の引出し側端面は収納時ストッパー部75に取付られ状態で、収納時ストッパー部75の引出し側端面よりやや引出し側に突出し、スライドレール100の最大引出し状態で、ボール保持板6の収納側端面に当接する事となる。
【0030】
係止部材7は上記のように形成され、所定間隙710内に移動側移動時ストッパー24を位置させて、移動側移動時ストッパー24の引出し側端面が位置決め用連結部74の収納側端面に当接し、収納側基板71の引出し側面が中間レールの収納側端面に当接させながら、上下移動側レール用嵌合脚72、72を移動側レール2の上下の両折曲縁21、21間に嵌合するよう、係止部材7が移動側レール2に押し付けられるようにして収納側端部に取付けられる。この状態で、移動側移動時ストッパー24、位置決め用連結部74、収納側基板71、移動側レール2の上下の両折曲縁21、21、上下移動側レール用嵌合脚72、72が相互に連係して、係止部材7は上下方向、引出し側及び収納側方向に移動することはない。
【0031】
係合保持部材5は、スライドレール100の厚み方向で2つに分割されるレール用連結部材51と、ラッチ保持部材52からなり、ラッチ保持部材52はラッチ部材53を着脱自在に保持している。
レール用連結部材51は図4に示すように、スライドレール100の半分強の厚みで、固定側レール1の収納側に突出する連結用基部511と、連結用基部511の引出し側面の上下端部に位置し、引出し側に向かって突出して、固定側レール1の上下の両折曲縁11、11間に嵌合する上下固定側レール用嵌合脚512、512と、連結用基部511から引出し側に所定間隙510を有して上下固定側レール嵌合脚512、512間に連設され、取付けられた状態で固定側レール基板12の内面に密着する抜け止め連結部513より合成樹脂材より一体に形成されている。
符号514、514は、連結用基部511のラッチ保持部材52側面の上下端部に形成された位置決め用のダボ孔を示し、符号515、515は、ラッチ保持部材52の連結用ネジ孔を示し、符号516、516は、上下固定側レール嵌合脚512、512に上下方向に所定の弾性を付与する為の形成され切り落とし部を示している。
【0032】
ラッチ保持部材52は、移動側レール2とほぼ同等の厚みに合成樹脂材より形成され、前記レール用連結部材51に形成された連結用ネジ孔515、515に対応する位置に、スライドレール100の厚み方向に貫通する連結孔521、521を有し、前記ダボ孔514、514に対応する位置に嵌合突起522、522を有し、レール用連結部材51側の面にラッチ部材53が嵌合保持される嵌合保持凹部523を有している。
【0033】
ラッチ部材53は、前記ラッチ保持部材52の嵌合保持凹部523にスライドレール100の厚み方向から嵌合し、引出し側方向及び収納側方向に移動不能に保持される外形形状のハウジング531と、ハウジング531に収納されると共に係止部材7に係合可能なラッチボディ532とで構成されている。そして、ラッチボディには略直方体を成すラッチボディ本体533が備えられており、ラッチボディ本体533の長手方向の一端面角部からは一対のラッチアーム534、534が先端に行くに従って互いに離間する方向に向かって延出している。
そして、このラッチアームが係止部材7に形成された係止突起73の拡幅部731を挟持して係止可能としている。
ラッチ部材53の具体的構成は特開2004−23889号公報に示すラッチ装置と同じであるので詳細な説明は省略する。
すなわち、本発明のラッチ保持部材52は、市販のラッチ部材の外形形状に合致する嵌合保持凹部523を有しているので、市販のラッチ部材をスライドレールのラッチ部材として簡単かつ容易に転用できる。
【0034】
レール連結用部材51、ラッチ保持部材52、ラッチ部材53は、上記のように構成され、ラッチ保持部材52の嵌合保持凹部523にラッチ部材53を嵌合した状態で、ラッチ保持部材52の嵌合突起522、522をレール連結用部材51のダボ孔514、514に嵌合し、連結用ネジ孔515、515、連結孔521、521を介して、レール連結用部材51とラッチ保持部材52をネジ止め連結し、係合保持部材5を構成する。
そして、固定側収納時ストッパー13を所定間隙510内に位置せしめた状態で、上下固定側レール用嵌合脚512、512を固定側レール1の上下の両折曲縁11、11間に嵌合するよう、レール用連結部材51が固定側レール1に押し付けられるようにして収納側端部に取付けられる。
この状態で、固定側収納時ストッパー13、に連結用基部511の引出し側端面、抜け止め連結部513の収納側端面、固定側レール2の上下の両折曲縁11、11、上下固定側レール嵌合脚512、512が相互に連係して、係合保持部材5は上下方向、引出し側及び収納側方向に移動することはない。
【0035】
移動側レール2を収納側に移動し、係止部材7の係止突起73が、ラッチボディ532に当接し(図7に示す状態)、さらに、ラッチボディ本体533及びラッチアーム534、534をハウジング531内に最も押し込み(図8に示す状態)、その後やや引出し側に戻った状態(図9に示す状態)で、ラッチアーム534、534が係止部材7に形成された係止突起73の拡幅部731を挟持し、ラッチボディ532はハウジング531に収納された状態を維持し、係合部材7はラッチ部材53(係合保持部材7)に係止された状態が維持される。
【0036】
そして、再度、係止部材7が押し込まれると(図8に示す状態)、ラッチボディ532はハウジング531から押し出される方向に移動し、係止突起73とラッチアーム534、534の挟持状態(係止状態)は解除される。(7に示す状態)
ラッチ部材52と係止突起73の係脱関係は特開2004−23889号公報に示すラッチ装置と同じであるので詳細な説明は省略する。
尚、実施例では、係止部材7を移動側レール2の収納側端部に設け、係合保持部材5を固定側レール1の収納側端部に設けているが、係止部材7を固定側レール1の引出し側端部に設け、係合保持部材5を移動側レール2の引出し側端部に設けても、実施例と同様の効果がある。
【0037】
ただ、係止部材7も係合保持部材5も移動側レール2、固定側レール1の収納側端部に設けると、スライドレール100の収納状態で各部材が外部に露呈しないので体裁が良いという効果がある。
一方、係止部材7と係合保持部材5を移動側レール2、固定側レール1の引出し側端部に設けると、スライドレール100の収納状態で各部材が外部に露呈するが、故障時等の修理等が容易であるという効果がある。
【0038】
走行制御置80は、図1、図11、図12に示す如く、固定側レール1の引出し側端部に取付けられる制御部材81と、移動側レール2の上折曲縁21の上面に走行方向全幅に渡って配設されるラック部材82より構成されている。
制御部材81は、固定側レール1の基板12の引出し側端部と連結された制御部材取付板120に連結される合成樹脂製の保持基板83と、保持基板83に連結される両方向性のロータリーダンパー84(以後、ロータリーダンパーという。)と、保持基板83と共に補助ピニオン85を回転自在に保持する合成樹脂製のカバー体86より構成されている。
【0039】
保持基板83は、移動側レール2側にロータリーダンパー84の取付凹部831と、取付凹部831内で移動レール側に突出する補助ピニオン85の基板側支持部832を有する基板部830と、基板部830の走行側両端部に連設された連結用突部833、833より合成樹脂材にて一体に形成されている。
そして、基板側支持部832には補助ピニオン85を回転可能で走行方向に移動可能に支持する案内支持溝834が形成されている。
符号835・・・は制御部材取付板120との連結孔、符号836・・はカバー体86
との連結孔、符号837・・・はカバー体86の連結時に位置決め孔、838・・・は取付凹部831に形成されたロータリーダンパー84の連結孔を示している。
【0040】
ロータリーダンパー84は、前記連結孔838、838に対応する取付孔841、841を有し、移動側レール2側に突出する回転中心軸(図示せず。)にはピニオン842が取付けられている。
補助ピニオン85は、ピニオン842の略2倍弱の径で、中心部に前記案内支持溝834に回転可能で走行方向に移動自在に嵌合する基板側回動中心軸851と、基板側回動中心軸851の反対側に位置する基板側回動中心軸851と同形のカバー側回動中心軸852より、合成樹脂材にて一体に形成されている。
【0041】
カバー体86は、前記基板部830と対向した対称形で、前記の取付凹部831対向してカバー側取付凹部861が形成され、カバー側取付凹部861内で前記基板側支持部832に対向してカバー側支持部862が形成され、カバー側支持部862には案内支持溝834に対向して、補助ピニオン85のカバー側回動中心軸852が回動自在で走行方向に移動可能に嵌合するカバ−側案内支持溝864が形成されている。
符号866・・は連結孔836・・・に対応して設けられた保持基板83との連結孔、符号867・・・は位置決め孔837・・・に対応して形成された嵌合突部を示している。
【0042】
保持基板83、ロータリダンパー84、補助ピニオン85、カバー体86は上記のように形成され、ロータリーダンパー84が取付けられた状態の保持基板83の案内支持溝834に補助ピニオン85の基板側回動中心軸851を嵌入し、この状態維持しながら、カバー体86の嵌合突部867、867を保持基板83の位置決め孔837、837に嵌合すると同時に、補助ピニオン85のカバー側回動中心軸852をカバ−側案内支持溝864に嵌入し、連結孔836・・・866・・・を一致させ、保持基板83側から連結ネジにて保持基板83とカバー体86を連結し制御部材81を構成する。
【0043】
尚、この状態で、図13、図14に示すように、補助ピニオン85の下側の一部は保持基板83及びカバー体86の下端面より突出し、固定側レール1(制御部材取付板120)に連結された状態で、ラック部材82と噛み合う。
ラック部材82は、移動側レール2の移動側レール基板22の外面側に連結された逆L字型のラック取付板220の上端突片221の上面に走行方向全幅にわたって配設されている。
【0044】
走行制御装置80は上記の如く構成されて、スライドレール100に取付けられ傾斜棚等に使用される。
例えば、図10に示すように、前面が開口する傾斜棚本体90の側板91、91の内面に前下がりの状態に配設され、左右の移動側レール2、2間に傾斜棚板92が連結され、スライドレール100が最も収縮した状態(傾斜棚板92が傾斜棚本体90に収納された状態)で、前記係止部材7が係合保持部材5に係止し、移動側レール2の収納状態(傾斜棚板92の収納状態)が維持される。
そして、収納状態の傾斜棚板92を収納方向に押しやると収納状態が解除され、傾斜棚板92(移動側レール2、2)は、スライドレール100、100が前下がりの傾斜状態に収納されているので、引き出し方向に自走する。
この時、移動側レール2と固定側レール1間に走行制御装置80が設けられているので、
傾斜棚板92は急に前方に飛び出すことはない。
【0045】
すなわち、移動側レール2(ラック部材82)が前方に移動すると、ラック部材82と噛み合う補助ピニオン85は、基板側回動中心軸851とカバー側回動中心軸852が、案内支持溝834とカバ−側案内支持溝864に回転可能で走行方向に移動自在に嵌合しているので、引出し方向に一旦移動し、ロータリーダンパー84のピニオン842とも噛み合う。(図13に示す状態。)
これによって、補助ピニオン85は緩慢な回転に制御され、したがって、補助ピニオン85と噛み合うラック部材82の引出し方向への移動も緩やかとなり、傾斜棚板92は使用者に危険が及ばない穏やかなスピードで引出し方向へ自走し、移動側レール2が固定側レ−ル1に対し最大伸長状態となり停止する。
【0046】
次に 傾斜棚板92が最も引出された状態から、収納方向に移動させると、ラック部材82と噛み合う補助ピニオン85は一旦収納方向に移動し、ロータリーダンパー84のピニオン842から、補助ピニオン85は離間し、ピニオン842は無回転となり、補助ピニオン85は無抵抗で回転し、したがって、ラック部材82(移動側レール2)もロータリーダンパー84とは無関係に収納方向に移動し(図14に示す状態。)、やがて、プッシュラッチ装置93によって、傾斜棚板92(移動側レール2)はは収納状態が維持される。
尚、実施例では、両方向性のロータリーダンパー84(小型で安価)を使用しているので、補助ピニオンが必要であるが、一方向性のロータリーダンパーを使用し、ロータリーダンパーのピニオンがラック部材82と直接噛み合うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を具備したスライドレールの斜視図
【図2】図1のスライドレールの要部断面図
【図3】係合保持部材と係止部材の斜視図
【図4】係合保持部材の分解斜視図
【図5】ラッチ保持部材の裏面側の斜視図
【図6】係止部材の裏面側の斜視図
【図7】係止突起がラッチボディに当接した状態の正面略図
【図8】係止突起が収納側に最も移動した状態の正面略図
【図9】ラッチ部材と係止突起の係止状態を示す正面略図
【図10】本発明のスライドレールを傾斜棚に使用した状態の斜視図
【図11】制御部材の分解斜視図
【図12】制御部材の裏面側からの分解斜視図
【図13】移動側レールが引出し方向に移動(自走)する時の説明図
【図14】移動側レールが収納方向に移動する時の説明図
【符号の説明】
【0048】
1 固定側レール
100 スライドレール
2 移動側レール
3 中間レール
5 係合保持部材
50 自動係止装置
51 レール用連結部材
52 ラッチ保持部材
53 ラッチ部材
7 係止部材
8 走行制御装置
81 制御部材
82 ラック部材
83 保持基板
84 ロータリーダンパー
842 ピニオン
85 補助ピニオン
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜棚、あるいは高所に設けられる収納棚等に使用されるスライドレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なスライドレールは、引出し方向への移動側レールの走行を極力軽くする方向で工夫がなされてきた。
従って、傾斜棚等(前下がりとなった棚、あるいは引出し)に、従来のスライドレールを使用すると、自動係止装置で全閉状態に維持された傾斜棚等のロック状態を解除すると、重量によって、引出し方向(開方向)に急激に動き出し、加速して、最大スピードで、全開時ストッパーに衝突して停止する。このため、衝突の衝撃によって、全開時ストッパーが破損したり、急激な飛び出しによって、作業者に危険をおよぼしたりすることがあった
。
【0003】
これを防止する為、バネ部材の復元力によって、移動側レールが自動的に収納されるスライドレールを傾斜棚等に使用する事があった。(例えば特許文献1参照。)
この場合、バネ部材を使用しているので、移動側レールの引出し量が多くなればなるほどバネ部材の復元力が大きくなるので、全閉状態でロックを解除した時の移動側レールの当初の飛び出しをなくそうとすると、移動側レールが自動的に引出されず、移動側レールが自重によって自動的に最後まで引出されるようにすると、ロックを解除したときの引出し等の飛び出しを防ぐことができなかった。
【0004】
一方、従来の自動係止装置は、ロック機構と解除機構をスライドレールの内部に組み込み、引出し等の前面を軽く押すことで、ロックを解除することができ、その後引出しをあけて、再び一番奥まで引出しを入れるとロックが自動的にかかるもの(自動係止機能を有するスライドレール)が提案されてきた。(例えば特許文献2参照。)
【0005】
この場合、2つの可動ストッパーを外レールと内レールに対応して設け、内レールに固定ストッパーを設け、押しバネを外レールにそれぞれ個別に取付けているので、それぞれの取付け位置に微妙な取付け誤差が発生するので、品質的な安定性が確保できないばかりか、装置が大型化しコンパクトなスライドレールに採用できず、さらに、それぞれの部品(2つの可動ストッパー、固定ストッパー、押しバネ)を部材としてそれぞれ管理しなければならず、部材管理としても煩雑となり、しかも、通常のスライドレールに故障が発生した時の修理も、それぞれの部材の点検、修理、交換が必要となり、スライドレール全体を取り替えることもあった。
【0006】
【特許文献1】実公平4−9860号公報
【特許文献2】特開2005−131338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、本発明は、全閉状態でロックを解除した時の移動側レールの当初の飛び出しをなくすだけでなく、引出し時に加速することもなく、最後まで移動側レールが自動的引出される走行制御装置と、部材点数を少なくすることで、部材管理を容易とし、家具の扉等に使用されている市販のラッチ部材をスライドレールに適用する事を可能とし、万一ラッチ部材が破損しても、簡単に取り替えができ、市販のラッチ部材を使用することにより、スライドレール専用のラッチ部材を製作する必要がないので、安価に製作でき、しかも、スライドレールに特別の加工を必要としないので、通常のスライドレールでのも簡単に自動係止機能を有するスライドレールに転用することができる自動係止装置を有するスイライドレール提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が第1の手段として構成したところは、収納方向に押し込む動作で移動側レールを固定側レールに対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レールを押し込む動作で移動側レールの係止状態が解除され、移動側レールを固定側レールに対して摺動可能となした自動係止装置と、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置を移動側レールと固定側レール間に設けたものである。
【0009】
次に、本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段として構成したところに加え、自動係止装置は、固定側レールに着脱自在に取付けられる係合保持部材と、係合保持部材に対応して移動側レールに着脱自在に設けられる係止部材よりなり、係合保持部材は係止部材と係脱自在なラッチ部材を着脱自在に保持しているものである。
【0010】
次に本発明が第3の手段として構成したところは、第2の手段として構成したところに加え、係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を着脱雑自在に保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結されているものである。
【0011】
次に本発明が第4の手段として構成したところは、第1の手段、又は、第2の手段、又は、第3の手段として構成したところに加え、走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの引出し方向への走行時にはラック部材に直接的あるいは間接的に噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転するピニオンを有する一方向性のロータリーダンパーが組み込まれているものである。
【0012】
次に本発明が第5の手段として構成したところは、第1の手段、又は、第2の手段、又は、第3の手段として構成したところに加え、走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの走行時にラック部材と噛み合う補助ピニオンと、移動側レールの引出し方向への走行時には補助ピニオンに噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転し、移動側レールの収納方向への走行時には、補助ピニオンが離間し無回転となるピニオンを有する両方向性のロータリーダンパーが組み込まれているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によると、自動係止装置と走行制御装置が一つのスライドレールに組み込まれているので、このスラドレールを取付けるだけで、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加して、移動側レールの当初の飛び出し、及び走行時の加速がなく、自動的に最後まで引出され、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除するので、移動側レールの収納方向の走行に支障をきたすことがなく、使い勝手に優れた傾斜棚や昇降棚を簡単に得ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によると、上記効果に加え、自動係止装置は、係合保持部材と係止部材より構成され、係合保持部材はラッチ部材を保持した状態で、固定側レールに着脱自在で、係止部材は係合保持部材に対応して、移動側レールに設けられているので、部品として管理する必要があるのは、係合保持部材と係止部材の2つでよいから、部材点数が少なく、管理が容易である。
又、万一故障が発生しても(故障が発生する確率が一番高いのはラッチ部材である。)、その部材を取り替えるだけでよいので修理が容易で、現場で簡単に行なうことが出来る。
さらに、ラッチ部材は、係合保持部材に着脱自在に保持されているので、市販されているラッチ部材の外形にあわせて、係合保持部材のラッチ部材が取り付く部分の形状を工夫することにより、簡単に市販部品を利用することも可能となり、さらに、スライドレール自体に特別の加工を必要としないので、通常のスライドレールを簡単に自動係止機能を持つスライドレールに転用することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によると、前記効果に加え、係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結されているので、市販のラッチ部材に合わせて、ラッチ保持部材を形成すれば、スライドレールの用途に合わせて、各種の自動係止装置を簡単に提供することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記それぞれの効果に加え、走行制御装置がラック部材と制御部材よりなる構成であるので、部材管理が容易で、走行制御装置の組み立ても簡単で、既存のスライドレールにも簡単に走行制御装置を取付けることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によると、前記それぞれの効果に加え、制御部材は、補助ピニオンがピニオンと離間したり、ピニオンに噛み合ったりする構成としているので、安価な両方向性のロータリーダンパーを使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
収納方向に押し込む動作で移動側レールを固定側レールに対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レールを押し込む動作で移動側レールの係止状態が解除され、移動側レールを固定側レールに対して摺動可能となした自動係止装置と、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置を移動側レールと固定側レール間に設け、自動係止装置は、固定側レールに着脱自在に取付けられる係合保持部材と、係合保持部材に対応して移動側レールに着脱自在に設けられる係止部材よりなり、係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を着脱雑自在に保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結され、走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの走行時にラック部材と噛み合う補助ピニオンと、移動側レールの引出し方向への走行時には補助ピニオンに噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転し、移動側レールの収納方向への走行時には、補助ピニオンが離間し無回転となるピニオンを有する両方向性のロータリーダンパーが組み込まれているものである。
【実施例】
【0019】
以下、添付図面に基づいて実施例を説明する。
図1、図2において、符号1は固定側レールを示し、符号2は移動側レールを示し、符号3は中間レールを示し、符号4は固定側レール1のボール保持板を示し、符号6は移動側レール2のボール保持板を示し、符号50はスライドレール100の自動係止装置を示し、符号80はスライドレール100の走行制御装置を示している。そして、図1において左側斜め下方向を引出し側、右側斜め上方向を収納側とし、引出し側、収納側の両方向を走行方向として説明している。
【0020】
固定側レール1は、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げた内面長手方向にボール案内溝を有する上下の両折曲縁11、11と、家具等の本体側と連結される固定側レール基板12より断面略C字形に形成されている。
そして、固定側レール基板12の収納側端部を移動側レール2方向に折り曲げて固定側収納時ストッパー13が形成され、固定側レール1の基板12の引出し側端部を移動側レール2方向に折り曲げて固定側移動時ストッパー(図示せず。)が形成され、固定側収納時ストッパー13の収納側に自動係止装置50の係合保持部材5が取付けられている。
【0021】
中間レール3は、上記固定側レール1に挿入可能な大きさで固定側レール1よりやや短い長さの固定側基板31と、固定側基板31の上下端部を外向き円弧状に折り曲げた上下の両折曲縁32、32よりなる断面略C字形の固定側中間レール30と、上記移動側レール2に挿入可能な大きさで固定側レール1よりやや短い長さの移動側基板311と、移動側基板311の上下端部を内向き円弧状に折り曲げた上下の両折曲縁322、322よりなる断面略C字形の移動側中間レール300よりなり、固定側基板31の後端部が移動側基板311の後端部より収納側に突出するようずらして背中合わせに固着した断面略I字形に構成されている。
【0022】
そして、スライドレール100の最大伸長時、ボール保持板4の収納側端面に緩衝部材を介して当接し、スライドレール100の最短収縮時、固定側収納時ストッパー13の内面に緩衝部材を介して当接する中間レール収納時ストッパー35が、固定側中間レール30の固定側基板31の収納側端部で、固定側レール1側に突出して形成されている。
又、スライドレール100の最大伸長時、移動側レール2のボール保持板6の引出し側端面が緩衝部材を介して当接するボール保持板引出し時ストッパー(図示せず。)が、中間レール3の移動側基板311の移動側端部に、移動側レール2側に突出して形成されている。
【0023】
ボール保持板4、6は対向した同形で、帯条金属板にて固定側レール1、移動側レール2及び、中間レール3との間に挿入可能な大きさで、かつ、両レール1、2の半分程度の長さで、基板41、61と上下の折曲片42、42、62、62からなり、基板41、61は中央部をコ字形に折り曲げ、そして、上下の両折曲片42、42、62、62の摺動方向の数箇所に複数個のボール40・・・を回転自在に保持している。
【0024】
移動側レール2は、固定側レール1と対向した断面同形で、ほぼ同長に形成され、金属製の細長条板の短手両端部を内向き円弧状に折り曲げて形成された内面長手方向にボール案内溝を有する上下の両折曲縁21、21と、移動側レール基板22より、断面略C字形に形成されている。
【0025】
そして、移動側レール基板22の引出し側端部を固定側レール1方向に折り曲げて形成された移動側収納時ストッパー23と、移動側レール基板22の収納側端部の一部を固定側レール1方向に突出させて形成された移動側移動時ストッパー24を有し、移動側移動時ストッパー24の収納側に自動係止装置50の係止部材7が取付られている。
【0026】
実施例のスライドレール100は上記の如く構成され、スライドレール100の最大伸長時には、移動側レール2の移動側移動時ストッパー24に取り付けられた係止部材7の一部がボール保持板6の収納側端面に当接し、ボール保持板6の引出し側端面は緩衝部材を介して中間レール3のボール保持板引出し時ストッパー(図示せず。)に当接し、中間レール3の中間レール収納時ストッパー35がボール保持板4の収納側端面に緩衝部材を介して当接し、ボール保持板4の引出し側端面が緩衝部材を介して固定側移動時ストッパー14に当接している。
【0027】
一方、スライドレール100の最短収縮状態では、中間レール3の収納側端部に形成された中間レール収納時ストッパー35が緩衝部材を介して固定側レール1の収納側端部に形成された固定側収納時ストッパー13に当接し、移動側移動時ストッパー24の収納側に突出する係止部材7の一部が係合保持部材5に当接係止している。
そして、この状態で、移動側レール2の移動側収納時ストッパー23の緩衝部材と中間レール3の引出し側端部に形成されたボール保持板引出し時ストッパー(図示せず。)間には若干の隙間が形成されている。
そして、この若干の隙間が移動側レール2を再度収納側に押し込んで、係止部材7と係合保持部材5の係止状態を解除するための移動用隙間となる。
【0028】
自動係止装置50は、図1、図3、図4、図5、図6に示す如く、移動側レール2の収納側端部に取付けられる係止部材7と、固定側レール1の収納側端部に取付けられる係合保持部材5より構成されている。
係止部材7は、移動側レール2の収納側端面を閉塞する収納側基板71と、収納側基板71の引出し側面の上下端部に位置し、引出し側に向かって突出して、移動側レール2の上下の両折曲縁21、21間に嵌合する上下移動側レール用嵌合脚72、72と、収納側基板71の収納側面の中央部で係合保持部材5側に突出する矢尻型の係止突起73と、収納側基板71から引出し側に所定間隙710を有して上下移動側レール用嵌合脚72、72間に連設され、取付けられた状態で移動側レール基板22の内面に密着する位置決め用連結部74と、位置決め用連結部74の固定側レール1側から引出し側に突出して連設された収納時ストッパー部75が合成樹脂材にて一体に成形されて形成されている。
【0029】
符号711、711は中間レール3の上下の両折曲縁32、32が挿通するための挿通用切り欠き部を示し、符号721、721は、上下移動側レール用嵌合脚72、72に上下方向に所定の弾性を付与する為に形成された弾性用凹部を示し、符号751は緩衝部材750を取付けるための取付用凹部を示している。
すなわち、緩衝部材750の引出し側端面は収納時ストッパー部75に取付られ状態で、収納時ストッパー部75の引出し側端面よりやや引出し側に突出し、スライドレール100の最大引出し状態で、ボール保持板6の収納側端面に当接する事となる。
【0030】
係止部材7は上記のように形成され、所定間隙710内に移動側移動時ストッパー24を位置させて、移動側移動時ストッパー24の引出し側端面が位置決め用連結部74の収納側端面に当接し、収納側基板71の引出し側面が中間レールの収納側端面に当接させながら、上下移動側レール用嵌合脚72、72を移動側レール2の上下の両折曲縁21、21間に嵌合するよう、係止部材7が移動側レール2に押し付けられるようにして収納側端部に取付けられる。この状態で、移動側移動時ストッパー24、位置決め用連結部74、収納側基板71、移動側レール2の上下の両折曲縁21、21、上下移動側レール用嵌合脚72、72が相互に連係して、係止部材7は上下方向、引出し側及び収納側方向に移動することはない。
【0031】
係合保持部材5は、スライドレール100の厚み方向で2つに分割されるレール用連結部材51と、ラッチ保持部材52からなり、ラッチ保持部材52はラッチ部材53を着脱自在に保持している。
レール用連結部材51は図4に示すように、スライドレール100の半分強の厚みで、固定側レール1の収納側に突出する連結用基部511と、連結用基部511の引出し側面の上下端部に位置し、引出し側に向かって突出して、固定側レール1の上下の両折曲縁11、11間に嵌合する上下固定側レール用嵌合脚512、512と、連結用基部511から引出し側に所定間隙510を有して上下固定側レール嵌合脚512、512間に連設され、取付けられた状態で固定側レール基板12の内面に密着する抜け止め連結部513より合成樹脂材より一体に形成されている。
符号514、514は、連結用基部511のラッチ保持部材52側面の上下端部に形成された位置決め用のダボ孔を示し、符号515、515は、ラッチ保持部材52の連結用ネジ孔を示し、符号516、516は、上下固定側レール嵌合脚512、512に上下方向に所定の弾性を付与する為の形成され切り落とし部を示している。
【0032】
ラッチ保持部材52は、移動側レール2とほぼ同等の厚みに合成樹脂材より形成され、前記レール用連結部材51に形成された連結用ネジ孔515、515に対応する位置に、スライドレール100の厚み方向に貫通する連結孔521、521を有し、前記ダボ孔514、514に対応する位置に嵌合突起522、522を有し、レール用連結部材51側の面にラッチ部材53が嵌合保持される嵌合保持凹部523を有している。
【0033】
ラッチ部材53は、前記ラッチ保持部材52の嵌合保持凹部523にスライドレール100の厚み方向から嵌合し、引出し側方向及び収納側方向に移動不能に保持される外形形状のハウジング531と、ハウジング531に収納されると共に係止部材7に係合可能なラッチボディ532とで構成されている。そして、ラッチボディには略直方体を成すラッチボディ本体533が備えられており、ラッチボディ本体533の長手方向の一端面角部からは一対のラッチアーム534、534が先端に行くに従って互いに離間する方向に向かって延出している。
そして、このラッチアームが係止部材7に形成された係止突起73の拡幅部731を挟持して係止可能としている。
ラッチ部材53の具体的構成は特開2004−23889号公報に示すラッチ装置と同じであるので詳細な説明は省略する。
すなわち、本発明のラッチ保持部材52は、市販のラッチ部材の外形形状に合致する嵌合保持凹部523を有しているので、市販のラッチ部材をスライドレールのラッチ部材として簡単かつ容易に転用できる。
【0034】
レール連結用部材51、ラッチ保持部材52、ラッチ部材53は、上記のように構成され、ラッチ保持部材52の嵌合保持凹部523にラッチ部材53を嵌合した状態で、ラッチ保持部材52の嵌合突起522、522をレール連結用部材51のダボ孔514、514に嵌合し、連結用ネジ孔515、515、連結孔521、521を介して、レール連結用部材51とラッチ保持部材52をネジ止め連結し、係合保持部材5を構成する。
そして、固定側収納時ストッパー13を所定間隙510内に位置せしめた状態で、上下固定側レール用嵌合脚512、512を固定側レール1の上下の両折曲縁11、11間に嵌合するよう、レール用連結部材51が固定側レール1に押し付けられるようにして収納側端部に取付けられる。
この状態で、固定側収納時ストッパー13、に連結用基部511の引出し側端面、抜け止め連結部513の収納側端面、固定側レール2の上下の両折曲縁11、11、上下固定側レール嵌合脚512、512が相互に連係して、係合保持部材5は上下方向、引出し側及び収納側方向に移動することはない。
【0035】
移動側レール2を収納側に移動し、係止部材7の係止突起73が、ラッチボディ532に当接し(図7に示す状態)、さらに、ラッチボディ本体533及びラッチアーム534、534をハウジング531内に最も押し込み(図8に示す状態)、その後やや引出し側に戻った状態(図9に示す状態)で、ラッチアーム534、534が係止部材7に形成された係止突起73の拡幅部731を挟持し、ラッチボディ532はハウジング531に収納された状態を維持し、係合部材7はラッチ部材53(係合保持部材7)に係止された状態が維持される。
【0036】
そして、再度、係止部材7が押し込まれると(図8に示す状態)、ラッチボディ532はハウジング531から押し出される方向に移動し、係止突起73とラッチアーム534、534の挟持状態(係止状態)は解除される。(7に示す状態)
ラッチ部材52と係止突起73の係脱関係は特開2004−23889号公報に示すラッチ装置と同じであるので詳細な説明は省略する。
尚、実施例では、係止部材7を移動側レール2の収納側端部に設け、係合保持部材5を固定側レール1の収納側端部に設けているが、係止部材7を固定側レール1の引出し側端部に設け、係合保持部材5を移動側レール2の引出し側端部に設けても、実施例と同様の効果がある。
【0037】
ただ、係止部材7も係合保持部材5も移動側レール2、固定側レール1の収納側端部に設けると、スライドレール100の収納状態で各部材が外部に露呈しないので体裁が良いという効果がある。
一方、係止部材7と係合保持部材5を移動側レール2、固定側レール1の引出し側端部に設けると、スライドレール100の収納状態で各部材が外部に露呈するが、故障時等の修理等が容易であるという効果がある。
【0038】
走行制御置80は、図1、図11、図12に示す如く、固定側レール1の引出し側端部に取付けられる制御部材81と、移動側レール2の上折曲縁21の上面に走行方向全幅に渡って配設されるラック部材82より構成されている。
制御部材81は、固定側レール1の基板12の引出し側端部と連結された制御部材取付板120に連結される合成樹脂製の保持基板83と、保持基板83に連結される両方向性のロータリーダンパー84(以後、ロータリーダンパーという。)と、保持基板83と共に補助ピニオン85を回転自在に保持する合成樹脂製のカバー体86より構成されている。
【0039】
保持基板83は、移動側レール2側にロータリーダンパー84の取付凹部831と、取付凹部831内で移動レール側に突出する補助ピニオン85の基板側支持部832を有する基板部830と、基板部830の走行側両端部に連設された連結用突部833、833より合成樹脂材にて一体に形成されている。
そして、基板側支持部832には補助ピニオン85を回転可能で走行方向に移動可能に支持する案内支持溝834が形成されている。
符号835・・・は制御部材取付板120との連結孔、符号836・・はカバー体86
との連結孔、符号837・・・はカバー体86の連結時に位置決め孔、838・・・は取付凹部831に形成されたロータリーダンパー84の連結孔を示している。
【0040】
ロータリーダンパー84は、前記連結孔838、838に対応する取付孔841、841を有し、移動側レール2側に突出する回転中心軸(図示せず。)にはピニオン842が取付けられている。
補助ピニオン85は、ピニオン842の略2倍弱の径で、中心部に前記案内支持溝834に回転可能で走行方向に移動自在に嵌合する基板側回動中心軸851と、基板側回動中心軸851の反対側に位置する基板側回動中心軸851と同形のカバー側回動中心軸852より、合成樹脂材にて一体に形成されている。
【0041】
カバー体86は、前記基板部830と対向した対称形で、前記の取付凹部831対向してカバー側取付凹部861が形成され、カバー側取付凹部861内で前記基板側支持部832に対向してカバー側支持部862が形成され、カバー側支持部862には案内支持溝834に対向して、補助ピニオン85のカバー側回動中心軸852が回動自在で走行方向に移動可能に嵌合するカバ−側案内支持溝864が形成されている。
符号866・・は連結孔836・・・に対応して設けられた保持基板83との連結孔、符号867・・・は位置決め孔837・・・に対応して形成された嵌合突部を示している。
【0042】
保持基板83、ロータリダンパー84、補助ピニオン85、カバー体86は上記のように形成され、ロータリーダンパー84が取付けられた状態の保持基板83の案内支持溝834に補助ピニオン85の基板側回動中心軸851を嵌入し、この状態維持しながら、カバー体86の嵌合突部867、867を保持基板83の位置決め孔837、837に嵌合すると同時に、補助ピニオン85のカバー側回動中心軸852をカバ−側案内支持溝864に嵌入し、連結孔836・・・866・・・を一致させ、保持基板83側から連結ネジにて保持基板83とカバー体86を連結し制御部材81を構成する。
【0043】
尚、この状態で、図13、図14に示すように、補助ピニオン85の下側の一部は保持基板83及びカバー体86の下端面より突出し、固定側レール1(制御部材取付板120)に連結された状態で、ラック部材82と噛み合う。
ラック部材82は、移動側レール2の移動側レール基板22の外面側に連結された逆L字型のラック取付板220の上端突片221の上面に走行方向全幅にわたって配設されている。
【0044】
走行制御装置80は上記の如く構成されて、スライドレール100に取付けられ傾斜棚等に使用される。
例えば、図10に示すように、前面が開口する傾斜棚本体90の側板91、91の内面に前下がりの状態に配設され、左右の移動側レール2、2間に傾斜棚板92が連結され、スライドレール100が最も収縮した状態(傾斜棚板92が傾斜棚本体90に収納された状態)で、前記係止部材7が係合保持部材5に係止し、移動側レール2の収納状態(傾斜棚板92の収納状態)が維持される。
そして、収納状態の傾斜棚板92を収納方向に押しやると収納状態が解除され、傾斜棚板92(移動側レール2、2)は、スライドレール100、100が前下がりの傾斜状態に収納されているので、引き出し方向に自走する。
この時、移動側レール2と固定側レール1間に走行制御装置80が設けられているので、
傾斜棚板92は急に前方に飛び出すことはない。
【0045】
すなわち、移動側レール2(ラック部材82)が前方に移動すると、ラック部材82と噛み合う補助ピニオン85は、基板側回動中心軸851とカバー側回動中心軸852が、案内支持溝834とカバ−側案内支持溝864に回転可能で走行方向に移動自在に嵌合しているので、引出し方向に一旦移動し、ロータリーダンパー84のピニオン842とも噛み合う。(図13に示す状態。)
これによって、補助ピニオン85は緩慢な回転に制御され、したがって、補助ピニオン85と噛み合うラック部材82の引出し方向への移動も緩やかとなり、傾斜棚板92は使用者に危険が及ばない穏やかなスピードで引出し方向へ自走し、移動側レール2が固定側レ−ル1に対し最大伸長状態となり停止する。
【0046】
次に 傾斜棚板92が最も引出された状態から、収納方向に移動させると、ラック部材82と噛み合う補助ピニオン85は一旦収納方向に移動し、ロータリーダンパー84のピニオン842から、補助ピニオン85は離間し、ピニオン842は無回転となり、補助ピニオン85は無抵抗で回転し、したがって、ラック部材82(移動側レール2)もロータリーダンパー84とは無関係に収納方向に移動し(図14に示す状態。)、やがて、プッシュラッチ装置93によって、傾斜棚板92(移動側レール2)はは収納状態が維持される。
尚、実施例では、両方向性のロータリーダンパー84(小型で安価)を使用しているので、補助ピニオンが必要であるが、一方向性のロータリーダンパーを使用し、ロータリーダンパーのピニオンがラック部材82と直接噛み合うようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を具備したスライドレールの斜視図
【図2】図1のスライドレールの要部断面図
【図3】係合保持部材と係止部材の斜視図
【図4】係合保持部材の分解斜視図
【図5】ラッチ保持部材の裏面側の斜視図
【図6】係止部材の裏面側の斜視図
【図7】係止突起がラッチボディに当接した状態の正面略図
【図8】係止突起が収納側に最も移動した状態の正面略図
【図9】ラッチ部材と係止突起の係止状態を示す正面略図
【図10】本発明のスライドレールを傾斜棚に使用した状態の斜視図
【図11】制御部材の分解斜視図
【図12】制御部材の裏面側からの分解斜視図
【図13】移動側レールが引出し方向に移動(自走)する時の説明図
【図14】移動側レールが収納方向に移動する時の説明図
【符号の説明】
【0048】
1 固定側レール
100 スライドレール
2 移動側レール
3 中間レール
5 係合保持部材
50 自動係止装置
51 レール用連結部材
52 ラッチ保持部材
53 ラッチ部材
7 係止部材
8 走行制御装置
81 制御部材
82 ラック部材
83 保持基板
84 ロータリーダンパー
842 ピニオン
85 補助ピニオン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納方向に押し込む動作で移動側レールを固定側レールに対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レールを押し込む動作で移動側レールの係止状態が解除され、移動側レールを固定側レールに対して摺動可能となした自動係止装置と、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置を移動側レールと固定側レール間に設けたことを特徴とするスライドレール。
【請求項2】
自動係止装置は、固定側レールに着脱自在に取付けられる係合保持部材と、係合保持部材に対応して移動側レールに着脱自在に設けられる係止部材よりなり、係合保持部材は係止部材と係脱自在なラッチ部材を着脱自在に保持している事を特徴とする請求項1に記載のスライドレール。
【請求項3】
係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を着脱雑自在に保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結されていることを特徴とする請求項2に記載のスライドレール。
【請求項4】
走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの引出し方向への走行時にはラック部材に直接的あるいは間接的に噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転するピニオンを有する一方向性のロータリーダンパーが組み込まれている事を特徴とする請求項1、又は、請求項2、又は、請求項3に記載のスライドレール。
【請求項5】
走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの走行時にラック部材と噛み合う補助ピニオンと、移動側レールの引出し方向への走行時には補助ピニオンに噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転し、移動側レールの収納方向への走行時には、補助ピニオンが離間し無回転となるピニオンを有する両方向性のロータリーダンパーが組み込まれている事を特徴とする請求項1、又は、請求項2、又は、請求項3に記載のスライドレール
【請求項1】
収納方向に押し込む動作で移動側レールを固定側レールに対して係止状態となし、係止状態からさらに移動側レールを押し込む動作で移動側レールの係止状態が解除され、移動側レールを固定側レールに対して摺動可能となした自動係止装置と、移動側レールの引出し方向への走行時には、走行位置に関わらず一定の抵抗を付加し、移動側レールの収納方向への走行時には、前記抵抗を解除する走行制御装置を移動側レールと固定側レール間に設けたことを特徴とするスライドレール。
【請求項2】
自動係止装置は、固定側レールに着脱自在に取付けられる係合保持部材と、係合保持部材に対応して移動側レールに着脱自在に設けられる係止部材よりなり、係合保持部材は係止部材と係脱自在なラッチ部材を着脱自在に保持している事を特徴とする請求項1に記載のスライドレール。
【請求項3】
係合保持部材は、固定側レールに着脱自在なレール連結部材と、ラッチ保持部材よりなり、ラッチ保持部材は、ラッチ部材を着脱雑自在に保持した状態で、レール連結部材に着脱自在に連結されていることを特徴とする請求項2に記載のスライドレール。
【請求項4】
走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの引出し方向への走行時にはラック部材に直接的あるいは間接的に噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転するピニオンを有する一方向性のロータリーダンパーが組み込まれている事を特徴とする請求項1、又は、請求項2、又は、請求項3に記載のスライドレール。
【請求項5】
走行制御装置は、移動側レールの走行方向に渡って移動側レールに配設されるラック部材と、固定側レールに設けられる制御部材よりなり、制御部材は、移動側レールの走行時にラック部材と噛み合う補助ピニオンと、移動側レールの引出し方向への走行時には補助ピニオンに噛み合って一定の抵抗が付加されながら回転し、移動側レールの収納方向への走行時には、補助ピニオンが離間し無回転となるピニオンを有する両方向性のロータリーダンパーが組み込まれている事を特徴とする請求項1、又は、請求項2、又は、請求項3に記載のスライドレール
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−100013(P2008−100013A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287049(P2006−287049)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(390002255)日本アキュライド株式会社 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(390002255)日本アキュライド株式会社 (32)
【Fターム(参考)】
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